Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2004/12/29
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カテゴリ: BAR
 大阪や神戸のBARには、この20年ほど、結構あちこち出没しているので、名の知れたオーセンティックBARで、名前も知らないところはほとんどないと、自分でも思っている。

 だが、それでも、この歳になって突然、「えーっ! こんな店があったことを、今まで知らんかったとはー!」と愕(がく)然とすることがある。今年も、そんなBARと1軒出合った。

 きっかけは、僕の友人T氏がことし9月、著した本だった。彼は、バーテンダーを主人公にして、日本のBAR文化や洋酒文化、そしてBARでの楽しみ方、マナー&エチケットなどを、次世代に伝えることを願いながら、小説のようなスタイルで素敵な物語を編んだ。

 最初は、バーテンダーは彼の創作上の人物かと思って読み始めた僕は、何と、そのバーテンダーが大阪の兎我野(とがの)町というところに実在する「Boby’s Bar」( 写真 )という酒場のCさんなのだということを知った。Boby's Bar

 Cさんは72歳。69年にオープンした店は、ことしで35周年。バーテンダーとしてのキャリアも50年近いということを知って、ただ驚くしかなかった。

 あるBARのバーテンダーに、Cさんの話をしたら、「えー! 知らんかったんですか? そりゃ、ぜひ一度行ってみなあきませんよ!」と言われてしまった。そして、勇気を出して10月の初め、「Boby’s Bar」のドアを開けた。

 そのBARはとくに、スピリッツやリキュールへのこだわりで知られ、2階にある店には、なんと1000本近いボトルが所狭しと並べられていた。

 ジンだけでも40種類(!)もの銘柄を揃えている。聞くと、物置代わりに使う3階にも、約600本くらいストックがあると言う。



 進駐軍のBARで働いていた頃の思い出、イタリアで酒屋巡りをした話、店にあるリキュールにまつわるエピソード…と、本当に次々とトークが展開し、客はまったく退屈することがない。

 「美味しいリキュールは、ぜひストレートで味わってみて」と、珍しい銘柄を何種類か試飲までさせてくれて、僕は幸せな気分で家路に付いた。

 その後も、酒好きの同僚と一緒に何度かお邪魔した。「あの雰囲気とトークは、若いバーテンダーには出せないね。年季と歴史の重みだね」と同僚は言う。確かに、その通り。「Cさんの元気なうちに、もっといろんな話を聞かせてほしいね」と僕。Cさんと出会えた喜びを、僕はもう一度かみしめている。

【追記】 ご興味のある方のために、友人T氏の著した本のタイトルは、「ボビーズ・バー〈洋酒の精〉に乾杯!」(新風書房刊、1200円)。関西の出版社なので、関東の書店では手に入りにくいかもしれないが、注文すればきっと入手は可能かと…。





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Last updated  2006/11/23 04:44:14 PM
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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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