スライ・ストーンことシルヴェスター・スチュアートは、いうまでもなくスライ&ザ・ファミリー・ストーンのリーダーである。 ファンクの創始者であり、60年代末から'71年頃にかけては商業面でも圧倒的な成功をおさめた男だ。 そして、急激な成功ゆえの重圧に耐えきれず薬物におぼれ、あっという間に転落していったというのも音楽ファンの間ではよく知られているハナシだろう。 Everyday People」、「Hot Fun In The Summertime」、「Family Affair」(過去ログ参照)などの曲を次々とヒットさせる一方で、スライはグループ間の軋轢や暗殺などに怯えていた。 その救いをドラッグに求め、バンド・メンバーに銃を向ける、コンサートをすっぽかすなどの寄行を重ねていく。 その結果、彼は孤独になり、最終的にはファンからもプロモーターからも見捨てられた。 スライのマネージャーだったカプラリック氏は、彼のことを「かわいそうなシルヴェスター青年」と言った。
だが、2006年の2月、スライはグラミー授賞式のステージに姿をあらわす。 銀ラメのスーツ、巨大なモヒカン・ヘアーという格好で彼は「I Want To Take You Higher」を歌った。 これには誰もが目を疑ったに違いない。 2007年に入ると、彼はステージ活動に力を入れ始める。 そして今回の初来日だ。 こんな事を誰が予想しただろう。人生なにが起こるか分からない。 ファンの中には「長生きすれば、いいこともあるものだ」と思った人もいるかもしれない。