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ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。 <感想> ★★★★☆吉田修一さんこんな作品も描いていたんだぁ~と思わせる連作短編です。都会で暮らす若者の日曜日を描いた連作の二篇目までは、スタイリッシュな味つけの『東京湾景』や『パークライフ』を思わせますが、三篇目までくるととたんにどろ臭くなります。 それぞれの喪失感を胸に秘めた父子が無意識にお互いをいたわるさまが印象的です。 更にここまで読み進めると、どの作品にも顔を出している幼い兄弟の存在に気がつくはずです。 この兄弟って・・という疑問はストーリーを加速させて行きます。 最終章で兄弟の「謎」が明かされますが、そのあたりはビミョーに泣けます。 『悪人』を読んだときに新境地と感じましたが、この作品にはその萌芽があるような気がします。 『悪人』を読んで次は・・とお考えの方や、とりあえず吉田作品を読んでみたい・・とお考えの方には最適だと思います。 個人的には『悪人』の次に好きな吉田作品になりました。
2009.01.30
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昨年、ベストセラーを出した作家さんお二人の新刊情報です。まずは、『告白』で話題をさらった湊かなえさんの新作。↓もしかして、桜庭一樹さんを意識している?みたいな装丁ですね。昨日(28日)が発売日でした。 早めに押さえておかないと重版待ちかも・・。 もうお一人は『食堂かたつむり』の小川糸さん。↓版元(ポプラ社)のサイトには2月2日配本と書かれていますが、楽天ブックスには情報がありません。詳しくはポプラ社の新刊ニュースをチェックしてみてください。ちなみに・・・↑こちらは2月中旬発売予定だそうです。講談社ではサイン本企画などをやっています。
2009.01.29
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芥川賞の選考委員のお一人である村上龍さんが、先日発表になった第140回芥川賞の選考過程などについて話している動画を見つけたのでリンクしておきます。後日、「文藝春秋」に各選考委員の選評が掲載されますが、さすが村上龍さんフットワークが軽いです。ほとんどの選考委員が受賞作を推していたようですが、村上龍さんは納得いかないご様子・・・↓RVR第140回芥川賞の舞台裏対談の相手は幻冬舎の女性編集者。 彼女の突っ込みぶりが秀逸です。(笑)
2009.01.24
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小学校の卒業記念に埋めたタイムカプセルを開封するために、26年ぶりに母校で再会した同級生たち。夢と希望に満ちていたあのころ、未来が未来として輝いていたあの時代―しかし、大人になった彼らにとって、夢はしょせん夢に終わり、厳しい現実が立ちはだかる。人生の黄昏に生きる彼らの幸せへの問いかけとは。 <感想> ★★★★★1963年(昭和38年)生まれの重松清さんは、同世代をリアルに描く作家として知られています。 ほぼ同世代の私はあまりにもリアルすぎて、ついつい敬遠してしまうぐらいです。さて、本書は21世紀の幕開けである2001年。 廃校になってしまった小学校の同窓生達がタイムカプセルを掘り起こすところからはじまります。 21世紀に廃校になってしまった小学校と言えば地方の過疎地域をイメージすると思いますが、この作品の舞台は多摩ニュータウンをモデルにしたと思われる東京都下の街です。 この手の作品だと地方と都会の対比を描く作品が多く見受けられますが、私たちの世代はそれをリアルとは感じません。 なぜなら70年代の子供の多くが郊外にある集合住宅形式の団地や社宅で育ったからです。 大阪万博。 ドラえもん。 ニュータウン。 時代のランドマークであるそれらは、21世紀を目前にした70年代子供たちの夢の象徴でもあったはずです。 そして夢見た21世紀、彼らは39歳になっています。 掘り起こしたタイムカプセルの中にあったものは・・・・・。 そこで彼らが味わう喪失感がこの作品のテーマだろうと思います。 ノスタルジック。 幼い恋だとか友情だとか、そういうエピソードを連ねるのではなく重松さんは彼らが直面している現実を描きます。 そこから派生する物語はリアルすぎるほどリアルで、かなり痛みを伴います。 しかし、読後感は悪くありません。 それもまたリアルだと信じたいものです。70年代のジャイアン、のびた、スネオ、静香ちゃんたちへ・・・。皆さんの四十歳はどうですか?あなたたちは今、幸せですか?
