ブックアドバイザー木村綾子の日々の徒然

ブックアドバイザー木村綾子の日々の徒然

2014年03月16日
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やなせたかしさんが亡くなる数ヶ月前に自身の戦争体験について語ったものをまとめたのが『 ぼくは戦争は大きらい 』。



この取材はやなせさんが亡くなるのを見越してとかそのようなことではなく、取材者側もまさか亡くなってしまうとはと驚愕しているようでした。

おそらく、やなせさん自身も数ヵ月後に死が訪れるとは思っていなかったと思います。
それでも、「はじめに」を読むと、このように書かれています。



戦争を語る人がいなくなることで、日本が戦争をしたという記憶が、だんだん忘れ去られようとしています。人間は、過去を忘れてしまうと同じ失敗を繰り返す生き物です。

ぼくは、もうお墓も戒名も決めて、いつ死んでもいい状態だからいいのですが、もし日本が戦争になったら若い人たちがかわいそうです。(p3)


やなせさん、おそらく天国で「間に合った」と思っていらっしゃるかもしれません。
やなせさんの気持ちを汲んで背筋を伸ばして読んだのでした。

本書でのやなせさんの戦争体験はかなりゆるいものです。
「ゆるい」というのは御幣があるかもしれませんが、戦地に赴きながら、戦闘にあまり巻き込まれていません。


ご自身も、そのように語ってらっしゃいます。

もちろん、「ラッキー」だったというひと言に尽きるのですが、これもまた戦地に赴いたとある人の体験であることは間違いなく、だからこそ、実は……というような場面も多いです。

印象的だったのは、福建省でやなせさんが作成した紙芝居にそこの農民の人たち(もちろん、中国人)が群がって楽しんだという話。

この地域では、日本と中国が戦争しているという事実を知らなかったようです。

戦争はというよりは、中国は広いなぁということに感想を持ってしまいました。

ここでは、弟さんのことにも触れられています。
弟さんは海軍に、そして「回天」志願。
フィリピン沖で亡くなられています。

本書は薄くて字も大きいので、やなせさんが子どもに向けて書かれた児童書のように見えます。
しかし、明らかに一般書です。

子ども達に向けたものではありません。


今の子ども達を戦争に巻き込ませてはいけない。
大人がその責任を負わなければならない。

その決意が感じられます。
是非、やなせさんが語ったことを受け取って欲しいと思います。



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最終更新日  2014年03月16日 17時06分17秒
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