ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Dec 22, 2006
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「血の舞踏」

 今日はなんとショスタコに初挑戦! 楽譜が配られたその日から密かにさらいつづけて早二週間。彼の室内楽曲を弾く機会なんてめったにないわけだし、緊張しまくった状態で今日を迎えた。
 それにしても、我らがピアノ弾きセス氏の楽譜コレクションにはただただ脱帽……。

 この三重奏曲、 先月観たおフランス映画「楽譜をめくる女」 でも使われていたから、なおのこと印象に残っている。
 ↑筆者注:邦題は勝手につけさせていただきました。 女と書いて「ひと」と読む 、みたいな(笑)。

チェロがひっそりと独りでエレジーを弾き始める。しかもフラジオレット(ハーモニクス)……。曲の主題を模索しながら弾いたが、なかなかそう簡単にはいかない。四拍子とか三拍子とか既定の概念にとらわれすぎて弾くと全体像が見えてこない。(結局見えなかった……。)

2楽章: 人をコ馬鹿にしたようなショスタコ流ユーモア。子どもっぽいというか、児童特有の突発的で理不尽な行動を見てるようで微笑ましい。でも弾くほうは大変。シャープが六つもあるってことは、Fis dur(嬰ヘ長調)? まさにガンジがらめ、バイオリンもチェロも開放弦は全く使えないのはもちろん、精神的に落ち着かない。

 めちゃくちゃなことを弾かされた末に、実際、Fis(♯ファ)で曲が終了するのには心から感動する。正真正銘の嬰ヘ長調だったとは。

3楽章: シャープ軍団から解放されたと思ったら、今度はフラット五つ(笑)。2分の3拍子のラルゴ。この曲、どっかで弾いたことがあるようなデジャブ感に襲われる。バロックっぽくもあるけど(パッサカリアとかシャコンヌ)、どこかに死や追悼の匂いがするあたり、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」?

4楽章: この楽章が弾きたくてはるばるここまでやってきたという感じ。民族舞踊の一種か。前半、ピチカートがイヤというほど出てくる。四本の弦を同時にフォルテで弾く(はじく)というのが30小節ぐらい続いて、指から血が出そう。そのうえ、激しい五拍子攻撃やフラジオ攻撃にさらされた末、最後はアダージョで静かに終わるあたり、狐につままれたような感じがする。

 是非ともこの曲は今後も何度も練習してみたい。ビビる箇所はいっぱいあるけれど、さすがショスタコだけあって、チャレンジ精神をくすぐられる。絶対に報われると信じられる難しさ。いつの日か突然何かが見えてくるに違いない。ショスタコってそういう作曲家だと思う。





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最終更新日  Dec 24, 2006 02:00:54 PM
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