お霊参り2

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清之助^^ @ Re[1]:怪談実話系6 著者9名の競作集(01/14) 風船猫~☆彡さん 大根は痙攣しないものと…
風船猫~☆彡 @ Re:実話”恐怖”怪談 怖い噂編集部(01/13) よい除霊方法が見つかればいいんだけどね。
風船猫~☆彡 @ Re:怪談実話系6 著者9名の競作集(01/14) 多分田舎で大根を干していた記憶が蘇った…
清之助^^ @ Re[1]:霊障無心 織田無道 エム・ウェーブ(07/14) あんじぇ(*・∀・)さん 女性の手という…
2022.05.04
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「慰め」
私の母は、いわゆる樹海パトロールのボランティアに参加していた。
昔から肝っ玉の太い人で、それ以上に情けに厚い人だった。
ある年の年末に近い日だったそうだ。この時期は、特に自殺を目的とした来訪者が多くなる。
この日も母たちは一体の死体を発見し、ふたりの男女をそれぞれ保護した。
その帰り道のことである。母は木々の間をゆらゆらと歩く人影のようなものを見つけた。樹海は溶岩質の
地面の上を木の根が縄のように這っているため、慣れない人はふらふらとした歩みになるそうだ。
母は、もしやと思って目をこらした。案の定、それは若い女だった。
『あんた、どうしたの』
女の青白い顔は土で汚れ、半開きの口からはヒュウヒュウと息が漏れているだけだった。
『あったまるよ』 リュックサックから水筒を取り出し、紙コップへ暖かいお茶を入れて手渡した。
『ありがとう・・・』 女は蚊の鳴くような声でこう言うと紙コップを口へと運んだ。
母は女が飲み終えるのを待つと、女の手に自分の連絡先を書いた紙を握らせた。
『さあ、戻ろう。こんな暗いところにいちゃ駄目だよ』
母がそう言うと女は頷いた。しかし、水筒をしまうわずかな時間のうちに消えてしまった。紙コップも一緒に。
数日後、母の元に警察から連絡があった。樹海で見つかった死体が握っていたメモに連絡先が書いて
あったため、電話したということだった。母は慌てて警察へ向かった。死体は発見時、既に白骨化していたらしい。
母は女と遭遇した話をした。
『奥さんのお蔭で成仏したんでしょうね』
警官はそう言った。女の死体のそばには、どう考えても新しすぎる紙コップがひとつ、落ちていたという。
『あれが、後にも先にも幽霊を見た、ただ一度の体験だよ』 と母は笑っていた。
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Last updated  2022.05.04 13:06:37
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