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「相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン」2008年 日本映画監督 和泉聖治出演 水谷豊 寺脇康文 川原和久 山西惇 六角精児 岸部一徳 鈴木砂羽 益戸育江 西田敏行 木村佳乃 本仮屋ユイカ 松下由樹 津川雅彦 平幹二朗 さて、みなさんの予想通り、前回の「相棒-劇場版II-」に続きまして、今回は「 I 」です。TV放送を録画しておいたものをやっと観ることができました。 人気ニュースキャスターの死体が電波塔に吊るされた事件が発生、現場に“f6”という謎の記号が残されていたことを“特命係”の杉下右京(水谷豊)は見逃しませんでした。 右京と相棒の亀山薫(寺脇康文)はこの謎の猟奇殺人を捜査したがっていましたが、左翼過激派“赤いカナリア”から手紙爆弾を送りつけられた衆議院議員片山雛子(木村佳乃)の警護を命ぜられます。 警護中、片山雛子の乗る車が突如襲撃を受け、右京と薫はそれを間一髪で阻止します。しかし、そこにはニュースキャスター殺人事件同様に、謎の記号が残されていたのです。 2つの事件を結びつけた特命係の2人は、一連の事件がインターネット上のSNSサイト内で行われる擬似裁判で死刑判決を受けた著名人を狙った連続殺人事件であることを突きとめ、同時に連続殺人事件の被害者達を訪ねまわる女性の存在を知ります。 現場に残された記号がチェスの棋譜であることを知った右京は、犯人が薫の妻・美和子(鈴木砂羽)や右京の元妻で“花の里”のママ・たまき(益戸育江)も参加する、東京ビッグシティマラソンをターゲットにしていることを掴みます。 そして被害者達を訪ねまわっていた女性・やよい(本仮屋ユイカ)が武藤弁護士(松下由樹)に保護されたことを機に事件の犯人とその犯行の目的が明らかになります。 そして、一連の犯行の背景には、5年前、一人の青年がエルドビアで反米勢力に拉致されるが、国に見殺しにされた事件があることが明らかになってきます。 水谷豊、寺脇康文、川原和久、山西惇、六角精児、岸部一徳、鈴木砂羽、益戸育江らレギュラー陣はもちろんのこと、西田敏行、木村佳乃、本仮屋ユイカ、松下由樹、津川雅彦、平幹二朗ら、(ドラマシリーズですでに出演していた人も含め、)ゲスト俳優陣も豪華で、紛争地帯へ潜入するNPOと自己責任問題、大都市を舞台にした一大イベントと爆破テロ、ネット上に暗躍するブラックサイト問題など、非常にタイムリーな時事ネタを盛り込み、TVの人気番組の初映画化ということで、非常に力が入っていることがわかります。 右京さんの見事な推理と薫の体を張ったアクション、やっぱり1代目の息の合った“相棒”ぶりもたっぷり堪能できますし、“花の里”のシーンや、どうしても皿を戻してしまう小野田官房長(岸部一徳)と右京さんの回転寿しでの名物シーン、そして、“ミスター捜一”伊丹刑事(川原和久)の薫もびっくりなアクションシーン(いつもの「特命係の亀山ぁ~~」という叫びがなかったのはちょっと寂しかったけどね。)、「相棒」ファンが喜びそうなシーンもしっかり盛り込んで、なかなか楽しめる作品でした。そうそう、珍しく右京さんが体を張るシーンもありますよ。 しかし、力が入り過ぎているせいなのか、いろいろと盛り込み過ぎているせいなのか、ストーリー的におかしなところ、ご都合主義なところなど、いろいろと気になってしまいました。 ツッコミどころはたくさんあるのですが、1つ1つ挙げていったらキリがないので、大きく3点について突っ込ませていただきます。 まずひとつは、チェスのくだりについてです。 電波塔につるされた元ニュースキャスターの死体が発見されたことから始まる連続殺人に残された“f6”などの謎の記号、右京さんがチェスの棋譜だと気付き、メールで犯人とコンタクトをとって対局したゲームの最終形が、東京ビッグシティマラソンのコース図になっていることから、犯人が東京ビッグシティマラソンをターゲットにしていると気付くくだりのことです。 これって、警察側にチェスがわかる人、しかも右京さんのようなかなりの腕前(双方がかなりの腕前でなければ、最終形を思った通りの形にすることが不可能なため)な人がいなければ、どうしようもないことですよね。もし、警察にチェスがわかる人間がいなくて、謎の記号の意味が分からないまま、東京ビッグシティマラソンの日が来てしまっていたらどうなっていたのでしょうか。 2つめに、犯人のターゲットが東京ビッグシティマラソンだと分かったというのに、なぜ中止あるいは延期せずに、すんなりとスタートさせたかということです。 