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2005.09.20
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鷲の紋章学

~平凡社、1994年~

 著者のアラン・ブーローはアナール学派第4世代に属する歴史家です。
 本書は、紋章や絵画など、図像に現れる鷲を検討することで、それを用いた権力者たちが、鷲をどのように認識していたか、また、権力者たちがそれを利用した意味などを明らかにしています。
 目次を簡単に紹介すると、以下の通りです。


第一章 不在の空―カロリング期の権力
第二章 崇高なる鳥―八世紀における鷲の潜在的な意味
第三章 妥協の産物としての図像―オットーの鷲(十世紀)

第五章 逃げ去る鳥―寓意画と銘における鷲(十六―十八世紀)
第六章 集結のしるし―アメリカ合衆国とフランス帝政の国家的な鷲(1776-1804年)
第七章 視覚の罠―ナチスの鷲
結び

 原著のタイトルを直訳すれば、『鷲―ある記章=象徴の政治的年代記』(195頁の松村氏による訳)となります。邦訳の副題にあるカール大帝の時期は、<皇帝の鷲>という観念は希薄だったと指摘されています。神聖ローマ帝国以降、そうした観念で鷲が用いられるようになります。
 原著のタイトルにあるように、政治的に用いられた鷲の図像について論じている書物なので、逆にいえば、図像(それも鷲という一つの動物)の分析から、政治的編年記を描くことが可能なわけですね。著者自身、結びにおいて、本書の限界を指摘していますが…。
 キリスト教動物学の伝統や、使徒と動物の対応関係など、第二章、第三章が、私の関心のあるところで、興味深かったです。
 第六章では、アメリカ合衆国と共和制下・ナポレオン下のフランスが、その印璽を決定する過程が詳しく紹介されており、興味深いです。
 なにかと作業をしなくちゃなので、適当な紹介になってしまいましたが、このくらいで…。





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Last updated  2008.07.12 21:07:58
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