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ケータイ見ながらノロノロと歩く奴は許せない。自分の世界観を公共の場所に持ち込むのは、モラルに反するはず。ホームでの事故が多発しているが、どれも客の都合のようだ。かの遅延王者、JR中央線に世話になってる…というか、世話されてる感じだが、あまりにも多過ぎる乗客による遅延。中には、車両点検とか、故障なんてのもたまにはあるが、あまりにも多いのが、気分が悪い客の救助だ。通勤特快の目的を理解しているのだろうか?少ない乗り換えで少しでも早く目的地に着くための特別な車両のはずだ。そんな車両に、気分が悪いと悟る事が出来ずに、或は、調子が悪いと感じても急いでいるから無理してでも乗ってくる人もいるようだが、その人一人の救助だけで、他の乗客はみんな道連れ、最低10分~20分は遅延する。しかも、停車しないはずの駅に緊急停車したり、酷い時はメインドアを開けてしまう事もあり、乗れないはずの客が、ここぞと無理矢理乗り込んでくる始末。結局は、個人個人のモラル次第という事がすごく重要なのだが、電車に限らず、世間的にみて、そのモラルのない一部の人間によって全体の致命傷を産んでいるようだ。「その一部のモラルなき人間とやらを、一斉リセット!!。」遅延アナウンスが流れるたびに聞こえる、乗客の溜め息は、怒りを越えた、諦めという、心の底から気持ちがわかる。「またか~…」ホーム転落死傷事故急増 過去最悪のペースhttp://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1836090&media_id=88
2011.12.06
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★レビューを書くとさらに100円引き!★...
2011.11.08
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会社に置いてある、毎日の朝食。この価格で食べ応えあり、しょっぱくて甘いピーナッツクリームがクセになる! URC マジックフレーク ピーナッツ 98円
2011.06.03
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Youは俺にとってたった1人のFavorite送る言葉に偽りは無いよねぇ?出来る事ならそばに居たいよでもあなたはそぅ友達の恋人やがて訪れたり裏切り枯れるほど君涙流し壊れそうな君をただ支えることしか出来なくて胸が苦しくて気付けばいつからか曖昧な日々徐々にYouに溺れてくMe笑ってよ ねぇ?For meきっとかなわない思いでも変わらないAnytime!いつまでも!いつまでも!もぅ涙は見たくないよいつか2人の朝が何気ないと思える時笑顔だったらいいね触れたい 一番遠くて近い君へPleaseこっち向いてよ ねぇ!もう一度Feel me mySweetyいつまでも変わらずにそぅStay with me君の事を抱きしめ何度も温もり感じたいMorningI don'tlie All day all night38℃忘れられないよもう寝ても覚めても君のことが頭から離れないの君とはじめての出会いは1999〜今までの思い出のFileそう 頭整理整頓で思い出す君は俺のBest FrindにFall'n 何かある度に相談でPlease! Please!でMissもSuccessも 報告します!話す度あるがままをさらけ出す君に対し彼は邪で浅はかな行為君に隠れて繰り返す日々はたかりゃ見りゃまるでツギハギの様に俺に言わせりゃもうこれ以上無意味!!糸がほつれ崩れ去る前に俺がここから君を連れ出して今までの出来事巻き戻し昨日の事かの様に思い出し全部知ってるよ君の温もり〜涙の理由までもねYeah抑えきれず気持ち伝えたけど君離れたOh my Baby&Memories忘れられない物!この思い!!君は素晴らしい女性だ人へのやさしさ 心は強くたまに見せる弱さは格別恋は届かないほど強くなり生きる力に変えてくれる僕は君を待ちつづける悩んだって何もつかめないよ!やさしく包む愛このメロディーで!!Pleaseこっち向いてよ ねぇ!もう一度Feel me mySweetyいつまでも変わらずにそぅStay with me君の事を抱きしめ何度も温もり感じたいMorningI don'tlie All day all night38℃忘れられないよ何度も君との幸せ描いて何気ない笑顔逆に切なくて気持ち溢れてまた求めてねぇ Baby?届けたいよMelodyただただ君の幸せを願う!これからのために…「Baby No more cry!」そう2人ただ素直に感じ合える事音と共に朝が来て今日が始まるいつまでも これからもずっと忘れないMemorier&Happinesr君を思うたびに不安で記憶たどり 探し気付くよ!「あなたの優しさと抱きしめた温もりが38℃」だって事!Pleaseこっち向いてよ ねぇ!もう一度Feel me mySweetyいつまでも変わらずにそぅStay with me君の事を抱きしめ何度も温もり感じたいMorningI don'tlie All day all night38℃忘れられないよ
2010.06.14
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新生活の瞬間が近づき、新社会人たちがまたこの世に誕生する。もう社会人の長い人達も、それにあやかるように、新鮮さを取り戻すために頑張る。そんな両者に共通する家電は、今を映し出すアイテム。リアルに表現され、そして自らも今を生きる糧となる道具。自分にあったもの、無かったものを表現し、吸収できるもの・・・。デジタル家電の中でも、アナログと共有できる家電製品は数少ない。デジタル一眼レフカメラと、かつての一眼レフ用レンズとのコラボレーション。マイクロフォーサーズ技術で、軽量コンパクトを計ったデジイチのスタイルは、旧タイプレンズとの共存で、進化ともいえる後退。これは、往年の社会人がかつての息を吹き返し、新社会人には新鮮さを与えるいい道具ではないかと思う。
2010.03.25
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かつては「ほたるの光」、「仰げば尊し」など、往年の歌が卒業を飾る定番だった。しかし、最近、唱歌の変革と連動するかのように、ポピュラーソングからも次々と卒業ソングが誕生し、学舎で歌われることが多くなった。その中で、心の底から涙ぐむ楽曲は一体どれだけあるのか?映画のように、ドラマのように、楽曲を効果的に扱って涙するシーンがあり、その効果は、人の心の中にある「自分」という人物を正直にする。ポピュラーもいいけど、それよりも唱歌は、歌詞や楽曲そのものが、人の心を揺さぶる"何か"を捕らえる力があるように思う。見ているだけで、聞こえるだけで、イントロだけで、目頭が熱くなるのは自分だけだろうか。遙かな空の 果てまでも 君は飛び立つ限りなく青い 空に心ふるわせ自由をかける鳥よ 振り返ることもせず勇気を翼にこめて 希望の風に乗り・・・今 別れの時 飛び立とう 未来信じてはずむ 若い 力信じて. この広い 大空に 「旅立ちの日に」
2010.03.25
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研ぎ澄まされた性格。最速で曲がった事が嫌い。諦めの悪いハッカー少年。あわてん坊だがお人好し。おてんばだが、魅力的。成功も、後悔もしまくりの少女。正反対だけど、どれをとっても人一倍。一人の少年と一人の少女が、一つの人生をたどるのに、倍速と低速2つの違う時間をかけた物語。-----------------------------------------------------------------------リョウは、計り知れない早さで、相手のサーバーに潜り込むスーパーハッカー。短い時間の中、細いセキュリティの管を駆け抜ける、失敗という文字すらない世界で、依頼された任務を熟していく。依頼主は、警察だったり、犯罪者だったり。彼は、家族がいない。独りぼっちなんだが、孤独を家族と思ってる。チッポケに見える世界なんだが、彼は広いと言うんだ。今日もまた、血管のように細く、長い場所を、生き物のように探り走るハッカー。まるで、1年でも1日、いやいや、一月でも1秒という中にいる、人一倍の長さを誇る人生と思うんだが。警察からも、犯罪者からも認められた公認ハッカーとはいえ、リョウは、ある満足と、ある疑問との葛藤に満ち溢れていたんだな。片方では、犯罪者を追い、片方では犯罪を助けるという、狭間の舞台に居るからだろうな。わかっちゃいるのに、こんな風に生きる事しか出来ないでいる。ただ、彼は最速を求めたいだけなんだな。
2009.05.19
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全てが現実となった現代社会。バーチャルもリアルもない、一つの世界。その世界はいったいどうやって作られたのか?最初はまったく別物だった。家庭があり、会社がある。自由があり、束縛もある。 断固世代と新時代の交流を持つ家庭で、一つの派閥が生まれようとしていた。それはある意味、"革命"とも呼ばれる時代の過程。バーチャルを知らない世代が立ち向かうのは、知らないバーチャル世界なのだ。
2008.10.23
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「誰でもよかった」そんな言葉が、裏流行語として飛び交う時代。団塊世代とはまったく違う、同じ場所で違う世界を作り出した若者世代。まったく意味の無いその言葉をひも解いて行くと、意外な事がわかってくる。生きる事や死ぬ事の意味、それをどういう感情で持っているのか。団塊を生きた一人の男は、ゲームを現実としたこの時代を修復するために立ち上がろうとしている。リセットするために。近日新章連載予定。
2008.09.09
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そこにいたのは、まるで過去からやってきた若き男。あの蠍組で若き涌井の中にいた、姿を見せる事のなかったMだ。仁美は、異次元で見たMを比較したがどう考えても若い。仁美:「し、信じられない、けど、面影はまさにあの、M、よねぇ?!」M:「なんだい、僕を見ているのか、なんかわからないけど、やはり僕は外にいるようだね」自分でもわかっていないこの状況に、仁美は理由はどうであれ、今目の前にMがいる事実はかわらなかった。Mは、普通の男性として、異次元のMと融合した。もうキレッパシではなく、100パーセントで仁美と共に愛を育むのだ。これが、Xによる最高で最後のパワーであり、行き届いた気持ちがこの2人にまでたどり着いたのだ。もちろん、この事がXの技だとは、ずっと後でわかることになる。Xの伝説として。やがて、涌井は新しい家族が出来、仁美はMと共に人生を歩み出した。さて、彩香は?卒業後も憧れだった音楽大学に入学しながらも、OBである弘美達がいるクレープ屋にわざわざ通い続けた。異次元の派遣としてMの裏方的存在だったiは、Xの効力が届いたのか、強く思いこがれた彩香達の母校である高校の教師となった。-----------------------------------------------------------------------------------------人はこう説明するだろう。「自分自身をリセットすれば叶う」と。その意味は、自らの体は朽ち果てても、心だけは必要な所へ行き渡る。そう、自分自身の体が無くなっても、思いさえ込めていれば、助けたい者、幸せにしたい者の心とリンクするというのだ。リセットしたい気持ちが自分自身にあるのなら、それでもいい。生まれ変わる気持ちで生きていけばよいのだ。世間よりも、環境よりも、自分自身をリセットする方が重要だ。人生がこううまくいくにはやはり、裏では犠牲になったり、戦いに敗れたりする人生が必ずある。そういう構成が何故出来上がるのか?全体が幸せになることはいけない事なのか?霊となって、見守っているとか言うが、それは、そう思いたい、そう信じたいという、自己暗示に過ぎないのではないか?RESET PART III---Through [THE END]
2007.09.06
