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2012.06.01
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カテゴリ: 亡父のこと


神田「松村書店」のシールが裏表紙の見開きに貼ってありますので古書として手に入れたものと思われます。

黒田清輝門下で白馬会所属の新進画家たち岡野栄、中澤弘光、山本森之助、跡見泰、

小林鐘吉の5人が、日本諸国を旅して歩きましたが、その様子を版画や写真、

絵を添えて書き綴った書物で、今となっては5巻揃っていれば40万円ほどする高価な本です。

大貫伸樹氏のHP(装丁の四季-秋「ガイドブックの装丁」)の文章を一部お借りしますと、

<見返しの彩色木版画・京都案内図もまさに圧巻といえる。たかが書物のために5人の画家達に全国写生旅行をさせ、

たくさんの絵を描かせるなど、制作費に糸目をつけない太っ腹な企画を断行したのは、

当時中西屋の支配人をしていた伊村金之助である。装釘を担当した岡上儀正は、

明治6年に印刷局に御雇教師として洋式製本を伝えたパターソンの直弟子の1人であり、

伊村はキャスティングにも鋭い眼を持っていたようだ。

 『日本名勝写生紀行』定価4円50銭は、同じ頃に発行された豪華な本として知られる夏目漱石『虞美人草』1円50銭や、

明治39年の巡査の初任給12円(『値段の風俗史』朝日新聞社)に比べてもかなり高価で、旅費よりも高かったのではないかと思われる。>

 引用が長くなりました。さて、私が感心するのは折り込みや各頁に添えられた版画・絵の類の豪華さに加え、

流れる文章に明治時代の良き香りが漂ってくることです。

<暮れ行く春の霄(しょう・ミゾレ)の雨に、明日は如何にと思ひ煩ひつゝも、明くれば空の朝焼鴨川に映りて三十六峰比叡の山、

新緑の世と移ろひ行く五月のはじめの青霞、花より明けて花に暮れし京の盛はいつしか過ぎて、

保津川のツツジ、長岡の藤も未だ早し、鉦皷(ガンデン)の壬生狂言、京の島原を尋ねんと、中澤山本二子と宿を出づ。>

「何でも鑑定団」の鑑定士じゃないけれど、頁を来る都度目に飛び込んで来る筆遣いに

本物の絵師たちの風雅な心と腕の確かさに魅入られて仕舞うのでした。





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Last updated  2012.06.01 06:35:31
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