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2007年05月24日

『ユルスナールの靴』須賀敦子（河出書房新社）

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テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24657)

カテゴリ：読書感想

須賀敦子の文章は、長い間暮らしたヨーロッパ、主にイタリアでの経験と、それに培われた教養がえもいわれぬ雰囲気を醸している。年令遅く開花した文章家、という要素も色濃い。

そんな人があるひとの（マルグリット・ユルスナールの）伝記を書くとこんな風になるのか。

マルグリット・ユルスナールというフランス人の作家が、須賀敦子にどうかかわってきたか。

なんと靴から始まる。しかも幼い頃の靴の思い出。いや靴ではない。人生の途上のある偶然の遭遇「そんなことも聞いたことがあった」というかすかな記憶が「マルグリット・ユルスナール」に繋がっていくのである。

しかもユルスナールが長年温めてきた思いによって起こされる『ハドリアアヌヌ帝の回想』という本にそってユルスナールの伝記が語られる。

ユルスナールが「ハドリアアヌヌ帝」について書こうとして、長い年月おいて置いたためにいくまでの息詰まる時の流れをとらえる。

とともに須賀敦子の経験したヨーロッパでの思い出がからまり、ユルスナールの伝記か、須賀敦子の伝記か、はたまた『ハドリアアヌヌ帝の回想』の本について述べているのか、夢うつつのうちに読みおわるのである。

物事の陰影を見極めるには、才能もあろうが時の流れがいかに貴重なものか。だだうかうかと過ごしていては何にもならない。残らない。

どちらもいいなー！（図書館で借りたので欲しい）

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最終更新日 2007年05月24日 10時02分13秒
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■コメント

Re:『ユルスナールの靴』須賀敦子（河出書房新社）(05/24)

hako0418 さん

おはようございます。
須賀さんのこの作品は、未読です。でも今、河出文庫で全集（全8巻）が出ていて、それは入手済み。
須賀さんの作品は一文一文に味わいがあって、読むのに時間がかかるので、他の本の合い間にちょっとずつ読み進めているんですが、いずれこの作品に行き当たるのを楽しみにしています。
（確認したら、3巻に収録されていました。私が今読んでいるのは2巻。意外とすぐ行き当たるかなー） (2007年05月27日 08時43分25秒)

返事を書く

hako0418さん

ばあチャルさん

そうですね。須賀敦子さんの全集は魅力的です。私もいっそ全集で全部手に入れようかとも迷っています。
(2007年05月27日 19時31分48秒)

返事を書く