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「魔術師と花冠の姫」 望月玲子。「ハーモニィ 創刊15周年」号掲載。令嬢ダフネは、天才魔術師の舞台を貴族の婚約者と見た帰り道、突然さらわれてしまいました。そこで貴公子オーギュストに、婚約者は実は悪人だと伝えられます。その言葉とオーギュストの事を忘れられなかったダフネは、パーティーで彼に再会。億万長者の彼には、さらに驚くべき正体が…。この漫画の作者の望月玲子さんは、私の友人。ナント、小学校の同級生ですが、今まで、ゆっくり作品を読んだことがなかったんです。今回「ハーモニィ 創刊15周年」号に掲載されたので、取り寄せて読んでみました。面白かった~です絵もとても綺麗でステキ「ハーモニィ 創刊15周年」は、オール長編読み切り!全作品、面白かったです。久々に、漫画の世界に浸りました。
2023年12月12日
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「わかぎみ」永井路子著。江戸時代に材をとった8編収録。「わかぎみ」。大阪落城の後、秀頼の遺児?を預かることになった京極家家中の侍・梁瀬新兵衛の妻おののが、ひとなみなことが何もできず、魯鈍なわかぎみの世話をするうちに、奇妙なその少年に愛情を感じてゆきます。同時に、淀君の妹で京極高次の妻となり、京極家の陰の実力者として同家を支えた常高院お初の戦国女性らしいしたたかさも描かれています。「母子かづら」。子町娘で美男の婿をむかえたものの、夫に借金を残して女と駆け落ちされ、その後、小間物屋を一人で切り守りして、後家暮しを続け、一人娘を大切に育ててきた主人公。その娘が、彼女自身と関係ができた出入りの行商人とまさかの駆け落ち。「夢の声」。藩の儒学者として、主君に重用されてきた学者・伍藤謙斎の娘美緒の結婚は、難航します。婚期の贈れた娘と学者の間に異常な生活が。「海の月」。たがいに交渉を持った男女。奔放な主人公と、彼女と一緒に暮らしている男性の生き方~男と女の間のふしぎなつながりを描いています。「海から来た側女」。藩の財政を一手に処理していた有能な武士だった夫が浮気を始めたため、賢婦と噂の高い妻は、海女出身の女を側女として家に入れたことから起こる騒動。夫は、その後放蕩のあげく、藩の米を売り払い、その金を持ち出して、側女とともに行方不明に。が、それは、藩の財政を救うためのひそかな策だったのです。息子が、行方を探し出し尋ねてゆくと、乞食同然に暮らしている父がいました。藩の為…この時代の武士は理不全ですね。「大きなお荷物」。父親の病によく効く薬を手に入れたいと願った百姓が、そのせいでゾウの世話をさせられることに。将軍吉宗お気に入りのゾウ~この大きなゾウの世話と扱いに幕府も困っていたのですね。「ミサンサイ物語」。時は幕末。殿サマの命令で藩内になる古い天子さまの陵墓を修理することに。莫大な費用がかかります、殿サマは何を考えているのか。殿サマは、陵墓の周囲の大きな堀を整備することで、100年の大計を考え、領内の水不足を解消しようとしたのです。が、その2年後、幕府は崩壊。殿サマも廃藩置県で領地は取り上げられてしまうのです。「声なき村からの便り」。一人の行者に会ったことから不思議な力を持った娘が、多くの病人を治し妖女とみなされてしまいます。地頭の邸に引き立てられ、恋人まで捕らえられてしまいます。娘は彼を助けるために、自分が妖術使いであると白状し、それに続いて、村人も次々と妖術を授けられたと白状します。恐怖と狂気が渦巻く中で、呪われた村は荒廃し、誰も住むものが亡くなったのです。ちょっとホラーのようなお話です。久しぶりに読んだ永井路子さんの本。やはり、面白い。また、「北条政子」とか読みたいです。
2022年08月19日
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「北条義時と鎌倉幕府がよくわかる本」。歴史の謎を探る会〔編〕。源頼朝が伊豆で挙兵し、平家を滅ぼし、初めての武家政権を鎌倉に誕生させた鎌倉時代。が、頼朝の血筋は、頼朝、頼家、実朝の3代しか続かず、その後は、執権北条家が引き継ぐ。と、このくらいしか歴史の授業でならった覚えがなくて、~源頼朝や、義経の本、それから「修善寺物語」とかは、読んだことがあったのですが~で、「13人」って何?という感じだったので、読んでみました。2代将軍の源頼家の時に、将軍の専制を抑えるために、13人の宿老の合議によって政務運営をするための制度だったようです。カリスマ性があり、「人たらし」と言われた頼朝が亡くなり、その後を引き継いだ尼将軍北条政子も亡くなった後は、政務を行うのは大変だったのでしょうね。北条時政、北条義時、大江広元(おおえのひろもと)、三善康信、中原親能(なかはらちかよし)、三浦義澄、八田友家、和田義盛、比企能員(ひきよしかず)、安達盛長、足立遠元、梶原景時、二階堂行政の13人。みんな頼もしい坂東武者です。が、これは、激烈な権力闘争の始まりでした。そして、それを制し、トップに立ったのが、北条義時だったのですね。小栗旬さんは、どんな北条義時を演じてくれるのかな~、楽しみです。「鎌倉殿の13人」の予習として、ピッタリの本です。
2022年03月09日
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「プリズム」百田尚樹著。ある世田谷の資産家の家の家庭教師になった梅田聡子。ある時、彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れます。その青年は、ときに荒々しく怒鳴りつけたり、ときに馴れ馴れしかったり、ときに紳士的に振舞う態度に困惑しながらも、聡子は次第に彼に惹かれてゆきます。その不思議な男性、岩本広志は、実は多重人格、解離性同一性障害でした。5人もの別々の人格を持っていたのです。岩田広志は、子供の頃、父と腹違いの兄から、恐ろしい虐待を受けていたのですね。その虐待から逃れる術として、次々と人格を作り上げていったのです。聡子は、その中で、広志が男性としての理想像として作り上げた村田卓也に惹かれてゆきます。人間として実在しない人物であることがわかっていたのですが。そして、その村田卓也は、岩本広志がもとの1人の人格に戻れるように、他の人格を説得し、ともに、広志の中に消えてゆきます。最初は、ぼちぼち読んでいたのですが、後半は、引き込まれて一気に読んでしまいました。人格が変わってゆく様や、それぞれの人格に個性や悲しみがあって…。ちょっと切なくて面白い小説でした。
2021年12月29日
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「見えない橋」澤田ふじ子著。徳川治世の天保年代、大垣藩主・岩間三良は、妻の加奈と一昨年に結婚したばかり。仲睦まじく暮らしていましたが、三良は、藩内のリストラで、勝手方掛(納戸役)下役から、郡同心に役替えになりました。郡同心である三良は、険しい山間にある二十七ヵ村を見廻るので、月のうち、ほとんど家を留守にします。そのせいか、妻の加奈は大蔵奉行の息子・大隅佐四郎と不義密通し、城下に噂が広まったため、2人は出奔。武家社会では、不義密通は大変な罪。三良は、すぐに、二人を追って、女敵(めがたき)討ちの旅に出なければなりませんでした。女敵討ちとは、不義密通された夫が、姦夫姦婦を討つというもので、敵討ちの中でも最も不名誉なもの。二年余の放浪後辿り着いた京の町。納戸役として培った目利きをかわれて、古物商の手助けをしたり~と新たな道が開けそうになった時、偶然に、出奔した2人の消息を知ります。2人は決して幸福ではありませんでした。出奔の際、持ち出した金銭は底をつき、貧しい生活の中、佐四郎は茶屋に入りびたりの放蕩三昧で、加奈は泣き暮らしていました。そんな2人を三良は…。妻の加奈は、自害してしまうのですが、三良は、佐四郎を許すのです。ほころびた墨染の裾を寒風にひるがし、何処か遠くへ歩いていく自分の姿を心に浮かべながら。「見えない橋」は、三良が妻加奈に語った言葉から。~一人では見えない橋が二人でなら見える橋がある。夫婦は遥か向こうに夢を抱き、ともに手を携え、彼岸への橋を渡るものだろう。~二人に見えていたはずの橋が、いつのまにか見えなくなってしまった…。
2021年08月27日
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「蜘蛛の糸・地獄変」芥川龍之介著。「袈裟と盛遠」「蜘蛛の糸」「地獄変」「奉教人の死」「枯野抄」「邪宗門」「毛利先生」「犬と笛」八編の短編がおさめられています。「袈裟と森遠」。袈裟は、平安末期の女性で、北面の武士源渡の妻。従兄の遠藤森遠に横恋慕され、みずからはかって、森遠に殺されます。最後の「その独白」が、なかなか怖いです。「蜘蛛の糸」。地獄に垂らされた1本の蜘蛛の糸。お釈迦様が天上から垂らしたこの蜘蛛の糸を罪人の犍陀多が昇り始めます。小学生以来、読みました。「地獄変」。恐ろしいけれど、見る者を惹きつける地獄変の屏風。そこに描かれた灼熱の炎にもだえる女房~それは自分の愛娘が焼かれている様を描いた絵師の芸術完成を追求したものでした。地獄の絵…怖いけれど、なぜか惹きつけられるものがあります。子供の頃、東北のお寺で見た地獄絵の屏風。恐かったけれど、なぜか見入ってしまい、母が探しに来るまでその屏風の前から離れられなかったことを思い出しました。「奉教人の死」。女性のように美しいといわれたキリスト教信者「ろおれんぞ」。 美しいが故に、悲しい運命をたどります。「枯野抄」。松尾芭蕉の終焉の様がえがかれています。「邪宗門」。堀川の大殿様の若様は、優しく物静かな方で、その生涯は平穏無事なものでしたが、たった一度だけ不思議な出来事が。洛中に現れた摩利信乃法師、怪しげな法力で、信者を増やしています。阿弥陀堂の供養の折、突如乱入し、各地より集まった僧に法力対決をけしかけます。有名な横川の僧都でも歯がたちませんでした。そこに、堀川の若様が~。が、これは、未完で終わっているのですね。「毛利先生」。中学3年の一学期に臨時で来た英語の先生。さえない容貌、英語力も怪しい~生徒たちもバカにしています。8年後、再び見かけた毛利先生~全く変わっていない。が、その姿を見た時、純粋に英語教育に身を捧げている人物だと気付くのでした。「犬と笛」。大和国に住む木こりの髪長彦。ある日、森の中で神様に出会い、願いを聞かれます。「犬が欲しい」と言った髪長彦の無欲さを気に入った神様は、特殊な能力のある三匹の犬を与えます。その犬とともに、囚われの身となった大和国のお姫様を救い出す旅にでます。久しぶりに芥川龍之介を読みました。中学の頃、よく読んでいたな。私の一番好きな作品は、やはり「鼻」です。
