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男達の希望のないいきざまを見てサクにも、過去があった。希望のないいきざまは、サク自身にも刻まれていた記憶だ。しかし、今は違う。ちゃんとした生き甲斐があるからだ。男達にもそれを味わせたいと考えていた。サク:「吹っ飛ぶとはどうすることなんだ?」男2:「そんなこと聞くのはまともじゃあねぇ、おまえ、何者だあ?」サク:「名乗るもんじゃあねぇよ、ただ、テメェらの生き方が気にいらねぇ」すると、男は、ナイフを突かれている男に対して、男2:「なあ、おまえ、本当に死んでもいいと思うかあ?」男1:「何でそんなこと聞くんだ?」男2:「この男、何だかわかんねぇが、凄い事言ってんぞ」男1:「どういう事だあ?」男2:「本当の生きざまってヤツ」なぜか、男達は、その言葉をずっと待っていたかのように、悟り始めていたのだ。サク:「他におまえらみたいなヤツはいるのか?」男2:「ああ、いるにはいるが、あそこにいる幹部についてるヤツが2人いる」サクは、その2人に、この男達が持っている気を増幅させて、彼らに転送させた、当然、チップによる能力だが、かなりの消費を伴う。少しすると、サクのチップに返事が来た。男3:[…何時からいたのか知らないが、俺達に構わずそこから逃げろ…」サク:[…思いはどうなんだ?…]男3:[…]しばらくしても返事がなかった。サクは悩んだ。人の為に動いている事すら初めての自分が、彼らにはすでに備わっており、しかも、人を助ける為に自分の命を投げ出している。誰も自分の幹部には感心を持っていないようだ。金に目がくらむような幹部には、指示する権利などないと感じている人間は、何のために悪を演じているのだろうか?サク:「こりゃあ、私より上手(うわて)だなあ」呆然としているサクに、男1:「おい、どうなんだ?」しばらく彼らの様子を見ていたサクに、彼らはサクのいる方には一切振り向くことのないまま、男4:[…あいつらの事はよく知ってる、だから一緒だ、俺達は無理だ、ばれたら一瞬だからだ…]サク:[…どうにもならないのかあ?…]男4:[…ああ、だから、行け…]サクは、その時、彼らの思いがかなりの濃度で伝わり、思いより深い部分までキャッチした。彼らのプライベートの事までが伝わってくる中、一瞬という事がようやく明らかになった。サク:「やはりそうか、この空気も、このリセットも、全ての世界も、平穏な世界だと思われたが、この世界を作り出したのは、罪人による幻に過ぎなかった!」空気中の白い成分は紛れも無い、麻薬そのものだ。しかも、植物にとっては宝の産物であるが、それを人間が口に入れた場合、ただでは済まないわけだ。さらにショッキングな事は、あの透明なリセットには、禁断の仕掛けがあった。サク:「あいつらを助けるぞ」男1.2:「そんな無茶なあ!」人気blogランキングへ
2007.01.26
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サクが来ているのは、海沿いにあるやはり倉庫だが、ここはまだ閉鎖されていない。おそらく貿易業界の手の持ち物で、そのなかで影の取引がなされているようだ。人の気配が漂っているここには、どうやら生々しい取引が今、行われようとしていたのだ。サク:「思いきりヤバイじゃん、成立しようがしまいが、世間には関係ないが、むしろ成立しない方が危険だあな、さてどうするか?」サクは奴らの出方を見る事に。その時、サクの頭上に事務所らしき部屋があり、人が2人、何やら話しをしている。サクは特殊な耳をすました。[・・・なあに、こんな面倒な取引制度にしなくてもばれねぇのに、オエライさんは古臭いよなあ・・・][・・・ああ、今まで不成立したことねぇし・・・][・・・万が一成立しなくても、ヤクで吹っ飛ばしゃあいいことさ・・・][・・・でもよぉ、そうなったら俺達も巻き添い喰らうんだぜ、めんどくさいなあ・・・]サクは、この言葉から予測していた。サク:「ヤクっていうのは火薬かあ…?」吹っ飛ぶというのが妙だ。いったい何がどう吹っ飛ぶというのか?サク:「爆弾でも仕掛けるのか?いや、待てよ、吹っ飛ばすのは火薬でももしかして吹っ飛ぶのは、麻薬?」サクのチップが威力を増していく。サク:「これは、とてもじゃあないが、まともじゃないなあ」何気に考えていると、1つの結論が出て来た。サク:「こ、これが、あの…!」呆然としていたサクは、上の事務所から駆け降りる人の気配を見失っていた。サク:「俺が以前やったあの件と同じだあ、間違いない!」身体が震えて来たサクの背後から、男達が迫って来た、震えが止まらないサクは異変にかすかな気を感じ、切り付けてきたナイフを瞬時にかわした。逆にかわした背後から男の首を締め、ナイフを取り上げて切り付け返した。サク:「さあ、説明してもらおうか、こりゃあ何の取引だあ?」もう1人の男に質問した。男2:「バカヤロウ、簡単に言うわきゃあねぇだろぉ!」サク:「じゃあ、こいつがどうなってもいいのかあ!?」すると、男は、意外な言葉を口にした。男1:「フン、好きにしろ、どうせこうやって不祥事がでりゃあ、取引もダメになる、そしたら、ここにいる全員、吹っ飛ぶだけだあな!」サク:「何ぃ、吹っ飛ぶ意味がわかんねぇ!」男1:「テメェに言ってもしょうがねぇ、やるならやっちまえぇ!」サクは、哀れな男達を見て、まるで将来を決め付けられている、がんじがらめの人生を送っていると知って、幹部というのは、下を見ようとせず、自分の立場ばかり見て都合のいいことだけを追っている、こういう体制が嫌いなサクに、怒りが込み上げる。サク:「おまえら、生きたくないんか!?」人気blogランキングへ
2007.01.25
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ウインとサーヤの研究が続く中、あのリセットの根源は何か、何が目的だったのか、改めて考えなければならない。最悪が起こった上での幹部の手によって降されるやり方だったかどうかだ。あの透明なリセットに関しては、降したのはサクだ。しかも、今、一緒に同じ部落にいる。そんな彼が、リセットを押す立場だったとするなら、幹部にあたる人間がそのほかにはいなかった事になる。実権は握ってはいたが、サクに幹部の資格はなかった。ではなぜ、サクのいる場所にあのリセットが現れたのか?サーヤは、透明リセットの出るタイミングが、他のリセットと違う方式を探り、そこから本当の意味を見つけた上で、あの成分の正体を知る近道だと感じた。その説にウインも納得し、幹部ではない別の理論で追ってみることにした。既に、計画を組み実行する段階になっていた、イオン達3人は、事件になりそうな場所を探り、しばらく様子を見ていた。あの植物が用いられるかもしれない、しかも、あの成分の特性を既に知っているのかもしれない、だが、むやみに聞くことはできなかった。まだ誰も知らないかもしれないからだ。チップにはかなりの負担をかけるが、ラーメン屋の主人の話しでは、そういった類のグループがいくつかあると言っていた場所に絞り込めば、負担は軽い。しかし、あまりにも範囲が狭すぎるので、サクがもう1カ所の場所に向かい、チップ同士のコンタクトをとりながら行動することにした。イオン:「サクは多少でも、格闘の経験があるから襲われても大丈夫だよな。」サク:「ああ、嗜む程度になあ、ここはイオン先生に任せたぜぇ」と言って、別の場所へ向かっていった。セータは、緊張する中、あたりを真剣に探っていた。セータの気持ちは、高まっていた。サクがいなくなって初めて感じた思いにプレッシャーを感じているのに気付いたからだ。セータ:「こんな俺が、まさか、怯えてるのかあ?何だ、この気持ちは」イオンが情けないくらい弱いと思うと余計にその思いが高ぶってきた。イオン:「この一帯は、倉庫だったそうだ。だいぶ前に潰れて、今は何かとヤバイ取引場所になってるって噂だ。」こんなヤバイ事に気が付かない程、この世界は、あまりにも鈍っているという事に、ここの奴らは見越している。だから、逆に、探られている事にも予想していないはずだ。現に、嘘のように入り口の警戒はなかった。セータは、セータ:「この警戒心のなさは、まるで罠みたいだよね」イオン:「あ、ああ、ひっくり返せばそうなるなあ」セータ:「相手は、まるで考えてないか、もしくは…」イオン:「なんだあ、変な事いうなよ、余計緊張すんだろ」セータは、少しでもイオンに緊張して欲しかった。人気blogランキングへ
2007.01.24
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人間は何かに取り組んでいる時が一番美しい。筆者の親のまた親である婆さんがいるが、娘に思いを込めて育てていたが今では100歳に到達する。それは、他でもない、生き甲斐をもっているからがんばれるのだ。ノルマや、目的、趣味、やり方は様々だが、それに向かっていく姿勢こそが、本来の生き方だと思う。駄目でも違う角度からやれば上手くいったり、客がたくさん来ていても、天狗にならず続けられるように工夫する、目的とは、達成するために努力することを、現代の人間に欠けて来ている。無理しない、しても犯罪から入っていく。考えない、全てパソコンがやってくれる。目的がない、もう家にあるから。助けない、病気にならないから。セータ達は、このリセットを理解することが出来なかった。怠けるためのリセットなど有り得ない現象なのだ。最悪を打ち消すためにあると思われたが、今、戸惑いを見せていた。セータ:「もしリセットが最悪に起こるとすれば、住職も言っていたが、今のスタイルで新たな犯罪が起こる可能性を考えていた。でもさ、今のままでも充分最悪だと思うんだけど」セータが発言したことに、イオンにも、サクにも同じ気持ちだった。何故、リセットがこれなのか?サクの案に、サク:「あのラーメン屋が言ってた、頑張っている連中が標的になるんじゃないかあ?」イオン:「そんなあ!それじゃあ逆だよー!」有り得ない事ではなかった。人間が幸せである以上、今では、努力が最悪に成り兼ねない。イオン:「じゃあ、禁断の植物を使った犯罪っていうケースはあるのか?」セータ:「考えられるとしたら、禁断の植物を、努力している人に何らかの理由で服用させ、苦しめるっていうのは?」サク:「有り得るなあ、今で充分と考えれば、余計な事は避けたいだろうからなあ」それでは、そういった事態をいつ、どこで見分けていくのか?余程、先を読まなければ必ず一件は犠牲者が出てしまう、すると、それが引き金となり、連続する可能性が高いのだ。不思議な事に、現代でも異様な現象として、一件の事件が明るみになると、必ず同じような形で連続する傾向があり、誰もが身の回りを気にするような事態、明日は我が身、的な、誰もが疑わしい気持ちになっていく。人間の心とは、いいことより悪い方を引っ張る習性があるから、その観念を消す事は、極めて困難なのだ。歴史を変えるほどではないが、時間単位で予想することが可能なのは、サクとセータしかいない。ただし、チップに負担がかかることは避けられない。セータ:「どのみち、放っておけば事件が起きちゃうんだよな、もう今からでもアンテナ立てた方がいいのかな」サク:「待て、少しでも引っ張らないと身体がもたない、きっかけを掴むんだ」人気blogランキングへ
2007.01.23
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あれから一週間が経った。イオンとセータ、そして、サクの3人は、かなりの疲れを見せていた。新たな進展はないまま、 住職を捜していたが、見つかるめどがつかない。まるで存在がなかったかのように、消えてしまった住職。チップを駆使しても発見できない理由を考えると、イオン:「こりゃあ、リセットかなあ?」サク:「個人的にかあ?」イオン:「有り得ないよなあ、やっぱり」やはり過去にはなかったリセットのパターンではあるが、そこまで考えつくサクのチップは、なおも進展し続けていた。疲れ切った3人は、歩く事も出来なくなり、仕方なく、近くの街に入り休暇できる場所を捜した。やはり人気(ひとけ)のない街。ある意味不気味な空気が漂う。事件がないことはいいことだが、何て言ったらいいのか、サプライズがないとでもいうのだろうか。何事も起きないからやることがない、やっても意味がない、やるだけ無駄、普通とは、じっと家でのんびり、朗らか家族。なにやら昔から言う、憧れの生活キャッチコピーを履き違えているようだ。ゆったりのんびりは、温泉でのんびりする時に使う言葉だし、朗らかは家を買う夢などに言う。しかし、ここでは、表現が違う。しない、動かない、協力しない、以前から開発されていたが、全てにおいてオートメーションな文化に人間はとうとう、何もしなくても生きていけるようになっていた。オートメーション化まではよかったが、ニートが急増し、仕事があっても手抜きが多い。人間から苦労を抜くと、目的や達成感がなくなり、給料をもらう気持ちも変わる。それを激化させたのは、この空気だった。この空気は、健康である代わりに、この世の中から、努力する気を吸い取っているようだ。セータ達は、スーパーを見つけ、そこで必要物資を手に入れようとしたが、既に倒産し、閉ざされていた。オンライン化が主流となり、外で買う事や、外食までもが無くなっていた。イオン:「なあ、パソコンがないと飯も食えないのかあ?」セータ:「ねえ、あれ見てよ!」3人が見たのは、陰気臭い路地裏にある古いラーメン屋だった。そこへ向かい、戸を開けてみると、何とそこは大盛況。イオン:「なんだあ?ここだけは昔のままだなあ」店主に聞いてみると、店主:「俺がこの制度に反発してラーメン屋をやり続けていたら、知らないうちに、マニア扱いにされて、逆に好きな客だけが集まってきた、うれしいけど、複雑だね」セータ:「という事は、おじさんみたいな人が他にもいるんだね?」店主は、うれしい顔で、店主:「そうともさ、こんな世の中だからこそ、逆に頑張らなきゃならないと誓った連中がいる、まだ少ないがなあ」人気blogランキングへ
2007.01.22
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ウインとサーヤが研究所に戻ってきたのは明け方だった。今日は深い眠りに着いて、少しでも専念できるように、身体を休める必要があった。一度研究に入れば今度はいつ休めるかわからないからだ。ウイン:「サーヤ君はあれをどう思う?」サーヤ:「いや、まだ何とも言えませんが、博士のおっしゃりたいのは、あれがいいか悪いかって事ですよね?」ウイン:「さすが、冴えてるね、どうも腑に落ちないんだよなあ、確証できないけど、まっ、適当に休みなさい。」そう言って奥の部屋に向かって行った。サーヤは、1人、寮に入って、部屋でいろいろ考えていた。歴史、住職、光、浮遊物、光合成、そして皆。リセットを巡り、様々な出来事が何かと起こり、消えゆくものや、誕生するものがはっきりしている。現実では有り得ない自分の考え通りに世の中が動いていく観念こそ、リセットを生み出す発端となった事を考えれば、今の世界は誰がどう動かしているのか、誰が支配しているのか全く想像がつかないところが、今回では初めての事。人間が作り出した欲望さえも見えて来ない。やはり、自然が起こしている事なのか?そして、イオンがあそこまで記憶復活が遅れているのは、明らかに、他の皆と体質が大きく異なっている可能性もあるし、山積みな謎がサーヤに襲い掛かる。サーヤ:「やっぱ寝られないなあ」考え過ぎも癖になっているが、それが研究の中で最も重要な事に繋がっているのも、サーヤのいい面でもあったが、逆に、睡眠不足から、免疫が薄れているのも事実だった。隠ぺいとか、自殺だとか、並べてみれば、最悪なニュースが毎日のように発生している現代。それは、咄嗟に考えつく人間の発想から来る行動による事件が殆どだ。時間を費やして、たどり着き行動することも中にはあるかもしれないが、我を忘れて一瞬でも頭に来れば、それが起爆する。落ち着いた時には後悔の波がどんどん押し寄せる。結局、波に乗れず、時間に追われ、まわりの人にも煽られるこの世の中で、最も世界に押し潰されて、最も悲鳴を挙げて訴えているのは、むしろ犯人側だったりするのだ。犯罪は2種類あるとしたら、極悪犯より、普通の人の方が大半だろう。そういう人間を作り出しているのは、今の世に生きる大人達、政治、技術、文化、そして、時間。そして、今、深刻なのは、陰険たる人の心理。何を考え、行動しているのか、同じ人間とは思えない発想。これこそ、サーヤが今考え悩んでいる事の結果になることに繋がっていく事を予感し、恐れていた。先を見すぎて心痛めるストレスから、気が付かないうちに、サーヤの身体は蝕まれていた。人気blogランキングへ