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涌井は、慌てずゆっくりクレープ屋に近付く。すると、いきなり子供が飛び出してきた。びっくりした涌井は、子供をじっと見つめていた。子供も涌井を見ていた。そして、再び店の奥に入って行った時、子供:「おじいちゃんが来たよ!」涌井:[…!]いきなり子供に理解されているのかと思ったが、弘美:「やっと帰って来た、お帰りなさい、おじいちゃん10年後の弘美を見て涌井は、幸せ一杯でいてくれた事が嬉しかった。店主も現れ、店主:「ようこそ、お待ちしてましたよ」涌井:「この子がいきなりおじいちゃんって言ったのがびっくりしたけど」弘美:「歳を召した人を見かけたら、おじいちゃん来たよって教えてねって言ってたからね」涌井:「と、歳を?こいつ、年寄り扱いすんのか」笑顔をこぼしながら、涌井は人生最高の幸せを手に入れた。Xの力は、ペナルティーの力を利用して、更に拡散されていた。-------------------------------------------------------------------------------------彩香は、学校が終わり、帰ろうとした矢先、田中先生に呼び出され、田中先生:「放課後、追試を受けてもらうこと、忘れてないだろうな」すっかり忘れていた彩香は、彩香:「見逃してくれるって言ってたじゃん」iは、彩香の学力サポートが行き届かず、四苦八苦していた。i:[…なぜか、この職業、同姓はイマイチなんだよなあ…]iにXからの隠れた贈り物があった。異次元の任務の解除と同時に、現代の子供のサポートにあたる任務、というより、i本人が好きでやっていた。その成果によっては、この現代の人間として具現することが約束されていたのだ。そして、Mは…。仁美にとってかけがえのないMはカケラとなっていた。だが、ここに最大のサプライズが待っていた。Xは自分自身を全て現代に継承する者に力を分散していたのだ。特に、若きMを見たXに衝撃が走ったのは言うまでもない。その感動の強さはそのまま反映された。仁美は思いきり部活動をエンジョイしている。そんな仁美のよりどころとして、カケラでしか存在しないMに変化が起きた。有り得ない事だ。異次元にいるMの本体と、過去の若きMとの時間を越えたリンクが始まり、そして融合していったのだ。部活動が終わり、一息入れた仁美はある変化に気付く。仁美:[心が無くなった?Mがいなくなった?]慌てた仁美は、カケラだったMが溶けて無くなってしまったと思い、必死に探した。仁美:[部活し過ぎて溶けちゃったのかなあ!お願い、無事でいて!]思わず校庭に出て来た仁美の目の前に、1人の男性が立っていた。男性:「どうした?そんなに慌てて、なんでそこにいるの?」仁美はその姿を見て、信じられない顔をしていた。仁美:「あ、あなた、いつの間に!」
2007.09.05
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過去を切り取る禁断の技を使ったXに、究極のペナルティーが下ろうとしていた。この瞬間、Xに降るペナルティーが感覚でわかった。<再起不能>!予想はしていたXはもう覚悟は出来ていた。それに、更なるXにとって最高にして最後の能力を使う時でもあった。訪れるペナルティーの一部を利用しようというものだ。この世界で生きてきた者に降るペナルティーにはある特殊なパワーが込められているという。その力が作用して起こす現象とされていたのだ。X:[…どのみち、終わりなら、有効に使わなきゃな…]弘美:[さっきから何を言ってるの?]X:[…いやいや、こっちの話、単なる独り言さ…]Xからの声はそれが最後となった。弘美の中の救世主は、第一段階として声を失った。弘美:[X…さん…?]………………………涌井は心配になっていた。もう雨も止み、嘘のように晴れ渡っていた。すると、陽射しを浴びながら、2人の姿が見えた。涌井は、目をこらしてよく見直した、確かに2人いる。涌井:[弘美?横にいるのは?!]涌井は、笑顔になっていた。弘美も笑顔で涌井を見ていた。弘美:「久しぶり、ていうか、老けたね」涌井:「当たり前だ、本当にこうやって会うのは久しぶりだ、それに、よく来てくれたな、店主」店主:「店主なんてやめて下さいよ、知らない人じゃあるまいし」涌井:「え、君と会ったのは、未来でしか…」店主:「そうでしたね、そういう事にしておきましょう」意味深な言葉に涌井は、Xの仕業だとわかり、Xが残した栄冠は、2人の、いや、また違う所で幸せを育んだ。弘美と店主は、共にクレープ屋として出発するのだ。涌井の願いは、学校から正しい道への修正から、娘の幸せを実現すること。涌井:[任務は完了したぞ、X]そのうち、Xの気を感じなくなり、力が及ばなくなると、まもなく、涌井は未来へ強制転送される。若き娘との別れをし、再び会う事が最大の楽しみとなった涌井の心にようやくゆとりが芽生えた。涌井:「じゃ、後でな」弘美:「父さんも」店主も深く会釈し、涌井を送り出した。すっと、涌井の体は透けて、そして見えなくなった。2人は消えていった場所をいつまでも見つめていた。夢だったかのように、涌井が目を覚ました。あたりを見渡すと、周りの建物が違うが全く同じ場所にいた。涌井が気にしていた学校は、田中先生や柚木先生が中心となって、伝統を継承したプログラムで、現代っ子をサポートしていた。そして、その向こうに見えるのは、涌井:[クレープ屋…]
2007.09.04
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偉大なる過去を持つ若き頃のM。仁美が抱く彼の想像と一致するにも、年齢は不詳である。過去に涌井と既に手を組んでいるとは、仁美には知るよしもなく、いまさらMも答える気力と記憶が曖昧だった。今ここにいるMは、仁美の心にしかいられない、カケラでしかないのだ。本部に戻っているMとは別の者となっていた。彩香とiのすべきことは、仁美とMのバックアップと、涌井の帰りを待つこと、それに、iにとっては、学校に異変がないか確認する役目がある。過去が変わると未来は当然ながら連動するが、過去でさらに一部の過去を切り取り、修復している。それは、噂ではXになんらかのペナルティーを受ける事になるが、生死に関わるとも、異次元に戻れないとも言われている。未だに何も起きていない。予期出来ない。涌井もXも、誰も想像出来ない事が待っているのだ。涌井は、弘美の来るのを待ち侘びながらペナルティーの事が気になっていた。まさか、ペナルティーで遅くなっているのかと想像していた。外は雨が降ってきた。その雨の向こうに弘美がいる。その弘美はXと共に店主を待っている。降りしきる雨の中から、店主が戻ってきた。大きな箱を持っていた。店主:「やあ、いたんだね、待ったかい?」弘美:「い、いえ、雨が降ってきたんでつい…」何となく安心する店主は、店主:「今日はちょっといい話しがあるんだ。」弘美:「?」Xも興味があった。店主が持っていた箱の中味を開けると、そこには、あるマニュアルが入っていた。店主:「講習を受けていたんだけど、たいしたことなかったな、食品衛生の免許、とれたんでね」マニュアルの下から、さらに製品のマニュアルがでてきた。弘美はそれを見てびっくりした、知りながらもXでも驚いた。出てきたのは、クレープ屋の心得。弘美は、涙が出てきた。弘美:「無理しちゃってぇ」店主:「そんなことない、だって、もう、文具店やってる時期じゃないしね」その時、Xにはわかった。今日の事、店主にはわかっていた、そして、以外な事も。弘美の顔に書いてあったのかもしれないが、弘美のスッキリした表情に、安心して、店をたたむ決心が着いたのだ。そして、守りたい気持ちから好きな感情に発展していたこと、それはまるでMのようだった。X:[…Mが人間だったら、きっとこんな感じなんだろなあ…]そう感じたXに、ある案が浮かんでいた。
2007.09.03
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涌井の心に宿った若き頃の気持ちは、Mとの協力のもとで成り立つはずだった。しかし、涌井にも気付く事のない最大な違いがあった。歳を重ね、経験を積んだというのだろうか、今の涌井に宿ったのは、自分自身の純粋な心でしかなかった。娘とあらためて再会を実現するために、その一心でここに来た。Xと弘美は、涌井か待っている喫茶店へ向かった。弘美は、そのまえに、立ち寄りたい場所があった。学校前の文具店だ。校門を出てすぐ向かいにある文具店は、まだ開いていた。まるで弘美を待っているかのように。店に入ると、店主がそこにいない。狭い店内に隠れる場所もなく、弘美は外を見た。弘美:「どこへ行ったの!?」すると、Xが店に気になる事を見つけた。X:[…あんた確か毎日のようにここへ来たって言ってたよなぁ?…]弘美:[え?えぇ]…X:[…おそらく店主は、あんたが来るのを哀れに思って、あんたがよく来るこの時間を避けているのかもしれない…]弘美:[どうしてそんな必要があるの?]X:[…あんたが自殺するのではとハラハラしながら会ってあげないといけないというプレッシャーで、店主が深いウツにかかっている可能性がある…]弘美:[あたしのせい?]X:[…そういうわけじゃないが、心配していたのは事実だ…]弘美:[未来に何かあったのね!]X:[…それは言えない、ただ一つだけ言えるのは……]弘美は息を飲んだ。未来を知ってはいけない、でも、知る権利はある。X:[…将来この店はクレープ屋になること、それから、今日が、あんたが自殺した日だ…]弘美:[!……]弘美が毎日来て、相談も、辛かった事も一度も店主には話さなかった。しかし、店主に言った一言は、「クレープ屋さんならよかったのになあ」これだけの言葉に、店主は凄く重みを感じたのだ。毎日来る理由は悟っていた。そして毎日文具を買う理由も。そんな苦しい立場にいながらクレープを食べたいという言葉がけなげな弘美に大きな感情を店主の心に植え付けられたのだ。Xは、店主に宿った心は、XやMよりも、遥かにレベルの高い、純粋な物だと確信した。弘美:[お店の人、あたしが死ぬはずのこの日を知ってるの?]X:[…知るわけないさ、ただ、勘はいい方だと思う…]店に来てから2時間。店主はまだ帰って来ない。同じ時、涌井も弘美と会えるのを楽しみに待っていたが。
2007.08.29
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Xが見たMは、現在のMとは別人のように思えた。堂々とした行動、発言。涌井の性格に押されている可能性もあるが、当時の涌井に強さはあっても、決断力に欠ける。お互いの欠点を補っているのだ。生徒達を次々と裁いて行く蠍組は、いよいよ職員室にたどり着いた。時間にしてホームルームを残すのみだった授業は蠍組によって自習となった。つまり、校内にある全ての教室は蠍組と化したのだ。校長:「何のつもりだね?こんなことをして、タダじゃあ済まないぞ]涌井:<あんたみたいなのが校長だからダメなんだ、この学校の実態を知らない、ていうか、知ろうとしてない>校長:「な、何を根拠に!不法侵入に侮辱罪として訴えるぞ!」まるで状況を理解していない校長は、何もしていなかったことを頭に過ぎらせていたが、この場を何とか乗り切ることしか考えていなかった。驚いた事が学校中に起きていた。どの教室も、どの生徒も、まるで蠍組を待っていたかのように、共感を抱いているのだ。ヒーローの登場というわけだ。みんながやはりこの学校に不満と不安を持っていたに外ならない。涌井は、各自メンバーから教室にまわしていたアンケートを即座に回収し、校長に突き付けた。X:[…何と言う颯爽ぶりだ、徹底している、この2人、一心同体だ…]今までみてきた相性で1番合っている事を認め、Xは、これこそ、選ばれし者に相応しいと感じていたが、これ自体はもう過去の存在にしかならないのが残念だ。腰を抜かした校長をはじめ、教員達も、認めざるを得なかった。この事実を教育委員会にまとめ、校長並びに、上位の教員に教育実習を命じ、この学校を離れることになった。学校は閉鎖することも改名することもなく、維持を選択し、生徒達に安心感を与える事、伝統に沿った明るく、コソコソせず思いきりのある行動を常に心に置く事が大事であることを掲示した蠍組。彼らの役割は母校を正しい道に修正、成功に終わった。本来、若き涌井は、蠍組をきっぱり解散すること決めていた。しかし、その矢先に、Xからの呼びかけが原因で、この件を追加し、解散を延期していたのだ。Xがこの件を過去の涌井に知らせて無理矢理過去から呼び出したからだ。そのために、母校の痛々しい姿を見せる形となってしまったが、若き涌井の心には、充実感が漂っていた。今度こそいい状態て解散が出来ると確信しているのだ。そして、過去からのヒーローは、この時間から姿を消した。当時の事を思い出す涌井の記憶の中に今、再びヒーローの火を点すことになる。涌井:「M、あんたとまた組んでみたい……」M:[…クシュン!…]
2007.08.29