2021年06月29日
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「伽陵」。「迦陵頻伽」が正式な名前のようです。芥川龍之介著の「邪宗門」に出てきた美女です。と言っても、人間の女性ではなく、上半身が人で、下半身が鳥という仏教での想像上の生物。つまりは人頭鳥身ということなので、人なのか?鳥なのかな?共鳴鳥とともに極楽浄土に住んでいて、声が非常に美しいそうですが、舞ったり、楽器を奏でる姿も美しいとか。日本では、美しい芸者や花魁、また声の美しい芸妓をさしてよだんこともあったそうです。ヘヴィメタルバンドの「陰陽座」が、2016年にこの名前の曲を出しています。ロックは、あまり興味がなかったので、全然知らなかったのですが、このバンドは、古風な古語・漢語を多用した文語調の歌詞をメインにしていて、説話や伝承に出てくる妖怪、源義経、森蘭丸、伊達政宗、風神、雷神、スサノオなどの神々などを題材にしているそうです。すごいなあ。日本酒「越乃寒梅」イメージムービーにも楽曲提供しています。とっても素敵です。
2021年06月10日
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「菊籬(きくまがき)」。宮尾登美子著。8篇の短編集。「彫物」。いろいろな思いの過去を清算して…の決意で、体中に弁天さまの入れ墨を彫る女。壮絶です。「金魚」。泉井~井戸~で、義母の恋人?が連れてきた三匹の金魚を飼わなければならなくなって…。そして、突然義母は中風になってしまい…。「自害」。慶応4年、維新の激動の中で、宗家の山内家と恩顧のある徳川家との板挟みで苦しみ、33歳で自害した土佐新田藩五代藩主山内豊福(とよよし)・典子(かねこ)夫妻の悲劇を、部屋子として使えた女性が、語る回想録。「水の城」。瀬戸内海に面した町で、戦前から戦後にかけて、海辺の城址に立てられた伯爵家を翻弄した悲劇。「村芝居」。作者の農家の嫁として経験に基づいた書かれた処女作。「千代丸」。千代丸は、父が残してくれた遺品で名器と歌われた三味線。離婚後、実家に戻り、残された家財をすべて質に入れながら暮らし、最後に残った千代丸。この最後の品もとうとう質に入れなくてはならなくなったのですが…。「菊籬」。「籬」とは、花街の店にある竹格子のことだそうです。芸妓娼妓紹介業」を営む父~宮尾登美子さんの家の生業だそうです。~は、次々と貰い子をして、それを迎い入れる家族の葛藤と、貰われてきた娘たちの哀しみ、複雑な家庭で共に暮らした人々の人生を描いています。「宿毛にて」。娘を連れて離婚した後、西方浄土に旅立つ思いで、宿毛市西方の孤島・沖の島へ。切なく、悲しい様々な女性の人生の物語を描いた短編集です。
2021年05月23日
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「陰陽師 蛍火ノ巻」。夢枕獏著。「双子針」「仰ぎ中納言」「山神の贄」「筏往生」「度南国往来」「むばら目中納言」「花の下に立つ女」7篇の短編構成。「陰陽師」シリーズ、久しぶりに読みました。そういえば、「陰陽師」シリーズを読み始めてから、もう20年も経ちました。夢枕獏さんは、このシリーズを30年書いているそうです。今回は、蘆屋道満が、3篇も活躍する内容です。蘆屋道満は、安倍晴明のライバルで、「正義の清明」に対して「悪の道満」のイメージですが、この物語に出てくる道満の善悪は、酒が飲めるか飲めないか~くらいの感じ。悪人ではなさそう。~秋と冬の間に、ほんの三日か、四日ほどある、透明な一日。 枯れ葉とまだ生まれる前の雪の匂いとを等分に含んでいる大気が,静かに天を呼吸しているようであった。桜の枝に、まだ残っている葉も、手の指で数えられるほどだ。そのわずかな数の葉が、陽光を受けて光っている。清明と博雅は、簀子の上に座して、ほろほろと酒を飲んでいるのである。~清明屋敷の四季折々の風景、博雅とのなにげなく酒を飲みかわすシーン、なんだかとっても好きなんです。映画が、公開されたのも、20年前でした。
2021年04月21日
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「天の刻(とき)」小池真理子著。「月を見に行く」「蝋燭亭」「天の刻」「襞(ひだ)のまどろみ」「堕ちていく」「無心な果実」6つの短編の小説集です。以前は、小池真理子さんの本が好きで何冊か読みました。老眼になってからは()、読書量が減ってしまって……、久しぶりに~何年ぶりかなあ~、読んでみましたが、やはり、小池真理子さんの文章には引き込まれてしまいます。ここに出てくるのは、40代後半の女性たち。子供がいて、年老いた親がいて、仕事は責任の重い年齢で~。でも、ここに出てくる女性たちは、何処かに「人生の鋭い諦観」を感じさせる。アンニュイで破滅的で不道徳に生きようとしてみたり。でも不倫をしていても、ドロドロ不倫とは、ちょっと違う。40代後半の女性たちの恋愛、日常を描いた作品は、あまりないのではないかなと思います。解説の篠田節子さんによると、この短編集はR35、30歳以上(本当は40歳以上にしたいとのことですが)読解可能の書なのだそうです。確かにそうかもしれません。また、何冊か読んでみたいと思います。
2021年04月13日
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「立花宗茂~秀吉が天下無双と讃えた戦国武将」八尋舜右著。戦国時代から、江戸時代初期にかけての武将。九州の大友氏に仕える家に生まれ、激動の時代を戦さ戦さで戦い抜き、豊臣秀吉に乞われて仕え、朝鮮遠征にも参陣し、関ヶ原後、浪人蟄居していたのですが、後に徳川家康に仕え、奥州棚倉を収めた後、旧領筑紫国柳河藩主に戻ります。攻めれば必ず取り、戦えば必ず勝てり~と言われる戦上手で、豊臣秀吉からも徳川家康からも高く評価されていたそうです。朝鮮遠征も、目覚ましい活躍をしたようです。朝鮮国内での戦の模様を描いたものを読んだことがなかったので、なかなか面白かったです。実父・高橋紹運、養父・立花道雪に高潔な生き方を範として、常に精錬で、また温厚で、人に対して誠実に接し、義理堅く正直な人物であったため「武士の中の武士」と呼ばれていたそうです。大津城の戦い身長は180cm、当時では大きいですね。剣術も、弓術も免許皆伝の腕前。さらに、連歌・書道・茶道・香道・蹴鞠・狂言・能楽・笛・舞曲、そして料理まで、多彩な技芸に長けていたそう。完璧な人物のようですが…。京都での浪人時代は生活が困窮し苦労したようですが~それは、あくまでもおそばに仕えていた家臣たち。家臣たちは、尺八を持って虚無僧となったり、乞食をしたり、懸命に生活費を稼いでいたようですが、根っからのおぼっちゃま育ちの宗茂には、いまひとつ、その苦労ぶりが伝わらなかったらしい。それどころか、前田利家からの10万石で召し抱えたいという誘いをにべもなく断っちゃったり。なかなか愛すべきキャラですね。
2021年03月24日
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「青年は荒野をめざす」五木寛之著。1967年発表。高校を卒業した北淳一郎は、大学進学をあきらめて新宿のジャズ喫茶「ペイパー・ムーン」でトランペットを吹いて貯めたお金で、20歳になった時に、ヨーロッパからアメリカに向けて、自分のジャズ~自分の音楽を探す旅にでます。映画「イントゥ・ザ・ワイルド」のようなアラスカの荒野を目指した青年を思い浮かべたのですが、ここに出てくる荒野は、ヨーロッパの人々が織りなす様々な社会、そこで織りなす人間模様でしょうか。横浜の港から近海行路用客船に乗って出発したジュンは、モスクワ~ストックホルム~コペンハーゲン~パリ~マドリード~リスボン~そして、最後は新たな荒野を求めてアメリカへ。ザ・フォーク・クルセダースが、この小説をモチーフにした曲を1968年に発表しています。1999年に安藤政信主演でテレビ映画にもなっています。若い頃の安藤政信さんって、こんな感じだったんですね~。
2021年02月25日
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「韓国と日本の違いがわかる 最強の韓国史」八幡和郎著。2018年刊行の本なので、古朝鮮から、現在の文在寅政権までの日本と韓国との関わり合いが詳しく書かれています。ざっくりとでも、朝鮮半島の歴史がわかれば~と思って読んでみたのですが、やはり、大陸の歴史は難しい。日本は、時の為政者が変わるだけなので覚えやすいですが、朝鮮半島は大陸と陸つづきなので、しょっちゅう国自体が入れ替わる~。ドラマで見るとおり、高句麗~高麗~朝鮮王朝とおもいきや、そう単純でもないよう。そして近代になってからの南北分割。私が習った歴史の教科書では、ほんの1,2行でしか書かれていなかった「日韓併合」の背景は、少し理解できたかなと思います。著者は、通商産業省の官僚として、実際に韓国と関わる仕事をなさり、また、その後大学教授なども歴任されて、歴史的文献にも精通されているようで、かなり詳細な歴史本と思います。ただ、ちょっと、主観的すぎる内容が多いかな~との感想です。
2021年02月09日
