聴き手専門の私などは、この曲には第1楽章からいつも気持ちよく酔わせてもらっていますが、演奏される方の立場から見ると、なかなかの難曲なのですね~~。

全楽章のテンポ、表現のバランスや、それぞれのパートの「こう弾きたい」という主張のディスカッション・・。
アンサンブルって、奥が深いんですね。
特に、弦楽四重奏は・・。ここにピアノが入るとまたがらりと様子が変わるのかもしれませんが。
(Jul 13, 2008 11:24:25 AM)

ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jul 6, 2008
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「セロ弾きと機関銃」

 今日はピーター(vn)宅でカルテットの練習。ジム(va)とマシュー(vc)とは初顔合わせ。僕はファースト。
 ボロディンは 二ヶ月前に別の団体で合わせてみた 曲だけど、今日は目からウロコ。面子が違うとここまで曲の印象が変わるものかと驚いた。

 チェロのマシュー君、ただのお坊っちゃんかと思いきや、なかなかのツワモノ。百年以上も前に作られたオールドのチェロをごうごうと鳴らしながら、音楽の輪郭をかっちりと抑えてしまう。「上層部」の我々は、あくまでその枠の範囲内でルバートをかけるなり強弱を表現することを強いられる。正直言って強引かつ無表情な音楽というのが第一印象だった。

 例えば1楽章アタマ。いきなりチェロそしてファーストに継がれる旋律。ビブラートかけまくって情感豊かに歌うべきかと思ってたけど、マシューはかなりあっさり弾きたがる。フラジオ使っちゃったりして飄々と。
 彼にそう弾かれてしまうと当方は出鼻をくじかれた感じ。「こぶし」の利かせどころかと思ってたのに。

 しかし、弾き進めていくうちに彼の真意がつかめてきた。
 そもそも二拍子のアレグロなんだし、しかも冒頭はp(ピアノ)。この楽章はカンタービレと明記された第2主題がちゃんとメゾフォルテで出てくるので、歌うならそっちのほう。あと、3楽章アンダンテとの差別化も図るべき。



 2楽章スケルツォもやはりマシューが陰の主役となった。バイオリン二人が三度でハモりながら優雅に円舞するとこ、氏は容赦なく八分音符で機関銃のようにドドドドッと突進する。
 なるほど、この2楽章はあまり優雅さを前面に出さないほうがいい。
 やはり、続く3楽章ノクターン(ノットゥルノ)を意識して、対照的に快活に。

低弦の提言 にはハッとさせられることが多い。

*****

 十何年も前にCDは買ってあるのに、僕は今までこの曲をほとんど聴いてなかった。いい曲だとは思うけど、どうも好きになれないでいた。
 でも今日チェロ主導で合わせてみて、その奥深さにやっと気づいた。

 あと、「楽章間のバランス」ということも学んだ。1楽章と3楽章でねっとり押しつけるんじゃなくて、2楽章と4楽章を軸とし、ややあっさりめの、しかしメリハリのある音づくりをすると冗長にならずに済む。
 要所要所でファーストが締めるのは当然ながらも、特に1、2楽章はビオラとチェロに主導させ、バイオリンらはそれに乗っかる感じがちょうどいいかも。

 今までこの曲を避けていた自分を反省。実はすんごい名曲かつ難曲!





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最終更新日  Jul 7, 2008 11:09:18 AM
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うんうん。  
分かります、分かります。

特に、この曲の冒頭って、ろうろうと歌いたくなってしまいます。
そんな仲間がいるって、貴重ですよね~。 (Jul 7, 2008 10:33:34 AM)

Re:うんうん。(07/06)  
あやこの部屋さん

>全体の構成考えてメロディー作っていくって、難しいですよね~。

普段遊びで弾いてるぶんには僕はそんなに意識しないのですけど(←こら)、一緒に弾く人によってはかなり「こだわり」があるようで、とても勉強になります。

>そんな仲間がいるって、貴重ですよね~。

夏はバーベキューを兼ねて楽器持参で集まる機会があって、そういう意味でも楽しみです! (Jul 8, 2008 10:01:40 AM)

Re:ボロディン: 弦楽四重奏曲第2番 D(その2)(07/06)  
corcovado  さん
ピカルディの三度THさん

有名なノクターンが大好きです。でもいつもそこだけ気合いを入れて聴いて、後は・・って感じでしたが、今一度じっくり聴いてみるとやはり名曲。
難曲?でしょうね。私からすれば、演奏出来ること自体が信じられない&ウラヤマシイ (Jul 9, 2008 09:46:18 AM)

Re[1]:ボロディン: 弦楽四重奏曲第2番 D(その2)(07/06)  
corcovadoさん

>有名なノクターンが大好きです。でもいつもそこだけ気合いを入れて聴いて、後は・・って感じでしたが、

僕もそうでした。ノクターン楽章だけでもけっこう起承転結が楽しめますしね。

>難曲?でしょうね。私からすれば、演奏出来ること自体が信じられない&ウラヤマシイ

つかみどころがないという意味でも難しいっす。
「旋律美に酔ったもん勝ち」っていう感じでもあり、なかなか危険な曲でして……。 (Jul 9, 2008 11:42:26 AM)

Re:ボロディン: 弦楽四重奏曲第2番 D(その2)(07/06)  
かのん111  さん

Re[1]:ボロディン: 弦楽四重奏曲第2番 D(その2)(07/06)  
かのん111さん

>演奏される方の立場から見ると、なかなかの難曲なのですね~~。

なんていうか、ボロディンって、弦楽器のことを隅々まで知り尽くしたうえでこういう曲を書いてるのか、それとも天性の才能で書き上げたのかわかりにくくて、途方に暮れちゃうというか。

>全楽章のテンポ、表現のバランスや、それぞれのパートの「こう弾きたい」という主張のディスカッション・・。
>アンサンブルって、奥が深いんですね。

この曲は特に「話し合い」が必要な曲だと思いました。感性やひらめきで弾くような曲ではないと。

>ここにピアノが入るとまたがらりと様子が変わるのかもしれませんが。

そうですね。ピアノが入ると、音楽の輪郭を作りやすいように思います。しかし今度は「バランス」という問題が出てきて、やっぱり苦労しますし……。 (Jul 14, 2008 06:43:24 AM)

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