「たぶらかし」安田依央

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2012年03月08日

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　小説スバルはミステリーというわけでもないが、なんとなく「たぶらかし」屋どうしの虚々実々のたぶらかしあい、コンゲームみたいなものを期待して読んだが、どうってことない展開だった。というか、代役業の日常の中の、いくつかのエピソードをつなげていくだけの内容で、それぞれの話は、それなりにドラマになっているが、一本おおきな筋のあるものではない。
　てわけで、この作品は、ミステリー的なものを期待するとダメ。最後の仕事はそれなりにオチがあるが、これもいうなら想定の範囲内だ。ただ、人間ドラマとして楽しむならいいのかもしれない。しかし、こちとら、文章を楽しんだり、キャラクターの造形に唸ったり、ドラマに胸を打たれたりするような部分はどうでもよく、エンタテイメント、あるいはミステリーとして面白いかどうかという、まったく特殊な読み方しかできないのである。なので、こういう系は、あまり評価できないということになる。
　また、そもそも、こういう役者の代役屋みたいなものは、そんなに珍しいアイデアでもない。役者が時給で演じるレンタル家族を扱った映画もあるし、「ドールハウス」とかいうハリウッドドラマも似たような話だった。
　なお、この作品は、この春、深夜枠でドラマ化されるそうである。主人公のマキを演じるのは、谷村美月。原作のマキは、40前の独身中年女だが、いくら演技力ピカ一の若手でも原作通りの年齢を演じるのは無理。ということは、主人公のキャラクター設定を完全に変えてしまうということになるのだろう。

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最終更新日 2012年03月08日 12時25分55秒
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■コメント

パウンドさん

「たぶらかし」がドラマ化されましたけど、
安田依央さん、着々と次作『終活ファッションショー』
を出されていたので、早速読んでみました。
いや、たぶらかしよりも深い内容になっていて、
エライ。

このままの勢いでさらに今後の作品も出していけるか、
これが気になったんですが、今後も大丈夫みたいですね。
www.birthday-energy.co.jp
（こんな切り口のサイトもおもしろいものです。）
(2012年06月22日 23時17分57秒)

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