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あれは桜舞い散る、ウン数年前の春のこと。演劇部の扉を叩く私の姿がありました。高校に入学したて、さあ部活はどうしようかと思ってた頃。昔から演劇が好きで女優を志していたという訳でもなく、運動部以外で何か良い部がないかな~と、軽い気持ちで担任におすすめの部を聞いた答えが、演劇部だったので入部を決めただけという真相だったけれど。その担任は自分が顧問である美術部を勧めたことは言うまでもないが、演劇部の顧問の先生はすごく優しくて良い人柄だよと言っていた。なので私は優しいなら、さぼっても怒られたりしないだろうから良いか~、と邪な気持ちで演劇部に入部を決めたのだった。するとクラスの友達が、私の友達でも演劇部に入りたいって人いるから一緒に入部したらとその子を紹介してくれた。その子は小川さん(仮名)と言って、隣のクラスのだった。友達が「小川さんは、中学時代学級委員をやってた」というとおり、小川さんは髪を後ろできゅっと一つに結んでしっかり者という感じの人だった。お互い自己紹介して、入部届けを持って演劇部に着く頃にはすっかり打ち解けていた。そして部室に入ると、そこは入部希望の新入生でひしめき合っていて、小川さんと私は少し畏縮して部室のすみの方でじっと待っていた。すると、部長らしき人から集合の号令がかかり、担任曰く優しい顧問の先生が登場した。顧問の先生は噂どおりで、はきはきというよりは、ふんわりとした雰囲気の優しいそうな感じだったので安心した。顧問の話が終わると、部長らしき人が再び登場し、「柔軟体操の後は、発生練習、その後新入生のブメイ決めるから」と、こちらははきはきした調子でみんなに伝えた。ん?ブメイって何だ?私ははじめて聞く言葉に戸惑いつつも、上級生に手伝ってもらいながら柔軟体操を行った。そして発生練習の後、「これからブメイ決めるから、新入生は呼ばれたら一人ずつ私の所に来てね」というではないか。一人ずつってちょっと恐いかも、と思っていると、既に呼ばれた子は奥の方で先輩達に囲まれて何か話をしているようだ。これはやっぱり新入生を一人ずつ呼んでお説教でもしているのかもと、どきどきしていると、やがて私も名を呼ばれることとなった。恐る恐る奥に行くと、部長らしき人を中心にして4、5人の上級生達がまわりを囲んでいた。教育的指導と言う名の新入生いびりでも行われるのかと、はらはらしていたら部長らしき人は「趣味は何?」っと意表をつく質問をしてきたのだった。戸惑いつつも私はその当時はまっていた「・・・お菓子作り、です」と答えると「好きな食べ物は?」「特技は?」「何色が好き?」などとまるで友達のようなフレンドリーな質問がなされた。そして「何月生まれ?」と質問されたので「9月です」と答えると「9月って、セプテンバー?あれ?ノーベンバーだっけ?」と9月の英語名について上級生同士でしばらく盛り上がった。私は上級生達のこんな質問意味を計りかねて、戸惑っていると部長らしき人が言った。「ノーベンバー、ノーベンバー・・・ん~、じゃああなたのブメイはノーベンバーから取ってノンね」ノン?ブメイ?部名とはもしかして部活での名前ってこと?その時はじめて私は「ブメイ」とは「部名」であることを知ったのだった。部名はどうやら先輩達が新入生と話をして、会話や見た目の印象やニュアンスなんかで決めるみたいだった。ノン・・・。私の部名がノン?私の部活での名前はノン・・・。ちょっと待って、っていうか9月はノーベンバーじゃなくセプテンバーだし!という突っ込みをなんとか飲み込み私は他の新入生達のところへ戻った。すると、もう既に部名が決まったショートカットで小動物系顔をした新入生が親しげに「部名何になったの?」と話かけてきた。「の、ノン」と私はまだ慣れない部名を答えるとその子は「私はチップ、よろしくね」と少し大きい前歯を見せて笑った。チップ・・・、もしかしてその子は小動物系の外見なのでチップとデールから取ってチップなのか?