犯人のターゲットは、30,000人のランナーと150,000人の観客なんですよ、その目的を果たすために、最も効果的なのは、競技場に全ランナーと満員の観客が集まるスタート時ではないでしょうか。 なぜ、右京さんをはじめ警察の方々はそんなことに気付かないのでしょうか。 なぜ、大会を中止あるいは延期して、スタジアムを徹底的に調べたり、スタジアムに入ってくる観客や選手の持ち物チェックなどをしたり、捜査員を大量に配置して警備させたり、といった策を講じることなくマラソンをすんなりスタートさせたのでしょうか。理解に苦しみます。 3つめに、ネタバレになるので、詳しいことは書かないでおきますが、結末についてです。 ラスト、犯人にも同情の余地があるような形でお涙ちょうだいのような結論に持っていっていますが、なんか、物語の序盤で、3人の人間が殺されている(片山議員については特命係の2人の活躍で未遂に終わっているので、実は狙われたのは4人です。)ことが、すっかり忘れられているということです。 そうです、この犯人、最後に自ら捕まるような形で恭順しているのですが、はっきり言って3人の人間をすでに殺しているのですよね。かつての事件の復讐を果たすために狙った5人のうちの3人を殺しているのです。 しかも、詳しいことは書けませんが、実行犯への直接的な復讐ではなく、はっきり言って逆恨み的な部類の復讐ですよね。 絶対的正義の追及を身上とする右京さんでなくても、許すことはできないのではないでしょうか。 ということで、結局、「絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン」という副題が付いていますが、東京ビッグシティマラソンに関しては全く危なげなかったということも含め、ストーリー的におかしなところだらけという、推理ドラマとしてはあるまじき作品だったというお話でした。 ところで、伊丹刑事役の川原和久さんは、今回のアクションをこなすために、モーターボートの操縦をわざわざ習いに行ったということです。さすが“ミスター捜一”ですね。
2013.11.21
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「相棒 -劇場版II- 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜」 2010年 日本映画監督 和泉聖治出演 水谷豊 及川光博 川原和久 山西惇 六角精児 岸部一徳 神保悟志 宇津井健小澤征悦 小西真奈美 國村準 石倉三郎 名高達郎 あぶないあぶない、気が付いたら1か月(正確にはあと1日)更新していませんでした。 言い訳になりますが、仕事の部署が変わって、忙しくなった上に、体がなかなか慣れなくて、帰るとすぐに寝てしまうという生活が続いて、映画をろくに観ていないというのが実情で、このブログを楽しみにしている皆様(いるんか、そんな人?)には、非常に申し訳ない状況だったわけです。 ということで、先日なぜかやっていた“相棒まつり”のため(新シリーズ「相棒12」及び来春公開の「相棒劇場版III」の宣伝のために決まっるやんけ!!)、TV放映していたこの映画を、やっと新部署に慣れてきて余裕ができたために、観ることができたということです。(録画しておいたのは言うまでもないことです。) 日本警察の要所・警視庁本部内で、前代未聞の人質籠城事件が発生します。人質は、田丸警視総監、長谷川副総監(國村隼)を始めとした幹部12名です。 現場となった会議室は機動隊と特殊捜査班SITによって完全に包囲されますが、犯人の動機は不明で、要求もないまま、いたずらに時間が過ぎていきます。 偶然犯人の侵入に出会ってしまったため、いち早く事件に気づいたのは、特命係の神戸尊(及川光博)です。 神戸と杉下右京(水谷豊)は会議室内の様子を把握することが肝心と、鑑識の米沢守(六角精児)らの協力を得て、誰も予想しなかった奇策に出ます。 一方、捜査本部では、幹部たちが囚われているため思うように進展しない事態に、捜査一課の伊丹憲一(川原和久)らが苛立ちを募らせていました。 そこへ情報を入手した右京が現れ、籠城犯が元警視庁刑事の八重樫哲也(小澤征悦)だと判明し、籠城前に神戸が八重樫から助け出した女性が総務部装備課の朝比奈圭子(小西真奈美)であることを突き止めます。 その時、緊迫する会議室内から2発の銃声が響きます。右京の強硬な反対にも関わらず、SITと機動隊員たちが会議室内に突入し、事態をむりやり終結させたのです。