2009.01.22
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リンク先のまるさんにキャッチコピーチェッカーなるものを教えていただきました。さっそく、トライ・・・・・やっぱ、宝くじを買い続けなくてはいけませんね 継続は力なり 他力本願な私の性質を的確に言い当てていると思います。ちなみにカタカナで入れると神がオーダーメイドで作らせた男なんか「600万ドルの男」(←古っ)みたいでカッコいいかも。
2009.01.20
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人気作家がクリスマスをテーマに綴る超豪華アンソロジー。街にはツリーやイルミネーションが溢れ、至る所からクリスマス・ソングが流れ始める。今年もクリスマス・シーズンがやって来ました。この冬のひとときを楽しみにしている人もいれば、毎年繰り返されるお祭り騒ぎに虚しさを感じている人もいることでしょう。クリスマスの過ごし方は人それぞれです。そんな6つのストーリー。 <感想> ★★★☆☆クリスマスをテーマにしたアンソロジーです。収められているのは・・・セブンティーン(奥田英朗)/クラスメイト(角田光代)私が私であるための(大崎善生)/雪の夜に帰る(島本理生)ふたりのルール(盛田隆二)/ハッピー・クリスマス、ヨーコ(蓮見圭一) 角田さんと島本さんが読みたく手に取りましたが、蓮見圭一さんの描くほのぼのとしたクリスマスが印象に残りました。クリスマスといえば恋愛モノをイメージしますが、各々のクリスマスのシチュエーションは様々です。 まとまりのないアンソロジーだなぁ~という印象を受けましたが、読書メーターをチェックしていたら、時間軸が一緒だから、同じ世界で起きてるようにも思えて不思議な気分。 というレビューがあって、そういう読み方をすると面白いなぁ~と思いました。
2009.01.19
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伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。触れ合うことも、語り合うことさえできないのに…大切な人にそっと囁きかけたくなる物語です。 <感想> ★★★★★本書は小川洋子さんの最新長編です。長編に関してのみを言うなら『博士の愛した数式』で癒し系路線に転向して、その第二段として『ミーナの行進』があったように思います。 それ以降、三年ぶりの長編である本書は、静謐が支配する独特の世界で語られる従来の小川ワールドと、この二作で培った癒し系路線がほどよくミックスされているように感じました。さて、この作品はチェスの才能をもつ少年が主人公です。 エキセントリックな彼や、彼をとりまく人々について丁寧に語られています。 いつもながら物語の舞台は場所も時代も特定されていませんが、私は70年代の東欧をイメージして読みました。 後半になるとリトル・アリョーヒンというチェスを指す等身大の人形(機械)が登場してきますが、このあたりからは小川ワールド全開です。 どことなく悲しい読後感ですが、この作品には相応しいラストです。 ちなみに、チェスに関しての知識が皆無でも読みこなせます。 すごく極端な言い方をすればチェスを知らないほうが楽しめるかもしれません。 主人公や相手が指す一手、一手を詩的に表現する様は秀逸で、チェスというゲームの本質が見事に表現されているように思えます。さまざまなキャラクターが出てきますが、個人的には主人公の才能を見抜きそれを開花させるマスターが一番好きです。 常に謙虚で相手の立場に立ち粘り強く接していく。 ゲームに勝つ手段ではなく、その哲学を説く。 つまりはそれが教育なのではないだろうか?などと感じました。モノクロの写真に写ったチェスを指す人形。 その名前も由来もわからない「物」にはどのような物語が隠されているのか?そんな読み方をすると二度三度楽しめます。文藝春秋の特設サイト 「猫を抱いて象と泳ぐ」冒頭の数頁を「立ち読み」できます。
2009.01.18
