全6件 (6件中 1-6件目)
1

2025年NHK大河ドラマ 『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』 の感想です。今回はドラマでも小説でもよくある、主人公が一旦は失意のどん底に落ちる、という回でした。主人公の蔦屋重三郎(横浜流星さん)は、明るい性格で行動力もあり、頭の回転が速くてなにより弱い者たちを思う優しさがあります。そしてふだんはポジティブシンキングで、少々の苦労や障害なら気持ちを切り替えて乗り越えていきます。でも今回の流れは、さすがに重三郎でも堪えたというか心が折れる事態だったでしょう。上に逆らえない下っ端の悔しさを十分に味わわされて、これから徐々に力を持つようになるのでしょうか。ただ、いくら重三郎のサクセスストーリーが面白いとしても、やはりそれだけでは1年間続く大河ドラマとしては物足りないものです。その部分を渡辺謙さん演じる田沼意次と、意次に関連する徳川家の政の部分で面白くなっていると思います。田沼意次というと、これまでの時代劇ではあまり良い印象がなかったのですが、渡辺謙さんが演じるせいか、このドラマでは意次から目が離せない感じです。こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #べらぼう #大河べらぼう 安永3年(1774)秋、蔦屋重三郎(横浜流星さん)があちこち奔走して作った『一目千本』によって𠮷原は賑わいを取り戻しました。女郎屋の主人たちは次の一手として女郎たちの錦絵を出そうと考えたのですが、『一目千本』の時と同様、自分たちは金を出さずに女郎たちに入銀させ、そして動き回ってそれを作るのはやはり重三郎でした。しかし女郎たちからは、そんなに簡単に入銀はできないと反発され、そのことを義兄の次郎兵衛(中村蒼さん)に愚痴をこぼしました。弟分の唐丸(渡邉斗翔くん)が女郎たちなら簡単に稼ぐのでは?と訊ねるので、次郎兵衛と重三郎は「客の支払いから店の取り分が持っていかれ、他にも着物や身支度に金がかかり手元にはほとんど金が残らない。」と説明してやりました。同じ頃、徳川御三卿の田安家では当主の治察が急逝し、半年前に白川松平家へ養子に行った弟の賢丸は、後継ぎがない田安家のことを考えていました。そこで賢丸は老中首座の松平武元から大奥総取締の高岳を通じて将軍・徳川家治(眞島秀和さん)を動かし、自分を田安家に戻すよう動いていました。家治から賢丸を田安家に戻すと聞かされた田沼意次(渡辺謙さん)が家治にその真意を訊ねると「賢丸の気持ちを考えると」という思いからでした。半年前に賢丸を白川へ養子に出すように家治を動かした意次でしたが、その場は一旦は家治の意向を受け入れました。御三卿として維持するだけで10万石も与えている田安家を、幕府の倹約令にならって潰してしまいたいと意次は考えていました。そこで最後の手段ともいえる危ない賭けを意次はやることに決め、父・意次の意を汲んだ嫡男の意知が何か秘密裏の行動を始めました。一方、錦絵を作るのに誰かに出資させる方法が何かないかと考えていた重三郎が鱗形屋で孫兵衛に相談し、それからふらりと大道芸人たちが集まる両国に来ると、そこで平賀源内(安田顕さん)とばったりと会いました。重三郎と近況の話をしながら源内が両国を歩いていたらふと、かつての自分の思い人だった菊之丞のことを思い出す場面がありました。その話を聞いていたら重三郎は錦絵の資金集めをする方法を思いつき、源内に礼を言って走って𠮷原に戻っていきました。重三郎が去った後、源内は編み笠を深くかぶった男(実は田沼意知)から内密に、意次からの言伝と荷物を受け取りました。両国から戻った源内は助手の小田新之助(井之脇海さん)と共に、本の綴じ紐を解いて中をばらしたり、墨の濃淡を調べたりと、何やら作業を始めました。一方、錦絵の資金集めのために着物を売り込みたい呉服屋から入銀させるという妙案が思いついた重三郎は早速、女郎屋の主人たちに話をしました。主人たちは何やらひそひそ話をして重三郎の案を認めることにし、重三郎が話をもってきやすいよう𠮷原に呉服屋の客が来たら重三郎を呼ぶことにしました。この日から重三郎は呉服屋が訪れる𠮷原中の座敷を飛び回ることになりました。重三郎は頃合いを見計らって呉服屋の客に話を持っていくのですが、どの客も皆「親父に相談する」「考えておく」といった具合で、頑張って座敷を盛り上げて客の機嫌をとっても色よい返事はもらえませんでした。*吉原の芸者に関する事が番組HPの「べらぼうナビ」に出ています。 ⇒ ⇒ こちら 重三郎が疲れ果てて戻ると、ちょうど主人の駿河屋市右衛門(高橋克実さん)がいて、呉服屋から思うように入銀させられないことを相談しました。市右衛門は、名の通った女郎がいない、あれは菊之丞だから流行った、そして重三郎自身にも名がないと的確な助言をくれ、重三郎はまだまだ自分の考えが甘いことを痛感しました。(なんだかんだ言って市右衛門は重三郎が可愛い)するとそこへ錦絵で有名な西村屋の与八(西村まさ彦さん)が突然現れました。与八は大文字屋で錦絵の話を耳にした、自分はその話に一枚噛みたい、自分がいれば市中に錦絵を広めることもできる、と言いました。与八の出現で話が急に大きくなった重三郎は大喜びで、別の場所でもっと話を進めようと言う与八と一緒にどこかへ行ってしまいました。そんな二人の後姿を市右衛門はいぶかしげに見送っていました。西村屋の参加により呉服屋から次々と入銀が集まり、さらに西村屋の計らいで絵師は美人絵を得意とする礒田湖龍斎に決まりました。与八はさらに重三郎に、自分の版元印を作るよう提案しました。湖龍斎の墨による見事な下絵が完成し、その預かった下絵を店に持って帰ると唐丸が食い入るように夢中になって見ていました。