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December 27, 2009
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カテゴリ: 本・TV・WEB×わたし
アンパンマンがポカッとばいきんまんを殴っても、


けど、アンパンマンが私を殴ったら、復活できるかわかんない。
というか、本当になぐった勢いで遠くまで吹き飛ばされたら、命がないことは確実だろう。

アンパンマン流の「正義」は、アンパンマンの世界の中では成り立つけど、
アンパンマンの世界から飛び出すと危ういものとなる。

誰かにとっての「正義」は別の誰かを傷つけ、立ち上がることもできなくするかもしれないこと。
これまであまり意識したことはなかったけど、そうなんだなぁ、と。


先日、赤十字シンポジウム2009という番組を見た。

大沢あかねさん、井上忠男さん。

赤十字思想誕生150周年を記念して開かれたものだったそうだけど、
お話自体も興味深く、「あ、それは知らなかった」という発見もあった。

興味がわいたのは、グローバリゼーションでおとしめられている人、という部分では、
イラクやアフガンの自爆テロと秋葉原の無差別殺傷事件は心理的類似性がある、という話。

自分が不当に扱われている、ということを、その事と関わりのないひとを殺めることで表現したら、
結局表現した当人よりもっと酷い扱いを被害者に強要するってことになる。

どんなふうにあらわしたらいいかわからないかもしれないけど、
しどろもどろでもいいから、あらん限りの声量で「不当だ」と言い続けることなんだろうと思う。
誰かに思いが伝わったと感じられれば、不当な扱いそのものがなかなか変わらなくても、
変わる可能性を信じることはできる。



以下、池上彰さんと、姜尚中さんのやりとりを抜粋。

姜さん:赤十字の中には、ジャスティスというか正義というのはないんじゃないでしょうか。

池上さん:ん?!赤十字には正義はない???

姜さん:いやいや、(中略)正義というのは法的な概念ですから、
     やっぱりそこにはジャッジメントがあるわけですね、これはいいか悪いかという。


       いいか悪いかというところを判断する…
       ジャスティスがないというと、なにかすごいマイナスのイメージに聞こえましたけど、
       そういうわけではないということですね。


赤十字の基本原則は「人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性」の七つなのだそうだけど、
「正義」というのはあえて入れてないのだという。

赤十字が人道支援をする戦闘地域に、たとえばA陣とB陣があるとき、
AとB、それぞれの側の正義があるから、正義を原則に掲げると埒があかなくなる。

正義なのか、不義なのかという二項対立の分類は、その判断がしづらい人たち
(戦闘地域の民間人)に、支援の手を差しのべるときの妨げになる。
「良さげな人は助けるけど、なんとなく悪そうな人は無視。」となりかねない。

正義のもとに裁く、といった概念は、今生きるか死ぬかの瀬戸際に立っている人にとっては、
相容れないというか、「そんなのはいいから助けておくれ」という、そんなものなのだ。

赤十字の役割は、人道や博愛を、具体的な技術(医療面での支援など)と
ネットワークの力で体現することであって、正義の裁きは他(国連とか)に委ねるというのが、
基本姿勢なのだそうだ。

私にとっての赤十字は、献血と名前のついた病院があるくらいのイメージで、
心理的には遠い気がしていたけど、ちょっと親近感をもった。


世の中には立派なひとがたくさんいて、社会の中で正義を担ってくれる人がいてくれるおかげで、
それなりに平穏な日々が過ごせている。とてもありがたいと思う。

けれども、うちでウトウトうたた寝をしたらタイホされたり、友達に「なんだ、ばかやろー」
と言ったそばから侮辱罪で訴えられたら、ノイローゼになっちゃう。
やっぱり、立派なのはほどほどがいい。

ある詩のなかに、こんな一節がある。

>立派すぎることは
>長持ちしないことだと気付いているほうがいい
>完璧をめざさないほうがいい
>完璧なんて不自然なことだと
>うそぶいているほうがいい

誰かに立派であってほしいとか、完璧であってほしいとか望むことには、
どこかに裁きのニュアンスが漂う。(Aさんは立派である、または、立派じゃない、みたいな。)
裁きは法を司るひとたちにおまかせすればいいのに、ときどき周りの人を自分の正義のもとに
心情的にきってしまうことがあるなぁ、と最近少し反省した。

私のサバキは食べるお魚にすりゃあいいことだ、って。

それから、「自分は立派でありたい」と思い過ぎるところがあるわ、というのも思った。
必要以上にそう思えばおもうほど、自分で自分が嫌になる。
嫌になっちゃうくらいなら、余計な「立派でありたい」気持はごみ箱に放り込んだほうがいい。

そんな意味で、「正義」も「立派」も「完璧」も、状況によって使い分けができないと、
誰かを生き辛くさせるデンジャラスなものなんじゃないかと思うのだ。


赤十字でやっている献血。毎日やろうと思えば、できるひともいるかもしれないけど、
現実としては厳しいところがあると思うし、募金だってできる範囲には限りがある。

番組の最後で、姜尚中さんが、ご自身の考える「思いやり」とは何ですか?と問われて、
「働く中でぎりぎりのところでする、情動的な働きかけの余地」と仰っていた。
私もぎりぎりで、ギリギリ言っちゃいながら、ご立派すぎない働きかけがしたいと思う。

で、さっき友達に電話して、働きかけってゆーのを楽しんで、やる気をおすそわけしてもらった。
人とのつながりを大事にして、時々は募金するくらいが今んところの精々だけど、
ひとまず続けるようにつとめようと思うのでした。

余談ですが、姜さんはアンパンマンがお好きなのだそうです。
私も「アンパーンチ☆」は困るけど、アンパンマンはかわいいと思います。
それから、ばいきんまんもいじめないでほしいです。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091116/crm0911161831027-n1.htm
↑こういうのね。





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Last updated  December 29, 2009 02:10:28 AM
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