仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2007.02.18
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カテゴリ: 東北
経済学者伊藤善市さんが82歳で亡くなったとの訃報記事があった。地域経済や国土計画で幅広く活躍された。

氏の名前を聞くと必ず思い出す。地域活性化政策の理論的モデルを探求しようと思っていた若いとき、濫読した中のある著書に批判的に引用されていた。東京女子大におられた頃だと思う。直接話を聞いたことはない。

地域活性化や地域政策論はさまざまな切り口があって、また理論面、実践面、行財政制度面など入り交じってモヤモヤしているし、そもそも何を目標とするのか(個人の幸福、自治体の幸福、所得、環境...)論者によるから、何とも収拾がつかない。それでも、地域経済論という一応認識されつつある学問領域に関して言えば、大きく3つの潮流があった。

1つは経済学本流から出て、最適化や均衡論を地域関係にも当てはめようという流れ。新古典派経済学がベースで、都市経済論や開発経済学の主要な学者もこの系譜だったように思う。

2つめは、社会問題や貧困を総合的視野で捉える政治経済学の流れ。マル経と一括りにはできないにしても、基本的にはその流れだ。社会主義が崩壊しつつある当時(ちょうどエリツィン台頭の頃)には、かつての資本主義発展段階論のようなバリバリの理論はさすがに成りを潜めたが、新たに環境問題や地域格差問題など、従来の理論経済学が外部においていた要素を、ある程度柔軟に掬って説明する姿勢で共感を広げようとした。

この系譜の学者から、伊藤善市さんのような本流の学派が批判されるわけである。つまり、地域格差も経済学的には均衡状態だ、ないしは均衡に向かう過程だ、と従来の経済理論だけで論じて、格差問題の本質である非自発性や過疎地域の荒廃の問題は考慮の外に追いやっている、と批判するわけだ。

なお、第3の潮流は経済地理論ないし立地論と呼ばれる分野。マクロ経済をどうするというよりも、企業の立地や地域の有利不利などの目先の議論だ。古典的な立地論もあるが、システムズアプローチや経営論とも結びついて、実践的な検討が進んだ。最近年ではネットの発達で様相も変わっていよう。

伊藤氏はその後も政府の主要な審議会などに用いられ、地域経済論の中心人物だったと思う。学問として経済外部性に追いやったと一部学者が批判した点を、理論的にどうお考えだったか、私はそれ以上勉強していないが、少なくとも政策論としては検討し発言していたはずだ。

今週の訃報記事でこのことを思い出したのだが、少しビックリしたのは酒田のご出身だったということ。地元関係のサイトを斜め読みしたら、酒田市を始めとした庄内地方の自治体で、顧問や委員を務め、講演も多数。酒田市の合併にも深く関与されたそうだ。






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最終更新日  2007.02.18 08:25:29
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故伊藤善市先生の記事読みました  
丹羽武正 さん
伊藤先生に教えていただいた一人です。突然のご逝去で愛惜のきわみです。最近地域づくり論(大川健嗣著・河北新報出版センター)に伊藤先生の序文が寄せられております。ご参考までに (2007.02.22 11:35:37)

Re:故伊藤善市先生の記事読みました(02/18)  
丹羽武正さん、文献の紹介いただき感謝します。

早速、大川健嗣先生の『地域づくり論』の序文を読みました。ともに山形県内の町おこしに関わったこと、リーダー育成が大切なこと、など伊藤先生の文章を拝読して、地域を思う先生のお考えの一端を知ったような気がします。

この序文は昨年4月でしたから、本当に最近ですね。大切な方を失う心痛にお悔やみ申し上げます。

不勉強な私ですが、これを機に地域計画の理論面も少しづつ勉強し直そうとも思っております。今後もご指導、ご批判など頂ければ大変有り難いです。

ありがとうございました。 (2007.02.23 21:58:57)

Re[1]:故伊藤善市先生の記事読みました(02/18)  
丹羽武正 さん
おだずまジャーナルさん
(2007.03.07 20:08:01)

Re早速読まれたそうですね  
丹羽武正 さん
おだずまジャーナルさん
クイックレスポンスは気持ちがいいものです。ちょっと多忙で失礼しましたが、実は伊藤先生が亡くなられる前に(1月29日)に3点資料を送ってくださいました。(1)1月28日の山形新聞投稿記事「直言」(2)地域経済研究会年報(第32巻)、平成18年3月、発行人地域経済研究会事務局編集担当上村正志:山形市東原町3-2-27電話023-632-1291)(3)NETT(NorthEastThinkTANK ofJapan)ほくとう総研第55~2006.10 HomePage http://www.nett.or.jp/
何かのご縁と思いご紹介させていただきます。
おだずまジャーナルのこと少しずつ教えていただきたいと存じます。 (2007.03.07 20:26:25)

Re:Re早速読まれたそうですね(02/18)  
丹羽武正さんご紹介大変ありがとうございました。
遅くなりましたが今日の午前中にNETTの伊藤先生の文章を拝読しました。
個と共生、個体と循環の大きな視点から、大地とともに進み生命を畏れ敬ってきた東北の地を臨んでおられるのですね。

私は政治学の出身ですが政策過程論とともに政策の中身、なかんずく地域政策に関心をもって(勤勉ではないのですが)おりました。20代には仕事でも地域づくりに関わり、先生方や自治体関係者などと話す機会も多く、楽しい時代でした。山形にも度々行きました。90年代前半で、まだ開発志向が色濃く残っていましたね。

その後地域経済も低迷して、また仕事も変わったのですが、自分自身で弱点だった法制度(公法と地方行財政制度)を仕事外でかなり勉強しました。さらに、土地を離れた地域づくり論はありえないと思って、理論やデータよりも、その土地固有の風土や歴史を、これまた仕事外で少しづつ勉強しております。このブログがその勉強そのものです。

このように広く浅く、しかも実にならない(?)勉強をしている人間の典型だと自分で思っています。でも生まれ育った東北の地を少しでも多く知りたい。そして、いつか地域づくりに関わる仕事に戻れれば、と思っております。 (2007.03.10 14:51:16)

読んでいただき感謝です  
丹羽武正 さん
早速のコメント有難うございました。貴兄が志向されている勉強のためのブログ・・素晴らしいお考えと思います。継続して頑張ってください。これからはニックネーム、パイロットでお邪魔する事に致します。浅野さんのこと鳥の写真良いですね。 (2007.03.11 15:37:19)

Re:読んでいただき感謝です(02/18)  
パイロットさんお早うございます。記事を読んで頂いてありがとうございます。(まとめてここで返事させていただきます。)

マイペースで深みもない勉強ですが、時々コメント頂ければ大変うれしいです。これからもよろしくお願いします。 (2007.03.13 05:58:41)

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