自分の版元印の名を平賀源内に考えてもらおうと思った重三郎が源内を訪ねると、源内は唐丸に絵を教えてやるとか玄関先で話はするものの、新之助がなにやらバタバタしている室内を見せようとはしませんでした。やっと中に入れてもらった重三郎は版元としての名(堂号)のことを源内に相談、しばらく考えた後にいい名が浮かんだ源内はすぐに紙に書いて渡してくれました。素晴らしい名を源内につけてもらって喜びにあふれて重三郎は店に戻りました。ちょうどその時に猫が花瓶を倒したので片付けようとしたら、その濡れた敷物は湖龍斎に描いてもらったあの大事な下絵の入った包みでした。義兄の次郎兵衛が包みを花瓶の敷物にしてしまい、包みの中にある大事な下絵は水に濡れて墨がにじんでしまいました。一体どうしたらいいのかと重三郎が困り果てていたら、唐丸が試しに自分が直したいと言い出し、唐丸に任せてみることにしました。すると唐丸は下絵と全く変わらない見事な絵を描きあげました。それを見た重三郎は唐丸の才能をひしひしと感じ、自分が唐丸を当代一の絵師にしてやると約束、重三郎の言葉を胸に唐丸は残りを全部描き直しました。唐丸の頑張りでなんとかその後の作業が進められ、下絵の件も皆にばれずに済み、重三郎は心からホッとしました。さてその頃の田沼意次はというと、実は平賀源内には覚書の細工を頼んであって、それが仕上がってきたので確認をしていました。まるで最初からこう書かれてあったかのような出来栄えに、田沼意知(宮沢氷魚さん)も側近の三浦庄司(原田泰造さん)も驚きを隠せませんでした。三浦がこの文書は細工前に誰かが見ていたのでは?と気になって意次に訊ねたら、意次はこれは書庫で分厚く埃をかぶっていたから賢丸をはじめ誰も手にとってはいないだろうと答えました。その細工された文書を持って、意次は田安賢丸(寺田心さん)を訪れました。「跡を継ぐ者がいなければそのまま当主を置かず、お家断絶とすること」と書かれてあり、賢丸はにわかに信じられない思いでした。この件に関して意次は、先代の将軍・家重だけでなく、賢丸が尊敬してやまない8代将軍・吉宗のことも説明に織り交ぜ、上手いこと作り話を展開しました。老中首座の松平武元(石坂浩二さん)がそのような話は知らないと言うと意次は、全ては本丸での出来事だから西の丸にいた武元にはわからない、と答えました。さらに意次は、賢丸がこの文書を読んでないことを確認し、実は上様(現将軍)も吉宗公の考えは知らなかったと、文書の信憑性を持たせました。そして田安家のこの先は賢丸次第と言い、文書を回収して退室していきました。さて、源内から「耕書堂」という立派な版元の名をつけてもらって印も作った重三郎は、出来上がった錦絵を持って意気揚々とお披露目の場に向かいました。ところがその場には、西村屋の与八がなぜか鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助さん)と鶴屋喜右衛門(風間俊介さん)を連れてきていて、二人の同席を願い出ました。錦絵の見事な出来に呉服屋の一同は感嘆の声をあげ、重三郎も満足でした。しかし与八がそこから先の錦絵の販売は西村屋だけの版元とすると突然言いだし、業界の決め事で重三郎の名(耕書堂)は入れられないし、市中では売ることはできないと、鱗形屋と鶴屋が説明を加えました。この錦絵のために奔走して苦労したのは重三郎一人であり、さすがにこの件では重三郎は後に引けずに冗談じゃないと怒りをぶちまけました。しかし主人の駿河屋市右衛門から「𠮷原のためだ」と言われ、これまで𠮷原のために頑張ってきた自分だからと、泣く泣く引き下がりました。ただ実はこの件は重三郎の知らない所で、鱗形屋と西村屋が裏で結託していて、重三郎はこの二人と女郎屋の主人たちに利用されただけだったのでした。
January 29, 2025

2025年NHK大河ドラマ 『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』 の感想です。江戸時代中期の化政文化の時代を扱ったこの大河ドラマ。一見すると単なる時代劇に思ってしまうかもしれないのですが、いえいえ、かなり考えさせられます。主人公・蔦屋重三郎(横浜流星さん)が目の前の困難をどうやって突破できるかを考えて行動していき、物語を通して学ぶものがたくさんあるのです。脚本の森下氏が「なぜ、いつ、どのように、誰を動かす」といったことを物語から問いかけている気がします。森下氏は2017年の大河ドラマ『直虎』のときはたぶん、あまりのネタの少なさに1年間、何を書いたらいいのか悩んだことと想像しています。その無理もあったのか、私は『直虎』は好みの作品ではありませんでした。でも今回の『べらぼう』は、森下氏の得意とする部分が随所に出てくると期待しています。特にこれから社会に出ていく若い方々には、重三郎のサクセスストーリーは参考になるのではと思っています。さて、今作で私が注目する俳優さんは、扇屋宇右衛門を演じる山路和弘さんです。この方は他局の『水戸黄門』では、よく悪役として出演されていました。(と思ったのですが、なぜか検索では出てこないのです。確かに見たと思ったのですが。)時代劇でもベテランさんですね。所作が美しいし、たたずまいが美しいです。𠮷原の扇屋の主人として存在感バツグンですね。これからの宇右衛門の𠮷原の中での役割が楽しみです。こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #べらぼう #大河べらぼう 安永2年(1773)秋、蔦屋重三郎(横浜流星さん)が奔走して作った𠮷原細見が完成し、鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助さん)が𠮷原の女郎屋の主人たちのところに売りにきていました。