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投げ飛ばされた生徒は、ぶるぶる震えながら、仲間の影に潜んだ。<なんでだってぇ?わからないのか、お前らのイキザマを見て>生徒:「な、何言ってんだかわかんねぇなあ」もうひとりが殴りかかってきたが、秒速な早さでかわした。そして生徒の腕を掴み、<お前ら、学校で何をしに来てんだ?人が苦しんでるのを楽しんでいるのか、それとも、馬鹿な奴らとツルんでバカをいばっていたいのか!>生徒:「どっちもだよ!」と言って、涌井の足を蹴飛ばした。すると、痛がったのは涌井ではなく、蹴った生徒の方だった。他の生徒がそれを見て、生徒:「こいつ、人間じゃねぇ!」と言って逃げようとした。しかし、蠍組にすでに取り囲まれていた。涌井:<このままじゃいけないって言ったはずだ、わかってんのか>弘美には父親の強さの秘密の理由がわからなかった。弘美にとっては、ただの仕事人間だと思っていたが、あの正義感というか、ヒーローぶりは、後の父親という想像をしていたら、別人に思えたのだ。あまりにも強すぎる若き涌井が、学校を守ろうとしている執念が直に伝わってくるのだ。弘美:[あんなに学校を思っていたなんて、伝統を重んじていたのか、いや、違う…]X:[…そう、彼らはただ、学舎として当たり前に考えてるだけだ、本来の学校の目的を守りたかった、生徒にとっても、教師にとってもだ…]弘美:[当たり前の事、常識…!]X:[…さすがは涌井の娘だけあるな、察しがいい…]Xは、あえて、若き涌井の強さには触れなかった。今はそんなことは弘美には関係ない、父親としての基本は、原点はここにあることが伝わる事が目的なのだ。弘美の心に、次第に芽生えてきた、父親の印象。事情はいくらでも抱えるのが人間、父親もその中の1人だ。生活するために仕事を選ぶ事が、涌井にとっての家族思いだったのだ。弘美:[こんなん母にも見せたかったなあ]X:[…そうだな、この場面を理解さえしてくれるといいんだがねぇ…]と言いながらも、Xはある場所を指さした。弘美はその先を見て、思わず涙が溢れてきた。涌井達の行動を見ていた女子高生がいたのだ。弘美:[お母さんでしょ!?]X:[…もう、これであんた達の家族は大丈夫だな…]高校時代には既に出会っていた2人、学校は違っていたが、カンペキな片思いがこの様子で伺えた。しかし、Xは、涌井が言っていた、異次元を知っていた事、会っていた事を仄めかしていた詳細がここにあるとは想像も出来なかった。そして、ようやくXは、その人間離れした様子を見ていてピンときた。X:[…ここにもう出会っていたんだな、M…]
2007.08.27
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涌井が弘美に会えるチャンスは、思わぬ形で訪れようとしていた。蠍組。Xには考えてもいなかった事が、彼女の一言で実現する。Xの能力なら出来る。過去にいながら、更に過去の状態を流用すること。X:[…心のコピーだ、これは使える。過去に実在していれば、その意思を流用することが出来るぞ…]弘美:[?!]涌井が活動していた蠍組の頃に戻り、彼らの意思だけをこの時間に持ってくる、過去からなら、未来には影響しない。弘美:[逆に、未来の状態をコピーするのはダメなんだ?]X:[…それが出来れば苦労しないさ、もしすれば、未来は無くなる、というか、今が未来になるから、未来がどうなってしまうか俺にも誰にもわからない、そんなのはむごすぎるだろ?!…]弘美:[今が未来、かあ]パソコンソフトでもそうだが、作業履歴は、さかのぼったところでぬりかえれば、前回の未来の履歴は消える。それと同じ考えだ。X:[…やはり蠍組だな、ちょっと改良するようだが、使える…]改良する点は、1つだけある。相手が自分の学校であることだ。鎖国状態にするのも外す必要があるが、それは後でも修正出来る。弘美に、父親である涌井と会うための最後の関門となる、心の疎通を、学生時代の涌井として伝えられる。X:[…いいか、これから、学校に何が起きても騒いだり、遮ったりしちゃダメだぞ…]弘美:[え、うん]X:[…父親が誰だかちゃんと見ていればあんたにもわかってくるぞ、本当の父親の心がな…]弘美:[お、父さんの心、気持ち…]X:[…そうだ、あんたへの思いは半端じゃないって事をな…]弘美は、あんなにすっぽかしていた父親が信じられなかった。離婚にまでなったのに、弘美への思いが濃くなるとはどういうことか、理解出来る年齢ではなかった。間もなく、更に過去からの使者が現れる。Xの力は想像を越えていた。更にさかのぼる10年の歳月を経て、蠍組が復活。この地へ到着した。<まさかここに来るとはな、今までの努力を台なしにするつもりなのか、我が母校よ>若かりし涌井率いる蠍組。弘美はすぐに認識し、若い父親をじっと見ていた、信じられるまで。校門を抜け、昇降口にタムロするやかましい男子達を見つけた。<こんなんが後輩とは認められない>男子生徒:「あんだと、コラァ!」涌井を殴りかかろうとしたすぐに、涌井の背後から腕が2本、男子生徒を取り押さえた。男子生徒:「離せコラァ、やるのかぁ!?」瞬く間もなく、男子生徒は高く持ち上げられ、廊下に思いきり投げ飛ばされた。授業が始まる直前という時に、他の生徒達が集まってきた。男子生徒:「見世物じゃねぇ、あっち行ってろ!」他の生徒達は、1番厄介だったこの男子生徒に冷ややかな眼差しだった。すると、男子生徒は、急に怯える表情で質問した。男子生徒:「あんたら、卒業生か、いまさら何だ?」
2007.08.27
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真面目が取り柄だった学校にも陰りが出てきたのは涌井が卒業できるかどうかの審判が下された時だった。まわりの反応では、他校の悪行を成敗するという事で評価が高かったから、なんら卒業は問題ないと思われた。だが、1人の大人によって、卒業が微妙になっていったのだ。その大人は、恩師だった校長だった。蠍組のやり方に疑問を抱いていた校長が、現場をおさえたのだ。相手に恐怖感を与えて、相手の学校に通報したあと、恐喝マガイな約束をさせていたのだ。蠍組のやり方は、今度あったら、学校そのものを訴えるだけではなく、廃校に追い込む事まで忠告していたのだ。涌井の学校は、校長がその様子を1人の教師に相談した事がきっかけで、話しが広がり、噂する教師が続出した。蠍組のやり方はあまりにもいいやり方ではなかったが、真面目を貫く学校にしては、堂々とした権力も千恵もなく、決して考える学校ではなかったために、他校からの被害を受けている事を気付かない、または、知らないふりをしていたことが、涌井達には我慢出来なかったのだ。陰でやるしかなかった蠍組の運命は、学校のためにしていた事が、学校の教師によって解散する羽目になり、他校の悪質な行動が減少していたが、逆に、涌井の学校が鎖国状態になっていったのだ。学校を守ろうとしていた事が後になってからようやく認められて、卒業は出来た。だが、その後、学校は鎖国状態を解除せず、どんどんさびれていき、校内の管理までが散漫になっていった。そして今(過去だが)、他校よりもいじめや悪質行動が勃発するほどに落ちぶれ、あの蠍組の存在など吹き飛ばしてしまうほど、逆の立場となっていた。他校の意見もアドバイスを無視し、どうにかなる体質を崩さなかったことに、やはり生徒は気付くはずもなく、むしろ、その体系に甘んじていた。弘美も、その悪質行動の被害者から加害者になっていたものの、学校から受けていたのは被害ばかりだった。弘美:「こんな学校、リセットしたほうがよくない?」X:[…リセットするのは簡単だ、でも、未来が大きく変わってしまう…]弘美:[そういえば、先に未来をリセットしちゃったんだっけ?]X:[…そうなんだ、番狂わせっていうか、上手くいかないなあ…]未来を先に修復したために、過去をいじくるのは危険極まりない。弘美:[今こそ蠍組って奴、復活させるとかねぇ]X:[…!…]
2007.08.23
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たった1つの家族を引き裂いた理由の中で、かなりの影響が強い学校の体制の問題。涌井が知っているあの学校とは全く違う、伝統などこれっぽっちもない、無惨で堕落していた。Xの考えの一角に、現代での事件と修正に何らかの歪みが生じた関係で、過去にもダメージを受けていると考えていた。しかし、未来が変わると過去も変わるには疑問が発生する。過去を変えれば当然未来は変わる。だが、未来がどう変わろうが、過去には影響しないはずだ。Xは、普通には考えてはいなかった。X:[…歴史を支えているのは、過去にも未来にも人間などの生物次第なんだ。…]現代の事件で、異次元との絡みがあったことを考えれば、影響が出てもおかしくない。しかも、学校絡みだからなおさらだ。Xのケアにより、弘美の心は本来の自分に戻り、忌まわしい記憶は消滅した。X:[…今度は弘美、あんた自身で築く事だ、後は学校にどうしてもらうかだな…]弘美:[救ってくれた成果を見せるって事ね]X:[…わかってんじゃん、時期にお父さんに会えるぞ…]弘美:[近くにいるのね、いつも来た事もなかったのに]X:[…きっと、大事な事を伝えに来たんだ…]弘美はそれ以上質問しなかった。事情がどうであれ、来てくれたこと自体、うれしい事だからだ。仕事一筋で相手にしなかったた家庭。母は限界に来て、父と娘を捨てた。しかし、涌井が弘美を産んだ子供ではない事を知らないだけに、Xが長く弘美の中にいれば、その心理をばらすことになる。そこは慎重にしなければケアはおろか、以前よりひどく成り兼ねない。涌井は、学校に乗り込み、10年前の校長に会った。涌井:「覚えてますか、私の事を?」校長:「あんた、まさか、あの涌井かね?」涌井「覚えてましたか、10年前貴方の担任の生徒だった蠍組の涌井ですよ」校長:「!」涌井は、少しだけ怯えている校長の目をじっと見つめた。校長:「お前、生きてたんか、あんな奴はくたばると思っていた」涌井:「こういう奴ほどどうにか生きていくもんですよ」忘れるわけがない校長の記憶。"蠍組"、それは、涌井が在校生の時、虐めや窃盗などをしている他校の生徒とその高校に対して、正すための、いわば「敵討ち」をするグループのリーダーだった。当時、この学校があまりにも真面目だった事で、他校の悪さが目立ってしまい、帰宅する生徒を狙っては襲われるという事件が勃発した。その犯人を片っ端からあらい出してたたきのめし、その学校に対して警告と通報を促して、その生徒たちを動けなくする事が目的だった。その動けなくなる理由は、真面目がウリだった学校からの警告ならまわりの大人達も納得するということを利用する半面、陰では、あの学校を怒らせたら恐ろしいと思わせるという理由も兼ねていたためだ。ただ、仕返しとはいえ、やり方があまりにも卑劣で残酷だったために、蠍の毒を刺されて動けなくなるという例えから蠍組と呼ばれるようになったのだ。校長がそんなグループを許すわけにもいかず、相手の高校も反省していることから停学処分にとどめた処罰を下していた。しかし、校長本人はそれを影では納得していなかった。追放したい気持ちだったが、他の教員との多数決で仕方なく手を引いた形となっていた。それ以来の再会、しかも、時代を超えた、若き涌井と校長の因縁。
2007.08.22
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涌井は、Xと離れてからもうすぐ1日が経とうとしていた。弘美と出会うためだけに過去に戻ってきたリスクは、このまま会っても弘美にリスクを背負わせてしまう可能性がある。涌井本人が父親として受けるべきと思っていたのだ。Xのケアを待つしかない。現代では、彩香と仁美も心配していた。彩香:「なんかさ、あのクレープ屋にいくたびに思うんだよね、娘さんの事。」仁美:「そうそう、なんか私達知り合っていたみたいに親近感が湧くというか、同じなんだなって思える」彩香:「うまくいくよね」仁美:「当たり前じゃん!」涌井とXの帰りを待つ2人にはもう、弘美と出会えるくらいに心が整っていた。涌井は、例の文具店に向かい、店員に話しを聴きに行った。情報では、1時間前に弘美が自殺している事になっていたからだ。学校からの報告は、当然店にも伝わっているはずだ。店が閉まっていた。情報がきたのか、昼間から閉まっているということは、文具店としてはもう開店しないという事だ。涌井:「ああっ、このまま変わらなかったら、俺は何のためにきたのかわからん!X、頼む…!」どこかにいるXに向かって声を張り上げた。弘美の耳がかすかに感じた。弘美:「今の耳鳴りかなあ?」X:[…いや違う、多分父親の声だ、きっとヤキモキしてるんだと思う…]弘美はそれを聞いて、涙を浮かべた。その間、弘美の心から取り出す事の出来なかった、恨みと辛さが消えていく。Xは、その現象に驚いた。血が通ってない親子だろうと、動かせる心がある。結婚や、親子を経験しないXにとって、この気持ちには勝てない。絶対に経験した者でしかわかり得ない絆があるからだ。時間が経つと、切れかかっていた親子の絆は深まる事がある。いつも顔を合わせている間は、ウザイだの、キモいだの言っている娘が、何らかの事で離れてしまい、何年もの間、会わなかった時期に、過去の記憶が甦る事がある。その記憶は、決してたいしたことはなく、日常の生活や、ウザったい時の事が、不思議と懐かしむ事で、全てがよき思い出となり、親子なんだと改めて感じる。絆とはそういうものなのだ。今、会う事が有り得なかった2人にとって、一番大事だったものを取り戻そうとしている。弘美とかつての親友、真紀や、一目惚れの男子生徒とも、仲が再び修復された。それも弘美自身の力と、真紀達の親友の絆を捨てずにいたおかげだった。みんな、Xには持っていない力でケアをしているのだ。X:[…これなら、俺の出る幕なさそうだな、涌井。ツイてるな…]親子関係を無惨にも引き裂いた理由の中に、やはり学校の態度にも問題があった。Xは、むしろ修正しなければならないのは学校側にあると考えた。今でもだいぶ修正された過去。この代償は必ずある。過去を修正するという行為自体、自然の流れに逆らっていることを深く心に刻まなければならない。未来に支障なく、達成も後悔も共に歴史は流れて出来ているからだ。
