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Photo by kitakitune05さん 石垣が見える台所の窓からは、わずかな採光が冬の朝を告げていた。「おばあちゃん、卵の殻とってあるらー?」 多希子は冴にそう言いながらランドセルを開けた。「ほれ・・たーんとあるに。(沢山あるよ)」「新聞に包むでね、ついでにご飯粒もすこーし貰っていくでね・・」「何に使うんずらか?・・」 良子が進二にお茶を入れながら呟いた。「タッコのすることは、わしにもわからんで・・?」 多希子はランドセルに秘密を詰めると、てっぺんにボンボンが付いた毛糸の帽子を被りパタパタと廊下を走って行った。「ほーい! もう行くのー?・・・」「・・・行ってきまーす! 今日は女の秘密の日だでー!・・」 二時間目の授業の後は二十分の休み時間があった。男子の間で流行り始めた竹馬。 ただただ広い校庭に竹馬族が散らばっていく。「おいなー! この隙だでね!」 恵子が姫たちに指令を出すと、多希子は練り合わせたご飯と卵の殻を新聞紙に包み直し、「いい? 三時間目の国語、七つの星のページだで! 間違えんようにね!」と言って教室を出て行った。 蜂の巣のように規則正しく並んだ下駄箱から、乱暴に突っ込まれた臭い上履きを手早に出し、つま先の方に奇妙な仕掛けを塗り込んだ。 汚れた両手で、ついでに流れた鼻水を拭いた。 くじけぬ復習が、理解しがたい発想に転換する。 福沢は小脇に数冊の本を抱えて教室に入って来た。「男子は?・・」 隙間だらけの教室を見回すと、凛と姿勢を正した生徒の顔が輝く。 暫くして、上履きのかかとを踏みながら竹の子族が戻って来た。「なんなー! 許さんぞー!」 大将の広隆が不機嫌な顔で席に付いた。「どうしたの?! 三時間目は始まってるのよ!、上履きちゃんと履きなさい!」 つま先が・・殻が刺さる・・・悪戯が・・と文句の連打の後、福沢は毅然と言った。「何はともあれ、怪我は無いわね。 じゃあ、北斗七星のページを開いて・・」 多希子は転校以来受けた悪戯を束にして、この瞬間を待っていた。「何か入っとるぞー!」 誰かが言った。「俺も・・・白いシュルケン・・!」 「こんな所に、こんなもん入れやがってー!」 福沢は再びざわめく彼等に目を移すと、大きな腰を振りながら教壇から降りてきた。「折り紙じゃないの!・・出しなさーい!」 訳のわからぬ竹の子族はつま先の粘々を忘れ、教科書に挟まれたシュルケンを出した。「先生! 何か書いてあるに!」 恵子の一声が予定通り教室を突き抜けた。 福沢は教科書の中に現れた色とりどりの「とんがり」を摘まんで顔の前で眺めた。くねくね書かれた鉛筆の文字は、どれもこれも違っていた。 銀杏の木に集った比較的たおやかな姫の数人は、不安げに俯き、もぞもぞしている。 福沢は目を細めながら読み始めた。「僕は千鶴ちゃんと加代子ちゃんのスカートをまくりました。 正夫」「僕は京子ちゃんのくつをプールに隠しました。 太郎」「僕は・・・えーと、多希子ちゃんのランドセルにぞうきんを詰めました。 広隆」「浩二君にチビ、弱虫、貧乏!と言って裏山で泣かしました。 節規君と二人でやりました。 浩一」「ふうー・・・ほら!出しなさい!隠したのを・・・」 福沢の声は次第に大きくなった。 銀杏の木の下で見た集いの仕業に気づきながら最後の一枚を読んだ。「何なに? 僕は・・多希子ちゃんの給食袋に蛙を三匹入れました・・あきれた!」「先生! 女の衆も上履きに悪戯したに! これ!・・・卵の殻と糊が詰まっとって履けん!」「・・・授業の後、シュルケンを入れられた子は職員室に来るように! 今日の事は別の日に確認しまーす。 」 放課後、職員室から出てきた竹の子族は、ランドセルを背負って下駄箱にやってきた。「靴下がきたねえ・・畜生!」 職員室で横一列に並んだ族は七人。 他の学年教師が頼もしい姫に喝采を送りながら福沢の言葉に調子を合わせた。 「見ろよ、広隆!・・・これ!」 下駄箱に貼られた画用紙を悪戯の常習犯達が見上げる。 「馬鹿か!・・・あいつ等!」しばらくすると、誰からともなく笑い出した。 笑いは職員室にも届いた。 木の葉が数枚のったスノコの上で、彼等は幼稚で突飛な姫達に降参した。 「 次は本物のシュルケン投げるでね! 飛ぶでね! みくびらん方が身の為だに!」 続く(次回 日曜日 「初恋 若すぎた恋人」)
2006/06/29
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Photo by kitaktitune05さん「紫輝」しかえし・・前のpageにあります。 音楽バトン ANEさんより受け取りました。1.はじめて好きになったアーティストは?・・・ウィーン少年合唱団 (小学6年生位)2.はじめて買ったCDは?・・・・・・・・ SP、スタイリスティックス 好きだった♪「YOU ARE EVERYTHING」 CD、長淵剛 「乾杯」3.今持っているCDの枚数・・・・・・・・38枚4.今一番好きなアーティストは?・・・・・イーグルス, アーハー (吐息でも○○○声でもないです)5.最近買ったCDは?・・・・・・・・・・80’s NAVI6.普通言わないけれど実は好きなアーティストは?・・・・・堀内たかお 竹内まりや7.解散して残念だな~と思うアーティストは?・・・・・ザ、スパイダース 井上順、堺正章8.初めに思いつく一人のアーティストは?・・・・・マイケルジャクソン9. 二人のアーティストは?・・・・サイモン&ガーファンクル10. 三人のアーティストは?・・・・ビージーズ ♪「ナイトフィーバー」関係11. 四人のアーティストは?・・・・アバ ♪「ダンシング クイーン」12. 五人のアーティストは?・・・・クールファイブ ♪「東京砂漠」好き13.好きなサウンドトラックは?・・・卒業、 炎のランナー、 ミッションインポッシブル14.最近一番聴いてる曲は?・・・・「WITHOUT YOU」 「ホテル カリフォルニア」 「Take on me]15.音楽聴く時使っているもの・・・・耳、 電気代、あと・・心の恋人の虚像16.好きな名前のアルバムかシングルは?・ 「あなたが選んだベンチャーズ BEST HIT] 「JAZZ BEST OMNIBUS」 「スクリーンミュージック」 カサブランカ♪好き17.今一番気になるアーティストは・・「maco」(c)、 「奏でる時に」の歓声ささやき18.今までに一番聴いたアーティストは?・・・DANCE HIT SPECIAL1~7 ダンス歴20年、聴かざるを得ない19.一番好きな曲は?・・・・・「 WITHOUT YOU 」 ニルソンの曲♪ ぜひ一度!虚像には20.バトンまわす音楽好きな5人 受け取ってくれる方、どなたでも・・ 追伸:「しかえし」読みに入った方、カーソルこのまま下へどうぞ!
2006/06/28
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黄金色に靡く稲、渋い黄赤に染まる木々、家々の庭先で秋を待ち続けた柿が日沈が早い村に可憐な色合いを放つ。 空に向かう銀杏の木の下に、姫が一人二人とやって来た。「珍しい光景ですねー。 福沢先生のクラスの子達のようですが・・」 職員室の目が光る。 姫達は、学級委員の恵子に誘われて楽しそうにやってきた。仲良し姉妹の中で育った恵子。 優しい心から発信される嫌味のない面倒見の良さは クラスの人気を集めた。 よって多希子への声かけや応援も惜しみない。 二人の「発揮」に集った姫がランドセルを置くと、多希子の「ひそひそ」に顔を乗り出した。「いい? 大事な作戦だでね。 シー!・・」 わらばんしにガリ版印刷された漢字のテストの裏に、妙な作戦のしくみが現れた。「こっちの子が・・これ・・」 名前から繋がった線を指で追った先を見るたおやかな姫達。「私は弘君?・・」 「私・・紀夫君?」 恵子が多希子の給食袋を逆さに振ると、中から色とりどりのシュルケンが現れた。「何なー! これ・・投げるの?」「投げんよ・・」 起用に折られたシュルケンは伊那町の退屈な入院生活での収穫だった。姫の頭が小さく固まっていくと、職員室の窓辺に立った数人の教師の興味が深まった。「普通の紙じゃ、いかんの?・・」 「いかん!、男には男の武器だで・・・」「黒板を使えばいいに・・」 「消されるで・・」 恵子が多希子の肩を叩くと、お下げの黒髪が少し揺れた。「あいつ等は今、竹馬に夢中だでね。 タッコちゃんの言う通り、二時間目の休み時間!しかえしは、その隙に!」「・・・ふーん、大丈夫ずらか・・」 仁美が鼻水を啜りなら、しぶしぶシュルケンを持った。 後に続いて手にした武器にそれぞれが覚悟の唾をゴクリと飲んだ。 暫くすると、ヒソヒソの輪にケラケラと笑いが散った。 好意が含まれる悪戯があることを少女達はまだ知らない。 そして、兵士は一人では何もできない。 解散した銀杏の木の下で、ふたりはランドセルを枕に小さな雲を眺めていた。 「鉄人28号、狼少年ケン? どっちが好き?」「ひょっこりひょうたん島! あれがいい。 それからあの雲も・・」「雲に乗りたいねー・・乗ってどこかへ行きたい・・」「うん、タッコは東京に行きたい・・恵子ちゃんと東京へ行けたらいいね・・?」 良子は蔵へ風呂敷包みを抱えて入って行った。多希子の帰宅を確認すると、少し慌てた様子で「遅かったじゃんけ・・」と言った。多希子は蔵をちらっと見た後、陰りのある良子の顔をじっと見た。 多希子が蔵で冬眠し続ける亡き父母のアルバムを開くのは、それから十五年も後のことだった。 続く(次回木曜日 しかえし「実行」)
2006/06/27
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グリーン車 時代を開く女性達・・・・竹中ナミさん(プロック・ステーション理事長) { 元不良の憂いより } 昔は、本当のワルとその手前には厳然と線が引かれていた。 麻薬、殺人、売春。この三つは境界線のあっち側、これを越えたらおわりだという自覚を持ちながら・・・ 今の時代が怖いのは、この境界線がないこと。 日常社会にいる普通の小中学生にまで三悪が浸入し始めている。・・ 「日本の現状にどっぷり浸かって議論しているだけでは、煮詰まっちゃう」7月CJF2006国際会議 in TOKYO開催。 楽観主義(ポジティブに老いる)・・・・・・古川真人さん( 昭和女子大、大学院教授) のんきな楽観主義~「棚からぼた餅」をのぞむ。 超拡大的楽観主義~「自分も世界もすべてが良い方向にいくと信じる」 ポリアンナ的楽観主義~どんな不幸に襲われても楽観的に生き抜いていく。 他3種位あるそう。 楽観主義を培う鍵・・・・・・・・・心理学者 コバサ 強いストレスを感じるようなネガティブな状況に置かれた時 1.コントロール 2.コミットメント(かかわり) 3.チャレンジ 今の人々は忙しすぎて「老い」の価値に目を向ける暇がない。時間を基準にした価値判断に偏り過ぎ? 時間という制約を除き、質の評価を加えれば・・高齢者の方が良い仕事が? 料理ひとつでも豊かな味わいがあり、何気ない一言でも重みがある。 「老い」のポジティブな側面を見て、積極的に生かす(自身と、家族や取り巻く人々) 精神的に健康な人は実際以上に自己を良きものと考える。 リクライニングシート [おすすめ著書]... 「スローライフ緩急自在のすすめ」 筑紫哲也さん ファーストな生活を見つめ、スローな価値を考える。 [おすすめ映画]... 「バルトの楽園」 (舞台)--第一次世界大戦の際、ドイツ兵捕虜を収容した徳島県鳴門市の収容所 [目撃者 奏ちゃん ] 介護のお仕事についた彼女は、専用バスに乗っていました。 運転手 「 おいおい、朝から勘弁してくれよー! ハンドル取られるぜー!」 乗客 「何? 何!」 窓の外を見ました。 奏ちゃん 「わー! 朝から路上キッス!」 よーく見ると、元職場「街路樹」の竜也君と沙織ちゃん(仲間) 「絵になっていたー! けど・・見てる方が恥ずかしかった!」 飲み会で盛り上がった話。 千尋さん(街路樹ヤングママ) 「恋ができるだけ、いいよねー? 裕子さん?!」 裕子(ヤングでないママ) 「プラトニックなら、イケルっしょ!」 奏ちゃん 「わー! 素敵。 早朝路上キッスより素敵!」 メール「観客多し、覚悟の路上キス、ご苦労様! 事故の元!気をつけろ!」 「 えー!何で知ってんのー?!」 「香乙さん、ぼちぼちいきましょう・・・」 「はーい・・」 月曜 街路樹でランチデート 火曜 ダンス♪ 土曜 仕事 江東区 予定これだけ。のーんびり 次回火曜日 紫輝「しかえし」
2006/06/25
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にぎやかな夏の晩だった。縁側に並んだ半月のスイカに次々に手が伸びる。てんでに(それぞれ)足をぶらぶらさせ、下駄が散らばると、肘を突付き合いながら笑う。悲しみが僅かな風に吹き抜けて去っていく。 博文と武文が、牛乳瓶に蛍を入れて駆け寄ってきた。 露草につかまって、静かに光る蛍。 「なんで光るんだろうね・・」「蛍だからだに・・」 口に残ったスイカの種を器用に出しながら博文がそう言った。夏の夜を慎ましやかに、あるいは「ここにいるよ」と語りかけるように灯りをつける蛍。しばらくして、仲間がいる田んぼの中に瓶の蛍を放した愛香。 美佐子と亜由美が「ああ・・もったいないー!」と言って、追いかける。多希子は金魚の絵の入った浴衣に付いたスイカの種を掃いながら動かぬ月を見ていた。「うさぎがおるね、愛香姉ちゃんも見える?」「見えるよ。 二人でお餅を搗いてるのよ」「月は蛍と違って、遠くの人でも見れるでね。 学校で習ったに・・」「月は一つだからね」 愛香は朝顔の浴衣をひらひらさせながら、多希子の手を引いて林檎の果樹園の方へ歩いて行った。「ほら、ここは少し高いから月に近いのよ」「・・東京のおかあさんも見とるかなあ?・・同じ月・・」 散らばったスイカを片付け始めた志津が叫んだ。「ほーい! 皆、おいなー! そろそろお風呂に入らんとー!」「嫌だ! 亜由美は浴衣脱がんで!風呂に入らんよ!」 亜由美が目を吊り上げた。「亜由美は、きかないねー・・」 叔母達がつくづく言い合う。 それでも志津は、戻ってきた姫と殿の尻を追いながら風呂に追い立てた。 大騒ぎが沈んだ後、ずらりと並んだ布団にで別の騒ぎが始まった。八人の子等は蕎麦殻の詰まった枕を投げ合い、大声で笑い、解けた寝巻きから膨れたおなかを出しながら、闇を蹴った。 あくる日、裏山を下った天竜川で水遊び。 とうもろこしにがぶり付きながら岩場で騒いだ。 日が暮れるとアルプスが薄紫に輝き始めた。 引き出しが付いた長四角の座卓を大勢で囲み、かぼちゃの煮物や山菜の天ぷらに箸が行き交う。 「まるで、学校の給食だな・・」 花火の煙に子等の笑顔が移動すると、輪になった平和に星が微笑む。 やがて昨夜と同じ騒ぎの後、オバケの話で夜が去った。 夏休み、集った従姉弟や妹に会えた束の間の幸わせに浸った多希子。リュックに綾子の土産の蝶ちょが付いたのサンダルが入った。 志津と愛香は後ろで叫ぶ亜由美を振り切り、多希子と歩き出した。 「バカ野郎ー!! おたんこなすー!! お姉ちゃんを返せー!」「これがあるでね、会った後のこれが・・」 綾子は水飴を箸に巻きはじめた。「会わせんわけにもいかん、見果てぬ夢じゃないでね、いつかは一緒に暮らせるら・・」「アホんだらー!! 」 亜由美のキーキー声が轟く。 「まだ叫んどるにー・・!」 木の根っこの階段を踏みしめ、最後の元気を振り絞るように泣くセミの声が志津には沁みる。萎れた線路が脇に見えると、次第に無口になる多希子を思い、愛香が優しく声をかけた。「また、東京においでネ。 武蔵境の家に・・遊びに来ると良いわ・・」「・・・おかあさんとも会えるしね、東京へ行くと・・」 日に数本の飯田線の汽笛が聞こえると、志津は目を兎のように赤くして切符を渡した。「進二叔父さんが迎えに来とるで・・ また、おいな!(おいで)」「・・うん、帰らんと皆んな待っとるでね・・・」 再び妹と離れ離れになる現実と、多希子が暮らす別の家族の笑顔が宙で絡み会う。雑草が生えるホームに立つと、見送りに来た二人の涙がはっきり見えた。「・・・タッコは今、少ーしだけ悲しいでね! 切ないでね・・」 引きちぎれそうな少女の顔が、しなびた茶色の飯田線の窓にびったり張り付いていた。電車が容赦なく動き始めると、多希子の悲しみも加速を増した。 続く (明日夜 未来線~銀河線)
2006/06/24
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Photo by kitakitune05-san 茶毛の亜由美は、すっかり日焼けして後ろと前の区別がつかない。 果樹園の前に聳える山の上を指差して叫ぶ。「お姉ちゃん、来たに! 今、電車の音がした!・・」 大きな缶に沈んだ透明の宝石「水飴」は、夏ばて防止のおやつだった。 亜由美は、箸の先にくるくると水飴を巻いてもらい、片方の頬っぺたをこんもり膨らませて朝からはしゃいでいた。 克子は、亡くなった茂郷の会社を悦子と共に支えてきた志津の妹だった。二人は客用の布団を整理しながら、亜由美を見て微笑んだ。「姉さん、今日は賑やかになるねー」「ふうんとなー(本当ね) タッコは一人で下って来れるでね、直に来るらー」 林家と大谷家は時折り、姉妹を会わせた。公明は、博文と武文に亜由美という妹ができたことを喜び、可愛がった。 ランニング姿の二人は背中に汗を滲ませながら、夏休みの宿題に追われるが、亜由美の騒ぎが気になってしかたない。 「うるさいぞー!」 亜由美は果樹園の真ん中を突き抜ける一本道に出た。「おかあちゃん! 克子おばさん! 聞こえた? 電車が止まったに・・」志津の前掛けの端を引っ張って亜由美が言った。「よかったじゃんけー、タッコちゃん来るに、東京の愛香ちゃんも利成君も、甲府の美佐子ちゃんも皆んな来るでね!」「亜由美の家に集まるんだに、皆んなが!・・ヤッホー! 」 竹のように細い博文と、向日葵のように丸い武文の中で雑草のように育つ亜由美はこの辺りでも、やんちゃで評判だった。 伊那町で泣き虫だった少女が、泣かす側になっていた。 多希子は進二に乗せてもらった飯田線を降りると、じりじり照り付ける太陽に弱ったホームを歩いた。 「セミしかおらん(しかいない)、この駅は・・」 背中のリュックから、醤油の匂いがしている。 冴が拵えた佃煮の汁が出たらしい。「佃煮の汁、こぼれたかもしれん・・・まあいいでね、学校の意地悪より・・」 黄色いランドセルに雑巾を詰められた日を想い出す。 退屈そうな駅を出て、山道を下り始めると木々の間から広がる果樹園が見えた。「亜由美ー! やっほー!・・聞こえとるー!?・・」 多希子はそう叫ぶと、忍者になって林家目指して走り出した。 背中のリュックが上下に運動すると、佃煮が悲鳴をあげた。「おう、来たか!来たか!」 公明が両手を広げて果樹園から出てきた。 背中に桃が詰まった籠を背負っていた。多希子はハーハー言いながら額の汗を拭った。「この山は忍者部隊にもちょっと苦しい」「お姉ちゃーん! こっち、こっち! 亜由美が先だにー! 一番だに!」 亜由美はそう言って、果樹園の中を翔けて来た。「亜由美ー! 元気でおった?」 「おったよ! そいで(それで)今日が一番元気だに!」 二人が手を繋いで歩きだすと、博文と武文が頭を掻きながら庭先に出てきた。「井戸にスイカが冷えとるで!」 博文がそう言ってにんまり笑った。 続く(次回 土曜日 「少女が乗った電車」 )
2006/06/22
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「紫輝」今日の分は、この前のページにあります。 指定型バトン ルール: 廻してくれた人から貰った【指定】を【 】に入れて答えること。 また、廻す時も、その人に【指定】する事、だそうです。 kitakitune05さんから受け取った【指定】は【小説】 1.最近思う【小説】 「若者よ、メール打つより本めくれ!」 どこかで見た川柳より。 名作は静かに底流をゆく・・と思う。 自分の書いてるものは「小説」に到達していないと思う。2.この【小説】に感動 「博士の愛した数式」 小川洋子 「I am SAM 」 クリスティン・ジョンソン (4年程前に映画化) 両書とも心身に障害を抱えるピュアーな主人公(でもある)、欲のない生き方。 透明な心が映し出される行間、取り巻く人間の「同情」と違う自然の愛が溢れる。3.直感的【小説】 んー・・・・???、では直感で行こう! 本物の小説・・・「tugumi」吉本ばななさん書 数ページ読んで、つぐみちゃんが(始め嫌な女)作者自身であることを直感! 私の笑説・・「想像以上日記未満」 フィクション時々ノンフィクション。 仄々、ドキドキ、うるうるする未来がくる。 「チャンスー!!」と思った時が書き時。 直感! これを逃すと書けない。4.好きな【小説】 三島由紀夫「潮騒」5.こんな【小説】は嫌だ どろどろ系。 官能小説(?)。 後味悪ーい、重ーい小説。 登場人物が多すぎて、脳が追いつかない小説。「この人、どんな関係者だっけ?」 6.この世に【小説】が無かったら?(いなかったら) 電車内で目のやり場に困る。 携帯いじる人が増える。 老化が進む。 映画会社、テレビ局が困る。 本屋がつぶれる。 隠れた脚本家がどんどん出て来る(きて欲しい) 私がブログを始めることは一生なかった。 日本列島に仲間が出来なかった。 「会えぬ」からこそ、気になる心が色付く事はことはなかった。 7.次に渡す人 ANEさん 廻す指定は【仲間】 という事でお願いしまっす! 次回 木曜日 カーソルをそのまま下へ....どーぞ「紫輝」流行歌 高校三年生
2006/06/19
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山を下った姫達は、お叱りのほとぼりが冷めた頃を見計らって移動した。小屋の周りに何本もの大木が茂る仁美の家。 横ずれした姫達は、ひやひやを甦らせた。「ここなら、見つからん!」「部隊は守られたでね!」 風を切り、山中を走り、時々青空を感じて躊躇から脱皮した姫達。主犯の少女の影の味方は、冴だった。「まめが一等!(元気が一番)・・」 多希子の順応性を超えた「はらはら」に、進二も良子も微妙な笑いで冴に頷く。迷いと苦悩に打ちひしがれた日々が、パノラマのように移り変わる。 その夜、蚊帳(かや)で見えなくなった畳の上で、良子が言った。「今夜からここで寝るで・・」「網のお家だにー! 黒い緑の網の中で? 皆んーなで寝るの?」 勝輝が裾で固まった網を潜ろうと悪戦苦闘し始めた。「蚊が入らんようにせにゃあ! ほれ!さっさと入って出る時も直ぐ出にゃあ!」 良子の言葉で、蚊帳の役割がわかった多希子は、蚊帳を組み立てた進二を凄いと思った。 早々に寝巻きに着替えてやってきた二人は丸まった蚊帳の裾を捲り上げた。三つに満たない勝輝を、敷き詰められた布団に座らせ「基地のようだね・・」と言って大きな蚊帳の中を這い始めた。 一暴れした後、山になった布団に乗って二人は汗を拭った。「いい? 勝輝! これから音楽の学校ごっこするでね。 タッコが先生だに!」「・・・・うん・・」「♪赤ーいー夕日がー校舎を染めてー・・・・弾む声、あああああー高校三年生、僕等離れ離れになろうともークラス仲間はー何時までーもー・・♪ ね? こうだに! わかった?」「・・わ か ら ん・・・」「駄目なー! へえ、この歌は村の衆が皆んな歌えるに! 覚えんと遊べんでね!」「・・わからんで・・」 勝輝は首を横に振ってから、落ちたきた涎を啜り上げた。大人達も、同じ山を登る中学生も、仲間も、口ずさんだ。 山道でも、あぜ道でも、川の辺でも、繰り返し歌われた流行歌は、やまびこよりも、村に平和を木霊した。 勝輝は蚊帳から非難して出て行った。進二が蚊帳に残った多希子を見ながら呟いた。「あの子は、令菜には似とらんなー。 あれは真麻の血だにー」 続く(次回 「林家のアイドル・亜由美」
2006/06/19
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集団登校に黄色いランドセルが仲間入りして数日経っていた。教室では 「興味の的」を悪戯で迎える日もあったが、縦糸と横糸がぎゅっと覚悟の結び目をつくっていた。「タッコちゃん、この山道は冬は凍るんだに・・」「滑って困るんなー・・・」 六年生の茂子は先頭を歩きながらそう言って妹の手を引いた。「・・この細い坂が凍るの? 木と木を縄で結べばいいに」「それに、つかまるの? 」「男の衆だって、そんな事せんよー! 考えもせん・・」「遠回りだしね・・この道は・・どうもそんな気がするに、タッコ・・」 紀子は細くなったせせらぎを 「よいしょっ!」と言って跨いだ。「蟹だ! 蟹がおるよー!・・」 多希子はしゃがみ込んで、透明な水の底に手を入れた。「タッコちゃん、蟹に見惚れたったら学校遅れるで・・急がんと・・」 同級生の京子と仁美が涼しい顔で微笑んだ。 新入りの真新しい机に炭が積んであった。多希子は右手で一気に払いのけた。 机の煤を 「ふーっ!」と飛ばし、落ちた炭を足で蹴った。視線を向ける坊主頭の塊りを睨んだ後、静まり返った教室を見渡した。「あああ・・鼻が黒くなったで、洗ってこよ! 積んだ手はもっと汚れたに! 気の毒!・・」 町の学校と違う国語の教科書に 「北斗七星」があった。 この村は星が近い。音楽、図工、体育と、村でしか味わえない授業の良さを発見する。「タッコちゃん、こっちの道は違うに・・」 仁美が黒い髪に負けない位、大きな黒目を開いて立ち止まった。「そうだに、寄り道はいかんのだに・・道も無い、こっちは・・」 優等生の京子も多希子の背中でそう言った。「歩いた所が道な。ここを下ると大谷の裏の竹薮に出る! うんと早く!」「大丈夫だか?・・」 歪んだ顔で、渋々多希子の後ろを付いて来る二人は、次々と掻き分けられる木々の間をひたすら歩いた。「あったー! 天竜川だに! 見えるらー?」 多希子はそう言うと、いきなり走り出した。 「待っとってー! タッコちゃーん、コケルにー滑るにー・・」「いい?歌うんだにー! ♪進み行く忍者、正義の味方、姿も見せずに現れ消えるー♪」「・・歌うで、もうちっと遅く遅く!・・」 多希子が振り向くと、息を切らせた二人が顔を上げた。 「ああー・・」 それから間も無く・・変身させられた「たおやかな姫」は、二人から五人になった。♪「・・弾丸の中も何のそのー・・・月光、月光、忍者部ー隊ー」♪投げられるイガイガのシュルケン、利用できる植物は輝く目の先には幾つもあった。 演出が高まると、多希子は言った。「 散れ!!・・敵はブラック団とマキウラ!」「おらんじゃん、敵?・・」 「そうなー、敵がおらんにー! つまらん・・」「蜂と蛇、かぶれる葉っぱと・・・それから、スカートめくる男だ!・・」 数日後には額に折り紙が貼られた。 「満月、半月、三日月だでね!」 「貼らんと駄目?」....「鍋をかぶってもいいに・・」。 おそらく鍋をかぶる姫はいない。 良子は、聞こえいた子供達の声や、てんでに(各々)帰る愛くるしい姿が途切れたような日常に少しの不安を感じながら台所に立っていた。目の前の竹林がざわざわと音をたてると、良子は野菜が入ったザルを持ったまま窓の向こうを見た。そして仰天した。 竹林から、一人二人と出て来る少女は、左右のパンツのゴムにスカートの裾を挟み込み頭にツタを絡ませ、何とも恥じらいの無い恰好だった。「よいしょ!っと・・」 多希子が両手で土を掃いながら満足げに現れ、青空を見上げている。「あれー! 何ちゅう事かなー! 」 良子は、他の姫の親が仰天する様を浮かべると、しだいに固まっていった。 続く( 次回月曜「流行歌♪ 高校三年生」)
2006/06/17
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Photo by kitakitune05-さん 多希子は、にわとり小屋に行く進二の後ろを目を擦りながら歩いて行った。新入りに警戒する隣の犬が吠え、にわとりがコッコ、コッコと騒ぎはじめる。「生んだ、こんなに生んどるよ! おじさん!」 多希子は生暖かい卵を両手にのせ、「ひよこ」になれない卵に謝った。 進二はトマトを上手にもぎ取ると、多希子に「井戸で洗ってからだに・・」と言って渡した。 季節の小花を踏みながら井戸に走った多希子は、石垣の竹の皿にちょろちょろと流れ込む山からの水でトマトを洗った。 口の脇から汁が零れ、美味しい空気と水に触れたトマトを、息もつかずに食べてしまった。 「おばさーん! タッコは着替えんと・・トマトで汚れた! あの花籠の服着たい!」 真麻から届いたブラウスを箪笥から出すと、規則正しく折り重なった贅沢なレースと胸元の刺繍に触れた。 「綺麗! 花が籠にいっぱいだー、このブツブツは花の蕾だね・・」「それはダメだに、タッコ。 学校へは着んで、お出かけの時だに」 冴がそう言うと、良子も黙って味噌汁をよそり始めた。「何でなー! タッコはこれ着たい!」「だーれも、そんなハイカラな服が着とらんでね。 持っとらんでね、ここの衆は・・」 冴の気配りにむくれたた多希子は、早速良子に救いを求めた。 良子も同じ顔をしていた。 「なーんだ・・東京の服・・・」 多希子は、色も形も見えない心を感じ取った後、ブラウスを箪笥にしまった。 やがて、石垣を上がった広い庭で大きな声がした。「多希子ちゃん! 学校行くにー!」「一、二、三、! 多希子ちゃーん!」 コーラスを聞いた多希子は笑顔を取り戻した。「来た! 来てくれたに! おばさん、ねっ?」 タッタッタタ! という足音の連打が、大谷家の朝に加わった。 そっと玄関を開けると、青空の前に背丈が違う七人の姫達がずらりと横に並んでいた。「あっ!・・」 にんまり微笑み、もじもじする姫の列は気持ち良いほど真直ぐだった。池の鯉も、放された鶏も、臭い豚も、知らん顔のヤギも、いつもと違う光景に戸惑っていた。姫の集団に交じった少女は、にっこり笑って言った。「今、ランドセルを持ってくるでね。 待っとってね!」 良子がつっかけ(サンダル)を履いて庭に出てきた。「お願いします・・頼むでね・・」「はーい!」 各々が、出掛けに母親に言われた言葉を心の真ん中に置いていた。「仲良くしにゃあいかんに! 新しいお友達だでね」 冴は縁側で、赤に交じった黄色いランドセルが小さくなるまで手を振り続けた。 続く(次回土曜日「忍者部隊月光」)
2006/06/15
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進化バトン!( 義理と人情でお受けしました。) 即答でいきます! こういうのは楽しく自然体で 1.今一番欲しいものは? タイムマシン、ドラえもんの「どこでもドアー」 2.幸せになれる食べ物は? 紫芋のモンブラン 桃 オリジナル摘みの一品 3.今、夢中になってることは? ステージ控えたダンス♪ 火曜はとにかく自分に戻れる 4.自分の宝物は? フリーページの「宝物」, 健康, 家族, 以上未満の関係 5.子供の頃なりたかった職業? バックダンサー スチュワーデス?図々しい! 6.ここだけの話、宝くじ3億当たっちゃったら? 披露する「ここだけの話」・・1億はある所に寄付させていただく。 1億は身内に分けて、990万は我が家,旅(妹が住むロスか北海道一周、沖縄) 100万は・・へそくりが足りなくて涙を飲んだ「共同出版」、過去に 引っ掛かった物を出版化。プロの方ごめんなさい。 一度は世に出したい 7.あなたの変な癖は? ついついストレッチを、特に首筋 8.今回のワールドカップ、ズバリ優勝国は? ドイツ、 「頑張れ、日本!」本音はここだけれど・・ 9.次に渡す人5人 習太郎さん、 makobassさん ずうじゃじじいさん 他、受けて下さる方。 漢字バトンで刺激得た方でもOK めぐみ かおと