2007.01.19
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偶然を生むとは言うが、これほどまでに仕組まれた偶然はない。過去にもこのケースと同じ事が起こっていた。探索させておいて、僧侶がいなくなり、成分分析がまとまり、誰か1人が毒味をする。しかし、定期的に死んでしまったのか、ぼけてしまったのか、今日まで記録を残した物は全く見当たらなかった。ウイン:「これは推測だが、過去の歴史がもし本当なら、全く同じ事をしようとしているのではないのか?」「俺も冗談かと思って言わなかった」薄々感じていた気持ちが一致していた。この出来事は繰り返されていた?繰り返されているとは断定出来なかったが、今は重要視されているのは毒素の存在であり、浮遊した成分がいかにしてそういった現象を作り出しているのかが課題だった。ここまで詳しく調べるにはやはり研究所へ移動するしかなかった。ウインとサーヤはひとまず、資料を持ち帰り、しばらくは研究に没頭することに。残りのメンバーは引き続き、作業を続けた。だが、ここまででわかったことは、あまりいい内容ではなく、むしろ、最悪を臭わせる状態であり、空気中の浮遊物もいいのか悪いのか謎のままだ。サク:「なんか、このまま作業してても無駄じゃあないかなあ、あれがわかんないうちはさ」イオン:「それはそうだが、また違った切り口だって見つかるかもしれないし」サク:「そんな確信のない事やるより、あのじいさん捜した方がいいんじゃあないかなあ」イオン:「怠けたいだけじゃあないのかあ?!」サク:「何だとぉ!」そこへ、セータが仲介に入って、セータ:「センコー、こりゃあ、サクの言っている事が一利あるかも。だって、消滅する理由がわからないし、歴史に乗っかってるだけじゃん。捜した方が先に進めるし、歴史の流れも変えられるんだあ」イオン:「でも、それが間違っているとは限らないんだぜ、どうにもならないだろぉ」セータは黙ってしまった、イオンが頑固なのは承知だったが、こんな時に固い者がここにいてもしょうがないと感じていたが、ウインはきっと、イオンの記憶を戻させてやるつもりでここへ連れてきたのだ。辛いのは、本当はイオンの方なのかもしれない。思い出せないのに元気で明るく振る舞っている姿はまさにあの教室の時のようだ。サクとセータは住職を究極チップを駆使して捜せば、まだそう遠くへは行ってないと予想している。平穏とされたこの空気に、新たな流れが吹き込まれようとしていた。人気blogランキングへ
2007.01.18
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未確認な成分と、寺院の書物には、密接な関係があった。ウインは更に追跡すると、太陽を浴びた方がいくらかの栄養素と空気中の成分と似ている。空気中の成分は、あの光から放たれた浮遊物で、何も起こらない限り、長い時間でも空気中に依存し続け、流れに任せて植物、食物などに付着する。光合成をたくさん浴びた植物に付いた瞬間、化学変化と共に栄養素が通常の3倍、耐久性も2倍増していると断定。これを人間が食べる事で、身体にいい影響を与え、健康であり、ストレスもない、平穏な世界を作り出したのだ。一方、陰で生えていた植物に関しては、もっと意外な結果が出た。「出来れば間違って欲しい結果だな」ウインは、深刻な顔で皆を見回した。セータもこの時点で判った。サクとサーヤは、不思議がり、イオンは、至って普通にしていた。ウイン:「あの陰にあった花には物凄い毒素を持っている、日向のと同じ種類でだ、しかも隣り合わせでお互いに共存しあっていることが不思議な位だ。これがどういうことかわかるか?」一同は、沈黙し、その花を見つめていた。陰の植物の事を、この世界の人間はおそらく知っている、そして、それらは、物凄く恐ろしい犯罪に繋がる事も承知だった。だから、新しい植物に関しては、絶対に太陽が当たる場所にしか栽培していない。これが知っているからこそ、誰もが犯罪者に成り兼ねないのだ。ウイン:「毒素があることは判ったが、どんな事になるかはまだ不明だ、解っていることは、いいも悪いも共存できる気候にあるらしい。まだ誰も使ってないし、食べる勇気もないからなあ」イオン:「政府上では採取、食用を禁止としているらしい。寺院の書物にも書いてあったな。」ウイン:「セータ、なんか深刻な顔してるけど、知ってることあるのか?」セータ:「いや、でも、さっき、センコーが見ていた歴史書にあった事が気になってるんだけど、10年周期でリセットされているという仮説がどうも不自然なんだよなあ」それが本当なら、今年のリセットがその節目の10年であり、引き継がれる時。しかし、住職はいなくなり、後継ぎもいない。これはただの偶然か?ウインがとりあえず、一同の中軸として、このブロジェクトを仕切る。しかし、これは仕組まれた偶然であることがわかるのは、もう少し後の事だった。人気blogランキングへ
2007.01.17
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イオンが見つけた書物は、ここに存在したであろう、先代寺院管理者の記録が載っていた。寺院の落成から、今日までの建物についての記録のようだ。この寺院の歴史は、やはり30年と浅く、戦後に造ったもの、先代は3人の僧侶が管理しており、いずれも10年で引き継いでいる。現在の僧侶、則ち、消息を絶った住職は今年で10年目にあたり、引き継ぎをすると思われるが、後継者は現れていない。しかも、引き継ぎする話題も資料もなかったし、どうやって引き継ぐかも記録されていない。イオン:「一番気になるのは、ほら、リセットの時期の記録も載ってないぞ」セータ:「でも、ここがやはり新しいって事が判ったけど、何かきっかけがあったんじゃあないかな?」イオン:「そんなに勘が当たったからって先走った言い方すんなよぉ」セータ:「うるせー、悔しいんだろ?」セータはイオンのツッコミが、懐かしく思っていた。セータ:「ホントにこいつ、記憶ないのかよ」知らない人に対しても遠慮しない性格なイオンがセータにとっては逆に長所となっていた。サーヤとウインは、寺院の中に戻り、事務室のような部屋で、簡易研究アイテムを取り出した。簡単なものしか調べられないが、成分の分析程度なら問題なく調査できる。簡易顕微鏡によると、ウイン:「空気中の酸素の他に、なんかみたこともない成分が混じってるが、これがあの光から発生したものかもしれないな」しかし、見たこともない成分としか判断できない簡易的なアイテムでは完全に解析不可能とみたウインは、違った成分が混じっていることは事実なため、簡易だが、空気をボンベに圧縮して採取し、研究所に持ち帰る必要があった。一方、音沙汰のないサクは、植物の分析を続行していた。前回と比べて違うのはやはり進化したチップによる、植物にたいしての接し方だ。全く興味を示さなかった性格が裏を返したように、花一輪一輪丁寧に見ている、そして、進化したチップの中に新たな機能が生まれていた、成分分析機能だ。これを研究すれば習得できる学習型であり、花の分野では強い反応を示すようになる。そうしている間に、サクはあるものを見つけた。この空気中で育った植物に、太陽のあたる場所と影となる場所とでは、成分の付き方が違う事が判った。サンプルを持ってウインの元へ向かったサクは朧げに喜んでいた。持ち帰ったサンプルに違いがあった。太陽を浴びている方がより光合成を付けているのに加え、全く見たこともない成分が検出されたのだ。人気blogランキングへ
2007.01.16
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セータとサクが帰還、イオンもサーヤもそして、ウインも皆喜び合い、2人を招いた。セータは、セータ:「センコー、まだ思い出さないのかあ?」心配そうに見つめると、イオンは、イオン:「な、なあに、大丈夫だ、そのうちになんとかなるよ」イオンだけ、なぜかこの気候に馴染んでいないようだ。ウインが、ウイン:「個人差があるようだね、また皆で作業を再開しよう、でないと、今後の事が不安だし」セータ:「あとぉ、センコーもね!」セータが付け加えた。皆から笑顔が戻っていた時、一人の人物が消えていた。後ろにいたサクが気が付き、サク:「浮かれてる場合じゃあなさそうだなあ」ウイン:「何?」いつの間にか、いなくなっていたのは住職だ。サーヤが、サーヤ:「さっきまでいたのに、いったいどうしちゃったの?」イオン:「寺院に戻ったのかなあ?」すると、セータが、セータ:「いや、違う、居なくなったんじゃあない、身を引いたと言った方がいいかも」サーヤ:「まさか、修業に出かけたっていうこと?」一同の姿を見た瞬間から、住職の気持ちが固まったのか、それとも、自分のおこなったことによって、蟇目を感じ、自立した新しい気持ちを育むのに障害になると判断したのか?気になるところだが、今はやりかけた作業を進ませる必要がある。イオンの回復のめどがつかないまま、イオンと共に作業を再開したセータは楽しかった学校生活を思い出していた。寺院にある書物はどれも仏法や法律書ばかりで、これといった珍しい資料はなかった。イオンは、イオン:「こんなことしていていいのかなあ、せめて、寺院の歴史書くらいあってもいいだろう!」すると、セータが、セータ:「なんか、ここにある本ってさあ、新しくない?」イオン:「どうしてそれが判る?」セータ:「たいがい、お寺の本なんてあるだけでみることが少ないんだ、だからかび臭いはずなんだが、ここにあるのは、そんな臭いしないし、色も変わってない」イオン:「それは空気がいいからじゃないのかあ、湿気すら感じないんだぜ、こんな暗がりで窓もないのに」チップが働いたはずだが、セータの知識は、イオンに年齢と教師の頭脳にしてやられた。セータはその時、やはり経験がモノを言うということを痛感した。しばらくして、イオンは気になる本を手に取った。それは、ある偉大なる僧侶が書き綴ったものだが、崩した筆の書き方が一見、題目かと思うようなくせ字だったたが、よくみると、年号が記されていた。イオン:「これって、ここの創立者が書いたんじゃあないだろうなあ!」人気blogランキングへ
2007.01.15
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住職が管理していた当時の政府には、独裁を望んでいた上官がいた。リセット後の世界はその上官の気持ちが練り込まれたとも言われていたが、そこで仕切っていたのは、元ショウの師匠であるスヴェンだった。ではスヴェンが上官だったのかといえばそうではなく、独裁していたのは、単なる偶然であり、上官がこの世界に移ってきたという事実はなかった。ということは、生きて現在に存在する可能性がある。問題は、白のリセットで記憶を失っているはずだが、自らリセットを知っている事から、それを防御している事も考えられるのだ。住職の考えは、この気候を利用した新たな陰謀は、その男にかかっている説を唱えた。何故なら、後先の行程を知り尽くす能力をもっているとしか言いようがなかったからだ。サーヤ:「つまり、チップ使いって事かしら?!」住職:「ああ、可能性があるって事です、だが、上官が入手しているならば、極上のチップだったと思うがのう」サーヤ:「それって、違う意味の極上なんでしょ」住職:「さよう、判っているようだね、サーヤさん」チップ作成の特許は研究所が独占する。それ以外は作る事は禁じられ、偽装、違法コピーとなる。それが上官でさえもだ。住職は更に、住職:「まず狙われる根源がここにある」イオン:「それって!?」住職の目の前には、人を背負った人物が見えていた。住職:「カギを握る男が、ここにある」紛れもなく、サクとセータのことだ。あの2人には、将来がかかった、究極のチップを持っておる、しかも、今度はバージョンアップと同等の試練を受けて帰ってきた。サーヤ:「同等というのは、上がり下がりだけではない、身体に合った最適化って事ね」住職:「サーヤさん、冴えてきたのう、もう大丈夫でしょう」住職は、自分が手を下す事はもうすでにないと感じていた。サクの独創たるバージョンアップと、セータの完全最適化が物語っている。イオン:「セータ君は大丈夫なのかあ?」イオンが心配そうに言った。住職:「多分な、いまはまだ安定してないと思うがなあ、それより、いい加減、イオン殿の復活を願いますよ」イオン:「俺、めっちゃ知ってなきゃあいけないんだよな」イオンは、未だにセータの記憶が薄いままで、回復がかなり遅れていた。一同が目にしたその2人の姿、しかも、サクが人を背負っている自体、奇跡に近い。全てをバージョンアップさせたサクと、最年少対応の究極頭脳を持つセータが、新たな展開を開いていく。人気blogランキングへ
2007.01.12
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セータを支えていたサクの心理には、あらゆる変化が生じていた。まずは人を考える事、自身自分とは思えない行動に驚くが、自然体でいることの喜びの方が大きかった。セータはやはり若すぎた。チップの判断はやはり最適化するに至った。いわゆる、"退化"だ。しかし、ただの退化ではなく、今までの知識を踏まえた退化だった。この最適化は、人がだれもが羨む機能だ。無駄に過ごしていた高校時代をやり直したいと思ったことはないだろうか?しかも、今の知識そのままでだ。まさにその機能だ。しかし、退化である以上、それなりのリスクもある。体力が減り、今後の思考力も範囲が狭くなる。容量自体は高校生並と判断される。体がついていけるようになるには時間を要した。サクはセータの退化を認め、背負いながら、一同のもとへと向かった。サクの進化は、セータの真逆となり、更にサクの中にあった、邪悪な心は排除されていた。考えるチップは、後にも先にもこの2人だけ、今の気候に対応し、判断するというチップの将来はあるのか?そして、これを量産する意味が出てくるのか、今後の課題となるのだ。この澄んだ世界がどこまで続くのか、平和な世界はどこまで保たれるのか、それがこのチップの運命を暗示していた。サーヤが生み出した史上最高のチップに設計図など存在せず、しかも、計算されたものでもない、偶然の産物といっても過言ではないくらい絶妙なのだ。住職:「再び悪のない世界を創るのはあの2人、しかし、支えが必要だのう。」再び作業に戻るウインとサーヤに住職の言葉の意味がすぐに理解出来た。この分析結果が大きなきっかけとなること、それに付随するかもしれない同等なるチップ量産への可能性を踏まえて、サクとセータの将来を見つめ続けること。住職は感じていた、この世界独特の悪がきっと発生するときが来るだろう。だが、その独特さが判らないため、何も判断はできないが、おそらく、この気候を利用した新たな事件が待ち受けていると考えられる。指揮をとっていたあの頃には考え付かなかった気持ちで、今、改めてあの立場を見つめ直すと、出世街道ばかりたどっていた自分が恥ずかしくなる、あの2人をみているとそんな気持ちになった住職の目には涙が溢れていた、その目の前にあの2人の姿が写ってきた、それぞれの成長した容姿を期待して。人気blogランキングへ
2007.01.11
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伝説を知っている住職の存在は、イオン、サーヤ、そして、ウインの記憶をより確実なものとした。この環境と、伝説の内容とが、消えかけた記憶に刺激を与えたほど重要だったのだ。住職:「私がこの道を選んだのは、紛れも無い、出世することばかり考えていた事で人を危ぶんだ罪は償いきれん。心が痛むがそれが定めだと思い、リセット後は山篭もりをしたのが始まりだった。」イオン:「出世の果てには出家って事かあ」住職:「ああ、山篭もりしたころには、自分も記憶がなかった事に気付いたのだが、不思議と違和感がなかった。多分、頭が真っ白になっていた矢先だったのだ、都合がいいと言われても仕方ないがなあ」確かに都合がいい話だった。しかし、誰一人、住職を恨む者はいなかった。人事だと思うのは勝手だが、いつ自分に降り注ぐかわからない。住職に起きた派遣疑惑には、上からの圧力があり、それが出世ではなく罠だった事に気付いた時にはもうすでに遅かった。住職はすぐに、「後になって思い出したら、あの伝説に出て来た名前と一致したことに驚いた。派遣三人の名は、ショウ、カイ、そしてマリアだったからだ。」イオンは衝撃が走った。そして、イオンの両親がいたあの時代、独裁と麻薬が渦巻いた世界によって更なるリセットを余儀なくされた、あの伝説の意味とはなんだったのか?サーヤにも心辺りが僅かだが、荒れた時代に生まれた事だけは、記憶を貫くほど判っている。サーヤ:「一体何のための派遣だったの?侵略者を突き止める為だったんじゃなかったの?」その言葉に住職は何も答える権利がなかった。派遣追跡はしたものの、再びリセットされた自体、全く意味を無くしていたのだ。すると、ウインが、ウイン:「いや、無駄とはいえない、現にそこでイオンとサーヤは産まれたんだ、逆に無駄のままにしてはいけないと思うんだが!」その言葉にイオンもサーヤも認めるしかなかった。そして、一番救われたのは住職だろう。ウインは更に、「それよりも重要なのは、住職を重圧していた上の者とは誰かという事だ、この者こそ、全ての記憶を牛耳る、そして全ての世界を知り尽くしていたと思われるからだ。」住職:「何でそんなことまで言える?」ウイン:「答えは簡単だ。リセット前に派遣を送ると指示したのは、リセットを知っているという事だ、言っちゃあ悪いが、住職さんはただの駒、自分は既にその世界からおさらばしていたんだ、でなければ、その者が指示した意味がないし、そのほうが自然だ。」住職:「自分だけがんばってたって事?」人気blogランキングへ
2007.01.10
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サクに近寄るセータ。震えているサクは、何か呟いている、聞こえるまで近寄ったセータは、セータ:「何が起きた、進化か退化か?」サクは、震えながら、サク:「あんたに、希望のある若いあんたに、言っていいのかどうかあ」セータ:「その言い草は退化かあ?」チップにとって進化とは、学習能力や判断力を発展させるものだが、逆に退化するということは、普通の人間の持つ能力に戻ることになる。だが、サクの場合は深刻だった。サクのチップが無知だったからだ。失うものがないと安心していたサクは、たった1つだけ、失うものがあった、それは、本心全ての記憶。最悪だと死に至るのだ。サク:「私はもうすぐ失うものに、関しては、悔いるものは、ない、記憶なんか、くだらないこと、ばかりだ、ただ…」セータ:「どうした?」震える中で、サクは涙を流していた。サク:「死ぬのだけが、なにより恐怖だあ…」死ぬのか、記憶喪失か、どちらに転んでも、死んだも同然と思っているサクに、セータ:「お前らしくないなあ、記憶ならまた始められるだろ」サクはどちらに転ぶかわからない極地に立たされながら、サク:「あんた、学生のくせに、いいこと言うなあ」サクはそのまま倒れた。セータは、この先どうなるのか見えなくなっていた。まるで現代の社会現象に近い。完全に記憶がなくなる前に新たな記憶を吹き込むしかないが、サクの人格に適合しない、まったく関係のない記憶を植え付ける事は不可能だ。セータ:「いったいどうすればいいんだ、こんなときは!」セータがサクに何かをしようと懸命になっていた。すると、セータのチップにも異変が生じていた。セータ:「お、俺も、退化するのかあ」考えれば考えるほど、頭痛がするようになり、サクのように体が震えてきた。セータも段々立っていられなくなり、サクの横でうずくまった。セータ:「こんなところで終わっちゃうのかよお、ついてないなあ、無知になる位なら死んだ方がマシだなあ」セータはそう呟いた後に気を失った。そんな体を支えていたのは、立ち上がったサクだった。サク:「チクショウ、無知、無知って言いやがって、死にたくない?無知な私はしっかり生きてるんだけどなあ」と言いながらも、セータの体を摩っていた。サク自身、まだ気付いていないが、無知を感知した空間がくだした判断は、人間として最低、基本となるベースがなにもかも持っていないサクに、"命を粗末にしない"、たったこれだけでも、この男にとっては大きな進化を遂げていたのだ。人気blogランキングへ
2007.01.09
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住職が、セータを止めないで、サクを探させたのは、チップ搭載である運命を背負う者同士でなら出来ないことはない、そう思っていた。しかし、チップを認めていたわけではなかった。チップを利用してまで人間を抑制した所に何があるというのか?だがそれが定めなら、それに従った道を貫くのが筋道なのだ。住職:「あの2人は、ここにいてはならない、本来、チップというのは、浄化された場所には適していないのだよ、ウイン殿」ウイン:「なるほど、対応できなくなったから使うって事だな。」住職:「さよう」最悪な気候に生活していく上での最終手段として開発が始まったのは事実である。空間が汚れなく、平和な世界、浄化された本来の気候では必要性のない、いや、使用不可能になる可能性だってあるのだ。「お坊さん、どうしてそんなにお詳しいの?」サーヤが切り出した。住職は少し笑みを浮かべながら、住職:「かなり昔、わたしはある団体の幹部として、とてもきつい地位にいたのです、人に命令するのは向いているわけではなかった。しかし、内部紛争が起きて、何人かは犠牲者となった。反逆が始まり、私もそれを止めるために、政府の人間として参戦した。政府が立ち向かうのに力不足だとふんだ私は、政府の中でも、一番気になっていたものがあった。軍事機密とされていた軍用の隠れ部隊を用意していた、そのものたちこそ、チップを積んだ始まりとされた者だった」開発当時は軍用として動いていた。住職は司令塔の地位にあり、最悪の時の非常事態の権力を持っていた。住職:「その後はイオン殿の先代の話しに繋がっていくのですよ。」先代?ショウの伝説!イオン:「それってまさか!?」イオンは急に顔が青ざめた。そしてその瞬間、全ての記憶が甦ったのだ。イオン:「あの伝説のリセットボタンを押したのは、あんただったのかあ!」住職:「私もなぜそんな記憶が甦ったのか知りたくていろいろ確認した、長年かけて、いつの間にかこの寺社に身を委ねるようになった。」あの当時の政府の幹部だったとすれば、リセット間際に起こったスパイ捜査疑惑についても知っているはずだったのだ。イオン:「ショウがずっと解読出来なかった謎の部隊、あんたはそれが誰だったか判っているでしょう?」すると、住職は眉をしかめながら、住職:「それは私が決定を下したわけではないのだ、今更言い訳するわけではないが、まだ上がいたのだ。でも派遣された人間だけは知っている。」イオン、サーヤは、住職の言葉一つ一つに記憶の重みを感じるようになった。人気blogランキングへ
2007.01.05
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それぞれの作業がある程度時間が経ち、皆は、一息つこうと集まって来た。ウイン:「あれ、彼はどうした?」サクがいなかった。イオン:「花に見取れてるんじゃないよなあ」サーヤ:「まさか」セータに何かを感じ、セータ:「俺が見てくる」イオン:「おい!」呼び止めるのも構わずセータは草原の方向へ駆けて行った。それを見ていた住職が、「いいから、見ていなさい」戸惑いながらも住職の言う通りにした一同。セータは、サクに何が起きているのかがわかりかけた。わかりかけたのは実は殆ど知っているはずなのに信じようとしていなかったからである。セータ:「そんなこと、あってたまるかあ!」あった方がいいと思っているはずだった。でも、知りたいとは思いたくなかった。でも放っておける情況ではなかった、今の場合は。ウインは、空気の分析の途中段階だったが、ウイン:「今時点でわかった事は、単純明快なことだ、綺麗だって事だ。公害もなく、水が澄んでいる、いまいる人間にも食生活の変化もあり、身体にも本来の体質となって清い反応を吸収しやすいようになった。こんなとこかな」サーヤ:「すごいな、ある意味。人間の変化は花のようになったってこと?」ウイン:「そういっても過言ではなさそうだ、本来の身体と言ったのは、人間はなんでも食べる。しかしその背景では様々な病気を引き起こすきっかけでもある。根本的に清い食物だけを捕っていれば、自然体となり、機械を使わなくても充分自分自身で回復できる。」サーヤ:「それって、免疫力って事?」ウイン:「その通り!」最近目まぐるしくウイルスやBSEとか、訳のわからない病気を受けて入院、そして、死に至るケースも増えてきた。これらも実は環境の変化、食生活の変化によって生物にも変化によって免疫が低下している所から、これらを受け入れやすい体質になっていると言われていた。セータがサクを見つけた時、頭を抱えているその姿はあきらかにチップに変化が起こっている事がわかった。浄化された空気になんらかの動きを見せている。「いいのかわるいのかが読めない、どのみち危険な状態みたいだ」セータは助けるかどうか迷っていた。あの事が頭から離れないから、許せない、それとも、浄化のきっかけになった恩人?サクは更に苦しみだし、セータがいることに気付いた。「何とかしてくれえ、頭が割れそうだあ」セータの気持ちはどちらに傾くのか?[2007年へ、To Be Continuation!]
2006.12.29
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同情されるのが嫌いだったサクは、いつの間にかこのメンバーに溶け込んでいた。リセット前、あんな最悪なことをしていたとは思えないほど、協力する気持ちが増していた。しかし、リセットしたことはそうそう許される事ではなかった。サクは後に引けなくなると突っ走るタイプ、いわば、こうみえても照れ隠しからくる行動だった。だから友人にも嫌われ、勘違いされやすい、哀れで損な人生を送ってきた。それをカバーするために、悪ぶる自分ができた。そんなサクに悪い友人が出来、暢気な平和に釘を刺す計画を企てた。考えるのはサクではなく、シンが担当、自分が頭が悪い事を悟ったシンは、影のチップの存在を知り、一攫千金と世界征服めいたことを思い描いた。サクにそのチップの話しをしたが、最初は全く興味がなかった。しかし、ある事件が起きた。サクには無口でよく似た弟が居た。その弟が大学でエリートで卒業し、一流を約束された。その後、普段無口だった弟が急に態度を変え、弟:「こんなクソみたいな兄はとことんクソだね」とはきたて、家を出た。信じられないサクは頭に血が上り、殺してやりたいと考えたが、踏み止まり、そこで影のチップの事を思い出した。チップを載せる事によって、弟を越える事を狙った。ところが、その影のチップとは、思考能力ゼロ、天国のような清らかさを擬似的に引き起こす麻薬的タイプの内訳は、通称・最悪のチップ、[キル]という名の、裏の世界で実験台になる人間を提供すれば大金が転がり込むというヤクザ御用達の金づるだったのだ。シンは自分に搭載するのをあきらめ、サクにその話を持ちかけた。ただ持ちかけても拒否されるのは目に見えていた。シンは多大なる嘘の仕様をサクに吹き込んで[キル]を搭載させた。その後、[キル]が出回りはじめ、世の中は平和そのもの、一見暢気な世界観だったが、政治や警察までも暢気な仕事ぶりで、いつのまにか、その間に裏の世界が大きく膨らんでいったのだ。サクが気が付いた時にはもう手遅れで、一度装着すると、新しいチップには更新出来ない、生涯タイプだった。悔しさと憎しみだけで今日まで生きてきたサクにとって、今の時間が、自分にとって、有意義に思えるようになった。「私も変われるのかなあ」皆が記憶を取り戻した時、サクの事に気付き、何らかの問題が出てくる可能性は十分にある。サクは、それを乗り越えて行く決心をしなければ、たちまち元の姿に戻されてしまうだろう。「ここで発揮しとかないと、こいつらに殺されるかもなあ」花を見つめながら、無知なチップは、何らかの反応を見せ始めていた。人気blogランキングへ
2006.12.28
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イオンは、住職に突然振られて、戸惑っていた。イオン:「その話しが何か?」イオンもまた断片的な記憶で来ていたので、全く心当たりがなかった。セータは、セータ:「まさか、それって!?」住職:「そう、セータ君、君はその話しを知っているようだね」住職は、イオンとサーヤに近付き、住職:「あの事件はとても大きな失敗をしていたのだよ、わかるかな」イオン:「白い光ってさ、あの最悪のリセットの事だよねえ、それがそもそもの失態なんじゃないの?」イオンは血筋であるせいか、リセットには詳しかったが、過去を思い出す力がまだなかった。住職は、「さすがの私も何がどうなって今日までに盛り返しができたかはわからないが、一つだけ言える事は、3人は皆やるべきことはやったという事だけだ」サーヤも、やはり、その部分がまだ把握されておらず、まだ時間がかかりそうだ。だが、住職は、事の重要さを知ってもらった方がいいと判断し、この光の成分分析と、さっきの話しは完結しなければならない事だと思っていた。サクはまわりに咲いている植物の採取、セータはイオンと共に寺院にある書物の探索、サーヤとウインは、空気中の化学分析を担当。少なくとも、サクには興味のない事だが、セータは花が好きだった。セータ:「俺が花やろうか?」セータがサクに気を使い、サクはそれを拒んだ。サク:「気を使ったり同情されるより花の方がましだあな、だって花は何も言わないからねえ」イオンが、「行くよ、セータ、君」よそよそしいイオンが嫌だったから代わってもらおうと思ったが、この組み合わせが一番記憶が戻るのが早いと考えた住職に、ウインが気付き、ウイン:「あなたはいったい、どこまで知っているのですか?」住職:「何も知らんよ、ただ、空気がそう教えてくれるのでな、ま、修業の成果という事で」ウインは、何か隠していると疑問を抱き、残りの記憶を全て戻さねばならないと焦りを見せたが、サーヤ:「先生、この空気、先生の気持ちが読めるみたいです。」ウイン:「読めるのか?」サーヤ:「何となくですけど、今先生、焦ってらっしゃる」まさに読まれているのは光の成分の効果なのか、顔に出ていたのか、この組み合わせに納得がいくと感じたウイン。一同はそれぞれの作業をこなして自ら記憶を早く戻そうという意欲的な態度に一丸となっていた。これが自然体か光の効果かは別としても、果たして住職は、修業のおかげで備わった素質の持ち主なのか、それとも、仙人なのか?人気blogランキングへ
2006.12.27
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記憶がないとはいえ、断片的には曖昧なところだが、2人を見ていたサーヤに、やっぱりみたことある喧嘩だった。あの光は何故記憶を消すまでに至らせるのか、チップ搭載には何故記憶が消えないのか、そして、一番聞きたかったのは、何故私の、いや、私達の記憶が部分消去され、それぞれの場所に移動させられたのか?そこへ、住職が帰ってきた。「何と言う奇跡か!」住職は驚いていた、それを見たサーヤは、サーヤ:「やはり、知っているんですね」住職:「ああ、知っているとも、そして、バラバラになった事もね」サーヤにも勘が戻ってきた。記憶が断片的にあれば、全てが繋がる事を知って、それぞれの勘を研ぎ澄ませた。住職:「あの光には重要な成分、浄化させる対象となるのは時間と空気。光を放った瞬間、浄化が始まり、少しでも余計な考えを持つ者は、その部分を含めた記憶を剥がしていく。一見恐ろしいが、実は画期的な成分なのですよ」住職は更に、あの光が出現する条件を話し始めた。ウインは、今実現に向けて研究している環境変換に使える可能性を信じて、耳を傾けた。住職:「あの光はあくまでもリセット、最悪を気に出現するものの類にはちがいないが、少しだけ違うことは、もうひとつのリセットが先に出現している時に、それを判断したうえで、この世に現れる。いわば、思考するリセットといえる。」サク:「何故そんなに詳しい?」サクが、疑い深く質問すると、住職:「私はあくまで神に仕える身、それゆえに、あの光は神のお告げとして、この寺は唱えて来ていた」ウイン:「という事は、初めてではないと?」住職:「私自身は初めてですが、代々伝われているこの寺社にある書物の中に[神のお告げ]として記されている、過去に3回」ウイン:「3回も?」数百年前から記されていることには、過去3回共、それなりに最悪な時期があったことになる。過去の記事には、飢饉に喘いだ農民が引き起こした最悪の討ち入り事件では、当時の将軍の手によって光る物体を発見し、躊躇なく押した瞬間、襲い掛かる農民が突然消えたとされ、全く違う場所に飛ばされ、そこで平和に暮らしたとしてあり、2回目は地震による被害で町を壊滅させた事件では、当時の政府によって光り輝く物体に触れた瞬間、殆どの町が修復されたとある。そして3回目は、独裁政治の下で住民が操られていた時、3人の洗脳者により洗脳力で政府を追い込んだまではよかったが、新たな洗脳者によって、全てが真っ白になったため、神のお告げは、人の操作ではなく、その白い光に取り巻かれて光を放つ形となった、そこまでで、文が終わっていた。サク:「3回目のは妙に詳しく書いてあるなあ、なんか聞いたことあるエピソードだ」サクがそうつぶやくと、住職は、「興味深いのは3回目の事件、なあ、イオン殿」人気blogランキングへ
2006.12.26
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2人はぎくしゃくしながらも、住職の帰りを待つ。そこに、サクもセータも同じ反応をした。「何か来る!」あきらかに住職の気配ではない戦闘能力をもつサクは構えると、目の前にセータが出て来て、セータ:「悪い奴ではない、おそらく」サク:「何だとぉ?」そこに現れたのはイオンとサーヤ、そして、ウインの3人だった。セータはいきなりチップに呼びかけた、「この3人は記憶が断片している、だから、俺達の事に気がついていないが、チップが反応してここに来た」セータはガックリしたが、こっちには記憶がある。だから必ず思い出させてやる、そう思った矢先、背後から、「今は止めとけ、混乱するだけだよ」サクが珍しくアドバイスした。サク:「どうも、君達はまさかこの私たちのチップが目当てでここに来たんですよねえ」すると、ウインが、ウイン:「まるで記憶がないが、おそらくリセット前には会っていたかもしれないんだ。でもその部分だけが切り取られているようだ、あんた達はきっと知ってるんだね」サク:「おそらく。だけど、こっちも定かとは言えないんで、今はそれについてはノーコメントで」サクがサクらしい言い回しで収めた。ウイン:「こちらは学校の教師をしているイオン、隣は私の助手であり教授のサーヤ、自分はウインだ」サーヤはともかく、センコーのイオンでさえ、セータの部分が吹っ飛んでいることに、セータは涙が出そうになった。あのカクテルリセットの本当の意味は何だったのか、改めて問われる、ただ世界を浄化して、余分な記憶が消えるような設定であるなら、セータはイオンにとっては余計な存在だったのか?想像していたセータに、サクは、サク:「ま、そういう事も考えられるわな」マイペースな言い方でセータに伝えた。ウイン:「ところで、わたしらがここに来たのは言うまでもないだろうが、記憶の完全復活と、あの光の成分の真実だ、たぶん、あんた達もそれに関係があると思っているが、どうかな?」ウインがきりだした。サク:「チップには記録されているかもしれない、だがあんたらにはまだ証明できない、いや、出来た時は、こうやっていられないかもしれないけど」すると、イオンが、イオン:「勿体振ってねぇだろうなあ」セータは、「センコー、相変わらず口わるいなあ」イオン:「なんだあ?知ったような事いうな」そこに、サーヤが「ほらあ、今はそれどころじゃないでしょ、お坊さんに会わなきゃ」皆、一度に静まりかえって、セータは吹き出した、涙を忘れて。人気blogランキングへ
2006.12.25
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吹っ切れたサーヤが元に戻ったが、肝心な記憶までは元に戻っていなかった。しかし、ウインにとってはかけがいのない助手であり、頭のいい教授でもある。サーヤの冴えた頭が回転を始めていた。早い回復ぶりだった。サーヤ:「寺院というのは、私でも感じ取れます、おそらくこの空間の源になっていたものが、拡散されているんです。」ウイン:「どういう事だい?」サーヤ:「つまり、この空間、清浄されている、問題点などないという事です」ウイン:「本当に?」サーヤ:「ええ、ここにある擬似な平和にとってはぎこちないというか、作られたものと自然体が融合が正常になされていない、つまり、化学変化しているという事です」サーヤが唱えたのは、おかしいのは、この世界とここにいる人間の方だという。膨大な自然環境が押し寄せてきた時の受け口が侵されていたということになる。この空間がその寺院と関係があるのであれば、そこにいた住職もまた、関係がないとは言い切れないだろう。コーヒーを飲みながらウインは、ウイン:「まずはお兄さんを誘い、皆で寺院を突き止める、そこで起きた事を住職に聞く、そして、例の光の件だ。この成分に隠された清浄の秘密がわかればきっとこの世界感を変えて浄化される方法がわかるはずだ」しかし、サーヤは、サーヤ:「そんなにうまくいけばいいけど」ウイン:「どういう事だ?」サーヤ:「一番問題なのは、分析しきれない時。肝心なところはチップを持つ能力が必要ね、とくにあの青年についているタイプ。」ウイン:「青年の事知ってるのか?」サーヤ:「まだよく記憶が整ってないけど、青年ともう1人、チップでしか生きられないのがいたような?」サーヤは、何度も記憶をほじくり出して、2人の共通点と存在を探すことにした。サクとセータは、チップに残されたデータをもとに、寺院の場所を突き止め、住職を探した。サクは当然初めて来たが、あの白いリセットの時、変化を感じた時に、寺院からの光の発祥だけは見抜いていた。セータはあちこちの部屋を探したが見当たらない。すると、サク:「外にいるんじゃないかあ」住職も修行の身、いないことも多い。サクとセータは仕方なく、庭園で待つことにした。その時、セータは、サクが一体何を考えているのか探りを入れようとした。何か企んでいるのでは、と疑ったが、サクの頭はやはり探れない、というか、からっぽだ。セータ:「何も考えてない、本当にめでたい奴だぜ」サクが振り向いて、サク:「疑ってんのかあ、残念だなあ」セータは、無知であるのに、詮索能力が優れているサクが羨ましかった。自分隠して人を読む、だれもが羨むこんなことがそのまま世界になるなんて。人気blogランキングへ
2006.12.22
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ウインはサーヤの家に向かい、イオンと共にある場所へ行こうとしていた。ある場所とは、記憶が断片的だが、3人で絞り出せば判ると判断した。あそこにいけば原点からその後の目差す道がわかるはずだ。サーヤの家に着いた、が、相変わらずポストには新聞が溜まっていた。ノックを5回たたくとウインである事がわかるようにしてあった。他の人間には関わりたくないからだった。ドアがゆっくりひらくと、そこには、クマができたまぶたをすっと見開いたサーヤが顔を覗かせた。ウイン:「これからお兄さんと私と3人で、ある場所へ行く。おそらく寺院だと想像するが、どうかな?」すると、サーヤは、サーヤ:「あの光は・・・・そこから放たれたの・・・・」それはただの幻覚とは思えない発言に、ウインは少しだが確信した。ウイン:「あとは、お兄さんだな」サクとセータも動き始めていた。セータの記憶にある寺院にいけば皆と会えるかもしれないと、サクにも話し出した。サク:「ま、私には関係ないことだけど、その寺院とやらは興味深いなあ、これでも信仰心強い方だし。」セータ:「よく言うよなあ、自分しか信じてないくせに」サクは他は一切聞かず、自分自身だけを強く信仰する、スルーな考えだった。スルーなのが災いしたのか、シンなど他の連中には逃げられているくらいだ。シン達が生存しているかどうかは不明らしい。しかし、このスルーな心が後に役に立つ事となるのだ。イオンはまだ授業中だった。ウインは今のイオンの性格を知っていた。ウイン:「あいつ、熱血って聞いてるからなあ、タイミング悪すぎだな、サーヤ、ちょっとお茶でも飲んでかないか?」サーヤは無口だが頷いた。ウイン:「思い出したけど、サーヤって確か、以前はよく喋ってたし、私のいうこと聞かなかったんじゃなかったっけ?でも今は素直だ、今のサーヤの方がかわいいじゃん」そう言われたサーヤは、頭に何かがこみ上がってきたものを感じて、我に帰ろうとし始めた。怒りという気持ちになり、ウインをじっと睨んだ。やがて重い口を開いて、サーヤ:「そう言われるのがとてもいやっ」ウイン:「ようやくフツウに喋ったな、これからが正念場だ」人は眠くなったり、失敗したりして黙り込んだり、閉じこもったりすることがあるが、怒らせると眠気が吹っ飛んだり、いじけていたことも忘れて反論したりする。これは火に油を注ぐようで逆効果なのだが、いい方向にいくこともある。怒らせるとうまくいくケースがよくあるのだ。サーヤは、一瞬に引きこもりから醒めた、というか、顔はまだ怒っていた。
2006.12.21
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環境を擬似的に変換する機能を上回る研究を続け、カクテル光線の成分を探し続ける。ウイン:「カクテル光線と寺院までは思い出すんだがなあ」何故記憶を欠落させてしまうのか、赤いリセットとはどのくらい違うのか、ウインの死闘は続く。ウインを捜す事に決めたセータは、サクにも協力を仰いだ。サク:「一時休戦だなあ」セータ:「あんたとやる気はないよ」サク:「なんでだ?怖いのか?」すると、セータは「怖いのなんのって。あんたは無知であること自体、怖いよ」サクは、喜怒哀楽さえも失っていたが、セータがあまりにも真剣な眼差しでサクと話しているのを感じて、無知なりにも理解していた。サク:「なんか私らしくないなあ」セータ:「ところで、俺を待っていたようにも思えたけど」サクは、リセットの前からセータと再会するような気配だけはしていたらしい。しかしそれが望んでいたことかどうかは定かではない。学校では、生徒よりも欠席率の多いイオンだったが、今はすごく真面目で通るほど熱血になっていた。しかし、妹の事を考えると、思い出したかのように瞬時に気を落としていた。イオン:「あの光が原因でサーヤは記憶と気力を失ったんだ、その時に守れなかった事がなにより悔しい。」イオンもまた、あいまいな記憶しか残されてはいなかった。しかし、リセットに関しては、¨いくつか¨把握していた。イオンの場合、断片的に記憶が残されて、寺院のことや住職の存在はなんとなく覚えていた。だが、肝心な生徒だったセータやサク、カクテルリセットの事だけは記憶が残っていなかった。ただイオンもまた、あの光、という所でしか言い出せなかったのだ。無機質な世界は、自由という言葉さえも思い付かないくらい低脳化していた。何も考えない自分になっといくことを成り行きに、サーヤは、部屋に閉じこもりながら、1つの事だけを考えていた。それが一体何をさせるというわけではなく、ただなんとなく思い、それだけで時間が経っていく。イオンとは似ている記憶だったが、リセットのショックが激しく、引きこもりになっていたのだ。そのせいで、無機質な空間に身を任せ気味なサーヤが心にある記憶から「あの光は何?」やはり光に関するものだった。2人は血の繋がりがあることから意志のリンクが可能だとはまだ気がついてはいなかったがお互いが静かに揺れる心から、やがて仲間を導く奇跡が起ころうとしている。人気blogランキングへ
2006.12.20
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環境を変えるには、空気と自然との間にある波長の周波数を変えて、人間の体に変化をもたらす。そして、広がっていけば変換成立する。しかしこれも弱点があり、すぐには広がらず、それを邪魔されれば打ち切られるほどの弱さだ。現在でも、今更な環境保護を唱えているが、おそらく手遅れだろう。自然界が、はいそうですかって、そう簡単にはいかない。年月をかけて築いた自然の恵みは、一瞬に壊され、今の世の中に変えてしまった人間達にはもはやもとどおりにする事は不可能なのだ。それと理屈は同じで、波長をようやく合わせようとしても、必ず障害が訪れるのだ。ウインは、やはりサーヤの存在が大きかった。しかし、今の医療ではすぐに復帰することは難しかった。きっかけか、奇跡でも起きない限りは。あの寺院でのリセットを覚えているのは、サクとセータだけ、他の仲間はその時の事だけは全く記憶にない。あのカクテル光線を放ったリセットには、どんな威力があったというのだろうか?清い心を持った者だけが悟る光、セータにはこの言葉が理解出来なかった。「チップを積んだ者が清いかどうかなんてわかりたくなかった、擬似な頭に清いもクソもあるか!」サクにも同じ考えを持っていたが、清い心と勘違いしている方が幸せな奴だと考えている。サクは強引な性格でやさしい目をするのはテレビを見ている時だけらしい。セータはサクの能力と自分の能力とはお互いに違う取り柄を持っていた。そのことを伝えたくて、また、逆に聞くこともあった。セータ:「あんたの狙いを聞こうか」サク:「なあに、たいしたことない、と言いたい所だけど、かなりやばいかなあ」セータ:「あんたにもやばいことなんてあるんだあ」サクは、あのカクテルリセットにはさすがに手をやいていたのだ。自分の気持ちそのままにリセットしたすぐさま、全く違うタイプの力によってリセットされては、サクもお手上げだった。セータは、ある決意をサクに告げた。セータ:「あまり言いたくはなかったけど、あんたのチップと俺のチップで何か出来ないかなあ」突然の発言にサクは動揺した。サク:「おまえ、何言ってるかわかってんのかあ?正気じゃあねえ私にお前とツルンだ所で、いいことないぞ、しかも、この世のためにはね」セータ:「じゃあ、あの世ならいいのかあ?」サク:「ナニイ?」セータは今をこの世とは思っていなかった、だからこの世界からあの世、もとの世界に戻す事が願いだったのだ。サクもまた、いまの世界では生きている心地もしていないようだ。セータ:「あの光に含まれている成分が解れば、うまくこの世界をコントロールできるかもしれないんだ」その発想は、ウインと全く同じだった。人気blogランキングへ
2006.12.19
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セータとサク、2人の共通点はチップ搭載、通信機能、予知能力など、極めて似ている構造だが、全く違う所は、セータのセキュリティ機能と解読能力、サクは無知、無防備、洗脳能力と、特別なものばかりだ。彼らによって世界が変わると言っても過言ではなかった。しかし、住職は何らかの方法により、彼らの行方を大方知っている。理由は、住職自身に1つだけ、特化した能力を持っていたのだ。住職にはチップなど付けてはいない、修業を積んで自らの力で人の心を読む事が可能だった。セータはセキュリティが強く、読みづらいとされていたが、セータが若い分、気持ちが表に出ていたために、住職の経験と詮索で、この世界のありさまを読んだのだ。セータなら出来る、いや、セータしかいない、と確信し、派遣する形をとったのだ。あともう1人、生身で重要な役割を果たす人物も予測していた。その者は、何らかの理由で再会することまで読んでいた。「心を極めてこそ、本当の心を読む、そうでない者はチップを利用して近付く、使う者次第で宝物となり、麻薬ともなる、様々な事に左右されない気持ちこそが極められるのだ」サクにもセータにも心を極める素質を持っているのだが、どう出るかは住職さえもわからない。おそらく2人とも全く違う素質で極まるだろう、そして本当に極めた者が本当の平和を築くだろう。若さではスタミナのあるセータに軍配が上がるが、最終的には経験が物をいうのだ。だからセータには助っ人が必要だった、チップに詳しく、知識が豊富で、リードできる者。イオンは、いつものように授業をしていた。しかし、活気のあった生徒達はここにはいない、学校全体が抜け殻のようになっていた。イオン自身もそれが普通のように振る舞っていた。まるで別人だった。一方、サーヤは研究所ではなく、自宅にいた。彼女は自宅謹慎という形で休暇をとっていたが、実際は研究に対する怯えからきた「引きこもり」のような状態であった。セータの苦労やリセットの恐怖感から逃げていたのだ。それでも平然とした空気がサクには心地よかったのだ。研究所では、荒れた状態のまま、何かに没頭している者がいた。この世界の空気を洗浄させる機能を研究していた。それは、かつて、ショウの時代に存在した、環境擬似変換機能を、更に改良した、本物の環境変換を可能とする機能だ。ある能力を使えば実現できるはずだが、その能力とは、必要な機能を備えたチップを搭載する人間の事だった。人気blogランキングへ
