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蓮舫氏の台湾籍 「二重国籍」への認識が甘い国会議員が自らの国籍を正確に把握できていないとは、あまりにお粗末と言うほかない。民進党の蓮舫代表代行が記者会見し、台湾籍を保有していたことを認めた。台湾は父親の出身地だ。蓮舫氏はこれまで、1985年1月に日本国籍を取得した際、台湾籍を放棄した、と説明してきた。党代表選への出馬後、二重保有ではないかとの指摘を受けて、台湾側に確認し、判明したという。結果的に、30年超も不正常な状態を放置してきたことになる。蓮舫氏は「私の記憶の不正確さによって様々な混乱を招いた」と陳謝し、改めて放棄手続きを進めるというが、遅きに失した対応だ。日本政府は「二重国籍」を認めていない。国籍法で、原則22歳までに、自らの国籍を選択しなければならない、と定めている。外国籍保有者が国会議員になることを排除する規定はないが、外交官への採用は禁止されている。外交・安全保障などの国益を担う国会議員が、自身の国籍を曖昧にしておくことは論外である。蓮舫氏は、17歳当時、台湾の大使館に当たる台北駐日経済文化代表処で行ったとされる放棄手続きの完了を確認しなかった。2004年参院選の出馬時にも、その作業を怠った。政治家として認識が甘く、資質が問われよう。台湾は親日的とはいえ、尖閣諸島の領有権を主張するなど、日本の立場と相反する問題もある。台湾籍があれば、台湾との関係であらぬ疑念を招きかねない。(以下略)---蓮舫が、台湾籍が残ったままの二重国籍であったことを認めたそうです。当ブログで何度も指摘したことですが、二重国籍であることに何の問題も、違法性もありません。上記読売新聞の社説は事実認識に誤りだらけで、読むに耐えないものです。引用文中に日本政府は「二重国籍」を認めていない。国籍法で、原則22歳までに、自らの国籍を選択しなければならない、と定めている。とありますが、この文章は極めて誤解を招きやすいものです。確かに、日本政府は二重国籍を認めないというタテマエを取っています。そして、原則22歳までに、自らの国籍を選択しなければならないのも事実です。しかし、国籍法の実際の規定は、国籍選択の手続きを行えば、実際には外国籍が放棄されていなくても、日本の国籍法上の取り扱いとしては二重国籍ではなくなったものとみなしますよ、というものに過ぎません。二重国籍を認めないのではなく、二重国籍ではないことにする、というだけの話です。そして、蓮舫はこの国籍選択の手続きは行っています。法に定められて義務は履行しています。だから、日本の国籍法上は「外国籍は放棄して日本国籍だけになった」のです。本当に台湾籍から離脱したかどうかは、関係ない。国籍法第16条には、一応は日本国籍を選択した二重国籍者に対して、実際に外国籍から離脱することを求める規定はあります。しかし、これは義務規定ではなく努力規定に過ぎず、実際の運用においても、法務省は外国籍からの離脱を求めていません。つまり、これはせいぜい、日本政府としては二重国籍はあまり好ましいとは思っていない、という以上のものではない、ということです。法が理想とするものとは外れるかもしれないけれど、法に触れる、反する、ということはまったくない、ということです。日本の国籍法が二重国籍を認めないのは、以下の3つのいずれかに相当する場合だけです。1自己の志望で外国籍を取得するか、二重国籍者が外国籍を選択した場合(第11条)2二重国籍を持つ者が20歳までに日本国籍選択の宣言をしなかった場合(第15条3)3二重国籍者が、外国の公務員に就任して、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反する場合(第16条2 ただし、「できる」規定)蓮舫は、父親が台湾人だっただけ※で、自分の意思で外国籍を取得したわけではないので、1には該当しません。1984年に国籍法が改正され、母親が日本人である蓮舫は日本国籍を取得して二重国籍になりましたが、その直後に日本国籍を選択する宣言を行っているので、2にも当たりません。蓮舫が外国の公務員に就任した、とは聞いたことがないので、3にも当たりません。※そもそも、日本の植民地であった台湾に生まれた蓮舫の父親は、元々は日本国籍を持っていたはずです。したがって、蓮舫の「二重国籍」は、法的にも道義的にも、なんら問題のないことであり、また(本当は二重国籍であったとしても)日本国籍しかない、というのは、日本の国籍法上の規定に基づけば、正しい表現ということになります。ただし、ここまで説明が二転三転したことは、政治家としての力量面でどうなのか、という疑問は残ります。このような質問は徹頭徹尾無視するか、または最初から上記のような国籍法の規定を調べた上で、台湾籍はあります、その何が問題でしょうか、あるいは、これから放棄の手続きを行います、等の態度を首尾一貫して取り続ければよかったのではないか、とは思います。本人に非のあることでなくても、火の粉が飛んでくる、ということは誰にでもあることで、政治家ならなおさらでしょう。それに対する火消し策としては、いささか拙劣だったようには思います。もっとも、一連の騒動は、一部ネット上で騒ぎになっているだけで、民進党内は案外冷静なようです。蓮舫氏、代表選へ影響は限定的か 「リスク要因」の声も民進党代表選が15日に迫る中、蓮舫代表代行が「私の台湾籍が残っていた」として謝罪する事態になった。発言が二転三転したためで、優位に立つ蓮舫氏が新代表に就任した後の対応を不安視する声もあがるが、代表選そのものへの影響は限定的だ。(以下略)---二重国籍が明らかになる前から一部では投票が始まっていた、という事情は割り引かなくてはならないにしても、大筋において民進党内では、蓮舫が二重国籍であっても党首に推す声が強いようです。先の投稿でも書きましたが、私は二重国籍問題は別にして、蓮舫の主張を支持するものではありません。辺野古移設問題だけに限定すれば、蓮舫より前原のほうがよい、とさえ言えます。(ただし、前原が政権トップに就いたとき、本当にそれを実行するか、という点にはいささか疑念もありますが)とはいえ、蓮舫に二重国籍があるから党首にするのはやめました、というのでは、全国に50万以上とも60万以上とも言われる二重国籍者の人権を、民進党が自ら否定するに等しいことになりますから、この「騒動」にも関わらず代表戦は蓮舫優勢、というのは当然のことであろうと私は思います。
2016.09.14
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蓮舫氏「辺野古移設堅持を」=普天間めぐり討論-民進代表選民進党代表選の3候補は11日、さいたま市内のホテルで開かれた公開討論会に臨んだ。米軍普天間飛行場を同県名護市辺野古沿岸部に移設する現行計画について、蓮舫代表代行が堅持する立場を示したのに対し、前原誠司元外相と玉木雄一郎国対副委員長は見直しを主張した。選挙戦を優位に進める蓮舫氏は討論会で、現行の移設計画は旧民主党政権が米側と確認した内容であることを踏まえ、「結論は基本として守るべきだ。どんなに米国と話をしても選択肢は限られてくる。基軸はぶれるものではない。それが外交の基本戦術だ」と訴えた。 これに対し、前原氏は「辺野古以外で、本当に日米で合意できる場所がないか、違う案をしっかり議論すべきだ」と表明。玉木氏も「民進党になったので、沖縄政策は大胆に見直して米国としっかり対話すべきだ」として、民主党政権時代の結論に拘束されるべきではないとの見解を示した。---「二重国籍」問題なるものでは蓮舫断固擁護ですが、この主張は、まったくいただけない。地元である沖縄県では、辺野古移設反対派が知事選、県議選、衆院選参院選、いずれでも勝っています。地元が断固拒否している辺野古への移設が、そもそもどうして実現できるのか。それを強行するというほうが、実現性のある話ではないでしょう。そして、なぜか蓮舫が辺野古移設堅持で、従来は親米派、保守派とされた前原※が移設見直しを主張するという逆転現象が生じています。※もっとも、私の認識では、前原はいわゆるリバタリアンであり、安全保障面で親米派ではあるものの、政治的価値観は保守派ではない(なかった)、と思いますけど前原は、私自身は未読ですが、岩波書店の「世界」での対談記事で、かなり社民主義的な主張をしていることから、「左旋回している」との評があるようです。確かに、共産党との共闘を最初は「シロアリ」と罵倒していたけれど、その後の衆院補選では、共産党の小池晃と同じ街宣車の壇上に並んで応援演説を行ったりしており、現在は共産党との共闘を、少なくとも全面否定ではないようです。もっとも、「言うだけ番長」とも言われるので、仮に代表になって、当面その可能性はないけれど、もし民進党が政権に付いた場合、果たしてどうかという一抹の不安もありますけれど。「違う案をしっかり議論したけど、やっぱり辺野古しかありませんでした」となる可能性も、十分にあります。このような状況だと、蓮舫より前原のほうがいい?ただ、いずれにしても、情勢は蓮舫有利のようです。そのまま代表になって、辺野古移設堅持を主張し続けるとすると、これでは民進党は相変わらず沖縄での支持は皆無、という状態が続くことになりそうです。確か、沖縄では旧民主党の一般党員は2人しかいないと、何かで読んだ記憶がありますが。(真偽のほどは未確認です)
2016.09.12
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蓮舫氏の“国籍問題”で新たな問題か?日本の政治家として資質に疑問民進党代表選(15日投開票)で深刻な問題が浮上している。出馬した蓮舫代表代行に、日本国籍と台湾籍とのいわゆる「二重国籍」でないかとの指摘があり、その疑問が完全に解消されないのだ。蓮舫氏は「台湾籍は抜いた」と説明しているが、その時期は不明確。~蓮舫氏は「ガラスの天井を破る」として、女性初の首相を目指している。「国籍単一」の原則を持つ国のトップとして、外国籍を持つか否かは根源的な資質の問題だ。---この「問題」については、前にも記事を書きましたが、 蓮舫の主義主張のすべてに賛同というわけではありませんし、7月の参院選でも票は入れませんでした。でも、二重国籍の何が問題なのか、私には理解できません。人は生まれてくる両親も国籍も選ぶことはできません。彼女は、旧国籍法の時代に生まれたので、出生の時点では外国籍しかなかったけれど、母親が日本国籍なので、1984年の国籍法改正によって、自動的に日本国籍を得て、二重国籍になったわけです。そこに本人の選択の余地はありません。この世の誰も、自分で自分の生まれを決められる人などいない、それと同じことです。しかし、その後彼女は自分の意思で日本国籍を選択をしています。日本国籍と台湾(中国)国籍どちらを選ぶことも可能な中で、あえて日本人を選択したのです。日本で生まれ育ち、台湾語を話すこともできないので、実質的には他の選択肢はなかったかも知れませんが、そういった実利も含めて、日本を愛しているから日本を選んだのでしょう。ひょっとしたら、日本国籍を「選択」する機会などない大半の日本人より、その意識は強いかも知れません。ともかく、重要なことは、彼女が二重国籍という属性になったことについて、彼女自身の選択の余地は皆無ということです。本人の選択権のない属性を攻撃するのは、差別です。「国籍単一の原則を持つ国のトップとして、外国籍を持つか否かは根源的な資質の問題だ。」と、産経新聞はほざいているます。日本国の国会議員だから、日本国籍の有無が根源的な資質の問題、というなら分かります。それに、去年日本国籍になったばかりです、と言われたら、それはどうかと思います(蓮舫は当然日本国籍を、30年以上前から持っている)。でも、外国籍を持っていないかどうかが、何故根源的な資質の問題になるのか、私にはまったく理解できません。そういう言い方をするなら、「平和憲法を持つ国のトップとして、今の憲法を守る意志を持つかどうかは根源的な資質の問題だ」と、私は思います。何と言っても憲法は国の根幹となる、もっとも重要な法律ですから。もっとも、それでも、憲法を変えようとする人間が日本のトップにいるのが現実で、それが選挙の結果なんだから、仕方がありません。それに対して、日本の国籍制度は、実質的には二重国籍を容認しているに等しい状態で、国籍法16条はほぼ空文化しています。そのような空文化した規定に合致するか否か(それも、本人の選択によってではなく生まれによってそうなっただけなのに)が、何で根源的な資質の問題などになるのか。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。要するに、排外主義の一形態ということです。
2016.09.06
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蓮舫代表代行インタビュー(3)--出身の台湾と日本との「二重国籍」でないかとの報道がある。帰化していると思うが…「帰化じゃなくて国籍取得です」--過去の国籍を放棄し忘れているのではないかという指摘だ「ごめんなさい、それ分かんない。それを読んでいないから」--国籍法が改正されて、22歳までは日本国籍があるけども、そこで選択を迫られ、残った国籍は速やかに放棄しなければいけないという規定がある。それをしているかどうかという記事が出ている。首相を目指すのであれば、仮に台湾籍があるならば、ネックになると思うが「質問の意味が分からないけど、私は日本人です」--台湾籍はないということでいいのか「すいません、質問の意味が分かりません」---いやー、私も質問の意味がさっぱり分かりません。ただ、質問の意図は分かる。何でもいいからアラ探しをしたい、ということでしょう。だいたい、「帰化」と「国籍選択」を混同しています。二重国籍者が日本国籍を選択する手続きのことを「帰化」とは言いません。それについては、以前に、蓮舫の国籍については記事を書いたことがあります。ここにも、根拠なきネットデマを鵜呑みにする馬鹿がいたで、産経新聞の言う「二重国籍でないかとの報道」なるものの出所は、このサイトらしいです。蓮舫にまさかの二重国籍疑惑蓮舫の国籍問題について、あらためて、整理しておきたい。蓮舫の父親は台湾出身の貿易商、母親は日本人で、日本生まれだ。当時の国籍法では、父親の単独国籍となったうえで希望すれば帰化することになっていたので、中華民国籍の謝蓮舫として育った。ところが1984年に国籍法が改正され、蓮舫のように母親が日本人だと、日本国籍を与えられて、22歳までに選択できることになった。蓮舫は日本国籍を選択する手続きを法務局にしたようだ。ただ、この選択の時には、もう一方の国籍を放棄するように努めるようにと法律でされて、窓口ですみやかに手続きを取るように指導されるが、確認はされないのである。どうして、一時的にせよ二重国籍が認められるかというと、男性の場合には兵役を果たさないと離脱を認めないなど国籍離脱に制限のある国もあるからだ。しかし、女性の蓮舫にとってこれが理由になるとは思えない。いずれにせよ、法的には日本国籍選択後、たとえば数週間とかのうちに中華民国の国籍を放棄することが求められているわけだが、現実には面倒くさいか、あるいは、何か二重国籍のメリットがあるから放置している人もありうる。~また、どこかの国民であることは、義務もともなうわけで、日本国の利益以外に従うべきものがあることになるし、それは、日本国のように緩やかなものとは限らない。まして、いま、尖閣問題で日本は中国や台湾と向かいあっている。そのときに、自衛隊最高司令官がどっちの味方か分からないのでは困るのである。そもそも、生まれながらの日本人でなく、少なくとも18歳まで中華民国人謝蓮舫として育った人をなにも首相候補たる野党第一党の代表にするベキでないと考えるのが世界の常識だ。(要旨)---まあ、馬鹿馬鹿しい話と言うしかありません。問題の、「選択の時には、もう一方の国籍を放棄するように努めるようにと法律でされて」という規定は、国籍法第16条の規定のことをいっているのでしょう。第16条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。「努めなければならない」であって、「離脱しなければならない」ではありません。義務ではなく努力規定であって、罰則もない。外国籍離脱を義務付けない理由は、引用記事にあるように、国籍離脱を認めない国もあるから、というのも大きな理由のひとつでしょうが、おそらくそれが理由のすべてではないと思います。もうひとつの理由は、おそらく、在外日本人(特に南北アメリカの日系人)の日本国籍を保護するためだろうと思います。改正国籍法の施行日である1985年1月1日以前から二重国籍だった人は、国籍選択をしないと、自動的に日本国籍を選択したものとみなされます(附則第3条)。この規定によって、南北アメリカの日系人は、何の手続きもしなくても自動的に日本国籍を選択したとみなされることになりました。だけど、外国籍放棄を義務化したのでは、この規定を無意味にさせてしまいます。現に外国で生まれて生活している二重国籍者に、その国の国籍を放棄しろと言っても、できるわけがないですから。いずれにしても、日本国籍を選択した二重国籍者を、国内法の建前上は「日本国籍しか持っていない人」とみなしつつ、実質的には二重国籍を容認しているのです。実際のところ、日本国籍を選択したからといって、外国籍を積極的に放棄する手続きを行う人は、ほとんどいないでしょう。(ただし、自分で意図しなくても、日本国籍を選択すると自動的に国籍を剥奪する国はあります)そもそも、法務省のサイトの「国籍選択について」の案内を読んでも、日本国籍選択後は外国籍を放棄しなさい、とも、放棄の努力をしてください、とすら書かれてはいません。※つまり、この規定は完全に空文化している、ということです。※訂正と追記 その後、よく調べたところ、別ページのフローチャート図に日本国籍の選択宣言→国籍選択の義務は履行したことになる→外国国籍を喪失していない場合は、外国国籍の離脱の努力という表記があります。一応は、放棄の努力についての言及はありましたので、この点は訂正します。ただし、これを誰がどう読んだって、日本の役所で国籍選択の宣言をするところまでが義務なのであって、外国国籍離脱は義務ではないことは明白です。同じく国籍法第16条の2項には、こんな規定もあります。2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。 ペルー元大統領のフジモリは、日本とペルーの二重国籍者です。彼が初当選した際に、出生時に国籍留保届けが出されている、つまり日本国籍を持っていることを、当時の外務省は調査して確認していたそうです。ただし、その後国籍離脱の手続きがなされていないかどうかの最終確認は、フジモリが日本に「亡命」(?)してきたときに行ったそうですが。後で国籍離脱なんてまずありえないので、それは最後の念押しに過ぎません。つまり、日本政府はフジモリが大統領に当選した時点で、彼に日本国籍があることを99.9%の確度で掴んでいたのです。およそ、外国の大統領ほど「その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反する」公務員の職が他にあるでしょうか。それでも、フジモリの国籍喪失の宣告はしませんでした。フジモリは、「亡命」中に日本で、国民新党から参院選に出馬(落選)しました。外国の大統領を努めた人が日本で参院選に出馬というのはびっくり仰天ですが、それを批判する論調はほとんどなかったように記憶しています。八幡和郎は批判したのでしょうか?寡聞にして聞きませんけど。という次第で、この第16条第2項もまた、空文化しているのです。結局、第16条の規定全体が、無意味なものになっているのです。このような化石化した、しかも元々努力規定でしかないものにしがみついて、それに違反していると特定の個人を攻撃するのは、誹謗中傷の類ですらあろうと私は思います。上記八幡和郎の文中には(長いので引用は略しましたが)かつて年金問題では加盟していない期間が短期あると言うだけで政治家として不適格といわれたものだ。という記述もあります。年金未納は軽い問題だが外国籍未離脱は重大だとこの人は思っているようです。私は、どちらもさほど重大な問題とは思いません。しかし、それでも比較するならば年金未納のほうが重大な問題でしょう。なぜなら、日本国籍を選択したことが外国籍を離脱するのは、「努めなければならない」という努力規定に過ぎませんが、国民年金の納付は義務規定だからです。第88条 被保険者は、保険料を納付しなければならない。2 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。3 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。 実際、年金機構は「国民年金加入は国民の義務」と盛んに宣伝していますし、高額所得者なのに未納の場合は督促状の発行や差押も行っています。単なる努力規定を破るのと、義務規定を破るのでは、重大性は義務規定を破るほうがより重いのは当然でしょう。それに、自分自身の将来の年金受給権にも関わってくる話ですし。罰則のない努力規定といえば、たとえば憲法27条の定める勤労の義務があります。「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。」と憲法は規定しています。では、無職期間がある人、現に無職の人は「憲法違反だから政治家の資格がない」のでしょうか?と言えば、八幡和郎の言い分がどれだけトンデモか分かるでしょう。その他にも、とんでもない記述が続きます。尖閣問題で日本は中国や台湾と向かいあっている。そのときに、自衛隊最高司令官がどっちの味方か分からないのでは困る国籍がある=その国の味方をする、というのはあまりに単細胞的な見方です。太平洋戦争中の米国の日系人強制収容と同じ理屈です。生まれながらの日本人でなく、少なくとも18歳まで中華民国人謝蓮舫として育った人をなにも首相候補たる野党第一党の代表にするベキでないと考えるのが世界の常識だ。蓮舫はそもそも日本生まれだし、生まれた時点での国籍は、本人が選択できるものではありません。「どっちの味方か分からない」も同様だけど、本人に選択権のないものを攻撃するのは、極めて質の低い差別です。しかも、彼女は日本国籍を自ら主体的に選択したのですから、むしろ日本が好きなのでしょう。それに対してこういう言い方は、排外主義丸出しで、下劣に過ぎます。それに、前述のフジモリをはじめ、重国籍者の大統領、首相、政治指導者の例は外国でも散見されます。もちろん、どこの国にも、重国籍者は政治家の資格がない、などと攻撃する輩がいるようです。トランプは、共和党内のライバルであったテッド・クルーズがカナダ生まれでカナダとの二重国籍であることを盛んに攻撃したようですが、八幡和郎もトランプの同類でしょうね。村田蓮舫という本名があるのに、頑として村田姓を使わないし、子供にも中国人らしい名前しか付けなかった華人意識のかたまりもうほとんど八つ当たりに近い揚げ足取りでしょう。芸能人としての蓮舫という芸名(いや、本名だけど)のほうがはるかに知名度が高い以上、そちらを政治活動にも使用するのはよくある話です。横山ノック、森田健作、そのまんま東(当選後は本名に変えたけど、宮崎県知事選中は芸名で戦った)、不破哲三、扇千景、コロムビアトップ、西川きよし、アントニオ猪木・・・・・・掃いて捨てるほど例があります。「子供にも中国人らしい名前しか付けなかった」とか、だから何なの?という話でしょう。個人攻撃にしてもあまりに低劣です。
