映画冒頭、ストロボライトの明滅するディスコ、踊る若い一人の娘をカメラは追う。彼女は売人からエクスタシーを買って飲むが、やがて倒れてしまう。場面変わって法医学研究所の死体安置公示所。次から次へと運ばれてくる変死体。検視医たちは今夜どこで遊ぶか等を話している。一人が「土曜の夜に騒いで、日曜は死んでるのもいい」というのに対して、別の一人は「日曜に死んでるのはイヤだ」と言うが、このセリフが映画の原題『J'AIMERAIS PAS CREVER UN DIMANCHE』になっている。この「死」は疲れてぶっ倒れているという意味だろうが、「日曜日に死ぬのはイヤだ」という本当に「死ぬ」という意味も掛けていることは映画のラストでわかる。ベンは「起きたらもう遅くって、その一日を駄目にするのはイヤだな。まっ、どうでもいいけど。」と冷ややかだ。エクスタシーのオーバードーズ(?)で死んだ冒頭の娘が運ばれてくる。ベンたちは服を脱がせ、足首に番号札を付して安置所に運ぶが、ベンはその死んだその美しい娘に見とれている。そして深夜彼女を個別安置庫から出すと、彼女を犯した。しかしそのショックで仮死状態だったのだろう、娘は蘇生する。監督は実際にあった同様の事件からこの映画を発想したらしいが、死姦であることはそれほど重要なテーマではない。その際の死体との性交が明確に描写されるわけでもない。重要なのはベンが死者と交わり、死者に生命を与えたことだ。