2006.12.18
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セータが来た場所、それは、セータが考えていた事実なら、間違えている、いや、これは書き換えられた、というしかなかった。セータを迎えていたのは、サクだった。住職が言っていたのはこんな運命なのか?悪夢としか思えないこの瞬間に、セータは、セータ:「どうしてこうなるんだあ!あんたが何でここにいるんだあ!」サク:「なあに、簡単なこと、お互いチップ同士だからねえ」セータ:「チップで俺の考えを塗り替えたというのか?」サクはニヤリとして、サク:「そういうところが気に入ってるんだよ、本当に冴えた勘してるよねぇ」サクによる政権に陥った世界は、誰一人、個性を出さない、何も考えない、ただ生きているだけの平和がそこにあった。反発も戦争も、犯罪もない、しかし、運動もなく、痛みも、悲しみも、笑いもなかった。サク:「これこそ、究極の平和でしょ、皆が求めていたのはまさに素直な世界だと思わない?」セータは、考えを塗り替えられたと悟ったが、1つでも思った節があるかもしれないという、自分に自信を失い始めた。楽になりたい、喧嘩が弱いから戦いたくない、弱い人を助ける勇気がない、よく考えればたくさん思い当たる事ばかりだった。セータ:「あんたの言うとおりかもな、でも、あまりにも極端だ、極端すぎる!」セータは、それ以上は発言出来なかった。何故に、人間は欲望のかたまりになったか?それは便利になっていく平和に訪れる別の世界には、極端でなければならない空間があったのだ。きっちりとした枠であれば、やっていい範囲、やってはいけない範囲が明確であり、余裕をもった平和を維持できるという考えだった。セータはこの世界を見て、自然に溶け込もうとしている自分を感じていた。セータ:「朝の通勤ラッシュがない、こんな朝があるんだあ」環境にも貢献しているし、時間がないという慌ただしさもない、10秒て食べる食材もなくなり、みんなが余裕の朝を迎えている。「素晴らしい、」セータがそう一瞬考えた瞬間だった。急に世界ぬ吸い込まれるように、サクの前から姿を消した。サク:「ようこそ、あんたはこの世界に受け入れられましたあ」サクの政権、というより、チップによる政権。これには1つだけ最大の弱点があった。そう、これは現実というより擬似的な要素が多かったのだ。それに気付いている者はただ1人、あの住職だった。だが、住職にはもちろん、チップなど搭載していないため、伝える手段もない。セータにその世界の事を話そうと思えば話せたはずだった。しかし、これには住職自身、1つの策でもあったのだ。人気blogランキングへ
2006.12.15
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イオン達がいなくなった。セータは、自分自身が清らかな精神と認めてはいない。セータ:「こんな作られた精神で何が清らかなんだ、チップを利用してまで生き延びたくない」それを聞いて住職は、「そうではない、作られた精神でも、あなたの気持ち次第では、いかなる精神になる、だから、いろんな事を学習すれば、それがあなた自身の精神となる。あなたがここに残った理由がヒントなのでは?」言われてみれば、確かにチップをつけてからは、日常が学習、イオン達とはくらべものにならないほどの知識を吸収していた、しかもまだ高校生であることから、セータ自身が適正を越えた能力を備えたのは事実だった。では、イオン達が遊んでいたからと言えばそうではなく、日常レベルでの学習の割合が少ない、つまり、ある域に達しているから、それ以上の事はしていなかった、となるが、住職から見た感覚では、そうではないと主張していた。セータ:「どういう事?」住職:「それはね、他に目的があって、宿命みたいなもの、あの方達の立場を考えればわかります」どこかにいる、ここにいるべきではない、だからここにはいない、という事は、学校にはイオン、研究所にはウインとサーヤがいるということか?じゃ、セータは高校生ではないのか?住職:「セータ君は特別な精神を持っていらっしゃる、多分もう、学校にいる意味が失くなったのではないでしょうか?」セータは、涙を浮かべてセータ:「そんなのやだよ、勉強以外だってあるじゃん!友達とか、部活とかさあ、いいんだよ、こんな能力必要ないじゃん!」住職:「じゃ、今思っている事をそのまま学習に置き換えればいいのではないでしょうか?」住職はそう言うと、軽く会釈して、供養の方のもとへ歩いて行った。セータは、皆に会いたい、その一心で精神統一した。チップが再び考えはじめた、セータの中で今新しい目的が出来た。その瞬間、あの光がまたセータを包みこみ、そして見えなくなった。供養に来た人はその瞬間を目撃し、それを神様のお告げと勘違いしたが、住職は放っていた。神様に見えようが、セータ君の気持ちが固まった証拠、それを見て神様と思った方にもいい影響を受けたでしょう、と。気を失ったセータは、光の中にいた。そこで待ち受けていた者がいた。「待っていたよ、セータ君。こうなるだろうと予測していたとおりになった、これしか方法はないんでねえ」人気blogランキングへ
2006.12.13
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昨日から光始めたという、その光は、あの住職がかなり気持ちを入れたに違いない、今までに見た事のない光。カクテル光線のようにいくつかの色を取り込んだかのような不思議な現象に、皆が心を奪われた。イオン:「暇がないんだがあ、見取れてしまうなあ」一体この光を放つ物体がリセットボタンなのだろうか?ウイン:「どうあがいても、いまはもう時間がない、あの光に飲まれる前に出現しているこんなタイミングはもうないだろう」サーヤ:「そうよ、この光がなんであれ、きっといい方向に導くよ」すると、住職は、「わたしは何だかわからないまま、ただ仏の身として今日まで供養していました、お役に立つのであれば、きっといい道が開けるはずです」神の域に来たという住職の話しで、一同は迷わず気持ちが一つになり、そして、頷いた。もう、サクの光が寺のすぐ近くに迫ってきていた、庭の木々の色が光を浴びて変色を始めた、そして、寺自体を飲み込もうとしていた。ON!寺の講堂の中心から、七色に光るものが、寺全体、そして外の光とぶつかり、やがてその光を飲み込んで行った。サクはこの変化に気付いた、だがサク自身にもそこまで自由が効かず、ただ怯えるしかなかった。しかし、七色の光の中でも大変な変化が起きていたのだ。一瞬で、サクの光を半日で消去し、しかも絶えず動いていた。寺の中では、衝撃のあまり、倒れていた一同、七色の光はやがて空気となり、見えなくなってきた。この世界の空気、風となった。最初に気がついたのはセータだ。目を開けた時、まわりが以前と変わったことに驚き、そしてそこには住職を除いては誰一人、知っている人はいなかった。人数が同じなのに、全く違う者達だった。セータは何故、自分だけここにいるのかが不思議だった。そこにいる者たちは、特別な思いを抱いた者ばかりで、この寺に祈願で訪れていた。セータは、不思議な気持ちになっていると、住職:「この者達はある特別な事を抱えた者達なんですよ」声を細めて語った。子供のいじめに気がつかなかった大人が、何故食い止められないのか?政治家や社長などが、責任者として選ばれし者が責任逃れして、大人の都合で自殺や犯罪などを見逃したり、見て見ぬ振りをする気持ちは、自分を守る事、自分がかわいいから、自分がよければいいと思っている人間が殆どだ。自分の子供を失って初めてその愚かさに気付く、それに対して、後悔や反省の気持ちと、世間に対しての怒りなど、心の底から実感した者達なのだ。セータは、清らかな心を持つ一人の大人として、ここに残っているのだ。セータ:「えっ、だとしたら、イオン達って?」」人気blogランキングへ
2006.12.12
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スタミナは十分持っているセータにとって、探索は軽い仕事だった。一番疲労するのは同じ能力をもつ者同士の会話だという。同レベルでは年齢と経験の面で力不足となるのだ。サーヤの記憶に、「確か、昔、偉い人のいる中に出現すると言われていた、でも、それが何色だったかは言われていないわ」イオンが思い出したように答えた。「それは赤だ。必ず主導権の持つ人間に判断させるというのがルールのようだ。他の色はその時の状況によって決定するようだ」主導権を握る立場にいる人間を捜すといっても、役所的な場所か、政治的な場所か、セータも苦労しながら広範囲で調査した。致命的なのは、役所があるのはサクのいる街の中心部にあり、確認ができない。もしかしたら役所内で点灯していたとしても光の範囲内にあり、不発かどうかも判明しない。苦しんだあげく、あたりは山が見えてきた。ちょっとした町外れでかなり田舎にきたような雰囲気に包まれ、まるで世界が変わったようである。光はなおも拡がっていた。セータに変化が起こった。イオン:「どうした?ツレナイ顔して」セータ:「見つけた」イオン:「何を?」セータ:「リセットだよ、リセット」イオン:「。。。」イオンは素直に喜びたかった、しかし、母体の色がわからない間は不安なため、今は自粛した。セータの指示に従って峠を登りながら蛇行する道は、たまに光との距離を縮めたりりする。その先にあったのは、山寺だった。サーヤ:「まだあったんだなあ、こんな寺」セータ:「周辺にもあるけど、反応したのはここからだよ」イオン:「何だか不安だが、もう迷いはない、何色だろうがなあ」時間がなかった。もうそこまで光が見えていた。もう、皆が気持ちを一つにした。寺を訪れ、住職を呼んだ。奥から落ち着いた赴きの住職が向かってきた。住職に、今の状況を説明した、すると、「ああ、わかっております」セータはすかさず、セータ:「このお寺で、何か変わったことはありませんか?」住職:「私も長年ここにいましたが、昨日でした、この建造物からあんなに光り輝く美しい物を授かるとは思いませんでした」まるで仏様からの大事な宝物だと信じて、仏像と並べてあるという。イオン:「一刻も争う事なんですが、その光を見せていただきたいのですが。」住職:「ああ、詳しい方がご覧になった方がいいでしょう、こちらです」長い廊下を通り、数々並ぶ仏像達。奥から2番目の部屋を案内してもらい、扉を開けてみると、[サァーっ]これは!人気blogランキングへ
2006.12.11
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2日目に入った。勢いを増す光りに対してただ逃げるだけの空しさの中、救えるチャンスも残されているが、その一瞬を見逃さない事、おそらく、光りが来る前に出現しなければならないリセットボタンだけが希望の光なのだ。ウインは、そのリセットボタンの色だけが不安だった。透明であればラッキー、緑でもおそらく大丈夫。一番まずいのが、赤いボタンだ。ウイン:「この際、何色でも無条件で押すかどうかだ、何が起ころうが、記憶が無くなっても、悲しまない事だ」気になるのは色だけではなかった。広がる光の中に埋まっていく人達が、新たに吹き込むリセットによって同時にリンクするのかどうかも問題点だった。ウイン:「全ての人間をカバーしなくては意味がない、それをなにより優先したい」車はどんどん離れて行く一方でリセットが出現する気配がない。セータはどこに行けば確率が高いか追求した。すると、[おまえが探してるのはここにあるぞ、セータ君]頭の中でサクの声が聞こえた。セータ:「どこだ、あんたのいる場所にまだあるのか?」サク:「ああ、あんたがたが一番欲しい色なんじゃあないか」サクのところにあるさっきの透明なリセットがまだ点灯していることを言っていた。すると、同時期に同じ色は出現しない特性があり、透明以外になることが決定的だった。一同はショックだったがすぐに頭を切り替えなければならない。再びセータは場所を探索した。赤いリセット。最悪にのみ出現する伝説のボタン。今が最悪でないというのなら、チャンスをもらっている間は赤は有り得ないと信じながら、さ迷い続けた。人は流行に流されやすい生き物。動物達は自分の本能で生活し身を守り、餌を食べる、生れつき備わっている知識でのみ生きている。しかし人間はどうか。生きていく上では必要のある知識は親から学ぶが、余計な事まで教養しがちであり、同じレールではない方向にしがちである。それがいい傾向であれば問題ないが、気がつかないで、見栄や金が邪魔をしたり、便利で楽な方ばかりに頼ったりする。すると親は本来の親ではなく、次元の違う人間を育成する機械となって、皆とは一風変わった子供を作り上げるのだ。それもいい形で仕上げるか、やりっぱなすかでは全く違う。生きる事の本来の在り方に導くのが、リセットの役割なのだ。人気blogランキングへ
2006.12.08
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サクが寝ている間は、イオン達もいくらか休まなければならない。車はあるが、燃料が持たないから、いつでも走れる状態にしなければならない。光りに入る前に、新たなるリセットが出現するかどうかはまだわかっていない。ウイン:「危険な賭けだが、誰かがやらなければ、イタチごっこは永遠に終わらない。まるで、独裁政治を行っているキムとかヒト見たいに、人の意見も何も無い、自分が世界かの如く、タチの悪いリセットなのだ。こんなイタチゴッコが続くのなら、いっそ、全て一気にリセットした方がいい、」ウインは心の中で思い始めた。しかし、セータがその心を汲み取り、セータ:「博士、あんたがそんなこと思っちゃだめでしょ、そんなことさえ感じない人達で一杯なんだから、感じるだけでも救いだよ」耳元でそう言ったセータに、ウイン:「そうだな、情けない、救わなければならない側なんだよね、今、救われてるんだねえ」セータのこの一言が、ウインの気持ちを正義感漲る博士の代表として、この先、立ち上がる事になる。翌朝、セータが目覚めて、「動き出したよ」と聞いて、皆がぱっちり目覚めた。イオン:「下手な時計より寝起きがいいやあ、どうだ、動きは?」セータは、冗談どころじゃない心境の中、早さを分析していた。彼は今、食事している、その間はスピードが遅い、でも、食後はどうなるかはまだわからない。一同は早めの行動に出る事にした。ウインはふと、妙な事を言った。「もしかすると、セータ君が分析するとこっちの場所が解るんじゃないだろうか?」サーヤも、今さっきそう感じていた。イオンは、イオン:「て事は、セータとサクはまだお互いにコンタクト出来るかもしれないなあ」まさにそういう事になる。しかも、セータのチップの場合、通信機能が優れており、学習能力や、セキュリティ性能からすれば、相手に潜り込んで、心を洗脳出来るはずだった。サーヤはそこまでの性能をセータにはまだ言っていなかった。まだ年齢が適正ではなかったからだ。だが、現に、セータは苦しみながらも、チップと向き合っている。もしかしたらうまくいくのかもしれない、サーヤにとって、まさに今、究極の迷いに悩まされた。セータ:「動きが早くなった」車で移動はしていたが、回避するだけで、サクの光りがどんどん大きくなる一方だ。もう、今が緊急を要する時だと判断したサーヤは、「セータ、今ここに買ってあるご飯、すぐに食べてスタミナ付けてくれる?」人気blogランキングへ
2006.12.07
