仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2011.10.23
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カテゴリ: 宮城
律令国家は全国平定のため行政区として五畿七道を設け、都より国府に至る幹線道路を整備した。東北の蝦夷平定のための東山道は、陸奥東山道と出羽東山道が北上する。陸奥東山道は7世紀後半には郡山(仙台市)に朝廷の地方役所が構築され、8世紀半ばには蝦夷平定の拠点として国府多賀城が置かれた。802年には坂上田村麻呂により胆沢城が竣工、アテルイが降伏した。その後東山道は志波城まで延びている。

全国の官道には30里(16km)ごとに一駅が設けられ馬が配備された。宮城県及び岩手県分では(カッコ内は比定地)、篤借(あつかし)(越河、斎川)、柴田(大河原)、小野(川崎)、玉前(たまさき)(岩沼)、名取(仙台市郡山)、栖屋(すねや)(利府)、黒川(吉岡)、色麻、玉造(岩出山)、栗原(鶯沢)、磐井(西磐井)、白鳥(前沢)、胆沢(水沢)、磐基(いわき)(花巻)である。

■関連する過去の記事
東北の道 概説 (その1 古代)(2010年10月23日)

利府を経由して吉岡に至るのは、現在の国道4号の感覚とは離れているが、多賀城の存在を考えなければならない。そして、黒川の東山道ルートについては、利府から、小鶴沢、太田、幕柳、鳥屋、北目、大崎、舞野村に出て、奥田を経由して色麻、玉造に向かったとされる。また、黒川が現在の吉岡でないことは、元禄13年(1700年)の黒川郡駒場村山林絵図に、古海道が記載されていることから明らかである。

吉岡は政宗の三男宗清が下草から元和2年(1616)に居館を移して宿駅が成立し、新しい奥州街道を造成した。吉岡宿の北端から水田を横切って善川をわたり、昌源寺門前に出て、昌源寺坂(奥田坂とも)を上り、駒場村で県道に出て三本木に至る。古海道とは、この新奥州街道に対比しての呼称と見られる。舞野観音から須岐神社に至る古海道の沿道は東北自動車道が通っている。

■関連する過去の記事
セントラル自動車が奥州街道を復活

いま、現代の交通路を含めて並べてみると、国道4号は吉岡市街北辺を迂回してから大衡丘陵地の西裾を廻って三本木に至る。奥州街道は吉岡の街中から水田を突っ切って奥田の山中(今ではセントラル自動車)に向かい、駒場地区(須岐神社)へ。古代の推定東山道は、奥州街道とは交わらず、舞野地区から北上し現在の東北自動車道と絡み合うように北に延び、大衡ICの東側を併走し再び自動車道西側に出て(というより自動車道が一度西に振れているとも言えるが)、駒場須岐神社で藩政時代の街道と交わるという関係。

次に仙台以北の街道ルートについて。

天保4年(1833)の御城下町割絵図には、北山輪王寺脇の道に古海道と書き込まれており、城下に新しい奥州街道が造成されたので古海道と呼ぶようになったのであろう。また、中山古海道(古街道)、中山通とも呼ばれ、輪王寺脇から荒巻小学校を右にみて神明社のところで梅田川を渡る。段丘崖の外縁にそって進むと水の森公園。公園入口の叢塚の前を過ぎると、地域の方々が命名した秀衡街道という標識に出会う。上谷刈村風土記には御城下ならびに黒川郡への道とあり、江戸時代の交通路でもあった。公園の東縁を通り抜けると高柳川が流れており、橋のたもとに8基の石碑が立っている。目の前には陸橋加茂大橋。古街道は橋の東に続き、住宅裏に道の痕跡が残っている。街道は北環状線道を越えて七北田川に沿って進み、道路神社(道六神社、沼遺跡付近)がある。ここで七北田川を渡ると、本七北田。嚢塵埃捨録にいう昔の巣鎌(現菅間)の宿であろう。本七北田の名称は、政宗により北根を経由して新たに造成された奥州街道の七北田宿に住民が移されたためである。

■高倉淳『仙台領の街道』無明舎出版、2006年 などから
■参考サイト
七北田のルーツ (泉区サイト内)

なお、七北田・富谷ルート以前に、根白石が奥州街道の宿場だったとの見方がある。

■関連する過去の記事
忘れられた宿場町 根白石 (09年11月4日)





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最終更新日  2011.10.23 15:06:56
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