ちゃんと修正もされている本を見て駿河屋市右衛門(高橋克実さん)は最初は極上吉の出来栄だと感心していました。でも序の部分を平賀源内が書き、その源内を重三郎が動かし、本の修正も重三郎がやっていたと知り、本の末尾に重三郎の名があるのを見た市右衛門はだんだん腹が立ってきて、店に戻ったら重三郎を殴る蹴るでした。重三郎が𠮷原に客を呼びたいと必死に訴えても市右衛門は聞き入れませんでした。さてその頃の田沼意次(渡辺謙さん)は平賀源内を呼び出し鉱山の状況を確認していたのですが、その折に源内が土産と称して持参した𠮷原細見を見た嫡男の意知が重三郎の名に気づきました。父・意次にこの名は昨年来た𠮷原者ではと伝えると、意次も重三郎とのやりとりを思い出していました。それとは別に、白川松平家が田安家の賢丸を養子にしたいから将軍にその仲介をと、意次に文をよこしていました。意次は将軍・徳川家治(眞島秀和さん)にその旨を伝えるのですが、賢丸がいかに英明な若者であるかを言いつつ、でも嫡男ではないからこのまま未来永劫、才能を発揮する機会はないから哀れである、と家治に情で訴えました。意次の言葉に動いた家治は賢丸に白川に行くよう命じ、賢丸も田安家のことを案じながらも白川松平家に養子に行くことになりました。重三郎が作った𠮷原細見は評判でしたがそれでも𠮷原の客足は一向に伸びず、また場末の女郎屋の河岸では病に苦しむ女郎たちが隔離されて苦しんでいました。女将のきく(かたせ梨乃さん)は、他に生きる術がない女郎たちをなんとか守ってきたけどもうどうにもしてやれない、この店をたたもうと考えていました。重三郎が自分がなんとかするからもう少し待ってくれときくに必死に訴えました。どうすればいいのかーー重三郎は九郎助稲荷に参拝してある決意をしました。重三郎はものすごく危ない賭けだとわかっているけど、幼なじみの花魁の花の井(小芝風花さん)に協力を頼んでやってみることにしました。実はこれは重三郎のでっち上げなのだけど、花の井にぞっこんの長谷川平蔵宣以(中村隼人さん)に、入銀本を作ることになり自分が並びの頭を飾りたいと訴え、平蔵から50両もの大金を巻き上げました。その金はそのまま河岸の女将のきくに渡してそこの女郎たちの救済にあて、その後も次々とでっち上げの企画を弟分の唐丸と一緒に𠮷原の中に触れ回って、女郎たちから大金を集めていきました。そして金がまとまり𠮷原の親父衆に話をもちかけると、重三郎の働きを扇屋をはじめ一同は認めてくれてそのまま続けるように言ったのですが、重三郎の主の市右衛門だけは烈火のごとく怒り、重三郎に出ていけと家を追い出しました。追い出された重三郎は唐丸を連れて河岸のきくのところに身を寄せました。唐丸は、これ以上親父様を怒らせたらどうなるかわからない、と重三郎を案じましたが重三郎は自分のことより𠮷原に客を呼ぶことのほうが大事でした。重三郎は魅力ある本を作って𠮷原でしか手に入らないようにすればいいと考え、絵師の北尾重政(橋本淳さん)を訪ねました。北尾は120名もの女郎を人物画にすると見分けがつかないから何かに見立てたらどうかと言い、重三郎はふと投げ入れの花が目にとまりました。女郎たちを近頃はやっている投げ入れの花に見立てると方針が決まった二人は、次々と考えを出し合って作業を進めていきました。北尾が描いた絵は、次は版画にするために版木に掘る作業になり、そして掘った版木に墨を塗って刷り紙を重ねて印刷する、という手順になります。この2つのシーンは、現代の職人さんたちがカツラをつけて登場しています。*アダチ版画研究所 #彫師 は、江戸時代から続く伝統の技を受け継ぐ、本物の職人です。 ⇒ ⇒ こちら #摺師 は、日本の伝統的な木版の技術を継承する職人が演じました。 ⇒ ⇒ こちら 印刷された紙は河岸の「二文字屋」に運ばれ、女将のきくや女郎たちも手伝って、どんどんと本になっていきました。夜もふけると疲れた女郎たちやまだ子供の唐丸は寝てしまってましたが、気分が乗っている重三郎は一人徹夜で作業を続けていました。そして夜が明けた頃に製本が完成し、喜びのあまり重三郎が「できた~」と声を上げると皆は目を覚まし、粋な本の出来を皆で喜びました。重三郎は本を手に取り、これを作るために寝る間もないくらい忙しい時間だったけど、夢中になって進めてきて楽しくてしかたがなかった、こんな楽しいことが世の中に、自分の人生であったんだとしみじみと感じました。そして手伝ってくれた皆に礼を言い、唐丸を連れて本を配りに出ました。重三郎は出来上がった入銀本をまず、主の駿河屋市右衛門に届けました。𠮷原の為だと言って出過ぎたまねをする重三郎が気に入らない市右衛門は頑なに受け取りを拒否しましたが、重三郎は気が向いたら見て欲しいと言って、縁側に本を置いていきました。その後は吉原の女郎屋を次々と廻り、この本を最初に入銀してくれた客と新しく馴染みになる客に渡して欲しいと言って、何冊か本を置いていきました。また𠮷原の外の市中でも、風呂屋、髪結い床、茶店、居酒屋など男がたむろしている場所に見本として置いていき、𠮷原の馴染みになったらもらえる本であることを強調して、唐丸と手分けして配って歩きました。重三郎が駿河屋に置いていった本を市右衛門は相変わらず手をつけずにいました。するとふらりとやってきた扇屋宇右衛門(山路和弘さん)が本を手に取りながら、重三郎とこんなくだらない喧嘩をまだ続けるのかと言いました。宇右衛門は、市右衛門が本当は賢くて行動力もあり優しい心根の重三郎を可愛く思っていると見抜いていて、人としての情を持つなんて忘八らしくない、損得で考えてこの本は店に置いたほうがいい、と言って去っていきました。宇右衛門が去った後で市右衛門はようやく本を手に取りました。女郎たちを花に見立てた絵が描かれ、それがまた妙に本人の性分と合っていて、面白くて次々と頁をめくっていきました。いつの間にか女房のふじ(飯島直子さん)も傍でもう1冊ある本を読んでいて、女郎たちを連想しながら二人で大笑いしながら見ていました。ふじは重三郎が誰よりもこの吉原を見ているのだと、しみじみと語りました。そして半月後、重三郎の配本が功を奏し、𠮷原には気になる女郎たちに会いたい男たちであふれかえりました。𠮷原を救うために寝る間も惜しんで駆けずり回った重三郎の苦労が実を結んで、思わず「やったぞ!」と往来の真ん中で声を上げてしまいました。そんな重三郎を市右衛門が見つけて声をかけ、店に戻ることを許しました。そして『一目千本』の本が面白かったと感想を伝え、これからも𠮷原のために気張れと重三郎の働きを認めました。ただ最初にこの話に乗ってしまった長谷川平蔵は親の遺した財産を食い潰してしまい、もう𠮷原には来られないと花の井に文をよこしました。そう聞いた重三郎は、いつか平蔵に50両を返さねばと考えていました。一方、徳川御三卿の田安家では、もともと病弱だった当主の治察(弟・賢丸が半年前に白川松平家へ養子に)が急逝する事態が起きていました。(安永3年(1774)9月) *べらぼうナビ「白河藩と田安家」 ⇒ ⇒ こちら
January 22, 2025

2025年NHK大河ドラマ 『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』 の感想です。今回のドラマの音楽担当はジョン・グラム氏で、この方は2020年放送の大河ドラマ『麒麟がくる』でもテーマ音楽を担当しました。当時はアメリカ人の音楽家が日本の歴史ドラマを手掛けるのかと、少々意外でした。でも重厚感のある力強い曲が素晴らしく、日本の侍の精神を理解してくれるのを嬉しく思っていました。そして今回の音楽はどうなるのかと思ったら、明るくて先が開けていくような心地よさを感じました。たしかにこれから横浜流星さん演じる主人公の蔦屋重三郎の人生がどんどんと開けていくのですからね。ジョン・グラム氏は、何も持たない主人公がたゆまぬ努力で大成功を収めたことへの敬意と、日本の江戸文化への賛美を感じてそれを音楽にした、と番組HPにありました。いえ、その思いを曲にできるなんて、スゴイですよね。 ⇒ ⇒ こちら さてこの第2回放送で私が気になった言葉は「しきたり」。𠮷原はしきたりがうるさく、庶民はしきたりを快く思わないけど、ドラマの冒頭に出てきた長谷川平蔵宣以(中村隼人さん)は、まあ花魁・花の井(小芝風花さん)を手に入れるためだけど喜んでしきたりに習っていました。(そして重三郎にすっかり乗せられて、いったいいくらを?と思うほど大金をばらまく羽目になりました。)これは現在でもあると思いますが、地位の高い人、もしくはそれに憧れる人は、しきたりに従うことで自分が特別なその世界にいることを感じられる、とかあるのでしょうか。まあ仮にしきたりが面倒に感じられても、多くの人は面倒なもめごとを起こしたくないから、その場はとりあえずそれに従うものではありますが。こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #べらぼう 安永2年(1773)、公認遊郭の𠮷原で働く重三郎のところに先日関わりを持った客の長谷川平蔵宣以(中村隼人さん)が、付き人の磯八(山口祥行さん)と仙太(岩男海史さん)を連れて再びやってきました。平蔵は花魁の花の井(小芝風花さん)のことが忘れられず、なんとかして一夜を共にしたく、重三郎から聞かされた通りに花の井の気を引こうとしました。「花魁はとかく向こう見ずで威勢のいい男、初回から紙花(現代でいうチップで1枚2万円ほどの価値)を撒いてみせるような男が好みだ」と重三郎から聞かされていたので、平蔵は座敷だけでなく店の外にまで紙花をばら撒きました。重三郎から「花魁が笑顔を見せれば落ちたも同じ」と聞いていた平蔵は花の井の表情が気になって仕方なく、少し上がった口角に大喜びでした。*ちなみに平蔵が紙花を撒いたシーンのリハーサル ⇒ ⇒ こちら なんとか𠮷原に活気を取り戻したい蔦屋重三郎(横浜流星さん)は考えぬいた末、𠮷原細見(𠮷原のガイドブック)の見直しをしたいと思いました。そこで少し前に歯磨き粉の漱石香の宣伝文句を考え大繁盛させた平賀源内という人物に細見の“序”を書いてもらいたいと考え、源内への伝手があるだろうと地本問屋の鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助さん)を訪ねました。孫兵衛は快諾してくれたものの、重三郎に自分で源内から序をもらってこいと条件をつけました。重三郎はあらゆる方法で源内を探しましたが、一向に見つかりませんでした。重三郎はふと以前、厠で出会った男のことを思い出し、厠でその男を待ちました。ようやくその男(実は平賀源内;安田顕さん)は小田新之助(井之脇海さん)という浪人と一緒に現れ、重三郎は平賀源内のことを訊ねました。新之助が源内先生を探す理由を問うので、重三郎は「𠮷原に客を呼ぶために𠮷原細見の序を書いてもらいたい」と正直に答えました。その話を厠で用を足しながら聞いていた男は、自分は源内先生と親しいから会わせてやると言いつつ、自分たちを𠮷原で遊ばせるよう条件をつけました。男は銭内と名乗る山師で、源内は山師に指南に来ると言います。銭内は、山師が金銀銅鉄を掘り当てなければこの国は終わる、これまでの政策で金銀が大量に日本国内からオランダに持っていかれた、今それを老中の田沼様が南鐐二朱銀を使って経済の立て直しを図っている、と重三郎に説明しました。その田沼意次(渡辺謙さん)は幕閣内で、もはやこの世は何をするにも全て金、それなのに幕府や武家の実入りはいまだに年貢で米は換金が必要、商人には付け込まれて安く買い叩かれ武士・百姓は貧しくなるばかりだ、と説明していました。