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「見えない橋」吉村昭著。七つの短編集から構成されています。「見えない橋」。36回も刑務所の出入りを繰り返した69歳の男性。今までの人生を振り返り、刑務所では死にたくないとの強い決意で社会復帰を目指します。保護会主幹の尽力と、キリスト教会の人々の暖かい支援もあり、なんとか社会に戻れたのですが、ある日、一人でひっそりと亡くなります。「都会」。小学校の校長を退職してから町会長を務めていた男性が、町内の公園に住みついたホームレズの男性の埋葬にまで付き添うことになりました。「都会」とは、身寄りのない死者たちでも、事務的に処理し、平然と飲み込んでしまう不思議さ、不気味さの意味こめた題名だそうです。「漁火」。漁村の消防団の分団長が遺族に頼まれて投身自殺者の遺体を捜索。その遺体は見つからなかったのですが、別の遺体が漁労中に網に引っかかりました。遺体を上げた船は大漁になるとか、身元不明の遺体は火葬せず、また亡くなっても遺族に探されたいと思うので、立ったままの形で埋葬する~という地元の習慣が語られます。「消えた町」。戦火で消失した東京の下町の小学校を卒業した同級生たちが1年に1度集まる同窓会。予科練に入って、終戦後自殺してしまった男性とか、子供の頃おとなしかった男性が、何故か恋人を殺してしまい、その後癌でなくなった~同級生の切ない生涯が語られます。「夜光虫」。図書館主催の読書感想文に拘置所から応募して入選した男性が、出所後、図書館の読書会に参加してきたのですが…その男性は女性に詐欺をはたらいて拘置所に入っていたのです…。「時間」。戦争で斬殺された少佐とその未亡人とのささやかな交流を描いた作品。「夜の道」。母の死に関した話~私小説だそう。自身の病気の療養で訪れていた湯治場に突然母の訃報が届きます。でも、なぜか悲しむことも泣くこともできない。病気による痛みに耐えかねてモルヒネを打ってくれとせがんだり、脅したりする母。麻薬はいけないと母を止める兄、苦しむ義母を見かねてモルヒネを打つ兄嫁、家に寄り付かなくなった父。家の中が、修羅場になっていたからでしょうか。人間の人生、そしてそこに必ず訪れてくる死~考えさせられる本です。
2020年12月27日
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「楊貴妃伝」井上靖著。唐の玄宗皇帝の寵愛を受け、後宮の最上位に上り詰め、「貴妃」の称号を与えられた楊貴妃の38年の短い生涯を、史実に基づきながら、愛の不思議さと、権力者の非常な心のからみあう人間ドラマに仕立てた作品。世界三大美女の一人であり、安禄山の乱を引き起こす原因となったため、「傾国の美女」と言われています。ので、悪女のようなイメージを持ってはいたのですが、この物語では楊貴妃は何にもしていないのでは…という気がします。まあ、玄宗皇帝の寵愛のおかげで、国庫をかなり浪費したようではありますが、楊貴妃の地位を利用して、高位についた揚一族の専横が一因ではなかったかと。なのに、最後は高力士(玄宗皇帝の忠実な宦官)によって、あっけなく縊死させられてしまいます。楊貴妃は、髪が艶やかで美しく、肌はきめこまやかで、体型はほどよく~でも、当時の女性の基準からしてもかなりグラマーだったよう~、物腰が柔らかだったようです。そして才知があり、琵琶をはじめとした音楽や舞踊に多大な才能があったそうです。やはり、魅力的な女性だったのでしょうね。天性麗質難自棄 一朝選在君王側廻眸一生百媚生 六宮粉黛無顔色春寒賜浴華清池 温泉水滑洗凝脂侍児扶起嬌無力 始是新承恩沢時雲鬢花顔金歩揺 芙蓉帳暖度春宵(一部抜粋)※生まれつきの美しさは埋もれることはなく ある日選ばれて、王のそばに上がりました。 視線をめぐらせて微笑めば そのあでやかさは限りなく、 宮中の奥御殿にいる女官たちは色あせてみえました。 春まだ寒い頃、華清池の温泉を賜り、 温泉の水は滑らかで、玉環(楊貴妃)はきめこまかな白い肌を洗いました。 侍女が助け起こすと、なまめかしく力がなく、こうして初めて皇帝の寵愛を受けました。 雲のように柔らかな髪、花のような顔、歩くと揺れる黄金や珠玉で作られたかんざし。 芙蓉の花を縫い込めた寝台の帳は暖かく、春の宵を過ごしました。高校生の時に漢文の授業でならった白居易の「長恨歌」が好きでした。漢文のテストでこれしか勉強しなかったのですが、やまが当たって結構良い点がとれた思い出が。
2020年12月18日
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「二宮尊徳の経営学」童門冬二著。二宮尊徳といえば、薪を背負って読書する銅像のイメージが浮かびますが、実は、何をした人なのかよく知りませんでした。各農村や組織に赴いて、私財を投じて財政再建や組織改革を成功させました。~地域を復興したところは、実に六百ヶ所におよぶそうです~。倒産寸前の会社を立て直す、再建コンサルタントのような仕事をしたわけですね。「身近なところで起こった経験」を土台に、「いまいる場所でできることから実行する」ということの積み重ね。「積小至大」。小さな努力の積み重ねがやがて大きな成果につながる。毎日、少しずつ、頑張ろう!
2020年11月26日
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『「万葉集」が暴く平城京の闇』関裕二著。日本の正史「続日本紀」。矛盾点の多かった「日本書紀」に比べて、ほぼ信頼できると考えられているそうですが、為政者に都合のいいように隠蔽され、抹消されたこともある…。この時代の勝者であった藤原一族~に都合よく編纂されている?のかも。そして、「万葉集」は、単なる歌集ではなく、“正史の嘘を告発する書”。藤原一族の恐怖政治の犠牲となった人々が、その憤怒と悲嘆を和歌に残した…。あおによし 寧楽(なら)の京師(みやこ)は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり 『万葉集』巻三ー三二八平城京の美しさをたたえた歌かとばかり思っていました。太宰府に赴任していた小野老が都を偲びたたえた歌だそうですが、反藤原派だった小野老は、親藤原派に転向し、長屋王の乱の陰謀に藤原氏に加担していた可能性がが高い。この歌には、人を陥れなければならなかった慙愧の念がこめられているのでは…。新たな観点から歴史を紐解いた本です。
2020年11月13日
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「踊る女」ジョン・ソール著。サウスカロライナの海辺、陸から延びた長い一本の道で、本土を繋がれている島に古びた巨大な屋敷が建っています。そこは、代々デヴェルクス一族の屋敷で、今ここに住んでいるのは、足の怪我でバレリーナとしての夢を断たれ、少女たちにバレエを教えているマーゲリータとその母のヘレナ。その家に二十年ぶりにマーゲリータの弟ケヴィンが家族を連れて帰ってきました。そして、それから、様々な凶事が起こり始めます。美しいサウスカロライナの夏の情景が描写される中、恐ろしい殺人事件が次々と起こります。犯人は、2人目の被害者が出たところで、容易に想像ができ、3人目で明かされます。が、そこから、さらに怖い。犯人がわかってからの殺人描写が恐ろしい。さらに、4人も殺されるのですから。映像にしたら、すごいシーンになるだろうな~と思いながら読みました。そして、10年後。全て解決して、あの悪夢から立ち直り、順調に明るい未来へ~と思っていたら、………、結局悪夢は繰り返す?ちょっと怖いエンディングでした。
2020年10月28日
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相模のもののふたち 中世史を歩く (有隣新書) [ 永井路子 ]「相模のもののふたち<中世史を歩く>」永井路子著。武家社会へと転換する歴史においての大革命であった鎌倉幕府成立の主役は、源頼朝とともに活躍した当時辺境だった東国の武士たちでした。そんな武士たちの故地に赴き、残された古寺や館址を訪ねてその大地に思いを馳せて書かれた歴史紀行。三浦氏、土肥氏、二宮氏、波多野氏、海老名氏、愛甲氏…。現在の地名になっている所には、その名を名乗った武士団が活躍していたのですね。現在の横浜市戸塚区近辺に勢力を持っていた長尾氏。鎌倉時代に北条氏に滅ぼされてしまうのですが、なんとか生き残って、室町時代に上杉家の執事となり、守護代として上野からやがて越後へ進出して、越後の長尾家に。そう長尾景虎、後の上杉謙信ですね。そして上杉謙信は、関東管領に就任後、わざわざ鎌倉の鶴岡八幡宮に詣でているそうです。歴史的な遺構は、少なくなってしまったけれど、地名で偲ばれるところがあると書いていらっしゃいましたが、この本が書かれた頃より、さらに合併などが進んで、今は、どのくらいの地名が残っているのでしょうか。私も歴史本を片手に、関東近辺の歴史的な場所を巡る~がささやかな夢です。
2020年10月10日
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「KAGEROU」斎藤智裕著。営業マンとして働いていた40歳のヤスオは、多額の借金を抱えたうえに、会社をリストラされてしまいました。絶望して廃墟のビルの屋上から投身自殺を。まさに実行しようとしたその時、黒服を着た不思議な男・キョウヤに阻止されます。キョウヤは、ヤスオの命を助けようとしたわけではなく、こんな形で死ぬのはもったいないと言うのです。キョウヤは、裏社会の臓器提供グループ『全日本ドナー・レシピエント協会』の一員。キョウヤの説明によれば、良い亡くなり方をすれば、体は脳以外は全部お金になると。そこで、ヤスオは、キョウヤと契約し、田舎の両親にまとまったお金を残すことにします。なんだか、すごい話ですが、おどろおどろしい内容でもなく、ヤスオが、別の形で生きてゆくことができるので、読後感の良い本でした。長編小説ではありますが、ページの文字数が少ないのか1日で読めてしまう本です。第5回ポプラ社小説大賞を受賞した作品。作者の斎藤智裕は、俳優の水嶋ヒロさんだそうです。
2020年09月24日
