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聞き間違いだとしたなら、果たして答えはいかに?前に職場の隣の課に、派遣の子が入った。若くてにぎやかな感じの、なんとなくギャルっぽい娘だった。あるとき同期のAちゃんとBちゃんの三人で話をしていた時、その子の話になった。どうやら、Bちゃんが言うにはその派遣の子が結婚しているらしいというのだ。私とAちゃんはもちろんその話を信じられなかった。派遣の子は20歳かそれより前くらいの年齢に見えたし、第一、そのギャルっぽい外見からとても結婚しているようには見えなかったからだ。しかし派遣の子と別の人が話をしていたのをBちゃんが聞いていて、派遣の子が結婚しているようなことを話していたというのだ。本人が言うのだから派遣の子は結婚しているのかもしれないが、結構Bちゃんは勘違いをすることがある性格なのでまた今回もBちゃんの勘違いではないかという気もした。この場合直接派遣の子に聞くのが一番手っ取り早いのだが、同じ課でもないし、特に付き合いもないので聞きづらい。数日後、Aちゃんが隣の課の上司と立ち話をすることになった時に、これを機とばかりにそれとなく派遣の子のことを聞いたらしい。「彼女って結婚しているんですか?」と彼女が聞くと上司はこう答えたらしい。「あ~、彼女はぽりこんだよ。」ぽ、ぽりこん?その上司はあまり滑舌がよろしくないのだが、Aちゃんには上司の言葉の「彼女は~」の後は「ぽりこん」という風に聞こえたらしい。早速「ぽりこん」の意味を調べてみたのだが、どこにも見つからずAちゃんが「ぽりこん」を他の何かの言葉と聞き間違えたのだろうということになった。なので派遣の子が結婚しているのかどうか分からない。そこでAちゃんと「ぽりこん」が一体何の聞き間違いなのか推測することになった。ポリコンなら「ぽ、りこん」で「ぽ、離婚」ということか。ということは、彼女は離婚したということなら、やっぱり彼女は以前は結婚していたということになり、Bちゃんの言うことは正しかったということになるのだろうか。しかし、「離婚」はいいが、「ぽ」って何だ?「ぽりこん、ポリコン・・・ポリ公?!」「ぽりこん」とは「ポリ公」という意味でポリス、ということなのか?彼女は結婚していて相手は警察官ということか?しかし、警察官を「ポリ公」って上司が言うのも変ではないか・・・。あるいは「ポリゴン」しかし、「結婚しているか?」という問いに「ポリゴン」では意味が通じない。その後、「ぽりこん」に似た言葉を探していき、「オリコン?」「ドリアン?」とどんどん「ぽりこん」から遠ざかっていく始末。結局、「これだ!」という「ぽりこん」に当てはまる意味も見つからず派遣の子は結婚していたのかどうか分からないまま。そして派遣の彼女は契約も終わり去っていき、「ぽりこん」の謎は迷宮入りに。ぽりこんって、一体何なのさー! 「ぶらんでぃっしゅ?」主人公の周りで飛び交う「ぶらんでぃっしゅ」という言葉。主人公は、生まれる前から意識があり、その時から「ぶらんでぃっしゅ」という謎の言葉を聞いてきた。成長して言葉を理解するようになり、「ぶらんでぃっしゅ」の意味が分かるようになるのだが、それでも主人公の周りでは「ぶらんでぃっしゅ」という言葉が飛び交う。何故主人公は「ぶらんでぃっしゅ」という言葉に反応してしまうのだろうか。はじめて読んだ作者でした。知人からこの作者のことは聞いていて、個性的な探偵がたくさん登場する話を書いているらしいとのことだったのですが、この作者の本は近所の図書館ではとんと見かけませんでした。しかし、先日はじめてこの作者の本を見つけ、借りたのがこれでした。どうやら、個性的な探偵は登場しませんでしたが、個性的な話ではありました。タイトル通り「ぶらんでぃっしゅ」という言葉がたくさん登場し、その意味を探るという話で、つまりはいろんな言葉が空耳で「ぶらんでぃっしゅ」に聞こえるということなのです。