周りを見るとどうやら、部名で戸惑っているのは私だけみたいだった。しかし、部名と言ってもそんな名前どの程度浸透してるのか。だって、チップだの、デールだのって。きっと、日本女子バレーのプリンセスメグやパワフルカナくらいの浸透率(つまりあまり浸透してない)だよと思っていると、ふと周りからこんな会話が聞こえてきた。「ローラ先輩これどこに運べばいいですか~」「それは、倉庫に運んで置いて。でもオリビア一人じゃ重くて大変だから私も手伝うよ」「そんなローラ先輩に重いの持たせるわけにはいかないですよ。きららに手伝ってもらうので大丈夫です」「遠慮しなくていいよ~。それに私、前にムラサキに馬鹿力って言われたことあるんだからこれくらい余裕で持てるよ」ローラ先輩ににオリビアって・・・。部名、めちゃくちゃ浸透してるよ!!浸透しきってるよ!ローラ先輩にオリビアにきららにムラサキかぁ・・・。そして私はノン・・・。そんなこんなで、その日、新入生は部名決めの後は、解散になった。私は部名という衝撃に打ちのめされたまま、小川さんと一緒に帰り道を歩いた。私は帰り道、小川さんに部名の事を聞いてみた。心とは裏腹に部名というものがあるって知らなかったよ~と明るい感じで言ってみたら、小川さん曰く部名は演劇部に昔から伝わる伝統みたいなものらしい。そして小川さんに私の部名を聞かれたので「の、ノンになった」と未だに慣れない部名を告げると「私の部名はプリンになったよ。明日も一緒に帰ろうねノン」と笑顔を向けられた。その日私は結局小川さんをプリンと呼ぶことは出来なかった。そして家に帰ってから私は、苦悩した。優しい顧問、でもチップ・・・。アットホームな雰囲気の部活、しかしオリビア・・・。フレンドリーな上級生達、なのにローラ・・・。仲良くなれそうな小川さん、何故にプリン!そして私はマドモワゼル、ノン!!小川さん、好きな食べ物をプリンとか言ったのか?先輩がローラ、オリビア、きららにムラサキ。同級生はチップ。小川さんがプリン、小川さんがプリン、プリンが小川さん・・・。一晩苦悩した結果、やっぱり、私には無理ー!!次の日、部室には退部届けを提出する私の姿がありました。 「チョコレートコスモス」東響子は、若くして実力も人気も手にしているベテラン女優。無名の学生劇団に天才的な演技を持つ少女、飛鳥が入団する。二人の少女を軸に舞台にかける女優達の演技が繰り広げられる。「ガラスの仮面」のオマージュとも言える作品ながら、恩田テイストたっぷりに読ませてくれました。テンションは高めなので、最後まで気の抜けない感じで読めます。登場人物達もそれぞれ個性的で楽しめます。少し気になったのは響子と飛鳥の二人が主人公っぽいのですが、どちらかというと響子の方が主人公っぽかったというかきちんと書かれていた感じがしました。あと、最後が続いているような感じで終わっていたので、きちんと話の決着を付けて欲しかったです。「ガラスの仮面」のオマージュは良いのですが、これじゃあ未だに終わらない「ガラスの仮面」と同じなので、恩田さんなりの「ガラスの仮面」の結末を見たかったです。でも、文章でこれだけ演技を奥深く表現しているのはさすがです。「ガラスの仮面」にはまった人はもちろんのこと、まだ「ガラスの仮面」を読んだことのない人もおすすめです。
2006.06.21
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「いい加減にしろよ!全く何考えてるんだよ!二回目だぞ!二回目。大体一回目だったら、うっかりで許されるところだけれど、二回目になったら、うっかりどころか意図的、もしくは真性の間抜けだとしかないだろ!犬だってこんな間違いを二度もやらねーっつうの!ったく学習能力は犬以下だな!おい!」なんて言っているよ、私の左手の人指し指が。そう、以前にカッターで左手の人指し指の先を少し切り落としてから数年後、先日また指を切ってしまった。