2016.09.03
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「停止」迫る三反園知事、「妥協」探る九電 川内原発九州電力川内原発を直ちに停止するよう要請した鹿児島県の三反園訓知事。異例の措置に踏み切った背景には、熊本地震による原発への不安の高まりがある。一方の九電は停止に応じた場合の他原発への影響を警戒し、「落としどころ」を探る。「原発事故は二度と起こしてはならない。県民の声に真摯に耳を傾け、誠意ある対応を」。三反園知事が語気を強めると、九電社長は時折目をつぶりながら聞いた。知事はさらに「原発に頼らない社会を目指す。九電にも協力いただければ」と付け加えた。川内原発1号機は今年10月に定期検査が予定されているが、三反園知事は「できるだけ早く再点検、再検査してほしい」と直ちに停止するよう求めた。ただ、その後の運転再開については「総合的に判断したい」と答えるにとどめた。昨年末に立候補を表明した段階では、川内原発の一時停止については触れていなかった。考えが一変したのは今年4月に起きた熊本地震。震度7の揺れで多くの住宅が倒壊した。地震発生直後の1週間で、停止を求めるメールや電話が九電に5千件も寄せられたという。三反園知事は反原発グループと候補者を一本化する際に交わした政策合意書で初めて「停止」を盛り込んだ。---正直なところを言うと、7月に三反園知事が当選したときには、それほど多くの期待をしていませんでした。何しろ日本全国でも有数の保守王国と言われる土地です。県議会でも自公が圧倒的多数を握っている(51議席中自民36議席と公明3議席)中で、結局はなし崩し的に脱原発の姿勢を後退させてしまうのではないか-と思っていました。どうも、私には民主党政権時代のトラウマが大きくて、どうせ政治に何かを期待しても裏切られるだけ、という感覚が強くあります。期待を裏切られてがっかりなら、最初から期待など持たないでおこう、と別にそういうふうに意識していているわけではないのですが、どうも無意識のうちにそういう感覚が働いてしまっています。しかし、必ずしもそう失望することばかりでもないのかも知れません。沖縄では、翁長知事が、普天間基地異説問題をめぐって、政府に対して一歩も退かずに頑張っています。そして、鹿児島の三反園知事も私の予想をよい意味で裏切って、当選後も脱原発の強い姿勢を維持し続けているようです。もともと、川内原発再稼動は、伊藤前知事が強引に再稼動を進めた経緯があります。どこの原発でも同様の傾向がありますが、原発の立地する市町村は、原発再稼動に賛成ですが、その周辺の市町村は、再稼動には反対、あるいは懐疑的な傾向があります。理由は簡単です。立地する自治体には原発による経済的恩恵がある一方、その周辺自治体には、原発が稼動したからといって経済的な恩恵はあまりなく、しかし事故が起きた場合のリスクだけは降りかかってくるからです。川内原発も同様です。ところが、伊藤前知事は、原発再稼動に際して求められている地元自治体の同意の範囲を、鹿児島県と原発の立地場所である川内市だけに限ってしまった。つまり、原発から利益を得る自治体の声だけを聞いて、利益がなくリスクだけが押し付けられる自治体の声は無視して原発再稼動を進めたのです。その点だけに限らないでしょうが、伊藤知事に対する反感の強さが、4選に失敗する原因になったようです。一方で、例によってこんな主張をする新聞もありますが「地元の声聞かぬ」沸き上がる憤り 三反園知事 信頼関係にひび「県民の声を聞くといいながら、特定の意見しか聞いていない。原発が止まったら困る住民の思いにも耳を傾けるべきだ」。鹿児島県の三反園知事が九州電力に対し、川内原発の一時停止を要請した26日、地元・薩摩川内市の声に耳を閉ざす姿勢に、憤りの声が沸き上がった。---伊藤前知事こそ、原発によって経済的な恩恵を受ける「特定の意見しか聞いていな」かったと言うしかないでしょう。だから、川内市の意見だけしか聞かなかった。知事が変わった以上、今度は川内市ではなく、原発によって経済的恩恵を受けない地域(当然、そっちのほうがずっと広いわけです)の意見を優先して聞く、となるのは当然の成り行きでしょう。三反園知事自身が認めているように、熊本地震がありながら、その至近距離にある原発の安全性に何の不安も抱かないでいられるわけがないでしょう。そして、多くの鹿児島県民もそう考えたから(それだけが理由ではないにしても)三反園知事が当選したのでしょう。
2016.08.27
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“生前退位”内閣法制局「憲法改正が必要」天皇の生前退位をめぐり、内閣法制局などが、将来にわたって生前退位を可能にするためには「憲法改正が必要」と指摘していることが新たに分かった。天皇陛下のお言葉を、安倍首相は「重く受け止めている」と述べたが、憲法との整合性をいかに保つか、難題にぶつかっている。政権幹部によると、憲法と法律との整合性をチェックする内閣法制局などは、生前退位を将来にわたって可能にするためには「憲法改正が必要」と指摘しているという。これは憲法の第1条で「天皇の地位は国民の総意に基づく」と定めていて、天皇の意思で退位することはこれに抵触するという理由。一方、生前退位を今の天皇陛下だけに認めるのであれば、特例法の制定で対応可能だと説明しているという。政府は来月にも有識者会議を設置して、特例法を軸に議論を進める考え。菅官房長官「有識者会議の設置も含めて、どのように対応していくかということを、現在考えているところであります」一方、8月に行ったNNN世論調査では、「将来にわたって生前退位を認めた方が良い」との答えが77.0%に達している。政府はこうした世論の動向も見ながら、生前退位の制度化についても長期的な課題とすることを検討している。---目下のところ、「指摘していることが分かった」という、まだ非公式の話のようですが、いずれにしても、天皇の生前退位問題すら憲法を変えるための材料にしようというあきれ果てた話です。「指摘した」ですって?嘘でしょうよ。アベ様の意向を汲んで、生前退位問題を憲法改正に利用できないか、一生懸命考えたのでしょうよ。しかし、これは過去の内閣法制局の公式見解とは正反対の解釈です。1978年、参議院予算委員会で、社会民主連合秦豊参議院議員の質問に対する真田秀夫内閣法制局長官の答弁があります。第84回国会 予算委員会 第12号 昭和53年3月16日(木)○秦豊君 法制局に伺いますが、皇室典範による摂政を置く条件と国事行為の臨時代行に関する法律の場合、健康状態の把握のランクが違いますね。○政府委員(真田秀夫君) おっしゃるとおりでございます。皇室典範による摂政を置く場合の要件は、精神もしくは身体に著しい障害がある、あるいはまたこれに準ずるような事故がある、そういう場合に摂政が置ける。臨時代行の方の要件は、その著しいというのが実は外してありまして、したがいまして、おっしゃるとおりの結論に相なるわけでございます。○秦豊君 お元気な天皇で大変結構だと思いますが、お元気であればあるほどいまのうちに――退位や譲位がないんですね、皇室典範を変えなきゃならぬわけですね、法的には。○政府委員(真田秀夫君) その点もおっしゃるとおりでございます。もちろん、学説の中には、退位は憲法上できないんだという説もないこともないのですけれども、通説としては、憲法上その退位ができるかできないかは、法律である皇室典範の規定に譲っているというふうに言われておりますから、おっしゃるとおり皇室典範の改正が必要だということに相なります。○秦豊君 皇室典範を改めるというのは、何か法的な妨げがございますか。○政府委員(真田秀夫君) 同じく皇室典範と申しましても、明治憲法下の皇室典範は一種特別な法形式でありましたが、現在の皇室典範は通例の法律と同じように国会の議決によってつくられたものであり、国会の議決によって改正することができます。 あと、どういう内容の改正をするかということにつきましては、これは政策問題でございますので、私からお答えする限りではございません。○秦豊君 ならば、政府提案でも議員立法でもよろしいと、こうなるわけですね。○政府委員(真田秀夫君) おっしゃるとおりでございます。天皇の退位は憲法上できないという学説も「ないことはない」が、通説では退位の可否は「法律である皇室典範の規定に譲っている」、その皇室典範は国会の議決によって改正できる、政府提案でも議員立法でもよろしい、と明言しています。この、内閣法制局長官の国会答弁を反故にして、天皇の生前退位は違憲だ、ということにしたいようです。一昨年、長らく政府(内閣法制局)の公式見解として、集団的自衛権の行使を違憲としてきた憲法解釈を変えて、集団的自衛権の行使は合憲だと言い出した、あの解釈改憲と同じことを、またやろうというわけです。つまり、内閣法制局は、法の番人ではなく、安倍の番人になった、ということです。しかし、報道から見る限り、その内容は支離滅裂としか思えません。生前退位を将来にわたって可能にするためには「憲法改正が必要」なのに、生前退位を今の天皇だけに認めるのであれば、特例法で対応可能(つまり、憲法を変える必要がない)のだと。まったく理解不能です。天皇の意思での退位は、憲法第1条「天皇の地位は国民の総意に基づく」に抵触するから憲法改正が必要だ、というのですが、その理屈ならば、今の天皇に限定して生前退位を認めることだって抵触するでしょう。一連の問題は、全部天皇自身の意思に端を発しているんだから。要するに、日本会議系の極右連中は、天皇の生前退位なんて、本当は一切認めたくないのです。だけど、世論は完全に生前退位に賛成だから、これを阻止することは難しい。ならば今の天皇一代限りの例外にとどめておきたい、ということです。そんな彼らの意向(おそらく安部自身の意向でもある)に沿うように憲法を解釈した、ということなのでしょう。だから、客観的な整合性などまるでないわけです。いったいどういうアクロバット的解釈によって、天皇の意思による退位は憲法に抵触するのに、今の天皇だけの一代限りの特例法なら抵触しない、という理屈が成り立つのでしょうか。おそらく、ですが、今の天皇の退位には圧倒的多数の国民が賛成している。だからそれは国民の総意に基づく退位であり、憲法に抵触しない、という理屈ではないかと思います。しかし、確かに世論調査では今の天皇の退位には賛成が圧倒的多数ですが(私も賛成、というか反対ではありません)、それでも100%ではありません。反対意見がないわけではありません。それでも、これを国民の総意とみなすなら、国会において賛成多数を得て皇室典範を改正することも、国民の総意でしょう。だって、民主選挙で選ばれた議員による議決なんですから。ちなみに、ですが、自民党の憲法改正草案だ第1条は天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づくという文面になっています。主権の存する日本国民の総意に基づくという規定は、自民党の改憲案でも今の憲法と変わっていません。この憲法解釈に基づくなら、自民党の改憲案の下でも天皇の意思による退位は憲法に抵触することになります。つまり、「生前退位を将来にわたって可能にするためには憲法改正が必要」と言いつつ、実際には「憲法を変えても、天皇の生前退位は将来にわたって」認めません、というわけです。
2016.08.25
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天皇陛下お気持ち 退位の意向、強くにじむ ビデオで思い天皇陛下は8日、象徴としての務めに関するお気持ちをビデオメッセージで表明された。高齢に伴う身体の衰えを考慮し、「全身全霊をもって務めを果たしていくことが難しくなる」との思いを明らかにしたうえで、公務を縮小していくことや、天皇の活動を代行する「摂政」を置くことでの対応には否定的な気持ちを表した。「天皇は国政に関する権能を有しない」との憲法の規定を踏まえて制度に関わる言及を避けつつ、生前退位の意向が強くにじむ内容となった。ビデオメッセージは同日午後3時に公表された。文書を読み上げる陛下の姿を撮影したもので、収録時間は約11分。宮内庁は同時に文書の全文を公表し、英訳文もホームページに掲載した。ビデオの撮影は7日午後4時半、皇居・御所の応接室で行われた。お気持ちの題は「象徴としてのお務めについての天皇陛下お言葉」。陛下は「天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、これまでに考えて来たことを話したい」と述べ、象徴天皇としてのあり方を模索しながら過ごされてきたことを振り返った。(以下略)---世間的には、このビデオメッセージは、好意的に受け取られているようです。私もおおむね同様です。かなり驚いたのは、メッセージ中の天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ二ヶ月にわたって続き、その後喪儀(そうぎ)に関連する行事が、一年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。という一節です。昭和天皇が亡くなる前後には、「自粛」騒動や、その強要が問題になったりもしました。1980年代末という時代においてすらそうだったのですから、社会全体が保守化している現在はなおさらその傾向が強まるでしょう。そういう状況を、当の天皇自身は快く思っていないことを示唆しているのだと思います。それに加えて、天皇の死と新しい天皇の即位に関する行事が、「行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません」と書いています。天皇自身がそこまで言うくらいだから、それらの行事の連続はよほど大変なのでしょう。28年近く経っても対外的に言及せざるを得ないほど、この2つの点は天皇にとって重いものなのでしょう。全体として、ビデオメッセージは配慮が行き届いて抑制的な内容だと思います。生前退位を第三者から強要されたり、政治的な策略の手段に使われないような担保は必要ですが、今回そういった可能性はないし、80歳を過ぎた人間に現役でバリバリ働き続けよ、というのはどう考えたって無理のある話です。おそらく、このメッセージを受けて、天皇の生前退位を認める方向で法改正などが行われていくのでしょうし、私もそれには賛成です。ただ、それはそれとして、法に定められた国事行為はともかく、いわゆる「公務」の全てが絶対必要なものなのか、「重い殯の行事が連日ほぼ二ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、一年間続きます。」という中に、簡素化できるものがないのか、という検討は必要なんじゃないかな、と思いますけどね。それはともかくとして、一部には「生前退位には憲法改正が必要」みたいなことを言う人がいるようです。産経新聞などは、「生前退位が可能になるよう憲法を改正してもいい」とする回答が84・7%だというアンケート結果を発表しています。どういう誘導尋問だよ、と思いますね。日本国憲法には、天皇の即位と退位については第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。 という規定しかありません。生前退位を認めるかどうかは、憲法の問題ではなく、皇室典範という法律の問題です。それを改正するか、または今回限りの特別立法というやり方もあるようですが、いずれにしても、憲法を変える必要はありません。
2016.08.08
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蓮舫氏と細野氏が会談 共産党との連携見直しで一致民進党代表選への出馬を検討している蓮舫代表代行は細野元環境大臣と会談し、共産党との連携を見直す考えで一致しました。蓮舫氏と細野氏の会談は3日午前、国会内で約30分間、行われました。このなかで、2人は次の総選挙について「どういう態勢で臨むか、おおむね一致した」とした共産党との連携を見直す方向で足並みをそろえたということです。また、憲法改正の方向性についても一致したとしていて、改正案を党内で取りまとめていく方針を確認しました。細野氏は、次の代表に求める政策として憲法改正の具体案や共産党との連携見直しを挙げていて、この条件がそろえば代表選への立候補には必ずしもこだわらない考えを示しています。---「蓮舫代表」、悪くはないと思います。私は、蓮舫議員は嫌いではないです。ただ彼女は参議院議員です。参議院議員が首相になることは、法律上は可能ですが、実質的には不可能です。民進党は、曲がりなりにも政権与党を目指すのに、絶対に首相にはなれない代表でいいのかなと思います。次の衆院選で鞍替えするのでしょうか。しかし、その場合は、貴重な参院の1議席をみすみす空席にしてしまいます。もっとも、当面民進党が与党になれそうな気配はないので、そんな心配はする必要がないのかもしれませんが。で、その蓮舫は、党内保守派の細野に媚びたのかどうかは知りませんが、共産党との連携を見直す方向なのだそうです。ふーーーーーーん、と思います。今回の都知事選は、野党共闘のデメリットばかりが目立ち、鳥越候補は惨敗(と言うしかないでしょう)を喫しましたが、参院選の1人区ではかなりの効果を発揮しています。参院選の1人区では自民党21勝対野党11勝でしたが、野党がバラバラだった前回参院選では野党は2勝しかしていないことから考えれば躍進です。野党共闘が成立していなかったら、このうち沖縄・山形以外は野党は負けていたでしょう。野党共闘と言っても、有権者は物言わぬ駒ではありません。各党が共闘すれば、その党の支持者が自動的に統一候補に投票してくれる、というほど簡単なものではないことは、今回の都知事選でも明らかです。民進党支持層の3割、共産党支持層ですら2割が小池に投票したと報じられています。しかし、参院選では、野党統一候補が勝った選挙区に関しては、ほぼ各党の得票の足し算が野党統一候補の得票になっています。それは共闘が名目的なものではなく、共産党が(もちろん社民党や生活の党もですが、この両党は一部の地盤以外ではあまり力がない)自らの公認候補並みの全力で選挙運動を展開したからでしょう。共産党は、選挙戦当初は躍進が予想されながら、ふたを開けたら意外に伸び悩んでしまいました。その最大の理由は「人殺し予算」発言でしょうが、選挙運動で組織の力を民進党に献上してしまったことも、少なからず影響はあったのではないでしょうか。共産党自体の得票や獲得議席は、おそらく野党共闘などせずに今までのように孤立して選挙を戦ったほうが、多かったでしょう。だから、おそらく共産党としては、民進党が野党共闘を拒否するなら、それはそれで困りはしないでしょう。むしろ、共産党の側から野党共闘を呼びかけて、自党の公認候補を取り下げたのに、それでも「共産党とは共闘しない」と民進党が言うなら、野党共闘をぶち壊したという道義的な責めを負うのは民進党であって共産党ではありません。結局、民進党が共産党と縁を切って、困るのは民進党であって共産党ではないだろうと思うのです。それでも、共産党と縁を切って、何がしたいのか。要するに自民党と大差のない主張、政策の第二自民党になりたい、ということです。自民党と大差のない第二自民党だったら本家自民党のほうがまだマシでしょう。亜流は本家に絶対かなわないんだから。そんな第二自民党に存在意義など、あるわけがありません。もちろんまだ民進党が共産党と縁を切ると決まったわけではないので、今後の動きを注意したいと思います。
2016.08.03
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自民 稲田政調会長 防衛相に起用へ安倍総理大臣は、3日に行う内閣改造で、中谷防衛大臣の後任に、自民党の稲田政務調査会長を起用する方針を固めました。稲田氏は衆議院福井1区選出の当選4回で57歳。弁護士で、平成17年の衆議院選挙で、郵政民営化に反対した議員の対立候補として自民党公認で立候補し、初当選しました。安倍総理大臣と政治信条が近く、初当選のあと、日本の伝統を重視する自民党の新人議員らと共に議員グループを結成しました。そして、第2次安倍内閣で行政改革担当大臣として初入閣したのに続き、おととし9月の党役員人事で政務調査会長に就任し、党内や業界団体に慎重論が根強くあった農協改革で党内の議論をリードしたほか、財政改革や女性の活躍の推進に向けた提言を取りまとめました。また、稲田氏は、いわゆる従軍慰安婦の問題で、政府の立場を対外的に発信する取り組みの強化などを求める提言を安倍総理大臣に提出するなどしてきました。安倍総理大臣としては、みずからと政治信条が近いことに加え、女性の登用を積極的に進める内閣の方針を踏まえ、稲田氏の重要閣僚での起用を検討してきました。防衛大臣に女性が起用されるのは、東京都知事選挙で当選した小池百合子氏に続いて2人目になります。---とうとう、よりによって稲田大先生が防衛大臣とは、開いた口がふさがらない、というところです。当ブログの常連の皆さんには言うまでもないことでしょうが、稲田は、百人斬裁判の原告側代理人として名を売ったことから、安倍の引きで政界に進出した人物であり、その主義主張は、筋金入りの極右です。まあ、安倍が極右なんだから、その安倍が可愛がる子飼い政治家が極右なのも当然のことではあります。今や安倍に逆らうものはなく、人事でも何でもやりたい放題、首相が極右なら防衛大臣も極右、というわけです。けしからん、と言っても、閣僚の人事権は首相にある以上はどうにもなりません。このままいくと、安倍政権の次の首相は・・・・・・。恐ろしすぎて、考えたくもありませんが、結構高い可能性がありそうです。日本という国は、本当にどこに向かっていくのか、絶望的な気分になります。10年後には、本当に戦争を始めていなければいいですが・・・・・・・・。
2016.08.02