あまり書くとネタばれになっちゃうのですが、例えば「メインディッシュ」が「めいんでぃっしゅ」→「ぶへぇいんでぃっしゅ」→「ぶらんでぃっしゅ」になるという感じで、もうあまりにも多くの「ぶらんでぃっしゅ」に似た空耳の言葉がこれでもかこれでもかと登場します。なので、中には「ちょっとその空耳は苦しいだろう」という感じの言葉も登場して、まるで「ぶらんでぃっしゅ」の限界に迫るという感じで笑えます。主人公は言葉遊びが好きらしく「ぶらんでぃっしゅ」の他にも、いろんな言葉をもじって遊んでいて、作者の日本語の言葉に関するこだわりをひしひしと感じられる作品でした。こういった無理矢理なくらい言葉を空耳にするという、ダジャレやおやじギャグすれすれの行為が好きではなかったり、興味がなかったりする方にはつらい内容かもしれません。しかし、コンビニ店員を狙った謎の連続殺人事件など、ミステリーの要素もあり結構ストーリーの方でも楽しめると思います。作中にあまりにも多くの「ぶらんでぃっしゅ」の空耳が登場しますが、自分自身の「ぶらんでぃっしゅ」の空耳を考えるのも面白かもしれません。例えば、もしかして作中に登場してるかもしれないけど「ペカンナッツ」と「ギャランドゥです」なんかどうだろう?ちょっと苦しいかな・・・。
2006.01.30
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フェチなのか、何なのか分からないけれど、個人的に異様に好きな事柄として、「閉店間近の店に行く」というのがある。閉店間近の店に行くのが好きなんて、店側には迷惑だと思われたりするんじゃないかとか、閉店間近の店は、店員が客に早く帰れオーラを醸し出していて居づらいくて嫌と思われる人がいるかもしれないが、私の「好き」はそんなことを差し引いても余りあるくらいであるし、それに少々条件も付く。まず、店と言っても飲食店ではいけない。これは、飲食店の閉店間近は、閉店後の仕事が多いためか店員達に早く帰れと見張られているようで駄目。そして、入ったら何か買わずには出づらい雰囲気の小規模な店ではなく、ぶらぶら出来る大きな店、ショッピングモールなどが望ましい。小規模な店では、店員が一人ということもあり駄目。時間は閉店間近といっても、閉店10分前ではなく閉店30分くらいが良い。閉店も10分前になると店員がレジの清算を始めたりして慌ただしくなってしまうし、電気が少しずつ消えていったり、蛍の光が流れたりして寂しくなっていくので30分くらい前がベスト。そして、最も重要な条件として曜日は日曜日、もしくは祝日であること。この理由は後ほど。以上の条件が揃ったなら、閉店間近のお店へGO!私はそのめくるめく世界にもう、うっとりなのである。何故にそんな世界にうっとりなのかというと、雰囲気がたまらなく好きなのです。閉店を30分後に迎えた、どこか気怠くてまったりとした店の空気。しかしあと30分後には仕事が終わりだという店全体に流れる店員達の開放感。昼間は笑顔という鎧を着つつ、接客という武器を振って戦っている感じの店員さん達も、この時ばかりは戦いも終わりに近付き、体は疲れているものの戦い抜いた心地良さと開放感からなのか、武器を置いて鎧を脱いでくつろぎはじめる姿を見せはじめる。そして、店の中は明日の月曜日に備えて早々に家に帰った客たちのためにまばらで、そのせいか店員達が店のすみでおしゃべりを始めたり、戯れあったりし出す。昼間の客が多い時に店員達がこんな態度では、嫌な気分だが私には日曜日の閉店間近のこの空間では、許せるというか微笑ましいくらいだ。「ねぇー、伊藤君って血液型は何?」「えー、何型に見える?」「うーんと、O型かな~」「ええー!A型だよー!」「うそぉー!!見えなーい」「なんでだよー。俺結構几帳面じゃんー」などと若い男女の店員同士が会話を始めようものなら青春ですな!青春ですな!と「家政婦は見た」ばりの盗み聞きで私は一人至福の時を過ごす。やっぱりこの、まったりとした空気は、日曜日であるということが大切な気がする。土曜や金曜では、翌日がまだ続く感じがして明日を意識させられて、閉店でも店にはまったりとした空気が流れづらい。