この状態を是正するためにも新しい金を作り、金の手綱を武士が握り直すことが必要で、今ある価値がばらばらの貨幣を南鐐二朱銀に統一するのが第一、大量の銀が要るので天領で盛んに銀を掘らせている、と意次は説明しました。しかし老中首座の松平武元(石坂浩二さん)は意次の意見を認めず、武士の力で商人に米を高く買うよう命ずればいい、上様のご威光を高めるようにすればいいと言って、金を第一に考える意次を蔑みました。意次は現実を理解しない年寄りの武元に腹立ちながらも、今は自分が頭を下げて従うしかありませんでした。さて夜も更けたので、重三郎は銭内と新之助を連れて吉原に入りました。新之助が、吉原が思ったよりも静かで客は年嵩ばかりだと感想を言うと重三郎は、吉原は遠い・金がかかる・しきたりにうるさいからと説明しました。二人を安い店に案内しようとしていた重三郎でしたが銭内が松葉屋に行きたいと強く要求するので、渋々二人を松葉屋へ。店先で銭内が「瀬川」を指名しましたが瀬川はもういないと聞いて、誰でもいいと言って座敷に入りました。座敷では銭内がそれなりに楽しんでいたので重三郎が源内先生に会わせて欲しいと頼むと、銭内は「他と比べて吉原の良さは?」と問いました。女も料理も銭内から見たらこれといって吉原の良さがなく、これでは源内先生の心が動かないと重三郎に言うので、重三郎は一旦座敷を出ました。銭内からは結局、源内先生に関する情報を得ることができず、高い座敷料だけ奢らされた重三郎は一杯食わされたと廊下で嘆いていました。その様子を見た花の井は重三郎が源内を探すのは知り合いの為じゃなく自身の為だとわかったのですが、そんなことをしていたらたまたま、銭内と名乗っていた男が実は重三郎が探し回っていた平賀源内だったとわかりました。源内は重三郎をからかったことを詫び、助手の新之助にもいい思いをさせてやりたかった、思いを語りました。ならば細見の序を書いて欲しいと重三郎が詰め寄ったのですが、源内は自分は男色だし気持ちが入ってこないからやはり書けない、と言いました。重三郎はそれでも「男一筋の源内をも虜にする𠮷原」として書いてくれればと源内に食い下がっていたら・・・。やにわに部屋の襖が開き、「おぶしゃれざんすな!べらぼうめ!」と男の恰好をした花の井が座敷に入ってきました。花の井は源内にいきなり入ってきた無礼を詫び、それでも「男を差し出したとなったら𠮷原の名折れ。𠮷原はあの平賀源内をも夢幻に誘ったと言われたい。」と言い、そして今宵の自分は『瀬川』だと源内の心に訴えかけました。*「おぶしゃれざんすな」「二代目瀬川菊之丞」に関して、大河ドラマHPの『べらぼうナビ』に載っています。 ⇒ ⇒ こちら 花の井は瀬川を探し求める源内の思いを察していました。源内が愛おしんだ二代目瀬川菊之丞が先だって亡くなり、今宵は同じ「瀬川」という名の者と過ごしたかった、瀬川という者は今はここにはいない、でも自分でよければ瀬川と呼んで戯れて欲しい、と源内にその思いを伝えていました。源内は花の井のきっぷの良さを気に入り、一晩を共にすることにしました。退室した重三郎はなんだか疲れてしまい、その夜はもう戻って寝てしまいました。翌朝、引き戸を開けると銭内の言伝の紙が落ちていて、重三郎は急ぎ花の井の待つ神社に向かい、そこで昨夜の顛末を花の井から聞きました。部屋には床の用意もしてあったけど、源内は瀬川に扮する花の井に床を求めることはなく、舞をして欲しいと言いました。瀬川は生前には時々源内の家で舞の稽古をしていて、源内はその姿を見るのが好きだったと言い、花の井はそれに応えました。鼻歌で音をとって舞う花の井の姿にかつて愛した亡き瀬川の姿を重ねる源内の目には、いつしか涙がにじんでいました。それから源内は風にあたってくると言って部屋を出ていき、しばらくしてから戻ると重三郎が欲しかった序の部分を書いて花の井に渡してくれました。重三郎は松葉屋に戻ろうとする花の井に礼を言うと、花の井は「朝顔姐さんの事が悔しいのも、𠮷原をなんとかしなきゃと思っているのも、あんただけじゃない。“籠の鳥”にできる事なんて知れてるけど、あんたは一人じゃない。」と言って去っていきました。亡き瀬川との思い出にひたった後で𠮷原の中を散策した源内の心が感じるままに書いた𠮷原細見の“序”は、それはそれは素晴らしいものでした。「・・・何もかも揃った女なんて、ま、いない。それどころかとんでもないのもいる。・・・ところがよ、引け四つ木戸の閉まる頃、これがみな誰かのいい人ってな魔訶不思議。繁盛繁盛、嗚呼お江戸。」地本問屋の鱗形屋孫兵衛も、よく書いてもらえたもんだと感心していました。重三郎はこの他にも店や女郎の変動など前に作った細見の修正も必要でした。そういったことを全てやって整えてから孫兵衛に製本してもらうことになり、重三郎は皆に悟られないよう𠮷原の中をいろいろと聞きまわっていました。さてその頃、徳川第10代将軍・家治のいとこの一橋治済(生田斗真さん)には嫡男・豊千代(後の第11代将軍・家斉)が誕生し、その祝いの席が設けられていました。(安永2年(1773)10月)この席には徳川御三卿の田安家と清水家、他老中たちも招かれていましたが、肝心の当主・治済と田沼意次の姿が見当たらず、皆は不思議に思っていました。実は治済と意次は余興の人形劇で面を被って人形使いをしていて、本人たちは楽しんでいたのですが、従兄弟の田安賢丸(寺田心さん)はそれを快く思わず、御身に流れるお血筋をいかに心得ておられる!武家が精進するは学問、武芸!と治済に意見し、怒って退室してしまいました。同席していた老中首座の松平武元も賢丸の考えに賛成で、御三卿の当主たちが鷹揚に構えるのとは反対に、賢丸を見習うべきと意見しました。武元の言葉に感服したと頭を下げる意次を武元は冷ややかに見、そんな二人のやり取りを周囲の者たちはそれぞれの思いで見ていました。
