のぽねこミステリ館

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2014.02.22
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 島田荘司さんの評論関係を中心に集めた作品集です。
 おおまかな構成は次のとおりです。

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1.21世紀の本格
2.名探偵の過去、現在、未来
3.未来の作家たちに
4.作家論
5.本格と冤罪
6.探偵小説あれこれ

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 いくつかの要点や感想をメモしておきます。

・本格探偵小説の原点(ポー「モルグ街の殺人」)は、当時の最新科学と、論理の結合です。密室など、そこからいろんな要素が派生してきていますが、(推理で必要とされる)科学は原点からそう離れていないことから、21世紀ならではの最新科学(島田さんが重点を置いているのは脳科学、生物学)を本格ミステリに取り込んでいく必要があるのではないか、と島田さんは説きます。(島田荘司さんの作品でいえば、 『エデンの命題』 をはじめ、 『ネジ式ザゼツキー』 など)。→DNAに重点をおいた、最近の石崎幸二さんの諸作品も、この流れに位置づけられるのかな、と感じます。

・日本人論も面白いです。島田さんの日本人論で印象に残っているのは、 『御手洗潔の挨拶』 (講談社文庫)所収の「御手洗潔の志」で、こちらでは日本人の言葉遣いなど、「日本語」に重点が置かれていた印象が強かったですが、本書収録のいくつかの論考では、「儒教」が一つのキーワードになっています。上の者を敬う、という点が、いびつな形になり、戦時中はそれが軍の上官たち、高度経済成長では会社社長や上司となり、下の者は上の者に気を遣いまくり、そのストレスからか自分より目下の者に威張るようになる―また、威張らないと尊敬されないという誤解からの威張りが生まれる―、という流れですね。21世紀に入って10年以上経つ今では、多少は状況も変わってきているのではないかと思いますが(少なくとも私の職場では)、そういう日本人がまだ多数いることもまた否定できないでしょう。

 印象的だった言葉を引用しておきます。

「もうわが国は、列強の思惑に翻弄される小国ではなくなった。ということは、現状獲得のために犠牲にされた様々なものは、もう国から取り返してよいということです。すなわち、やっかみ癖の強い、あまり魅力的とはいえない国民感性、異様なまでの行儀偏重、これを根拠とした苛め発想〔中略〕これらはことごとく放棄し、国民はもっとゆったりしてよいということです。しかし、明治政府の国策の理由が消滅してしまった今も、富国強兵時代の慣習のみが無意味にリレーされ続けているというのがわが現状です」(397-398頁。実はカッパ・ノベルス版 『涙流れるままに』 のあとがきの再録です)。

 また、日本人論に関しては、「4.作家論」所収の「『森村誠一』試論」に描かれた、森村さん(私は不勉強にしてその作品は未読です…)の、ホテル勤務時代のいくつかのエピソードも衝撃的です。

『魔神の遊戯』 や 『摩天楼の怪人』 などは発表されていますが、2013年現在でも未発表の作品もあります。それらの刊行も楽しみです。

・「2.名探偵の過去、現在、未来」には、御手洗さんが登場する短編「御手洗潔、その時代の幻」が収録されています。御手洗さんへのインタヴューが中心の作品で、こちらも面白いです。

 日本が抱える根本的な問題について考えさせられたり、単純にミステリや作家さんたちの興味深い話題を楽しめたりと、バラエティに富んだ一冊です。





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Last updated  2014.02.22 21:10:37
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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