2007.08.21
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Xは、ようやく気がついた。Xは、既に弘美の中にいた。Xの頭の中に埋め込まれた記憶に、追加があった。地球外刺客の記した記憶だった。[…この子のケアはあなたが適任、わたしは通りすがりのあなたと同じ目的の派遣。でも、地球人には悪影響を及ぼしたようです。ケアどころか、憎しみを増幅するだけだった、だから痛んだ心を修復してくださいね…]X:[…丸投げかよ、でも、あんた、弘美をひとつだけ救っていたじゃないか…]弘美の中に入ったXに僅かに残る忌まわしい記憶をキャッチした。あの時、店員が話しかけた後、落ち着きを見せたのか、ホッとしたのか、生きる気力も真っ白になり、確かに学校の屋上から飛び降りた。その時に、派遣者は君臨し、弘美の中に入り、命を救っていた。その瞬間、突然弘美が豹変し、いじめからくる憎悪が増幅して復活したというのだ。それがあの最悪だった弘美だったのだ。その後も文具店に通い、シャーペンを買っては、いじめの凶器として使っていた。X:[情報は間違ってはいなかった、だが、過程が全く違う、こんなにも深いとはなあ…]更に、地球の外から来た刺客の記憶には、改めて来る、と付け加えていた。[…今度来る時には、いい状態なのでしょう…]X:[…たくぅ、やっぱ丸投げじゃん…]そのようなやり取りなど空気に包まれている間、弘美は、夢を見ていた。それは一目惚れの彼氏でもなく、友達でもない。目の前に立っていたのは、父親だった。弘美:[お父さん…]弘美が見ていた者は紛れも無く涌井だった。ぱっと目が覚めてから、気分が変わっていることに気付いた。空気はもういつもの流れに戻っていた。だが、いつもとは違う、何か懐かしい感じがする。弘美:「お父さん…」X:[…あ、俺の頭が割れそうに痛い、弘美、あんたは大丈夫か?…]弘美:[あなたは、あたしを知っているのね]X:[……]弘美:[だって、お父さんの香りがするもん]X:[…匂わないだろう、確かに俺の記憶にあんたの父親はいる。でも、このままでは会う事は出来ない。…]弘美:[わかってる、今までの事を真っさらにしないといけないよね]X:[…そのことはいい、あんた自身、父親に会う準備が出来ていない、母親との離婚の事であんたはさっきまで恨んでいたからだ…]弘美は、離婚の原因を知らされていない。弘美の勝手な判断で、女が出来たなどと悪い様に想像していたのだ。弘美がしなければならないのは、いじめ以前に、離婚以前に戻る必要がある。でなければ、今会っても悲しむだけ、後悔するだけ、それだけが永遠に心に刻まれてしまうのだ。
2007.08.20
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弘美は、高校に入って、すぐに好きな人が出来た。それは、一目惚れであり、一方的な片思い。だが、その男子生徒には既に彼女がいた。そのことに気が付かずに、彼を見ては隠れ、彼が目線を向けると、思わず逃げてしまう。そんな弘美の奥手な性格が、後にいじめに発展していったのだ。彼はクラスで最も人気があり、彼女がいようが、他人にも平等に優しく接していた。だが、その彼女は嫉妬心が高まり、我慢の限界が来ていた。だが、彼女は、身近な仲間ではなく、弘美に矢を向けたのだ。彼女:「まるでストーカーね、彼とフレンドリーにもなれない人に、関わりたくないって彼が気持ち悪がってるわ!」弘美:「そんなつもりじゃあ…」はっきりしない行動にむかつく彼女は、次第に悪い噂を流し、弘美に精神的苦痛を味わせる事を思い付く。その噂は、彼にも入ってきたが、最初は気にしなかった。そんな優しい彼は、逆に、哀れむように、弘美を元気づかせたのだ。しかし、その行動は、彼女をますます逆上させる原因となったのだ。罠を仕掛け、弘美を落とし入れる事は普通で、教材の紛失、髪の毛を燃やす、衣服を破くなど、エスカレートしていった。そして、致命的な事が起きた。彼:「君にこれ以上優しくすると、君が不幸になるみたいだから、もう、止める事にするね、そのほうが安全だと思うよ」と、周りの友人に吹き込まれ、弘美にそう言って離れていった。弘美は、この一言でかなりのダメージを受けていた。駄目押しに、彼以外の生徒達からの集団虐めが定着してしまう。ここまで起きている実態に学校側はナゼか動きを見せない。学校の内部よりも、オリンピックがかかっている陸上部の生徒の方で頭が一杯だったのだ。弘美の悲しみの中に、憎しみか起動し始めたのはもう言うまでもないが、その思いが、地球外にいた、わりと近い場所にいた地球外刺客が、偶然にもその思いをキャッチしたのだ。憎悪に圧されて、もう生きる気力を消耗してしまった弘美は、行く場所といえば、学校の向かいにある文具店しかなかった。自分の文具から教材が毎日のように消失するからだ。我慢しながらここに来て無くなった道具を買っていたが、もうそれも限界が来ていた。店員が、いつも心配そうにしていたが、ある日、店員にも弘美の身の上がわかってきた。店員:「いつもありがたいのだけど、何か事情がおありのようだ、何か一言心に残っているんなら言ってみると気が落ち着くかもしれないよ」そこで初めて口を開けた言葉は、弘美:「クレープ食べてみたいなあ…」そう言った後の日、自殺をしたという。しかし、弘美は生きていた。一体何が起きたというのか?
2007.08.20
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逃げ切った弘美達は、疲れがピークに達していた。男子生徒:「あいつ、大丈夫かなあ!?」弘美:「あの人はきっとやってくれる」と、根拠がないが、そう言わずにはいられなかった。男子生徒:「何でそんなこと…」弘美:「なんか、懐かしい香りがしたから」男子生徒:「……」Xは完全に空気の中に包まれた。だが、空気の中は、不思議な香りがした。お香のような、何とも言えない、心地のいい香りだ。Xの目の前に、人の影が迫ってきた。X:[…やはり、女か、でも、人間なのか?…]近づいてくる影は、人間の女性とわかるまでになった。X:[…あんたは一体?…]喋りかけたXの口をふさぐように、女は指をXの口元に宛がった。女:[……]X:[……?…]女:[…心を無にして聞いて下さい…]X:[……!…]女は口を開かずに、何かテレパシーのように語りかけた。それはソフトで高い声だった。女:[本当は違う、でもそうなってしまった、彼女が取り違えた、だからそうなってしまった…]X:[…意味がわからん…]女:[虐めたのは彼女の願望ではなかった、でも、そうさせたのは彼女なのです…]X:[…何?願望でなくて、でも、そうなるようになったって事?…]女:[…叶えるために来た、ここではない星から、彼女が呼んだ、不思議な力で…]X:[…あんたが地球以外だとは予測出来た、だが、その不思議な力とは何だ?どうやって来た?…]女は、黙ったまま、Xを見つめていた。お香の香りがどんどん強くなっていく。Xは次第にまぶたが重くなっていった。そこから、頭が真っ白になっていく。女は空気の中で、Xを抱えたまま移動を始めた。弘美の本当の心理を知っている謎の女。弘美の中に戻ってやらなければならない事があった。しかし、中に入った瞬間、弘美に異変が起きるというのだ。弘美は、仲間と別れた後、心配になって公園の方向に戻ろうとした。すると、そよ風が吹き、弘美を包んだ。弘美:「えっ?…」女:[…今のあなたには彼が相応しい。…]弘美の心の中に、Xを送り込んだ。女:[…あなたは、私の能力を越えた罪悪感を秘めています、今の私ではそれが増幅させてしまい、あなたはあなたではなくなるのです。…]X:[…うっ、その罪悪感というのは?…]女:[…憎しみ、いじめから来た仕返し…]X:[…何?!…]実は、本当にいじめられていたというのか!?
2007.08.16
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弘美と仲間が集まったところで、Xはすぐに、X:[…リセット!…]仲間とともに、弘美は心が無になった。ここで見た事から離れていく。その間をぐるぐる駆け巡る地球外派遣の行動はまさに、居場所を失っていた。Xは、無となった皆の心が、その流れで浄化することを願っていた。この一件の事は記憶から消えていくのである。だが、無にする時間は限られていると言われていた。だが、噂であり、実際この技を使った者はまだいないからそんな証言は確実ではない。何も情報がない。分かっていることは、まさに、今、この技の情報として記録される第一人者であることだ。地球外派遣と呼ぶこの者は、心に入る事が出来ず、矛先がXに向けられた。X:[…やっと俺に食いついてきたな、皆は今からここを離れて、掛け声と共に、心を戻す、だから今のうちに…]すると、皆は深く頷き、公園を離れていった。地球外派遣の矛先がXになってから数秒が経った。X:[…もうすぐ切れるな、後は奴が逃げるのか、それとも!…]間もなく、リセットが解かれた。Xは、公園がものすごく静かで穏やかさを感じた。消滅したのか?X:[…いやな静けさだ、何一つ反応がない、いるのか、奴は?…]これまでのタイプとは全く違うため、行動が読めない。気までも隠す言が出来た者はこれまで例がない。X:[いるならここに出てこい、この意気地無し!…]すると、空気の一部が揺れ動く反応がした。X:[…そこかあ!…]そこに目掛けて腕を伸ばした。その腕を掴まれ、物凄い力で左右に振り回した。Xよりもある力は、まさに人間を越えていた。X:[…イテッ、何なんだ、コイツ、言葉が通じてるようだが…]この反応を喜ぶかのように、Xはさらなる力を出していった。X:[…俺を見くびるなよ!…]すると、ようやく、その者:[…うう…]その声に性別はあるのか、X:[…お、女か!?…]弘美に付いていた謎の派遣者は、同性という特性を利用した方法で、女特有の誰にも持っている気持ちの中の最も質の悪い心理を引き出し、一番上の階層に置き換えていたのだ。だから、この気持ちが弘美の奥深く宿っていたとすれば、浄化のためのリセットでは、弘美のためにならないかもしれない。自分本心から動かなければ、このようなウイルス感染にも似た、異星人に取り付かれてしまうのだ。Xの腕に絡み付いた空気の渦は、少しずつ腕を飲み込んでいた。凄い吸引力で、一気に肩にまで達していた。X:[…こりゃすごすぎる、俺の力何てもんじゃない!…]瞬く間に、空気の中に入っていった。
2007.08.15
