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2008.02.15
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カテゴリ: フランス映画
PERSONNE NE M'AIME
Marion Vernoux
95min
(所有VHS)

PersoneNeM'aime0.jpg

ここのところジャック・リヴェットの映画を見ているせいもあって、最近ビュル・オジエを見る機会が多いです。この人はリヴェット、テシネ、シュレーダー、ブニュエル、ルルーシュ、ガレル、デュラス、ファスビンダー、デ・オリヴェイラ、シャンプティエ、シェロー、シャブロル等錚々たる名監督の映画に出演しているので、どうしてもあちこちで出会うんですね。この人の出演作を追うだけで一冊の映画史が書けそうです。彼女は作品や監督を選んで出演しているのだと思いますが、この映画も小粒ながらなかなかの佳作だと思います。役どころ(や年令)は違いますが、演技(人物)のタイプとしてはブニュエルの『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』に近いでしょうか。人を喰ったような、周囲を気にしないような自分勝手さ、考えてるんだかおばかなのかわからない、そんなキャラクターは一種魅力的ですね。彼女以外にも、ベルナデット・ラフォン、ミシェル・ラロク(ミッシェル・ラロック)、ジャン=ピエール・レオー等、この映画は出演陣は豪華です。しかもどの女優さんも「美人化粧」ではなく「素顔化粧」で熱演しています。ジャン=ピエール・レオーも正にジャン=ピエール・レオーですね。

PersoneNeM'aime1.jpg

この映画は唐突に始まって、速いテンポでどんどん色んな人物があまり説明なく出てきて、しかも現在と過去の回想がモザイクされていて、人間関係とかを最初から明確にわかろうとすると大変です。でもしっかり見てさえいれば、身を任せているだけで自ずと人物の関係やその心理等が明確になってきます。解りやすく説明的に描かれるよりも、かえって各人物の気持ちなどが良く伝わってくる構成は巧みだと思います。そんな作りなのでストーリーを説明するのは難しい。 ややネタバレを含みますが、この映画を初めて見るさまたげにはならないと思います。 核になるのは映画のタイトル『だれも私を愛さない!』の「私」であるリオ演じるマリーでしょうか。彼女は27才で、未婚の母。自分の人生、特に男性との愛情問題などが上手くいかないのは母アニー(ベルナデット・ラフォン)のせいだと思っていて、7年前に喧嘩をして母アニーの家を出た。彼女の父親(つまり母アニーの先夫)は出てこないのでその辺はよくわからないけれど、母アニーの後夫のリュシアン(ジャン=ピエール・レオー)、つまりマリーの養父も今は母とは別れていた。人生の上手くいかない母アニーは昔の幸福を思うばかりで、現在を幸せに前向きに生きようとせず、飲んだくれの毎日。そんな母や生活にマリーは我慢できなかったんですね。それで家を出てからも7年間母娘は音信不通。マリーの小さな娘リリーはかつて一時関係を持ったピエールとの間の子供なのだけれど、そのピエールが、つまりはリリーの父親がパトリシアっていう女性と結婚することになって、その結婚式に参列するためにマリーはリリーを送り出す。ところが結婚式の会場からいつの間にかリリーはこっそり逃げ出して独りで街にさまよい出てしまう。

PersoneNeM'aime2.jpg

一方その頃、音信不通だからもちろんマリーがどうしているか、マリーに娘がいることもたぶん知らない人々なのだけれど、マリーの母アニーの妹フランソワーズ(ビュル・オジエ)は、アニーにそそのかされて出張中の夫ポールが浮気をしているのではないかを確認するために姉妹2人で古いキャンピングカーに乗って、仕事の会合が行われるという出張先のホテルへ向かう。2人が会合の行われたホテルに着くと夫ピエールは既に発っていた。このホテルは料理人の夫と妻クリクリ(ミッシェル・ラロック)が経営・切盛りするホテルだったが、クリクリはすべて妻に頼り切りの駄目夫に嫌気がさしていて、夫との関係もホテルも捨てて翌朝秘かに家出をしようと考えていた。そんな彼女と、いきがかりからホテルの老メイドで夫婦仲が良く、常時妊娠しているほどで十何人もの子だくさんのディズーも連れて、フランソワーズの夫ポールが泊まっているらしい英仏海峡岸のホテルへ向かう女4人の珍道中が始まる。

PersoneNeM'aime3.jpg

映画は基本喜劇のスタイルだけれど、女性監督の考察する女の人生の物語で、男、夫、子供、生活、仕事、そうしたことが、女4人ないしマリーも含めて5人、リリーも含めれば6人のそれぞれの思いを中心に描かれる。4人の珍道中は、4人それぞれ個性を持ったややエクセントリックな4人で、考え方も運命も違い、互いに共感、憧れ、反感等がありつつ、自分の、そして他の女の幸せを目指して進んで行き、それがマリーやリリーとも合流して最後に一つの物語(映画)に統合されている。女性監督の描いた女性たちの物語だから男性の影は薄いし、描かれ方も単純だけれど、ただ単に批判的に男たちを駄目男と描くだけではなく、女たちをも駄目女として描いているのが良い。そんな駄目駄目人間たちが等身大の我々であり、それでも前向きに自分や他人を大切に生きていく姿が描かれていて、なんか勇気を与えてくれる映画だった。

PersoneNeM'aime4.jpg




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Last updated  2008.02.17 06:50:35
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