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昨日の記事では、都知事選については、ごくわずかに触れただけですが、都知事選について書いて見たいと思います。そもそも大前提として、以前の記事にも書いたことがありますが、私は舛添前都知事の政策が悪かったとはまったく思っていません。公私混同疑惑に関してはひどいと思いますが、道義上はともかく、法的に違法性に問えるようなものではないことも確かなのです。類似の行為は石原慎太郎にもありましたし、猪瀬の行為は「動議的」では済まず、法に触れました。というわけで、そもそもわたしは今回の都知事選に関して、任期途中の知事の首が飛んだ経緯自体に対して疑問を感じざるを得ず、都知事選に強い熱意を抱くことができませんでした。昨日も若干触れたように、わたしは鳥越俊太郎に投票しました(期日前)。しかし、その時点ですでに、鳥越候補は勝てないだろうという予感はありました。鳥越候補は、立候補表明以来、各マスコミ総出で、凄まじいバッシングを浴びせかけられました。このやり方はあまりにひどいと思う反面、残念ながらそのようなバッシングを招きよせるような要素があったこともまた確かでしょう。バッシングの中身は、大きく分けて3つです。ひとつは文春が報じた女性問題。もうひとつは、都政に関してどれだけの見識を持っているかがいまひとつ判然としなかったこと。そして、最後にやはり健康面の問題です。女性問題に関しては、どこまで真実性のある話かはいささか疑問があると思っています。ただ、相手の女性が訴え出ているところから見ると、ただちに「全部捏造」と言い切ることは難しいようにも思います。真偽のほどに関してはともかく、少なくとも有権者への影響は大きかったでしょう。女性問題報道に関しては、そういうわけで、私自身は報道が全部真実だとは思わないのですが、それ以上に深刻なのは、残る二つの問題です。鳥越氏の政治的主張そのものに関しては、私はほぼ全面的に賛同します。出馬したのが国政選挙であれば、政治への見識に対する懸念など一切抱かずに票を投じることができたでしょう。しかし、今回の選挙は都知事選でした。似た構図は前回の都知事選でもありました。脱原発を主張する候補者が、宇都宮候補と細川候補の2人立ってしまいました。このとき、わたしはどちらに投票するか、結構悩んだのですが、最終的には宇都宮候補に投票しました。なぜなら、宇都宮候補は、東京都政に関して、個別具体的な主張を持っていましたが、細川候補は、「脱原発」という国政の課題一本槍だったからです。もちろん、脱原発は都政に無関係ではありません。重要な課題のひとつではあります。が、それが都政の最優先課題かといわれると、さすがに首を傾げざるを得ません。宇都宮候補の個別具体的な主張のすべてに賛成だったわけではないのですが、都政についての主張が見えない細川候補よりはよいと考えたわけです。今回に関しては、野党陣営が鳥越候補に一本化したので、前回のように誰に入れるか迷う必要はなかったものの、告示直前の立候補表明にもかかわらず、「政策や公約はこれから考える」というのは、さすがにどうなのか、という懸念は抱きました。国政に関する見識には賛同するけれど、都政に関する見識がよく分からないのでは、一抹、いやそれ以上の不安を抱かざるを得ません。もうひとつの健康問題ですが、癌に関しては、私はほとんどなんの心配もしていません。かつて癌の再発に苦しんだにしても、最後の手術からもう7年間再発していない、という時点で、これに関しては完治していると見て間違いないでしょう。しかし、問題は別の側面の健康問題です。個別具体的なことはあまり書きませんが、演説回数が少なく、一度の演説も短時間しかしない、そのほかいろいろな状況から考えても、体力に不安があることは否定しようがありませんし、もうひとつ、本人の名誉の問題もあるので具体的には書きませんが、不安材料を感じたことは事実です。わたしですら、そんな懸念が頭を掠めるくらいですから、これでは多くの有権者の心を捉えることは難しいだろうな、と考えざるを得ませんでした。加えて、当選した後で健康問題が深刻化したり、女性問題のバッシングが激しさを増したりした場合、目も当てられない事態となってしまいます。民主党政権の瓦解から学ばなければならないのは、選挙に勝つのは、ゴールではなくスタートだ、ということです。勝てば終わりではなく、勝ってどのような政治を行うかが問題です。もしも都知事に当選して、その後集中砲火を浴びて、立ち往生したり迷走したりする事態となれば、まして、万が一にも途中辞任ともなれば、推した4野党への影響は致命的です。繰り返しますが、鳥越候補の政治に対する見識、主張には、全面的に賛同しますが、今回の都知事候補として適任だったかというと、どうも、なのです。加えて、これはわたしが期日前投票をした後で気が付いたことですが、直前に立候補を取り下げた宇都宮陣営との確執があったようです。確執と言っても、私の見るところ、どうも鳥越陣営(あくまでも陣営であって、候補者本人の意向じゃないでしょうが)の一部関係者が一方的に宇都宮バッシングに走っていたように感じられます。おそらく、野党が宇都宮候補で統一したほうが、得票は多かったのではないかと思います。ただし、宇都宮氏は過去の選挙での推薦の関係で共産党系と見られがちであり、宇都宮候補では民進党が乗れない、という事情はあったのでしょう。参院選では、野党共闘のメリットがかなり出ましたが、残念ながら今回は共闘のデメリットばかりが目立ってしまう結果となってしまったようです。そんなこんなで、どうも私は今回の都知事選に付いて、あまり大々的に取り上げる気になれなかったのが正直なところです。
2016.08.01
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阿比留記者に110万賠償とFB投稿削除命令 民進・小西参院議員の訴えフェイスブックに投稿された内容が事実ではないとして、民進党の小西洋之参院議員が産経新聞の阿比留瑠比記者に1100万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。金子直史裁判長は110万円の賠償と投稿削除を命じ、小西氏側が求めた全国紙への謝罪広告は認めなかった。問題とされたのは平成27年4月1日に阿比留記者が自身のフェイスブックで行った投稿。実名、所属政党名などを記さずに「また聞き」と断った上で「国会の指差しクイズ王」が「官僚時代に意にそまぬ異動で1週間無断欠勤したそうです」などと記述した。金子裁判長は、投稿の対象は「小西議員と理解される」と指摘。「再伝聞がもとの投稿で真実とは言い難い」と名誉毀損に当たると認定した。阿比留氏の話「主張が認められず遺憾です。控訴する方向で検討しています」---いろいろな意味であきれ果てた話で、この政治煽動屋がデマを飛ばして民事裁判に負けたのは、今回が初めてではありません。辻本清美議員に対する事実無根のデマ報道に関して民事裁判で負けています。(阿比留「記者」と産経新聞の両者が被告)それに続く二度目の民事裁判敗訴です。今回は、産経新聞の紙面ではなく、阿比留「記者」が個人としてフェイスブックに公開した文章が訴訟の対象です。曲がりなりにも「新聞」と称するものの使命は事実を報道するところにあるはずです。もちろん、人間だから、結果として間違えることはあるでしょう。しかし、最初から「また聞き」を根拠に、事実確認もしないで記事を書いて、挙句に裁判に訴えられて、「それはデマ」と裁判所に認定される。まともな言論機関なら、致命的なスキャンダルであり、その記者は懲戒免職モノではないかと思うのですが、阿比留「記者」が懲戒免職になった気配はなく、あろうことか、同じようなことを再度繰り返したわけです。要するに産経新聞はまともな新聞ではなく、有料のアジビラであって、阿比留「記者」は事実を報じることではなく政治的敵対者に打撃を与えることを任務とする煽動屋ということです。だから、記事の内容が事実であることより、嘘でも敵に打撃を与えることのほうが大事だ、ということなのではないでしょうか。それにしても、今回の訴訟は産経の紙面に掲載された記事が対象ではないとはいえ、自社の「編集委員」という肩書きの社員が起こした不祥事です。それについて、上記引用記事(産経新聞の報道)からは、なんら反省の姿勢が感じられません。もちろん、阿比留自身もそうです。今後も同じようなことを繰り返す気満々、なのでしょうか。さすがはアジビラです。まあ、それでも握りつぶさずに報道しただけマシかも知れませんが。
2016.07.27
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一昨日の記事に南沙諸島をめぐる仲裁裁判所判決について書きましたが、今更ながらこの裁判のフィリピン側代理人をつとめた米国の弁護士、ポール・ライクラー氏のことを知りました。かつて1896年、中米のニカラグアが米国による侵略を国際司法裁判所に訴えた際、そのニカラグアの代理人を務めた人物とのことです。米国は、中南米諸国、特に中米とカリブを自国の裏庭扱いしてきました。そこに反米的な政権が成立すると、容赦なく介入を行って、政権をつぶしてきたのです。1954年には、グアテマラのアルベンス政権をそのようにして潰したし、60年代にはカストロのキューバにも侵攻作戦を試みましたが、これは失敗に終わりました。1973年には、チリのアジェンデ政権を、これは直接的な軍事介入ではありませんが、反アジェンデ派を支援して、クーデターを後押しします。そうした中、1979年ニカラグアでは、腐敗の極みにあったソモサ独裁政権への反対運動から、サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)がゲリラ戦に勝利し、政権につきました。しかし、1980年に成立した米国のレーガン政権は、サンディニスタ政権をキューバ、ソ連の手先という名目で、猛烈な圧迫をかけます。要するに米国の意のままにならない政府が気に入らないということと、当時、隣国エルサルバドルでもファラブント・マルティ民族解放戦線(FMLN)が激しいゲリラ戦を展開していたことから、ニカラグアの影響がエルサルバドルや、さらに他の国にも及ぶことを恐れたのです。(ドミノ理論)米国のCIAに支援された旧ソモサ政権の残党グループが、もっぱら隣国ホンジュラスを拠点に、度々ニカラグアに攻め込みました。スペイン語で反革命(contra revolucionario)の頭文字をとって、コントラと呼ばれます。この状況下で、ニカラグアのFSLN政権は、国際司法裁判所に米国の侵略行為を訴えたのです。そのニカラグア側代理人が、今回の仲裁裁判のフィリピン川代理人、ポール・ライクラー弁護士だったわけですか。米国の侵略を国際司法裁判所に訴えるに当たり、あえて米国人の弁護士に代理人を依頼したニカラグアのサンディニスタ政権も、それを引き受けたライクラー弁護士も、どちらも勇気がいる決断だったと思います。今の日本なら、ネトウヨに「反日弁護士」などと言って滅茶苦茶に攻撃されるでしょうし、冷戦時代の米国だって、少なからずそういうことはあったはずです。余談ですが、この時米国が持ち出した理屈が、集団的自衛権なのです。つまり、ニカラグアは「革命の輸出」を行っている、ホンジュラスに侵攻しようとしている(前述のように、米国の支援を受ける右翼ゲリラのコントラは、ホンジュラスを拠点に、そこからニカラグアに侵攻していました)、だから、ホンジュラスを守るための自衛権の行使である、というわけです。歴史的に見て、集団的自衛権なるものは、ほとんどの場合、このように大国が小国を攻撃するための口実になっています。裁判の結果は、ニカラグアの完勝でした。米国の言い分は退けられ、米国によるニカラグアへの干渉は国際法違反である、という判決が出ました。ポール・ライクラー弁護士は、自国政府と戦って、依頼人であるニカラグア政府に勝利をもたらしたのです。が、それに対する米国の反応もまた、今回の中国と同じでした。まず、この問題に関して国際司法裁判所の管轄権は及ばないと主張し、それが否認されると、以降裁判への出廷を拒否し、判決の受け入れも拒否したのです。判決は米国のニカラグアに対する賠償も認めましたが、その支払いも拒否しました。ニカラグアは国連安保理に判決履行を求める決議を出しますが、米国の拒否権によって不成立、国連総会での決議は成立したものの、そのすべてを米国は無視しています。その米国は、こんなことを言っています。米 仲裁裁判の判断には拘束力 中国に従うよう促す南シナ海を巡る国際的な仲裁裁判で示された判断に対し、中国側が「無効だ」などと強く反発していることについて、アメリカ政府は判断には拘束力があるとして、中国にこれ以上強硬な対応を取らないよう改めて強く求めました。~中国政府は外務省の幹部が「判断は紙くずであり拘束力はなく無効だ」と述べるなど、強く反発しています。これに対して、ホワイトハウスのアーネスト報道官は「判断は最終的なもので、拘束力があるということが政府の見解だ」「国際社会において、国際法やルールに従うことは決定的に重要だ。もしも、より大きな国が規範を犯したり、いばりちらしたりしたら大きな混乱につながる」と述べて、改めて中国側に裁判所の判断に従うよう促すとともに、これ以上強硬な対応を取らないよう強く求めました。---この主張自体は、発言主の属性を度外視すれば、まったくそのとおりです。中国はこの判決に従うべきだと、わたしも思います。しかし、自らの過去を棚に上げてそれを言う資格が、米国にあるのか。あえて言えば、中国の今回の仲裁裁判所判決に対する対応は、米国の行った先例に倣ったものでしかないのです。結局のところ、中国だろうが米国だろうが、大国はみんなわがまま放題だ、ということに尽きるのです。ただ、中国と米国の違いは、国際的な影響力です。米国の傍若無人な振る舞いは、批判は多かったものの、国際世論から批判の集中砲火を浴びるというほどではありませんでした。日本政府(当時は中曽根政権)などは、米国のこの態度を一切批判していません。一方、今回の中国の態度は、各国政府からもマスコミからも国際世論からも袋叩きです。中国は大国になりましたが、それでも世界各国の首脳部やマスコミに対する影響力が、当時の米国と現在の中国では大差がある、ということです。中国は、そのあたりの力の差を読み違えて、安易にかつての米国の真似をしている傾向は否めません。なお、ニカラグアでは、米国が判決受け入れを一切拒否する間に、サンディニスタ政権側もコントラ側も疲弊しきってしまいました。当の米国すら、コントラ支援の財政負担に耐えられなくなり、1989年に停戦となりました。純軍事的には、米国からの支援を絶たれたコントラの全面敗北でしたが、ニカラグア全土があまりに疲弊しきってしまったため、サンディニスタに対する民心も離れ、1990年の大統領選でサンディニスタは敗北、親米右派の新政権は、結局賠償請求を取り下げてしまうという結末になりました。戦後のニカラグアは混乱を極め、旧コントラ側、サンディニスタ側ともに内部分裂を起こし、一時期はいずれの側も首脳部の統制が末端まで及ばない事態も生じましたが、かろうじて再度の内戦、無政府状態、破綻国家という事態は避けられ、これ以降はずっと選挙による政権交代が続いています。サンディニスタ下野後、3代にわたって右派政権が続いた後、2006年にサンディニスタのダニエル・オルテガが大統領選に勝利、16年ぶりにサンディニスタが政権に返り咲きました。このとき、実は副大統領となったのは、元コントラの司令官だった人物です。その3年後の2009年には、エルサルバドルでもFMLNが大統領選に勝っています。かつて、ゲリラ戦ではついに親米右派政権に勝てなかったFMLNは、選挙では親米右派に勝つことができたわけです。
2016.07.15
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<参院選>首相、民進に改憲議論促す 来月3日にも内閣改造安倍首相は11日党本部で記者会見した。10日開票の参院選では、憲法改正に前向きなおおさか維新の会などを加えた改憲勢力で参院の3分の2を超えており、首相は民進党の岡田克也代表を名指しして国会の憲法審査会での議論に応じるよう求めた。首相は会見で岡田氏に対し「安倍政権の間は憲法改正しないと言っているが建設的な対応とは言えない」と指摘し、「どの条文をどう変えるべきか議論すべきだ」と述べた。その上で「憲法審査会で、政党にかかわらず議論が深まり収れんすることが期待される」と改めて述べた。改憲項目を具体化するための党内や与党内調整に関しては「どのように議論していくか、司々の議員に任せていきたい」と述べ、自身の考えは明らかにしなかった。---「どの条文をどう変えるべきか議論すべきだ」というのは、憲法を変えるべきだという主張の政党が行うことであって、変える必要はないという政党がそんな議論に乗る必要はないでしょう。「憲法を変える」という枠組みの中での議論に乗らないことを「建設的な対応ではない」と言われても、今の憲法を大事に思っている人(党派)に、この憲法をぶっ壊して新しい憲法を作ることに「建設的」に対応しろと言われても、冗談じゃないわけです。そもそも、「どう変える」ということについて自分自身の考えを明らかにしないで、どの条文を変えるかをこれから議論というのはどういうことか。憲法を変える、でも、どこを変えるかは後回しということは、不具合があって必要性が合って変えるのではなく、ただ単に憲法を変えること自体が目的化している、ということです。いや、安倍政権の本音は、そうではないでしょう。「こう変えたい」という確固たるものは持っている。それは、自民党の憲法草案に書いてある。凄まじい内容としか言いようのない、国家主義の塊です。しかし、さすがの自民党も、あれをいきなり掲げたら国民投票で多数の賛成は得られないという自覚はあるのでしょう。だから、最初は本音を全部は出さないで、鎧の上に衣をまとった改憲案を出そうと考えているわけです。そのようなやり方は不誠実のきわみと思いますけど、憲法改正は、国会だけでは決まりません。国民投票がいります。重要なことは、最初に出してくる改憲案は終着点ではない、ということです。更にその先の改憲案がある、自民党が考える改憲案の終着点は自民党自身の改憲草案に書いてあるとおりである、ということを肝に銘じたうえで、国民投票に臨むべきでしょう。
2016.07.12
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参院選の結果は、憲法改正に賛成していると言われる無所属も含めれば2/3に達してしまったようです。その点では、私にとって非常に残念な結果に終わりました。私自身は、比例区は社民党(個人名ではなく党名での投票)、東京選挙区は共産党の山添候補に投票しました。どちらも、さいわい死票にはならずに済みました。全体としての結果は残念でしたが、民進党は32議席、事前の予測からすれば、大善戦と言えるでしょう。改選議席に対しては17議席減ですが、前回参院選の17議席から比べれば、倍に近い伸びです。(旧日本維新の党で前回参院選に当選した議員で、民進党に鞍替えした人はいません)その一方で、当初は躍進が予想されていた共産党は、後半で失速して6議席、改選議席に対しては3議席増ですが、3年前の参院選に対しては2議席減に終わりました。これに関しては、ちょっと残念な結果です。例の「人を殺す予算」発言が大きく響いたことは間違いなさそうです。ただ、比例区での得票を見ると、得票率、得票数ともに前回参院選より伸ばしています。一昨年の衆院選に比べると、得票率は微減ですが、得票数ではほぼ変わっていません。つまり、もっと大きな伸びが事前に予想されたところからいうと、物足りないにしても、逆風の下でも、急激に伸張したこの3年間の党勢は維持できている、ということです。そして、その共産党と民進党・生活の党・社民党の協力体制は、かなりの効果を生んだといえます。32の1人区で自民党21勝対野党11勝、もちろん自民党が勝ったのですが、野党がバラバラだった前回は1人区で野党が2勝しかできなかったことを考えると、大変な差です。もし野党共闘がなかったら、野党は1人区では沖縄・岩手・山形以外は勝てなかったのではないでしょうか。当然、次の衆院選でも、野党共闘という動きが出るでしょうし、すでに共産党は次の衆院選でも、と言っているようです。基本的には、私もその動きは歓迎します。ただ、その前にはっきりさせておくべきことがあるように思います。前述のように、共産党の政策委員長の「人を殺す予算」発言で共産党の勢力の伸びが止まった、と言われます。これが40年前なら、その発言で勢力の伸びが止まることなどなかったでしょう。つまり、今や共産党に期待する層ですら、その少なからぬ部分は、自衛隊は必要だと考えている、ということです。何を隠そう私だって自衛隊は必要と思っています(なんて、今更もっともらしく書かなくても、これまでに何度もそのことは当ブログに書いてきましたが)。とすると、自衛隊は憲法違反と規定する綱領はそのままでいいのか、ということを考えざるを得なくなってくるだろうと思います。すでに、実質的にはこの綱領はお蔵入りも同然ですが、だとすれば、お蔵入り同然の綱領を掲げ続けることが得策なのか、と思わざるを得ません。私は、党員ではないし、熱心な支持者でもありませんが、半分くらいの票を投じてきた「うっすらとした支持者」としては、自衛隊の存在は認めたうえで、その規模は必要最小限度とする、将来の理想としては非武装国家を目指す、米国の言いなりはやめる、という、軽武装国家、平和主義国家としての実を取ることを志向すべきではないかと思うのです。今のままでも、今と同程度の得票(2012年までの低迷期から比べれば、得票は大幅に伸びてはいる)は維持できるでしょうけどね。衆院選でも民進党と共闘を考えるなら、それをやらなければ右翼陣営からいいように叩かれる(まあ、どうせやっても叩かれると言えばそれまでですけど)ように思います。
2016.07.11
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今日は、参議院議員選挙の投票日です。アベノミクスの功罪への評価、貧困問題、憲法を変えることへの是非、平和を巡る問題、原発回帰への是非、TPPへの賛否、など、争点は数多くあります。そのどれをもっとも重視するかは、人それぞれでしょう。何党に投票せよ、ということは私は書きませんが(そもそも、私は固定的な支持政党がないし、今日は特定候補への投票呼びかけは公職選挙法違反になる)、私自身は日本国憲法を守る、ということを最大の基準として投票先を選びました。(すでに投票は済んでいます)今回は、参院選ですから、たとえ自公の議席数が0になったとしても(そんなことはありえませんが)、政権が変わることはありません。また、半数改選で、今回非改選議席も自公が多数を制しているので、自公が多少敗北しても、与党が参院で過半数を切ることすらありません。そういう意味では、政権の選択という選挙ではありません。(私にとっては残念なことですが)選挙結果がどうであっても、自公政権はこのまま続きます。ただ、いろいろな意味で強権的な方向に「この道を力強く前へ」もっともっと進むのか、「いや、そりゃちょっと待て」とブレーキをかけるのか、政権は変わらなくても、その差は大きいと私は思います。投票の基準は人それぞれですし、当然私とは間逆の主義主張の人も大勢いるでしょう。しかし、何を基準にするにしろ、そして何党に投票するにしろ、投票には行くべきだと私は思います。与党が勝つにしても野党が勝つにしても、投票率が下がれば、政治は否応なく劣化します。いや、すでにかなり劣化してきているように思いますが、それが更に進行します。その結果は、すべての人に災難として降りかかってくることになります。どうせ選挙に行ったって何も変わらない、と思うかもしれません。でも、実際には、みんなが選挙に行かなければ、政治は何も変わらないどころか悪いほうに(あるいは、自分が望まない方向に)変わるでしょう。すべて他人任せで、日本という国がどうなっていこうがまったく構いません、一切異議申し立てもしません、というのであれば棄権もやむをえないかもしれませんが、政治に対して何らかの意思があるのなら、それは、投票しない限り絶対実現しないし、あるいは今実現しているとしても、投票しなければそれを維持することはできません。改めて、皆様、是非投票には行きましょう!
2016.07.10
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最初にお断りしておきますと、私自身は三宅候補には投票していません(すでに期日前投票済)。もし私に2票あれば三宅候補にも投票するのですが、残念ながら1票しかありませんので。ただ、私が「選挙運動を見てみたい」と思ったのは唯一三宅候補だけなのです。正直なところ、私が実際に票を投じた候補ですら、その選挙運動には、全然興味がありません。しかし、三宅候補の「選挙フェス」は見たいと思いました。なので、選挙戦最終日の今日、行って見ました。場所は品川駅です。いきなり、駅でチラシを配っていたのが、なんと昔の演奏仲間でした。演奏仲間と言っても、一緒に演奏したことはあったかな。1回か2回あったかな。直接会ったのも十数年ぶりですが、FB友達なので、彼が三宅候補の選挙運動に参加していることは知っていました。ただ、ここで会うとは思わなかったけど。彼とは握手したけど、実はもう別の候補に投票したとは、申し訳なくて言えませんでした。ちょっと、よく分からない内容の詩を朗読されていた女性。名前は聞きそびれました。小説家の島田雅彦と三宅候補聴衆はかなりの人数です。名前を聞きそびれましたが、R水素の話をされていました。1万人が集まっている、と言っていましたが、そのときは「いや、1万人はいないのでは?」と思ったけど、改めて聴衆を見ると、それに近い人数は集まっていそうです。2階テラスも人が鈴なりで、写真を撮るのもなかなか大変でした。応援弁士、植草と名乗っていたような気がします。経済学者の植草一秀でしょうか。応援弁士、生活の党から比例代表に出馬している姫井由美子候補。かつて、「姫の虎退治」で片山虎之助に勝った人ですね。当然、山本太郎も応援に駆けつけるのでしょうし、ひょっとしたら小沢一郎も?と思ったけど、時間の制約により、ここまでで帰路につきました。演説に多くの人が集まっても当選するとは限りません。そもそも、私自身からして、演説を聞きには行ったけど、投票はしていないわけで、そういう人は少なからずいるでしょう。前回都知事選の際、細川候補は演説の聴衆の数では舛添候補を圧倒したものの、選挙結果は、舛添の半分にも満たない得票で3位落選でした。ただし、細川は負けたとはいえ95万票取っています。一人しか当選できない都知事選と違い、参院選東京選挙区は6位以内に入ればよいのです。過去の選挙では、参院東京選挙区の当選ラインは60万票台。定数が1人増えているから、当選ラインは下がるかもしれません。都知事選の細川候補は、小泉元首相との二人三脚で多くの聴衆を集めましたが、今回の三宅候補は、少なくとも私がいた時間帯には、一般的な知名度がそれほど近い人はいませんでした。それでもこれだけの人が集まっている(山本太郎か小沢一郎が参加したときはどの程度の聴衆だったのかは、興味あるところ)。ひょっとして当選できるでしょうか。あまり期待するとダメだったときにがっかりするので、期待はしませんが、私が票を投じた候補者ともども当選することを願っています。
2016.07.09
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「支持政党なし」ってどんな党?7月10日に投開票される参院選に「支持政党なし」という政党が参加しているのをご存じだろうか。比例区の投票用紙に「支持政党なし」もしくは「支持なし」と記載すると、この政党の候補者が得票することになっている。共同通信によると政党「支持政党なし」は、2014年の衆院選比例北海道ブロックで、社民党の約5万3千票を上回る約10万票を獲得したことが話題となった。今回の参院選では、佐野秀光代表と本藤昭子・九州地区代表の2人が比例代表全国区に立候補しているほか、北海道、東京、神奈川、大阪、熊本の4選挙区で候補を擁立している。「支持政党なし」の公式サイトでは「国会に出されます全法案につき党員にネット上で賛否を計り、賛成が多数な法案は賛成、反対が多数な法案は反対、にと議員の意志はまったく無視し、党員の方々の使者となりきるつもりでございます」と、独特の政治手法を訴えている。無党派の人が「支持政党はありません」という趣旨で、間違えて投票する可能性も考えられるが、大丈夫だろうか。総務省選挙課にハフポスト日本版が取材したところ、「公職選挙法では、他の政党とまぎらわしい党名や、代表者名を想起される党名については認めていないが、『支持政党なし』については法律上の瑕疵はない」とコメントしている。---いきなり無関係な話で恐縮ですが、毎年10月に福島県川俣町で行われている「コスキン・エン・ハポン」という日本最大のフォルクローレのイベントがあります。毎年100以上のグループが参加するのですが、もう20年近く前になるでしょうか、ここに「休憩(5分間)」という名前のグループが参加したことがあります。最初、私は出演グループのリストを見て、「ふーん、今年は途中に5分間の休憩を入れたんだ」と思ったのですが、よく見たらそういう名称のグループだったわけです。そのときは、うまいネーミングだと思いました。ついでに、実は演奏もかなりうまかったのです。「支持政党なし」という名前の党のことを聞いて、まっさきに思い浮かんだのは、その「休憩(5分間)」のことでした。ネーミングのセンスが合い通じるものがありますから。ただし、合い通じるのは、ネーミングのセンスだけです。国会の選挙はお笑いイベントではありませんし、前述の「休憩(5分間)」が、私の中でよい意味で印象に残っているのは、演奏もうまかったからです。しかしこちらの「支持政党なし」が政治家として一流になれるかというと、疑問符がいっぱいつきます。トリックプレーじみた名前は、音楽グループならば(実力が伴っていれば)好印象を抱きますが、政党としては、あまり好印象を抱けないのです。「政策一切なし」というのは、どうも、私の目には政党として失格であるように思います。政党、あるいは政治家というのは、基本的には自らの主張を掲げて、それに対してより多くの支持を集めるのが役割と思うからです。もちろん、支持の具合によって主張を変える、ということはあるでしょう。重要なことは、自らが主体的に政策を提示して、それに対する賛否を問う、ということです。しかし、政策一切なし、つまり何一つ主体的な主張はしない、ということは、そのような政党の基本的な役割(だと私が勝手に思っているだけではありますが)を放棄する、ということです。それで責任ある政治が行えるのか、私は大いに疑問を感じます。それに、「政策一切なし」という「党」に投票するということは結果的にその党に白紙委任する、ということです。投票した人の思いをどれだけ裏切ったとしても、それは「公約違反」にはならないわけですから。ネット投票で賛否を決めると言うものの、その精度、水増し投票の可能性などを考えると、信頼性には大いに疑義があります。当選後に何をやるか、あるいはやらないか一切分からない候補者に投票する気は、少なくとも私にはありません。ついでに言えば、党首の佐野秀光は、こんなことを公言しています。そもそもが今の国会をみれば誰だって解るのは、与党の自民党と公明党の言う政策以外は、全て絵に描いた餅ですからなるほど、そういうことですか。ならば、「与党の自民党と公明党の言う政策以外は、全て絵に描いた餅」だと考える人なら、この党に投票しても裏切られる可能性は比較的低いかもしれません。しかし、その考えに不同意の人が投票すると、後で悲しい思いをする可能性は、結構高いんじゃないかなと思います。
2016.07.07
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民進・岡田克也代表を「デマ」と批判 自民・高村正彦副総裁、安倍首相での9条改正可能性は「ゼロ」自民党の高村正彦副総裁は参院選の結果、憲法改正発議に必要な議席を改憲勢力が確保した場合、憲法9条を改正する可能性について「10年先などの将来は知らないが、(当面)ゼロだ」と強調した。そのうえで「改憲勢力が3分の2を取れば、安倍晋三首相が憲法9条を改正する」などと訴える民進党の岡田克也代表を「デマの類い」と批判した。高村氏は「首相は『憲法9条の改正は国民の理解が得られていない』と再三言っている」と説明。「おおさか維新の会も9条改正は『時期尚早』。公明党はもともと自民党とスタンスが違う」と述べ、改憲勢力とされる各党が現段階での9条改正を否定していると強調した。(以下略)---憲法は変えても9条は変えません、というのですが、その信用度はゼロと言わざるを得ません。だって、発言をよく見てみると、「10年先などの将来は知らないが」という留保つきです。確かに、憲法改正発議に必要な議席を取った後、いきなりは9条改正は言い出さないかもしれません。それをやれば、国民投票で負ける可能性があるからです。でも、だからといって、自民党に憲法第9条を変える意思がない、などという話は、とうてい信ずることができません。なぜなら、自民党が公表している憲法改正草案には、第9条「改正」が明記されているからです。自民党が、憲法第9条を変えるつもりはない、変えるという話はデマだと、本当にそう主張するなら、まず「あの憲法改正草案は誤りなので撤回します。新しい(9条をそのままにした)草案を出しなおします」と表明することです。でも、そんなことは絶対するはずがない。自民党にとって(安倍政権にとっても)第9条こそが憲法改正の本丸であり、最終目的地がそこであることは明らかです。政治情勢上「今はまだ」9条改正をいうのは得策ではないというだけの話で、「安倍首相は憲法9条を変えない」と言われても、そっちこそデマでしょうというしかありません。そして、9条もさることながら、今自民党がしきりに言及している緊急事態条項も、この憲法の精神を完全に変えてしまう、致命的な内容です。今回の参院選、もちろん憲法だけが唯一の争点ではないけれど、極めて重要な争点のひとつであることは明らかです。そこについて口を閉ざして何も言わずに、選挙後になって憲法を変えてしまおうという魂胆は、不誠実のきわみであると私は思います。
2016.07.06
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「日本死ね、言っている場合じゃない」 自民・稲田氏1億総活躍社会はどんな社会ですか? 日本はGDPの200%もの借金を抱える借金大国。あれせえ、これせえ、と言ったってできない。あれかこれか、優先順位を付けてしかできない。それを、あれしてくれなきゃ活躍できない、これしてくれなきゃ活躍できない、国はあれもこれもどれもこれも、やれと。それもできないなら日本死ね、なんて言っている場合じゃないんだと思う。みんなでこの国をよくする運動が1億総活躍社会ですね。私たちは、国だけに任せるんじゃなく、自分だけが幸せだけじゃなく、みんなが幸せで初めて幸せだと感じられる民族だ。---「GDPの200%もの借金を抱える借金大国」と、第三者のように言っているけれど、その借金の大半は自民党政権が作ったものです。もちろん、自民党のみの責任に帰するわけではないけれど。あれかこれか、全部はできないから優先順位が必要というのは、そのとおりではあろうと思うけれど、その中で働く女性が子育てをしやすくするための施策というのは、かなり優先順位の高い部類であろうと私は思いますけどね。で、そもそも根源的に「みんなでこの国をよくする運動が1億総活躍社会」なのだそうですが、稲田のいう「この国をよくする」の定義と、私とでは、相容れないであろうことは確実です。稲田が思うような「国をよくする」ことのために活躍なんて、私はいやです。幸せの定義だって人それぞれであって、「自分だけが幸せだけじゃなく、みんなが幸せで初めて幸せだと感じられる」という話も、政治家が言うと非常に押し付けがましい。どんなときに幸せを感じるか、なんてのは人それぞれであって、政府が価値観を押し付けるようなようなことをすべきではないでしょう。
2016.07.05
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「国歌歌えない選手、日本代表じゃない」森喜朗氏「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」。東京・代々木の体育館で3日にあったリオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が来賓のあいさつでそう述べた。壇上には選手ら約300人が登壇。森会長は、直前の陸上自衛隊中央音楽隊の松永美智子陸士長による国歌独唱時の様子を振り返って「どうしてみんなそろって国歌を歌わないのでしょうか」と問いかけ、サッカー女子の澤穂希さんや、ラグビーの五郎丸歩選手が君が代を歌い、その様子を見て国民が感動した、と述べた。「口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください」と選手団に呼びかけた。場内ではみんなで声を合わせて歌う「斉唱」ではなく「国歌独唱」とアナウンスされ、ステージ上のモニターにも「国歌独唱」と表示されていた。---そもそも「独唱」っていうんだから歌い手さん以外の人が一緒に歌うことは最初から想定されていなかったのでしょう。それなのに声をあわせて歌え、というのはかなり状況をわきまえない要求です。幸いなことに、私は間違ってもスポーツの分野で「日本代表」になる可能性などないので、「国歌独唱」というときに君が代を斉唱させられることはないでしょう。歌えと言われても、私は歌いたくない。子どもの卒業式と入学式でも、歌いませんでした(式典を乱すつもりはないので、起立はしましたけど)。まあ、銃を突きつけられて歌えと強要されたら、命は惜しいから歌うでしょうがね。というところで、ひとつ思い当たったことがあります。<バングラテロ>コーランで選別…暗唱できぬ人を襲う「ここから助け出してくれ!」「無事を祈っているよ」。バングラデシュの首都ダッカで1日(日本時間2日未明)起きた人質テロ事件で、人質になったバングラデシュ人の兄は、弟と約8時間にわたってメールで連絡を取り合った。悲痛な叫びを伝えてきた兄の安否を気遣う弟が、地元紙「デーリー・スター」の取材に応じた。脱出した人たちによると、人質は武装集団にイスラム教の聖典コーランを暗唱させられ、できない人が襲われたという。---一方では、君が代を歌えないと日本の代表ではないと叫ぶ元首相、一方ではコーランが暗唱できないと殺害するテロリスト、凶悪さの程度には大差はあるものの、どうも方向性としては同質のものを感じざるを得ません。踏み絵を踏めない奴は敵だ、と。要するに自分の価値観と相容れないやつは排除する、ということです。多様な価値観を認めるという広さがない。権力を持つものが自らの権力でそれを行うか、権力はないが武器を持つものが、テロ行為でそれを行うか、という違いはあっても、本性は果たしてどれだけ違うものやら、です。
2016.07.04
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「都知事、しょうもない人ばかり選んで…」自民・二階氏自民党の二階俊博総務会長私は、東京都の人は、国際都市・東京に住んでいるんですから、もっとしっかりしてもらいたいと思う。東京都はもっとリーダーにならないといけない。それを(都知事に)しょうもない人ばかり選んでね。交代、交代って。色々な意見を言ったり、新聞へ投書したり、意見を言ったりするのは、半分以上、東京都の人なんですよ。ここら(和歌山県)の人でも、あんなことをする人はいない。そりゃ、してもらってもいいんだけど、そういうことをする暇が無い。東京都の人なんかね、暇にあかして書くんです。そして、投書をいっぱいして満足している。そんなことで満足する暇があったら、自分たちから選ぶ知事候補ね、もうちょっとしっかりした者を選んだらどうですか。本当にあれじゃあ選挙を何回やってもね。「今度こそ」と言っているが、「今度こそ」になるかどうか。しっかり我々も注目しないといけない。---自民党は「しょうもない人ばかり」を都知事選に推薦して申し訳ありません、という趣旨かと思いきや、なんと、「しょうもない人ばかり」を選んだ東京都民に対する批判のようです。いや、恐れ入った。確かに、辞任に追い込まれるような人物※を立て続けに選んだ東京の有権者にも責任はないのか、という視点は必要だとは思います。※ただし、以前に記事を書いたように、私は舛添には投票はしなかったけれど、就任以降に行った政策は、最近の都知事の中ではもっともマトモだったと思っています。それを一般有権者がいうのは当然です。舛添(その前に辞任した猪瀬も)を推薦も支持もしなかった党の政治家が言うのもいいでしょう。しかし、よりによって、自民党の政治家が言う資格があるのか。自分たちの党が舛添(その前に辞任した猪瀬も)を推薦し、全面支援し、投票してくださいと散々選挙運動をおこなった、その責任を棚に上げて、東京は「しょうもない人ばかり選んで」とはね。まったく恐れ入りました。まあ、二階は和歌山が地盤の政治家だから、東京の自民党を「自分たちの党」とは認識していないのかもしれないけれど、ならば、党を割って出た後でこういうことは言ってくれ、というところです。
2016.07.02
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安倍首相「自衛隊員に謝罪がない」 共産・志位和夫委員長に安倍晋三首相は30日、三重県伊勢市で街頭演説し、共産党が防衛費を「人を殺すための予算」と発言した藤野保史衆院議員を政策委員長から事実上更迭したことについて「志位和夫共産党委員長は街頭演説を昨日も行ったようだが、一言も自衛隊員や家族に対する謝罪がない」と強く批判した。---以前に記事を書いたように、私も「人を殺すための予算」発言は失策だったと思います。撤回したのも当然です。私自身も、これまた過去何回も書いているように、見果てぬ将来の夢としての非武装中立という理想は捨てるつもりはないけれど、現下の国際情勢の下では、自衛隊は残念ながら必要、と考えます。そのことはともかくとして、この失言に対してここぞとばかり自民党は攻撃をかけているけれど、「一言も自衛隊員や家族に対する謝罪がない」という言い草に対しては、違和感を禁じ得ません。「人を殺すための予算」は、政治家の発言としては失言ですが、世の中にはおおむねそのような言葉が満ち溢れていることも事実です。かつて、郵政解散のとき、自民党はここぞとばかり公務員攻撃を行いました。いわく、「役人天国」いわく「役人の無駄づかいの温床」などなど。そのとき、首相は小泉でしたが、安倍は官房長官の要職にあったのではなかったか。今は、当時ほどには公務員を悪し様に攻撃はしていないですが、代わりにおおさか維新がそういう役目を果たしています。自衛隊員だって公務員です。(「士」は非常勤公務員のようなものだが、「曹」以上は正規職の公務員)役人天国というなら自衛隊だってそうだし、無駄づかいの温床とは、まさしく自衛隊です。1機で200億円以上のオスプレイなどは、その典型です。ところが、公務員を悪し様にののしる人に限って、自衛隊や警察のことはののしらない、「役人の無駄遣い」を批判する人に限って自衛隊の無駄遣いは見ないフリをする傾向が強いように思います。でも、国民の税金で成り立っている、という点において、自衛隊も警察も霞ヶ関の高級官僚も市役所の職員も、違いはありません。自民党は、「役人天国」とか「役人の無駄づかいの温床」などの発言について、一言でも公務員や家族に対して謝罪をしたのでしょうか?していませんね。ならば、今回の件でも、自衛隊員や家族に対して謝罪を行う必要などないでしょう。それとも、自衛隊というものはアンタッチャブルで、一切批判を許さない存在であるべき、と思っているのでしょうか?それこそ、批判を許さぬ存在ほど腐敗堕落を増殖しやすいものはありません。
2016.07.01
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英月の極楽シネマ 帰ってきたヒトラー 背筋が凍るコメディー歴史上に「絶対悪」と位置付けられたヒトラー。その彼が現代のドイツによみがえり、モノマネ芸人と誤解され瞬く間に大スターに。自信に満ちた演説は完成された芸として、過激な内容は真理を突く言葉として、大衆の心をつかむという衝撃の内容。しかもコメディーです。「笑っていいのか?」との戸惑いは自分の笑い声で吹き飛ばされ、代わりに残るのは背筋の冷たさです。デビッド・ベンド監督はヒトラー役の俳優と共に独各地で人々と関わったそうです。そのドキュメンタリー風の映像が随所に織り込まれ、映画にリアリティーを与えます。俳優は言います。「真剣に話しかけてきた会話から、彼らがいかにだまされやすいか、いかに歴史から学んでいないかが分かったよ」。「彼ら」は他でもない「私」。ヒトラーという存在を生み出したのは「私たち」なのです。その自覚が背筋の冷たさを感じさせたのです。ヒトラーは悪なのか? かつて熱狂的に支持された正義ではなかったのか? 自分の正義にこだわり、世間の正義から逸脱してしまうこともあります。正義や悪って、思っているほど確かなものなのでしょうか。自分が立っている足元がいかに危ういか、気付かされる映画です。---先日、この映画を見ました。実は、原作の小説を少し前に読んで、それが非常に興味深かったので、映画も見たいと思っていたのでした。1945年、ベルリンでソ連軍に包囲されて自殺したヒトラーが2011年(映画では2014年)のドイツにタイムスリップ、コメディアンとしてデビューして人気を得てしまう、という内容です。実在、かつ現役の政治家を次々とクソミソにこき下ろす、かなりきつい風刺小説です。映画のほうは、原作とはストーリーが変わっており、ぞっとする終わり方で、ちょっと後味の悪さを感じました。しかし、よく考えてみれば、あのヒトラーが現在によみがえって人気者になるという内容の作品が、見終わって心うきうきと楽しくなるのでは、ちょっと問題かもしれません。いずれにしても、考えさせられる内容であったことは確かです。あまり細かいことを書くとネタバレになるので、小説も映画も、その内容については細かいことは書きませんが、ヒトラーが現代によみがえったら、ドイツ国内に渦巻く政治不信の波に乗って、一躍人気者になってしまうだろうというのが、この作品の見立てであるわけです。貧富の格差、失業率の高さ、外国人の流入、出生率の減少・・・・・・・・確かに現代にヒトラーがよみがえったら、受け入れられかねない素地はあるのかもしれません。しかし、あのドイツです。EUの中で一人勝ち、経済的に最強のように見られているドイツでさえ、国内的にはこれほど不満が蓄積している、ということです。ドイツでさえそうだ、ということは、日本は言うに及ばず、全世界に、「うまく行っている国」なんてひとつもない、ということになるんだろうなと、妙に納得してしまいました。ひとつだけネタバレをすると、途中に「ヒトラー最後の12日間」の有名なシーン(YouTubeなどで、「総統がお怒りのようです」というMAD動画のネタに使われている)のパクリが登場します(映画版のみ)。正直「ここまでやるか、ここは笑っていいところか?」って思いましたけどね。
2016.06.28
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防衛予算「人を殺すための予算」 共産・藤野氏が撤回共産党衆院議員の藤野保史政策委員長は26日、NHKの討論番組で、防衛予算について「人を殺すための予算」と語った。藤野氏は同日夕、党広報部を通じて文書で「不適切であり取り消す」と発言を撤回した。番組には各党の政策責任者が出演した。藤野氏は防衛費が2016年度当初予算で5兆円を超えたことなどを指摘した際、「人を殺すための予算ではなく、人を支え、育てる予算を優先していく」と述べた。その場で公明党議員らが発言の撤回を求めたが、藤野氏は応じなかった。番組終了後の同日夕、藤野氏は文書で「海外派兵用の武器・装備が拡大していることを念頭においたものだったが、発言はそうした限定をつけずに述べており不適切」などと釈明した。---少し前に、自民党の日本会議系の極右議員たちが、憲法改正を訴える集会で、すさまじい発言を繰り返している動画が話題になったことがあります。憲法改正誓いの儀式長勢甚遠元法相が「国民主権、基本的人権、平和主義をなくさなければ、本当の自主憲法じゃない」とか、凄まじいことを言っています。これが、自民党の極右系政治家の本音なわけです。ただ、これらのトンデモ発言は、憲法改正を訴える集会、つまり仲間内だからポンポン飛び出したのであって、さすがの彼らも、選挙演説で一般聴衆の前で「国民主権、基本的人権、平和主義をなくせ」とは言わないでしょう。同じ主張を持った仲間内で通用する言葉を、そのまま一般有権者の前で吐いても通用しない、程度の計算はあるでしょうから。私も、平和運動にかかわりのある人間ですから、なんとなく想像がつくのですが、「運動」の世界では、この種の極論が「そのとおり!」なんて拍手喝采を浴びたりしがちです。左右の違いはあっても、「国民主権、基本的人権、平和主義をなくせ」という暴言に、右側の運動の中で拍手喝采が集まるのと、心理的には同根かもしれません。論理的に言えば、戦争とは突き詰めて言えば人殺しであり、したがって戦争に備えるための予算を「人殺しのための予算」というのは、間違いとはいえません。でも、間違いではないということと、多くの人の支持を得られるかは別の問題です。高級レストランでディナーを前にして「この肉はどこで屠殺してどのように解体して・・・・・・」と言ったら、どうでしょうか。それは、論理的には間違いではありません。でも、誰にも共感はしてもらえないでしょう。いやな顔をされるのがオチというものです。少なくとも、より多くの支持を集めようと思うなら、論理的に間違いでなければ何を言ってもよい、というものではないはずです。運動の狭い世界でコアな運動家から拍手喝采をいくら浴びたって、それだけで取れる票などごくわずかです。支持を大きく広げようと思うなら、そういう運動の中でしか通用しない内向き主張は捨てるべきでしょう。
2016.06.27
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スペイン出直し総選挙 EU批判派、躍進か昨年12月の総選挙後に主要政党の議席が伯仲し、新政権が樹立できなかったスペインで26日、出直し総選挙が実施される。緊縮財政を課すEUに批判的な急進左派、ポデモスが第2党をうかがう勢いをみせている。スペインでは欧州債務危機後、EUが求める緊縮財政策の下、中道右派・国民党のラホイ首相が増税や失業保険支給額引下げなど歳出削減を続ける。景気は回復軌道に乗っているが、失業率は約20%とEU加盟国ではギリシャに次ぐ高水準。25歳未満の若者の失業率は約45%に達する。「私たちはできる」を意味するポデモスは2014年に若者らを中心に結成された新興政党で、「反緊縮」を掲げる。EUが求める緊縮財政下で、景気回復の恩恵を受けられない有権者の不満の受け皿になっている。同党はEU離脱までは訴えていないが、イグレシアス党首は英国の離脱決定後に「公平で統一された欧州ならば誰も離脱は望まない。欧州は方針転換が必要だ」とツイッターに投稿し、EU改革を訴えた。前回選挙では、国民党と穏健左派・社会労働党の2大政党が過半数を大きく下回り、ポデモスが第3党に。選挙後の連立交渉は決裂していた。再選挙前の世論調査では、少数左派政党と選挙協力するポデモスが第2党に躍進する可能性があり、今回も単独過半数を獲得できる政党はないとの結果がでている。 ---昨日の投稿で、すべての政治的主張が右と左で割り切れるものではない、ということを書きました。反EU(欧州懐疑主義)は、イギリスでは政党レベルでは保守党の右派と英国独立党という右翼陣営が主導していましたが、実際の支持者は必ずしも右派ではなく、労働党を支持する組合活動家にも、EU離脱賛成に与した人は少なくなかったようです。フランスでは、ルペン率いる極右の国民戦線が反EUを主導しています。デンマークと、ドイツ、オーストリアでも、デンマーク国民党、ドイツのための選択肢、オーストリア自由党といった、反EU(あるいはEUに批判的)の右派政党も支持を伸ばしています。一方、ギリシャではツィプラス首相率いる左翼急進連合、スペインでは、引用記事にあるPODEMOSという、EUに批判的な左派政党が大きく支持を伸ばしています。そのギリシャのツィプラス首相の急進左派連合は、第1党ではあるものの、国会の過半数は制していないため、連立政権になっています。ギリシャには、PASPK(全ギリシャ社会主義運動)とギリシャ共産党という既成の左派政党が存在しますが、ツィプラスが連立相手に選んだのはそのどちらでもなく、右派で反EUを掲げる独立ギリシャ人という小政党でした。右か左かよりも、EUの押し付ける緊縮財政への賛否のほうが鍵になったわけです。スペインでも、反EUを掲げるPODEMOSの躍進が確実視されています。第2党をうかがう、ということは、PSOE(社会労働党)と得票・議席数が逆転する見込み、ということです。スペインは、比例代表制にも関わらず、数年前までは右派のPP(国民党)※と左派のPSOEが議席の大半を制する二大政党制(比例代表なので、ほかの小党も数議席程度は確保していたものの、政権に絡むことはなく、常に二大政党のどちらかが過半数を制していた)だったのですが、EU懐疑主義の広がりとともに、両党とも急激に支持を失い、どの党も過半数を取れず、他党との連立も成立せず、昨年12月の総選挙以来内閣の組閣ができない(選挙前に首相だったPPのラホイが引き続き首相を務めている)状況で、最終的にどの党も組閣を断念して再選挙となっています。※PPは中道右派とされていますが(現在の政策では、そういうことになるのでしょう)、元をただせばフランコ将軍のファランヘ党の末裔ですから、起源は極右です。焦点は、PODEMOSがどれだけ支持を伸ばすか、ということと、もうひとつはPODEMOSとPSOEが合計で過半数を制するかどうか、です。過半数を制することができれば、おそらく、この両党で連立政権を樹立すると思われます。両党あわせても過半数に達しなければ、組閣できない状態が再び、となってしまうかもしれません。PODEMOSの躍進は確実ですが、その分PSOEが支持を失う可能性が高いので、両党で過半数を取れるかどうかは微妙、というところでしょうか。いずれにしても、左右問わず、EU体制を是とする既成政党は、いずれの国でも凋落著しいものがあります。とりわけ、中道左派の没落が急激です。前述のギリシャのPASOKは、二大政党の一方の雄として何回も政権を握り、4年前まで国会議席の過半数を制していたのに、たった4年で、今は得票率6%という惨状です。スペインのPSOEも、合計20年以上政権を握っていたものの、昨年の総選挙では得票率22%まで落ち込み、1977年の民政復帰以来最低の得票率となりました。しかも、今回PODEMOSに逆転される可能性ということは、更に得票を減らしそうだ、ということでしょう。イギリスの労働党も、国会議員の大半はEU残留派だが、支持層はEU離脱派がかなり多い、従来労働党の地盤だったスコットランドで、スコットランド国民党に支持を奪われる、などで、かなり危機的な状態です。フランス社会党も、今は与党ですが、たぶん次の選挙では惨敗するでしょう。かろうじて踏みとどまっているのはドイツの社民党くらいでしょうか。要するに、それだけEUに対して、各国の国民から厳しい視線が注がれている、ということでしょう。
2016.06.26
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地べたから見た英EU離脱:昨日とは違うワーキングクラスの街の風景「裏切られたと感じている労働者階級の人々を政界のエリートたちが説得できない限り、英国はEUから離脱するだろう」2週間前にそう言ったのはオーウェン・ジョーンズだった。郵便配達の仕事をしているお父さんは、EU残留派優勢の予測に対し「俺はそれでも離脱に入れる。どうせ残留になるとはわかっているが、せめて数で追い上げて、俺らワーキングクラスは怒っているんだという意思表示はしておかねばならん」と言っていたが、追い上げるどころか、離脱派が勝ってしまった。わたしたちは英国でもリベラルな地域として知られているブライトンの労働者だ。「離脱」と「残留」票の全国マップを見てみると、英国中部と北部は「離脱」一色。「残留」はロンドン近郊やブライトンなど南部のほんの一部、そしてスコットランド、北アイルランドだけである。わたしや郵便配達のお父さんは南部の労働者だが、きっと中部、北部の労働者たちはもっと怒っていたのだろう。離脱投票の前に気づいたのは、もはや一国の中で「右」と「左」の概念が揺らいで混沌とした状態になっていたということだ。一般に、EU離脱派陣営は、保守党右派やUKIP(英国独立党)が率いた「下層のウヨク」「英国のドナルド・トランプ現象」と理解されていたようだが、地元の人々を見ている限り、こうした単純なカテゴライズは当てはまらない。「離脱」に入れると言っていた下層の街の人々は組合系レフトの労働党支持者たちだし、レイシストにはほど遠い感じの人たちだ。それに、ふだんはリベラルで通っている人々にも、最後まで迷っている人が多かった。 労働党左派もこのムードを感じ始めたから、潔癖左翼のジェレミー・コービンでさえ「移民について心配するのはレイシストではない」と言い始めたのだろう。怒れる労働者たちを「レイシスト」と切り捨ててはいけない。むしろ、彼らをこそ説得しなければ離脱派が勝つと判断したからだ。そもそも、反グローバル主義、反新自由主義、反緊縮は、欧州の市民運動の三大スローガン。そのグローバル資本主義と新自由主義と緊縮財政押しつけの権化がEUで、その最大の被害者が末端の労働者たちだ。だから、「大企業や富裕層だけが富と力を独占するグローバリゼーションやネオリベや緊縮は本当に悪いけど、それを推進しているEUには残りましょう」と言っても説得力がない。ガーディアンのジョン・ハリスは全国津々浦々のワーキング・クラスの街を離脱投票前の1週間取材し、「労働者階級の離脱派を率いているのはUKIPのファラージでも保守党右派のボリス・ジョンソンでもなく、人々のムードそのものだった」と気づいたそうだ。(要旨)---なるほどね。政治的には右と左はわかりやすい指標だけど、すべての政治的主張が右と左で割り切れるものでもない、ということです。右派も左派も、その内部で賛否が分裂して、収拾がつかない状態だったわけですが、ありていに言えばエリート層がEU脱退反対、労働者階級が脱退賛成だったわけです。結局のところ、政治の基本は、どんな理念よりもちゃんと食べられることがもっとも重要、ということになります。どんな美辞麗句も、その基本が押さえられた上でなければ意味がない、ということになります。EUに参加したままではまともに食べていくことができない、と非エリート層の多くの人が感じてしまった、ということに尽きるのでしょう。※ただし、世論調査を見ると、それでも労働党支持層は、保守党支持層よりもEU離脱賛成派の割合は、かなり少ないようです。(こちらのグラフを参照)ただし、スコットランドではEU離脱反対派が多数を占めています。スコットランドでも、エリート層がEU残留派、労働者層が離脱派という傾向が成り立つのかどうかは、日本語の資料ではよく分かりませんでした。ただ、スコットランドはイギリスの中でも貧しい地域で、それにも関わらず残留派が圧倒的ということは、スコットランドでは貧困層もEU残留派がかなり多いと思われます。スコットランドは、経済的にEUとの結びつきが強いので、EU離脱は経済的に損であることが明確だからでしょう。話は変わりますが、おりしも日本では参院選をやっているわけですが、選挙情勢報道によると、自民党は優勢のようです。非常に残念なことです。ただ、前述のとおり、政治の基本は、どんな理念よりもちゃんと食べられることがもっとも重要、というところに尽きるのでしょう。自民党の政策が国民をきちんと食べさせていけるものだとは、私は思いません。多くの国民も、安部政権の政策には懐疑的だと思われますが、野党(とりわけ民進党)に対してはもっと懐疑的、ということなのでしょう。私は今の憲法をとても大事に思っている人間で、憲法第9条を変えてはならないと、当ブログでもたびたび主張しています。ただ、政党が選挙を戦うのに、「憲法を守れ」だけで勝てるかというと、残念ながらそれは無理と思わざるを得ません。野党陣営の中では、民進党は振るわず、共産党は躍進の勢いとか。その共産党は、現在は護憲を強く主張していますが、その護憲の姿勢に惹かれたから支持が集まっているのでしょうか。そういう側面が皆無ではないにしても、それだけで躍進は不可能だと私は思います。むしろ、現政権の経済政策に不満のある層が共産党支持に集まっているのではないかと思います。もうひとつは、共産党は党員や地方議員の数が多く(それでも、党員はずいぶん減っているようですが)地に足のついた活動をしているのに対して、民進党は国政でこそ、ある程度の勢力を保っているものの、地方議員の数は少なく、議員以外の党員など、皆無に等しい。地に足のついた活動などできるわけもありません。経済政策の面でも、党内で意見がばらばらなので、たとえば新自由主義経済に対しての賛否、TPPに対しての賛否、消費税増税に対しての賛否、どれについても、党内で意見の一致が期待できそうにありません。EU離脱問題みたいなことがあったら、民進党はイギリスの保守党同様に、党内で賛否がばらばらになって収拾がつかなくなるだろうということは容易に想像できてしまうのです。今からでも、少しでも巻き返してほしいところですが、どうなるでしょうか。
2016.06.25
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イギリスの国民投票の結果、僅差ながらEU離脱賛成が過半数を取り、離脱が決まってしまいました。びっくり仰天です。なんだかんだと言っても、イギリス人の多数は、最後はEU離脱という冒険は選択しないのだろうと思っていたので、こういう結末は予想していませんでした。早くも、日本でも株価が暴落しています。ポンドも暴落、ユーロも暴落、米ドルも下がっているようです。私の米ドル預金が・・・・・・。という話はともかくとして、政治的にも経済的にも、ヨーロッパもイギリスも、将来像が一挙に不透明になりました。今回の国民投票でEU離脱反対がもっとも多かったのはスコットランドです。そのスコットランドは一昨年の住民投票でイギリスからの独立を否決しましたが、独立反対の前提条件は、イギリスがEUの一国であることですから、その前提条件が崩れれば、「やはり独立すべき」という人がかなり増加するであろうことは明らかです。すでに、スコットランド自治政府首相は独立への意思を示唆しています。どうしてこんな事態が生じたのか。肥大化したEUの統治機構とか、ギリシャ危機に代表される域内の経済格差・・・・・・いろいろな問題がありますが、移民問題が特に大きかったのだと思われます。移民問題と言っても、EU圏内における比較的貧しい国から豊かな国への移民の問題もあるし、EU圏外、具体的に言えば中東からの難民の殺到という問題もあります。どちらも深刻ですが、近年急激に深刻化したという意味で世論に大きな影響を与えたのは、中東諸国からの難民かもしれません。では、中東諸国からどうして多くの難民が出たのか。言うまでもなく「イスラム国」やその他のイスラム原理主義勢力との内乱が原因です。では、どうしてイスラム国が勢力を伸ばしたのか・・・・・・と、突き詰めて考えていくと、最終的にはイラク戦争にたどり着くように、私には思えます。「風が吹けば桶屋が儲かる」的でいささか強引なこじつけかもしれませんが、イラク戦争がイギリスのEU離脱(今後の展開次第ではEUの瓦解?)を招いた、と言えなくもないように思えます。そういえば、あの戦争にイギリスは賛成し、なおかつ参戦もしました。そのしっぺ返しが今来ている、ともいえるかもしれません。より直接的な、政治的動向ということで言うと、キャメロン首相は、本人自身はEU離脱反対にもかかわらず、国民投票を公約に掲げてしまったことが、この結果を招いたともいえます。何故そんな公約を掲げたのか。国民投票で負けはしないだろうという甘い読みもあったでしょうし、党内にEU離脱賛成派を多く抱えている(有力政治家にも支持者にも)ことから、党内事情的に国民投票を拒否できなかったのかもしれません。いずれにしても、もはや賽は投げられてしまった。これからイギリスが、そしてヨーロッパが(いや、全世界も)どこに向かうのかは、もはや誰にも予想ができないかもしれません。
2016.06.24
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参院選公示、問われる安倍政治 アベノミクス・安保法第24回参議院選挙は22日公示された。経済政策「アベノミクス」や安全保障関連法の是非などをめぐり、与野党は論戦を始めた。憲法改正の国会発議に必要な3分の2の勢力が形成されるかどうかも焦点となる。第2次安倍政権発足から3年半の「安倍政治」の評価が問われる。選挙区(改選数73)225人、比例区(改選数48)164人の計389人が立候補を届け出た。期日前投票は23日から始まり、7月10日に投票、即日開票される。今回の参院選から、国政選では初めて18歳以上が投票できるようになる。また、県境をまたいだ合区も初めて導入される。自民党は、政権に復帰した2012年末の衆院選から国政選のたびに経済再生を前面に掲げており、今回もアベノミクスの成果を訴える。安倍晋三首相は22日午前、地震で被災した熊本市の熊本城内で第一声を上げた。同日午後には同じく被災地の福島県に入り、復興の実績をアピールした。首相は同県郡山市の街頭演説で「参院選の争点は経済政策だ」と指摘。「有効求人倍率は24年ぶりの高い水準だ。アベノミクスをやめてしまえば、4年前に逆戻りだ」と強調した。(以下略)---参院選が公示されました。安倍は、「参院選の争点は経済政策だ」と(表向きは)主張しているそうです。もちろん、それも重要な争点です。でも、それがすべてではないでしょう。引用記事にもあるとおり、憲法改正が発議されてしまうかどうか、安保法の是非なども、重要な争点です。どれが一番重要かは、一概には言えないでしょうが。安倍が改憲への強い意欲を持っていることは明らかなのに、それを前面に出すのは得策ではないと考えたのか、自民党の各候補者は急に「改憲隠し」に走っているようです。毎日新聞の報道によれば、選挙区の与党候補55人のうち、初日の街頭演説で改憲に触れたのは一人だけだそうです。そのまま、選挙が終わっても改憲のことは忘れ去ってくれるならよいのですが、そうではないことは明らかです。そして、安倍が争点として推奨するアベノミクスにしたところで、明らかに破綻しています。私としては、特定政党の支持者・党員ではないので、他人に対して何党に入れてください、と言うつもりはありません。ただ、少なくとも私自身は、現在の与党及び改憲に賛成の政党・陣営には、絶対に投票しません。それ以外のいずれかの党・候補に投票するつもりです。どこに入れるかは、まだ完全には決めていないですが。
2016.06.22
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ネット引用し蓮舫氏中傷 自民菅原氏が発言撤回自民党の菅原一秀元副財務相が東京都知事選を巡る17日の会合で、民進党の蓮舫代表代行について「日本人に帰化したことが悔しくて悲しくて、三日三晩泣いたとブログに書いているような人。選んでしまう都民はいないと思うが」とインターネット上の誤った情報を引用して中傷していたことが18日、関係者への取材で分かった。菅原氏は発言を撤回した。蓮舫氏はツイッターで「会員制交流サイト(SNS)で拡散したデマで捏造」と内容を全面的に否定し「国会議員がこのレベルの書き込みを真剣に受け取るとは」と記述した。菅原氏は自身のブログで「ネット記事を引用したことは軽率だったと反省している。帰化した人が知事になったり、立候補してはならないという趣旨ではない」とした。菅原氏は自民党のネットメディア局長を務めている。蓮舫氏は東京都出身。台湾人の父と日本人の母との間に生まれた。---国会議員ともあろう人間が、無根拠のネット・デマを、何の検証もせずに鵜呑みにしている時点で話になりません。このネットデマの元ネタは、どうも1997年10月1日の朝日新聞の天声人語ではないかと言われています。その記述は台湾人を父にもつタレントの蓮舫さんは、19歳のとき日本の国籍をとった。日本名は日本人の母の姓と、本名の「蓮舫」で申請した。すると、「本当にいいんですか、日本人じゃないことが名前でわかりますよ」と言われた。「何が悪いのですか」と言い返したが、一生忘れない言葉だ、と語っている。というものです。趣旨が全然違いますよね。日本国籍をとるときに自分の名前について誰かにケチをつけられた(この記述には、誰に言われたのかはありませんが、役所の担当者でしょうか)ことを「一生忘れない」という話(ただし、この話自体も、後述のように疑問があります)が、なぜか「日本に帰化したことが悔しくて悲しかった」という話にすりかえられています。ところで、上記天声人語の「蓮舫さんは、19歳のとき日本の国籍をとった。」という記述自体が、間違いとはいえないものの非常に誤解を招きやすいものです。蓮舫議員は、帰化なんかしていません。その必要がないからです。引用記事にもありますが、蓮舫議員は父親が台湾人、母親が日本人です(蓮舫議員のホームページに、そのように記述されています)。現在の国籍法では、父母両血統主義なので、当然に日本国籍を持っています。ただ、これは1984年の国籍法改正によるもので、それ以前は父親が日本人である場合のみ日本国籍を与える、という制度になっていました。今考えればとんでもない話ですが、母親が日本人でも父親が外国人である蓮舫議員は、この国籍法改正までは、確かに日本国籍ではありませんでした。しかし、改正国籍法の施行日である1985年1月1日(1967年生まれの蓮舫議員が17歳のとき)を以って、彼女は自動的に日本国籍を付与されています。ですから、すでに日本国籍を持っている19歳のときに日本に帰化というのはあり得ないことです。では、「蓮舫さんは、19歳のとき日本の国籍をとった。」という記述はデマなのか?おそらくそうではありません。国籍法改正によって台湾(中国)国籍と日本国籍の二重国籍になった蓮舫は、22歳までに国籍の選択を行う義務が生じました。「19歳のとき日本の国籍をとった」という記述は、おそらく、この国籍選択のことを指しているのだと思われます。ただ、そのあたりについて誤解を招きやすい記述ではあるでしょう。加えて、国籍選択は純粋に国籍を選択するだけなので、帰化のように氏名を新たに作ることはありません。そのあたり、上記天声人語のエピソードにも、何らかの勘違いが混入していそうな気がします。その勘違いが天声人語執筆者なのか、蓮舫議員本人なのか、はたまた、「本当にいいんですか」という言葉を放った人なのかは分かりませんけど。菅原議員は、謝罪は行ったものの、「帰化した人が知事になったり、立候補してはならないという趣旨ではない」という言い訳からは、依然として蓮舫議員が帰化によって日本国籍をとったという勘違いをしたままである疑いが濃厚です。一度擦り込まれた思い込みは、容易には消えないようです。
2016.06.18
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自民、舛添氏への不信任案提出固める 辞職決断を説得東京都の舛添要一知事をめぐる政治資金などの公私混同疑惑で、都議会最大会派の与党・自民党は14日午前、都連の幹部会を開き、舛添氏への不信任決議案を提出する方針を固めた。辞職を求める意思を表明している与党の公明党も同調する。舛添氏には自ら辞職を決断するよう説得を続けており、説得に応じなければ不信任案を出す構えだ。この日の都連の幹部会で対応を協議した。自民は2014年の知事選で舛添氏を支援。一連の問題による世論の批判は与党にも向きはじめており、参院選に影響しかねないという見方が強まった。党幹部によると、会合では「かばいきれない」との意見で一致したという。だが、不信任案が可決された場合に舛添氏が都議会解散を選択するリスクへの警戒も強く、「舛添さんが自分から辞めれば、不信任を出さなくてすむ」とし、舛添氏に自ら辞めるよう説得しているという。野党の共産党や民進党系2会派などは14日の議会運営委員会に、不信任案を提出する方針を固めている。舛添氏は13日、今夏のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックに選挙が重なることを理由に不信任案の提出を先送りするよう求めた。自民は舛添氏の対応次第で、野党に対して、舛添氏の要望を検討するよう求める意向もある。不信任案は14日午後の議運理事会で合意されれば、15日の本会議で審議される見通しだ。---2011年4月の都知事選で石原が当選して以来、その石原が突然辞任したことによる12年12月の都知事選、更にその時当選した猪瀬知事が政治資金問題で辞任したことによる14年2月の都知事選、そして、このままいくと8月にまたまた都知事選ということになりそうです。5年間で4回目の都知事選という異常事態です。私は、前回の知事選では宇都宮候補に票を投じました。舛添は支持しなかったわけですが、正直なところを言えば、都知事当選後の舛添の政策が、そんなにひどかったとは思いません。素晴らしいとは言いませんが、石原に比べればまともな部類だったと思います。舛添があちこちに視察に行く中で、保育園と介護施設には一度も行ったことがないとか、新宿区の都有地を保育園ではなく韓国学校に貸し出そうとした、ということが批判されていますが、視察に入ったことがないにしても、舛添が知事になって以降の東京都は保育園関連の予算をかなり増額していますから、充分とはいえないまでも、保育園の整備を冷遇しているわけではないことは明らかです。韓国学校云々に至っては、騒いでいる人たちの嫌韓ネトウヨ臭がむき出しで、辟易します。もっとも、保育園・介護施設の視察ゼロというところからは、金は出すけど熱意はあんまりこもっていなかったかも、という気はしますけどね。個人の人柄はよくわかりませんが、知事に近い位置の都の幹部からは「前任の誰かみたいに怒鳴り散らしたりしない」「前任の誰かと違って、平日はちゃんと登庁している」「頭の回転が速く、記憶力が抜群によいので、ブリーフィングの理解が速く、一度した説明を全部覚えている」といった評価が聞こえてきています。(ただし、一連の騒ぎの前)それはともかく、一連の公私混同疑惑は、どうしようもない。これは批判されて当然です。疑惑そのものもそうですが、疑惑が表面化して以降の対応のまずさも火に油を注ぎました。頭は良いけれど(あるいは、そうだからこそ)他人の反応を読んで、嫌悪感を抱かれないような謝罪を行うのは不得手だったかもしれません。ただ、舛添の公私混同は確かにひどいのですが、じゃあ酷いのは舛添だけだったのか。石原慎太郎は、都知事在任中に豪華視察旅行を何回も繰り返しました。例えば2001年6月エクアドルのガラパゴス諸島視察は8人で1400万円、同年9月には米国出張で8人2100万円など。贅沢ぶりは舛添以上だったし、そもそも都庁に週2回とか3回しか登庁しない、ということも報じられていました。当時、それをちゃんと批判した人がどれだけいるのか。あえて言えば、石原のそういった態度を見た人間が、「都知事というのは、ああいう豪華旅行や休んでばっかりの勤務態度が許される」という誤ったメッセージを受け取ったとするなら、それは石原と、それをろくに批判もせずに礼賛した連中の責任でしょう。舛添が自ら辞任することはなさそうで、不信任案可決ということになりそうです。その場合、舛添には都議会解散か失職かの二者択一になりますが、都議会を解散したところで、再選挙後再び不信任案を食らって、今度こそ失職は確定的です。だから、多分解散は選ばずに失職することになるでしょう。いずれにしても都知事選は不可避ですが、果たして誰が出るんでしょうか。こんな状況で、まともな候補者が出てくるとは、とても思えません。前回は次点が宇都宮候補、僅差でその次が細川候補、主要候補中最下位が田母神候補でした。田母神は逮捕されたし、細川はその後体調を崩したので、選挙に出るのは無理でしょう。宇都宮さんはどうだろう。私の知る限りでは、現時点では名前を見ないので、さすがに3回続けて(それも4年間隔ならまだしも、1年半と2年間隔)は無理なんだろうなと思います。それ以外、取りざたされている名前には、橋下だの東国原だの、ろくな人がいません。そもそも周りが言っているだけで、本人に出る気があるかも定かではありませんが。追記 その後、周知のとおり、舛添は都議会解散という選択はせず、自ら辞任を表明しました。都知事選は7月31日になりました。
2016.06.14
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英国民投票 世論調査 「EU離脱」が僅かに上回るイギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票まで3週間を切り、最新の世論調査では、EU離脱を支持する人が残留を支持する人を僅かに上回り、「残留」派と「離脱」派の双方の運動が激しさを増しています。今月23日にイギリスで行われるEUからの離脱の賛否を問う国民投票について、先週行われたインターネットによる2つの世論調査の結果が6日公表され、いずれも「離脱」が「残留」を僅かに上回りました。このうち、今月1日から2日間にわたって行われた世論調査では「離脱」が45%、「残留」が41%となっています。(以下略)---インターネットによる調査は、精度に問題がかなりあるように思います。実際、引用記事の調査についても、信憑性についてはかなり議論があるようです。ただ、間違いないのは、EU離脱の是非に関して、イギリスの世論は真っ二つに割れている、ということです。二大政党の保守党、労働党双方とも、党内に残留派と離脱派がいる。特に与党保守党では、党首のキャメロン首相はEU残留を主導しているものの、閣僚の半分近くが離脱派とされます。ロンドン市長を先月退任した保守党のボリス・ジョンソンの離脱派です。一方、労働党は、過去においては欧州懐疑派(欧州統合に反対する勢力)が主流でしたが、ブレア政権時代以来EU支持派が主流となり、現在ではEU離脱派は少数派になっているようです。コービン党首は、党内左派に属し、本音はEU離脱派であるものの、党内主流が残留派であること、離脱した場合のマイナス点などを考慮して、EU残留を公式には主張しています。もっとも、労働党の議員の間ではEU残留派が主流でも、支持者の間ではそうとも限らないようです。労働党の伝統的支持層であった労働者階級の間で、労働党への支持が減少し、EU離脱を主張する右翼政党英国独立党の支持が増えている、と言われます。あえて大雑把に言えば、最右派と最左派はEU離脱派、それより穏健な中道右派と中道左派はEU残留派、ともいえます。ただし、労働党左派のコービン党首が本音のEU離脱論を封印していることから類推できるのは、EU残留派は左側には支持を広げつつある、ということです。しかし、それにもかかわらずEU離脱派が支持を広げつつあるのは、右側でEU離脱派が拡大しているからでしょう。なぜ、このように左右両陣営ともにEUへの賛否が分断されているのか。EUが、政治的には人権や政治的な自由を尊重する中道左派的な価値観を重視する一方、経済的には新自由主義経済を推進している、言ってみれば政治左翼(中道左派)で経済右翼とも言うべき二律背反な状況が原因でしょう。特に最近EU離脱派が急増しているのは、EUが難民・移民に寛容な態度であるところに、シリア内戦などで多くの難民がなだれ込んできたことが直接の原因です。もっとも、そのためにEU残留派、離脱派ともに、呉越同舟的な部分があります。単純に言えば、従来の左右の枠組みだけでは割り切れない状況、ということです。私自身は、日本人であり、EU離脱への是非を言っても仕方がない立場ですが、あえて言えば、EUを離脱した場合の経済的マイナスは、どう考えたってかなり大きいでしょう。また、EU離脱が多数を占めた場合、EU残留派が圧倒的多数を占めるスコットランドは納得しないでしょう。イギリスがEU離脱となったら、「それならイギリスから独立して、スコットランドとしてEUに加盟すべき」という意見が、前回の住民投票より大幅に増えるであろうことは想像に難くありません。これらのことを考え合わせると、国民投票でEU離脱が多数を占めた場合は、イギリスという国の将来像が一気に不安定化します。そして、イギリスが抜ければEUの将来像も不安定化します。それは、あまり望ましい事態ではないように思えます。いずれにしても、あと10日余りで結果が出ます。
2016.06.12
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沖縄県議選 基地移設反対派が大勝…知事与党上積み沖縄県議選(定数48)が5日投開票され、米軍普天間飛行場の辺野古への県内移設に反対する翁長雄志知事を支える共産や社民などの県政与党が過半数を維持、改選前より4議席多い27人が当選を確実にした。米軍属の女性遺体遺棄事件直後に選挙戦となり、反基地感情を反映し、米軍基地所在の選挙区で着実に議席を獲得した。翁長知事が引き続き政府との対決姿勢を強めるのは必至で、移設計画に大きな影響を与えそうだ。翁長知事は「大勝利と考えている。日本国土の0.6%の沖縄に74%の米軍専用施設を置いてきたことで、連続して事件事故が起きた。『沖縄に米軍基地が集中する状況がなくならない限り、だめだ』という県民の思いが今回のような選挙の結果になった」と述べた。今年1月の宜野湾市長選で、安倍政権の支援を受けた現職が、翁長知事が事実上擁立した新人に圧勝しており、知事の与党系は今回「連敗」を回避した。参院選沖縄選挙区も移設を進める自民が公認する現職と、移設反対の翁長知事を支えるグループが推す無所属新人との一騎打ちの見通しで、反対派には追い風となりそうだ。当日有権者は105万5881人。投票率は53.31%で、過去最低だった前回52.49%を上回った。(要旨)---最近、政治がらみで良いニュースを見ることがまれだったので、これは久しぶりによいニュースです。選挙直前に米軍軍属による殺人事件他たて続けに米軍がらみの犯罪が起きた影響も大きかったでしょう。(投票日の前夜にも、米海軍の女性下士官が飲酒運転による負傷事故を起こして、更に反基地感情に輪をかけることになった)ちなみに、投票率は52%あまりで、わずかながら前回を上回ったとのことです。この数字だけを見ると、あまり投票率が高くないように思えますが、県議選としては比較的高い部類です。昨年2015年4月の統一地方選では、41道府県で道府県議選が行われていますが、その平均投票率はわずか45%、投票率が5割を下回る府県が28もある(安倍のお膝元、山口県議選もそうです)のが現実です。もともと、都道府県議選というのは、国政選挙でもなく、市町村ほど身近でもないので、投票率が苦戦しがちです。この勝利を背景に、翁長知事は、辺野古への基地移設を拒否し続けるでしょうし、実際問題として、知事の抵抗を排除して辺野古への基地移設を行うのは非常に難しいでしょう。おりしも、選挙直前の先週5月27日に、沖縄県議会は普天間基地の県内移設断念と沖縄の全ての米海兵隊の撤退を求める抗議決議を採択しています。自民党は、これに反対たら、とても選挙を戦えないと判断したのでしょうか、決議への賛否を明かさないまま退席しました。普天間基地の県内移設は許さない、ということと、海兵隊は撤退しろ、という2点に関しては、沖縄の世論はゆるぎないものになっている、ということでしょう。逆に言えば、それ以外(つまり嘉手納の米空軍基地)については、やむをえない、ということでもあります。沖縄県議会が海兵隊撤退を決議するのは初めてなのだそうです。びっくりしましたが、かつてなら、共産党や旧社会党が「なんで海兵隊だけなんだ、すべての米軍撤退要求をすべきだ」と主張し、かといって「すべての米軍撤退要求」では自民党が反対するので、こんな決議を出すことはできなかったのかも知れません。元々は自民党出身の政治家である翁長知事も、日米安保破棄とか、すべての米軍基地ば出て行けなどとは言っていません。海兵隊と普天間基地に限って、沖縄から撤退しろ、ということに過ぎません。ある意味で現実的な主張ですが、それですら、今の政府の受け入れるところではないようです。そうやって、沖縄の要求を拒絶し続けると、どうなるのでしょうか。今は極小の勢力しか持たない沖縄独立論が、何らかのきっかけで急激に高まることもあり得るのではないでしょうか。そうなったら、普天間の海兵隊を守ろうとして嘉手納の空軍も失った、という結末になるかも知れません。
2016.06.06
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露外務省報道官様 「産経のインタビューに応じるな」 公式文書をあろうことか産経に発送 「たるんでませんか?」拝啓 ロシア外務省ザハロワ報道官様貴職の発した公式文書がモスクワ支局に届いたのは2週間ほど前のことです。「産経新聞は日本の主要活字メディアの中で、ナショナリズムの方向性によって特別の地位を占めている。ロシアに関する多くの記事は批判的、時に攻撃的であり、事実はしばしば歪曲され、否定的な見地で伝えられる。最近の反露的な報道も踏まえ、同紙のインタビューには応じるべきでないと考える」書簡は私たちが取材を申し込んだ某国家機関に宛てたものですね。それがあろうことか、私たちのもとに届いたのです。露外務省には平素よりたいへんお世話になっており、事を荒立てるつもりは毛頭ありません。この種の文書を作成することも、貴国では外務省の重要な業務なのでしょう。「事実を歪曲」などという完全な中傷には抗議しておきますが。何より心配なのは、大国ロシアの外交を担う外務省が、公式文書を誤って発送するという初歩的ミスを犯した事実です。最近のロシアの官庁は大統領閣下の追従に熱心なあまり、本質的なところで劣化しているような気がしてなりません。日露間の最大懸案である北方領土問題には、ぜひ気を引き締めて臨んでいただきたいものです。敬具---へえ、そんなことがあったんですねえ。もしこれが事実なら、ロシア外務省のドジぶりに大笑いするところですが、だけどそれって「誤って」ではないだろうと思うのですがどうでしょう。つまり、誤った「ふり」をしてわざと送ったのだろうと。要するに、「お前らのインタビューに応じる気などない」ということを、さりげなく分かりやすく(笑)断固とした意思をもって伝える、もっとも手っ取り早いやり方だからです。もっとも、いかにネトウヨ脳の産経新聞といえども、その程度の可能性に思い至らないほどにはバカではないでしょうから、これまた、ロシア外務省が本当は「誤って」ではなかった可能性に気が付きつつも、気が付かないフリをしてこんな記事を書いているだけだろうと思いますけどね。つまり、狐と狸のばかしあい、という奴でしょうね。まあしかし、ロシア自身はどうなのか、ということを度外視して言えば、「産経新聞は日本の主要活字メディアの中で、ナショナリズムの方向性によって特別の地位を占めている。ロシアに関する多くの記事は批判的、時に攻撃的であり、事実はしばしば歪曲され、否定的な見地で伝えられる。」という評は、まったくそのとおりだと私も思いますね。もっとも、最近の産経は中国韓国攻撃に忙しいので、相対的にロシアを非難する頻度は冷戦時代よりは大幅に減っているように思いますが。
2016.06.02
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<世耕・官房副長官>釈明 首相のリーマン前発言「なかった」世耕弘成官房副長官は5月31日の記者会見で、伊勢志摩サミットでの安倍晋三首相の発言について、「『リーマン・ショック前に似ている』とは発言していない。私が少し言葉足らずだった」と釈明した。世耕氏は26日の世界経済に関する議論の後、記者団に「首相は『リーマン前の状況に似ている』と申し上げ、各国首脳と認識は一致している」と説明した。首相はサミットで、各種の経済指標がリーマン・ショック時と同様に悪化していることを示すペーパーを使い、経済の「下方リスク」を強調した。ただ、海外メディアはこの説明を「世界経済が着実に成長する中、説得力のない比較」(英紙フィナンシャル・タイムズ)などと批判的に報じた。自民党内にも異論が広がっており、火消しが必要と判断したようだ。首相自身も30日の自民党役員会で「私が『リーマン前に似ている』との認識を示したとの報道があるが、全くの誤りだ。新興国経済を巡る指標で、リーマン以来の落ち込みがあるとの趣旨だ」と語った。---いやはや、何と言うか、「首相は『リーマン前の状況に似ている』と申し上げ、各国首脳と認識は一致している」と世耕弘成官房副長官が記者団に説明し、それが記事になったら「私はそんなことを言っていない」と。ならば、悪いのはウソを伝えた世耕官房副長官、ということになります。「報道があるが、まったくの誤りだ」などと居直る前に、「官房副長官が報道陣に伝えたことはまったく誤りだ」と言いなおすべきじゃないでしょうか。でも、安倍が言ったのは「新興国経済を巡る指標で、リーマン以来の落ち込みがあるとの趣旨」だそうですが、それと「リーマン前の状況に似ている」という言葉と、大筋の趣旨としては、ほとんど違いがないように、私には見えます。世耕もそう思ったから、そのように説明したのでしょう。そもそも、「リーマンショック前に似ている」発言は、様々な場で記者団からの質問の的になっていますが、安倍自身が、31日に急に言い出すまでは、「私はそんなことは言っていない」などとは一言も言っていません。この中でも、記者からの「総理は、本日の会議で世界経済の状況はリーマンショック前に似ているとの考えを示したようですけれども?」との問いに対して「世界経済は大きなリスクに直面をしているという認識については、一致することができた」と安倍自身が答えています。「私はそんな認識は示していない」などとは言っていないのは、当の安倍自身だって、そのときまでは「リーマン前の状況に似ている」という説明が自分の発言の要約として、少なくとも目くじらを立てるほど外れたものではないと思っていたからでしょう。それが、あまりに批判が多く、特に諸外国から鼻で笑われるものだから、急に「そんなことは言っていない」と取って付けたように言い出す、実に見苦しいことです。
2016.06.01
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内閣不信任案野党、31日に提出へ民進、共産、社民、生活の野党4党は、安倍内閣に対する不信任決議案を31日に衆院に提出する方針を固めた。安倍晋三首相の消費増税再延期方針に対し、「アベノミクスの失敗だ」として内閣総辞職を求める。30日に国会内で4党の党首会談を開き、確認する。提出に慎重だった社民党も同調する見込みだ。民進党の福山哲郎幹事長代理は29日、NHK番組で首相の増税延期方針について「アベノミクスは失敗したから、消費税を上げられない」と批判した。そのうえで「不信任に十分値する」との考えを示した。共産党の小池晃書記局長も同番組で「日本経済を壊した責任を認めず、世界経済が悪いから消費増税先送りだと言っている。政権を任せるわけにはいかない」と総辞職を求めた。社民党の又市征治幹事長は「増税ができる環境を作れなかったのは、アベノミクスが失敗したということだ」と語った。---私は、今更説明するまでもなく、自公政権(おおさか維新や日本のこころを大切にする党なども)は大っ嫌いであり、安倍政権には一刻も早く退陣してもらいたいと思っている人間です。基本的には野党(どちらかと言うと社民党と共産党)を応援しています。だから、野党側の悪口は、基本的には言いたくないのですが、その私から見て、「何故、今内閣不信任案?」というのが、まったく理解できません。いや、もちろん安倍に対しては私の心の中は常に不信任です。だけど、現実を無視するわけにはいきません。野党の武器としての内閣不信任決議という切り札を、今切るのが野党にとって得か損か、くらいの計算は必要です。その計算はちゃんと立っているのでしょうか?どうも、安倍政権が衆院を解散するかしないか、いろいろな報道が交錯し、また自民党内も賛否が割れているようで、どうなるのかはよく分かりません。ただ、野党が不信任案を出すことは、安倍政権が解散という選択に傾く後押しをすることになります。それで、今衆院が解散されて、野党側、というかはっきり言って民進党ですが、勝てるんですか?そもそも、それ以前に候補者は出揃っているんですか?野党間の選挙協力の調整はできているんですか?候補の擁立も、野党各党の調整も、参議院ではかなり進んでいますけど、衆議院では明らかにまだまだですよね。その状況で、衆院解散を自ら招きよせようとする行為が、野党にとって得であると、どうして思えるのか私には分からない。唯一可能性があるのは、解散の是非を巡って自民党内の意見がどれほど割れようと、安倍は必ず衆院を解散してダブル選挙をやる、という絶対的な確証がある場合です。その場合は、どうせ何をやっても解散されるんだから、有権者に「選挙を怖がって逃げている」という印象をもたれるよりは、不信任決議に打って出る、という選択はありでしょう。が、安倍が絶対確実に解散するという確証が、本当にあるんでしょうか。政治家には、私などが与り知らない特別な情報源があるのかも知れませんが、あの小沢一郎が率いる生活の党も不信任案に消極的との報道を見ると、確証はないんじゃないか、としか思えないのです。野党の中で、共産党は党勢が拡大しているので、多分今解散されても議席を増やせるでしょう。が、それ以外の野党、特に民進党は、自爆しようとしているとしか、私には見えません。
2016.05.30
