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たーちゃんファンド たーちゃん001さん
2006.09.10
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カテゴリ: 投資手法

興味深い内容ですので、今日のテーマとして取り上げたいと思います。
なお、私の個人的な見解が多分に含まれている可能性があることを、予めお断りしておきます。

DCF法では、現在価値は次の式で算出されます。

 現在価値(PV) = キャッシュフロー(C) ÷ 割引率(r)

ここで割引率は、投資家の期待収益率になります。
キャッシュフローを産み出す元となる資金を、全額株主資本でまかなっている場合には、割引率は株主の期待する収益率である、株主資本コストとなります。
負債の場合のコストは、金利に節税効果を考慮したものとなります。
株主資本と負債が混ざっている場合は、この2つのコストを比率に応じて加重平均したものを全体の資本コストとし、WACC と呼びます。
返済の確実性が高い負債の方がコストは低いため、一般的には負債の比率が高いほうが、WACC は低くなります。割引率であるWACC が低いということは、現在価値は高くなります。

ここからが今日の本題です。
WACC を求める際の株主資本と負債の比率は、一般的には現実の比率を使うことが多いと思います。
これに対して、最適な資本構成の比率を用いるべきだという見解もあります。
私の見解としては、最適な資本構成を求められるのであれば、それを用いるべきだと考えます。

まったく同じ収益力を持つ、A社とB社があったとします。この場合、A社とB社の持つ本来の事業価値は、同じですよね。仮に100の事業価値があるとします。
ここで、A社は無借金でB社は50の負債があるとします。

A社を買収する場合は、100以下で買収すれば、ペイします。
B社を買収する場合は、負債も負担しなければいけないので、100-50=50 で買収すればペイすることになります。ここで、B社買収における実質的な負担額は、負債も引き継ぐのでやはり100であることに、ご注意ください。
A社とB社同じですね。

買収者は、B社に100の資金をつぎ込んだとします。うち50は、買収の際旧株主に支払いましたので、残り50をB社への増資の形にしました。B社はこのお金で、負債を返済し、無借金になりました。
この時点で、A社とB社は収益力も資本構成も同じになっています。買収によりつぎ込んだ金額も同じです。
負債返済前と後で、B社の事業自体には何も変化はありません。すなわち事業の価値は変わっていません。

何を言いたいかというと、事業本来が持っている価値は、資本構成によって変わらないという点です。
現状の資本構成からWACCを求めると、同じ事業でも資本構成によってWACCが変わってしまい、算出される事業価値も異なってしまいます。
私は事業内容が全く同じであれば、事業価値は同じであるべきだと考えます。したがって、最適な資本構成があると仮定して(=WACCは一定)、それで割引くのが適切なのではないかと考えます。

それでは、最適な資本構成はどうやって求めればいいのでしょうか?
残念ながら、最適な資本構成の求め方は、確立されていないと思います。(私が知らないだけかもしれませんが)

考え方としては、収入の安定度に依存します。元利払いが確実であれば、資本コストが低い負債を増やすべきです。
このあたりは、確実な利益が見込めるのであれば、信用取引などでレバレッジをかけるべきだというのと、同じことですね。
収入が不確実で返済に不安があれば、返済の必要がない株主資本の割合を増やすことになります。

すなわち最適資本構成は、事業内容ごとに異なります。このサジ加減をどうすべきかという理論は、確立されていないと思います。
しかたがないので、現実の資本構成で代用して、WACCを求めているというのが、実態ではないかと推測します。





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Last updated  2006.09.12 12:08:31
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再々質問です  
○田×男  さん
詳細なご説明ありがとうございます。
よく分かりましたし、めちゃめちゃ面白いです。

しかしながら、我々個人投資家が、WACCを求める際に最適資本構成から割り出すことには疑問が残りました。
確かに、買収を前提とし、自らが最適資本構成にすることができるのであれば、事業価値は資本構成に左右されない、つまり「事業価値」=「企業価値」ということになるかもしれません。

けれど、現実的には経営陣の資本構成を受け入れることになります。そして、僕はその資本構成こそが経営の本質ではないかと考えています。
つまり同じ「事業価値」でも、資本構成が異なれば「企業価値」は違うのは当然ではないかと。

と書きながらも、やはり困難な問題ですね。
WACCだけ考えると借金だらけのほうが企業価値が高くなってしまうし。。。。
そう考えると、確かに最適資本構成を使ったほうがいい気もしますね。

株主資本の期待収益率の求め方も含め、アートといわれる所以でしょうか。 って、こんなまとめかたよくないな。投資ゲーマーさん、ビシッとお返事ください。 (2006.09.10 17:08:42)

Re:再々質問です(09/10)  
○田×男さん
>株主資本の期待収益率の求め方も含め、アートといわれる所以でしょうか。 って、こんなまとめかたよくないな。投資ゲーマーさん、ビシッとお返事ください。

ビシッと返事するのは無理です(笑)
そもそもWACC で良いのかという疑問もありますし、株主資本コストの決め方も、βなどを使う方法で本当に正しいのか、よくわかりません。キャッシュフローの求め方も含め、アートだと思います。
基本的な考え方を理解したうえで、投資家が決めるしかないと思います。
私自身は、実戦では WACCもβも使っていません。セミナーで話す内容が無くなってしまうので、これ以上はここでは追求しないでください。(笑)

なお、私が書いた「事業価値」というのは、Enterprise Value のことで、一般的には「企業価値」とか「企業総価値」と呼ばれているものです。
企業価値と書くと、会社の価値(=会社の値段)と混同しそうなので、事業自体の持っている収益力の価値という意味で、「事業価値」と書きました。
(2006.09.10 22:48:52)

Re[1]:再々質問です(09/10)  
○田×男  さん
投資ゲーマーさん
ありがとうございます。
僕もWACCは使っていますがβは使いません。
上場のマーケットによって差を付けさらに、自分なりの感覚をプラスアルファして株主資本コストは出しています。

事業価値については、よく分かりました。

ともかく、いろいろ勉強になりました。ありがとうございます。 (2006.09.11 00:07:45)

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