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こらえながら男子生徒を操るXは、X:[…おい、弘美を抑えて中身をえぐり出せ!…]男子生徒:「だ、誰だ!?」X:[…いいから言う事を聞け!…]男子生徒:「何言ってんのか意味わかんねぇ!」すると、弘美:「何ゴタゴタ言ってんだ、ホラァ!」シャーペンを持って手を上げる弘美。X:[…あんた、弘美の自由にしたくないんだろ、好きなんだろ!…]男子生徒:[…!]一瞬にして図星を突かれた男子生徒は、瞬時に弘美の腕を抑えて込み、逆手にひねって弘美をひざまずかせた。弘美:「イテッ、何だよその力は!」男子生徒:「弘美、もうヤメにするんだ、クダラネェ!」持っていたシャーペンを振りほどき、弘美の手を強く握った。弘美:「イテッ、離せ!」Xはその握った手から弘美の中身と心をリンクさせた。X:[…おい、出てきやがれ、変態野郎!…]男子生徒はずっと弘美の手を握り続けた。男子生徒:「お前、以前の弘美に戻って欲しいから、それだけを信じてきたつもりが、いつの間にかただの奴隷になっていた。でも、その原因は、ただお前の事が好きだったからなんだ、言う勇気がないままズルズルきちまった、ゴメン、もっと早く目覚めるべきだった」男子生徒は涙を浮かべて、心の底にあった言葉をすべて弘美に伝えた。その言葉が、弘美の中のカギを解除させた。弘美:[え、何?ここは、痛い、何、心が痛い」弘美の心に潜む謎の者は、男子生徒と目覚めた弘美の心との挟み打ちとなり、もがき始めた。X:[…今のうちに引き上げだ、変態!…]Xは、その者と入れ代わるように、その者を外に追い出した。すると、その者は、外で居場所を探していた。Xは、その光景を見て、X:[…まずい、新しい居場所を探して入ろうとしている、奴はこの星の者じゃない…]弘美に入ったXは、その者の行動を抑える方法は心を閉ざす事だと分かったが、他の生徒達にどう伝えたらいいか考えた。そこに弘美が、弘美:[何となくだけど分かって来た]現状を把握してきた弘美は、弘美:「みんな、そこから逃げて!」X:[…ただ逃げるだけじゃだめだ!…]弘美:[どうすればいいの!?]X:[…逆だ、皆をここに呼ぶんだ、急いであんたに近づけてくれ!…]弘美はXの言う通りに、弘美:「待って、あたしの方に来て!」男子生徒が、弘美の手を引っ張って、男子生徒:「こっちから行くぞ!」弘美:「…!」男子生徒:「そのほうが早いし、手を繋いでるから平気だ」弘美:「任せたわ」Xは、男子生徒を信じて、仲間達と接近、その前をさ迷う異星の者を追い越した。
2007.08.14
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Xは衝撃とともに震えを感じた。いじめている弘美が例の文房具屋に。それは、涌井がクレープ屋に話しを聞いた内容は確かに弘美が訪ねていることは間違いないようだが、違うのは、弘美がいじめに会っていたのではなく、いじめの加害者であることだ。弘美は、何やらシャーペンを買いにきたようだ。店主:「いつもありがとう、どうしていつも来てくれるのかな?」というと、弘美はその質問を無視して、店を出た。毎日のようにシャーペンやノートを買いにくるのは、弘美にとって、一体何をそうさせているのか、全く理解出来なかった。いじめに会い、文具を無くされたり、壊されるのならわかるが。Xは更に弘美を尾行した。しばらくすると、小さな公園に着いた。そこには何人か生徒が集まっていた。弘美が来たのを見たら、集まっていた生徒は、立ち上がり、その場所を去った。その集まっていた場所に1人、しゃがみ込んでいる生徒がいた。全身傷だらけで、制服も所々破れていた。X:[…なんだこれは!弘美に何か殺気を感じる…]弘美はその生徒に近づいていく。その場を去った生徒が、公園の草むらの陰に隠れながら様子を見ているのが分かったXは、その中から一人選んで心の中に潜入した。男子生徒でスラッとしている。Xはその男子生徒の体を思い切り締め付けながら、体を操り始めた。男子生徒:「うっ、何だよこれ、勝手に……!」締め付けた体は、Xの心とリンクして操作出来るように密着することで可能な特殊な技だった。他の生徒も、それを見て、「おい、弘美の邪魔すんなよ!」「そーだよ、後が大変なんだからー!」そんな声も聞いて分かっていながら、体がいうことをきかない。男子生徒:「そ、そんなの、俺にもワカンネェよ!」弘美にどんどん近づく男子。弘美:「何の真似だ?近寄るなんていい根性してんねぇ」男子生徒:「お、俺じゃねぇよ、違うんだよぉ!」すると、弘美は男子の方に向いて、弘美:「あんたがこの儀式、受けな!」と言ってすぐに、さっき買ったばかりのシャーペンを男子生徒の顔目掛けて突き出して来た。Xは、それを予測して、それを瞬時に避けた。男子生徒:「うっそぉ!?マジかよ、弘美のを避けたぞ!」興奮気味な男子生徒は、弘美を逆に見下すように、男子生徒:「テメェの儀式もこれまでだなぁ、こんな儀式は、弘美じゃなくてもいいんだよぉ!」
2007.08.13
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夏休みを控えた1学期末期。彩香達は、時間の歪みに耐えながら、何とか普通の生活を過ごしていた。仁美の中で何も出来ないでいたMも、今は時間と共に復帰しつつあった。仁美:[もう大分経って私もかなり人の事を考えられるようになったわ、あとはMの彼女として生きていけるといいんだけどな]M:[…1番難しい課題だね、現代と異次元が合併しなきゃ…]仁美の心を叶えるためのケアとしては、もうクリアしているはずだが、叶わない恋に落ちていた仁美の心に離れられない状況にあった。Mも、仁美の気持ちになって考えてきた。そして、彩香も。仁美:[彩香への気持ちも感じる、優しいからしょうがないんだけどね。]M:[…気のもちようかなと思うんだけど、彩香の人間性に心があるだけだと思ってる。これは恋愛とは全く違う気持ちなんだ…]仁美:[わかってるよ、それは私にも彩香との友情として見ているし、そんなんじゃないけど…]お互いわかっているからこそ、叶わない恋の壁を越えたい思いが、2人の強い気持ちで共同作業をしている事で、異次元と現代を結び付ける何かを、きっかけを探していた。彩香は、学校の過去を思い出そうとしていた。学校を浄化する代わりに一部の記憶を失っていた彩香は、当然あの騒動があった部分が消えている。仁美も、そして全校生徒や先生達も同様だった。Mとiにはその記憶は消える事はなかったが、一部の機能を失っている。それは、選ばれし者にはなれない事だ。失敗を覚悟で、大掛かりな作業をすると、失敗は許されず、再起不能となるが、成功したとしても、一部の機能は失う事がわかっている。Xの場合、既に選ばれし者となっているが、まだ失敗したらどうなるというデータがない。誰も失敗したことがないからだ。もし、Xが任務を失敗すれば、ただでは済まされない可能性がある。まして過去にいるだけでもかなりやばいはずだ。噂では、選ばれし者になれば怖いものはないとも言われているが、それは理想論に過ぎない。Xは、帰宅する弘美の後ををつけた。中身に悟られずにしなければならない。弘美が歩く先には、何やら見覚えのある場所だった。X:[…く、クレープ屋!…例の!?…]
2007.08.12
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Xはどう言っても辞めようとしない、使い走りや言われ放題の中に、真紀本来の思いがあった。ただいじめられているのではない、傷ついてほしくない、嫌われなくないという気持ちになっていた。X:[…これじゃ、真紀が飯を喰う暇なんてないじゃないか!?…]真紀:[そんなのどうって事ないじゃん!]X:[…そりゃあ違うな、あんたがやってる事は、弘美の為なんかじゃない、あんたがいじめられていることを認めたくないだけだ、弘美にも悪影響だし、あんたにも精神を削ってる事で、どうせ持たないぞ…]真紀は、その言葉に一瞬ピクっとしたが、それでも、真紀:[ほっといてよ、どっか行って!]と発言した瞬間、Xは叩き付けられるように、真紀の体外に追い出された。中に居られるのは、真紀の本心に委ねられるからだ。X:[まずいな、怒らせちまった、真紀の気持ちも判らんでもないが……]一方の弘美は、真紀を待つどころか、勝手に学食で食事を済ませていたのだ。弘美の中で操作している者、性格の悪さを極めている。しかも、的確に、シナリオ通りに、頭のいい知能を秘めていた。X:[…困ったもんだ、これじゃ仕事にならん、弘美を早く突き止めないと、あの中に何があるのか?!…]真紀は、買い物から戻り、弘美を学食で見つけた時にはもう、昼休みの時間は残されていなかった。弘美が真紀を見つけて、弘美:「遅かったから食べちゃったよ、それ、貰ってくね」真紀は、黙って、教室に戻り、平然と席に座った。極めて悪質な者が弘美を操る事から、弘美本来の意志はどこかに封印するだけの事をしなければ、あんなに悪質にはなれないはず。Xは、弘美の本心ではない状態で本体に潜んでいるために、未来には、何らかの食い違いで誤報となり、弘美がイジメられて自殺したとされてしまったと見ている。弘美がまた新たな展開に歩もうとしていた。人に物を盗ませようとしていたのだ。X:[…真紀以外にまだいる!…]Xは、真紀以外の対象になっている生徒を探した。イジメられている生徒を捜すのは苦難だった。自分からは絶対喋らないし、申告もしないからだ。心の奥深くその事を隠そうとする。表に出たら何をされるかわからないから、その恐ろしさに潰されそうになるのだ。それに耐えられるとしても、人間として生きて行く為に欠乏してしまう何かがある。それは人間関係そのものだ。1人では決して生きて行く事の出来ない人間から、交流を失ったら、まず先は長くない。真紀の行為は、友情を守るどころか、耐えるだけの精神力と、人間関係を結ぶ交流感を消耗していくのだ。
2007.08.09
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自分の子供ではない、でも救いたい。名付け親が違う、でも呼びたい。複雑なしがらみが涌井の脳裏を駆け巡る。弘美と名付けたのは、前の夫であり、その夫とは昔から知っている者だった。だが、仲のいい関係だったわけではなく、涌井がその者に虐められていたという過去があったのだ。時が経ってしまうと、虐めた側というのは本当にその事実の記憶を忘れるというが、まさにその通りであり、よりによって涌井より先に出会ってしまったのはその者だった。世界の狭さというか、偶然が、涌井にとって、弘美を通じて蘇る辛い記憶。それでも弘美を救いたかった。しがらみを乗り越えられずに妻とは結局離婚してしまったが、娘との繋がりだけは失いたくなかったのだ。涌井:[こんな身勝手なことは承知の上だ、今更どうにもならない自分自身の過去は、自分だけで背負う、けれど、娘には全く関係のない事。今更父親ぶるのもおかしいが、出来れば娘に認めてもらいたい]学校は昼休みに入り、真紀は、学食に向かおうとした時、後ろから、弘美:「さっきのは何なの?何のつもり?」真紀は返事する言葉が見つからず、ただ言われているだけだった。X:[…これじゃ、カモだな…]真紀には口では勝てない性格、そこに付け込まれて言いたいように言われていた。弘美:「何とかいいなよ、早くしないとお昼ご飯食べれなくなるじゃん」真紀:「そんなこと言われても…」弘美:「そのトロトロした言い方がムカつく!時間無くなるから、ご飯代わりに買ってきてよ、何でもいいからさ」といって、どこかに行ってしまった。X:[…あんた、親友思いが仇になってるんじゃないか?…]真紀:[そうかもしれない、けど、いつでも弘美が戻ってもいいようにしてなきゃ]X:[…それも大事だが、今は弘美の中を探るのが先決だ、もっと会話を引っ張ってくれ…]真紀は学食に行く前に、校外にある売店に行き、弘美の好きそうな食べ物を買った。そしてすぐに、弘美のいる、今朝居たあの隙間に入っていった。X:[…場所を知ってるということは、もうこの状況が長いって事だな…]弘美:「遅かったじゃん、何買った?」真紀は弘美が好むと思ったクレープパンとサラダを取り出した。弘美:「こんなの欲しいって言ったっけ?忘れちゃったんじゃないの?」真紀は、本当に大好きだったクレープパンを叩き投げ、またどこかへ行ってしまった。人のいい真紀はら再び買い直す事に。
2007.08.08
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涌井の恐れている事はXにはわかっていた。しかし、事実を知る事も重要であり、今の生き方を変えられるきっかけになるかもしれない。過去を消すという作業は、Xでなくとも、Mやiでも可能なイージーな技だった。ただリセットするのであるなら。Xは、実は、過去の一部分だけを消去する方法を知っていた。だが、この方法は誰も知らない、Xも使ったこともない、出来れば使いたくない方法。理由は、過去が変わる事、関係者は必ず記憶が消える、そして、消した本人は責任重大という事で死ぬより辛い事になると言われているのだ。その意味は、決して使ってはならないという裏付けがあり、人間として、一番卑怯で卑劣で非常識な行為だからだ。X達の異次元では、[3H]と称されているが、誰も口にすることはない。だから、過去にいながら過去の一部は消してはならなかった。自分に都合よく記憶を変えようという行為を悪用する者が必ず現れるかもしれないのだ。それを出来ると思わせてはいけない、その流れにしてはならない…。涌井はここで決断しなければならなかった。弘美の存在を知る事、父親としてすべき事。X:[…とにかく、大変なことだが、事実を話すしかない。もし、それを聞いて何か異変があったら、その動き方によっては俺が判断する。…]涌井:[ああ、そうだな、記憶がなくなるのはゴメンだ。]その前に、弘美を操っている者を探らなければ、真実を語るわけにはいかない。Xは真紀と共に再び学校へ向かう。真紀:[弘美を救う事は出来るの?]X:[…そのために来てるんだぜ、何もしなければ帰れないしな…]真紀:[弘美の中にいるのは貴方と違うって言ったけど、何がいるの?]X:[…よくわからないが、人間じゃないことは確かだ、弘美の人格を変えているのも奴の仕業だと思う。…]まだみたこともない生命体、Xにも何が起こるかわからない。だが、弘美から引き上げなければ救う道はないのだ。学校は何やら異様な雰囲気。イジメの事実を知っているのか知らないのか、職員にも、ただならない空気が漂っていた。X:[…これで普通か?…]真紀:[いつもこんなんだよ]X:[…だから気付かないんだ、ドンヨリしていて、はっきりしない、動作がまとまってないし、霞がかかっているようだ…]真紀のいる3年生のクラスは、ごく平凡な生徒ばかり。今は弘美とは別のクラスだが、2年生までは同じクラスだった。3年生になる進学期には既に弘美の人格は変わっていたという。
