がちゃのダンジョン　映画&本

フリーページ

ジョニー・デップ

< 新しい記事

新着記事一覧(全1253件)

過去の記事 >

2006年08月29日

１９４１年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方。ドイツ軍に占領された中世の城塞に、ある夜、ただならぬ絶叫が響きわたった。地下室に駆けつけた兵士たちが見たものは、首を引きちぎられた仲間の無残な死体だった。さらに第２、第３の殺人が起き、恐慌をきたしたドイツ軍は、ユダヤ人の歴史学者クーザに調査を命じる。現場に残された古代文字を手がかりに殺戮者の正体を追うクーザの前にある夜、おぞましい異形の存在が姿を現わした。

吸血鬼伝説とナチスの侵略という時代背景を巧みに融合させた伝奇ホラーの金字塔。

ナイトワールド・シリーズ第1弾

舞台がルーマニアのトランシルバニアの城砦、と読むだけで、ゴシックな香りが漂います。　ところが時代が第二次世界大戦時、城砦で右往左往するのはドイツ軍。ふたりの将校が角付き合ってるのが、おもしろい。　SS（ナチス軍）側の将校は冷酷無比で、正規軍側の将校は理性的な温情派。

城砦で次々と、兵士達が殺される、じゃあ、城砦を後にとっとと出ればいいのだけど、上層部の命令で動けないし、SSの将校はここを解決しないと、ノドから手が出るほど行きたい、ルーマニアに建設予定のユダヤ人収容所に行けないのだ。この男は、収容所所長という地位を　目の前にぶら下げられて、この城砦に試験として赴任させられた。収容所ではユダヤ人をたっぷり痛めつけて　私服を肥やそうとしている。　城砦で、怪物にキリキリ舞いさせられて、欲と恐怖で身動きできない。殺されていくSS軍たちには、同情の余地なし。

・太古からの善と悪

怪物が＜悪＞、＜善＞は地中海をはさんで、遠くからひとりの赤毛の男が、城砦を目指して旅をしている。　この人物は強靭でミステリアス。

・吸血鬼の専門家　学者

お決まりの登場人物、城砦に詳しい学者とその娘。　ドラマを盛り上げる為かユダヤ人。女性が登場することで　やわらかムードに。彼女はメインではないけれど、重要な役割も担ってました。

これら　将校らと、学者と、怪物、謎の男、娘の、バランスというか、緊張をはらんだ力関係が面白いです。将校らは　殺しの元が知りたい、そのために学者を呼んだが、当時のドイツ人にユダヤ人が協力するわけない。怪物に接触するが情報を隠し、自分と娘とユダヤ人に有利な方へ事を運ぼうとする。怪物は　いつ、一気にことを進めるのか、怪物を抑えられる人物は。　「ナイトワールド」シリーズ（ナイトワールド　アドヴァーサリ・サイクル）幕開けの作品。

吸血鬼ネタといえば、同じ扶桑社ミステリーの＜ヴァンパイア・クロニクルズ＞アン・ライス著が、おもしろい。　けれど、厳密には「ザ･キープ」の怪物は吸血鬼ではないようです。太古からの戦いなど、類似点ありですが。　

＜善と悪＞の戦いのテーマもファンタジーではよくありますね。同じモダン･ホラーの旗手S・キングでは「ザ・スタンド」が最たるものかな。、最近では「ゲド戦記」「ブレイブ･ストーリー」「ナイト･ウォッチ」。「ザ･キープ」も、テンポよくて読みやすく、面白かったです。　

＜始末屋ジャック＞シリーズは新刊が多いので、図書館で入手可能な、ナイトワールドシリーズの方から読み始めました。　しかし、『触手』や『リボーン』『闇の報復』は、なかなか見つかりませんよ。　

映画化

F.ポールウィルスンザ・キープ　映画

製作年度 1983年
上映時間 96分
監督マイケル・マン
出演もしくは声の出演：
スコット・グレン、イアン・マッケラン、アルバータ・ワトソン、ユルゲン・プロフノウ、ロバート・プロスキー
ストーリー：
ルーマニアの山奥にひっそりと佇む古城に駐屯するナチス部隊が出会う恐怖を描くヴィジュアル系ホラー。音楽担当がタンジェリン・ドリームである事も含め、映像派の作品。

マイケル･マン監督により映画化された作品。原作ファンや原作者にはこきおろされまくったそうですがね。どんな感じなのかな？　イアン･マッケラン（ロード･オブ･ザ･リングのガンダルフ）が出ていたのねー。いつか機会があったら見て見たいですね。

■作者のシリーズ紹介

『マンハッタンの戦慄』は、作者の２大シリーズを構成する要に位置します。

「ナイトワールド」シリーズ
（ナイトワールド　アドヴァーサリ・サイクル）
遥かな太古より、人々の恐怖を生きる糧としてきた「永劫なる魔性」ラザロム、それに対する人々の戦いを壮大なスケールで描いた６部作。

（１）「ザ・キープ」（上下）
（２）「マンハッタンの戦慄」（上下）
（３）「触手（ザ・タッチ）」（上下）
（４）「リボーン」
（５）「闇の報復」（上下）
（６）「ナイト・ワールド」（上下）

この（２）で登場の始末屋ジャックが、作者のお気に入りとなりシリーズとなる。

＜始末屋ジャック＞シリーズ

「マンハッタンの戦慄」（上下）
「神と悪魔の遺産」（上下）
「異界への扉」
「悪夢の秘薬」（上下）
「始末屋ジャック見えない敵」（上下）
「始末屋ジャック幽霊屋敷の秘密」（上下）
「始末屋ジャック深淵からの脅威」（上下）

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう