2010年10月03日
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 このブログのテーマは、現在のところ、ぼけ封じのための読書であり(老齢になったとき、ある時期に、本を読んで脳を鍛えていたことがきっと役に立つのではないか、と思う)、そのために、僕の中の、ミステリー界の空白の二十年を一気に埋めることである。
 さて、今野敏は、警察小説を書いているのだが、その前に、彼の格闘小説にどうしても食指が動いてしまうのは、困ったものだ。
 ミステリーばかり読むとどうしても、殺伐とした気分になってしまう。必ず人が死ぬし、人が死ぬ理由の多くは、醜い人間関係である。だんだん、人を殺しても平気な気分に、同化してしまいそうで怖くなる。そこでたまには、別の分野の小説を読むのもいいと考える次第だ。
 とはいえ、その別の分野が、「格闘小説」でいいのかという問題はある。恋愛小説やユーモア小説ならわかるが。しかし、格闘小説には独特の清涼感がある。相手を叩きのめし制圧するという、男の子にしか理解できない小気味良さ。これは、憂さ晴らし、ストレス解消になる。もっとも、「殺伐とした気分」の解決策にはぜんぜんなっていないような気もする(泣)。
 さて、表題の「惣角」とは、武田惣角のことで、大東流合気柔術の祖。合気道の創始者である植芝盛平の師匠だ。合気道、柔道(もちろん空手も)は、出口は別々に見えるが、もともと日本武道という思想、流派、技術などが入り乱れた大きな団子の中から、それぞれ始祖である天才的格闘家によって体系づけられ生み出されたものだ。惣角はそんな団子の出口の手前にいた日本武道の大巨人である。
 惣角自身、あらゆる武術の総合体である。しかし、それを体系づけたのは、会津藩家老、西郷(保科)頼母から教わった会津藩の留技、御式内による。ここらの事情は、かなり錯綜している。小説はフィクションの部分も多いと思うが、加納治五郎なども、修業時代、西郷のもとへ研究にきている。講道館の西郷四郎(四天王のひとり)は、西郷頼母の養子だったことを考えると、なかなか面白い人間関係だ。
 小説では、加納治五郎と惣角との決闘が二度も描かれている。史実の人物同士の戦いである。手に汗握る気持ちで読んだ。結果は、惣角の圧倒的勝利だが、加納治五郎の方にも花を持たせている。武術探究者としての粘り強さと根性だ。惣角は、そういう異質の人物に、技で勝っても舌を巻かざるをえなかった。
 結局、加納は、現代に至る柔道という流派を確立したが、惣角は自己の強さを探究し続け全国を流浪して終わった。自分の道場すら持っていない。弟子の中に、植芝盛平というひとりの天才がいて、彼が合気道を起こした。惣角が評価されるのは、多くはその合気道という系譜においてであろう。
 惣角は、また、琉球に渡り、空手とも対決している。そこらの面白さは、古流空手の武道家、今野敏の独壇場ともいえる。





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最終更新日  2010年10月03日 15時55分14秒
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池月映 さん
 武田惣角の生家の会津を調査して2冊の本を書きました。地元では、身分不詳の珍談・奇談「妙な小男」しかありません。今月の「秘伝」に書きました。
 地元の資料からは、山賊退治は地元の博徒が相手で死者、怪我人はでていない。保科近悳との関係もありえない。
 確かなことは、少年時代、体の不自由な妹を必死に守ろうとしたことが武術家としての才能を生んだ。流浪の人生を支えた初婚の妻との愛があった。
 多くの作家が書いてますが、地元を直接取材したものはないようです。今野さんは、どうしたら売れるのかという視点で書いていると思います。 (2011年08月22日 15時42分30秒)

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