2007.08.07
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X:[…いや、弘美の中にいるのとは全く違う。 俺は別の世界では人間と変わらない。しかし、コイツは違う…] 真紀:[じゃあ、何なのよ?] X:[…今は喋ってる暇はない、ここからとりあえず逃げるぞ…] 頭が混乱していたXは、何がどういう真実か理解出来ない。 ひとまず弘美から遠退く必要があった。 サッと振り返り、Xの転送で、涌井のいる廃墟に戻った。 その時、弘美は、いや、弘美の中にいる者は、転送先をキャッチしていたが、学校のチャイムが鳴ると、元の平然とした弘美に戻り、他の生徒と何もなかったかのように、正面玄関に入っていった。 涌井の前に1人の女子高生が向かってきた。 涌井は、Xの反応で、知り合いと感じて、 涌井:「よく来たね、学校はいいのか?」 真紀:「今はね、あんたの事は聞いたよ、大変みたいだけど、未来がどうのこうのっていうのは、あたしには理解出来ないから」 涌井:「それでいい、その件は複雑だから何となく、来た目的がわかってりゃいいさ」 涌井は、優しい言葉で真紀に言った。 涌井:[娘の事は聞いた、真紀さんが何とかしようとしていたのも。でも、真紀さんが娘に何かがいると知ったのは何故?] X:[…真紀には鋭い霊感のようなものを持っている、能力というより、天然だ。それで本来の弘美ではなく、操られていると感じたんだ。そうだな?…] 真紀:[そう、そう思うほうが自然だったから] 涌井:「娘とは親友のようだね、もう長いのか?」 真紀:「そうね、短くはないな」 よく知った仲であるからこそ、余計に変化に感じやすかったのだ。 X:[…ところで、整理したいことがあるんだが、涌井は何故、娘を名前で呼ばなかったんだ?…] 涌井は、名前について、渋った顔をした。 涌井:[弘美という名前は、前の親が付けた、でもあの娘はそのことを知らない。もし、最初から名前を言っていたら、その真実が私の心から来た事が娘の本心に伝わって、その事を知ってしまうと思ったからだ] X:[…ちっ、複雑だねぇ、あんたは本当の……] 涌井:[それ以上言うな!] X:[悪かった、それより、知ってしまったらもう彼女にはツツヌケになるぞ…] 涌井:[さっきの話しを聞かなかった事にしたいよ] X:[…いくらなんでもそりゃあ無理だな。真実を話して納得させる方向に持っていったらどうかな?…] 涌井:[簡単にいうなよ、それが出来れば苦労しないさ] 過去に来ていながらその過去を消す事は出来ない。 全てを消す事は出来るが。
2007.08.07
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X:[…考えられん!…]娘の心に入ろうとしても入れない!娘は既に洗脳されている!X:[…どこの次元かわからない、別の者?いや、他に居るとは思えない!一体、誰だ!?…]娘を動かしていたのはまさにその心に潜む者が原因のようだ。数人の生徒が1人の生徒を押さえ込んでいた。その前に、娘が立ち、娘:「なあ、あんた、昨日、センコォにチクりに言っただろ?それに、あたしの名前出したよなあ?」X:[…弘美…というのか…]そういえば、涌井から名前を聞いてなかったが、何故だろう?一刻もできない状態で、Xは、急遽、攻められている女子生徒の心に潜入した。X:[この子は、親友のようだな、何故こんな目に?…]ひとまず、この場を何とかしなければならない。女子生徒:「正しい事してるのがいけないの、弘美!」意外な反撃に、弘美:「何?この世界に正しいも何もないんだよ!」と言った後、蹴り飛ばすと、X:[…避けろ!…]それに反応した女子生徒は、押さえ込んでいる生徒を力いっぱい払い上げ、その場から逃げた。弘美:「何かが違う」どうにか逃げ切った女子高生は、心に潜むXに問いかけた。生徒:[あんた、誰?何故助けるの?]Xは、この生徒の言葉がとても不思議なイントネーションだと気付き、X:[…あんた、今何されてるかわかってんのか?…]すると、生徒:[わかってるような口きかないでよ、イジメられてるのはあたしじゃないわ!]X:[…!…]生徒:[弘美に決まってんじゃん!]Xさえ読めないこの言葉の意味を、生徒は淡々と答えていった。生徒:[あんたも気付いてると思うけど、弘美の中にいるのは、弘美を操っているみたいなの、弘美の本心をイジメてるのよ!]そんなことがあっていいのだろうか?人の心を本心から操るとは、XやMには踏み込めない所に奴が潜んでいることになる。X:[…幸いとは言い難いが、弘美本人の意志ではないという事だな…]現時点では、この生徒がイジメられている形ではある。だが、本当に苦しんでいるのは、弘美の本心である。X:[…とても複雑で解決するのが困難だ、イジメを解くにはイジメをさせないこと]弘美を救うには、弘美の本心にいる何者かを解読すること。厄介ではあるが、Xは必ず解決させる重大な任務だ。X:[…あんたは問題ないようだな、真紀と呼んでいいな…]真紀:[名前を?あんたも奴と同類なの?]
2007.08.05
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何が娘にさせていたのか?何を考えていたのか?それから突き止めなければ、被害者も加害者も救う道はない。これは心と心の問題だった。些細な事から虐めが発生する事があるから、それぞれの心を見抜いた上で行動する必要がある。涌井:[とにかく、Xは今から娘の中に潜んでくれ、俺はそれによって相手の行動を見たい]X:[…いいんだな?娘さんのプライベートに入っても?…]涌井:[ああ、何か起きようとしたら、食い止めてかまわないから]Xは、涌井の苦しみをよそに、余裕を感じる娘にやる瀬ない思いと、怒りを覚えた。X:[…親を横目にして、あの光景には信じられない、早いとこ正してやらなけはれば、涌井の心が持たない…]涌井の痛んだ心と連動するかのように、現代の異変が変わっていく。iは、その異変を予測した。i:[…地震が起きるわ、微震だけど、涌井に何か変化があったみたい…]彩香:[変化って、いい意味なのかなあ?]i:[…わからない、けど、あまりいい内容ではないと思う…]彩香:[いい意味では異変を感じないからでしょ!?]i:[…そうね、もうじき揺れるわ!…]iの答えた後、すぐに地面がかすかに揺れた。彩香は、涌井に起こっている事が心配だった。同じ時に仁美も、Mと同じ気持ちになっていた。仁美:[何が起こっても、無事に会って欲しい]iは、もし次に異変が起きた時は、もっと大きな地震が来る事を予想していた。規模によっては、皆を避難させなければならない。でも、そこまでの判断が付かなかった。M:[…これ以上の災害が出る予想がたてられるなら、僕なら何とか出来るかもしれない…]i:[…この時代ならできること?…]M:[…そう、この時代であれば、特殊機能は使える、ただし、非常用だけどね…]非常用である以上、決して完璧に実行出来る可能性は保証されないが、今の段階では、他に手がない。M:[…出来れば何も起こって欲しくないが、あっちは大丈夫だろうか?…]Xは娘を尾行し、学校の昇降口の前まで来た。そして、中に入って行くと思ったら、その横に逸れて、脇に狭い空間があった。そこで何人か生徒がいた。誰かを囲んでいるようだ。Xはすぐにそれが虐めの現場だとわかり、急いで娘の心の中に突入しようとした。X:[…な、なんだ!これは!?…]
2007.08.02
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娘に近寄ろうとするX。だが、思いがけない光景に出くわした。携帯電話を持っていた…?しかも、誰かにメールしている。X:[…おかしいな、涌井の言っている事と違うな…]しかも、虐められているような雰囲気ではなく、むしろ、余裕すら見える。X:[…もしかして、虐めって…]事態は急変した。現代では、iと彩香のコンビが、保健室で柚木先生と佳代の姿を見て、彩香:「ねえ、今日おかしくなかった?」柚木先生:「日付の事かしら?」佳代:「あたしもさっき彩香に会ってなかったらどうしようと思ってさ」彩香:「佳代、あれから走ったの?」佳代:「走ってないよ、ちょっと考え事してたんだけど、気が付いたら校門にいたような…」i:[…歪みが発生した瞬間、彩香を越えて来たのよ…]彩香:「え、あたしには何も感じなかったけどな」i:[…だから個人差があるって言ったでしょ…]柚木先生:「iさんの言っている時間の歪みとやらの修正は効くのかしら?」i:[…おそらく、2人が帰ってくればね…]柚木先生:「あなたには無理って事?」i:[…何が言いたいの!?…]柚木先生は、佳代との会話の間に入ってきた事が気に入らない様子だった。彩香は、ひとまず保健室を出る事にした。i:[…あたしが何も出来ないと思われてるわね…]彩香:[気にすることないよ、割り込んだあたしが悪いのよ]i:[…だけど、あの2人意味深な会話をしていたのは確かよ、家庭の事情みたいな…]彩香:[わかったよ、でも、詮索はやめよう]iは、以前よりも大人になった彩香を見ているようだった。同じ頃、仁美とMは、教室で会話をしていた。仁美:[でも、異次元で見たMの姿は本当に私が描いてた通りでびっくりしたなあ]M:[…仁美が選んだ通りでよかった、自分はとくにイケメンではないし、こんなんでいいのかと心配したんだけどね…]仁美:[十分どころじゃないよ、はまりすぎだよ]お互いに、同じ場所に居ながら姿が見えない事がなによりもやるせなかった。仁美:[いっそ、異次元とくっついちゃえばいいのになあ]M:[……]彩香とi、そして、仁美とM。皆が待っていたXと涌井の情報は、思いがけない展開となっていく。涌井が助けようとしていた娘は、実は虐めの加害者だったのだ。X:[…しかしなぜ、死んだのかがわからん…]涌井:[例え加害者だとしても、突き止めなければならない、立場が逆になっただけだよ]Xは、涌井の心の思いきりダメージを受けた痛みを感じた。
2007.08.01
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過去を変えてはならないルールは、基本中の基本。少しでも変えれば、未来に大幅な変化が生まれるからだ。だが、極めて異例のルールは存在した。リセットした結果が最悪に終わった場合のみ、過去を変える事ができる。だが、これはリセットを失敗したと見なされ、そのリセットをかけた者が責任を問われるのだ。責任をとるにも、限界があり、Xのような特殊な技法を持たなければ、責任を背負い込む事になり、選ばれし者に依頼しなければ解決しない事件である。このケースの場合、仕掛けたMが責任者となるが、途中でお節介をした形となったXにも責任があった。状況が状況だけに、涌井の強い希望は、依頼先だったXが適任なのだ。X:[…これは特別な事だ、未来を変えてはならない掟は、娘を助けてから考えるとするか…]涌井:[そんな事可能なのか?]Xは、真剣な声で言う。X:[…いいか、娘さんを助けても、過去に修正を入れた時点で、未来は変わる。その状況がどうであれ、もう俺にも手がつかなくなる…]涌井:[それが、最悪の結果になろうとも、娘を助けるかどうかって言う事だな?]X:[…そうだ、禁断のルールとされている理由は、未来に保証がないからだ、こればかりはもう奥の手はない…]涌井は悩んだ。娘1人救うために、未来の全体にかかってくる可能性が、とても抱え切れない後悔となるのか?涌井:[見ているだけでは、とても辛い、だったら、何もしないで帰った方がいい]X:[…それは無理だ、触らないにしろ、結果を出さなければならない、命懸けで過去に来た理由がなければ、来ただけでも未来が変わるかもしれない…]涌井:[即ち、一部始終見ていなければならないって事か……]涌井は、背に腹は変えられないと思い、亡くなった娘に対して祈りを捧げた。涌井:[助けたい……]その思いはXに痛む程に伝わった。そして、救援決行を意味する。X:[…覚悟はづきたようだな…]涌井とXは、目の前に現れた娘を目撃し、涙を拭いて、自殺する手前に救うための方法を考えた。X:[…あれがそうか、かわいいじゃないか、危険性がなければ、どこかで落ち合う約束をしないとな、この時は……?…]涌井:[俺はまだサラリーマンしてるから、会社にいる事になってる]X:[…この日は、少し早く帰宅する事にして、待ち合わせの約束をしよう、娘さんに伝えるのは俺がやる…]涌井:[ああ、頼むよ]まだ携帯電話が普及し始めで、娘は出遅れていた。もうこの頃には既に虐められているとすれば、携帯電話持っていれば、虐めのネタになっていたかもしれない。