2006/06/14
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Photo by kitakitune05 澄みきった大空、燦々と照らす太陽、どんより曇った空が割れて顔を出す太陽。アルプスに撒き散らされた陽は、母を思う少女のエネルギーとなって反射する。 遠慮なく轟く鶏の声で目を覚ました多希子は、心構えを済ませたランドセルを持った。大谷家の真ん中を突き抜ける廊下は、黒く光っており、良子がせっせと拭いている。 湯気の立つ台所では小さい体の冴が背筋を伸ばし、ザルを持って畑と鶏小屋に向かう進二の後ろ姿もあった。 繰り返される大谷家の朝だった。 多希子はいくらか緊張した面持ちで、良子と家を出た。冴が縁側から手を振っている。「おばあちゃん! 大丈夫だでねー・・行ってきまーす!」 陽に光る木の葉が低い天井や高い天井をつくり、隙間を見つけて顔を出す太陽が二人にスポットライトを当てるようと頑張る。 川のせせらぎに沿って地面から現れた根っこの階段を登ると、もうそこは天国だった。 裏山を抜けると、限りなく空に近い学校が見えていた。「着いたー・・タッコの学校だー・・」 校門で大きな桜の木が多希子を出迎えると、負けじと並ぶ銀杏の列が見えた。何処からか聞こえる歌声が美しい。 音楽室がどこにあるのかキョロキョロしながら歩いた。「見てみー、ここは小学校と中学校が渡り廊下で繋がっとるんだに」 お粗末な屋根の下に、すのこが縦に並んだだけの廊下があった。「あっちが中学だー・・校舎が威張っとるでね・・」 校門の脇の高台に下がった木のブランコや滑り台を気にしながら、職員室に向かった。あまりにも広い校庭に仰天した多希子は、黒い校舎にメリハリが付いた白い格子の窓辺で足を止めた。 そしてまた外を見た。 遥か彼方に鉄棒が段をつくってお行儀良く立っていた。 「凄い・・村の学校だー・・」「福沢栄子先生・・」。 良子がそう言って担任になる福沢に深々と頭を下げた。 多希子はふんわりとした笑顔とクルクルのパーマを見た。 やがて柔らかな手と握手を交し、福沢の左右に動くお尻を見ながら、きしむ廊下を歩き出した。 ガラガラと音を立てて扉が開くと、団子になった集団が慌てて散った。「転校生を紹介します!」 赤面した多希子を、背中の父が「ポン!」と押してくれた。「林 多希子です。 よろしくお願いします・・」 昨夜、布団の中で何度か繰り返した言葉だった。「わー!!」 「来たに! 来た! とうとう来た!」「町の転校生だぞー」 教室は再び騒ぎとなった。坊主頭と坊ちゃん刈り、 おかっぱ頭と縄のような二本のおさげ・・たくさんの顔が飛んだり跳ねたりし始めた。「・・お友達になって下さい!!」 予定のない言葉と多希子の凄味は、そのざわめきに止めを刺した。 続く (次回15日 「姫達のお出迎え」 )
2006/06/13
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「紫輝」 第一部は終わりました。 前の前のページをご覧下さい(今日~ご訪問される方へ) {漢字バトン」が恵の手に渡されました。 停車中ですが、運転席にて・・・・ 1.好きな漢字を3つ 和・・・和み、平和、和合、大和魂が好き? インテリアの「和」に凝っているから。 微・・・微妙、微力、微笑。 自分自身だから 惜・・・「惜しまれる人」に 「自分で自分を惜しむ人」にはなりたくない。傲慢だそうです・・2.前の人が挙げた3番の漢字のもつイメージ ??ムズイぞ・・solyaさん! 序・・・秩序・・じゃなくて、どちらかというと序文。 心構え! 破・・・突破口、殻を破る、自分への挑戦! 急・・・自分自身、 せっかち、 損、 だから落ち着け!3.次の人に回す漢字3つ 粋、 義 、空4.大切にしたい漢字3つ 感 、 心、 穏5.漢字をどう思うか? 肝心な時に出て来てくれない意地悪な奴・・ 変換されるが為に・・助かる奴、 一枚の絵のように、集結された芸術。 漢字が存在しないと、小説は存在しない。 童話のみ。 お経も無い。 名前も難。 だから、中国は偉い! 6. 好きな四文字熟語を4つ 喜怒哀楽 楽観主義 報恩感謝 桜花爛漫7. 次に渡す人7人と、その方のイメージを漢字で。 kitakitune05さん 腕 ANEさん 爽 にゃんこのガリレオさん 直 ツヨシさん 郷 マサトさん 巧 ed80さん 深 KAZU0873さん 感 宜しくm(--)m めぐみ かおと
2006/06/11
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ご乗客の皆さん! 「紫輝」第一部を読んで頂きありがとうございました. また、数々のコメント、感想、写真応援頂き、とても感謝しております。 幅広い年齢層の方に読んでいただき、「出会い」が運ぶ感動や共感、和みや癒し、教えられる様々な事に日々感謝です。~・~・~・~・~・・ 二部で出会える風景(抜粋)~・~・~・~・~・~・~・ 転校生は「町からやってきた!」 忍者部隊月光 林家のアイドル・・・亜由美 少女が乗った電車 [しかえし] 動員数18名・・・「見くびるなよ!!」 初恋 「若すぎた恋人・9歳」 他、お楽しみに~’~’~’~’~’~’~’ ブレイクタイム ~’~’~’~’~’~’~’~’ 中谷彰宏氏 著書「お金と才能がないほど成功する52の方法」より 「 練習は裏切らない 」 「 出来る事より、やりたい事をする 」 「 成功する人は言い訳をしない 」 「 今しか出来ない事をしっかりやる 」 「 努力だけでは前に進めない。 工夫すると前へ進む 」 「 なんで?・・と疑うより、不思議・・と受け入れる 」 「 期待に応えるより、応援に応えた人が勝つ 」 「 何をやっても上手くいかない時代を持つ 」 「 何もしてない・・と言う人ほど、何かしている 」 「 いい子を演じない、嫌われることを恐れない 」 「 頭でわかっている人は、体でわかっている人に勝てない 」 「 悪玉やきもちより、善玉や気持ちを 」・・・・悪玉ー自分をダメにする。足を引っ張る 善玉ー向上する。工夫に注目する 「 求められたことに全て応えなくてよい 」・・・相手の求めるものに無理して応えるより 自分の出来る事をサービスする。 「 今ある物をいかす 」・・・・・・・[献立ありき]より[食材ありき]。 「アクションより、リアクションを 」・・・友達を広げられる人はリアクションがある. 「凄い!」 「へー!」 「何で?」 「不思議ー!」 「うん、うん、そうなんだー・・」 「本当に?!」 「大丈夫?!」 等。 (聞き上手含む) (次回2部「転校生は、町からやって来た!」12日火曜)