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みなさんのパソコンの起動時間はどれくらいですか?私のパソコンの起動時間は295秒(約5分)です。 出初めにうっかり買っちまったVISTAですが予算の都合で520Mを選択したのが、間違いでした・・・ XPにしときゃよかったです・・・ 一年ぐらい前に、すげぇ~パソコンが速くなるフラッシュメモリというのを購入しましたが・・・ ということでメモリ増設再建術を行います。私が執刀医のきたあかり教授です。クランケは激安パソコンのHP-G5000。 術前現在入っているメモリの上部に空きソケットがあるので、そこに3180円で購入した2GBのメモリ↓を増設します。奥さん、このメーカーの直販サイトだと、もう少し安く買えたりしますぜ。 ご購入の際は適合を確認してください。 術後きたあかり教授の鮮やかな手技で、オペはわずか10分で無事終了しました。って言うかフツーなら5分もかからないと思います。(汗)早速、起動おぉぉぉ~ 起動時間は122秒(約2分)に短縮されておりましたとさ。めでたし、めでたし。 ついしん・・最近、楽天にアクセスすると、ウィルスソフトから「警告」このWEBサイトは、危険なサイトです。という表示がでるんだけど、それって私だけ?
2009.01.17
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本日、第140回芥川賞・直木賞受賞作が発表になりました。 芥川賞受賞作 津村記久子 「ポトスライムの舟」(群像11月号) 受賞作は「文藝春秋3月号」(2月10日発売)に掲載されます。津村さんの略歴・文藝春秋 直木賞受賞作 天童荒太「悼む人」 山本兼一 「利休にたずねよ」 天童さん・山本さんの略歴・文藝春秋直木賞は天童さんと山本さんのW受賞となりました。
2009.01.15
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動画サイトでポルノグラフティーのPVを観ていたらいきものがかりの「花は桜 君は美し」に辿り着きました。そこで、こんなMAD動画をみつけて、このアニメはなんじゃらほいということになりました。普段、宮崎アニメしか見ない私はその存在さえも知りませんでした・・初恋を経験した少年と少女の十数年間を、エピソードとシーンで積み重ねていく三篇の連作短編アニメです。 初恋の甘酸っぱさや、すれ違いなど古典的な要素を盛り込む一方で、この恋愛によって、閉じた世界に入り込んでしまう男性主人公の姿を丁寧に表現しています。 美しい画像の中で表現される季節は、その流れを留めることはありません。 そして心はどうしようもなく褪せて行きます。 この流れから一人取り残されてしまうことを、孤独とするなら、彼にとって孤独は本当に不幸なのか?そして私自身にとってそれはどうなのか?その問い掛けは観るものの胸を締めつけます。 昨今、小学生でもケータイを持っていますが、13~4年前の中学生はほとんど持っていなかったように記憶しています。実年齢にするなら二十代後半。 おそらく、この世代はケータイのない世界での初恋を経験した最後の世代といえるかもしれません。初恋の男の子にどうしても想いを告げられず、彼の着ている服の裾をつかんで俯いた経験のある方なら、それなりにうるうる来ちゃうと思います。ちなみにタイトルは、桜の花びらが落ちる速度だそうです。
2009.01.11
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関東地方は金曜の明け方から午前中に掛けて雪が降るという予報が出ています。都内・平野部でも数センチの積雪とのことです。金曜日はもちろん仕事ですが、車で行くならチェーンが必要かもしれないし、電車で行くなら早起きしなくてはいけません。そんなことを考えていたら、また眠れなくなっちまいました。 三時ごろから降り始めるそうなので、雨か雪か見極めてから眠りに就きたいと思います。
2009.01.09