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<安倍首相>消費増税、再延期へ 「リーマン前に似ている」安倍晋三首相は26日、来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げを再延期する意向を固めた。現在の世界経済の情勢を2008年のリーマン・ショック直前と似ていると分析。予定通り増税した場合は、経済が急速に悪化する懸念があり、政権が目指すデフレ脱却が困難になると判断した。首相は26日、伊勢志摩サミットに出席後、記者団に「今回のサミットで、世界経済は大きなリスクに直面しているという認識については一致することができた」と強調した。首相は首脳会議で、世界経済に関し、エネルギーや食料、素材などの商品価格について、資料を示しながら「最近の14年6月~16年1月にはリーマン・ショック前後の08年7月~09年2月と同じく55%下落した」と指摘。さらに中国など新興国や途上国の投資伸び率については「リーマン・ショック後の09年は05年以降では最低の3.8%だったのに対し、15年は2.5%とさらに落ち込んだ」など繰り返しリーマン・ショック時との比較に言及した。首相はこうした説明を踏まえて「リーマン・ショック直前の洞爺湖サミットで危機の発生を防ぐことができなかった。そのてつは踏みたくない」と強調。そのうえで「世界経済は分岐点にある。政策対応を誤ると、危機に陥るリスクがあるのは認識しておかなければならない」と訴えた。首相はこれまで、消費増税について「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り実施する」と繰り返し発言していた。リーマン級にはなっていないが、その「直前の状況」に似ているとして延期を決めれば、増税延期の理由を変更することになる。延期しても「アベノミクスの失敗」ではないと主張できると考えているとみられる。首相は14年11月に10%への引き上げの延期を表明した際に、「再び延期する必要はない」と説明していた。このため、自民党内には「再延期する場合には国民に信を問わなければならない」として、夏の参院選と同時に衆院選を行うべきだとの声がある。---消費税の10%への引き上げを再延期するのは、(延期ではなく白紙に戻すべきとは思うけど)正しい選択だと私も思います。現状日本の景気が全然よくないことも明らかです。ただ、リーマン前に似ているかというと、そりゃどうでしょうか。というか、私の仕事上、あんな事態に遭遇するのは二度と御免なので、リーマンショック前と似ている、なんて事態は考えたくもないのですが、それはともかくとして、リーマンショックは世界的現象でした。100年に1度とも、1929年の世界大恐慌以来ともいわれます。100年に一度がそんなに頻繁に起こるようなら、それは100年に一度ではなかった、ということになります。もっとも、日本に限定するなら90年代にバブル崩壊というものもありましたが。長い目で見れば、現在の状況はリーマンショック後のふらつきの一部、といえるのではないでしょうか。1929年の世界大恐慌だって、そのあと経済の上がり下がりはありましたが、10年後の第二次大戦勃発まで、世界経済はその影響から完全に脱することはできませんでした。ただし、リーマンショックは世界的現象だったけれど、今不況にあえいでいるのは、世界全体ではありません。結局のところ、リーマンショックという外的要因による不況になぞらえてごまかしているけれど、実際のところはアベノミクスが失敗だった、ということに尽きるのではないでしょうか。自らの政策を失敗だったと認めたくない、しかも、「リーマンショックのような自体が起こらない限り消費増税を実施する」と断定してしまったので、つじつまを合わせるために「リーマンショック前に似ている」などとでまかせを言うしかない、ということでしょう。個人所得が落ち込んだまま回復せず、個人消費が上向かない、それなのに財政出動をいくらやったって、それだけで消費が拡大するわけがありません。ただ財政赤字が膨らんでいくだけです。
2016.05.27
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オバマ大統領が広島を訪問する、というニュースは、少し前に記事を書きました。以前にオバマが広島訪問の意思を示した際は、それを「時期尚早」と反対したのは日本の外務省だといわれます。が、今回のオバマの広島訪問に当たっては、日本側が働きかけて実現させたようです。なるほど、事実だとすれば、それはすばらしいことです。素直に敬意を表したいと思います。で、ふと私は思いました。それならば、われらが首相もまた、南京を訪問すべきでありましょう。謝罪はしなくてもいいのです。南京大虐殺の犠牲者を冒涜するような言動をしなければそれで充分でしょう(訪問した先でわざわざそんな馬鹿げたことを言う政治家もいないでしょうが)。すでに、首相夫人である安倍昭恵は南京虐殺記念館を訪問したことがあるそうです(自民党が下野していた時期のことのようですが)。奥さんが行っているんだから、夫も行ったらいいじゃないですか。それを行えば、ネトウヨ受けは悪いかもしれませんが、国際的な評判は上がるでしょう。おそらく、日本国内でも賛同の声は多いと思います。今年はオバマの広島訪問があり、来年は南京大虐殺から80年という節目の年でもあります。でも、安倍が南京を訪問しそうにはありません。やっぱり、支持母体であるネトウヨ層を敵に回したくないのかもしれませんね。。
2016.05.19
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北方領土「新アプローチで交渉進める」 日ロ首脳会談安倍晋三首相は6日午後、ロシア南部の保養地ソチでプーチン大統領と会談した。両首脳は北方領土問題や平和条約の締結問題をめぐり、双方が受け入れ可能な解決策の作成に向けて「新たな発想に基づくアプローチで交渉を進める」ことで一致。9月2、3日に首相がロシアのウラジオストクを訪問し、再び首脳会談を行うことも確認した。日本側の説明によると、両首脳は外務次官級による平和条約締結交渉を6月に開催することでも一致。会談後、首相は記者団に「平和条約について、今までの停滞を打破する突破口を開く手応えを得ることができた。2人で未来志向の日ロ関係を構築していく中で解決していこうという考えで一致した」と語った。---新たな発想に基づくアプローチって、具体的にはどんなことでしょうね。国後・択捉は諦めて歯舞・色丹の2島返還を求めるしか、現実的な実験の手段はないと思うのですが。しいて言えば、それに加えて国後・択捉両島(あるいはその一部)で、何らかの日本の特権的地位を認めてもらう、たとえば関税上の優遇措置とか、自由港とか、租借地とか、渡航者のビザ免除(これは今でもビザなし訪問団というものがあるが)とか、そのあたりが限界でしょう。もちろん、日本が何がしかのお金を支払うことになる。まあ、安倍がもし、2島返還で手を打つとしたら、その点だけは安倍を見直します。でも、産経やネトウヨ系を支持母体とする安倍が、そこまで思い切った判断をできるでしょうか。早くも産経新聞が、「2島返還なんかで手を打つんじゃねーぞ」という社説を掲げています。北方領土交渉 「新発想」でも原則堅持を安倍応援団の産経やネトウヨ層を敵に回して2島返還に踏み切るかどうか、もし踏み切った場合に、安倍応援団の産経や産経お抱え文化人、ネトウヨなどが安倍政権にどういう態度を取るのか、見ものではあります。いささか予断を含みますが、北方領土を「買い戻す」ために何らかのお金を払うこと自体、産経やネトウヨは怒り狂うのではないでしょうか。盗人に追銭か、と。2島じゃダメだ、4島を直ちに返せ、金など払うべきでない、無条件即時返還を要求する、と、言うのは自由です。が、ロシアがそれに従うわけがない。産経やそのお抱え文化人の主張に従っていて、北方領土が返還されることは、未来永劫絶対ないでしょう。ロシアという国が消えてなくなりでもしない限り。いや、ソ連という国が消滅したときも日本は「4島返還」と叫び続けることで返還の機会を逃していますから、多分ロシアが倒壊するときだって、北方領土返還の有効な手を打てないままで終わるでしょう。それに、ロシアが消えてなくなるような事態が生じるとき、日本が安泰かどうかも分からないし。
2016.05.09
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「安倍首相は『9条改正』にこだわらず」 自民・高村副総裁、民進のレッテル貼りに反論自民党の高村正彦副総裁は6日、安倍晋三首相が自民党総裁として任期が切れる平成30年秋までに憲法改正の国会発議を目指す考えを示していることについて「(戦力不保持などの)9条改正をやりたいといっているのでなく、理解が得られやすいところを少しでも行い、憲法が不磨の大典でないことを事実として示しておきたいということでないか」と述べた。訪問先の北京で同行記者団に語った。憲法改正をめぐっては、民進党の岡田克也代表が「首相は9条を改正し、集団的自衛権を際限なく行使可能とするに違いない」として、安倍政権下の憲法改正に応じない考えを示している。高村氏は、岡田氏の過剰なレッテル貼りに反論した形だ。高村氏は、「国防軍」の明記などをうたった自民党の憲法改正草案について「(野党時代に)たたき台として示した」と指摘。「衆参両院の憲法審査会で、実際に改正課題になっているところを話し合い、(草案を)丸めていく」とも語り、草案に固執せず与野党の協議を重視する考えを示した。---見え透いたウソにもほどがあります。最初の憲法「改正」でどこまで踏み込むのかはともかく、それはあくまでも、国民を憲法改正に慣れさせることで次なる「改正」をやりやすくする目的であって、安倍が最終的に改憲で目指しているのは9条改正(もちろん、それが「改正」点のすべてではないにしても)であることは明らかです。また、これを報じる産経新聞もまた、例によって自民党御用新聞ぶりがあからさまで、「岡田氏の過剰なレッテル貼りに反論した形」などとふざけたことを書いているけれど、現に自民党の憲法改正草案には9条を変えて国防軍を設置すると明記しています。「たたき台」と言おうが「固執しない」と言おうが、それが自民党として目指したい憲法の内容だ、ということです。そして、安倍自身がほんの3ヶ月前に、9条を変えたいと予算委員会で公言し、産経はそれを礼賛する記事を書いています。安倍首相、憲法9条改正の必要性に言及首相は戦力の不保持を宣言した憲法9条2項について「7割の憲法学者が自衛隊について憲法違反の疑いを持っている状況をなくすべきではないか、という考え方もある」と述べ、改正の必要性に言及した。いったいどこが、「9条改正をやりたいといっているのでなく」なのか?岡田の「首相は9条を改正し、集団的自衛権を際限なく行使可能とするに違いない」は、この安倍の答弁から導き出される当然の予測です。どこにも「過剰なレッテル貼り」などありません。高村も産経新聞も、見え透いたウソは大概にしろと言いたいですね。
2016.05.06
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国連特別報告者とは一体何者なのか? 実態と乖離した報告に反発強まる 政府は問題点を申し入れへ日本における表現の自由の現状を調査した国連のデービッド・ケイ特別報告者が報道の自由や教科書検定などについて懸念を示したことをめぐり、政府からは「政府が行った説明が十分に反映されていない点が多々あると感じる」(萩生田光一副長官)などの反応が出ている。昨年来日し「日本の女子生徒の13%が援助交際に関わっている」と発言した特別報告者も含め、相次ぐ実態とかけ離れた見解には国内の反発も強まっている。そもそも特別報告者は政府の説明を受け止めた上で公正な判断を下せる性格の制度なのだろうか。ケイ氏は時間の半分を省庁、残りをNGO関係者やジャーナリストや弁護士などとの面談にあてた。政府側は局長や審議官レベルが対応し、説明の不備を指摘されない対応で臨んだ。ケイ氏が会ったNGOやジャーナリスト、弁護士を含む市民社会については、面談者などの情報は明らかになっていない。特別報告者は国連人権理事会から任命され、政府や組織からは独立して特定の人権に関わるテーマについて各国で調査や監視、報告、勧告を行う。米国の大学教授で人権を専門とするケイ氏は2014年8月に任命された。特別報告者の訪問は国連側から各国に打診があって調整が始まる。訪問先について日弁連のホームページには「多くの訪問要請があると訪問が実現する可能性が高くなります」とある。政府内には「政府がいくら対応しても特別報告者側もNGOなどの訴えを受けている以上、政府の説明に理解したとは言えない立場にある」との声も漏れる。特別報告者をめぐっては深刻な人権侵害が行われている国で調査ができなかったり、調査できても勧告が無視されたりすることが多く、制度として事実上形骸化している実態も指摘されている。ケイ氏の日本での調査報告書は来年6月の人権理事会で報告される見通し。日本は今後、ケイ氏が19日に発表した見解の問題点を関係省庁で整理し国連側に申し入れる方針だ。---またも例によって産経新聞の記事です。国連特別報告者が報道の自由や教科書検定などについて懸念を示したことが、よほど気に入らなかったようです。要するに、政府の説明に「はい、分かりました」と納得しなかった特別報告者はけしからぬと、簡単に言えばそういうことです。だけど、ことは表現の自由、報道の自由に関わる話です。おおむね世界のどこの国でも、報道の自由に対して生殺与奪の力を握っているのは政府です。(政府の力が及ばぬ地域で、武力組織がその力を握っていする場合もありますが)政府が報道の自由を守っているかどうか疑念があるから、特別報告者は調査に来るわけです。それなのに、政府の説明を聞いて、「なるほど、ごもっとも、そのとおりですね」では、調査の名に値するわけがありません。そりゃ、政府にとって耳の痛い、あるいは腹立たしい指摘はあるでしょう。当たり前でしょう。日本における報道の自由の状況に問題があると考えるから特別報告者が調査に来るのです。何も問題がないと思っていたら、そもそも調査に来るわけがないんだから。産経新聞にとっては、「政府が右と言ったら右!」なのかも知れませんけど、それは産経が政府の(正確には自民党政府の)御用メディアに過ぎないからであって、まともな調査というものは政府の御用聞きではありません。それにしても、ここまで政府(自民党政権)と一体化して、特別報告者が政府の説明を聞き入れず、日本の報道の自由に懸念を示したというだけで「けしからぬ」と吹き上がってしまうのが産経新聞です。安倍政権が批判されると、「日本叩き」だというのですが、それは脊髄反射としか思えません。安倍政権と日本と産経新聞(や、それに近い保守メディア)が、彼らの頭の中では一体化されてしまっているのでしょう。まあしかし、報道の自由に関しては、安倍政権には幾多の問題があるものの、たとえば中国のように直接的に新聞を発行禁止にしたり、放送をブラックアウトさせたりしているわけではありません。裏でコソコソと圧力をかけているだけです。もちろん、それも許し難いことではあります。しかし、その圧力に易々と屈して、自ら自主規制してしまう報道機関の上層部は、ある意味ではそれ以上に許し難い。もちろん、自ら率先して政権のメガホン役を務める産経新聞などは論外ですけど。
2016.04.25
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<熊本地震>原発報道「公式発表で」…NHK会長が指示NHKが熊本地震発生を受けて開いた災害対策本部会議で、本部長を務める籾井勝人会長が「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と指示していたことが22日、関係者の話で分かった。識者は「事実なら、報道現場に萎縮効果をもたらす発言だ」と指摘している。会議は20日朝、NHK放送センターで開かれた。関係者によると、籾井会長は会議の最後に発言。「食料などは地元自治体に配分の力が伴わないなどの問題があったが、自衛隊が入ってきて届くようになってきているので、そうした状況も含めて物資の供給などをきめ細かく報じてもらいたい」とも述べた。出席した理事や局長らから異論は出なかったという。(以下略)---公式発表を取り上げるな、とはもちろん言いませんが、それだけでは報道の名には値しません。政府とは無謬の存在ではなく、公式発表は間違いのない事実とは限らないし、事実の一部しか公開していない場合もあります。それをチェックし、独自の視点から取材し報道をしなければ、それは報道機関ではなく政府の広報機関でしかありません。要するに、籾井はNHKを安部政権の上意下達機関にしたいということでしょう。皆様のNHKではなく、安倍様のNHKというわけです。その結果、やってくるのは太平洋戦争中の大本営発表の再来でしょう。ミッドウェー海戦で大敗北を喫しても「勝った」と言い、ガダルカナルで飢餓地獄の果てに撤退したことを「目的を達して転進」と言い、東京大空襲に際しては「都内各所に火災を生じたるも、宮内省主馬寮は2時35分、その他は8時頃までに鎮火せり。」しか発表しなかった大本営発表を、当時の新聞やラジオは、ただただそのまま報じるだけでした。その結果、日本は破滅への道を転落することになりました。おなじことをまた繰り返したい、ということでしょうか。
2016.04.23
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「被災地支援の足引っ張っている」「ふざけるなよ、お前らホンマに」おおさか維新の足立氏、再び民進党を批判衆院総務委員会で民進党を「あほ」などと罵倒したおおさか維新の会の足立康史衆院議員が、21日の同委員会で再び「民進党は(熊本地震の被災地支援の)足を引っ張っている。ふざけるなよ、お前らホンマに」などと発言し、遠山清彦委員長(公明)から再三注意を受けた。足立氏は記者団に言葉遣いの不適切さは認めたが、事実関係に間違いはないと主張した。(以下略)---この議員の発言詳報が同じく産経新聞のサイトに載っていますが、ひとことで言って聞くに堪えません。【足立康史氏の発言詳報】「今日は高井崇志委員(民進党)がテレビカメラも呼んで、内閣府の松本文明内閣府副大臣を呼びつけた。週刊誌を読み上げて『お前けしからん』というわけだ。あほだと思う。本当、あほ」「国会議員は国民の負託を受けて仕事をしている。一国の総理大臣に『ヒトラー』と言ったり、『嘘つき』と何回も言ったり、あるいは日本国を取り上げて『死ね』という言葉を紹介するのは絶対にやめた方がいい」「私が今日、いろいろ口を荒だてて、大変失礼なことも申し上げたが、今日の高井委員の質疑については問題があると思う。テレビを呼んで、被災地で頑張ってきた副大臣を呼びつけ、週刊誌をもとに誹謗する。九州のために全力を尽くしているのが自公政権だ。おおさか維新の会も大阪では与党だから、全力で九州に人を送ってやっている。何もやっていないのは民進党だけだ。民進党は何をやっているか。足を引っ張っているんですよ、足を。ふざけるなよ、お前らホンマに」(抜粋)---松本文明といえば、熊本地震の現地対策本部長になったものの、災害対策用テレビ電話で食料の差し入れを要求する、屋外避難解消を知事に要求して不信感を持たれる(避難所がないからではなく、余震が怖くて屋外に避難している人が多かったし、実際にその恐怖感は直後の本震によって証明された)、「政府に文句を言うな」などと地元自治体職員に暴言を浴びせるなど、問題行動が多く、最終的に更迭されています。与党の自公ですら更迭に動くような人物を批判することが「アホ」だというのです。ならば、あの副大臣をそのまま熊本に貼り付けておくべきだった、ということなのでしょうか。そして、一国の首相をヒットラーと言うことが怪しからんというのですが、私の知る限り、国会の審議の場で、自民党の憲法改正案の緊急事態条項と、ナチスの全権委任法の類似性を指摘した質問(社民党福島議員)はあったけれど、安倍個人をヒットラーと言った議員はいないのではないでしょうか。もちろん、国会の外では、安倍はヒットラーだ、という主張はいくらでもあります(私も、ある程度そう思う)。しかし、それを言うなら、民主党(民進党)、社民党、共産党やその所属議員に対する、もっとひどい罵倒暴言も、国会の外にははいて捨てるほどある。国会の外でこんな物言いがあるからと言って、同じような暴言を国会の中でも吐いてよい、ということにはならないでしょう。TPOというものはあるはずですから。九州のために全力を尽くしているのが自公政権だ。おおさか維新の会も大阪では与党だから、全力で九州に人を送ってやっている。何もやっていないのは民進党だけだ。というのですが、民進党は今現在野党なんだから、政権担当者として九州のために何かをやる、というのは原理的にも不可能でしょうし、おおさか維新だって同じです。大阪では与党だから九州に人を送っている、というのですが、それをいえば、民主党が与党の自治体にも、九州に人を送っているところはたくさんあるんじゃないでしょうか。それにしても、ここまで露骨に自公政権をほめたたえ、野党第一党の民進党を罵倒する。それでもおおさか維新は野党だ、というのです。冗談じゃないなと思います。確かに閣僚は送り出していない、政府内に人は出していないけれど、事実上の与党みたいなものです。まあ、閣外協力に近いでしょう。そういうおおさか維新の立ち位置をもっとも忠実に体現したのが、この足立議員というわけです。
2016.04.21
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トランプ氏、ニューヨーク州で圧勝 共和党予備選米大統領選に向けた共和・民主両党の候補指名争いは19日、大票田の東部ニューヨーク州でともに予備選が行われ、共和党は同州出身の不動産王ドナルド・トランプ氏が圧勝する見込みとなった。米放送局各社が一斉に報じた。CNNによれば、開票率9%の時点でトランプ氏の得票率は65.1%と、テッド・クルーズ上院議員の13.7%、ジョン・ケーシック・オハイオ州知事の21.2%を圧倒している。---一時期失速の気配があったものの、トランプは大票田のニューヨークを押さえて、まだまだ勢いは止まっていないようです。残念ながら、共和党の大統領候補に選出される可能性は結構高いと思わざるを得ないでしょう。当ブログでも、過去何回かトランプ候補について批判的に取り上げました。でも、最近私は、トランプが共和党の大統領候補になるのも悪くないかも、と思わないではありません。誤解の内容に言っておくと、トランプが大統領になるのは最悪だと思っています。でも、トランプでは、多分本選では勝てないでしょう。一方、共和党のもう1人の候補者テッド・クルーズ、こいつは、トランプがトンデモぶりを炸裂させているので目立たないですが、実はトランプと大同小異の極右派です。トランプがもし米大統領になったら大変だけど、クルーズがなっても大同小異です。民主党のクリントンが良いとは全然思わないけれど、この二人に比べれば多少マシではあります。もちろん、いちばん良いと思うのはバーニー・サンダースですけどね。トランプが共和党の大統領候補になった場合、トランプは本選では勝てないでしょうが、クルーズはトランプよりは勝ち目が高そうに感じるのです。どちらが大統領になったとしても最悪なので、それならばトランプが大統領候補になってくれるほうが、当選の可能性を下げる意味では、まだマシかなと思うのです。もっとも、トランプはもし自分が大統領候補に選ばれなかったら、無所属で強行出馬することを匂わせています。そうなった場合は、共和党支持層は割れるでしょうから、クルーズ当選の目もなくなるかも知れません。サンダースは、残念ながらクリントンには最終的には及ばないようですが、まだまだ善戦中。少なくともトランプ対サンダースなら、本選もサンダースに勝ち目はあると思うんですけどね。
2016.04.20
