>今なら「何かになるつもりで読んでいるのではないよ」とはっきり言えるのになー。

同感!
「そんなにたくさん読んでいるのなら何か書けば~」とかもいわれましたね(笑)
「別に作家になりたいわけじゃない。ほっといて!」といまなら言えますね。
(2008年01月29日 07時35分45秒)

やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2008年01月28日
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カテゴリ: 読書メモ

松本清張の『 半生の記 』を読む。

 その前にエッセイもあわせ読んだので、ちょっとした清張研究にはなったのだが、陰隠滅滅、正直なところあまりに暗くてわたしまで滅入ってしまい、まいったのであった。

 清張の父は生まれてすぐ貧乏な家へ里子にやられずっと貧乏、長じても商売が下手でいつもギリギリの生活をしていた。母も学校へ行かなかったので字が読めないけれど勝気であったので、不和な家庭。

 やっはり学費がないので高等小学校出の学歴になった清張。給仕から始めて版下工という印刷関係の専門職にたどりつくまでの苦労、職場の転々。

 やっと朝日新聞の九州支社広告部に落ち着いたものの、太平洋戦争に召集され、無事に帰れれば生活苦、家族8人を養うためのアルバイトは箒売りという、作家になるまでの苦難の道が切々、淡々と書かれているのである。

 40歳までの一家を支える日々の慰めは読書、しかしそれも鬱々とした気分の時にはつらかったと言う。本で読んだ土地を箒売りをしながら旅行する喜びもだんだんむなしくなる。「そんなことして一体なんになるのか」という友人の言葉に傷つくのは痛ましい。

「そんなことして一体なんになるのか」

 わたしにも言われたようでハッなってしまった。沢山本を読んで感想を書ける喜びも「そんなことして一体なんになるのか」

 と暗い気持ちの伝染。気を取り直してやっと書こうかなという気になったのだから、少しは治ったらしいのだけど引きずりそう。

 清張氏は立派な作家になられ、わたしはノー天気にならねばならない。






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最終更新日  2008年01月28日 20時09分29秒
コメント(16) | コメントを書く
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Re:暗い気持ちになった(01/28)  
七詩  さん
彼は貧乏な家に生まれた辛さ、上の学校に行きたくてもいけなかった辛さをずっと引きずってきた人のようですね。世に出たのも遅く、それまでも人生はとりもどせません。
そんなわけで彼の小説にはエリート、たぶん彼もなりたかったであろう学者とか官僚とかに対する怨念や嫉妬がにじみでています。
でもこうも思います。
この世で最高の財産は何か…それは能力というものでしょう。彼にはそれがあったからこそ、遅すぎない時期にその財産を生かすことができた。
なるほど彼の親は貧乏だったかもしれないけど、彼はまさにその最高の財産を親からもらったのです。 (2008年01月28日 20時36分02秒)

七詩さん  
ばあチャル  さん


>この世で最高の財産は何か…それは能力というものでしょう。彼にはそれがあったからこそ、遅すぎない時期にその財産を生かすことができた。
>なるほど彼の親は貧乏だったかもしれないけど、彼はまさにその最高の財産を親からもらったのです。

そうですね♪読みっぱなしの推理小説にはならない、何度も読み返せる小説を沢山書かれています。平易な文章、的確な描写いまさらながら感心しております。
「読みたい小説を書く」というのが作家になった動機のひとつだそうですから、素晴らしい!
(2008年01月28日 21時27分48秒)

Re:暗い気持ちになった(01/28)  
読子  さん
昔私も「本なんか読んで何になるの?」と言われたことがあったのを思い出しました(笑)その時は、(なんちゅうことを言う人だろう・・・)状態でしたが、
今なら「何かになるつもりで読んでいるのではないよ」とはっきり言えるのになー。
この本読んだような気がしますが、特に記憶に残る部分は・・・。いつか再読してみよう、です(?) (2008年01月28日 22時28分46秒)

Re:暗い気持ちになった(01/28)  
ぱぐら2  さん
そういう生い立ちの人だったんですか・・・ちっとも知りませんでした。芥川賞を受賞した「或る小倉日記伝」を読んだときも、あまりの報われなさに暗い気持ちになりましたっけ・・・
今、「わるいやつら」を読んでます。ちょっと見方が変わりそうです。 (2008年01月28日 22時36分42秒)

