やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2011年08月10日
XML
カテゴリ: 読書メモ

『クラクラ日記』坂口三千代

手にとってみて初めてあの坂口安吾夫人の著であったと知り愕く。わたしの文学好きもあてにならないね(笑)

それでも「読みたい~」と頭の隅に置いていながら30年以上経ってしまった本で、どこかで何か聞いたのをわすれたのかもしれない(このごろのわたしの現象だ!)

普通の人である三千代さんが(バツイチではあるが)すでに有名な作家になっていた彼と出会って、そんなに有名とは知らずに(作品も読んでいなくて)ビビッと惹かれてしまい、あっさり妻になったはいいが

浮気モノでわがまま金遣いは荒い、一旦家を出たら何時帰るかわからない、連れ帰るお客は多い、ひとところに落ち着けず引越し多々、あげくに覚せい剤をやり、睡眠剤を交互に飲む、暴れる、気が変になる

と離婚ものなのに、惚れた弱みでというわけではなく自らの意志で連れそって、「死が分かつまで」(50歳、早過ぎる死であったが、早くてよかったような)をユーモラス且つ冷静に書いているのが好もしい。

覚せい剤などの作用で正気をなくして支離滅裂な酷いことをされても、

(例えば気に入らない事があるとそこらにあるもの投げ飛ばす、わめく、真っ裸で公道に飛び出してしまう、うつ病になって入院すれば、精神病のひとはまじめな思いつめ型であり傷つきやすくて正気を失うのであって、正気の人間はずうずうしい生きものであるからであると妻を睨むのだ。)

しかし、三千代さんは 

「私自身はけっして忘れることは出来ず、私の行動は、私が責任を負わなければならないということだろうと思う」

あくまでも自分が選んだ人を、我慢するというのではなくてつくすということはこういうことか、と思わせられる。

『火宅の人』の壇一雄も友人であるが、たしかに坂口安吾はその当時の無頼派と呼ばれる作家達の中でも図抜けていたのかもしれない。それを支えたのだから!

安吾亡き後、バー「クラクラ(すずめ=「そばかすだらけのどこにでもいる少女」というあだ名でフランス語)」というお店をやり、立派に自立されたのはその証拠。文壇有名人に助けられたといえどもそれも実力なり、人徳なり。

読みたい読みたいと思って30年経ってしまった本がようやく読めたのだが、もっと早くに読んでおきたいような、今でよかったのかもしれないような。こんな頑張りもう出来ないし、しなくてもいいのだけれども(笑)






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011年08月10日 13時31分40秒 コメント(4) | コメントを書く
[読書メモ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

ばあチャル

ばあチャル

コメント新着

ばあチャル @ Re[3]:白内障手術(06/11) todo23さんへ メガネの話題でもりあがる…
todo23@ Re[2]:白内障手術(06/11) ばあチャルさんへ 会社にいる頃は遠近両用…
ばあチャル @ Re[1]:白内障手術(06/11) todo23さんへ 「近く」を選択すると読書…
todo23@ Re:白内障手術(06/11) ばあチャルさんは「近く」を選択したので…
ばあチャル @ Re[1]:年賀状じまい(01/07) オーキリさんへ お互い元気で何よりです…

お気に入りブログ

プレイバック俳句:2… New! 天地 はるなさん

65歳以降も「働きな… New! tckyn3707さん

徘徊日記 2025年11… New! シマクマ君さん

恋愛成就スポット巡礼 ひよこ7444さん

政策の人と政局の人 七詩さん

小林よしのり氏「戦… alex99さん

フリーページ

耽溺作家の作品群


山本周五郎の世界


清張ワールド


クリスティの手のひら


時代物の神様正太郎


宝石箱


子供の頃の読書


作家別読了記録【あ】行


【あ】 日本文学


【ア】 外国文学


【い】 日本文学


【イ】 外国文学


【う】 日本文学


【ウ】 外国文学


【え】 日本文学


【エ】 外国文学


【お】 日本文学


【オ】 外国文学


作家別読了記録【か】行


【か】 日本文学


【カ】 外国文学


【き】 日本文学


【キ】 外国文学


【く】 日本文学


【ク】 外国文学


【け】 日本文学


【ケ】 外国文学


【こ】 日本文学


【コ】 外国文学


作家別読了記録【さ】行


【さ】 日本文学


【サ】 外国文学


【し】 日本文学


【シ】 外国文学


【す】 日本文学


【ス】 外国文学


【せ】 日本文学


【セ】 外国文学


【そ】 日本文学


【ソ】 外国文学


【た】行


【た】 日本文学


【タ】 外国文学


【ち】 日本文学


【チ】 外国文学


【つ】 日本文学


【ツ】 外国文学


【て】 日本文学


【テ】 外国文学


【と】 日本文学


【ト】 外国文学


【な】行


【な】 日本文学


【に】 日本文学


【ぬ】 日本文学


【の】 日本文学


【ノ】 外国文学


【は】行


【は】 日本文学


【ハ】 外国文学


【ひ】 日本文学


【ヒ】 外国文学


【ふ】 日本文学


【フ】 外国文学


【へ】 外国文学


【ほ】 日本文学


【ホ】 外国文学


【ま】行


【ま】 日本文学


【マ】 外国文学


【み】 日本文学


【ミ】 外国文学


【む】 日本文学


【メ】 外国文学


【も】 日本文学


【モ】 外国文学


【や】行


【や】 日本文学


【ゆ】 日本文学


【ユ】 外国文学


【よ】 日本文学


【ら】行 【わ】行


【ラ】 外国文学


【り】 日本文学


【リ】 外国文学


【ル】【レ】【ロ】 外国文学


【わ】 日本文学


【ワ】 外国文学


【共著】【マンガ・コミック】


「読みたい本・注目の本」記事録


『世界の「今」に迫る10冊』


吉屋信子『私の見た人』の昭和の作家


ウェヴスター『あしながおじさん』に出てくる本


日本の作家(ちくま日本の文学全集収録)


昭和の作家(1962年 朝日新聞記事より)


映画鑑賞会


2024年


2025年


カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: