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ツアーでBACKSTREET BOYSが来日しています。BACKSTREET BOYS関連で、以前からすげぇ不思議だなぁと思っているのは"THE CALL"のPVです。すげぇ~お金を掛けているであろうと思われるPVは、曲のイメージにもあっているし、めちゃくちゃカッコいいわけですが、よ~く見ているとスーパーマーケットのシーンで、「まごころギフト」と書かれた大きなPOPが画面に映りこんでいます。1'49"~1'51"の左上をよ~く見てください。日本で撮影したようにも思えるんですが、この後に写るPOPには$2.99って書いてあるし・・・いったいどーゆーコトなんでしょうか?詳細をご存知の方がいらっしゃれば教えてください。
2010.01.31
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川田幸代。29歳。会社員。腐女子。社の秘められた過去に挑む─。本間課長は言った。「社史編纂室でも、同人誌を作ろう!」その真意はいかに?風雲急を告げる社史編纂室。恋の行方と友情の行方は、五里霧中。さらには、コミケで人気の幸代の小説も、混乱に混乱を!?これでいいのか?わたしの人生。 <感想> ★★★☆☆本書は、オタク界の急先鋒とされる腐女子OLを主人公にした作品です。節操がないぐらいに様々なジャンルを手がける三浦しをんさんですが、この作品はコミカルに仕上がっていて笑えます。 腐女子ってコトはBL・・と腰が引けている男性読者もいると思いますがノープロブレムっす。 あらゆる読者の期待を裏切らない信頼のブランド。 それが三浦しをん作品です。さて、この作品は腐女子OLである主人公のキャラクターを前面に押し出して展開していきます。 そこに勤務先のドタバタを絡めていくわけですが、フツーの作家なら破綻をきたしてしまうような題材にも関わらず読者をぐいぐい引っ張っていく手腕は本書でも見事に発揮されています。ただ、29歳の独身OLのキャラクターがすごくよく描けているので、会社絡みの陰謀(ドタバタ)がちょっと余計な気がしました。 冒頭で腐女子という言葉を使いましたが、言い換えるならオタク。 その言葉に抵抗があるなら趣味です。 自分のやりたいことと仕事や結婚(恋愛)の両立。 趣味にこだわっている方ならオタク領域?を超えて感情移入できるのではないかと思います。 活字オタクの私も彼女たちの言葉に何度もふむふむと肯いてしまいました。 最近、腐女子とか歴女とか女のオタクに関してメディアが騒いでるけど、昔からヤオイはいたし、他にもオタクはたくさんいるんだから騒がれるようなコトではないのではないか?・・というメッセージも籠められているような気がしました。『咳をしてもオタク』『損得を度外視して熱中しちゃうのが、オタクの特徴ですから。』 よろしいのではないでせうか。
2010.01.31
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地の下には三つの輪があって、この世を支えているという。その無限の底を金輪際という。世を厭い人を呪う生を送ってきた私の人生に、棘のように突き刺さり、今なお己れを狂わせる記憶の数々…。人間の生の無限の底にうごめく情念を描ききって慄然とさせる七篇を収録した傑作短篇集。 <感想> ★★★★☆本書は車谷長吉さんの短編集です。 昨秋に読み始めて以来、車谷地獄から抜け出せません。これ以上作品を読み続けると自分がトンでもない人間になってしまいそうで怖いです。 誰か助けてください(笑)さて、本書には表題作を含めて7つの作品が収められていますが、最後の『変』が印象に残りました。 エッセイに限りなく近い私小説で、登場する人物もすべて実名で書かれています。 とりわけ印象的なのは芥川賞の落選を知らされたあと、人形(ひとがた)に選考委員ひとりひとりの名前(もちろん実名)を書いて、丑の刻参りをする箇所。 まぁ~創作だろうけど、このオッサンなら本当にやりかねない・・などと思わせるあたりが巧みです。 しかし一方で、ところどころに出てくる「うちの嫁はん」にはニヤリとさせられます。 とにかく作品が売れなくて赤貧状態だった「私」は芥川賞の賞金を家賃の更新に充てるつもりでいたという記述がありますが、それと丑の刻参りを重ね合わせるとするなら、そこからもいくばくかのユーモアを感じ取ることができます。 個人的には尾崎一雄の作風に似てなくもないかなぁ~と思いました。ちなみに「うちの嫁はん」は詩人の高橋順子さんです。
2010.01.30
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例年であれば、年末に新刊ラッシュがあるはずでしたが、昨年末はイマイチだったと感じるのはわたしだけでしょうか?というわけで、新刊チェックをしたら春先は怒涛のラッシュ まずは2010年最大の目玉である↓村上春樹さん 出版社名 新潮社 発売予定日 2010年4月 予定税込価格 1,890円 早めに読みたい方は「予約」しないと無理だと思います。 以下は個人的にお気に入りの作家さんたちの新刊。 湊かなえさん 島本理生さん 【予約】 真綿荘の住人たち発売予定日 2010年2月上旬 予定税込価格 1,470円 ↑現在発売中の「文藝」春号で島本理生特集やってます。書き下ろしも一本載っているので、1,000円ならお買い得です。桐野夏生さん 【予約】 ナニカアル題材は林芙美子らしい・・・ 発売予定日 2010年2月25日 予定税込価格 1,785円 山崎ナオコーラさん 「この世は二人組ではできあがらない」出版社名 新潮社 発売予定日 2010年2月25日 予定税込価格 1,365円 瀬尾まいこさん【予約】 僕の明日を照らして発売予定日 2010年2月 予定税込価格 1,470円 湯本香樹実さん【予約】 岸辺の旅 発売予定日 2010年2月下旬 予定税込価格 1,260円 栗田有起さん「コトリトマラズ」出版社名 集英社 発売予定日 2010年3月5日 予定税込価格 1,575円 ↑映画が公開されるのでこんな本も出ました。
2010.01.24
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ヴェネツィアのある高貴な貴族出身の一族は、謎の不眠症に苦しんでいた。この病気は中年期に発症し、異常発汗や頭部硬直、瞳孔収縮を引き起こし、やがて患者は不眠状態に陥って死んでしまう。この一族の数世紀に及ぶ物語を軸に話は展開、やがてこの病がクールー病、狂牛病と同じプリオン病だとわかる。プリオン病の起源を探るうちに、80万年前の食人習慣へとたどり着く。 <感想> ★★★★☆致死性家族性不眠症(以下FFIと表記します)という病気をご存知でしょうか?特定の家系にのみ高確率で発生する遺伝病で、発症すると不眠状態が続き死に至ります。 発症する家系数は全世界でも40ほどと言われている極めて稀な病気ですが、日本でも数家系が報告されているようです。本書では、かつて世界で唯一のFFI家系とされていたイタリア人一族を取り上げています。記録によれば18世紀にFFIで亡くなったヴェネツィアの医師の末裔である彼らがFFIを発症する確率は50%です。 大半の遺伝病は保因者の死によって淘汰されていきますが、FFIは50代以降の発症という特性をもっています。 当然ながら生殖期間を過ぎてからの発症となるわけで、その遺伝子は確実に次世代に受け継がれていきました。 さらにその一族がいわゆる名家であることも要因になっていると思います。 十八世紀から二十世紀半ばにいたるまで、呪いにも思える一族の死は遺伝性の精神疾患や脳疾患とされていきますが、二十世紀の末に呪いの正体が明らかになります。 伝達性海綿状脳症。FFIは狂牛病(BSE)やクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と同じプリオン病のひとつです。さて、ここまで相当の文字数を費やしましたが、FFIは本書の導入にすぎません。 その大半は病態の特性を含めたプリオン病の歴史が語られます。 研究者同士の葛藤や、かつて食人の儀式が行われていた未開の地で発見される未知の疾病クールーなど、サイエンスミステリー仕立てで、理系オンチの私でも読み進めることができました。イギリスを端とするBSE騒動についても多くの頁を割いています。 当時、日本政府もかなり神経質になっていたという印象がありますが、背景に日本人の多くがCJDに感染しやすい体質(世界の中では少数派)があるのではないか?ということです。 そんなこと知ってました??大切なことはちゃんと知らせて欲しいですよね・・
2010.01.24
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箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。 <感想> ★★★★★ファンタジィー系は別として、あまりにもリアリティに欠ける小説は苦手です。 強引な展開はしばしば破綻を来たすし、感情移入も難しいからです。 寄せ集めのメンバーで箱根駅伝に挑むという本書の設定はまさしくそれです。 しかし、そこは信頼のブランド三浦しをん作品です。 文庫化を機に読んでみる事にしました。さて、結果からいうなら本書はパーフェクトな仕上がりです。 しをんファンだとか、アンチしをんだとか。 小説が好きだとか、嫌いだとか。駅伝って何? 鉄ちゃん系?だとか、駅伝なめんなよという陸上競技経験者だとか。それらすべてを魅了することの出来る作品といっても過言ではありません。故障で陸上を諦めざるを得なかった大学生が、陸上の素人を集めて駅伝チームを結成するという前半は、冬季五輪に参加したジャマイカのボブスレーチームを描いた「クールランニング」的な面白さがあります。 十人ものキャラクターを配していますが、それらすべてを使い切り、なおかつ読者を混乱させない職人ワザもいかんなく発揮されています。 一方で、唯一高校時代に全国レベルだったメインキャラクターを丁寧に描きながら陸上競技の本質に迫ることも忘れてはいません。彼らが箱根駅伝を走る後半。 216.4キロの行程に250頁が割かれていますが、ここはまさにノンストップ。 コースをリアルに描写しながらランナーの内面を描くさまは秀逸としか言いようがありません。 最終頁の謝辞をみると駅伝関係者の名前が数多く記されています。 おそらく丁寧な取材がなされたものと想像されます。 それを踏まえるなら、素人集団が箱根駅伝を・・という設定のリアリティーは著者自身が充分に認識しているはずです。 だからこそ、作家として持ち合わせている実力のすべてを注ぎ込んだようにも思います。何度も言いますが、申し分のない作品です、ただ惜しまれるのは箱根駅伝の前に読まなかったことです。 年末に再読したいと思います(笑)
2010.01.23
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先日、私のブログの存在を知る数少ない知人から「ねぇ~なんで基礎体温なんてつけてるの?それってどーゆーコト?あんたオトコだったよね?」 という不躾なメールが送られてきました。いうまでもなく、私はオトコです。まったく意味不明で、こっちこそ、それってどーゆーコト?状態です。詳しく話を聞くと・・・・Powered by 早起き生活↑これが基礎体温疑惑の根源でした。「早起き生活」って書いてあるじゃん 典型的な夜型人間の私でしたが、昨夏職場の異動で早起きを余儀なくされています。 一時期は勤務体系がフレックスだったので、8時ごろ起きていましたが今は7時前に家を出なくてはなりません。 帰宅時間は22時過ぎなので、→→→洗濯→→→ という生活パターンだと就寝時間は2時過ぎになってしまいます。 平均睡眠時間は4時間弱です。理想的な睡眠時間は7時間だそうです。 短い睡眠時間の人は早く死んでしまう (←巷のウワサ)とのことなので、昨年末から生活パターンを見直しました。 →→ これなら23時 近くの帰宅でも0:30ごろに寝る ことが可能です。長生きのため と は諦めることとしましたが、モンダイはと洗濯です。 というわけで、ちょっと早めに起きることにしました。30分早く起きるだけで、1時間多く睡眠時間を確保することができました。早起き生活が板についてしまったせいで、金土の夜まで早く寝てしまうようになりました。 ただ、記録によれば土日は7時過ぎまで寝ているので、一週間トータルで6h/dは確保できているようです。 これで長生きすることができます。 めでたし、めでたし。
2010.01.17
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合併でできた地方都市、ゆめので暮らす5人。相原友則─弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー。久保史恵─東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生。加藤裕也─暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。堀部妙子─スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳。山本順一─もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。<感想> ★★★★★本書は奥田英朗さんの最新刊です。 さまざまなジャンルを手がける著者ですが、この作品は出世作である『最悪』の形式を用いた群像劇で、時間軸と舞台を共有した主人公たちの独立した物語が平行して描かれていきます。さて、本書の魅力はなんといっても巧みな構成です。 5人というメインキャラクターを配しながらも、破綻することなく読者を引っ張っていく奥田さんの圧倒的な構成力には、ただただ平伏すばかりです。 さらに言うなら、舞台やキャラクターのリアル感があります。 地方の市町村合併で誕生したゆめのという町と、そこで暮らす主人公たちを客観的に捉えるなら、構造改革が生み出した競争社会からの「落ちこぼれ」と定義することが出来ます。 しかし、他人から押し付けられた「無理」を断る勇気や、自分以外の他人にそれを押し付けるほどの狡猾さを持たないがゆえに、追い詰められ、転落していく彼(女)らの人間臭さを否定することができません。むしろ、自分を重ね合わせることはそれほど難しくはないように思います。 あちこちで「ダークで気が滅入る」という感想を目にしました。 ラストは、救いや大団円を求める方にとっては不満が残るかもしれません。 しかし、全体の筆致がそれほど重くないせいか、なんとなく彼(女)らは、今後もたくましく生きていくのではないだろうか?という読後感を得ました。 ちょっと甘いですかね・・でも、そうあって欲しいじゃないですか。
2010.01.17
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優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく─全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。 <感想> ★★★★★カズオ・イシグロを読むのは『日の名残り』以来二作目になりますが、本書もたいへん読みやすい作品でした。 前に英作品は米作品と比較すると読みにくいと書きましたが、それって翻訳のせいかなぁ~と思いました。 米作品ではなく英作品をチョイスする読者の嗜好を踏まえる訳というのがあるような気がします。 そのあたりを私は苦手と感じるのかもしれません。 一方で、本書の訳者である土屋政雄さんはカズオ・イシグロをチョイスする読者の嗜好を踏まえて訳しているように思います。さて、本書は主人公の回想シーンからはじまります。 読んでいるとビミョーな違和感を覚えますが、それは本筋に入ってからも解消することはありません。 読者はその違和感の正体を見極めようと頁を進めていくわけですが、気がつくと寄宿舎で暮らす子供たちの世界にどっぷりつかっています。 それってもしかして・・?という想像がつくころ違和感の正体が明らかになります。 しかし、それはあくまで少しずつです。 メインキャラクターの子供たちも同様に少しずつ真実を知るようになります。 それは私たちが少しずつ大人の世界を知って行った過程と異なることはありません。 しかし、子供たちが知る真実はあまりにも過酷です。これ以上書くとネタばれになってしまいますが、本書は単に少女を主人公にした成長物語としても一級品です。 特に、単行本の表紙で使われているカセットテープのエピソードは秀逸で、じんわりと胸に響いてきます。 現在でも絶滅が危惧されるカセットテープですが、本書は「カセットテープってなに?」という時代になっても残る要素を兼ね備えてるように思います。 新しいブリティッシュスタンダード。 一読の価値はあります。
2010.01.16
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本日、芥川龍之介賞・直木三十五賞の選考会がありました。選考結果は以下の通りです。第142回芥川賞該当作なし第142回直木賞受賞作『廃墟に乞う』 佐々木譲『ほかならぬひとへ』 白石一文
2010.01.14
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「僕は先生のことを愛しています。今度のテストで100点取るので結婚してください」辞めてやるって思うことも時々あるけれど、せんせいの毎日はそれ以上の感動がいっぱい。小説家・瀬尾まいこがデビュー直後から3年半にわたって書き綴ったエッセイ集。 <感想> ★★★☆☆本書は瀬尾まいこさんのエッセイです。ご存知のとおり瀬尾さんは現役の中学教師ですが、このエッセイの内容も瀬尾まい子先生の日記のような体裁になっています。 職場である中学校の先輩教師や同僚教師。 学校での行事。そして生徒のこと。 教鞭をとりながら作家活動をしていたといえば北村薫さんが知られていますが、荒れる中学生(←四半世紀ぐらい前から同じこと言われてますが・・)やモンスターペアレントが話題となる昨今、よくこのエッセイが書けたなぁ~というのが正直な感想です。 さて、瀬尾作品に悪人なし。と言われますが、このエッセイにも前向きなことしか書かれていません。 ただ、学校の先生ってそんなに気楽な稼業ではないはずです。 それを踏まえて読むと、そんな言葉の端々からもまい子センセイの苦労や悩みを感じ取ることができます。さらに、我が事に置き換えてみれば、仕事や暮らしのなかでネガティブな面に足をとられがちです。 しかし、ポジティブなことを書き連ねてみれば「まぁ~人生そんなに悪くないかも・・」という気分になるかもしれません。そんなメッセージが込められているからこそ、まい子先生は周囲の理解を得て、作家瀬尾まいこを続けられるのではないかと思います。
2010.01.10
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上原菜月は38歳。結婚生活にさしたる不満もなく毎日を送っていたのだが…。とある偶然から参加することになった女たちの不思議な集まり。奇天烈なその会合に面くらう一方、穏やかな日常をゆさぶる出来事に次々と見舞われて─。幾多の「難儀」を乗り越えて、菜月は平穏を取り戻せるのか!?コミカルにして奥深い、川上的ガールズトーク小説。 <感想> ★★★★☆「微に入り細を穿(うが)つ」という言葉がありますが、38歳の専業主婦の日常を描く本書はまさにそれです。 主婦の方なら「ある!ある!!」「そう!そう!!」と500回は肯いてしまうことが予想されるので、あらかじめ首を鍛えるか、湿布薬をお手元に用意してからお読みになることをおススメします。さて、川上的ガールズトーク小説とありますが、言い換えるなら井戸端会議小説といったところです。 個人的にはウソ話的要素がまったくないのが、やや不満ですが、主人公のキャラクターや会話のテンポは川上的です。 男性読者や未婚女性には「・・・・」な部分があると思いますが、川上さんのまったりした筆運びと相性がよければそれなりにハマると思います。男目線で読むとするなら「なぜ、女はカンが鋭いのか?」に対する明確なこたえが示されているようにも思います。 嫁姑モンダイについても多くのページを割いています。 あんまり好きじゃないんだけど、なんとか好きになろうと日々精進していきながらも時々バクハツ・・というのはオーソドックスなスタイルですが、あちこちに川上的がちりばめられています。 それらのモンダイも含めて結婚生活には「お化けが出る」という帰結はすげぇ~勢いで納得しました。 特にお嫁さん経験のないお姑さんや、お婿経験のない舅さんをお持ちの方は読むと楽になれると思います。(たぶんね・・・)
2010.01.09
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第142回(平成21年度下半期)直木賞候補作品が発表になりました。正直いって辻村深月さんのノミネートはぶっくり です。 いちばん「旬」なのは道尾秀介さんですが、作風がトンがり過ぎていて直木賞には合わないような気がするんですよね・・ただ、玄人ウケはいいと思います。というわけで・・◎佐々木譲さん ▲道尾秀介さん ×辻村深月さん発表は芥川賞と同じで14日(木)の夜です。池井戸潤「鉄の骨」佐々木譲 「廃墟に乞う」白石一文 「ほかならぬ人へ」 辻村深月 「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」葉室 麟 「花や散るらん」道尾秀介 「球体の蛇」 芥川賞候補