Re:七詩さん(01/28)  
七詩  さん
ばあチャルさん
小説家の自伝では三浦綾子氏の「道ありき」を読んだことがあります。すごく感動しましたよ。 (2008年01月29日 00時51分27秒)

読子さん  
ばあチャル  さん

ぱぐら2さん  
ばあチャル  さん
>今、「わるいやつら」を読んでます。ちょっと見方が変わりそうです。

おお、読んでますね♪

数々の作品が怨念に満ちているなーとは思っていましたが、『半生の記』がたんたんとした描写なのに迫ってくる文章、引き込まれるうまさなので(笑)やはり才能です。
(2008年01月29日 07時42分16秒)

七詩さん  
ばあチャル  さん
>ばあチャルさん
>小説家の自伝では三浦綾子氏の「道ありき」を読んだことがあります。すごく感動しましたよ。

『氷点』や短編など少し読んでいます。こんど読んでみます。

(2008年01月29日 07時46分04秒)

Re:暗い気持ちになった(01/28)  
きいぼ  さん
祖母の書棚に、松本清張の本は何冊かあるので、小さい時から名前を知ってる作家さんでした。
でも、こういう生い立ちとは知らなかった。
中学生の頃かな、「けものみち」で清張ワールドをかじり、暗さと女の怖さと物語の面白さに夢中になりました。
暗さをひきずってる自分が、読書家っぽくてちょっと優越感でした(笑)
そういえば、最近はあまり読んでいないなぁ。
この半生の記も読んでみたいと思います。
本を読んで何になるのか。私も聞かれたことあります。本好きなら一度はとおる道でしょうか・・・?
(2008年01月29日 10時43分26秒)

きいぼさん  
ばあチャル  さん
亡くなられて15年ですから古典に近い(笑)ですね。ちょうどわたしの姑と同じ年令、よく話題にしている姑は99歳で何とか元気、ボケもあんまりありません。たしかきいぼさんのおばあちゃんもそうではなかったかしら?おんなはつよい。

>本を読んで何になるのか。私も聞かれたことあります。本好きなら一度はとおる道でしょうか・・・?

そうらしいです(笑)
(2008年01月29日 16時35分44秒)

Re:暗い気持ちになった(01/28)  
オーキリ  さん
そんな苦労をされて立派な作家になられたの
ですね。知りませんでした。
でも、その才能で後々まで私達を楽しませてくれて
いますし....。
暗い半生の記を書けるのは今(この記を書いた時期)
が充分に満たされていたからでしょう。
思い出話で暗い気持ちが伝染したらダメ(笑 (2008年01月29日 21時43分19秒)

オーキリさん  
ばあチャル  さん
生まれとか育ちの不平等はいまもあるようで、現代はそんな才能が花開く世間になってるのか、と取り越し苦労のところもありますね(笑)



(2008年01月30日 09時37分59秒)

なんとなく、  
順風満帆な人よりは苦労人の方が、いろんなお話が書けそうな気がするぞうりむしは安直でしょうか・・・。
より人を大きく変えるのは、負の力による圧力だと思うんですよねぇ。 (2008年01月30日 23時22分01秒)

Re:暗い気持ちになった(01/28)  
るり4241  さん
 うつ病の私はちょっとパスしたくなる作品ですねw

 そうですか。。。松本成長は苦労人だったのですね。そういえば彼の写真は額に深くしわが刻まれていて苦労人の顔をしていましたね。ばあチャルさんの文章を読んで納得しました。

 本を読んで何になるの?

 はぁ~。御もっともでございますw でも、人をいろいろな点から理解できるようになった気でいます♪
(2008年01月31日 09時34分05秒)

ぞうりむしやすよさんRe:なんとなく、(01/28)  
ばあチャル  さん
>より人を大きく変えるのは、負の力による圧力だと思うんですよねぇ。

そうです、だから清張さんは「清張氏は立派な作家になられ」たのですね。もちろん才能にもめぐまれたのでしょうが。
時代の運命とはいえあまりにも不条理な生い立ちで、わたしは暗然としたのでした。

(2008年01月31日 18時20分27秒)

るり4241さん  
ばあチャル  さん
コメントありがとうございます!

> 本を読んで何になるの?

> はぁ~。御もっともでございますw でも、人をいろいろな点から理解できるようになった気でいます♪

ふふふ、やっぱり皆様の感想もそうですね~。読後感のブログも楽しい♪もちろん、るりさんのも!
(2008年01月31日 18時25分43秒)

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