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2016.02.13
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(Genevieve d’Haucourt, La vie au Moyen Age, P.U.F., 1968)
~白水社文庫クセジュ、1975年~

 タイトルどおり、中世ヨーロッパの日常生活を簡明に描いた著作です。(画像は最近の分。私の手元にあるのは古い版の表紙です)
 著者のドークールについては、本書の「訳者まえがき」でも詳細不明とされています。
 訳者の大島(大嶋)誠先生は、元・大分大学教授です。中世の大学に関する研究を専門にされていらっしゃり、このブログで紹介してきた次の論集でも、その論考を読むことができます。

・橋口倫介編 『西洋中世のキリスト教と社会』 刀水書房、1983年
 「第一章 フランス中世末期大学史研究と<聖職禄希望者名簿>」
『彷徨―西洋中世世界―』 南窓社、1996年
 「中世のパリ大学と「書籍商」」

また、次の文献の共訳者の一人です。

・レオポール・ジェニコ(森本芳樹監修) 『歴史学の伝統と革新―ベルギー中世史学による寄与―』 九州大学出版会、1984年

 本書の構成は次のとおりです。

―――
訳者まえがき
序論
第一章 物質生活
 一 その一般的背景

 三 家具
 四 衣服
 五 食物
第二章 時の流れ
 一 日々の生活

第三章 生涯
 一 誕生
 二 教育
 三 結婚
 四 病気と死
結び
訳註
索引
―――

 構成からも明らかなように、内容も簡潔で、150頁という分量なのでとても読みやすく、またわかりやすかったです。

 いくつか、面白かったことをメモしておきます。

 中世の道に関する記述では、悪臭がひどすぎて、フィリップ2世(尊厳王)が気を失ってしまったというエピソードが面白いです(35頁)。関連して、寝室用便器の中身を窓から捨てるのが一般的だったということで、ある日、ルイ9世(聖王)が夜更けに通りがかったところ、マントに「溲瓶」の中身をかけられてしまったというエピソードも紹介されます。聖王ルイは、立腹するどころか、犯人が勉強をはじめるために非常に朝早く起きた学生だと分かると、聖職禄(奨学金)まで与えたといいます(35頁)。こういう面白いエピソードがいろいろ紹介されているのですが、注がなく、出典が分からないのが残念です。

 本書では、14世紀末頃、パリの無名の市民によって書かれた『パリの世帯持ち』という著書が、幾度も引用されています。たとえば、こんな話。正妻の他に妾をもっていたある男は、妾と夜を過ごした後、その足で「いつもどおりに」ミサに行ったといいます。ドークールは、「こうした例では、信心業とかなり不まじめな生活とが併存しているのである」とまとめています(60頁)。フィリップ・アリエスが「心性史とは何か」(同『教育の誕生』藤原書店、1992年所収)の冒頭で引いている、フランソワ1世のエピソードを連想しました。

 年間行事について論じる節では、寝取られた男の家の煙突を若者たちがふさぎに行ったというエピソードが紹介されます(77頁)。寝取られ男はよく出てくるモチーフですが、いまさらながらに、寝取った方の男性よりも、寝取られた方の男性が見せしめを受けるというのが興味深いと感じました。

 中世の教育で、暗記と微細な分析が強調されていたことと、こんにちの講義での、作者の思想の把握だけを重視する姿勢とを対照的に述べた部分も面白く読みました(104頁)。

 内容の紹介を一切せず、なんだかとりとめのないエピソードの紹介だけになってしまいましたが、面白く読めた一冊です。





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Last updated  2016.02.13 13:28:46
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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