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「明智光秀」早乙女貢。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送も再開されたタイミングで、そういえば明智光秀の本は読んでなかったな~と。で、この本が面白そうだったので読んでみました。この本では、明智光秀という人物が、この当時の武将の中で(文字を読めないような武将もいたらしい)、いかに学問があり、教養があったかが描かれています。故実式目や仏教、歌道、築城学(光秀の築城した坂本城は見て見たかった。)、軍学…、そして、実践では鉄砲は、百発百中だったとか。将軍家を始め、多くの武将に一目おかれていた存在だったようです。気性の激しい信長は、光秀の知力に助けられ、その実力を認めてはいたのですが、いつも冷静沈着な光秀がどこかわけもなくうっとおしい。そして本能寺の変。光秀がすごいなと思ったのが、その後の処理です。信長討伐の正当性をしたためた書面を、献上品を持って参内。民政安定のため、所司代、町奉行をすえ、神社仏閣には黄金などを寄進。そして、京の民の税金免除などを、すぐに行います。が、誤算だったのは、毛利軍と戦っていたはずの秀吉が思いのほか早く戻ってきてしまったこと、そして、娘婿である細川忠興が助けてくれなかったこと。そして、敗走中に、落ち武者目当ての追剥の手にかかり、命を落として。この後、光秀以外の人物のエピソードが。明智左馬之助、光秀の重臣で、後に光秀の娘を貰ったようなのですが、伝説として語られている「明智左馬之助の湖水渡り」のシーンが描かれています。光秀の敗死を知った左馬之助は、坂本城へ戻る途中、敵兵に遭遇し、琵琶湖を馬で渡って逃れた~。琵琶湖の打出浜には、この記念碑があるそうです。「麒麟がくる」では、左馬之助は、間宮祥太郎さんが演じていられますね、このシーンはでてくるのかな。堀隼人正、架空の人物らしいのですが、光秀の死後、比叡山で光秀らしき人物を見かけたことから、生涯光秀を追ってゆき、そのことで苦節の人生を歩むことになります。そして、後半で登場してくるのが天海僧正。天海は、家康の信頼のもと、豊臣家を滅ぼし、盤石の江戸幕府を作り上げ、3代家光まで仕え、実に118歳で亡くなったといいます。天海僧正は、比叡山で隠匿していた明智光秀だった~。私が今までの歴史の授業で学んだイメージでは、信長があと少しで成し遂げる日本統一を邪魔した者という感じでしたが~。ですが、本来とても優秀で真面目な明智光秀、そんな光秀の生涯の願いは、戦のない平和な世、それを実現させたのかったかも。私の亡くなった母は、かなりの明智光秀びいきで、明智光秀のことを悪くいうといつも怒られましたが。母の話では、母の家は明智光秀の血をひいている~とかで。まあ、どのようなつながりだったかはわかりませんが、今年のNHK大河ドラマを見たら喜んだかもしれません。この本も面白かったですが、今後の「麒麟がくる」の展開も楽しみです。
2020年09月17日
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「緋の天空」葉室麟著。奈良時代。藤原不比等の娘、安宿媛(あすかべひめ)は、美しく成長し光明子と名づけられました。壬申の乱を終え、藤原氏が宮廷の勢力強めていました。相次いで即位した女帝の尽力で平城京は隆盛を極めている一方、宮廷内の権力争いは激しさを増していました。そして庶民は、相次ぐ災害や疫病に苦しんでいました。光明子は、臣下の娘として初めて聖武天皇の皇后となりました。それまでは、皇后の地位は、皇族系の女性でないとなれなかったのです。ここに、藤原一族の力があったのではありますが、光明皇后は、聖武天皇を支え、貧窮者を救済し、国と民を照らす大仏建立を目指すなど、大きく国を動かすために人生を捧げたのです。この時代の本を読むのは、久しぶりでした。長屋王、吉備真備、玄昉、恵美押勝~、歴史の教科書で読んだ懐かしい?人物が、生き生きと描かれています。そして女性天皇、第43代元明天皇、第44代元正天皇は、教科書の記載も少なったので、印象に残っていなかったのですが、平城京を作り、支えてきたのは、この2人の女帝だったのですね。奈良時代も疫病に悩まされました。海を渡ってくる人々がもたらしたもの、裳瘡(もがさ)と呼ばれたこの疫病は、おそろしい猛威を振るい、なんと宮廷での政治のトップだった藤原四兄弟(武智麻呂、房前、宇合、藤原麻呂)があっという間に亡くなってしまいます。裳瘡は、今で言う天然痘だそうですが、あっという間に国中に広がっていく様子は、今の新型コロナウイルスを彷彿とさせます。この疫病の流行は長屋王の乱の後で、さらに藤原四兄弟が全員亡くなってしまったので、藤原家に恨みを残した長屋王の祟りだと思われていたようです。そんなこともあり、光明子は、世の中を鎮め、人々慰めるために、大仏建立を思い立つのです。
2020年09月03日
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「草原の椅子」宮本輝著。遠間憲太郎は、50歳の会社員。現在は、妻と離婚し、大学生の娘・弥生と夙川で暮しています。数年前に阪神淡路大震災を経験しました。街は、復興していますが、憲太郎の心の底には、震災で受けた衝撃が残っていました。震災後、世界最後の桃源郷とよばれるフンザに旅行し、そこで不思議な老人と出会い、その老人から受けた言葉が心に残っています。仕事上の取引先の社長であり、同じ年の富樫重蔵と、仕事を超えた付き合いができ、憲太郎が昨年行ったフンザと、そして「生きて帰らざる海」と言われる「タクラマカン砂漠」そこに、2人で旅行しようと~人生を問い直すために?、これからの生き方を模索するために?~。憲太郎は、会社の近くで陶器店を営む篠原貴志子に、少年のような恋をします。憲太郎の娘の弥生は、バイト先の上司の息子である4歳の圭輔に慕われます。圭輔は、実の母親から虐待を受け、心身ともに未発達の幼児で、普通の大人を受け入れないのです。あるきっかけから、圭輔を憲太郎の家で預かることになります。そこで、圭輔は、優しい大人たちに愛を注がれ、言葉すら、ろくに話せなかったのに、憲太郎を「トーマ」、富樫を「富樫のおっちゃん」と呼んで少しずつ4歳児らしい子供になってゆきます。そして、当初男2人旅のはずだったのに、いつしか、篠原貴志子と、圭輔も加わった旅になりました。そしてついに、4人はタクラマカン砂漠~生きて帰らざる海~に立つのです。大いなる再生のために…。もしかしたら、あるかもしれないささやかな出来事で綴られる日常。人と人の細やかな触れ合いが、ちょっと切ないけれど、心地よい~。そんな物語でした。2013年に映画化されたそうです。遠間健太郎は佐藤浩市、富樫重蔵は西村雅彦、篠原貴志子は吉瀬美智子。そして、圭輔を虐待する母・喜多川祐未は、小池栄子。さすがのキャスティングだと思います。
2020年08月21日
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「考える日本史」本郷和人著。歴史は、知っているだけではなく、「考える」ことが面白い。信、血、恨、法、貧、戦、拠、知、三、異、この一文字をそれぞれのテーマに、歴史を探って考える~。考えることも面白いですが、結構知らないエピソードも満載の本です。本の最後の文章が印象に残りました。~まったく新しい「異なるもの」との出会いは、もはやない。 そうすると、平安時代のような中だるみの社会が始まるのではないか。 そうした気がしないでもないのです。~これは、歴史的な文物に関してかかれた文章ではあるかと思いますが。確かに、ものすごい古文書の発見などは、もうないのかもしれませんが、世の中の出来事はすごい。この本が出版されたのは、2018年。この時に、今年2020年の出来事が想像できたでしょうか。本当に、歴史は、何が起こるかわからないですね。
2020年08月04日
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「世迷いごと」。マツコ・デラックス著。マツコ・デラックスさんの「愛のムチ」?が炸裂している本。女優、女子アナ、女性のスポーツ選手、マツコさんが気になる女性の本性を鋭く見抜いています。ここまで言って、大丈夫~??とは思いますが、マツコさんならでは、語り口が面白い本です。
2020年07月28日
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「レ・ミゼラブル」ドクトル・ユーゴー著。読んだことのなかった世界的名作、読んでみました。幼い時に両親を亡くし、姉に育てられたジャン・バルジャン。その姉の7人の子供たちのために、1本のパンを盗んだため捕まりその後、刑務所から脱走を繰り返したために、19年間も獄中で過ごすことになってしまいました。牢を出てからは、何処へ行っても冷遇され、人間不信になっていました。そんな彼を温かく迎えてくれた司祭。ですが、そんな司祭の大切にしていた銀食器をジャンバルジャンは盗んでしまいます。憲兵に捕らえられて司祭の前に連れてこられた。ジャンバルジャン。司祭は、憲兵に、食器はあげたものだといって、ジャン・バルジャンを放免させて、さらに自分の唯一の財産である銀の燭台も彼に渡します。司祭の信念に、人間不信と憎悪の塊だったジャン・バルジャンは、正直な人間として生きてゆこうと決心をし、様々な数奇な出来事に遭遇してゆきます。仕事を成功させ、社会的名誉も得たのに、囚人に戻ったり、身寄りのない可愛そうな女の子を育てて美しく成長させ、その子の後の婚約者を暴動から命がけ救い出したり…。次から次へとスピーデイに展開してゆくストーリーに、ほとんど一気に読んでしまいました。多彩なストーリー展開、個性の強い登場人物たち~、多くの芝居、映画、ミュージカルに取り上げられているのも当然なんですね。
2020年07月17日