次の日がお店の定休日では無くても、人は長年の生活から日曜日が終わると、一週間がひと区切りされた感じがするのである。それはつまりは月曜日が一週間の始まりという気がするということなので、日曜日の閉店間近は本当に最後の時間という気がするのだ。それなので、恐らく店員達に隙が生まれ、店全体がまったりとした空気になるのではないだろうか。そしてなにより日曜日の閉店間近の時間は明日からの仕事に備えて、早々に家に帰る人が多いので店が空いているというのもある。早めの夕食を食べ終え、サザエさんも観終わり明日のブルーマンデーのことを考えて少々憂鬱な気分の日曜の夜の時間。だが、私はそわそわとし始めてしまう。どこかで、桃源郷のような至福のまったりした世界が繰り広げられているのかと思うといてもたってもいられなくなる。 「フェティッシュ」登場人物たちの前に現れる世にも美しい美少年。しかし、彼の周りには、謎めいた死がまとわりついていた。果たして彼の正体は?全体的に少し「あれ?」という感じでした。最初物語を読んでいて、ホラーなどの怪奇的な話になっていくのかなと思ってました。しかし、数々の謎を怪奇現象などでは終わらせなかったのはすごいと思ったのですが真相がいまいち、ぴたりとはまりませんでした。動機とかが、納得しづらかったし。登場人物も荒い描写だったというかあまり印象に残らなかったです。特に謎の美少年すら印象薄くて残念です。この謎に納得のいく真相というか、「あ!」と驚くくらいの真相だったならすごく面白かったと思いました。ううむ、残念。
2006.01.25
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果たして、犬の名前は?親と一緒にちょっと遠方の親戚へ、旅行のお土産を届けに行く。親戚の家のインターホンを押しても、なんの反応もなし。嫌な予感がよぎる。再び、押しても誰も出でくる気配はなし。ということは、つまり、やはり、留守ということか。なんで事前に親戚に電話しておかなかったのかと親が口論に。家からけして近い訳ではないので、簡単に出直して来るという訳にもいかない。「留守なのだから仕方ない」とならないのが、親たちらしい。往生際悪く、あきらめて帰る気にはならないらしい。親は勝手知ったる親戚の家とばかりに、玄関ではなく庭の方に回ってみようと、門を勝手に開けて入って行く。親戚と言えども、ご近所の人たちに見つかったら泥棒と誤解されないだろうか。おどおどしながらも、私も門を開けて入って行く。親戚の家の庭へ行ってみると、庭の茂みから茶色い影が飛び出して来た。親戚の家で飼われている茶色の柴犬だ。私たちを親戚だと覚えているのか、それとも泥棒や怪しい人だろうと誰にでも差別なしの精神からなのか、突然庭に入って来た私達を見て、警戒して吠えるどころかしっぽを激しく振って嬉しそうにすり寄って来る。親戚の家の庭から居間を覗いても人の気配はなし。退屈を持て余していたらしく、怪しさいっぱいどころか増量中な私たちにさえすり寄って来る柴犬。証拠は揃った!よし!親戚は留守!恐れていた事態をやっと受け入れた親たちとは対照的に嬉しくて庭を走り回る柴犬。犬は鎖ではつながれていなくて、門を閉めている庭を自由に走り回れるらしく、折れた花壇の花など、柴犬がやんちゃをした後が見てとれた。ふと、足下を見るとアルファベットの形に切りとられた板が散らばっていた。これも、柴犬がやんちゃをした結果らしい。多分、犬小屋に張りつけてあったのだろう。足下にあるのは「R」少し離れたところには「O」「R、O・・・ろ?」犬小屋に張ってあったなら、それはおそらく柴犬の名前。「ろ」が付く名前なのか?そこでもう少し離れたところを探すとありました、今度は「K」R、O、K・・・。ろっ、ろっ、ロッキー!!名探偵ばりの推理に確信を得て、「この犬の名前はロッキーじゃない?」と言って足下のアルファベットを指し示す。親たちはそれを見て、「ロッキー?」と眉をひそめる。親が私の意見に納得していないのは、見て取れたがどうやら親も柴犬の名前を知らない様子。