2007.07.31
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時間の歪みは約24時間のズレ。それも、土曜日が1日分早く来ているので、金曜日のデジャブが生じる可能性がある。起床する日の前日が木曜日、金曜日を飛ばして土曜日になっても、この歪みを感じたこの4人以外の人間は、おそらく、普通に過ごしていることになる。木曜日から土曜日になっても、それに合わせて時間を飛ばしているのだ。それは、この学校から始まった事から、学校に直接関係のない人達は、周辺と同じように成り行きで生きているのだ。彩香:「さっき見た光景が、僅かな金曜日の時間に反映することになる、それだけ他の人達が時間にルーズって事ね」彩香にも覚えがある時間のルーズさが、どれほど鈍らせているか、時間の大切さを感じさせられた。i:[…時間の歪みはそれほど問題ではないわ、むしろ、気をつけなければならないのは、元に戻る時よ…]彩香:[デジャブの事?]i:[…そうよ、一瞬でも金曜日の分がどうしても食い込んでくるから、その時に惑わされる人が出てくるかもしれない、だとすれば、その一瞬に事故でも起こしたら、その人は2度味わう事になるわ…]仁美:[いいことがあればそれも2回でしょ?]i:[…まあ、そうだけど、最悪を考えて言ったのよ…]その一瞬が何分あるのか?元に戻るまでの時間で決まる。歪みから約2時間、X達が過去に戻ってから約2時間経過している。iはその一瞬を見極めて、パニックにならないようにする重要な役目だ。過去の学校に戻ってきたX達は、まだ改名されていない事を確認した。涌井は必死に娘を探していた。涌井:[まだ間に合うといいんだが]X:[…おそらく改名する2週間前だ、娘の心を逆探知しているからおそらく大丈夫だろう…]まだ改名を考えているはずがないが、この時点でもし考えが出ているとすれば、統廃合の可能性を見越しているだけとなる。涌井[ここは1つ探りを入れるしかないだろう]X:[…待て、むやみに話し掛けない方がいい、最悪、元に戻る時に障害が起こるかもしれない、多分、今でもiのいる時間にはもう障害が起きてるはずだぜ…]ここで問題を起こせば、ここもそうだが、現代にどう影響するか予測できないのだ。X:[…ここは穏便に、確認のための探りだけで抑えてくれ、例え娘さんを目撃したとしてもだ…]涌井:[そんな…!]見ているだけで、結果を変えてはいけないのが過去に戻るためのルールだった。しかし、Xには分かっていた。涌井がこのまま引き下がるような男ではないという事を。
2007.07.30
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iは、保健室に人がいることを察知し、彩香より早く中を覗いた。 そこには、臨時で来ている柚木先生ともう1人、生徒がいたのだ。 i:[…あれって、さっきの…] と感じた矢先、 [ガラガラ] 彩香が思い切って扉を開けた。 柚木先生と佳代がキョトンとした顔で、 柚木先生:「あなた、ノックくらいしなさいよ、びっくりするじゃない!」 彩香:「ご、ゴメン、でも今ここで何してるの?」 柚木先生:「これはプライバシーな話よ、佳代はここに相談に来たのよ。」 彩香:「土曜日にわざわざ待ち合わせしたって事?」 柚木先生:「それは偶然かしら?だって今日は普通に来たつもりだったから」 彩香:「やっぱそうなのか!間違ってないみたいね」 佳代:「私も間違えたかと思ってさっき彩香と会った時は、フラッとしてたから一旦戻ったのよ、駅に向かって。考え事してたけど、途中で学校に向かって行った彩香を思い出して追い掛けたら、柚木先生と出くわしたの」 彩香はホッとしていたが、 i:[…いや、間違いないわ、これはもう異変が起きてるわ…] 彩香:[どういう事?] i:[…僅かだけど時間の歪みが来ているわ…] 彩香[……?] i:[…それも、歪みには不思議な事に、個人差があるって事よ…] 一定ではなく、一人一人違う時間のズレがあるという事? i:[…言えることは、一日早く来ている事自体、個人でちがうのよ!彩香は自分自身がズレているけど、柚木先生や佳代の場合は、周辺がズレている、つまり、 ズレているのは周辺だけ、後は個人レベルの感じ方次第で。…] 彩香:[意味わかんないんだけど…] 個人レベルで時間が早く感じる時とそうでない場合、時間の感覚のない人等様々な状況の中で生きている。 その間に、あるきっかけで時間の歪みが生じていたにも関わらず、それに気付かずに普通に過ごしていれば、日にちを間違えていることに気が付かない。 間違いに気付く時、それぞれ視点が違ってくるので、自信をもって違うとわかる人と、おかしいと不思議がる人とに別れる。 彩香は、その説明を聞いて、人の性格や環境で、あらゆる感覚の違いを改めて知った。 彩香:[時間が人の性格を試したって感じだね] i:[…そういう事になるわね、だから時間が正確に流れて当たり前になっているから、それに甘んじてるか、それとも、時間を大切にしているかの違いなのよね…] そうなると、時間を大切にしているのは柚木先生と佳代。 じゃ、考えてないのは、 彩香:「あ、あたしぃ!?」
2007.07.30
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翌朝、彩香は、普段通りに起床し、パジャマ姿のまま、下の階のリビングにおりてきた。いつも朝ごはんを作っているはずの母が見当たらない。今までになかったことに、彩香は動揺した。iが、異変を感じて、i:[…なんか変ね…]慌てている彩香はその言葉を気にも止めずにいた。いつも起きてから10分くらいしかなく、もう学校に行く時間が来ていた。玄関にいくと、普段、父はもうとっくに出かけるはずなのに、まだ靴が置いてあった。彩香:[いるのか、まだ。]遅刻は免れない父を、彩香は起こしに戻ろうとしたが、自分もどうやら危ないので、そのまま家を出た。電車に乗って落ち着くと、ようやく、朝の事を思い出す。彩香:[どうしたんだろ?こんなことなかったのに]i:[…だから、聞いてないの?あたしの話、さっきから変だって…]彩香:[変かどうかまだわからないわよ]急いでいた彩香はまだ異変とまでとっていなかった。改札を出た後、佳代が歩いていた。少し様子が違った。彩香:「おはよ、珍しいじゃん、今日はいつもより遅いし」すると、ずっと下を向いていた佳代は、佳代:「あ、彩香、何と言ったらいいのか」深刻な顔をした佳代を見て、彩香:「ここで話したくなかったらいいから、無理しないで、この時間遅くてヤバイから、脚、早めた方がいいよ」と言って、早足になった彩香になかなか着いてこない佳代。彩香:「遅れちゃうんだよ、普通に歩いちゃあ!」いくら呼んでも、普通に下を向いて歩いている。どんどん離れていき、やがて見えなくなった時、仕方なく少し逆に戻ってみた。だが、不思議な事に、歩いているはずの佳代がいなくなっていた。彩香:「え、ウソォ!」あたりをキョロキョロしても、佳代はいなかったのだ。彩香:「まさか、出し抜いて先行ったかも!」そう思うのが普通だった。急いで学校に駆け付ける彩香は、3階の教室へと駆け上がり、ザッと扉を開けた。誰もいない………生徒も、教師も、来ていない!?彩香は、いない事よりも、自分だけが学校に来た事が、何だか不思議に感じていた。目をこすってカレンダーをよく見た。そうしたら、今日は金曜日のはずだった。急いで学校を出て、今日の正しい日付の情報を探した。校門を出て、少し歩くと、お店に設置してある電光掲示板の表示を見た。○月○日土曜日!彩香:「ウソォ、金曜日じゃ!?」彩香は自分が勘違いしているのか、気が動転していた。それはそうと、さっき見かけた佳代の事が気になった。土曜日で休みなら佳代は部活?いや、佳代の部活は文化系で土曜日にはないはず。彩香:「でも、間違いなく、あれは佳代だった!でもいなくなった、どういう事?」彩香は、学校に戻り、仕方なく自分の教室に行き、昨日洗濯に持ち帰るのを忘れた体育着を持って帰ろうとした。1階に降りて靴を履きかえようとしたら、人がいる気配がした。i:[…保健室?…]
2007.07.26
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そっと扉を開けた彩香は、以前と変わりなく机に向かって座っている柚木先生を見つけた。柚木先生:「どうした?まだいたの?」机に向かったまま話し掛けられた。彩香:「ちょっと疲れちゃってね、少しいいかな?」柚木先生:「疲れを取るなら自宅が1番よ」素っ気なく言われて、彩香は膨れた顔をした。すると、i:[…ね、もう起きてるんじゃない?…」]彩香:[何がよ?]i:[…だから、Xが言ってたやつ…]彩香:[え、まさか、どこに?]i:[…ここによ、先生何だか変じゃない?…]彩香は、柚木先生に少し近づきながら、彩香:「先生、どうしたん?」すると、柚木先生:「うるさいわね、彩香もあたしの事笑ってるのね!」彩香:「??」その時、iは柚木先生の心理を探り、事情を突き止めた。i:[…先生、続いてた不倫、やっと終わったんだ、ようやくまともになったんじゃん!…]破局と異変とはまったく無関係に思えるが、彩香:「そんなことないよ、今は苦しいかもしれないけど、これでよかったんだよ」慰めに徹した言葉に、柚木先生:「あなたたちがやっていた、リセットとかいうのがきっかけじゃないかと思ってね、彼、まともになったのかもしれないね」唯一リセットの事実を知っている柚木先生にとって、あのリセットを恨みと安心とを併せ持った気持ちで、身体疲れ切っていた。心のリセットはそう簡単なことではない。忘れてたくても忘れられない事、忘れてしまったことを思い出せない、単純なことではない事を意味する。不倫が悪いとかいいとかではなく、確かにあった心のよりどころが、消えるという方が深刻な悩みとなり、人間として、この先何かに縋っていかないことには生きていく自信がなかったりする。所詮1人きりでは成り立たないのが人間の生き方であり、自分に合ったライフスタイルを見つけるまでは時間を要する。でも、見つかって初めて本当の自分だけの生き方が動き出すのだ。柚木先生にとって、この時期を乗り越えるには、生徒の声や、周辺の人達との戯れで、生き方の方向を見つける事が大事である。iは、その内容を盛り込みながら、彼女の心に埋め込んであげた。一方、仁美はMと”ふたりきり”で教室にいた。まだまともに2人だけになったことがなく、何を話したらいいかわからなかった。M:[…無理に話す必要はないよ、あなたが浮かべる思いだけで十分伝わる。…]仁美:[それってあれよね、言っていいことと悪い事め両方を思った時点ですぐわかっちゃうのよね]M:[…その通りさ、でも、仁美が思う事全てが僕は聞き受けるのが好きでたまらないんだ、だから気にすることはないよ…]2人は、心を更に密接させていった。翌朝、異変は意外な場所で起きた。
2007.07.25