2010.01.07
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第142回(平成21年度下半期) 芥川賞候補作品が発表になりました。常連組は、松尾スズキさん。 舞城王太郎さん。大森兄弟はホントに兄弟で作品を書かれているそうです。今回のノミネート作品は5作中4作が、すでに上梓されています。発表は14日(木)の夜です。大森兄弟 「犬はいつも足元にいて」 羽田圭介 「ミート・ザ・ビート」(文學界12月号) 藤代 泉 「ボーダー&レス」 舞城王太郎「ビッチマグネット」 松尾スズキ 「老人賭博」直木賞ノミネート
2010.01.07
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どこにも出かけることなく3日間の正月休みが終了しちまいました。しかも、一日24時間のうち20時間をコタツで過ごしていたので、明日から仕事に行けるかどうか心配です。休み中は したり、 をしたりしていたわけですが、前から見たいと思っていた『麻雀放浪記』を観ました。 どうしようもない人たちが出てくる映画で、わたしにはピッタリの映画でした。 角川映画のわりにはキャスティングも個性的で、なかでもピカイチだったのは高品格。名脇役としていくつもの映画やTVに出演していましたが、フレームの片隅に写るだけで画面全体が引きしまる独特のオーラを放つ役者でした。 こういう存在感のある役者を今さがすのは難しいでしょうね・・高品格のようなシブいオッサンになりたいなぁ~と思った2010年のお正月でした。
2010.01.03
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なぜ私は母に疎まれるのだろうか。どうすれば愛されるのだろう―。親からの虐待を受けて、傷つく少女。その痛みと孤独を共有できたのは同じ境遇にある少年だけだった…。ひとりで生きるには幼すぎたあの頃。大人の理不尽な暴力に悲しみをつのらせ、未来は果てしなく遠かった。〈家庭〉という最も危険な場所で生きる少女たちの世界を静謐な文体で描き、心を深く衝く作品集。 <感想> ★★★★★安達千夏さんの作品で単行本化されているものは数冊です。 『モルヒネ』は40万部売れたようですが、いわゆるベストセラー作家とは一線を隔しています。 ただ、女性作家のアンソロジーで出会う確率はかなり高くて、売れ筋作家とは一味違う、キレのいい短編を読むことが出来ます。 文章は小川洋子さんに近くて、静謐という喩えがしっくりきます。 小川さんがあれだけメジャーになったんだからベストセラー作家の素地はあると思いますが、重い作品が多いせいか、イマイチ一般ウケしないようです。 まぁ~そこが魅力だったりもするわけですが・・さて、前置きが長くなっちまいました(汗)本書は児童虐待をテーマにした三作が収められています。児童虐待なんてメチャクチャ重いじゃん・・と思われがちですが、そんな想像を払拭してしまうほどの重さで、元気がないときに読むとヒジョーにキケンです。しばしばニュースになる児童虐待ですが、その実態は闇に包まれています。 加害者について語られることはありますが、当然ながら被害者について語られることはありません。 本書は、圧倒的な絶望を抱えて生きなくてはならない子供たちの孤独を描いています。外側から、決して見ることのできない暗くて深い井戸の内側には、小さな崩落や傷がいくつもあるはずです。 しかし、私たちは見ることが出来ないのではなく、それ以前に見ようとしていないのではないか?そんなメッセージも伝わってきました。
2010.01.03