January 15, 2025

年が明けて正月気分が抜けた頃、俳優の吉沢亮さんが泥酔して自宅マンションの隣りの部屋に無断侵入してしまい、書類送検されたというニュースがありました。事件を起こしたのは昨年末の12月30日の昼前で、トイレに行きたかったとのこと。酔っぱらってやらかした、ということです。たまたま隣家の玄関の鍵が開いていてトイレに直行してしまったものの、器物損壊になることも詐欺的なことも、ましてや住人に怪我を負わせるなんてことは一切なく、5分ほど滞在したそうです。ただ、事がこれで済まないのが超人気の芸能人。企業のコマーシャルにも何社か起用されていて、早速アサヒビールと花王がCMを削除したようです。CMの違約金が1社あたり1億円という話もあるので、事件を起こしたときの痛手は大きなものとなりました。しかーし!!社会的に厳しい制裁を受けている彼に対して、今回はそこまで厳しくなくてもという声もあれば、ファンの間ではなんとか彼を守りたいという声も出ました。事件の報道の直後から、某SNSでなんとも不思議な書き込みが相次ぐようになりました。・玄関からトイレまでを念入りに掃除しています・カニを買ってきました・ジェラピケのパジャマをポチりましたそのうち 吉沢亮 のタグがついてわかったのだけど、ファンの方が「もし突然、吉沢亮が我が家にトイレを借りにきたら」という想定で、全国で、いや世界でも急にトイレ掃除が始まったのです。中には、SNSを見てトイレ掃除が流行っているのかととりあえず掃除を始め、ところで吉沢亮ってどんな人?って画像を見てから念入りにやり直した人が。あるいは家のトイレを増設?改修工事?して何もかも新品にした人も。私は『青天を衝け』で吉沢亮さんに好感を持ったけど、ファンってほどでもなかったので、カニ?ジェラピケ?って感じでした。カニは吉沢亮さんの大好物で、ジェラピケとはルームウエアブランドのことだったのですね。*カニ ⇒ こちら *ジェラートピケ ⇒ こちら 他にも彼が我が家に来たらと想定し、トイレのタオルは今治に、お酒も楽しんでもらえるようアサヒ以外で各種取り揃え、リビングも綺麗に掃除してと、ウキウキして家を綺麗にしていく女性たちが各所で出現しました。そして、そんな女性たちの書き込みを見て男性からのアドバイスも出てきました。「トイレに仮面ライダーと怪人たちのフィギュアを揃えて陳列する。漫画『キングダム』を全巻並べる。」男性視点の書き込みになるほどと納得しつつ、さらに「トイレに長居されるより自然にリビングに誘導したいのでご教授を」という意見に発展していきました。やがてSNSの書き込みは、単なるトイレの掃除と準備の話から、どんどん規模が大きくなって「吉沢亮にトイレを解放する会」~全国の各県・各都市部、及び海外支部が拡大していき、女性たちが自分が支部長をと名乗りを上げるアイリスオーヤマ社が彼のCMを取り下げていないので、スレ民たちが家にある家電やパックご飯をチェックし、次々とアイリス社に買い替えや補充をしている*アイリスオーヤマ パックご飯 ⇒ こちら とまあ、こんな感じで“吉沢亮祭り” になってます。彼が残念なことをやらかしたのは事実だけど、ファンとしては少しでも彼の力になって、救済したいんですよね。ただ物騒な事件が相次ぐ昨今、さすがに「もしかしたら」と玄関の鍵を開放しておくのはできないことです。でも彼のおかげで家中がピカピカになった家が多数あり、経済も多少は回しました。だから、反省してほとぼりが冷めたら、吉沢亮さんにはまた表舞台に出てきて欲しいものです。『青天を衝け』でも、チョンマゲを落として洋装になった彼は、本当に素敵でしたからね~吉沢亮さんは真面目で努力家だと評判だし、あの国宝級のイケメン、また見たいです。今、日本列島には強烈な寒波が来ていて、外は厳しい寒さです。ガラス越しの陽光は、夏場は暑くてかなわんけど、冬にはありがたい暖かさです。
January 12, 2025

2025年NHK大河ドラマ 『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』 の感想です。今年の大河ドラマが始まりました。横浜流星さん演じる主人公の蔦屋重三郎という人物の名前を、私は今まで全く知りませんでした。でも調べてみると、この人物は高校の日本史の教科書に出てくる、化政文化の重要語句になってる喜多川歌麿や葛飾北斎らとも深く関わる人のようです。このドラマの時代背景は江戸時代中期の十代将軍・徳川家治の治世で、1603年に江戸時代が始まってから170年、というよりも私には「あと100年ほどで明治時代」と言ったほうが記憶に残ります。今作の主人公は「歴史の教科書で太字になってて多くの人が知っている人物」ではないけれど、大きな時代の変化がなかった江戸中期という時代に何があったのかということも含め、今後の展開に興味が持てそうです。こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #べらぼう 明和の大火(明和9年)から1年半ほどたった安永2年(1773)、九郎助稲荷(語り;綾瀬はるかさん)が出てきて、吉原という町の案内を始めました。この吉原には女郎3千人を含め、1万人ほどの人が暮らしていました。女郎が逃亡しないよう厳しく監視され、出入り口は大門のみでした。蔦屋重三郎(主人公)が勤める茶屋「蔦屋」は吉原の案内所で、客の刀や荷物を預かり、女郎屋の情報を教えるのを仕事にしていました。ドラマの本筋でない部分でこういった説明があるのもいいですね。ふむふむ。位置的にはこうなっていて、「徒歩68分、駕籠46分、舟53分、馬17分」の距離となっています。