2006/06/10
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山肌におりなす雪占は、自然の息吹をたっぷりと吸い込んで柔らかく映える。 冴が良子と五平餅を拵えながら囲炉裏の傍で話している。「わしの眼の黒いうちは、多希子を傍においとくでね・・・」良子が扱ぐすり鉢から山椒の香りがしている。 胡桃、味噌、調味料と和えながら冴の言葉に頷いた。 冴は串に、小判になったご飯を三つずつ刺しては行列を作っていた。「何しとるの?・・」 ふいに多希子が、突き抜ける煤の高い天井の下で展開される光景に足を止めた。「今日はタッコちゃのお祝いだでね。 ご馳走な!」「五平餅だに! どいれー美味しいにー・・」「この炭の上で焼くの? ・・タッコも手伝いたい!」「ほんなら、ここに座りな・・」 冴は隣に多希子を座らせた。 良子は二歳になる勝輝に時折気を向けながら、すり鉢をヘラで混ぜ始めた。進二は仕事から帰るなり、ザルにたくさんの卵を入れて勝手口からやってくると「タッコ、今朝生んだ卵だにー!」とザルを斜めにして見せた。「へー! 鶏は偉いに・・豚は寝とるだけだし、山羊はタッコを見んし・・。 おかあさんは亜由美と亨を生んだでね、鶏より偉いに!」 香ばしい焼き色の小判に、塗られた味噌がじりじりと動く。和みの「歓迎会」は、大谷家のど真ん中に居座る囲炉裏で、山椒に負けない心の香辛料が多希子を暖めた。 さらに串にしがみ付いた歪な小判も、図々しく行列に加わり皆を暖めた。 進二と入った五右衛門風呂の底板との格闘に疲れたのか、はしゃぎ過ぎたのか・・多希子は冴の横に敷かれた布団に入った。 暫くもじもじ、ぶつぶつ落ち着かなかったが、冴の心配も他所に、多希子は眠った。「へえ、明日からは学校だでね、頑張っていかにゃね」 進二は風呂で交わした会話と令菜の面影を暗闇で再生させていた。 「ランドセルがあるでね、タッコは大丈夫だに・・」 オルガンの下で眠る黄色いランドセルには、不安と好奇心と、父親がくれた勇気がたくさん詰まっていた。 それは多希子の新たな出発だった。 第一部 終わり (明日夜 未来線~銀河線)
2006/06/09
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Photo by kitatitune05-san それは、真麻の二度目の決断だった。姉の死で義兄茂郷に嫁いだ真麻にとって、茂郷の死は途轍もない天からの放射能だった。 安全地帯に逃げ込むなどと非難中傷が仮にあったとしても、誰がそれを止められようか・・心身ともに整理しなければ、生きていけない状態に追いやられた者を。 真麻は東京に行く事を決めた。 幼い子を連れての都会での出発を引き止めた両家はそれぞれに「忘れ形見」をあずかることにした。 やがて、多希子の世話をしてきた悦子は親類の紹介で有線放送の仕事についた。幸之に会社を託し、製糸会社の頃から番頭として茂郷を支えた三沢は専務になった。 林家では働き者の志津が牛の世話から戻り、ぎっしり生えた睫毛の下で大きな瞳を潤ませ座敷にやってきた。 亜由美がハタキで二匹の猫とじゃれ合っている。「じきに向かえに来ます。 しっかり環境を整えて・・」 そう言って、真麻が畳に額をつけながら公明と志津に頭を下げた。 大谷家では、真麻とも亜由美や亨とも離れて暮らすことを自覚できる多希子が訊ねた。「東京は、遠いでね・・ずっとタッコを覚えておる? おかあさん?・・」 冴と進二の傍で、やはり前掛けで涙を拭う良子がいた。「覚えとるに決まっとるでね。 おばあちゃがいるで安心していいでね!」 冴は生きてきた中で最高の笑顔を繕ってそう言った。「アルプスの向こうだで、タッコを何時も見てるに。じきに迎えに来るし・・」 真麻はそう言って一度多希子を抱きしめると、すぐに立ち上がり、悲しみを振り払うように消えて行った。 母親の只ならぬ決心を生命で感じ取った少女も母親以上の覚悟と決断を小さな胸に立てた。「タッコは、悲しくないでね! 大丈夫だでね・・」 続く(次回9日、金曜日 第一部 終「雪占」)
2006/06/06
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亡き弟が残した三人の子どもと真麻。 林家の長女綾子は心を痛め、悲哀追放に頑張る真麻達を時々東京に呼んだ。 よく事情を知り、情の深い夫の常男は、真麻や子供達をいつも歓迎した。 その人柄は細面の涼しい顔に滲み出ており、実直な父親の姿は二人の子供の素直さや優しさに流れ込んでいた。 真麻は綾子に帰りたがらない多希子を頼み、下の二人を連れて数日後に長野へ帰った。緑がたくさん残る武蔵野の大地は、多希子が仰天した東京中心部の風景とは違っていた。 ビルの間の道は自動車が繋がり、密着した家々の中に遠慮がちに路地が角を幾つも作り、東京タワーが空に向かって巨大な都市を主張する、あらゆる光景がまるで別世界だった。 綾子の家は経済的にも裕福であった。多希子を引き止めた綾子の家は洋風で、畳の代わりに敷かれた絨毯の上には丸い大きなテーブルと椅子が品良く置かれ、テーブルから下がる白いレースのひらひらを多希子は何度か触れてみた。 皮の匂いがする応接間や、季節の花より引き立つハイカラな花瓶、入り込む風に靡くカーテンなど、長野に無いものがそこには存在していた。「タッコはシンデレラのような気がするでね!・・」 目をきらきら輝かせた多希子が言った。「夏休みじゅう、おればいいじゃん」 綾子の長女は、従姉弟の多希子を妹のように可愛がり、伊那にも時々遊びに来ていた。