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「こんなに違うよ! 日本人 韓国人 中国人」造事務所編著。外見はよく似ているのに、中身は全く違う三国の国民性を、衣食住、恋愛、お金、政治などあらゆるジャンルから徹底比較。意外なことに、三国の中でBMÌ値から「肥満」とされる人の割合が一番多いのは、韓国なのだそうです。日本では1.7%、中国では1.8%ですが、韓国では、7.1%なのだそうです。(2005年のデータ)。韓国は、男性も女性もスタイルのいい人が多いような気がしますが、意外ですね。言葉は、日本は、漢字を使うので、中国との関わりが多いとおもうのですが、韓国語との共通要素も多いようです。世界的には「主語→術語→目的語」と話す国が多いそうですが、韓国と日本は、「主語→目的語→術語」と話すそうです。韓流ドラマを見ていると、「契約」とか「約束」のように、発音の同じものもありますね。2010年刊行の本なので、10年たった今現在、多少のデータの違いはあるとは思いますが、三国を比較することで改めて日本、日本人を客観的にみることができて、面白い本でした。
2020年06月09日
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「あなたの歴史知識はもう古い!変わる日本史」 日本歴史楽会著。小学生の頃から、日本史は大好きでした。が、受験も含めて、あんなに一生懸命覚えた日本史でしたが、 新たな研究により全然変わってきているのです…。 狩猟や採集生活で、食料が無くなれば移動するという食糧確保に大変だった縄文時代~と思いきや、実は農耕も行われ、食糧の貯蔵もできる定住生活、 食料も豊富で、季節ごとの山海の恵みを楽しむグルメな食生活だった…。聖徳太子の功績として一生懸命覚えた、冠位十二階、憲法十七条、法隆寺の建立。これは、すべて、もう少しあとの時代のもので、聖徳太子の功績ではない? 最近は、そもそも聖徳太子の存在すら疑問視されていますね。天才的な戦略家だと言われていた源義経、あの有名な「鵯越の坂落とし」~激しい崖を騎馬で駆け下りた奇襲戦法~ですが、 実は、なかったかも。 地理的に不可能で、実際鵯越は崖ではなく山道で、そこを下りても、一の谷には出ない~とか。また、義経2人説というのもあるそうです。ドラマでは必ずイケメンが演じる源義経。 『義経記』では、「色が白く、器量も容貌も女性のように美しい」と記されていますが、 『源平盛衰記』では、「色は白いが、顔が長くて背が小さくて、出っ歯」と記載されています。これは、同時代にいた山本義経~壇ノ浦や、屋島の合戦はこの人物の戦功かもしれない~の経歴や容姿が混同されたのかもしれないそうです。「いいくにつくろう鎌倉幕府」。これもよく覚えました。 鎌倉幕府の成立年代については、だいぶ前から諸説がでていますが、 実は、有名な源頼朝像も別人説があるそうです。 足利尊氏の弟直義のもので、ナント、直義自身と、弘法大師と聖徳太子のトリプルイメージで描かせたものかも~だそうです。なので、現在は「伝源頼朝像」と記載されているそうです。歴史がだんだんと解明されていくのは面白いとも思いますが、 覚えたことが違ってゆくのはちょっと寂しい気もします。
2019年11月12日
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「横浜慕情」平岩弓枝著。江戸時代末期、江戸大川端。 町奉行所の定廻り同心だった父を亡くした庄司るいは、 家督を親戚に譲り、 大川端町(永代橋の西端あたり)に旅籠「かわせみ」をひらいています。 幼なじみで一つ年下の夫、神林東吾は、町奉行所与力・神林通之進の弟。 東吾の友人で八丁堀の定廻り同心の畝源三郎、 将軍家御殿医の息子で医師の天野宗太郎、 旅籠のかわせみの奉公人嘉助、お吉らとともに、 事件を解決していく「御宿かわせみ」シリーズ。 横浜の異国情緒を添えた表題作の他、8編構成です。 「三婆」、「鬼ごっこ」、「烏頭坂今昔」、「浦島の妙薬」 「横浜慕情」、「鬼女の息子」、「有松屋の娘」、「橋姫づくし」 八丁堀、亀島川…、 以前の勤務教室がここにありましたので、 地名を聴くだけで懐かしい。 物語の進展に何の関係もないですが、今回一番に記憶に残ったこと。 「有松屋の娘」の中に出てきた煙草入れ、 ~飾り金具が凝っていて、前金具は三番叟、緒締めに翁の面、 煙管を入れる筒は黄楊(つげ)で、そこに千載の絵が描いてあって、 煙草入れの裏座は扇と面箱の彫り~タバコは吸いませんが、こんな凝った煙管入れがあったら、欲しい~! 「御宿かわせみ」は、何度もドラマ化されていていますね。
2019年08月21日
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「日本史の内幕」、磯田道史著。~戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで~。 映画になった「武士の家計簿」や、「殿、利息でござる」の作者で、 古文書を解読研究する歴史学者の磯田道史さんの本です。 歴史の教科書には、載っていない興味深い歴史の話が満載です。 高尾山古墳 静岡県沼津市にある古墳で、 築造されたのは、ナント、邪馬台国の時代。とてつもなく大きな古墳で、この時代の東国最大の古墳であるとされ、ゆえに卑弥呼と張り合うくらいの力のあった王の墓ではないか~。 私は高校を卒業するまで、静岡に住んでいたのにこの古墳は全く知らず。 学校では習わなかったと思うので調べてみたら、 以前から古墳の存在は推測されていたものの、 本格的な発掘調査が行われたのは、2008年からだそう。 徳川家康は、結構イケメン。ある程度の年齢のいった時の肖像画しか見ていないのでわかりませんでしたが、 家康の家系はイケメンなのだそうです。 祖父清康の容姿は絶賛されていて、祖母のお富も絶世の美女と言われていたそうです。 家康自身も、鼻梁がとおり、目がパッチリしていたとか。 豊臣秀吉と秀頼の親子関係? 淀君が秀頼を身籠ったのは、秀吉が朝鮮出兵のために備前名護屋城に赴いていた時。が、名護屋城には、側室の京極殿が同行した記録はあっても、 淀君が同行した記録が、はっきりとはない~。ちょこっと歴史好きの方には、楽しめる本です。
2019年07月04日
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小説「火花」。又吉直樹著。お笑いタレントの又吉直樹さんが書いた初の中編小説で、 第153回芥川賞(2015年)を受賞し、 発行部数が239万部を突破、芥川賞受賞作品としては歴代1位なのだそうです。 売れない芸人、お笑いコンビ“スパークス”の徳永は、 営業先の熱海の花火大会で、先輩芸人・神谷と出会います。 神谷は、“あほんだら”というコンビで、 常識の枠からはみ出た漫才を披露していました。その奇想な芸風と、人間味に惹かれ、徳永は神谷に弟子してほしいと頼み込みます。 了承した神谷でしたが、条件として、徳永に自分の伝記を書いてくれるように頼みます。その日から、徳永は神谷との日々をノートに綴ります。 関西の芸人だった神谷が東京に拠点を移してからは、 2人は、毎日飲み歩き、芸の議論を交わし、 仕事はなかったけれど、お互いの才能を磨き合う充実した日々を過ごしていました。 「笑い」に魅せられ、「笑い」で成功をすることを夢見ていましたが、 「現実」に阻まれ、いつしか、2人の間には、わずかな意識の違いが生まれてきます。 作者の又吉直樹さんは、ものすごい読書家と聞いたことがありますが、 小説のなかに散りばめられた数々の言葉がすごいなと思いました。お笑いコンビ“スパークス”の最後の解散漫才のシーンは泣けてきました。 2017年に、NHKで、徳永を林遣都さん、神谷を波岡一喜さんでドラマ化されました。 最終回だけ見たのですが、最後のシーンにはかなり驚きました。NHKでも、テロップを入れて放送していましたね。また、同じく2017年に、徳永を菅田将暉さん、神谷を桐谷健太さんで、映画化されています。
2019年04月23日
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「四文字の殺意」、夏樹静子著。四文字の題名で綴られた5篇の短編ミステリー。 「ひめごと」。 伊豆の海辺の町で平凡に暮らしていたはずの母が、突然殺されてしまいます。 母には、娘のみずきが知らない隠されていた人間関係~ひめごと~があったのです。 「ほころび」。 順調に出世している夫との幸福といえる結婚生活だったはずが。つい、ちょっとした出来心から、夫の穴のあいた靴下をそのままに。それが、殺人事件につながり…。 靴下のほころび~夫婦のほころび~男女のほころび。 「ぬれぎぬ」。 散歩に出かけた義父が帰ってこない。 暗くなりかけていた時刻、自転車と衝突して、打ちどころが悪く…。ぶつかった自転車は逃げてしまったよう。 「うらぐち」。 元代議士の秘書をしていた男性が殺されました。 彼は、在職中に、代議士のもとに持ち込まれる大学裏口入学にかかわっていたらしい。 「やぶへび」。 鎌倉の古家で、フラワーアレンジメント講師の女性が殺されていました。やむなく、殺人を犯したのは、何事にも念には念を入れて行う人物でした。 「あやまち」。 音大の教授でもある有名なバイオリニストが殺されました。ほんの些細な出来事が重なって、 殺すはずのない人間が殺人を犯し、殺されなくてもよい人間が亡くなったのです。それぞれが、意外な人物の、意外な動機の殺人事件で、面白いストーリーでした。 1話目の「ひめごと」は、テレビ東京で、2008年に内山理名さん主演で、ドラマ化されています。
2019年02月20日
