仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2005.11.09
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カテゴリ: 国政・経済・法律
財務省は地方にやるカネはないと言うが、地方交付税は本来地方の固有財源であって補助負担金とは全く異なるもの。ことさらに地方のムダ使いをアピールしながら(マスコミと財界が乗せられている)、各省には補助金廃止は歓迎するが一般財源化する余裕はない、という財務省の姿勢は、三位一体の問題に正対していないといつも思う。地方に出来ることは地方にやらせる、そしてやらせる以上は適正に財源が必要だ、という議論をしているのに、国家財政のカネの単位の視点だけに立って、交付税も補助金も等しく数字の論理だけで議論するのだから。
 作戦的には、総務省との力学関係を踏まえ、一般財源にしたら今度は交付税無駄遣い論で総額圧縮していく、と言う算段でしょう。

 あまり言いたくないが、交付税にすると地方は無駄に使う、というなら、国の財政のムダをどうして「本気になって」見直さないのか不思議です。ひたすら予算消化に動く自己目的マシンである主要省庁地方支分局の実態は知っているだろうに。また一般財源化は補助負担金実務に携わる相当数の国家公務員の削減も可能。でも、これら国民的実利の側面には意図的にフタをする。財務省も根っこでは伝統的な政財界の中央集権財政システムを残したいし、各省の利益も擁護するというわけか。共存共栄の国会議員も基本は同じ(官僚の手の内にあるとの自覚の有無は別として)。もっと言えば、政治家を牛耳る官僚エリート政治という明治以来の日本文化を守りたいのでありましょうか。

 地方の側からすれば、時代遅れの巨象のようなシステムを生かすが為に、借金までしてジャブジャブ餌を食わせておきながら、地方にやるカネはない、というのは何ともやり切れない。元凶の巨象には、爪を切って見せるぐらいしか対処しないのだから。
 三位一体改革は、無駄な餌を地方も食わせてくれと言っているのではない。現実に地方も痛みを受ける覚悟で提案した。地域の行政を自主的総合的に実施する責任を負う地方自治体(分権一括法で理念は法定された)にふさわしい財源を確保せよ、あわせて、巨象をスリムにしようという議論だ。

 一般財源となれば地方自治体の全体の経費効率化が問われるのはその通りだし、中央の目からすれば個別にはムダと映るものも有るかも知れない。しかし、それは、民主政の論理で整理解消していく話である。

 財政は誰のものか。国会財政は国民のもの(財政民主主義、憲法83条)。地方財政は自治体の主権者たる住民のものであるはず。
 財務省の論調は、その公選の首長だからこそ、人気取りの無駄な金遣いをするというのだ。これでは全く議論が噛み合わない。

 それならば、財政の民主度なるものを、国と地方の比較で考えて欲しい。

日記 )。
 内容面で言っても、現実に今の地方自治体は都道府県レベルで大半が職員給与カットまでして財源を捻出している。財源が許さないからではあるが、優先順位を決めてダイナミックに取捨選択をせざるを得ない状況にあるのだ。カネの限界効用を身にしみているのは地方の方だと思う。
 各省の既得権益を基本的に守り、赤字国債に頼る財務省の予算編成と比較してどうだろうか。

 あえて言えば、国民兼住民が同じ単位のカネを信託するときに、国に使わせるのと自治体に使わせるのと、どちらを選ぶかの問題だ、といっても良い。

 折しも8日、会計検査院が昨年度決算検査報告を内閣に提出した(各紙9日報道)。9日の毎日新聞社説には、検査院は大きな問題例えば地方財政計画のギャップ問題にも切り込むべしとある。
 もちろん地財計画上の一般財源の想定と現実の使われ方の個別のギャップが好ましいとは思わない。しかし、一般財源なのだから、終局的に主権者が民主的に決めるべきことだ。個別ギャップ問題にとらわれて、なるほど地方の使い方はムダだね、なんて自治の論理をスッ飛ばしてはいけない。また現実の財政の民主度を見つめて欲しい。
 かたや国のカネの使い方。地方レベルでは前世紀の話となった組織的不正経理がゾロゾロ出ている。

 小泉氏は改革断行という。官僚政治とこれを支える族議員政治を本気で是正する覚悟があるなら(ある程度期待しているのだが)、国民の利益にたって、官僚に何の遠慮もせず、三位一体の本質に立ち返り政治力を発揮して欲しい。三位一体に多くを期待しすぎてもいけないが、これが出来ないようでは、日本の真の改革など覚束ない。





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最終更新日  2005.11.10 04:11:55
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