仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2015.12.01
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カテゴリ: 宮城
県民性に関する古典的名著ともいうべき、祖父江孝男『県民性』(中央公論社、1971年)に、およそ次のような説明がある。

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香川県は女性ドライバーが最も多い。次いで徳島。女性ドライバーの比率が少ないのは、一般の予想に反して、東京、大阪、仙台を持つ宮城などである。比率の高いことの意味づけは難しく、単にレジャー目的が多い大都市の女性ドライバーに対して、中小都市や農村では、仕事のために女性も免許を持つのであって、女性の社会進出と言えるのだろうか。また、土地に山地が多いことも関係しているだろうか。

ところで、香川と徳島は、岡山と並んで女子の高校進学率が男子を大きく上回る特徴がある。旧制高等女学校(戦後の女子高校)が早くから発達し、母親の学歴が高いのが特色。文部省の学力テストでは、昭和30年代後半には東京などを完全に抑えて、小中学校とも連続全国一だった。

女性ドライバーの多いことも、こうした事情と関連性があるように思われる。
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同書に掲げられた表によると、女性ドライバー比率(昭和45年12月末)は次のようである。

1位 香川県 (男子/女子の比率=)2.8
2位 徳島県 2.9

45位  宮城県  6.3
46位 大阪府 8.6
(当時は46位が最下位)

宮城が6.3ということは、男女全ドライバー中の女性比率は、1/(6.3+1) で、およそ15%程度ということになる。香川は、26%前後となり、たしかに相当の格差だ。

宮城県が東京や大阪と同様に女性ドライバー比率が低いことに、いかなる要因があるのか興味を抱くのだが、さて現在はどうなのだろうか。

警察庁の運転免許統計(平成26年版)をもとに、女性ドライバー比率をはじき出してみた。(年末における運転免許保有者数のうち、女性の割合である。)

1位 宮崎県 .484
2位 佐賀県 .481
3位 鹿児島県 .479

以下、和歌山、熊本、徳島、愛媛、香川、高知などが続く。全国値は .446であり、九州など西日本は特に高い。中部や近畿は46%前後、関東、東北だと45%前後と、西高東低が相当はっきりしている。もっとも、東西の差のほかに、大都市部をもつ都道府県は低い傾向にあるようだ。


1位 東京都 .416
2位 神奈川県 .422
3位 大阪府 .424
4位 埼玉県 .430
5位 千葉県 .432
宮城県 は低い方から第8位で、44.69%である。


昭和45年のデータにみられたような「お国柄」的ファクターは、おそらく免許保有者総数の増加(免許の普及)とともに消えつつあるのではないかと想像する。

それでも、宮城が第8位というのは、単なる都市化(公共交通機関の発達)の序列以外に、何らかのファクターが効いているようにも思われる。

大型、第二種、原付、あるいは年齢別の保有者数を調べてみるなどしていくと、結構特色が浮かび上がるかも知れない。

例えばだが、高校生にバイク通学を許すかどうかなどの事情も寄与しているのかも知れない。原付の免許保有者147万人のうち、女性は982万人で男性の2倍以上なのだが(複数の免許を持つ者は上位の免許に計上されてる)、県別に拾ってみると、

宮城県  原付(のみ)免許保有者 女性9996人 男性8367人
鹿児島県 同上 女性20271人 男性11863人
香川県  同上 女性10042人 男性3233人

などと、西日本には女性が男性の2倍や数倍の県もあり、すごいことになっている。

ほかにも、大型二輪や普通二輪の女性保有者は、西日本が多いが、大型(自動車)や小型特殊になると、東北など東日本の女性保有者が多い。例えば女性の小型特殊(だけ)保有者数は、新潟県がトップ(3087人)で、福島県、岩手県の順となっており、西日本や東京、大阪などを圧倒している。

■関連する過去の記事
祖父江孝男の指摘する東北の県民性 (2010年12月9日)





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最終更新日  2015.12.01 21:03:31
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