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「七つの会議」池井戸潤著。「下町ロケット」、「空飛ぶタイヤ」など書いた池井戸潤さんの小説。 都内にある中堅メーカー「東京建電」。トップセールスマンのエリート課長を訴えたのは、年上の部下でした。そこに役員会が下したのは不可解な人事。 会社で何が起きているのか…。 事態の収拾を命じられた営業二課長の原島は、取引先と親会社を巻き込んだ会社の秘密に迫るのです。 全体でひとつのストーリーにはなっていますが、 東京建電に係わる7人の人物を語った短編集にもなっています。 ~単行本化の際に一篇加筆されたそうで、実際には8篇~。それが各話毎に異なる“会議”を通じて描かれ、その8つの話が伏線となって、 最後の衝撃の真相につながります。なので、誰が主人公なのか~という感じで物語は進みますが、 最後に中心人物が誰なのかがわかります。 私は、その人物のために、この本を読んでいたので最初から注目して読んでいたのですが。 「働くこと」とは、それが大企業であろうと、中小企業、個人事業でも、やはり大変なことだと思いました。この本は、2013年にNHKで、営業二課長原島万二を主人公に、東山紀之さん主演でドラマ化されています。そして、来年、営業一課長の八角民夫が主役で映画化されます。 主役の居眠り八角こと(会議中に居眠りばかりしているから)八角民夫を演じるのは野村萬斎さん。 公開が楽しみです。
2018年12月14日
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『眠れないほどおもしろい世界史「不思議な話」』 並木伸一郎著。「教科書に載らない」、または「載せられない世界史。 1章 「波瀾万丈の人生を送った歴史人物の意外な素顔 流刑地セント・ヘレナ島で死んだのは、ナポレオンの替え玉!? セント・ヘレナ島で死んだのは、ナポレオンのそっくりさんだった農民のフランソワ・ロボだったのでは? ナポレオンの死因は胃癌だったそうですが、実はロボが大量のヒ素を盛られて口封じされたのかも。 2章 誰もが知っているあの「有名人物」をめぐる新たな謎 聖書に記された謎ーイエス・キリストに“双子の弟”がいた!? 十字架で磔され亡くなったのは、弟のシモンで、イエスはその様子を群集の中に立って見ていて、そして三日後に復活! 3章 驚きの発見! 「歴史の裏側」を読む。 コロンブスは、新大陸発見の知らせとともにとんでもないものを持ち帰った!! それは、もとはカリブ海諸島の風土病だった「梅毒」。 ハイチに立ち寄った際に一部の船員が感染し、そのままスペイン帰国したため、ヨーロッパ全土に蔓延。 その後、大航海時代の流れにのって、東へ蔓延し続け、インド、中国(明)をへて、 1513年、ポルトガル人によってついに日本に上陸~戦国時代ですね~。4章 陰謀が渦巻く!世界史の中の「闇」にせまる あの有名な“秘密結社”にモーツアルトは殺された! その秘密結社は「フリーメイソン」。 フリーメイソンに入会していたモーツアルトは、オペラ「魔笛」のなかに、その秘儀などを盛り込み、 フリーメイソンの秘密を外部に漏らしたので、その罰だったのでは? 5章 あの「衝撃の事件・犯罪」の知られざる真相。 ダイアナ元妃の死亡事故に英国情報部が関与していた!? この陰謀説は聞いたことがありますね。 「将来の国王の義父がイスラム教徒のアラブ人である」の忌避するとか、しないとか…。 6章 歴史を騒がせた怪人・鬼女たちの運命 ドラキュラ伯爵ブラド・ツェペシェの残虐伝説。 15世紀ルーマニアのワラキア領主、通称“串刺し公”と呼ばれていたブラド・ツェペシェ公が、ドラキュラ伯爵のモデル! 宴席で罪人を串刺しの刑に処し、その様子を見ながら、ワインを飲み、獣肉を食べたとか。 7章 謎とロマンが交錯!古代遺跡と歴史秘話。 紀元前4000年前に核爆発!?モヘンジョ・ダロ遺跡にある“不可解な場所” インダス河の河口に開けた都市で、21世紀の都市に匹敵するほどの高度な文明があったと思われ、 2000年以上栄えていたのですが、住民が忽然と姿を消してしまいます。 遺跡には、非常な高熱を短時間に浴び、急速に冷却されたと思われる遺物が見つかっているのだとか。いろいろな歴上のエピソード、はたまた噂話などが、3ページほどで紹介されています。もう少し、内容を詳しく知りたいなあというところで終わるので、他の歴史本への興味につながるようです。
2018年09月25日
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「億男」川村元気著。弟の借金~3000万円~を肩代わりしたことで、妻子との別居を余儀なくされ、家族がバラバラになってしまった一男。借金返済のため、昼は図書館秘書、夜はパン工場と掛け持ちで働いています。そんな一男がある日、3億円の宝くじを当ててしまいます。借金を返しても、さらに残る多額のお金。どのように使ったらいいものかと、ネットを覗くと、大金を手にした人の悲劇ばかりが飛び込んできます。不安に駆られた一男は、大学時代の友人で今はIT関連の仕事で大富豪になった九十九(つくも)を訪ねます。15年ぶりの親友との再会、そして大金を手にした喜びで、どんちゃん騒ぎをして、すっかり酒に酔ってしまいます。次の朝、酔いつぶれた一男が目を覚ますと、九十九は3億円とともに消えていたのです。資産100億円をもつ男が、3億円を持ち逃げ??一男の九十九追跡が始まります。九十九の消息を知るために、以前九十九とIT企業を立ち上げ、億万長者となった3人を訪ね、そこで、それぞれの生き様を見ながら、「お金」を学んでいくのです。この「億男」は、今年の10月映画化され、公開されます。それもあって読んだので、登場人物をつい映画のキャストをイメージして読みました。一男 佐藤健。ちょっと、気弱で繊細な男性。あいそうですですが、名前が一男なのが、あの顔立ちには…律君のほうがいいかなと。万佐子 黒木華。一男の妻です。芯の強い女性のよう。九十九 高橋一生。一男と九十九は大学で落研仲間で、九十九の落語は上手だったらしいので、もしかしたら高橋一生さんの落語が聴けるのかな。十和子 沢尻エリカ。元九十九の秘書で、今は、10億円を隠し持っている専業主婦。私の読書感では、井川遥さんみたいな女性だったのですが。百瀬 北村一輝。九十九の会社のもとスーパーエンジニア。現在は3つの会社を持ち、競馬場のVIPルームで1億円をかけたりする億万長者。千住 藤原竜也。九十九の会社のもと最高財務責任者。現在はマネーアドバイザーでもあり、怪しげな教祖でもあります。原作に忠実に映画化され、このキャストなら、かなり面白いと思います。
2018年09月04日
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「噂の女」奥田英朗著。第131回直木賞を受賞した奥田英朗さんが2012年に発表した小説。 10話の短編集の構成。 1.中古車販売店の女 2.麻雀荘の女 3.料理教室の女 4.マンションの女 5.パチンコの女 6.柳ヶ瀬の女 7.和服の女 8.檀家の女 9.内偵の女 10.スカイツリーの女いろいろな場面や場所(でも、同じ市内での出来事らしい)で、様々な登場人物が出て来るので、 1話完結の短編集かと思うと、 実は、物語のすべてがある1人の女性につながっていきます。 高校までは、成績も容姿も平凡、ほとんど印象にも残らないような女の子だったのに なぜか短大時代に急に別人になったように垢ぬけ“男性好きのする女”に変身した糸井美幸。 彼女は、中古車販売の事務員から始まって玉の輿婚をなしとげ、そして高級クラブのママに。しかもその過程で、3人の男性の不審死。なぜか、みんな同じ死因。 小さな地方都市での出来事なので、彼女はたちまち噂の女に。そしてその噂を聞きつけ、ついには警察が内偵に乗り出すのですが…。 彼女が短大で変身した理由を知りたかったのですが、最後まで語られず、そして最後は警察に罪を暴かれて捕まる~結末かと思いきや、これも裏切られ…。 読者も、登場人物と同じく、最後まで糸井美幸に翻弄された~という感じです。 今年の4月にBSジャパンで足立梨花さん主演でドラマ化されたそうです。ー現在はテレビ東京で放送中ー。
2018年08月20日
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「ウスバかげろう日記 ~狐狸庵ぶらぶら節~」。遠藤周作著。 昭和五十二年九月二日から十二月二十三日までの日記。 五十半ばにして社交ダンス、英会話に励み、 劇団「樹座」の座長を務め、ぶらり旅に楽しみ、悪戯に精を出し~。 何気ない日常の中で起こる本当にささやかな出来事。 ~とはいっても作家稼業なのですから、多くの人脈から起こる出来事はささやかではないかもしれませんが~。それが、本当に面白く楽しく綴られています。 社交ダンスは、デモストレーションまで挑戦なさっています。 自分のダンスを泥鰌掬いのようだとおっしゃっていますが、大正生まれでありながら、183センチの長身、 痩身でおしゃれだったそうですから、踊る姿も、イケてたかも。 昭和52(1977)年といえば41年前、 私は、ちょうど二十歳の頃、大学でダンスを始めたばかりです。その頃の世の中の様子なども垣間見られて楽しく読めました。
2018年05月19日
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「まほろ駅前多田便利軒」三浦しおん著。まほろ市の駅前にある便利屋、多田便利軒。その経営者である多田啓介、そして、偶然に出会い、彼のところに転がり込んだ中学校の同級生だった行天春彦。 二人のもとには、ちょっと一般社会とは外れた人々から依頼が舞い込み、その依頼に係わっているうちに、 奇妙だったり、ちょっと切なかったりする様々な人間関係に遭遇してゆきます。まほろ市は、東京都南西部最大の住宅街で、 住宅街であり、歓楽街であり、電気街で、書店街で、学生街であるというなんでもあるという魅力的な街。…町田市をモデルにしているようです。この本は、第135回直木賞を受賞して、 漫画、ドラマ、そして映画化もされているそうです。 映画では、多田啓介を瑛太さん、行天春彦を松田龍平さんが演じているそうです。 面白そうですね。
2018年03月12日