愛香はベッドがお気にめしたと思われる少女に微笑んで言った。「今日はこのベッドで寝ていいからね・・」標準語が何ともお洒落な外国語に聞こえると、多希子はやはりシンデレラになりたいと思うのだった。 「タッコが寝てる布団はねえ、赤や紫の大きなお花の絵があって、それで重いんだに」「田舎にはベッドがないけどね、お家やお庭は広いでしょう? たくさん遊べるわね」 夕方になると、聞こえていた子供達のジャンケンや缶けりの声が散って行った。 愛香が、兄の買ってきた線香花火を持って部屋に戻ってくると、白地に赤の水玉模様のスカートを履いた多希子が、長い髪にネッカチーフをかぶり、愛香の人形を幾つか並べてベッドで眠っていた。 愛香は、揚げ物の匂いがする台所へ向かった。黒髪でよけいに白く見える愛香の口元はいつも優しい顔をつくっている。「ねえ、多希子・・・だけど・・」綾子が振り向くと、黄色のエプロンの端っこを掴んだ愛香がそっと言った。「多希子をうちで、引き取れんの? 駄目なの!?・・」綾子は暫くコロッケを揚げていたが、火を止めて大きなキャベツを手に取ると、そっとしゃがんで愛香の目をじっと見つめた。「うちで引き取ったら、真麻おばちゃんに疑いを持つでしょう?・・お母さんだって信じてるんだから。 大谷の家のおばあちゃんだってタッコを傍に・・と思ってるのよ。 なんと言っても忘れ形見だからねー・・」 愛香はその後も、何度か綾子を困らせた。 多希子は、姫になったまま健やかに眠っていた。 「東京は空が白くて、星が小さいに・・」 夢の中で愛香に話した。 続く( 次回6日 離れ離れ )
2006/06/04
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雪が消え去った街で、子供達は太陽の行く方へ動いて遊ぶ。多希子が学校からから帰ると、中庭でシロがお義理で尻尾を数回振った。すると、ほうきのように地面の土が舞った。 主が居なくなった後、シロも小屋のの傍で変化した辺りを眺めるばかりだった。 亜由美がまた泣いて帰ってきた。 膝が血で滲んで土が付いて痛々しい。真麻は亨を負ぶいながら、亜由美の足を拭いて赤チンを塗っている。 多希子はオルガンの傍の指定席にランドセルを座らせると、亜由美の泣き顔を見て言った。 「待っといなね! 亜由美!」 最近、母真麻の中に起きている「 何か辛いこと 」に多希子は気づいていた。真新しい冷蔵庫だけが浮く台所で、時折母親がすすり泣く姿を柱の影から見ていた。せめて、妹を守らなければ!、その自覚に立った時、たおやかな少女は変身する。 いつも亜由美をいじめる彼らとは、さっき擦れ違ったばかりだった。隣の男の子も何度か泣かされ、次第に外に出なくなったいた。 素手で立ち向かう相手は3人。 多希子は後先考える余裕もなく家を出て走った。 多希子に気づいた彼らは、尻を向け舌を出して逃げようとした。「許さんで! またいじめたら! 」「ばーか! へへーんだ! 捕まるもんかー」彼らを追う多希子が、学校帰りの友子の横を通り過ぎる。「タッコちゃーん! どうしたのー!」足の速さは父親譲り、友子の声が遠くになると彼らの一人を捕まえた。「何な! 放せ!」「また亜由美を泣かしたらー! 」「あいつ、黒いからだよー! 頭もちりちりでなー!」「生まれつきなー! どこがいかん? 弱い者いじめは男がする事じゃないで!・・」亡き父親の言葉を借りた。 つりあがった目、腕を握ったすさましい力、大きな声で、少年の下唇は次第に船底のようにあがり、泣き始めた。「よしなー! 和男!・・・その子は気の毒な子だでね・・・」垣根の脇から、白い割ぽう着を着たおばさんが出て来てそう言った。少年は多希子の腕を掃い、一目散に逃げ出した。 二人が消えた。 取り残された多希子は、風のように走って来た道を戻った。 そして、もう一度振り返って叫んだ。 「気の毒なのは、亜 由 美 だでねー!! わかったとるのー!」 続く(次回 明日「東京の叔母ちゃん」)
2006/06/03
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Photo by kitakitune05-san 脈打つ時間は、アルプスを薄紫から白へ変えながら過ぎていった。茂郷の逝った後、家の中は雪の降る辺りよりいっそう寒く静寂に満ちていた。 オルガンの下に座る黄色いランドセルに身をゆだね、多希子が静かに折り紙を折る。父親が早々に特注したランドセルを、多希子が背負う姿を見ることはなかったが、何時もランドセルに寄り添う姿を、この部屋の何処かで茂郷はきっと見ていると真麻は思った。 亜由美は丸いちゃぶ台でビスケットを食べ、亨は茶の間を元気に這いずり回り時々捕まり立ちをして、好奇心の先に手を伸ばしてはバランスを崩し、ひっくり返る。それでも、大きな目をパチパチしながらムクッと起き上がった。 真麻は渡り廊下で一人窓の外を見ていた。シロが残した足跡も消え、夏休みにラジオ体操をした会社の広場に薄っすらと白い絨毯が敷かれていた。 風が吹き込む窓辺で、友子の母の言葉を何度か想い出す。 「東京はいいに! 人の噂も聞こえんでね・・・自由に暮らす人の集まりだでね。真ーちゃも未だ若いんだで、考えるんなら今だに・・」 確かに聞こえてくる噂は、「林の上のお嬢さんは令菜さんの子」 「あそこは異母兄弟」「気の毒になー」 「後妻が女社長になるんずらー・・・」・・真麻は疲れ果てていた。地球が回るまま、陽の向くままに生きるしかなかった。 「どうした? 姉さん!・・」残務を終えた幸之が、数人の社員に手を振りながら渡り廊下を歩いて来た。 「窓なんか開けとったら風邪ひくよ・・」 「・・冬が終わったら、伊那にも春が来るでねー・・」 音も色もない冷たい夜に、ほりの深い整った顔立ちの真麻は白雪姫のようにあどけなく、時に雪女のように切なく映った。 そんな横顔を見つめながら幸之が言った。 そして、予期せぬ言葉は真麻の心を少しだけ暖めた。 「・・姉さん、・・俺が三人の父親になるよ! ・・・駄目か?」 続く ( 次回3日 「多希子の逆襲」 )
2006/06/01
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