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露外相発言 北方四島の帰属交渉「拒否しない」は日本引き込む詐術だ北方領土について問題の存在さえ否定する発言を繰り返してきたロシアのラブロフ外相が、一部の海外メディアに対し、北方四島の帰属をめぐる交渉を「拒否しない」と語った。これだけでロシアが、領土交渉に前向きな姿勢に転じたと受け取るとしたら、あまりにも軽率かつ危険といえる。外相は平和条約の締結交渉と領土問題の切り離しを繰り返し主張した。むしろ、北方領土を返すつもりがないことが改めて分かったと、冷徹に分析すべきだ。会見は、15日の訪日を前に行った。内容を吟味すれば、およそ楽観などできないことが分かる。ラブロフ氏を筆頭に、ロシア政府高官は、領土問題の存在を否定する言動を重ねてきた。今回の会見でも、領土交渉に入る必要性など認めていない。四島をめぐる話し合いに応じるといっても、平和条約を結ぶ前に、実質的な領土交渉を行う気などないというのだから、とても信用はできない。あきれるのは、日本に対し、北方領土は第二次世界大戦の結果、ソ連・ロシア領になったと認めるよう、改めて迫っている点だ。到底、容認できない。ソ連は、日ソ中立条約を破って参戦し、日本がポツダム宣言を受諾して終戦となった後に、武力で四島を不法占拠した。何の正当性もない「力による現状変更」は、火事場泥棒といえる行為だった。それが歴史の事実である。四島は日本固有の領土であり、その帰属を明確にし、返還を実現することこそ、平和条約締結の大前提だ。政府はその一貫した立場を崩してはならない。安倍晋三首相は5月にロシア訪問を予定しており、その後に伊勢志摩サミットを主宰する。ロシアのクリミア併合問題も重要な議題となる。ロシアとしては、プーチン大統領との首脳会談の前に、領土交渉をめぐる発言を変化させ、議長国日本を懐柔する必要がある。原油安による経済的苦境が続いており、自国への圧力を少しでも減らしたいからだ。日本もサミット参加国も、この程度の詐術に惑わされてはなるまい。ロシアがなすべきは、領土を不法に奪ったことへの謝罪と返還だ。北方領土の軍事基地強化の方針も直ちに撤回すべきだ。---例によって産経新聞の社説です。右派陣営が平和運動などに対して発する批判用語のひとつに「空想的平和主義」というのがあります。「平和」「平和」と念仏を唱えていれば平和が守られるのか、というわけです。産経新聞も、その種の批判をよく行う新聞です。しかし、この「主張」(社説)を読むと、産経新聞のような「愛国主義者」(自称)こそが、空想的愛国主義であることがわかります。ここには、何一つ具体策がない、「北方領土を返せ」と叫び続けろ、というだけです。「北方領土を返せ」と念仏を唱えていれば、北方領土は帰ってくるのですか?帰ってきません。全日本国民が「北方領土を返せ」と叫んだところで、返ってはこないのです。それは、逆を考えればわかることです。10億の全中国人が「釣魚諸島を返せ」と叫んだら、日本は尖閣諸島を中国に引き渡すんでしょうか?以前にも何度か書いたことがありますが、「固有の領土」などという言い方自体が、硬直思考の産物です。それに、旧ソ連の北方領土占領が不法なものであったことは確かですが、サンフランシスコ条約で日本はその状態を一度は受け入れています。外務省は、サンフランシスコ条約締結前後の時期は、国会答弁において「国後・択捉はサンフランシスコ条約で放棄した千島列島に含まれる」と明言しています。ところが、後になって「国後・択捉は千島列島には含まれない」という奇妙な説を持ち出して、国後・択捉は放棄していない、と言い始めたのです。尖閣諸島に関して、中国はかつては領有権を主張していなかったのに、後になって領有権を主張し始めた、というのはよく言われる話です。しかし、実のところ北方領土に関しての日本の主張も、それと同じなのです。いずれにしても、北方領土は帰ってきません。少なくとも、国後・択捉の2島が帰ってくることはない、これは間違いありません。それに対して、歯舞・色丹が帰ってくる可能性は、皆無ではない。平和条約を結び、相応の経済協力や投資などと交換でなら、両島が返還される可能性はある。ただし、産経の言い分のとおりに行動している限りは、歯舞・色丹が帰ってくる可能性もゼロです。しかし、もし日本政府が2島返還で北方領土問題を妥協しようとしたら、産経などの右派勢力は発狂して妨害を図るでしょう。もちろん、安倍政権がそんな解決を図ろうとするとは思えませんが。産経や右派勢力の深層心理としては、むしろロシアに対する敵愾心を煽ることは自らの商売、支持拡大のタネになるので、北方領土問題は永久に解決しないほうがいいのと思っているのではないか、と思ってしまいます。
2016.04.15
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田母神元空幕長を公職選挙法違反の疑いで逮捕一昨年の東京都知事選挙で落選した田母神俊雄元航空幕僚長が、選挙運動の報酬として複数の運動員に現金を渡していた疑いがあるとして、公職選挙法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。田母神元幕僚長はこれまでの取材に対し、「現金を配ることを了承したつもりはなく、指示したこともない」などとみずからの関わりを否定していました。~東京地検特捜部の調べによりますと、田母神元幕僚長は一昨年2月の東京都知事選挙のあとに、選挙運動の報酬として、島本元事務局長に現金200万円を渡したほか、元事務局長とともに、陣営の運動員5人に合わせて280万円を渡していたとして、公職選挙法違反の運動員買収の疑いが持たれています。一昨年2月の東京都知事選挙の前に設立された資金管理団体「田母神としおの会」は、1年間に集めた政治資金、1億3265万円のうち5000万円余りを使途不明金として記載していて、特捜部は先月、業務上横領の疑いで関係先を捜索し、使いみちの解明を進めていました。関係者によりますと、田母神元幕僚長は、現金を配るために作られた運動員のリストを島本元事務局長から見せられ、政治資金の一部を運動員に渡すことを了承していた疑いがあるということです。特捜部は、田母神元幕僚長の陣営が支援者から集めた政治資金を運動員の買収に使っていたとみて実態解明を進めるものとみられます。田母神元幕僚長は逮捕前の取材に対し、「元事務局長から現金を配ると報告を受けたが、了承したつもりはなく指示したこともない」などと、みずからの関わりを否定していました。---田母神陣営に強制捜査が入って以来、どうなるかと思っていたら、とうとう本人逮捕という事態に至ったそうです。引用記事には「政治資金の一部を運動員に渡すことを了承していた疑いがある」とありますが、別の記事によると、田母神が了承している場面を撮影した動画もあるとのこと。こりゃもう、真っ黒としか言いようがありません。「陣営の運動員5人に合わせて280万円を渡していた」とのことですが、実際の使途不明金は5000万円に及ぶので、それ以外のあんなお金の使い方、こんなお金の使い方も、明らかになっていくのでしょう。それにしても、本人の口からはいろいろな言い訳が飛び出しましたが、当時は違法と知らなかった、というのは論外です。もちろん知らなかったから罪が許される、なんてことがないのは言うまでもありませんが、曲がりなりにも政治家を志して選挙に出て、一度は60万票も獲得した人間が、そんなことも知らなかったのか、と。いや本当に知らなかったのか、そう言っているだけなのかは知りませんけど。もともと、この人がネトウヨ界の寵児になったのは、アパホテルグループの懸賞論文騒動によってです。絵に描いたように典型的な、ネトウヨ理論を並べ立てただけの粗雑で低レベルな「論文」も、「航空幕僚長」という肩書きだけでもてはやされ、あがめられたけど、その実態はこんな人間だった、と言うわけです。まあ、信じた人たち、人たちはいい面の皮ですね、同情しないけど。
2016.04.14
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<菅官房長官>「鉄壁」一転「民共」批判のスポークスマン?菅義偉官房長官が相次いでテレビ出演や講演を行い、民進党と共産党批判のボルテージを上げている。衆院北海道5区補選や参院選に向けた両党の選挙協力をけん制するのが狙いで、さながら「民共合作」批判のスポークスマンと化している。菅氏は国会開会中は原則、記者会見以外のメディア露出を避けてきた。慎重な物言いで「鉄壁」の異名を持つが、12日夜のBSフジの番組では「共産党の政策がひどいことを訴えていく」と露骨な批判を展開した。さらに13日の東京都内での講演では「共産党の綱領は日米安保条約破棄、自衛隊解散だ」と述べ、同党と民進党の安全保障政策の違いを強調。「野党に国民の生命と平和な暮らしを守ることができるのか」と訴えた。菅氏の異例の言動に対し、与党内では「補選や参院選の情勢が厳しいのに気づき、尻に火が付いた」(幹部)との見方が出ている。---この種の露骨なネガティブ・キャンペーンは、そういえば2009年の総選挙の際も、盛んに行われました。もちろんそのときの標的は民主党でしたが。その結果は自民党の大敗だったのは、周知の事実です。自民党が大勝した2012年や14年の総選挙、13年の参院選では、もちろんネガティブキャンペーンがなかったわけではないでしょうが、そんなに目立っていた記憶もありません。ということは、今回ここまで露骨にネガティブキャンペーンを繰り広げるのは、北海道5区の補選は自民党が結構追い込まれている、ということでしょうか。いやいや、こういうことは、投票が締め切られるまでわかりません。過剰な期待をして、後でがっかりしたくない。でも、野党側は少なくとも圧倒的な劣勢ではないのでしょう。そして、そこには民進党と共産党が共闘した効果も、多少はあるのだと思います。効果があるからこそ、敵は躍起になって攻撃するわけで。民進党に対しても共産党に対しても、私はいろいろと思うところがあります。が、少なくとも自民・公明が大勝して、憲法改正に道が開かれる事態だけは、何としても阻止してほしい。その一里塚が、おそらく今回の補選ということになるのだろうと思います。衆参同日選の可能性が言われていますが、もし野党側が勝った場合は、果たしてそれでも同日選に踏み切るかどうかは何とも言えません。(もちろん、それでも解散に踏み切るかもしれませんが、可能性は下がるでしょう)ちなみに、官房長官は「共産党の綱領は日米安保条約破棄、自衛隊解散だ」と言ったそうですが、確かに綱領にはそのような記述が残っているのでしょうが、「国民連合政府」構想を発表したときに、共産党は綱領のその部分は凍結することも明らかにしています。安保政策の本音の部分では民進党と共産党に違いはありますが、共産党は政権をとった場合はそこは民進党に合わせるとしているわけだから、その違いが問題となることはありません。だいたい、共産党が自衛隊解散の主張を維持し続けたとしても、単独過半数をとらない限り(いや、単独過半数をとっても、それだけでは)自衛隊解散などできるわけがないのですが。
2016.04.13
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NYの国連関連イベントで「慰安婦は性奴隷ではない」と訴えたところ…3月にニューヨークを訪問し、国連女性の地位向上委員会(CSW)のパラレルイベントに参加してきました。その様子を「まるで学級崩壊のよう」とブログに書いたところ、たくさんの反響をいただきました~女性の地位向上委員会は毎年3月にニューヨークの国連本部で開かれます。この委員会に参加できるのは「協議資格を持つNGO」に限られていますが、協議資格を持つ、持たないにかかわらず、国連周辺の関連施設で「女性の地位」をテーマに講演会やパネルディスカッションなどを開催することができ、2週間の委員会開催期間に合わせて全世界から450もの団体が集まってきます。これを「パラレルイベント」と呼ぶのです。さて、「歴史の真実を求める世界連合」(GAHT)の主催で、私たちは3月16日に日本人の保守系団体として初めてパラレルイベントを開くことができました。イベントのタイトルは「Comfort Women Not Sex-Slaves」(慰安婦は性奴隷ではない)。このタイトルで一体どのくらい人が集まるのかしら…。正直言って不安でした。~ジュネーブの国連委員会で発言した時とはまた違う意味で驚きでした。中国や韓国の主張はかなり浸透し、アメリカ人を始め、多くの人々が信じ込んでいます。左派勢力の長年にわたる国際発信が功を奏したのでしょう。それを放置してきた政府や外務省の責任は大きいといえます。まだまだ長い道のりだと改めて感じました。---長いし、彼らの宣伝に手を貸す気もないので、内容は引用しません。要するに、ニューヨークまで行って「慰安婦は性奴隷ではない」と叫び、自分自身の自尊心を満足させて帰ってきた、というお話です。本人たちは、まじめにそれが「日本の国際的立場を取り戻す行為」だと思っているわけです。当ブログで過去に何回か言及したことがありますが、9年前の2007年に、米国の下院が121号決議、慰安婦に対する日本政府の謝罪を求める決議を採択したことがあります。この動きが明らかになったとき、日本の右翼は躍起になって、THE FACTS(真実)と称する意見広告を、ワシントンポスト紙に出しました。まさしく、彼ら自身が広めたいと願う、「歴史の真実」と証するものを、米国の著名な新聞を通じて米国に広め、彼ら自身の自尊心は大いに満足させることができたのでしょう。が、その結果、121号決議は撤回されるどころか、むしろ賛同者を増やし、満場一致で採択されました。彼らの自己満足的主張は、何ら賛同を呼ぶことなく、むしろ逆効果になったことは明白です。ところが、彼らはこの失敗を失敗とは認識していないようで、相変わらず国外で自己満足的主張を繰り返しているわけです。本人たちは、それが「日本の誇りを取り戻す」「日本の国際的立場を高める(あるいは回復する)」行為だと、まじめに思っており、実際には日本の評判を落とす行為だという認識は、まるでないようです。そして、今後もそうやって日本の評判を落とす行為を続けていくつもりなのでしょう。まさしく、「愛国者が国を滅ぼす」の、これまた典型の一つであろうと思います。(まあ、太平洋戦争とは違って、このことだけで日本が滅びることもないでしょうけど)
2016.04.11
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TPP文書黒塗りなのに西川氏が内幕本 野党反発 特別委が空転TPPに関する交渉経過が開示されない問題で、8日の衆院特別委員会で西川公也委員長(自民)が近く出版予定だった自著「TPPの真実」をめぐり審議が紛糾した。民進党の緒方林太郎氏が関係省庁職員の執筆への協力の有無などをただしたが、政府や西川氏は確認を拒否。反発した民進党が退席し、審議は予定された7時間のうち約6時間にわたって中断した。政府はTPP交渉の経過は非公開だとして、ほぼすべてを黒塗りにした文書を特別委に提示している。民進党は「西川氏の著書はTPP交渉の内幕に触れ、守秘義務違反ではないか」と追及を強めている。緒方氏は、西川氏の著書のコピーとされる文書を示し、執筆の経緯や内容についてただした。だがTPP担当の石原伸晃経済再生担当相は「(コピーが本物かどうか)確認できないので、コメントできない」と繰り返した。民進党は、石原氏の答弁が不十分なまま審議を進めようとする西川氏の議事進行は不公正だなどとして、退席した。民進、共産、社民、生活4党は、自民党に対し、西川氏が本のコピーの存在を認めることなどを申し入れたが折り合わなかった。西川氏は同日夕に民進、共産両党欠席のまま審議を再開し、おおさか維新の会の質疑が行われた。西川氏の著書の出版を予定していた中央公論新社は8日、本紙の取材に対し、著書は5月6日に発売予定だったが、特別委で取り上げられた4月7日の段階で出版日が未定になったと説明した。---政府が国会に「開示」したTPP交渉過程に関する資料は、すでに報道されているので、目にした方も多いでしょう。タイトル以外ほぼすべて黒塗り、要するに国会には(ひいては国民に対しても)秘密だ、ということです。その理由は、「外交交渉は相手国との信頼関係などの観点から、内容を公開することに制約がある」(石原伸晃経済再生相)だそうです。一見するともっともらしい言い分ですが、「内容を公開することに制約がある」はずの交渉過程を、TPP特別委員会の西川公也委員長自身が出版しようとした、というのだから驚きです。ちなみに、石原大臣は、コピーが本物かどうか確認できないとしてコメントを拒否したそうですが、西川自身がそのゲラ刷りが本物であることを意図せず告白しています。野党議員が退席したあと、委員長席のマイクを切り忘れたまま「あれは全部文書からはね。いまの新しいやつは消えているんですよ」「自分できれいに整理したやつじゃなくて、一番古いのが出てるんですよ」「書きなぐったやつが」などと発言しているのが、テレビカメラにとらえられています。つまり、ゲラ刷りは本物であり、自分で書いたものである、ただし、それは初稿であり、出版する原稿はそれとは異なるものだ、というわけです。「秘密資料を出版するわけではない」というつもりで言ったのでしょう。だけど、その「書きなぐったやつ」は、少なくとも出版社には渡っており、それがゲラ刷りまではなったわけです。そして、そのゲラ刷りが民進党緒方議員の手に渡った。いや、緒方議員だけではありません。ざっと調べたところ、少なくとも「赤旗」の記者の手にも渡っていることが確認できます。おそらく、他にも入手したマスコミ関係者はいるのではないでしょうか。要するに、ダダ漏れなわけです。それで、「内容を公開することに制約がある」とか、笑わせてくれるにもほどがあります。まあ、西川があくまでもゲラが本物であることを認めないのであれば、自分で書いたものではない=自分に著作権はない、ということになりますから、いっそのこと、どこかの出版社がそれを出版してみるのもいいのではないでしょうか。あるいは、そこまでは無理だとしても、「引用の範囲」で核心部分を公開してほしいものです。
2016.04.10
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広島訪問探るオバマ氏の事情 米に根強い原爆正当化論オバマ米大統領が、5月末の伊勢志摩サミットで訪日した際に被爆地広島を訪問する可能性を探っている。「核なき世界」を訴えるオバマ氏はこれまでも広島訪問の意義に言及。ただ、米国内では反対論も根強いだけに、ケリー国務長官の広島訪問への国内外の反応を見極めて、慎重に判断する方針だ。オバマ氏は、就任間もない2009年4月のプラハ演説で「核なき世界」を訴え、「核兵器を使った唯一の国として行動する道義的責任がある」と踏み込んだ。大統領として初来日した09年11月の記者会見では、「広島、長崎を将来訪れることができれば、非常に名誉で、私にとって有意義なことだ」と話した。ただ、当時は米国内に慎重論が強かった。日本の外務省高官も初来日の前に、水面下で「大統領の広島訪問は時期尚早だ」と否定的見解を米側に伝えていたことが、米政府の公文書で明らかになっている。オバマ氏は過去3度の訪日でいずれも広島訪問を見送る一方、10年には当時のルース駐日米大使が米政府代表として平和記念式典に初出席。その後もオバマ政権の要人が相次ぎ広島を訪問。来週のG7外相会合でも、ケリー長官が米政府の閣僚として初めて平和記念公園を訪れる。---オバマの本音としては、広島訪問をしたいわけですが、世界一の核大国、唯一実戦で核を使用した国の大統領という立場がそれを阻んでいるわけです。日本のネトウヨもどうしようもない連中ですが、米国の保守派の連中もまたどうしようもなくて、原爆投下は正しかったと信じて疑わない人たちが大勢いて、オバマもそれを無視できないわけです。が、何と、実はそれだけではなかったんですね。日本の外務省高官も初来日の前に、水面下で「大統領の広島訪問は時期尚早だ」と否定的見解を米側に伝えていたことが、米政府の公文書で明らかになっている。要するに、日本側(外務省)が、大統領が広島になんか来てくれるな、と言ったわけです。その理由は何でしょうか。要するに、米国の「核の傘」こそが大事で、本音のところは核の廃絶なんてしてほしくない、ということでしょう。あるいは、日本の反核勢力を勢いづかせたくない、というようなこともあったのかもしれません。オバマが初来日した2009年11月は日本でも民主党政権が成立した直後の時期ですが、政権が変わろうがなんのその、外務省は自分たちの理論を最優先したわけです。それを制御できなかった(そもそも、安保外交政策について党内が一致していなかった)民主党も能力不足ではあったにしても、これはあまりにひどい話です。鳩山政権の失速の原因となった普天間基地移設問題にしても、鳩山自身の実務能力不足は大きいにしても、徹底的に鳩山を妨害した外務省の幹部クラスの責任もまた巨大です。かつて、田中真紀子が「外務省は伏魔殿」と言いましたが、その時代の田中真紀子の政治姿勢の当否はともかくとして、この点に関してはまさしくそのとおり、と言うしかないでしょう。米国などは、政権が変われば省庁の幹部クラスは総取替えになります。メキシコなどは、大統領が変われば公用車の運転手まで代わる、とも言われます。猟官制などと言われ、それはそれで不正の温床にはなるのですが、日本の高級官僚の現状がこのままでよいとは、とても思えません。
2016.04.08
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なんと地球5周分!? 民進・山尾志桜里政調会長、驚愕の“ガソリン代疑惑”待機児童問題で安倍晋三首相を厳しく攻め立て、民進党政調会長に大抜擢された山尾志桜里衆院議員に“ガソリン代疑惑”が浮上した。山尾氏が支部長を務める政党支部で、1年間で約230万円分ものガソリン代が計上されていたのだ。「地球5周分に匹敵する距離を走った計算になる」との指摘もあり、説明が求められそうだ。ガソリン代疑惑は、31日発売の「週刊新潮」が、《山尾志桜里代議士の奇妙な政治資金》という記事で報じた。夕刊フジでも、山尾氏が支部長を務める「民主党愛知県第7区総支部」の政治資金収支報告書を確認したところ、2012年分の報告書に約230万円分のガソリン代が計上されていた。資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」(12年)などをもとに、当時のハイオクガソリンの平均価格を1L=160円、燃費を1L=15kmで計算すると、約230万円の走行距離は約21万kmに達する。これは地球5周分に相当する。(以下略)---この「ガソリン代疑惑」は、引用記事にあるように週刊新潮が最初に取り上げ、大手マスコミの中では目下のところ産経新聞とフジテレビだけが取り上げているようです。何故他のマスコミは取り上げないか?ネトウヨだもなら「偏向報道だ」と言うのでしょうが、実際のところは安倍首相、菅官房長官、馳文科相、岸田外相が支部長をつとめる自民党支部でも同じことが起こっているからです。安倍首相の自民党山口4区支部が山尾議員と同じ2012年に計上したガソリン代は600万円だそうで、上記引用記事の計算でいくと地球13周分になるようです。以下、馳文科相320万円、岸田外相280万円、菅官房長官220万円と続くようです。自民党山口4区支部2012年収支報告書(ガソリン代は63ページ以降)政治的公平性を保つのであれば、野党側と与党側両方の「ガソリン代疑惑」を報じるか、両方とも報じないか、どちらかになるでしょう。私は、両方報じるべきなのではないかと思うのですが、各マスコミは両方とも報じないことを選択したようです(これまでのところは)。それはそれで、選択として間違ってはいないでしょう。一方、産経とフジテレビは引用記事のとおり、山尾議員のガソリン代疑惑は報じていますが、自民党の各政治家のガソリン代疑惑についてはどうなのでしょうか。このままダンマリのつもりでしょうか(笑)。自民党の不祥事は隠蔽する、野党の不祥事だけ追及する、公平性は放棄して自民党とネトウヨの機関紙としての政治的役割に特化した新聞、ということなのですね。実にわかりやすいことです。
2016.04.03
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