「ロッキーって名前にしては、小柄で弱そうじゃない?」確かに、小柄な犬だった。「でも、名前をつける時って子供の頃じゃん!強そうになると思ってつけたかもしれないよ」と反論をしてみる。すると「コロじゃない?K、O、R、O、ね?」と言われる。確かに、見た目もロッキーよりはコロという感じだ。「えー、でもコロならKよりCじゃない?」「R、O、KならR、O、C、Kでロックという手も!」「でも、ここの親戚で音楽をやっている人がいるなんて聞いたことないよ」などと、論争になる。じゃあ、もっと他のアルファベットを探してみようということになり庭を散策し始める。怪しさはもうMAXだ。結局、他にはアルファベットは見つけられなかった。そこで、名前を呼んで反応を見てみようということになった。が、陽気な柴犬は全ての名前にしっぽを振る始末。その日は人様の庭に不法侵入した挙げ句、犬の名前を論争し、庭を散策して結局すごすご帰るはめになった。お土産はうっすら開いていた窓の隙間からメモを付けて差し込んでおいたが、柴犬の名前が分からず仕舞だったのが、こころ残りだ。R、O、K・・・。う~ん、ここから推理される犬の名前はなんだろう。 EDSとは、「警察では対応しきれない難事件や不可解事件を、市井の名探偵の知力を大胆に活用して、早期に解決しようー」として設立された施設。クリスマスイブにEDSで起こる事件。9人の探偵と(受付や医院長もあり)、9人の作家の合作。それぞれの作家さんの描く探偵は、次のとおり。石持浅海:院長室 加賀美雅之:怪奇推理科 黒田研二;スポーツ推理科 小森健太朗:外国人推理科 高田崇史:歴史推理科 柄刀一:不可能推理科 鳥飼杏宇:動物推理科 二階堂黎人:小児推理科 受付 松尾由美:女性推理科この施設は、警察では扱ってもらえなかったり、逆に警察で捜査に手間がかかり過ぎたり、警察の捜査では納得できなかったりした事件を、それぞれ事件に合った探偵さんが推理してくれるという公共の施設です。例えば、「犬の名前を知りたい」と受付で言えば、犬なら動物なので「動物推理科」へ回され、動物推理科の探偵さんに推理してもらうということなんですね。少々風変わりな施設ですが、作中では大盛況の施設です。みんな、謎を抱えているようです。さて感想というと私にはあんまりなじみのない作家さんたちでしたが、楽しめました。「小児?」「スポーツ?」などの想像がつかない推理科などがあり、どんな展開に?と不安になったものの、きちんと推理されていて良かったです。一番好きなのは、言動に笑えた「小児推理科」でしょうか。人がごちゃごちゃ描かれた表紙のとおり、内容も登場人物が多くてごちゃごちゃした感じでしたが、読んでいくうちに慣れていき、気にならなくなります。ごちゃごちゃした感じは、女性推理科の話の次には、小児推理科、そして歴史推理科の後にはまた女性推理科というように、話がいろんな科につぎつぎかわっていくので、話についていくのに少々戸惑うのです。しかし、かえってそれが一つの建物での出来事だと実感されて面白かったのですが。思ったほど作家間同士の話がリンクしていないので、少し複雑なアンソロジーという感じでも楽しめます。クリスマスに起こったEDSでの事件。恐ろしく時期外れですがクリスマスに、そうじゃない時期にもお勧めのミステリーです。
2006.01.15
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「どうして、みんなまじめにやらないの!音楽は楽しむものでしょう?不真面目に音楽をやったら、たのしくないし音楽に失礼でしょう?先生はみんなに音楽を知って楽しんでほしいの!」中学校の音楽の時間。音楽の先生が目に涙を溜めながら生徒たちに訴える。授業中に男子が不真面目な態度で授業を受けていた挙げ句の先生の激昂であった。音楽の先生は30代中頃。有名音大を卒業して、音楽教師に。ピアノ、声楽が得意な優秀な教師。近所にある優秀な人しか弾かせてもらえないという大型のパイプオルガンの演奏経験もあるほど。優しい旦那さんとの間に二人のかわいい子供をもうけ、幸せな私生活。学校の方でも普段は物腰も柔らかで、生徒たちとも仲が良い。少々熱血漢なところがあるが、優しい先生なので、生徒達に好かれている。そんな普段は滅多に怒ることのない先生が、怒っている。授業中、合唱で男子が唄わなかったのだ。思春期で変声期の中学男子ではよくある光景ではある。しかし音楽に対して真摯な先生であったので、男子の音楽に対しての不真面目な態度が許せなかったのだろう。普段は怒らない先生が怒ったのだ。先生の言っていることは、正しい。音楽は楽しむもの。合唱は唄うことによって音楽を体感するもの。それはみんなよく分かっている。男子もそれはよく理解していた。その証拠に次からはきちんと唄っていたのだ。しかし。だが、しかし。よく分かっているのだが、なんとも間の抜けた雰囲気が音楽室に流れていた。結局、そのあとの男子の真面目な態度のかいあって、授業は普段どおり滞りなく進められた。その間終始、音楽室には間の抜けた空気が漂っていた。授業終了後、教科書をまとめ音楽室から教室に戻る途中、友人がぽつりと言った。「人間さ、前歯が無いってだけで全てコントになるんだね」そう。音楽の先生は朝に前歯の差し歯が一本抜けてしまったらしく、今日一日前歯が一本ない状態で授業をしていたのだ。優秀な学歴、幸せな私生活、順調な学校生活、そんな幸せ要因を全て持っていたとしても先生は前歯が抜けていただけで、コントのような雰囲気になっていた。そのため授業中終始何事もいまいち締まらない空気になっていたのだった。どんなに、地位があって、どんなに、キャリアがあって、どんなに、教養があって、どんなに、人望があって、どんなに、容姿端麗であってたとしても、そしてそんな人がどんなにすごいことを言ったとしても、前歯が、前歯が一本無いというだけで、人は全てコントめいた雰囲気になってしまうのである。一番大切なもの。それは、愛であったり、友情であったり、はたまたお金であったりするかもしれないが、意外と前歯も欠かせないものである。前歯を大切に!! 「オルガニスト」音大でバイオリンの講師をしている主人公がある日手に入れた音源。そこには全米で活躍するオルガニストの演奏が入っていた。その天才的とも言えるオルガニストの腕前に主人公は驚く。彼には昔、天才的なオルガニストの友人がいた。しかし彼は主人公のあやまちにより、姿を消していたのだった。「第10回日本ファンタジーノベル大賞」受賞作です。私は「ファンタジーノベル大賞」関連の作品をだいたい3分の2くらいは読んだのですが、一番はやっぱり酒見賢一の「後宮小説」なのですが、この作品はその次に面白かった作品です。ファンタジー色があるのはもちろん、ミステリー色も結構ある作品なので続きが気になり一気に読めてしまいます。オルガニストの話なのでオルガンのことが書かれているのですが、ものすごく緻密に書かれていて、作者はオルガンに携わる人なのか?と思ってしまうほど。まあそこの部分は緻密過ぎて、少し飽きてしまうのも事実なのですが。しかし音楽は好きだけれどクラッシックは苦手な私でも、ミステリーと人物の描かれかたがしっかりしているので楽しめます。物語の世界の深さで言えば、「後宮小説」より上かもしれません。音楽好きな人はもちろんのこと、ミステリー好きな人にもおすすめの一冊です。
2006.01.10
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遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。昨年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いします。今年はじめての更新。めでたい、初更新。しかし、内容は新年やめでたさに全く関係ないです。今年も早々きまぐれっぷり発揮で申し訳ないです。さてさて、今回の冬は雪が多いですね。雪があまり降らない地元にも、今回はちらほら降りました。備えあれば憂いなし。ということなので、雪に備えてスノースコップを買うことに。