(2021年の『青天を衝け』では「こんばんは。徳川家康です。」もいつの間にか慣れてて北大路欣也さんが出ない時は寂しく思えたし、廃藩置県の時にはリモート会議も出てきましたね。)蔦屋重三郎(主人公;横浜流星さん)は駿河屋の仕事の片手間に、自分で本を仕入れて店の遊女たちのところに持っていく貸本屋をしていました。この日は松葉屋にお邪魔し、遊女たちの年齢に応じて本を勧めていました。(このシーン、遊女にしてはやけに身なりもいいし、食事もまだ人前に出ない幼女も含めていいものを食べているなと思いました。ここはどうやら稼ぎ頭のいる景気のいい店のようです。)重三郎は松葉屋の後で、吉原の場末の浄念河岸に向かいました。ここは売れなくなった遊女たちが最後に集まる場所で、格安の料金で客を取り、遊女たちは食うや食わずの貧しい者ばかりで、品も誇りもありませんでした。なので重三郎が花の井から朝顔(愛希れいかさん)に持っていくよう託された弁当も隙を見て遊女たちに奪われ、半分食べられてしまいました。重三郎と花の井が幼い頃に世話になった朝顔姐さんは病気で働けなくてここにいるしかなくなり、重三郎も花の井も姐さんを案じていました。重三郎は朝顔の事の他、河岸の女郎たちがろくに粥も食べられないような悲惨な暮らしぶりも気になっていて、なじみの蕎麦屋の半次郎に思いを語ってました。近くの岡場所と宿場が無許可で風俗業をやり、そちらに客を取られて吉原が栄えないのを半次郎も嘆いていました。それでも夜になると吉原の女郎たちに気合が入り、客引きに力が入りました。松葉屋の花の井(小芝風花さん)は別格の花魁なので、客の呼び出しがあるまで自分の部屋で身なりを整えて待機していました。美しく品も教養もある花の井なので、花魁道中のさなかに彼女に一目ぼれをする客もいて、そんな男を花の井も客の候補として見逃しませんでした。吉原の遊女たちについて、You Tube のほうでRekiShock(レキショック)先生がわかりやすい解説動画をUPしています。 ⇒ ⇒ こちら ろくに食べ物にありつけない場末の浄念河岸の女郎たちはいつもお腹が空いていて、その姿を哀れに思った朝顔は、自分が花の井からもらった弁当を自分は食べずに、密かに若いちどりにあげていました。そして翌日、吉原で付け火があり、犯人は朝顔でした。朝顔は連行されて他の罪人の女たちと一緒に仕置きされて殺され、重三郎が後を追った時には着物をはぎ取られた姿で埋められるところでした。重三郎は吉原に売られてきた女たちの境遇があまりにも哀れに思え、吉原の店の主人たちが集まる場に乗り込んでいきました。女郎たちとは真逆の贅沢な膳と酒を前にして笑う主人たちに、女郎たちが空腹と病気で次々と命を落としている状況を訴え、しばらくの間でいいから炊き出しをしてもらえないかと重三郎は訴えました。しかし主人たちはそんな話に耳を傾けるはずもなく、大文字屋市兵衛(伊藤淳史さん)は「女郎はどんどん死んで入れ替わってくれたらいい」と言い、あげくに扇屋宇右衛門(山路和弘さん)は「自分たちは“忘八(=外道)”だ」と言って、笑っているだけでした。そしてしまいには、重三郎は主人の駿河屋市右衛門に宴席の場から、まさに叩き出されてしまいました。それでも女郎たちの境遇をなんとかしてやりたいと願う重三郎は、厠で出会った男から老中の田沼意次に直接話を聞いてもらうといいと言われ、ご老中という雲の上の人だけどやってみることにしました。田沼屋敷の前で待っていたら運よく吉原の上客の和泉屋が出て来て、重三郎は和泉屋に取り込んでうまく田沼屋敷の中に入ることができました。屋敷には意次に口添えを頼みたい商人がたくさんいて、意次の嫡男の田沼意知(宮沢氷魚さん)は商人たちに渡す土産の高級料亭・百川の弁当をこっそりと下女たちに食べさせていました。意知はその後、父の元にはどんな商人たちが来てどんな話をするのかを、遠くから眺めていました。(百川のことは、大河ドラマHPの 「べらぼうナビ」 に出ています。)やがて和泉屋三郎兵衛(田山涼成さん)が田沼意次(渡辺謙さん)に謁見する順番がきて、和泉屋が意次に挨拶を済ませると、重三郎は「恐れながら」とすかさず意次に話しかけました。和泉屋が慌てて制したけど意次は「かまわん。手短に申せ。」と許しました。重三郎は、吉原はこれまで莫大な運上・冥加を納め町役にも励んできた、一方それをしない岡場所が増え宿場が色を売り、そのために吉原の末端の女たちが稼げなくて腹を満たせない、これは道理に合わない、「警動」を出して欲しいと意次に直訴しました。しかし意次はそれを却下し、理由を国益のためだと説明しました。意次は重三郎に「もし五街道の宿場町が一つでも潰れたらどうなる?」と問いかけ、重三郎は「宿場町の間隔が長くなり旅が大変になって商いの機会が減ることでしょうか。」と返しました。意次は「宿場が潰れれば商いの機会が減り、それは国益を逸することになる。逆に宿場が栄え商いの機会が増えれば莫大な国益を生む。」と説明しました。さらに意次は「では宿場を栄えさせるのは何だ?」と重三郎に問いました。重三郎は言いにくかったけど「女と博打」と答えました。意次は「だから宿場町の飯盛女の大幅な増加を認めてきた。そのおかげで運上もつつがなく上がるようになった。それを無しにして吉原だけのために警動は出せない。」と重三郎に説明しました。それでもなんとかして吉原の弱い女郎たちを救ってやりたい重三郎が意次に食い下がると、意次がすっと立ち上がり重三郎に近づいてきました。意次は「吉原の忘八親父たちは女郎たちから不当に金を巻き上げている。それを正すべきでは?さらに、吉原に客が足を運ぶための工夫が足りぬのでは?お前は何か工夫したのか?」と重三郎に問いかけました。重三郎は大事なことにハッと気がつき、立ち去る意次の背に深く礼を言いました。