Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2004/12/25
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カテゴリ: BAR
 グラスにこだわるBARが好きだ。ロックグラスでもカクテルグラスでも、1点ものしか置いていないBARなら、なおさら好きだ。

 大阪で昔、ある若いバーテンダーI君がやっていたBAR「S」に入った。彼はグラスになみなみならぬ情熱を注ぎ、買い集めた美しいカットグラスやアンティークグラスなどを、惜しげもなく客に使ってくれた。

 店には同じグラスは2つとなかった。トークもうまいし、性格もさっぱり。彼をとても気に入った僕は、ひと頃よく彼のBARに通った。s-シスル.jpg

 そして、素晴らしいグラスの並ぶそのBARでも、僕がとくに、そのデザインを気に入ったロックグラスがあった。「これ、どこのグラス?」って彼に聞くと、「スコットランドのエジンバラ・クリスタルって会社のグラスです」と。

 「えー?じゃぁ無理だね手に入れるの…」と僕が言うと、「いや、インターネットでもFAXでも通信販売で買えますよ」と教えてくれた( 写真左 =エジンバラ・クリスタルの「シスル」シリーズのロックグラス)。

 そして僕は、生まれて初めて海外の会社へ直接ネットで注文を出し、そのグラスを手に入れた。VISAカードでの決済。本当にちゃんと来るのかなと、心配していたが、意外と早く、約10日後には注文の品が無事届いた。

 1個約6000円と高いグラスだったが、カットの技術は本当に素晴らしい。後で、別のバーテンダーに聞くと、日本でも取り扱っている輸入業者はあるけれど、「そこで買ったら最低1万5千円はしますから、絶対お得ですよ」と言われた。

 教えてくれたI君には、「本当に感謝してるよ」と御礼を言ったが、彼にはただ、一つだけ念を押された。「他のBARでは、僕の店のグラスのことを話題にしないでください」と。



 そんな彼が昨年秋、なぜか突然、他の人にBARを譲って、別の職種へ転身してしまった。理由を聞いても、彼は「ちょっと思うところがあって…」「この業界で、僕は成功する才能がないような気もするし…」としか言わなかった。

 I君がいたBARは、今も同じ店名で営業を続ける。だが、彼のいなくなったそのBARへは、いまだに行く気持ちは起こらない。





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Last updated  2006/09/15 01:23:25 PM
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うれしいな  
カピタン さん
バーの小物続きとは嬉しいですね。
バーテン時代にマイグラスのキープをやってもいいかと目論んだ時期がありましたが、やはりお客さんのグラスをもし割ってしまった場合を考えると出来ませんでした。
で、いい話を一つ。昔あったCMで、確か日本のウイスキーでバブルの時期だったような気がします。ショーンコネリーがバーに来てウイスキーのロックをを注文するのですが、特別な日のようでマイグラスを持参。リボンを解いて赤い箱(多分バカラ)から取り出したグラスに酒を注いでもらって美味しそうに飲むというものでした。
嗚呼、自分のバカラでやってみたい。 (2004/12/25 04:53:09 AM)

カピタンさんへ  
 こんにちはー。
ショーンコネリーのあのCM、僕もよく覚えています。
コネリーは007をやめた後、ますますいい味が出していますね。

 歳をとっても、あんな格好いいオヤジになってみたいなぁと、
昔、CMを見ながら思っていました。

 いわゆる「オヤジ」の仲間入りした今、
さて、その願いが達成できているでしょうか? 

 精神年齢を若く保ちつつ、こだわりを持って、いかにおしゃれに生きるが、
これからの人生の課題です。

(2004/12/25 10:37:38 AM)

Re:グラスへのこだわり/12月25日(土)(12/25)  
Lady Bird  さん
グラスへのこだわり いいですね。
「I」さんがそこに居てこそのグラスですものね。
うらんかんろさんが手に入れた素敵なグラスを使うたびに「I」さんのことを
思い出すことでしょう。
タンブラーはカットが入ったものはきれいですね。

我が家にはワイングラスは少しあります。白 赤 シャンパンと一応は、、、
お安いワインでも グラスがいいのだとなんだか おいしい感じがします。(笑)
バカラもいいけどリーデルも好きです。
(2004/12/25 01:57:21 PM)

Lady Birdさんへ  
 「安いワインでもグラスがいいと美味しく感じられる」というのは、
なぜか分からないけれど、本当ですね。

 バカラもリーデルもエジンバラ・クリスタルも素晴らしいグラスですが、
最近は、イギリスのアンティークグラスに興味を持っています。

 デパートの英国物産展などでは骨董のお店が必ず出るので、
ときどき素敵なグラスに出合い、つい衝動買いしてしまいます。

(2004/12/25 04:48:00 PM)

Merry Christmas です^^  
na_geanna_m  さん
こんばんわ^^
グラスは大事ですよね^^同じカクテルでもお客様に
合わせて、グラスを選んだりするのが僕は好きですね^^^

僕はグラスは割れるものと思っていますので、
自分が気に入ったものは、使用頻度が高くなりますね。

ちなみに、僕はボストン・シェーカーを持っています
が、使いません(いや、使えないに近いかな・・)

普通のシェーカーと同じ味が出せるようになったら
気分で使うかも・・でもまだそのレベルじゃないですねー (2004/12/25 08:09:42 PM)

na_geanna_mさんへ  
 こちらこそ、Merry Christmas です!(と言っても、
僕はどこへも出かけず、家でのクリスマスです)


>僕はグラスは割れるものと思っていますので、

 そうですね。僕も、形あるものはいつかは壊れるものと、いつも覚悟しています。
阪神大震災の時も、家にあったグラスは値段の高いものほど、
なぜかほとんど割れてしまいましたし。


>ちなみに、僕はボストン・シェーカーを持ってい
>ますが、使いません(いや、使えないに近いかな・・)
>普通のシェーカーと同じ味が出せるようになった
>ら気分で使うかも・・

 ボストン・シェーカーって、ほんとに不思議な道具ですよね。
僕は素人ですから、別に上手になっても仕方ないのですが、使うからには、
せめて漏れないように振れるようになりたいと思っています。 (2004/12/25 09:08:40 PM)

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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