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この世界にいる全ての人が、サクの思いにされていく、チップを持たずとも、チップを付けたような能力を持つ、無知な世界が浸透していく。イオン達は、もうどのくらい走ったかわからなかった。街に出て来た時、路上に止まっている車を盗み、更に遠くまで距離を稼いだ。イオン:「これだとイタチごっこだな、どこまで広がるのかわからないままなんて」ウイン:「何か食い止める方法ないのかなあ?」すると、セータが、「ねえ、あの光り、今止まったよ」イオン:「えっ、なんでだ!?」セータ:「何だか判らないけど、サクの意思が聞こえる、今、寝てるようだけど」それを聞いて、一同、驚きを隠せなかった。意思を持った世界にリセットする、押した人間が世界となる、それが、透明リセットの特性である、ウインはすかさず、ノートに記録した。ウイン:「あれがサクそのものだとすれば、まだ俺達にも食い止める手段がありそうだ」イオン:「ああ、寝ている間にボタンの場所に戻り、それを止める!?」ウイン:「いや、止めるんじゃあない、入れ代わると言った方が正しいよ」イオン:「じゃあ何、押すたびに世界が変わる、意思も、そんな馬鹿な!」ウイン:「まだわからないが、過去には、止める機能がない、というか、止めるまでに至ってないのだ、その前に世界が消えるんだから」リセット後に意思がある事自体、有り得ない事で、一瞬に消えるという赤いリセットよりは選択余地がありそうだ。しかし、ボタンを押す人間を選ばないととんでもない世界になるという事実は大きい課題となる。イオン達は、希望から絶望へ落ちていくように、肩を落としていた。正義感の強い、平和を愛する、純粋なヒーローがいたとすれば、ボタンを押して欲しいと願うかもしれない。しかし、個性があるから人間味のある、存在感のある世界があるのだ。いくらヒーローでも、みんな同じ意思、同じ行動など、本当の世界平和ではない。こんなリセットは、まったくもって、迷惑極まりない。ウインは、また違った角度で提案を出した。「眠りから覚めたらまた動き出すだろう、範囲が広くなれば、違った最悪は生まれないだろうか?」イオンには理解出来なかったが、サーヤが、「最悪な所にリセットが出現するって言いたいんでしょ?何色が出るかは、事件の種類で決まるから、どの範囲まで延びたらいいか、どこで起こるかが、カギね」しかし、サクの光りを浴びずに実行しなければ、意味がないのだ。人気blogランキングへ
2006.12.06
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音もなく、静かに現れたリセットボタンは、サクやセータにさえ気付かない、無機質で、気を持たない物質。サーヤが天井を見て、もう限界であることをアピールしていた。「イオン、今だ!」天井のダクトを突き破り、サクの頭上にクッションのように一撃した。「アゥ!」セータとサーヤを開放しながら、シンやメンバーからの攻撃をかわした。イオン:「サーヤ、後にあるやつ気付いてたか!?」サーヤ:「えっ?」何だかわかっていないサーヤに対して、「なんか後でむずむずする気配はしていたけど、何だかわからない」セータが答えた。透明なリセットボタンは、光りを放つように白くなり、誰もが見える状態になった。逃げ出そうとした時、そのボタンに手をかけた者がいた。イオン:「あっ、もう気付かれた、クソッ」サク:「なあに、頭直撃で、今考えが変わっちまったなあ、これからは即興、速攻で行こうってね」[ポチっ]誰も言わせる暇を与えず、もう本当になにもかも無くなればいいと考えたサクの判断で、今、リセットボタンが押された。みるみるうちにボタンから放っていた光りが、サクを包み込んだ。しかし、その光りは、サクを経由して、どんどん膨れ上がっていく。イオンは、「何だかわからんが、この光りがやばいかもしれない、皆、逃げ出そう!」イオン達はとにかく、ここから脱出することだけを考えた。しかし、光りは部屋の外に出て来て、まるで追い掛けてくるように、イオン達を攻めていた。ウイン:「イオン君、あれが透明リセットの能力かねぇ!?」イオン:「わからんが、今までにないタイプだと言うことしかわかりません!」生き物のように追い掛けて来る光り。走る最中にセータが、セータ:「あの光り、サクそのものだ!」サーヤ:「えっ?なにそれ!」サーヤは、過去に出現したケースと考えてまったく別物と見込んでいたが、触った者と関係した事はまだない。サーヤ:「つまり、サクの思いがリセットに乗り移ったって事?」セータは、「うまく言えないけど、触った者の意思にリセットされるって事かなあ」もしそれが事実なら、平和どころか、世界がサクの意思そのものとなるのか!?イオン:「それを食い止める方法は!?」ウイン:「とにかく今は逃げるしかない!」サーヤ:「でも、どこまで来るのかわからないわ」過去の記録は、一瞬でリセットされたが、今回の繁殖タイプは例がなく、止める方法も、回避する方法も、何も判らなかった。イオン:「走るしかないのか、ある意味、地獄だな」人気blogランキングへ
2006.12.05
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サク達が向かったのは、マシンのある部屋だった。サーヤとセータはとても危険なケースに巻き込まれていったのだ。気がついたらマシンに縛られていたサーヤとセータ。何をされるか分析するまでもなかった。セータ:「俺のチップを分析するんじゃなくて、そのまま強制コピーしようとしてるだろ!」サク:「ああ、そのほうが分析しなくても海賊版はできる、バグも生じるかもしんねえけど、どうせ無知になるなら関係ないでしょ。無知って本当に無敵だね」サーヤは、セータのタイプは何が起きても記憶は守られるが、セータのセキュリティ機能を無理矢理破壊して潜入するとどうなるかも知っていた。サクはここに来ても心理作戦を捨てていはいなかった、なぜなら、サク自身も2人の出方に賭けていたのだ。無理矢理実行して破壊するのはサク自身もしたくない行為だからだ。マシンは電源が入り、すでにセータのチップは拒否反応を見せ、頭痛がはじまっていた。セータは苦しんだが、顔には出さず、気持ちと一緒に燃焼させていた。サクは、シンを呼んで、マシンの簡易版を持ってくるよう指示した。サーヤはそれに気付き、サーヤ:「あなた、まさか!?」サク:「あぅん?判っちゃった?お姉さんもただ見てるだけじゃあ退屈でしょ。」コピーをサーヤにしようとしていた。セータのチップを強制コピーすると、コピー先にはバグを含む「色あせ」のような症状になる、つまり純粋ではなく、混じり気のある水で薄めたような状態では一部の機能は使えなくなる、その度合いで無知の範囲が決まるのだ。マシンを正確に使ってもその度合いは計れない、終わるまでわからないのだ。簡易マシンは普通のタイプより機能を省いた自動タイプ、主にコピーに使われるのが普通だ。それ以外の機能がないから、バグも未処理も検索してはくれない。サーヤは、このチップをコピーされても、自分にも皆にも全くメリットがない、強いても、チップを付けた感想が言えるくらいか。サーヤは覚悟できないまま、マシンに座り、サクの言いなりとなるのか?成す術も無く天井を仰いだサーヤ、すると、人が天井からサーヤを見ている。サーヤ:「何も考えちゃいけない、そのままそのまま」サクが、「拝んでる場合かあ!?ちゃんとしててよぉ」サーヤの座るマシンにスイッチが入った瞬間、セータの座るマシンの後に、透明な物質が姿を表していた。天井から見ていたイオンとウインは真っ先にそれに気付いた。人気blogランキングへ
2006.12.04
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サクは何故か焦っていた。突然、セータの気が消えたのだ。サク:「なんだ?どうした!」サーヤの思い付きはまさに絶妙な判断だった。セータの迷いと混乱、ストレスが一気に消えた。セータのチップが整理された、つまり、非常による感情が引き起こすチップ用の非常リセットなのだ。慌てるサクはセータのもとへ走りだし、サーヤに、サク:「テメェ、セータに何をしたぁ!?」サーヤ:「あなた、人の心を読むスペシャリストじゃなかったっけ?」サクは、2人の間に何があったのか、本当に読めないでいた。彼にも唯一気を感じない盲点があったのだ。セータ:「あんた、恋をしたことないんだな、寂しいねえ」セータも言い返した。逆に混乱を招いたサクは、逆上する寸前まで来たが、スゥっと深呼吸を始めた。シンも後から来て、シン:「やれやれ、危なかったぜ、"あれ"になったら俺達にも抑えられねぇ」サクは冷静さを取り戻し、サーヤに改めて質問した。サク:「私の知らない何かをしてセータの心を落ち着かせたことはいい、今度は私に同じ事をしてみてくれないかあ?」サーヤは、サーヤ:「同じ事をすれば、あなたもリセットできるわけね、いいわよ」セータ:「そんな、やけっぱちな、姉ちゃん!」サーヤはニヤリとしながら、サクに近づき、サクの目を見つめた。サーヤ:「こうよ」[バシッ]イオンとウインにも、その瞬間を感じ、何か暴動が起きていると予測した。イオン:「何だかこんなことしてる場合じゃなさそうだな」ウイン:「ああ、でもどうやって?」イオン:「そうだなあ」イオンは、考えながら天を仰いだ。その目線に、天井のフタのような物を見つけた。イオン:「博士、今行きますよ」サーヤはサクを思い切り頭を殴り、セータを連れて逃げ出そうとした、しかし、シン達の壁を突破することは不可能だった。サク:「あんた、本当にすごいよ、リセットされたよ、頭も体も、別人みたくなったあ!でも、すごく痛いんだけどさあ、お返ししなきゃあ」と言いながら近づき、サーヤの頬を殴り返した。サーヤは倒れ込み、セータの胸に気を失った。セータ:「何だよ、八つ当たりかよ!大人のくせに!」セータにも一発お見舞いし、違う場所へ移された。サク:「もう、セータの出方を待つのは辞めだ、自力で引っ張り出すまでだあな」人気blogランキングへ
2006.12.01
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セータ:「サクの奴、リセットの事知ってやがった、俺が知らない事を。」チップを持たないサーヤ、ウイン、そしてイオンには知っていたが、サクの策略にまだ気付いていない、しかし、リセットを知らないセータとサクが、チップを積み、監禁された状態で探られている身分に限界なセータ。自由に心を読み書きするサク。全てが交錯した中で、イオンは、イオン:「博士、もしや、リセットの事を言ってるんですかあ?」ウイン:「ああ、だが、これ以上は...」イオン:「わかってますよ、多くを語らなくても大丈夫、狙いはやはりあれだな」セータのチップの事で頭が一杯のサーヤを除いては、サクの考えを把握したようだ。サクも当然、それをキャッチしていた。サク:「たいした奴らだな、ここまで追い込まれてもチップの中身を打ち明けない、でも1つだけ、わかった事がある、こんな事で伝説を作り上げたと思うと、無性に腹が立ってくるね、なるほど、よく出来た話ですねぇ」この時、セータに衝撃が走った、セータ:「ウインとセンコーの会話をすっかり解析している、サクの奴、今さっき知ったんだ、リセットが出ていた事を!」サクの裏をかく狙いに対して、もう後がないと悟るセータ。もう限界だ!セータ:「サクの狙いはリセットだ、その準備に備えてチップを欲しがっているんだ」何を思ってもチップのない3人には伝わっていない。サク:「いいぞ、セータ君、その調子でぶちまけてもらえ」セータ:「何を言ってる、限界だけど、チップの中身はわからないさ」サク:「もう時間の問題だよ」イオンとウインは、サクの考えを知ったとしても更に苦しむことになる。そしてサーヤにも。サク:「わかりますか、セータ君、この沈黙の中を自由に心を捕える、それが私の平和理想なんですよ、こんな楽で緻密で、嘘のない世界が今まであったかい?」サクの発言はますます現実を帯びてきた。セータの心はかなり疲れきっていた、苦労するチップならいらない、そう思っていた。サク:「苦労するのはあんたらの仲間のせいでしょ、みんなでチップしてりゃあ、天国が待ってるんだ」仲間のせい?その時、セータの表情が険しくなり、ようやくサーヤが異変を感じた。サーヤ:「今、どこまで知ってるの?あいつ」セータ:「え?ああ、チップからリセットの関係かな」サーヤ:「早過ぎ、そこまで知ってるんだあ、こんなことしててもラチが開かないわね」サーヤは、セータが混乱していると察知し、顔をじっと見つめ、セータもサーヤを見ていた。そしていきなり、「チュッ!」「あ・・・」人気blogランキングへ
2006.11.30
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演説の後、動きがあった。やはり政府だ。サクは、ニヤリとしながら、政府の言い分を電話で聞いた。政府:「もし、その事が本当なら、我々はどうすればいいのか言って欲しい」サクは、「私の言った事が疑問ではないと言う事での質問ですか?」政府:「ああ、そうだ。我々はあんたの意見に反対する理由がない、正直言って、社会も政治も法律もなにもかも、まるで、職場を失った浮浪者のようにさ迷っているみたいだ。」サク:「それじゃあ、今のは私の言った事を認めるって事ですね、どうすればいいのかは、言うまでもないでしょ」政府は、一度沈黙したあと、政府:「わ、わかった。あれだな?」サク:「そう、あれですよ」サクと政府が手を結んだ瞬間、サクに全てを委ねる事となる。セータは、それをすぐ感じた。セータ:「姉ちゃん、サクが動き始めたよ」サーヤは、リセットを思わせるサクの発言に、「そう、動くとしたら、あなたのチップを獲得する事が急がれるわけね」セータもこれ以上は語れなかったが、どうしても理解できない事が、リセットという存在。イオン:「ウインからも確かに感じていた、それと関係があるのかな」違う部屋に移されたイオンは、隣にいるウインからチップの出来た本当の理由を聞いていた。イオン:「するってぇと、そのリセットと太い繋がりがあるんですね」ウイン:「そう、サーヤ君も知らないかもしれないが、それ以上は言えん」ウインは、自分達を別にしたのは、微妙に聞こえる隣り合わせの話の気が余計に強くなるのを恐れていた。サクは鋭い頭脳を持っている、しかし、こちらには彼の考えが全く読めないでいる。だが、その負担はみんなセータ君に行ってしまうのが、愚かな事だ。イオンの通う学校に、ある通知が届いた。校長は、それを見て、すぐに学校の閉鎖を決定した。学校はそこだけではなく、他校にも伝わり、殆どが閉鎖を決めた。校長が見た通知とは、「今の社会に満足している学校は直ちに閉鎖してください。[政府]」殆どの学校、いや、社会全体が、サクが思っていた平和の真実に感じていた事になるのだ。サクは、世界の規模まで今の平和に目覚めさせ、最後に実行する段階に入ろうとしていた。セータはもう限界に来ていた、「早く伝えなければ、本当にやろうとしているぞ」人気blogランキングへ
2006.11.29
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サクが言い出した事に対して、ウインは、ウイン:「判った、それで記憶が少しでも維持できたら、量産してもいいだろう」サク:「は、博士っそんな約束通用しませんよ!しかも自分でやるなんて!」サーヤは、恩師であるウインを救いたかった、しかし、今は何も出来なかった。イオンは少しずつ、過去の伝説を恨むようになった。イオン:「もっと役に立つ物残せよ、そんな恐怖なチップなんか、ちっともよくないじゃん」と思った時、サクは、サク:「あんたら、伝統を憎むなら、記憶なんていらないっしょ!?どうせ何もしてない世の中なんだし、これからやることは、無知な平和って事で」確かにイオンもそう考えた事もあった。サーヤにも考えたフシがある。何て役立たずな伝説かと。イオン達を施設にある部屋に連れていき、男女別に振り分けられた。といっても、サーヤとセータは同じ部屋にされた。セータのチップを分析させ、引き出させる為のサクの狙いがあった。イオンやウインも、今の平和を考えさせられるフシが浮き彫りとなり、かなり迷いが生じていた。サクは、裏の電波を介して、住民や政治家に対した演説を始めた。演説:「広い範囲で今の平和を愛する人達が存在する。しかし、満足しているかという次元ではなく、慣れ過ぎた意味で、平然と当たり前のように、ただ何となくといった漂いを感じる空気にさらされている。我々には、そんな中途半端な平和なら、いっそ何も無い、考えない、ただぎっしりとした平和があるだけでいいと断言する。もし、今のままだと、ますます機械や文化に支配されて、人間が人間でなくなる、だったら、純粋な平和に浄化してから、生き方を考えた方がいいだろう。この意見が間違っていると思う者はそれでいい...後でね、どうなるかは、それこそ自然に流されたと思えば仕方ないけどね」最後に意味深な言葉にして演説を終えた。各部屋に備えていた心理を計るレーダーで、乱れや考えに対する事に重点した物だ。それを監視しながらチップの内容を捜す。当然、あの演説で騒ぎが起こる可能性もあったが、まず相手にしないだろうと読んでいるサク、「いちおう、皆には言ったよ、ってしとかないとね、予告はしたんだから後はあいつらが動くかどうかなんてどうでもいいことなんだよね」サーヤは、サクの考えには隙がない、納得がいく内容にただ唖然としていた。セータも、同じ考えだったがチップのセーブ機能により、まだ意思を表にキャッチされるほどではない。ただ、セータ自身は心が揺るぎ始めていた。人気blogランキングへ
