ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jan 18, 2006
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「まずはピアノ弾き探しから」

 この作曲家について僕はあまり知りません。フランス人だと思ってましたが、本当はベルギー人らしい。僕にとって最も重要なのは、彼の名前の綴り。Frank ではなく Franck。Cが入ってるのがポイントです(笑)。彼の管弦楽曲は過去に二曲ほどオケで弾いたことがあるのですが、あんまり覚えてません。いずれにせよ、僕にとってのフランクは、この曲が全てのズバリ一発屋。ピアノ五重奏曲のCDは一応持ってたような気がします。
 ピアノ弾きのセスが気付いたのですが、この曲が書かれたのは、ブラームスのヴァイオリンソナタの2番(作品100)と同年。前回の練習でブラームスの2番を取り上げたばかりでした。フランクはもっと近代寄りの人だとばかり思ってたので、びっくり仰天であります。
 セスは、新曲を練習する場合、必ずその曲の背景もきちんと知ろうと努めるのに対し、僕は、曲さえ弾ければそれで幸せ、先入観なしに敢然と曲に挑むタイプです。CDもあんまり聴き込まない。

 第一楽章: 僕は、弓を弦に吸着させる感じで、ネチネチとベットリ弾くべきものとばかり思ってました。情感豊かにたっぷりと。ところが、譜面を見るとどうやらそうではないらしい。8分の9拍子を大きく3つで数えてアレグレットってことは、かなり速いテンポで弾くべきみたいです。それに、最初から最後までピアニッシモが全体を支配しているうえ、いたるところにドルチェだのドルチッシモと書かれてて、あんまり粘着性が感じられません。フォルテもたまに出てくるものの、何かピアノのほうが盛り上がってます。前にジョシュア・ベルのリサイタルでこの曲を弾いたときに、あまりに彼が1楽章をあっさり弾くので驚きました。もっと円熟味のある演奏が聴きたいな、やっぱりジョシュったらまだまだ少年なのかななどと勝手に感じたものでしたが、この楽章は、続く三つの楽章への単なる序奏なのでしょうか。

 第二楽章: これはピアノが難しい。僕のような下手の横好きヴァイオリン弾きが、畏れ多くもフランクなんぞを弾かせてもらえるのも、全てピアノを弾いてくれる方がいるおかげ。もちろん、ヴァイオリンも難しいけど、こういう楽章はピアノのおかげで「弾けた気」になれるのです。ちなみに、この楽章、G線からE線までヴァイオリンの音域がたっぷり網羅されているので、ちょっと得した気分。そういう意味で楽器の品定めに使える曲かも。ブルッフの協奏曲みたいに。
 (つづく)





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最終更新日  Jan 19, 2006 08:57:04 AM
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