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仙台駅駅裏へと続くX橋。その路地にいつも立つ街娼がいた。あと数カ月で米軍基地が消える。数え切れない米兵と寝た淑子が見つけた、たったひとつの恋―「X橋にガール」。海で命を落とした仲間の海女の夫と再婚した妙子。ロープが岩に絡まり、海底で身動きができなくなった時に聴こえた磯笛の音色は―「磯笛の島」。昭和三十年代をひたむきに生きた女性たち。珠玉の短編七編。 <感想> ★★★★☆突然ですが、私はお年寄りから聞く昔話が大好きです。 戦時中から戦後の混乱期、そして高度成長がピークを迎えた東京オリンピック。 波乱万丈の昭和を生き抜いて来た人たちの生きざまは、それ自体がひとつのドラマです。 さて、本書には昭和30年代を地方で生きた女性7人の物語が収められています。 特に気になったのは、集団就職した教え子を尋ねる女性教師が主人公の『鈍色の卵』 現在約2時間の距離である盛岡と東京間が9時間だった時代ならではの物語が展開していきます。もう一作、生きるために16歳で街角に立った街娼の淡い恋を描く『X橋にガール』 は思いっきりツボでした。この二作はかなり重い作品ですが、それから半世紀が経過した平成21年の現代に、そんな過去を胸に秘めたお年寄りがひっそりと暮らしているのではないか?という思いを巡らせると、またちがった読み方もできます。 今日、街ですれ違ったお年寄りはどんなドラマを抱えているのだろうか?などと考えると、また昔話が聞きたくなってきます。
2009.01.08
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恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車…。8駅から成る、片道わずか15分間の阪急電鉄今津線で、駅ごとに乗り降りする乗客の物語。人生の決定的な瞬間が鮮やかに描かれた傑作。<感想> ★★★★☆阪急電車といえば、阪急梅田駅に整然と並んだマルーン色のそれが思い浮かびます。 関西の象徴のひとつを名に冠した作品からコテコテの人情話を想像していましたが、案外あっさりしていました。 しかし、この作品の舞台は小田急線や東急田園都市線では成立しません。 乗客同士の距離感や会話はあくまで関西圏のそれですが、コテコテ感は淡い。 即ちそれが阪急今津線という路線の特徴なのかも・・・などと思いました。 登場人物が複雑に絡み合う構成は従来の連作とはちょっと異なっていて、それも新鮮でした。 老若男女、あらゆる読者を楽しませ満足させてくれる一冊です。
2009.01.06
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第140回芥川賞・直木賞の候補作品が発表になりました。芥川賞候補作品鹿島田真希 「女の庭」(文藝秋号) 墨谷 渉 「潰玉 (かいぎょく)」(文學界12月号) 田中慎弥 「神様のいない日本シリーズ」(文學界10月号) 津村記久子 「ポトスライムの舟」(群像11月号) 山崎ナオコーラ 「手」(文學界12月号) 吉原清隆 「不正な処理」(すばる12月号) 根拠のない本紙予想・・◎田中慎弥 △山崎ナオコーラ ×墨谷 渉直木賞候補作品恩田 陸 「きのうの世界」(講談社) 北 重人 「汐のなごり」(徳間書店) 天童荒太 「悼む人」(文藝春秋) 葉室 麟 「いのちなりけり」(文藝春秋) 道尾秀介 「カラスの親指」(講談社) 山本兼一 「利休にたずねよ」(PHP研究所) 実績と貢献度を考慮した本紙予想・・◎恩田陸 △天童荒太 ×道尾秀介 選考会は1月15日(木)午後5時から、受賞作は即日発表です。
2009.01.05
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今年も川崎大師に行ってきました。今年は、本堂の護摩修行にも参加してきました。 きっと、すげぇ~ご利益があるにちがいない。(たぶん)
2009.01.02
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TV大好き人間の私ですが、お正月番組だけは 酔っ払ってないとツラいものがあります。 というわけで、今年の一冊目 ↓ 08年の一冊目は『ブラックジャックによろしく』だったので、 09年はシブくスタートしてみました。今年もよろしくお願いします。
2009.01.01
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