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「ダンスシューズが死を招く」メアリ・H・クラーク著。右足にダンスシューズ、左足にブーツという奇妙な女性の死体が発見されます。15年前にも、同様の事件があり、その後、数人の女性が亡くなっていますが、犯人は捕まっていません。テレビプロデューサーのノーナは、デートの相手を募集する個人広告の実態を探る番組を企画していて、~個人広告がよくわからなかったのですが、新聞などに載せて募集するらいのですが、時代背景が、20年くらい前と思われるので、今なら、出会い系サイトのようなものでしょうか。~友人2人に頼んで実験していたのです。2人は、様々な募集広告に応じて、デートを重ね、結果を報告しあっていました。そんな時、そのうちの一人の宝飾デザイナーであるエリンが行方不明になり…、そして片足にダンスシューズをはいた死体となって見つかりました。犯人は、チャーリーという男で、最初の殺人シーンから出てくるのです。ダンスの名手で、女性を殺す前に、その女性と踊るらしい。ワルツとフォックストロットを。しかし、多く出てくる登場人物のどの男性なのか、最後までわかりません。みんな怪しい。最後までの息詰まる展開で、面白いです。
2018年02月24日
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「降霊会の夜」浅田次郎。 軽井沢の別荘地、 以前ある企業が保養所として使っていた屋敷も庭も広大な高原の家に、1人暮らす初老の男性。 彼は、しばしば同じ夢を見ていました。 見知らぬ女性に導かれてひたすら歩く夢。 坂道に来て、後ろを振り向くと、 そこにはかつて暮らし、捨ててきた街がぎっしりと重箱の様に並んでいるのです。 この歳まで生きてきて悔悟の無いはずはない~たちまちいろいろな思いが押し寄せてきて… そこに女性の一言、「何を今さら‥」 そこで夢はいつも終わるのです。 ある嵐の夜、嵐をさけて、屋敷に迷い込んだ女性。 閃光と雷鳴におびえるその女性を、家の中に招き入れたのですが、 ナント、その女性は、夢の中に出てくる女性とそっくりでした。 嵐が収まると、 せめてものお礼にと、女性は、「会いたい人はいませんか?亡くなっていてもかまいません」と申し出、 男性を降霊会に誘います。 男性が会いたかったのは、 小学校3年生の時に転校してきたキヨという貧しくひ弱な男の子。 家が貧しいため、父親から当たり屋を強制され、 あげくは、トラックにはねられて亡くなってしまったのです。 2日目の降霊会で、男性が呼び出したのは、大学時代に付き合った女性・百合子。 高度成長時代の裕福な家庭に育った仲間たちと遊びほうけていた大学時代、 偶然知り合った百合子は地方から出てきて、働きながら夜間高校に通う薄幸な女の子。 男性は、この2人を見捨ててしまったのです。 その悔恨の思いが夢になっていたのでしょう。 キヨの話は、本当にかわいそうでした。 終戦後の復興の日本の中で必然的に起きた貧富の差‥、 キヨが貧しく、悲しい人生を送ってしまったのは、誰のせいでもない…。 百合子という女性の話は、 思いもつかない展開に… そしてやはり悲しい愛の交錯が。 小節の冒頭に載せてある新古今の歌が意味深いです。 来しかたを さながら夢になしつれば 覚むるうつつの なきぞ悲しき 「新古今集巻十八」権中納言資実 ※過ぎ去った時をそのまま夢にしてしまったので、夢から覚める現実がないことが悲しい。
2017年10月20日
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「剣と紅~戦国の女領主・井伊直虎~」。高殿円著。 現在放映中の、NHK大河ドラマ「女城主・井伊直虎」の人生を描いた本。 ですが、大河ドラマとは、かなり違う切り口で描かれています。 物語は、後の徳川四天王の筆頭と言われた井伊兵部少輔直政が、 主君として仕えた徳川家康に、 養母である井伊直虎の数奇な人生を語り聴かせると形で始まります。 井伊家は、井伊谷(いいのや)近辺で500年も続いた名門でしたが、 戦国の混乱で、井伊直政が元服前に、先祖代々のすべての所領を失ったのです。 ~ここは、先週の大河ドラマでやってました。~ そして、身一つで家康のもとにやってきた直政は、 家康に気にいられ、あっと言う間に家禄を増やし、 19歳で2万石の大名となったそうです。 直政の養母である直虎は、 生まれた時に、井伊家菩提寺の龍泰寺の名僧・黙宗瑞淵が 「この赤子、井伊を守り、天下を動かす者」となろうと予言したのですが、 確かに幼い時より、人には見えない何かが視えたのです。 それは、すぐ先に起こる凶事がみえてしまうのでした。 こんな乱世に、先が見えるなんて良い能力ではないかと思うのですが、 視えたからと言って、その物事を回避できるわけではないので、かえってつらい状況に追い込まれるのです。 ここでは、直虎以外の井伊家の女性も活躍します。 女としての戦い方、剣ではなく、縁(えにし)による戦~嫁ぐことによって縁を結びつけてゆく~を見事に実践してゆきます。 そしてもう一人の不思議な女性、きぬ。 井伊直親(直虎の許嫁であり、井伊家の当主)は、 命を守るため、少年期は、武田領の伊那に隠れ住んでいたのですが、 その地で、直親の子を生んだのが、きぬでした。 大河ドラマでは、若くして亡くなったことになっていますが、 この物語では、直虎に生涯仕え、 直虎の生涯一度の紅~死化粧~をほどこします。 そして小野政次。 大河ドラマと違って、 史実どおり、一応「奸臣」、悪役になっています。 一応というのは、直虎自身は、井伊家を乗っ取った政次をそれほど悪い人とは思っていない感じなのです。 ですが、徳川家康の堀川城攻撃の際に、捕えられ、斬首されます。 これは、史実。 ‥ということは、大河ドラマでも、これから、政次役の高橋一生さんは殺されちゃうんですねえ。 残念‥、 先週の放送分の政次は、ぞ~っとするくらい素敵だったのに…。 井伊家周辺の家々の関わり合いなども、丹念に書かれているので、 井伊家や小野家のルーツ、徳川家や、築山殿など、改めて知ることができました。
2017年08月20日
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「殺人鬼フジコの衝動」。真梨幸子著。 なぜか、家にあったので、読んでみました。 2008年に書き下ろしミステリーで刊行され、 2011年に文庫化されて話題をよび、50万部のベストセラーになった本だそうです。 通称「殺人鬼フジコ」は、十数人を殺害した罪で死刑になった伝説の女性。 彼女は、迷宮入りした「高津区一家惨殺事件」のただ一人の生き残り。 この事件で、両親と妹を殺され、自分も瀕死の重傷を負いながらも一命を取り止め、 まだ11歳だったフジコは、叔母(母の妹)に引き取られます。 悲劇を乗り越え、懸命に生きようとしていたフジコのはずでしたが、 運命と、親から引き継いだ業(カルマ)は、 やはり、彼女に平凡な人生をおくらせてはくれず、 自分が母にされたような虐待を子供にし、 さらに衝動的な殺人を繰り返してゆくのです。 フジコを知る人物による記録小説という形で書かれていますが、 小説が終わったと思いきや、 「はしがき」があり、さらにそのとに「あとがき」が続き、 ここで、この記録小説の書き手と、さらにこの原稿を托された作家の正体が明らかになります。 それだけでも、衝撃的なのに、 さらにその次のページに読み落としてしまいそうな小さな新聞記事が…。 ここでさらに、この物語の恐ろしさを‥。 「夢見るシャンソン人形」がひとつのモチーフになっていますが、 結局フジコも踊らされた人形だったかと。 一昨年、舞台化され、さらにHuluでドラマ化されたそうです。
2017年08月16日
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夜想曲集~音楽と夕暮れをめぐる五つの物語~」。 カズオ・イシグロ著。 「夜想曲集」という題名に惹かれて読んでみました。 「集」の名の通り、5作の短編集になっています。 物語の場所も、 ~ベネチア、ロンドン、モールバン、ハリウッド、アドリア海岸のイタリア都市~、 登場人物も様々ながら、 なんとなく共通しているのは、 音楽にかかわる若い頃の思い出、ノスタルジア…。 そして、ちょっぴり複雑化した夫婦関係。 時代背景は、古~い写真を見ているような気がしたのですが、 ベルリン崩壊から9・11までの想定なのだそうでした。 「老歌手 Crooner」。 才能があり、一世を風靡したのに、時代に見離された歌手。 なぜか、離婚を決めた奥さんのために、ゴンドラに乗って歌うのです。 「降っても晴れても」。 外国で英語を教える風来坊のような暮らしをしている音楽好きの50に近い独身男性。 久しぶりに、ロンドンの友人夫妻宅を訪ねてみると、そこには不穏な空気の友人夫妻が…。 「モールバンヒルズ」。 イギリスの片田舎モールバン。 芽の出ないミュージシャン志望の若者が、都会から戻って、姉の経営するカフェを仕方なく手 伝っています。 そこに、スイス人の音楽家夫妻が旅行客としてやってきますが、この2人も音楽に関する方向性に違いを見出して、なんとなく行き詰まっている様子…。 「夜想曲」。 才能があるのに不細工な?ため売れないサックス奏者。 思い切って整形手術を。 術後、顔が包帯でぐるぐる巻きの時に、隣室のやはりぐるぐる巻きのセレブな女性から招待が…。 「チュリスト」。 天賦の才能を守るために音楽を奏でることを拒否する演奏家…。 ちょっと切なくて、哀しい~、 ですが、真面目なドタバタ… 人生って、美しい音楽のようにはいかないな。 この作品は、2015年に、東出昌大さんの主演で舞台化されています。 舞台で見ると、面白かったのでは~と思います。
2017年07月29日