私が自動車の合鍵を作りにホームセンターへ行こうとしたら、ついでに買ってきてと頼まれ早速車を走らせ近所のホームセンターへ。時は金なり。時間を有意義に使う為に、合鍵を作るのに時間がかかることを考慮して一番最初に合鍵を作りにカウンターに鍵を持って行く。「15分ほどで出来ます」思ったより早い出来上がりであることに満足して店員に車の鍵を渡し、その間スノースコップを買うことにする。建物から出た入り口付近に大小様々なスノースコップが陳列されていて、そこから少々吟味する。スノースコップは小さい方が持ちやすいけれど、雪をかくのは大変そうだ。それならば大きい方が持ちづらいけれど、雪を大量にかけるので良いのか。大は小を兼ねると言うし、大きめのスノースコップを買うことにした。スノースコップを建物内のレジへ持って行き、会計を済ませ時計を見るとそこでさっきから5分経過していた。鍵が出来上がるまでまだ10分あったので、かさばるスノースコップを車に積んで来ようと駐車場へ行き車の前で、ふと気付く。鍵が!車の鍵が!ないであります!!鍵は合鍵を作る為に渡したんだった!!鍵が無ければ、車のドアもトランクもあけられない。合鍵が出来るまであと10分。外で待とうにも、冬の大寒波。店内で待つか?しかし、かさばる大型のスノースコップを持ったままで店内をうろつくのもなぁ。結局、北風の威力には勝てず、店内へ。なるべく、人が少ない店の奥の農作業コーナー付近でこそこそ10分が経過するのを待った。大型スノースコップを持ってこそこそしていても、怪しすぎるので農作業グッズでも眺めているふりをする。しかし、これがスノースコップで良かったよ。まだ、スノースコップを脇に抱えているくらいならみうらじゅんの「いやげもの」に登場する「穴堀おじさんのペン立て」のようで愛嬌があるじゃないか!そうだ、スノースコップで良かった良かった。これが、電気チェーンソーや大型鍬だったら大変だったよ。チェーンソー持ったまま店内うろついていたらジェイソンみたいで警戒されそうだし、大型鍬じゃ、一揆でも起こしそうだしな。などと、苦しいながらも自分をなぐさめる。なんて長い10分。こんなときに限って大型のスノースコップを買ってしまう自分のナイスな選択に涙がにじむ。せめて小型にしておけば・・・。今年はこんな間抜けさを直したいと早速目標が出来ました。 「ネクロポリス」日本とイギリスが融合したような世界のv.ファーで行われる行事「ヒガン」に大学生のジュンイチロウは調査をしに行く。それは死者に逢うことが出来る行事だった。しかし今年は血塗れジャックなる殺人者のこともあり、通常とは違った行事になり・・・。紹介にはファンタジーとあったけれど、ファンタジーよりホラー色の方が濃かったように感じました。外国のファンタジーで例えるならホラー気味の「ペギー・スー」にミステリーが混ざった感じかな。ファンタジー好きには少々毛色の違った感触でした。それはファンタジーにミステリー要素があるといったよりは、先にミステリーがあってそれにファンタジーを当てはめた感じがするからでしょうか。なので、ミステリーとして読むと面白いです。・・・最初の方は。恩田さんの作品は、作品の最初の方の物語の広げ方がものすごくうまいというか、もうどうなるんだろうと夢中で読んでしまいます。なので、その反動も大きい為か、後半部分特に結末に「あれ?」と感じてしまうことも多々あってしまうのです。残念なことに私は今回もなんとなくそんな結末だったと感じてしまいました。ただ、人によってはこの結末で良いと感じる人も多いと思うので、結末は人それぞれの感じ方でしょうか。ただ、この作品は、シリーズというよりは主人公や他の登場人物が別の話で登場しそうな感じがするので、読み終わっても先が楽しみな作品でもあります。死者と出会うことの出来る「ヒガン」の薄暗い雰囲気が作品全体から伝わってくるので、雰囲気はたっぷりです。少し、ホラーなミステリーを味わいたい方に是非。
2006.01.05
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