やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2006年09月17日
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カテゴリ: 読書感想
再読だがすっかり忘れてる。昭和34年に朝日新聞連載とあるからリアルタイムでも読んでいるはず。軽快なノリの小説で当時の風俗を楽しめる。いや私などものすごく郷愁を感じてしまった。

『おバカさん』ことガストン・ボナパルトは『わたしが・棄てた・女』の主人公森田ミツの男性版。すなわち悲しいほどお人よしで純粋、バカみたいな不思議な人。

彼がフランスから日本にふらりと来て、しでかす椿事にまきこまれる隆盛と巴絵の兄妹はごく普通だから、その落差をまず楽しめばいい。

あまりにもドタバタ劇を繰り広げてしまうガストン、なんで日本に来たのだろう?それもこの物語のポイント、作者の意図のひとつ。

ガストンと絡まる殺し屋の名が「遠藤」作者と同名。わざと命名したのだろうか。この「遠藤」にしろ、「隆盛と巴絵の兄妹」にしろ読者にちかい。とても「ガストン」のようにおろかにはなれない。

しかし、この普通ということがいかに「悪」かということも露呈してしまう。

そしてやがて哀愁に満ちたラストで、自分はなんて不純なのだろうと思う。なんてことないのだけれど読後ズーンと響いてくるから。





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最終更新日  2006年09月17日 14時34分53秒
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Re:『おバカさん』遠藤周作(河出書房新社)(09/17)  
私も読んだことあるんですが、すっかり忘れてそうです。(汗) (2006年09月17日 15時39分04秒)

くりむーぶ389さん  
ばあチャル  さん
遠藤周作、ちょっとくせになって読んでます(^^ゞ

(2006年09月18日 08時35分16秒)

Re:『おバカさん』遠藤周作(河出書房新社)(09/17)  
ぱぐら2  さん
はじめまして。読子さんのところから来ました。
私も、ずうっと昔に読みました。遠藤周作は大好きで、あれこれ読んでます。
最近、長崎の遠藤周作文学館に行ったので、「沈黙」を読み直しました。
強く立派な人ではなく、弱い人間に光をあててくれる小説ですね。 (2006年09月19日 10時31分06秒)

ぱぐら2さん  
ばあチャル  さん
>最近、長崎の遠藤周作文学館に行ったので、「沈黙」を読み直しました。
>強く立派な人ではなく、弱い人間に光をあててくれる小説ですね。

「沈黙」は真剣に読みましたのに、読んでから年数がたってやっぱり忘れ、感想をメモしておく、って大切だとしみじみ思ってます。
(2006年09月19日 13時59分03秒)

この作品は大好きです。  
遠藤周作は結構読みましたが個人的に一番好きな
作品がこの作品です。
「海と毒薬」の続き的な要素も持ちながら人の
悲しみと優しさをガストンをメインにして
見事に描いていると思います。
3回は読み直したと思います。 (2006年10月15日 23時14分42秒)

手稲のきんちゃんさん  
ばあチャル  さん
>3回は読み直したと思います。

すごい!
私は「海と毒薬」とこの「おバカさん」の続きという「悲しみの歌」を購入しました。まだ読んでいませんが楽しみです。

(2006年10月16日 02時58分54秒)

Re:手稲のきんちゃんさん(09/17)  
ばあチャルさん
すみません 勘違いしていました。
私の書いたコメントは「悲しみの歌」についてでした。 「おバカさん」も1度読んだことありましたがより印象強かったのは「悲しみの歌」でした。 (2006年10月30日 22時57分17秒)

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