2006.11.28
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ストレスが溜まる程の心理との駆け引きが始まった。チップを使う者は自動的に受け入れ、制御しながら判断し、答える。チップをもたない者は発言と同時に気持ちを読まれないように別の事を考え、気持ちを散らす。こうした心の中の細部にわたり、考えていいこと、まずいことを使い分けなければならない状況の中、ウインとセータだけが知っているリセットボタンについては特に悟られてはならなかった。しかし、今時点が最悪になろうとしている事をイオンやサーヤにも伝えなければならない。心を読むスペシャリスト、サクの前に、かなりの困難を招くこととなる。チップを介してサクとセータが一騎打ちする場面もあり、サクにはどうすることのできない学習チップにどうにかメスを入れる隙を狙おうとしていた。セータも、読めない無知のチップの解析をしていた、しかしまだ高校生、知識と経験がもとから少ない為、何度も彼の動きを見て吸収するしかなかった。イオンは、イオン:「俺が残るからあとの3人は離せ」サク:「だからあ、それじゃあ意味ないじゃん、権利者が残っても、チップ造れないし、サーヤ博士だけでも造ってくれないじゃん!それとも先生がいいって言ってくれたら、サーヤ博士だけでいいんだけどなあ」イオン:「バカめ、そうはさせるかあ!サーヤはやはり1人には出来ない、ウイン博士には帰ってもらおうか!?」シン:「ダメに決まってんだろ!ウイン博士だけなんて、この事しゃべられてもねえ」シンが叫んだ。結局、誰1人帰れることはなかった。サク:「あなた達には、この見本をベースにチップを造ってもらう。」出したのは例のショウのタイプがベースのチップだ。それがあれば作ることは簡単な事だった。しかし、このタイプを敢えて造るという事がどういう事か、ウインもサーヤも判っていた、記憶を無くせって言っているようなものだという事を。ウイン:「仮に造るとしても、記憶を消す事はできない、せめて細工出来るタイプにしてくれないか?」ウインは頼み込むようにサクに伝えた。サク:「このチップは伝統があるとだけは知っていたけど、記憶を無くすとは知らなかった、いいじゃん、それでも」サーヤとイオンは、その瞬間、まずい質問だと感じた。サクがこのチップの特性を知らなかった事なら黙っておくべきだった。知らなくてもいい事がばれてしまったのだ。サクは、過去の記憶などどうでもよかった、これから始まる新しい平和があるから、これから記憶を作ればいいと考えているのだ。ウインは頭を抱えて、サクを説得した。だが、サク:「じゃあ、仕方ないから、造ったやつを試しに付けて、本当に記憶って無くなるのか確かめたいじゃん」人気blogランキングへ
2006.11.27
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レジスタンスの支部に捕らえられているセータにとって、リセットはまるで縁がなかった、だが、今、自分のチップを通して、研究所を離れた3人の思いの中に、リセットボタンが検索される。セータ:「ここでは感じるのも危険だ、サクにはまずいかもしれないな」チップの中にも入れられない独り言は、思うか思わないかギリギりの中で呟いた。しかし、これもチップの機能であり、危険には変わらない。セータとリセット、おそらく、長年なかった事、聞いたことがあるかどうかの世界崩壊説と関係があるのか、想定していた。リセットには種類があった、赤いボタンは1番重度で、あらゆる範囲がリセットされ、青いボタンは、記憶がかぎりがあるが残される場合があり、緑のボタンは、事件がおきた範囲内と区切りがあった。しかし、無色は初めての色。どんなことになるのか、ウインにも、誰にも想像できない。シン達は、支部に到着し、セータとは違う部屋を案内した。イオンは、「さっきと部屋が違うぞ、セータをどうしたあ!」すると、ドアを開けて、サクが入ってきた。サク:「シン、よくやったねぇ、報酬は後でね」シン:「ありがたいねぇ」イオンは、イオン:「なんだ、雇われてんのか」と、シンを見下して言った。シン:「何がおかしい?テメェに同情されたくねぇなあ、サク、今のは撤回していい!」ニヤリとしながら、サク:「構わないけど、無理してんねぇ、大分。」セータは、サクが出て行った隙に、別の部屋でイオン達が違う部屋にいるのを感じた、それと同時にリセットの思いも濃くなり、色が無色であることもわかった。セータ:「今あのボタンがあるという事がどういう事か、何かが最悪って事かあ、今のこの状況と関係あるのかあ?」セータはある疑問を感じた。平和の崩壊が、自分達の状況が最悪なのか?何か違う角度から変化が漂っているのをキャッチした。セータ:「何だかわからないけど、最悪だ!」このことは、やはりサクにも感じられ、セータの才能を見切った。サク:「セータのはすごい、俺のを越えているかも!」誘いに乗るかのように、サーヤは、自分の設計したチップがセータに組まれていることを改めて思ってしまった、その思いはすかさずキャッチされ、セータのチップを設計したのはサーヤと気がついたサク。サク:「これでお膳立ては出来た、あとは料理するだけ」人気blogランキングへ
2006.11.24
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研究所に危険が迫っていた。シンが待っていたのは、イオンがこの件で、研究内容の一部が絡んでいることを想像していた、あるいは計算済みだった。サクの策略は、イオンの動きが全てに到達することを予知していたのだ。サーヤ:「兄ちゃん、こいつ、なんなんだよ!」イオンは追い込まれた罠に引っ掛かり、自分自身がターゲットである事が博士とサーヤにもわかった。「知り合いなの?」サーヤの質問はシンを調子づかせた。シン:「そう、これからの世界を一緒に考えてる仲間」イオン:「あんたの仲間になった覚えはない、まるっきり逆の事だ!」サーヤは、思い出したかのように、セータの事が気になった。サーヤ:「セータに何かあったんでしょ!?」イオン:「ああ、今なあ、こいつらグループに捕まっている、チップを巡ってだ」サーヤ:「そういうことか、お兄ちゃんがここに来た事も、この男が来た理由もわかったわ」シンは、イオンと直接繋がりのある研究所を検索していたが、追い掛けている方向で特定した、そして同時にここでチップを開発していたことも。シン:「さてと、俺もそんなに暇じゃあないんでね、伝説のチップの設計図をいただこうか!」ウインは、ウイン:「ここにはない、データもだ、権利は我々じゃないからだ。」シン:「何言うかと思えば、寝言かあ、何もないわけないだろぉ」イオンはウインが困った様子を見て、イオン:「権利があるのは俺だ!」シン:「お前、血統だったんか、こりゃおもしれぇ!じゃあやっぱお前だな」イオン:「じゃあ、この2人は関係ないよなあ、開放しろ」シンは、そうくると思っていた、シン:「俺がタダここに来たと思うなよ!さっきまでやってた研究の続きは俺達の中でやるんだよ」サーヤは、シンが来る直前まで、やはり新たなチップの開発を研究していた。それをレジスタンスのために行う事がどれだけ屈辱だろうか。サーヤ:「とにかく、セータを救うのが先決、この際、連れてってもらいましょ!」ウイン:「サーヤ君、大丈夫なのか!?」サーヤ:「それしかないでしょ、伝統にキズつけるよりはまだましです。」ウインは伝統を重んじるサーヤを見て羨んだ。自分には立場を優先してきた事を振り返ってみると、こだわりや目標などなかった自分を惨めに思ったのだ。ウイン:「わかった、私も協力しよう、イオン君、いいよな?」シンは、ニヤリとしながら、シンの部下も入れて、3人を連行した。シン:「必要な道具は最低限持参しろよ、特殊な機械はないからなあ」サーヤはこの研究所で一番大事な物だけを残した、お守りのチップのかけらとセータ用の設計図だ。それと、ウインがひそかに気がついていた、「もしや。これって!?」研究室のある一画に具現されていた、かすかに無色透明なリセットボタンが。人気blogランキングへ
2006.11.22
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何も考えないチップ、有り得ないタイプだ。何も無い空間、変化のない空間、それこそ、サクの求めている平和がそこに詰まっていたのだ。それは、データではなく、本能といってもいい。外部からの妨害や読み込みが全く通用しない、保守型タイプなのだ。では何故、シンは発言し、行動していけるのか?セータ:「あんた、体当たりがコミュニケーションの代わりにしてるだろ!?」セータの質問に、サク:「そんなところかなあ、これでも口下手なんでね」セータはサクの本能は丸だしだが、本当に隠し事さえない、何も無い彼の頭脳に驚いた。サク:「これが本来の平和であり、世界なんですよ、セータ君も今一瞬でも憧れたでしょ」何も無い大容量のサクにとって、相手の心が鋭く読み込みやすかった。チップに学習機能がなくても、体で記憶し、逆にチップはそれに対して意思を通過し、表現しているようだが、チップをスルーする機能はどうやって生み出されたのか?イオンが研究所の前までたどり着いた。息が荒いイオンは、イオン:「こういう時、チップだと疲れないようにできるのかなあ」と泣き言を呟き、ゆっくりと研究所に入っていく。時間はもうすっかり夜だが、部屋の明かりが1つだけ付いていた。イオン:「まだがんばっているんかあ」少し安心して小走りに進んでいくと、何やら話声が聞こえてくる。博士とサーヤの他に誰かいるようだ。イオンはドアを開けようとした瞬間、[ガシャーン]フラスコが落ちる音がした。耳をすますと、博士とサーヤ以外の声が聞こえてきた。「あんなあ、ここに来る事位判ってんだあ!その間手を止めないで作業を続けてりゃあいいんだよぉ!」「だから、企業機密な実験だからあんたがいると出来ないんだよ」「部外者じゃあないんだぞ、俺も研究員だからよお!」「ふざけないで!出来るわけないでしょうが!もうここには来ないから出ていって!」サーヤも参戦した。しかし、その男の声は、全てを悟っているようなくちっぷりだった。あの声は・・・「シン!」この男がここに先回りとは皮肉なことだ。イオン:「遠回りが仇となっちまったあ」そういいながら、ガラッとドアを開けた。シン:「こらっ、不法侵入で訴えるぞっ、捕まる奴はいないけどなあ」人気blogランキングへ
2006.11.21
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伝説がうまく伝わっていなかった事が明るみになった時点で、この世界のほとんどが筋違えた伝説を語っている者達だ。下手をすると、真髄まで解っているのは親族、イオンとサーヤくらいか!?サク:「筋が通れば伝説なんだよ、歴史の1ページにすぎないって事だあな。さて、先生にはこれを付けて貰おうか」チップは種類によっては、今までの記憶がなくなる、しかも、サクが持っているのはショウのタイプ。完全記憶抹消し、チップの制御によって、能力維持し覚醒する、いわば、ドーピングのようなものだ。だから付けた瞬間、イオンの場合、持っている本能以外は全てリセットしてしまう。イオン:「取り違えた伝説のまま、記憶喪失になってたまるかあ」イオンはいきなり掴まれた腕を振りほどき、精一杯の足を上げてシンを蹴り上げ、部屋の外に出た。ひたすら走った。イオンには武道など経験がないし、趣味はパソコンだから、オタク寄りの性質。ここで逃げないと勝ち目なんてなかった。サク:「センコー、お前を置いて逃げちゃったぞ、教師としてだらしないなあ」セータは、イオンが逃げたのはあまりにも弱いのを知っていた、そして、イオンは、セータには何も危害が無いことも知っていた、セータには他人には動かせない学習チップが備えてあるからだ。イオン:「待ってろよ、セータ、もしかすると外部からの通信系を使われたらあのチップも解析されるかもしれない」イオンは急いで研究所へ向かっていた。イオン:「サーヤ、博士なら何かを知っているに違いない。しかし、あのチップはとこから流れてきたんだ?」シンがまだ後ろから追い掛けてくる。サーヤならセータのチップを防ぐ方法を知っているだろう、そう思いながらひたすら走った。イオン:「ここらへんで蒔いておかないと研究所に来てしまうなあ」イオンは途中で道を折れて細い路地に入った。しばらくして、シンが来なくなり、イオンは一安心した所で、改めて研究所の方向へ進んだ。セータは、自分のチップをどうにかして、レジスタンスに加担させようとしているのを悟っていた。シンを欺くには相当な努力と能力を使う事になる。サク:「さあて、セータ君、先生が来る前に、入学準備しよっかあ」セータは、必死でシンの心を読んだ、だが、[どういう事だ?こいつ、何も出てこない、何考えてんのかと思ったら、何も考えてないというのか!」サクは、「今、俺を読んだだろ?残念だったねえ、誰も俺がチップ付けてるなんて思わないよ、だって、考えないチップだもん」無知なレジスタンスの手によって、平和の連続が今、途絶えようとしていた。人気blogランキングへ
2006.11.20
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レジスタンスの目的が見えてきたイオンは、まずい事になる予感を感じた。イオン:「嫌な予感が当たりそうだ」サクは、イオンがここにいる意味を明かした。サク:「なあんだ、もう、いいカンしてんだから、シン!」すると、ドアからシンが誰かを連れてきた。「セータ!」イオンは自分がおびき寄せていた事に気付いた。セータ:「センコー、あんたには関係ない事に手を出すなよぉ!」イオン:「馬鹿野郎、知ってて知らんぷりする教師がどこにいるんだ?」話を挟むように、サクが、サク:「ここで授業されてもねぇ、ま、ほったらかし教師がほとんどの世の中であんたは珍しい部類かもねぇ」セータが来る事が判っていた事、セータへの目的、全ては、あの伝説が絡んでいた。しかし、レジスタンス、いや、サクにとっては、あの伝説は支配の一環としか見ていない。リセットを巧みに出現させ、チップを利用した電脳支配。取り違えた伝説に腹を立てたイオンは、イオン:「おまえ、細かい大事な部分のいい所だけカットしてんじゃん!都合いい伝説作りやがって!」サク:「ああ、取り違えた?そんなこと関係ないね、そう思った事をやろうかなあって思っていただけ、大体、過去の歴史だって、細かい部分はカットされ、[つじつま]だけで出来てんだよ、本当の歴史なんて、本当は誰も知らないのさ」イオンは、そんな考えを持つ人間がいたという事が悲しかった。歴史なんて、本当は全く違うものなのかもしれない、だが、過去の事はもう戻れないし、生きているわけもないから話も聞けない。ある程度ポイントをおさえながらも、細かい部分は想像に任せる、こんな歴史に真実を求めるか信じるかの考え方次第。サク:「さて、そろそろセータ君にはやってもらう事があるんだよ、学校よりためになるぞぉ」セータ:「センコーはどうするんだ?」サク:「ああー、イオン先生って言わなきゃダメじゃない、引き続き教師をやってもらうさ、安心だろぉ」イオン:「何企んでやがる?セータは俺が連れて帰る」サクは、ほくそ笑んで、サク:「だからぁ、ここでさ、もっとゆとり教育やってもらわなきゃあ、みんな馬鹿ばっかなんだよねぇ」イオン:「チップがおかしいだけだろ、おまえら、クソみたいなチップ付けていい気になんなよぉ!」すると、サクは、自慢げな顔で、ポケットから出した物をイオンに見せた。イオン:「こ、これは!」そこにあったのは、正真証明の正規のチップだ。しかも一番レアとも言われたショウタイプの攻撃型。サク:「なんでこれがあるかってぇ!?」人気blogランキングへ