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人間界に紛れ込んだフクロウの化身に出会ったら、同じ鳴き真似を返さないといけない―“都市伝説”に憑かれた男の狂気を描いたオール讀物推理小説新人賞受賞作「フクロウ男」をはじめ、親友を事故で失った少年が時間を巻き戻そうとする「昨日公園」など、人間の心の怖さ、哀しさを描いた著者のデビュー作。 <感想> ★★★★☆本書は朱川湊人さんのデビュー作である『フクロウ男』と4つの短編を収めた作品集です。 朱川さんといえば直木賞を受賞した『花まんま』が代表作とされていますが、本書はその前に上梓され、一度目の直木賞候補になっています。 さて、ホラー作家である朱川さんの作品にはいくつかの系譜があるように思います。 本書でいうなら『フクロウ男』と『死者恋』は心理描写を重視したホラー。 残り三作がファンタジィーホラーをノスタルジィー小説のスタイルで描く『花まんま』系です。子供時代に体験した友人の死にまつわる『昨日公園』の評価が高いようですが、私は『アイスマン』に心惹かれました。 一人称形式なので、語り手が見た部分しか描かれていませんが、描かれなかった部分にどのような物語が秘められているのだろうか?と思わせる筆運びが秀逸です。 『花まんま』がヨカッタという方、恐らくここから派生したと思われる恒川光太郎さんの作品がお好きだという方におススメします。
2010.01.02
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1989年の香港ツアーで一人の青年が消えた。彼が想いを寄せていた女性、同じツアーに参加した会社員、添乗員…青年を取り巻く人々の記憶は、肝心なところが欠落していた。15年後、彼の行方を追う駆け出しライターは、当時ひそかに流行していた「迷子つきツアー」という奇妙な旅に行き着くが─。記憶のいたずらが、一人の人間の運命を変える。現実と虚構の境が揺らぐ、ミステリアスな物語。 <感想> ★★★☆☆さまざまなジャンルを手がける中島京子さん。 それぞれに出来が良くて、ハズレを掴むことはありません。 まさに信頼のブランド中島京子。さて、本書はそんな中にあって、ミステリアスな味付けがされています。 展開は村上春樹さん風で、そこに中島さんのオリジナリティーが盛り込まれています。 正直言って、二つのパーツはあまり相性が良いとは言えないし、前半の展開に関しても散漫気味です。 しかし、後半に向け散漫気味だと感じたエピソードが収斂していく過程がとてもスリリングで、頁をめくる手が止まりません。 1989年という時代や、返還直前の香港の雰囲気も描く筆も秀逸です。 ラストに関して不満が残るという意見もあるようですが、個人的にはアリではないかと思います。
2010.01.02
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時代を超えて読まれ続けている近代文学の魅力とは何か?当代の人気作家6名が、それぞれ好きな近代文学作品をモチーフに短編を書き下ろし、自らが選んだ作品のおもしろさについて語る。モチーフになった文豪の作品も収録。合わせて比べて楽しめる、近代文学がより身近に感じられるトリビュートアンソロジー。名作には別の顔があることを、作家が教えてくれる。 <感想> ★★★☆☆本書は最近ブームの兆しを見せている近代文学トリビュート(オマージュ)作品をアンソロジー形式にした作品集です。ラインナップは以下の通りです。『縁側』(北村薫)/『門』(夏目漱石)『虎』(田口ランディ)/『山月記』(中島敦)『あるソムリエの話』(貫井徳郎)/『セメント樽の中の手紙』(葉山嘉樹)『陰陽師 花の下に立つ女』(夢枕獏)/『桜の森の満開の下』(坂口安吾)『手袋の花』(宮部みゆき)/『手袋を買いに』(新美南吉)『洋館』(吉田修一)/『トロッコ』(芥川龍之介) 『蟹工船』ブームの余波でブレイクした『セメント樽の中の手紙』も含めてメジャー作品を売れっ子の現代作家がトリビュートするというコンセプトです。 元になった作品はもちろん。それぞれの作家のインタビューも含んでいるので、近代文学に触れる機会になるのではないかと思います。 この分野を十八番としている中島京子さんは、比較的マイナーな作品をチョイスする傾向があります。 個人的にはそのあたりが魅力だったりする訳ですが、ちょっと手が出ないなぁ~という方には近代文学トリビュートの入門書としておススメします。
2010.01.01
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