意次から価値ある助言をもらえて意気揚々と吉原に帰ってきた重三郎でしたが、主人の駿河屋市右衛門(高橋克実さん)はじめ親父衆が怒りを露わにして集まり、重三郎を取り囲みました。自分たちの知らないところで重三郎が意次に直訴して警動を頼んだせいで吉原が大騒ぎになったと、親父衆は重三郎を殴って蹴って、そして大桶に閉じ込めるという重い罰を与えました。狭い桶の中で身動きとれない辛い状況でしたが、重三郎には意次から与えられた「宿題」がありました。朝も夜もひたすら、吉原に客を呼ぶ工夫に考えを巡らせていました。三日三晩が過ぎた頃、重三郎は以前吉原に来た客が案内帳を嬉しそうに見ていたことを、桶の中でふと思い出しました。その後ようやく桶から出してもらえたとき、重三郎はずっと座ったままの萎えた脚でふらふらと歩きだし、店にあった案内帳の「吉原細見」を手に取りました。次郎兵衛(中村蒼さん)や半次郎(六平直政さん)や唐丸(渡邉斗翔くん)らが心配そうに見守る中、重三郎はひらめいた嬉しさでニヤリと笑っていました。
January 8, 2025

あけましておめでとうございます 本年もどうぞよろしくお願いします 2025年 正月当ブログにお越しくださる皆さま、旧年中は何度もお運びいただき、ありがとうございました。本年もどうぞ、気楽に覗いてやってくだると嬉しいです。さて気が付くと、もう正月も3日になっていました。昨年の暮れからあっという間に時間が過ぎていて、いったい私は何をやっていたのか。振り返ってみると、クリスマス後に風邪が重くなってきて、その後で片頭痛が30日まで続いて、突然ツキーン!とくる強烈な痛みと眠気で、何もやる気が起きませんでした。そして31日、急に頭痛が引いて元気になったので、勢いで車で1時間半かかる実家の墓参りに。その足でそこから近い姉のところに寄るつもりだったけど、姉と連絡が取れず、他を寄り道して帰宅しました。そして新年になり、夕方まで年賀状を作成。毎年、元旦に着くよう私に送ってくださる皆さま、私からはいつも遅くて申し訳ないです。でも呆れずに送ってくださり、嬉しく有難く思っています。元旦の夕方から隣県の天然温泉へ。おかげさまでもうすっかり体力は回復しました。昨日の2日、姉に電話したら風邪でダウンしてました。大晦日の午後に仕事を終えてからずっと寝てたと言うので、姉に栄養剤を買って持っていくと提案。ただ我が家から姉宅までは40kmあるので、姉も最初は遠いから来なくていいと言いました。とはいえ放ってもおけないし、正月なら名古屋市内も車が空いているから、やはり勢いで出かけました。熱田神宮の近くは激混みだから道を選んで走り、途中の店で強烈なドリンクを3本買い、知多の産業道路を抜けて2時間ほどで着きました。姉にドリンクその他を渡し、少しだけ話をしてまた2時間かけて帰ってきました。姉の娘は遠くにいて母親が心配でも見舞いに行けないので、私が往復したことを喜んでくれました。途中の買い物の寄り道も入れて往復100km運転だったけど、行動してよかった♪とまあこんな感じで、自分がダウンしてて、次は見舞いで忙しいかったので、実はまだ初詣もしてません。この年末年始は何か心躍ることは・・・?ありました。大晦日のNHK紅白歌合戦。全部のアーティストは興味ないので、録画しておいて翌日、見たい・聴きたい人だけ飛ばしながら見てました。郷ひろみさん、あの年齢であれだけ声が出て踊れるなんてスゴイなあ、自分があの歳になったら絶対できないな。GLAYはやっぱ曲が好きだなあ。なんて思いながらB’zが登場。私はB’zは曲を何かで聴く程度で、松本さんと稲葉さんはCDジャケットとか見て昔からカッコイイなあ、とか良い曲を作っているなあ、とは思っていました。でもライブを今回初めて見て、曲のノリがすごくいいし、あの年齢になっても全然遜色のない、むしろ大人の渋さも加わったカッコ良さ全開!これがB’zかぁと、TVの前でホントに感動してました。曲もいいし声もいい。1階の客席の皆さん、席を立ってはダメと言われていても、これはもう我慢できずにスタンディングですね。その後は、南こうせつさんの『神田川』に注目。昔から何度も聴いているし、いい曲だと思う程度だったのですが、前日にとあるSNSで「『神田川』に出てくる“あなた”は優しくない」という投稿を見てしまいました。銭湯帰りに芯まで冷えるほど女を待たすな、男は早く風呂から出てやれよ。この男、どこがいいの?風呂は長いし、絵は下手くそだし。「あなたの優しさが恐かった」って、洗脳か?みたいなツッコミがいろいろあって、今までこの曲を特に気にしてなかった私でしたが、今の時代から見れば「なるほど」と思う部分が多々ありました。曲を聴きながら笑いあこみあげてきます。もちろん、当時の時代の生活も価値観もわかっています。ファンの皆さま、すみません。でもその後の氷川きよしさんには、また感動でした。氷川さんは何年か前に『限界突破×サバイバー』で演歌からビジュアルも歌も一新したのを見て、すごく感動しました。どんな曲も歌いこなす彼の歌唱力は変わらず、そして今回も活動休止を全く感じない、ただ聞き惚れる見事な歌でした。余計な背景の演出もなく、シンプルな衣装で歌手として曲と声で聴衆を魅了する、氷川さんの実力に見惚れてました。こうやって、何かに感動できる瞬間があるといいですね。今年もまた何かに追われてどんどんと時間が過ぎてしまうだろうけど、どこかで心が動く場面に出会いたいものです。我が家の小太郎兄さん、2005年生まれだから、春が来るともう20歳です。実は2年前からボケが始まってて、人間は少々大変なこともあります。でも大事な小太郎さんだから、神様が迎えに来るまで頑張りますわ。
January 3, 2025
全6件 (6件中 1-6件目)
1

![]()