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「秘すれば花」、渡辺淳一。 世阿弥の書いた能楽論書「風姿花伝」、 この本は能樂だけでなく、日本最古の演劇論書でもあり、 それを作家の渡辺淳一氏が、渡辺流に紹介、解説したものです。 「風姿花伝」は、有名な世阿弥がまとめた芸術論だと思っていたのですが、 実は、世阿弥の父である観阿弥の教えをまとめた書だったんですね。 「風姿花伝」は、以前に読んだはずだったのですが…。 第一章の<年来稽古条々>では、 七歳から五十有余までの年齢に合わせた習得法を観阿弥は教えていますが、 ~歳を経て、萎れてゆく花(厳しい言葉ですが…)を受け入れ、それでもすべきこと~ 能の世界と現代の職業との違い、 組織との関わりを無視できない職業と、個人の才能を第一とする自由業など、 多少の違いはあるが、基本的にはさほど変わりない~ と、この本では解説しています。 「風姿花伝」は、 600年も前に書かれた書物でもあるのに、 現代にも通じるもので、 芸術論というだけでなく、 人生の哲学書でもあり、 競争社会を勝ち抜くための実践書でもあるということです。 また、「風姿花伝」も読んでみなくては…と思います。
2017年06月25日
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「花戦さ」。鬼塚忠。 花の名手・池坊専好と、茶の名人・千利休は、 生きる道は違えど、「美」を追及する者同士として、 互いを認め合い、深い友情で結ばれていました。 その大事な友が、豊臣秀吉の命で、非業の死を遂げます。 茶人なのに、なぜか武士と同じように切腹させられてしまうのです。 悲嘆にくれた池坊専好でしたが、花に救われ立ち直ったのですが‥、 秀吉の横暴ぶりは、ますますエスカレートし、 専好の周囲の罪なき人々が、秀吉のせいで命を落としてゆきます。 怒りで震える専好は、秀吉への敵討ちを決意するのです。 それも刀ではなく、花で。 池坊といえば、いけばなのお家元ですが、 もともとはお寺で供花として僧侶が活けていたものだそうです。 京都の六角堂(紫雲山頂法寺)が発祥の地で、 このお寺は、聖徳太子の霊夢により建立され、 聖徳太子が沐浴したとされる池があり、 その池のほとりにあった僧侶の住坊が「池坊」と呼ばれていたそうです。 このお寺は、小野妹子が出家した寺でもあるそうです。 6月3日(土)から、映画「花戦さ」が公開されます。 この原作がどのように映像化されるか、 「立花」の場面が映像で見ると、かなり見ごたえがあるのではないかと楽しみです。
2017年05月28日
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「夜行観覧車」。湊かなえ作。 横浜市内の高級住宅地・ひばりヶ丘。 かなりの無理をして、ここに小さな家を建てた遠藤家。 素敵な所に住んで、近くの名門女子校に、娘・彩花を通わせて… と思っていたのですが、彩花は、受験に失敗し、 高台にあるひばりが丘から、坂道を下って 区立中学に通う様になります。 そして、いつの間にか彩花は、頻繁に癇癪を起すようになるのです。 お隣の高橋家。 開業医をしているセレブな家。 妻は、2人の子供を連れた後妻ですが、前妻の息子をよく気づかい、良好な家族関係…。 長男・良幸は、関西の医学部の学生、 長女・比奈子は、隣の彩花が受験に失敗した名門女子校に通い、 次男・真司は、隣の彩花と同じ年で、名門中学に通い、バスケットが得意で、アイドル歌手に似ている男の子。 ところが、事件は、この幸福そうな高橋家で起こります。 高橋家の主、高橋弘幸が、自宅で謀殺されてしまうのです。 犯人は、なんと妻の淳子。 仲の良い夫婦だったはずが…。 平凡の中に潜んだ恐怖、 日常で我慢しているほんのささやかな「無理」が、積み重なると…。 これは、2013年にテレビ化されたそうです。 残念ながら、私は見ていませんでしたが。 遠藤啓介(遠藤家の主・宮迫博之)、遠藤真弓(鈴木京香)、遠藤彩花(杉崎花) 高橋弘幸(田中哲司)、高橋淳子(石田ゆり子)、高橋良幸(関ジャニ・安田章大)、高橋比奈子(宮崎香連) 高橋慎司(中川大志~「真田丸」の豊臣秀頼役、よかったですねえ~)。 原作を読んだ感じでこの配役を見ると、さすがなキャスティングのように思います。
2017年05月08日
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「五十歳の男」。 遠藤周作の「十一の色硝子」という短編集の中に収められた作品。 50歳を過ぎ、初老という年齢になった男性、 つらい戦争の記憶、 若き留学時代に触れ合った異国の人々、そして自分自身にも流れた歳月、 肉親の死によぎる思い。 歳月と、老いと、そして人生。 夕暮れの光を受けて鮮やかな輝きを見せる色硝子のように、 深々と心に刻まれていながら、ふと輝く生の断片、 そんなひとときを、十一の物語であらわした作品。 「五十歳の男」は、その中の一話。 "めっきり弱くなった足腰を鍛えるために始めたダンス、 若い人たちと一緒に一時間半、ぶっ続けにステップを踏むのは、 年取った彼にはかなりの労働で、 今日も太腿から足首にかけてすっかりこっていた。" ダンスを練習するシーンはあまり出てきません。 同時に進行するのは、亡くなった母への思い、 危篤状態の兄のこと、 可愛がっていた犬の死。 様々な思いが交錯します。 この本が書かれたのは、遠藤周作さんが50代という年齢をすぎた1970年代。 今から40年近くも前。 そのせいか、今の50歳から考えると、少し老いが早いような気がします。 …私自身は、50歳になった時には、「老い」も「体力の衰え」もまるっきり感じなかったし…。 ですが、やはり、50を過ぎた時には、これからは「人生の帰り道」という思いが強く感じられた気がします。 この本は、その思いが伝わってきます。
2017年04月10日
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ねぼけ人生」-水木しげる著ー。 一昨年、93歳で亡くなられた漫画家・水木しげるの半生記。 とてもとても大変な半生だったのに、ユーモラスに語られています。 妖怪に対する興味は、子どもの頃から。 幼少の頃、まかない婦として家に出入りしていたのんのんばあが、語り聞かせた妖怪の話に強い影響を受けたそうです。 ですが、祖母が亡くなった時に霊を見たり、 山に船が登るのを見たり…と かなり霊的なものには敏感だったのですね。 絵はやはり得意で、画家を目指し勉強していたのですが、 太平洋戦争が起こり、徴兵。 激戦地のラバウルに送られてしまいます。 何度か、死に直面しながらも、生き延びたのですが、 米軍の空爆により、左手に重傷を受け、左手を切断。 …漫画は、片手で書いていらしたのですね。 帰還後、終戦を迎えた日本は、全国中、貧しい時代。 赤貧の中、紙芝居や、貸本マンガを描き続け、 そして、訪れた妖怪ブーム。 今度は、毎日が締め切りというとんでもない超多忙生活に。 波乱万丈の人生を、 楽天的にしたたかに生き抜いてきた、 面白くて、ちょっぴり哀しい半生記です。
2017年03月24日
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朝日新聞出版、マンガ日本史「ヤマトタケル」。 ヤマトタケルは、「古事記」、「日本書紀」に登場する伝説上の人物。 ヤマト政権を治める第12代景行天皇の皇子でしたが、 ひょんなことから兄であるオオウスノミコトを殺してしまい、 ~実は、兄が父王に背こうとしたため、国の乱れを恐れて兄に手をかけてしまったのですが~ そのことから、父である景行天皇に恐れられてしまったのです そしてそれ以来、都から遠ざけられ、 ヤマト政権の勢力の拡大のためもあり、 列島各地を転戦するようになったのです。 蝦夷を平定し、ヤマトへ帰る途中、 尾張国の伊吹山で病にかかり、 それでも、ひたすら、美しい故郷ヤマトを目指すのですが… ヤマトの手前で、父王の差し向けた刺客によって命を落としました。 帰京の思いが強かったヤマトタケルは、 一羽の美しい白鳥となり、ヤマトへ飛び立つのでした。映画「ヤマトタケル」
2017年02月17日
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朝日新聞出版、マンガ日本史「仁徳天皇」。 今からおよそ1,600年前、 河内平野(大平野)の百舌鳥(もず)の地にこれまでにない巨大な古墳が築かれつつありました。 古墳の主は、ヤマト政権の大王オオサザキ(仁徳天皇)。 大王の徳を慕い国中の民が工事のために集まっていました。 オオサザキには、ウジノワキイラツコという兄と、ハヤブサワケという弟がいて、 3人とも母は違いましたが、仲の良い兄弟でした。 父の応神天皇は、お気に入りの皇子・ウジノワキイラツコを跡継ぎにしました。 しかし、応神天皇が没すると、 ウジワキイラツコは、自分よりオオサザキのほうが天皇にふさわしいと言い、 オオサザキは、先帝の命に背くことはできないと言って帝位を譲り合い、 3年もの間、天皇がいない状態になってしまいました。 結局、ウジワキイラツコがオオサザキに位を譲る為に自ら命を絶ちました。 ………、なんと、壮絶な。 このおかげで、国は安定しました。 が、オオサザキの最初の后・イワノヒメの父である葛城のソツヒコが、 義理の息子であるオオサザキを位につかせるために、 ウジノワキイラツコを自殺にみせかけて殺したとの暗い噂も。 そして、さらに、仲のよかった弟ハヤブサワケも、 ソツヒコの進言により、謀反を企てたということで追われ、殺されてしまいます。 国の安定のみを考えたオオサザギは、 人家の竈(かまど)から炊煙が立ち上っていないことに気づいて3年間租税を免除し、 その間は倹約のために宮殿の屋根の茅さえ葺き替えず、 寝る間も惜しみ政務を執り、 税を軽くして徳を敷き、 恵みを施して人民の困窮を救い、 死者を弔い、病気の者を見舞い、身寄りのない者を大切にしたそうです。 そのため、政令はよく行われ、天下は平らかに。 と、「日本書紀」には、書かれているそうです。 仁徳天皇は、87年も在位し、143歳(古事記では83歳だそうですが)で天寿を全うされたそうです。 神話時代、古代の天皇は、長寿が多いようですが、 確実な史実ではないようで、 史実として在位期間、崩御のご年齢が長寿なのは、 やはり、昭和天皇陛下で、 在位64年、87歳だそうです。
2017年02月13日
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