といっても今回もそんなにひどくはなかったので幸いだったけれど。まあ今回は、指の先ではなく、爪を半分近く包丁でそ削ぎ落としてしまったのだけれど。本当に、左手の人指し指が言っていることは、全くもって理解出来るというか、もう本当に申し訳ないです。いつも、いっつもこういった刃物の被害を被っているのは左手で、特に人指し指が一番のデンジャラスエリア。夜道の一人歩きも危険と言われている昨今だけれど、なかなかどうして、結構身近なところで左手人指し指の親指側先端部分も魔界都市さながらの危険区域かも。本当にこんな身近なところに魔界都市がって感じで、白菜を普通にざくざく切っていたら、指までざくざく切ってしまった。それでも二回目だからか、切った直後はあまり痛みを感じないからなのか、最初は、またやっちゃったよ~って感じの軽い気持ちで、血がどんどん溢れて止まらなくてもちょっとちょっと血が止まらないよ!止まらないのはロマンティックだけにして!と余裕をかましているうちに、痛みもどんどん増すことに。最初の余裕も嘘のようにもうその頃には、「パ、パトラッシュ少し休ませて・・・」とそっと横になって痛みに耐える始末。病院はもう閉まっている時間だったので、もう寝て忘れるしかないとばかりにそうそうと床に付き、翌日も血が止まってなかったので、早速病院へ行き、強面の先生の「痛かったねぇ~」の言葉にやっとひと心地つけました。「失恋の痛みは何度経験しても慣れない」とよく言うけれど、なかなかどうして、この左手デンジャラスゾーンの痛みも慣れないことよ。けれど、慣れないのは本人だけで周りの人たちといえば二回目ともなると、さすがに慣れたよいうよりは、あきれたのか最初の時ほどあまり労ってくれない感じでした。まあ、私の左手があきれてるくらいだから当然か。で、今回のことで教訓というか強く思ったことはと言えばもし拷問にあって爪を剥がされそうになったら、迷わず仲間売るよ!ということ。ごめん、私、仲間売っちゃいますよ。だって、爪の半分削がれただけでそりゃもう痛かったんだもん。本当にごめん、仲間も左手人指し指も。 「クビキリサイクルー青色サウ゛ァンと戯言遣い」天才ばかりを集めた孤島に住む令嬢のところに招かれた天才少女の玖渚友とその付き添いの主人公である「いーちゃん」。しかしそこで天才を狙った、首なし連続殺人事件が起こることになる。知人がこの作品が好きで、周りでも何かと話題になっていたので、ずっと読んでみたいと思ってました。しかし、悲しいことに近所の図書館にはシリーズの途中しか入って居なく泣き寝入り(違うか)でしたが、このたびめでたくこの作品を図書館で発見。早速借りてみました。表紙からライトノベルなことは一目瞭然なので、そのつもりで読んだせいかでライトノベルの世界に違和感はあまり感じませんでしたが、なんとなく私は主人公が好きじゃないかも。主人公の少し屁理屈めいた考えなどは結構好きなのですが、なんだかネガティブというか、自分の中の闇の部分に優越感を感じているようで、でも罪悪感も持っているようなことを心の中でぐるぐるまわっているという感じはあまり共感出来なかったです。多分中学くらいに読んだのなら、すごく共感できたかも。しかしもう学生時代すら霞んで来たこの歳になると、会社の人たちには年賀状一日に届けなければならないし、黙ってても自動車税も来るしで、もう罪だの闇だのでまわってる暇ないのですよ。う~ん、でもこんなこと感じるなんて大人になったというよりは、荒んで来た感じで悲しくもありますが。ちょっとあり得ないキャラクターの登場人物が多いのを、魅力と感じるか余計だと感じるかは人それぞれだと思いますが、後半はミステリーとして面白く読めました。そこまで考えなかったな~という感じでミステリーとしては良かったと思います。ライトノベルが好きな人、ミステリーが好きな人、もちろん両方が好きな人に是非おすすめです。
2006.06.02
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