『クラクラ日記』坂口三千代
手にとってみて初めてあの坂口安吾夫人の著であったと知り愕く。わたしの文学好きもあてにならないね(笑)
それでも「読みたい~」と頭の隅に置いていながら30年以上経ってしまった本で、どこかで何か聞いたのをわすれたのかもしれない(このごろのわたしの現象だ!)
普通の人である三千代さんが(バツイチではあるが)すでに有名な作家になっていた彼と出会って、そんなに有名とは知らずに(作品も読んでいなくて)ビビッと惹かれてしまい、あっさり妻になったはいいが
浮気モノでわがまま金遣いは荒い、一旦家を出たら何時帰るかわからない、連れ帰るお客は多い、ひとところに落ち着けず引越し多々、あげくに覚せい剤をやり、睡眠剤を交互に飲む、暴れる、気が変になる
と離婚ものなのに、惚れた弱みでというわけではなく自らの意志で連れそって、「死が分かつまで」(50歳、早過ぎる死であったが、早くてよかったような)をユーモラス且つ冷静に書いているのが好もしい。
覚せい剤などの作用で正気をなくして支離滅裂な酷いことをされても、
(例えば気に入らない事があるとそこらにあるもの投げ飛ばす、わめく、真っ裸で公道に飛び出してしまう、うつ病になって入院すれば、精神病のひとはまじめな思いつめ型であり傷つきやすくて正気を失うのであって、正気の人間はずうずうしい生きものであるからであると妻を睨むのだ。)
しかし、三千代さんは
「私自身はけっして忘れることは出来ず、私の行動は、私が責任を負わなければならないということだろうと思う」
あくまでも自分が選んだ人を、我慢するというのではなくてつくすということはこういうことか、と思わせられる。
『火宅の人』の壇一雄も友人であるが、たしかに坂口安吾はその当時の無頼派と呼ばれる作家達の中でも図抜けていたのかもしれない。それを支えたのだから!
安吾亡き後、バー「クラクラ(すずめ=「そばかすだらけのどこにでもいる少女」というあだ名でフランス語)」というお店をやり、立派に自立されたのはその証拠。文壇有名人に助けられたといえどもそれも実力なり、人徳なり。
読みたい読みたいと思って30年経ってしまった本がようやく読めたのだが、もっと早くに読んでおきたいような、今でよかったのかもしれないような。こんな頑張りもう出来ないし、しなくてもいいのだけれども(笑)
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
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