「なつかしき昭和」と言ってもこの本の「昭和」はわたしの生まれるちょっと前の時代。昭和8年から11年まで。
北村薫著三部作『街の灯』『玻璃の天』『鷺と雪』
ああそうだったのね~わたしのまわりの昭和ひとケタ生まれ人たちが懐かしがって、描写してくれる情景(もちろんひとにぎりの恵まれたひとたちだと思う)が目に浮かんだ。
戦争の足音がすれどまだまだ文化もモノも乏しくなっていない時代
恵まれたヒロイン社長令嬢がお抱え運転手(主人公の友となる当時珍しい女性というのがこの本のミソ)
運転する車で通っているその学校で、お友達の華族令嬢たちと繰り広げる日常、成長していく姿。
また関東大震災で被害を受けた銀座が復興していく様子、服部の時計台や教文館のビルが出来ていくのが描かれてあってわたしにはおもしろい。
北村氏の作品であるから、ミステリーと文学がふんだんに組み込まれ楽しませてもくれた。
わたしはちょっと僻んでいた。戦争が終わって何もない時代に成長したので、いい時代の話は眉唾、ほんとう?と思ってもいたのだが。
つかの間でも文化があり、生活の楽しみもゆとりもあるという時代もあったのだな~、描かれてみるとノスタルジーにしてもいいものでもある。
もちろん背景には忍び寄る閉塞感、残酷な仕打ちが襲ってきて喘いでいる人々もいたわけである。
むしろ、そういう人々に乗っかって安逸に(だけ、とは思わないが)暮らしていた人々もいたのであった。
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
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