2006.11.17
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イオンは、この間教室でセータが思い出したように立ち上がったのは、親父の反応と一致していたと確信する。サク:「レジスタンスを脱退する条件があった。それはチップを搭載後、余計な記憶を削って任務遂行するか、もう一つは...」言いかけた途中で、イオンはその全てがあきらかになった。イオン:「あそこにいる親父は親父じゃあない、別人だあ」サク:「でもなあ、自分自身が決めた事なんだなあ、ここをどうしても辞めたいって言うから、でもチップは嫌だって言うし、考えるのはあと1つしかないっしょ」イオン:「まさかあ、本当に記憶を元から抹消したって事かあ」サクは、ニンマリとして頷いた。サク:「でもねぇ、不思議な事に、女癖だけは根強かったんだよねぇ、消えなかった、どうやってもね、よっぽど長かったんだろね、女」哀れでしようがない親父、頑固系でいた時は、女がいつも近くに居たにせよ、だらし無さは露骨に出していなかったが、目の前の親父はまるで別人、ただのエロ親父だ。イオン:「もしかしたら、あれが本心なのかもしれないな」気がしっかりしている時は血迷った事は明るみに出さないが、我とはやはり表向きで行動する方がメリットはあるし、尊敬されたり好きになったりする。しかし、我を出すとはどの域までをいうのだろう?真髄から尊敬できる人間は果たして存在するのか?答えはNOだ。親父からプライドと恥と見栄を取っ払ったら、欲望だけが残った、まさにそれが本当の自分ではないかと思う。みんな本当は重いヨロイを纏っているようなものだ。イオンもまた、親父を見て、こうやっている自分はいったい本性がぞれだけ残るのか、恐ろしいと思った。レジスタンスのやることが半端ではないことを改めて感じたイオンは、イオン:「これから先、どうするつもりだあ?」サク:「まずは、あんたをどうするか、心配した方がいいんじゃない?」そうだ、イオンを捕らえた理由だ。レジスタンスが目指しているもの、それは、このダレた平和を抹消すること、つまり、[リセット]だ。イオンがあの伝説の血統であることは、情報通の間では、かなり有名な部類に入っていた。サク:「あんたの親っさん、あんときの話は凄まじかったよなあ、チップをうまく利用して、人々を動かし、街を支配し、社会を築いたんだもんねぇ」イオン:「ちょっとだけ話が違うが、いったい何が言いたい!?」サクは、イオンを睨み付けて、サク:「あんたの教え子に興味があってさあ」イオン:「何ぃ?関係ないだろ!」サク:「ないわけないじゃん、もう皆知ってるよぉ、セータ君の秘密」人気blogランキングへ
2006.11.16
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イオンは、かなりの時間、気を失っていた、ある部屋に閉じ込められていたが、狭くはなかった。情報が予め流されていた?イオンが来る事をしっかり把握され、待ち受けていたのだ。イオンは目が覚めたが、この事態を理解していなかった。ただ、親父を探していた事は確かだ。「何なんだ?イテェなあ、ったくぅ!」気がついた時は、殴られた部屋とは別の部屋だった、イオンを囲む人の数は5人、おそらくレジスタンスのメンバーだろう。「親父知らないか?ほら、HVCとかにいた支部かなんかの長だ」レジスタンスの代表が出て来て、代表:「教えてあげますよ、ま、今教えても無駄になっちゃうと思うけど」イオン:「何だとぉ?後の方がいいっていうのかあ?」代表:「ふん、ま、どっちでもいいけど、そんな記憶、覚えてたってしようがないし、あんたにはその記憶、引きずってても煩わしいでしょ」イオンには何を言っているのかさっぱりだった。しかし、その代表の目は深い、クールで、冷酷だった。そいつの名前は、先日リーダーに就任したばかりのサク、その側近としてシンがいた。サク:「じゃあ、教えてあげるからこっち来て」サクは薄笑いを浮かべながら、サク:「言っておくけど、一度見たら、もう後戻りできないよぉ」イオン:「どういう事だ!見ちゃまずいものを見るって事かあ?」サク:「冴えてんねぇ、勿体ない位に」イオン:「さっきから訳わかんねぇ事言いやがってぇ!」サク:「ふふふ、見たらそんな言葉使い出来なくなったりしてぇ?」イオン:「クソがあ」抵抗しようとしてサクに襲い掛かろうとしたが、すぐに取り押さえられた。サク:「あんたあ、それでも教師なん?んなら、教師らしくしてればいいもん」イオン:「おまえら、どこまで知ってんのかわかんないけど、調子にのってんなよ」サク:「ふふふ」イオンが連れてこられたのは、普通の事務室だった。そこには、1人のOLと、もう1人は、親父?イオン:「あ、親父!だよなあ?」サクが説明を始めた。「あんたの言っていた親父だ、まさしく。あの男は、レジスタンスにとっては重要なポジションにいた、だから支部も任せた、でも、金持ちのくせに金儲けの事ばかり頭が働き、レジスタンスの事となると、まったく切り替えってもんが出来ない、金があっての派閥、金のための勧誘、金、金、金だ。」イオン:「金に目が無いのは知ってる、そいつがここで何を!?」イオンが切り出した事に対して、勿体振っていたサクは少し機嫌が悪くなった。サク:「じゃあ、はっきり言うけど、あの親父から記憶を抹消した!」イオンは、目を見開いて、口に手を当てた。「あれが記憶喪失!?そうには見えないぜ!?」人気blogランキングへ
2006.11.15
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セータは、反応に驚いたわけではなく、ふっと消えた事が気になっていた。「まさかとは思うけど、あの親父がそんなことありっこないな」平穏な自分でいられる自分も怖いとも感じた事もあるが、今はその必要があると任務的に解釈した。イオンは親父の家に入り、まわりを確認した。しかし、家にいる気配はなかった。それにしても、いくら平和とはいえ、カギをかけないで家を出るということは、よほど急ぎの用があるのか、それとも...。「どこにいったんだあ?あと考えられるのは、レジスタンスの支部か、ん、待てよ、これは?」イオンはテーブルにあるゴミ同然の一枚の紙切れを見つけた。[チップ買収コピー搭載記憶抹消平和再起動]暗号のような内容が親父の筆跡で何度も繰り返して書いてある、それがあの組織のキーワードとすれば、イオンは、レジスタンスを初めて憎い存在だとわかった。「あいつら、ヤクザかあ?」下校時間になって、生徒がどんどん減って行く中、セータは心なしにイオンを待っていた。一方イオンは、レジスタンスの支部に向かっていた。そういえばここでバイトをしていたセータを思いだし、「考えてみれば、働きたいと言っていたセータを受け入れたって事だもんな、いい親父なんだよ、中身は」レジスタンス支部のドアを開けると、そこには1人見張り番と見られる男を発見し、奥へ入ろうとしたが、やはり簡単には行かなかった。見張り:「困るんだけど、勝手に入るの」イオン:「今ここで何が起こってるんだあ?あの親父はあ?」イオンは見張り人の襟を掴んだ。見張り人は見張り人らしく、余計な事はしゃべらない。見張り:「今打ち合わせ中だから、後にして!」イオン:「後にしろだあ?今が重要なんじゃんかあ!」イオンは見張り人を突き飛ばして奥に侵入した。見張り人はすぐに追い掛けながら中に連絡を入れた。「おいっ、今侵入者が接近している、気をつけろ!」一番奥の部屋に照明が付いていたので、迷わず突入した。その瞬間、[ボコっ]「イデっ!」スゥーっと気が抜けたように、イオンは気を失った。まだそこで何が起きていたかを確認する前に。学校では、もうすっかり夜になっても帰って来ないイオンを待つセータ。たった今、イオンらしき意識を感じ取った、そして、それを通じて、あのバイトした事務所の中を見た。そこにイオンが倒れ、その奥には、誰かが椅子に座っているのがわかった。しかし、一瞬で消えた。「オヤジ?・・・俺、ここまで見えて平気なの?どう考えたって普通じゃあない、に、人間じゃあない!」セータは自分が恐ろしくなって、感じる事を強制的に解除し、学校を飛び出した。人気blogランキングへ
2006.11.14
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HVC本部に動きがあった事はセータの親父の耳にも入っていた。親父も新しいリーダーには賛成だったが、チップ搭載までは納得出来なかったため、脱退を求めた。「どうしてもというのなら俺は独立する、俺の手で平和をいたぶってやるよ」しかし、レジスタンスの記憶があるために、外部に漏れる恐れがあるので、そのままの状態で脱退させるわけにはいかなかった。親父はその理由も聞かず、ただ辞めたい一心でメンバーを説得した。メンバーは、「いいんですね、このまま辞めても?」今の精神状態では冷静にはなれず、もう、1人になりたいモードでメンバーに突っ掛かる。「どうでもいい、レジスタンスの事なんて俺の方まで情報なんかきとらん、ただのコマだったんだからなあ」半分くらいのうわさでコマだと気付いていた親父にはもうレジスタンスにいる意味がないと思っていた。平和をいじる気持ちはレジスタンス以上に持っていたはずなのに、知らないうちに平和な暇潰しで金儲けに走って今では平和いじりを満喫していた。現状の平和を利用した大金を動かす事が日課となった親父の記憶には、幼きセータの思い出が奥深く眠っていた。チップなしで記憶を消すと言うことは、完全な記憶喪失になるということだ。つまり、脱退は記憶を消す事を意味するのだ。「このまま記憶がなくなった方がかえって平和なのかもしれんなあ」親父は、メンバーを困惑させるような妙な独り言を吐いた。「じゃあ、早いとこやってくれ!」セータは自分の父親がどうなっているのかわかっていない、しかし、授業中、急に何かに反応して、立ち上がった。イオン:「おーい、まだ指してないぞぉ」生徒達もクスクス笑いながらセータを見た、でも、「何かわかったんじゃない?いつもと反応が違うもの」生徒の1人が言った。イオン:「なるほどな、なあ、何かわかったのか?」するとセータは、いきなり黒板の問題を見て、解答し始めた。イオン:「なんだ、正解。がんばったな、セータ。でも隠すなよ」セータ:「わかってるよ、センコーにはカナワネェなあ」生徒達にも内容がわからなくとも、反応には皆が気付いた、それをみんなで気を使った配慮で接している。イオン:「俺にだって反応したことはわかったが、生徒達がこれほど大人だったとはねぇ」ほんの休み時間で、セータは反応した内容を話した。セータ:「なんかね、親父かどうかは解らないけど、ふっと消えたんだよね、さっき問題を答えた時、我に帰るようだった。」イオンは、親父の身に何かがあったと思った。イオン:「セータはここで普通に勉強していろ、俺が確認してみるから」人気blogランキングへ
2006.11.13
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親父のネタ騒動は時間が解決し、事件としてのレベルに達していないと見られ、再び平和の渦に消えかけていた。レジスタンスの行動が慎重すぎたのか、計画性のなさで、内部でちょっとした争いが起きた。リーダーだった男が解雇され、新しいリーダーが選出された。そのリーダーの名前は、サク。伝説に詳しく、チップを搭載した学歴不詳だが、仕事をもらえば先を読み、敏速で気が早く、普通の2倍をこなせると言われた好青年だ。一方、降板された男は、家庭優先なアットホームタイプなため、温厚で大人しい性格、名前はシンという。今までリーダーであった理由は、平和な世の中に通じるための人柄で、表向きには人当たりのいい方が接近しやすく、騙し易い性質があった。しかし、性格までいい人柄だったので、人を騙すにはもう1人巧みな仲間をつねに必要としていた。シンは、口下手だったのだ。計画に温厚など必要ない、イチイチもう1人つけるのは問題あるとの意見で、リーダーから外す事を決めたようだ。シンは、自分が情けないとは思わなかった、家族を重んじる事でホッとしていたが、リーダー解雇により、自分の報酬が減ることも事実として認めなければならなかった。シン:「生活費自体は減らせないから、どこかで節約しないとなあ」サクは早速温存していた計画を説明した。「少なくともチップの存在をアピールし直す必要があります。私のチップを利用し、コピーしたものをここにいる全ての仲間たちに付けてほしいのです、そうすれば誰でもリーダー格な動きが実行できるはずです」聞いていた仲間たちはびっくりしたが、今の自分を変えたい人が集まっていたためにすぐに賛成100パーセントの一致だった。全員で20名、量産タイプなので、細工されたレジスタンスにあるマシンなら素早くコピー可能だった。即日にチップ搭載にかかり、その日のうちに全員が搭載された、1人を除いては。マシンに座った瞬間、睡眠状態になるが、この日に眠れない薬を服用していたシンは、コピーのために搭載をかすった程度でスルーで通過した。チップを搭載した瞬間にどうなるかを把握していたのだ。サクが搭載しているのは、一昔の中古品として手に渡ってきたものだったのだ。「あの手は最終バージョンとは違い、昔聞いたことのあるタイプの海賊版だ、むやみに搭載すると記憶がなくなるんだ、あいつ、それを覚悟で皆に伝えたのだろうか?」新たなリーダー、サクの内部での陰謀は、後に恐ろしい形で動き出した。人気blogランキングへ
2006.11.10
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少なくとも、学校関係に情報を提供している者を追求しなければならない。イオンにわかるのは、親父の事。証拠はないが、前科もあり、充分考えられる。しかし、それはいかにもわかりやすい。そんなわかりやすいわけがない、きっと他の誰かが知ってたんだ、とイオンは思った。さっきは白を切ったが、間違いなんかではないから、すぐに捜査に来るかもしれない。「セータを守るにはここにいるのは危険だが、授業に出席しないのも怪しまれる。」生徒の一人が、生徒A:「なんか先生訳ありって感じだけど、そんなに俺達が信用できないかあ?」イオン:「ど、どういう事だ?」もう一人の生徒が、生徒B:「だから鈍いな、何があってもセータも先生も守るんだってな」イオン:「お前ら、何の事かもわからないのにかあ?」生徒A:「ああそうだよ、聞いてびっくりする内容かもしれないけどさあ、でもそれでもいいじゃん!」イオンは感動して涙が込み上げてきた、イオン:「みんな、ありがとう、訳あっていまはまだ説明出来ないけど、言う時が来たら必ず打ち明けるから。」生徒達は、拍手して、団結心を固めた。セータも、「みんな、悪いな。本当に...」一番泣きたいのはむしろ、セータの方だ。自分が正気なうちなら、自分の口で気持ちを今、伝えたかったからだ。イオン:「信用していないわけではないが、今はまだだ。でも、俺もみんなを信じるさ、わかってる」クラスの一体感を改めて感じたイオンは、みんなから安心をもらった。そして、セータはみんなから、勇気をもらった。この先、イオンとセータのコンビが、これから起こる崩れかかった平和とチップを巡る騒動の中を進んでいく事になる。イオンは情報提供者の追求を中心にしながら、セータをバックアップし、セータは、チップを育成、自分のキープする事を専念する。クラス全体の目標は平常心と全員卒業だ。この方針をサーヤやウインにも伝え、協力することを決めた。問題なのが、セータのフォローの対応と、学校関係の機関が動き出す事。セータの親父の動きを挙げているが、皆の気がつかない所でひそかに起動しているレジスタンスの行動が、チップを巡るリセットへの道を歩みだそうとしているのだ。人気blogランキングへ
2006.11.09
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