人質は無事に保護されましたが、八重樫は突入のドサクサで暴発した銃で命を落としてしまいます。 籠城した八重樫の目的は何だったのか?大河内監察官(神保悟志)の事情聴取に対しても、12名は言葉を曖昧にしたままで、何の証言も得られません。 全員が一様に口を閉ざすことに疑問を抱いた右京と神戸は、角田課長(山西惇)らの協力を得て、独自に幹部たちへの聞き込みを開始します。 一方、事件の報告を受けた警察庁幹部の小野田官房室長(岸部一徳)は、金子警察庁長官(宇津井健)とともに、不穏な動きを見せ始めます。 そして、籠城事件の背後には、八重樫や圭子が関わった過去の大きな事件が関わっており、衝撃的な真実が徐々に明らかになってくるのです。 いやあ、面白かったです。 右京さんの推理と大胆な行動で徐々に明らかになっていく真実、推理ドラマの醍醐味をじっくりと味わうことができ、特命係成立のいきさつ、右京さんと小野田官房長の関係性、右京さんの“絶対的正義”と小野田官房長の“大局的正義”の対立、警察庁と警視庁の確執、などなど、見ごたえのあるドラマで、知的好奇心を揺さぶられる、面白い作品でした。 しかし、例によって気になった点が少しあります。 ひとつめは、キャストの問題です。 今回劇場版ということで、名の通った俳優陣がゲストとして登場してきます。小澤征悦、小西真奈美、國村準、石倉三郎、名高達郎といった面々です。 これらの方々が、話の本筋に深くかかわっていることは、当然のことながら明らかで、事件の謎を考えながらドラマを味わうべき、推理ドラマとしてはそれがちょっと障害になってしまっているということです。 例えば、今回の事件では、犯人八重樫が警視庁幹部12名を人質にし、会議室に籠城した動機に関わって、ある影の存在の正体が重要になってくるのですが、はっきり言って、キャストからバレバレなんですね。(ネタバレにならないように苦心して言葉を選んでいます。) これは、推理ドラマとしては、非常に問題でしょう。 かつて、横溝正史の金田一耕介シリーズの映画化・ドラマ化がブームだったことがあります。石坂浩二さん(カイト君のお父さんですね。)や古谷一行さんが金田一探偵を好演して、非常に話題でした。 当然、推理小説の映画化ということで、その犯人というのは、最重要機密であるわけですが、残念ながら、キャストでバレバレだった、ということがよくありました。(だいたい3,4番目にベテラン女優とかの名があったら当たりでした。) まあ、はっきり言って、予算の都合とかしょうがない部分もあるのでしょうが、せめて幹部12名の中にあと1,2名大物を入れておくとか、もう一工夫ほしかったなあ、と思いました。 もうひとつ気になったのは、「相棒」シリーズにおいて、右京さんの“裏相棒”とでも言える岸部一徳演じる小野田官房長の処遇についてです。 詳しくはネタバレになるので書きませんが、はっきり言って衝撃でした。 右京さんと小野田官房長のただならぬ関係は、シリーズの裏に流れる重要なテーマでした。彼らが2人が食事するシーン(特に回転ずし)は、「花の里」のシーンとともに、シリーズの名物シーンであり、2人の間にかつてただならぬことがあったことは明らかで、その謎はシリーズの根底に流れる、大きな流れだったはずです。 この映画で、その謎がはっきりし、はっきり言って無理やりな形でその関係に終止符がうたれたというのは、いかがなものかなあと思うわけです。 というのも、この映画は人気ドラマシリーズの劇場版であり、はっきり言って、イレギュラーな存在です。ところが、そのイレギュラーな場で、シリーズに重要なレギュラー・キャラクターがああいった形になるということはいかがなものか、ということです。 劇場版を観ていなくて、TVでしかシリーズを味わっていないファンの方々にとっては、「相棒10」から、あの名物シーンがなくなっているのがどうしてなのか、はっきり言ってチンプンカンプンです。 TVシリーズのファンなら劇場版も見るはずだ、というスタッフのおごりが見え隠れして、ちょっと嫌な思いを感じてしまったのは、勘ぐり過ぎでしょうか。 それともただ単に、岸部さんの個人的都合による降板だったりして。 ということで、若干気になるところはありましたが、見ごたえのある推理ドラマを堪能して、大満足というお話でした。 ところで、まったく余計な話ですが、右京さんの相棒はいつもイニシャルが“K”なのは、何か意味があるのでしょうか、1代目亀山、2代目神戸。3代目甲斐です。(というか、“か”ばかりですね。) 誰か知りませんか?
2013.11.12
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