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2007/02/16
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カテゴリ: アート&ブックス
 日本の洋画家と言えば、皆さんは誰をまず思い浮かべるだろうか。岸田劉生、青木繁、梅原龍三郎、小磯良平、東郷青児、林武、藤田嗣治…。佐伯祐三とパリの夢・ポスター

 皆さんは、おそらくは小中学校時代の美術の教科書で見た巨匠の名を挙げるかもしれないが、僕はと言えば、他の誰を差し置いても、この人の名を口にするだろう。

 佐伯祐三(さえき・ゆうぞう、1898~1928)。わずか30年という短い生涯のなかで、パリの裏町の表情を独特の荒々しいタッチで描き、300点以上の素晴らしい作品を残した稀有な天才。

 そんな僕の大好きな佐伯の作品を中心にした展覧会「佐伯祐三とパリの夢--大阪コレクションズ」が大阪市内(大阪市立近代美術館準備室・心斎橋展示室)で開かれているというので、早速、訪れてみた。佐伯祐三

 佐伯は1898年(明治31年)、大阪市・中津(なかつ)の光徳寺という寺に、男4人女3人のきょうだいの次男として生まれた。

 1918年(大正7年)、旧制北野中学(現・大阪府立北野高校)を卒業した後、東京美術学校(現・東京芸大)西洋画科に入学した。

 23年(大正12年)に同校を卒業した翌年、念願だったパリ渡航が実現。一度の帰国を挟んで佐伯はパリの街頭風景など旺盛に描き続けた。しかし、持病だった結核が悪化し、28年(昭和3年)8月16日、入院中のパリ郊外の病院で死去した。パリの街角

 今回の展覧会には佐伯がパリ滞在中、何気ない街角の風景を描いた作品を中心に20点近く展示されている(同美術館が所蔵する佐伯コレクションが主だが、有名な「郵便配達夫」などの人物画は、今回のテーマとは違うということで残念ながら出品されていない)。

 改めてじっくり佐伯の画を間近で見た僕の印象は、「やはり佐伯は天才だったんだなぁ…」という感嘆に近い思いだった。なかには、重ね塗りされた絵の具が描き上げた直後のように感じる絵もある。佐伯ほど、パリの街の建物の数々を、これほどヴィヴィッドに描いた画家を僕は知らない。

パリの街角2

 ゴッホが生前はほとんど評価されずに、貧困に苦しんだのは有名な話だが、佐伯の絵も生前は、パリの画壇でほとんど評価されなかった。死して、これほど評価されるとは、天上の佐伯は苦笑いをしていることだろう。

 30年という人生、それも20歳を過ぎてからの、たった10年余の間にこのような素晴らしい作品を数多く生みだした佐伯に、僕はジャンルは違うけれど、あの夭折したモーツァルトの生きざまと重ねてしまう。

 画家という人たちは、比較的長命な人が多い。佐伯がもし70歳、80歳まで生きていたらどんな絵を描いていただろうか。返す返すも、このような100年に1人の天才が夭折したことを恨む。

 「佐伯祐三とパリの夢」展は3月25日まで。大阪市立近代美術館・心斎橋展示室(大阪市中央区南船場3-4-26 出光ナガホリビル13階、06-6208-9096)で。午前11時から午後7時。水曜休館(3月21日は開館)。地下鉄御堂筋線・心斎橋駅から徒歩5分。

 【追記】出張のために、次回の日記更新は21日(水)の予定です。よろしくお願いいたしまーす。

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Last updated  2007/02/16 12:49:01 AM コメント(8) | コメントを書く


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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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