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その声は紛れもなく、引退したはずのXだった。彼は、特殊能力を持ち、異次元から他次元への接続を可能にしている。彩香達の会話もおそらく盗み聞きしたのだろう。涌井:[お前、話し聞こえたのか?]X:[…おかげさまでね、不可能な話しが聞こえてくると思えば、やはりあんた達だったって事さ…]Mはその時ムカついていたが、仁美の心に抑えられた。彩香:[涌井さんと一緒に行ってもいいよね?]X:[…ここは皆の協力が必要になる、だが、それは一緒に行く事じゃない…]彩香:[え、違うの?]X:[…実を言うと、過去に戻った事はあるが、まだリセットする前というのは初めてなんだ…]彩香:[えーっ!]涌井:[お前、それで自信満々で来たのか!?]X:[…やったことはない、けど、可能なのは間違いないんだ。だから後は実行するのみよ…]彩香:[なんか単純な発想ね、やっぱりXはXって事ね]彩香と仁美は、自信過剰なXを冷たい眼差しで見ていた。涌井:[それでもいい、実験台でいいから、俺を連れて行ってくれないか?]X:[…これは実験台なんかじゃない、任務だ…]涌井は涙を流して、Xに感謝していた。口は悪いが、気持ちがはっきりしていて優しい内面が、涌井には伝わっていた。X:[…リセット前に行くとなれば、きっとここにも何か異変が起こるかもしれない、それを君達に対処してもらう。どんな些細な事でもな…]M:[…僕らに出来る範囲なら…]X:[…何自信無くしてるんだよ、ここの次元ならスペシャリストなんだろ?…]嫌味な発言は、Mを通り越し、仁美に伝わり、仁美:[ゴタゴタ言ってないで早く行け!]彩香:「ひ、仁美!」i:[…面白い子ね…]X:[…フフフ、気に入ったよ、ネエチャン…]仁美:[何よ、]強気に出ていた仁美の心はかなりビビっていたのをMが感じて、M:[…仁美の気持ち、十分伝わったよ…な?]X:[…お前がわかってりゃそれでいいさ、じゃ、いくぞ…]Xは涌井の心に入り、準備体制に入った。[…じゃあな…]息つく間もなく、涌井は、この場から消えた。彩香と仁美は、これから何が起こるのかわからないまま、放課後の町を見回していた。M:[…とりあえず、校内に戻ろう…]i:[…気を落ち着かせてね…]彩香は、中にいるiにこっそりと伝えた。彩香:[ねえ、ふたりきりにさせようよ]i:[…気が利くわね、今がいいかもね…]彩香は、教室に戻る途中で、彩香:「仁美、先に行ってて、ちょっと保健室の様子見てくるわ」といって、すぐに仁美から離れた。仁美:「?……」すぐに降りて来て、彩香:[ちょっとわざとらしかったかなあ?]i:[…かなりねぇ…]そして、保健室の扉をノックした。「どうぞ」
2007.07.24
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過去に戻る手段は、リセットの後では、リセットした過去しかないという事は、学校の隠蔽もなかった事になる。しかし、以前の過去は完全に消滅したわけではなかった。それを証拠に、改名したままである事自体、改名したという過去が残っていることになる。いくつかの高校が統合し、総合高校となったとあるが、この情報には裏ある。どこに統合させるか論議となり、ちょうど同じ時期に、例の事件が起きている。隠蔽のために、お金を出してまで、この学校に統合を呼びかけ、改築と同時に、証拠隠滅を実行した。しかし、OBからの強い希望があり、仕方なく記念碑を設けるしかなかった。高いお金を払ってまで隠蔽をした割には、そうした石碑などの名残を残す形となって、話題にはしないように事件を知っている教師の間で囁かれていた。そして、時が経ち、その件を知らない教師だけとなり、改名の本当の理由も、石碑があるという事実も聞かされず、今日に至るのだ。涌井にはその事実を必ず探り、記事に公開すると誓い、娘のうかばれる場にした上で、ようやく報われると信じている。Mとiで合併し、仁美と彩香とで、過去への道標となる石碑の前に立っていた。彩香:[どうにもならない気もするんだけど、なんか解るの?]M:[…いや、わからないさ、というか、きっかけを見つければ、何かわかるかと思ったんだけどな…]i:[…こればかりは、あたしたちは、過去に戻る事が出来るのは、リセット後であり、しかも、十年は無理だと思うわ…]M:[…それでも戻ってみる価値ないと思うか?…]そう言われると、iも静かになり、沈黙した。彩香:[ていうか、それって、放課後でいいんなら一緒に行ってもいいよ]仁美:[行くなら行くよ、優柔不断なんだから]M:[…ありがとう、君達の迷惑にならないように、この同じ時に戻ればいいよね…]i:[…自信がついたようね、涌井さんはどうする?…]涌井:[過去に行くのは私だけにしてくれないか?]彩香・仁美:[……]M:[僕達は、1人に1人しか入れない、だけど、僕1人では過去に行けない。…]i:[…娘さんに会いたいのね…]涌井は、涙を浮かべながら、涌井:[そりゃあそうだ、ここに連れて来れないなら、自分が行った方がいいだろう、伝えたい事もあるしね]すると、[…困っているようだな…]彩香:[だ、誰、今の声?]涌井:[お、お前……]M:[…いつの間に…][…そういう仕事は皆には無理だ…]
2007.07.23
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禁断の手法をとった例は昔にあった。Mと同じ、他の次元の女の子と恋愛関係までになった派遣が、やっとの思いで任務完了したあと、かなりの能力を使ったために、あともう少しというところで、命を落とした。残りのかけら分の能力があれば、命は助かったといわれている。繋ぎ止める理由も同じ。いつまでもそばにいる、女の子に気付かせまいとする思い。仁美は、そのことに気付かないまま、いつもの時間を過ごした。すると、彩香:「なんかさあ、あの一件を思い出すたびに、Mがなんかしていると想像しちゃうんだよね」仁美:「それって、いつもと違うって事?」彩香:「いや、そんなんじゃなくて、なんか…」すると、なぜか、仁美は、仁美:「言うなあ!普通でいることが大事だって言ってたじゃん!」彩香:「え、ご、ゴメン、そんなムキにならなくても…」仁美:「彼がいるっていうだけで、事件が関係あるって思うなあ!」かなりの言い草だったが紛れも無く、愛がきっかけ。仁美にはMがまだそこにいる理由がわかっていた。任務が終わってないからだって事を。でも、ひとかけらのきっかけでもいいから、自分に向いて欲しいと思っていた。その、ひとかけらになろうとしているMは、もうすぐ異次元に戻らねばならない。涌井は、Mが戻らねばならない事をiからも伝えられ、この一件は、難しいながらも、iに挑戦してもらおうと考えた。涌井:[あんたはもう十分やってくれた、もう気にしないでいいから、自分の事を考えるんだな]M:[……]答える事が出来ないM。こうやって考えれば、いつまでも永遠に事件が発生する毎日、体1つでは決して解決には結びつかないケースだって多い。学校の一件は、Mにさえ不可能とさえ考えられる作法を取り入れなければならない。例え、iと共同しても、力の問題ではなかった。仁美が、Mが事務所に呼ばれていることを知ったら、やはり耐えられない気持ちになるはずだ。Mは決断した。自分は仕事、それ以上に守らなければならない存在を、例えカケラだけでも一緒にいたかった。iも、その思いに、i:[…いいんじゃない、その気持ち、大切にしたほうがいいし、後悔できるものじゃないから。異次元に戻れば、もうほぼ永久に会うことはできないはずよ…]M:[…わかるか?あんたにはこのなんともいえない気持ちが?…]i:[…わかるよ、女として見れば、やはり状況を考えたら後悔は最大の敵よ…]Mは、iの後押しで命の一部を仁美に委ねる事を決めた。それは、永遠の愛を誓うものであり、それと同時に身を削る意味でもあったのだ。
2007.07.22
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リセットした後の過去は、リセットされた過去。タイムマシンを使おうが、行きたい過去とは違う、なかった事になっている過去に過ぎなかった。Mや、他の派遣会社からも、過去にさかのぼってリセットする事は、特別扱いであり、許容範囲外な考えだった。つまり、事例がないという事だ。だから、リセットした後で、元の過去を探り当てる経験は持ち合わせていない。Mがこのまま過去に行ってリセットしたところで、隠蔽を更に上乗せするだけ無駄な行為となるだけだ。事実を知った以上、現在を生きる事に悔いが残る事になるが、知らない方がまだましだったのかもしれない。涌井は、この事実をおおやけにするつもりはなかった。だが、しらをきる学校を見て見ないふりをするのも考えものだと思っていた。この願いは、深く、そして遠く、電波の如く浸透していく。M、そして、仁美は、彩香と共に、叶わぬ希望を抱きながら、日々を過ごす事になった。いつものように学校へ行き、いつものようにクレープを食べ、そして、いつもより会話が交わされた。しかし、その日々も長くは続かなかった。Mには、最後の任務である、仁美の心のケアに関して、事務所側では、「もう既にクリアしているのでは?」という判断で、まもなく仁美の元を離れなければならなくなった。Mは、新たな件として、隠蔽クリアを提示したが、事例のない任務には承認されず、延期が認められない事態になってしまった。Mは、M:[じゃあ、僕が事例を作る]と言ったが、事務所:[君が優秀なのは変わらないが、やはりその一件までは首を突っ込むわけにはいかないだろう。]M:[しかし……]Mの言葉を打ち消すかのように、事務所:[君は、現代の任務に長く居すぎた。気持ちはわかるが、こちらでの活躍にまわってくれ]派遣に決定権を持てず、従うしかなかった。Mは、1つだけ仁美と希望を繋げる方法をとった。この方法は、異次元のこの業界では禁断の手法とされる方法であり、決して軽くはない違法行為だった。それは、仁美の心にMの能力の一部を切り取り、置いて行く方法だった。2人を繋ぎ止める唯一の手段だが、危険も伴うため、違法としているのだ。それは、Mの能力を低下させるだけでなく、M自身の命を脅かす原因にもなるのだ。Mのかけらを残す事は、仁美には内緒にしていた、それでもまだ仁美の中にいることになっているからだ。悲しむ仁美を見たくない、いつでもそばにいたい、そんな強い気持ちが、次元を越えた恋を築くきっかけとなると信じていた。事例のない恋、次元を越えて、作り出された願いは、はかなくも現実には至らないのか?人気blogランキングへ
2007.07.19
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自分の母校で、いじめの隠蔽があったことを初めて知った。しかも、後にも先にもその一件だけ。なぜそうなってしまったのか、なぜ防げなかったのか?涌井はその時、学校側は、判断に困ったあげく、学校の名前や、一部の教師を解雇させて、その場のがれ的な行為に出たとみていた。文房具を毎日買いに行き、クレープ屋を提案したのは、紛れも無く、涌井の娘だと断定できた。彩香:「娘さんのおかげなのね、ここで美味しいクレープが食べれるのは。でも、あまりにもやる瀬ないわ、このままじゃ」仁美:「そうよ、うちの学校で起きた事実が浮かばれないまま、これじゃあ、まるで教訓が活かされてないわ」涌井:「現に、仁美さんもそのような目に会ってるんだ、ある意味、彩香さんという、強い友情で学校がもってるだけかもしれないがね」仁美:「あと、この人」涌井:「ああ、そうだったね、M」Mやi、そしてXの存在で、今は普通の学校に戻っていたが、逆に、悼まれない過去を隠す手伝いをしたような形にもなってしまった。あの石碑を見ても誰にも記憶がないのも当然だった。しかし、そんな過去が残ったままリセットされるという事は、今のところ、完全なリセットではなかったという事か?トータル的なフルリセットならば、現在はもちろん、過去の出来事も再起動されるべきなのだ。M:[…よく考えたら、あの石碑、リセットの前にはあったのかな?…]彩香:「それって、元々なかったって事?」M:[…ああ、そうだ。考えても見ろ、仁美の件も外部にまで噂が流れた、隠蔽すら無理な状態だった。だけど、リセットの後に石碑が現れたって事は、また違う次元で起きたという事にはならないだろうか?…]涌井:[難しい事を言ってるなあ]仁美:「あれでしょ、現代、現次元とはまた違う過去」彩香:「要するに、もうひとつの過去っていう意味?」M:[…有り得ないが、考えられない訳でもない…]物語をこれ以上、複雑にするつもりはないが、リセットにバグがあったことを考慮すれば有り得る内容だった。あるはずのない過去。今では普通に動いている歴史は、違う次元の現代という事なのか?M:[…複雑な思いで、リセットした状態が悪かったのか、変わらないのに違ったリセットをしてしまったのか!?…]仁美:「今の現代じゃあまずいのかしら?」涌井:「まずいというより、知ってしまったというか、このまま穏便にするという事は、隠蔽と変わらないのではないか?」M:[…これはちょっと難しすぎる、今が元通りには変わりないからなあ…]彩香:[この現代から過去に戻ったらいいのにね]M:[…リセットすると、過去なんて物はもうないんだ、なかったことにするんだからね]
2007.07.18
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校門近くに来た彩香達の会話にあったクレープ屋がどうのこうのという内容は、まるで待ち伏せしていたかのように居た涌井に、邪魔したかと気付き、涌井:「どうだい?足止めさせてしまったお詫びに、君達がよく行くクレープ屋に連れて行ってくれないか?」彩香:「あ、知ってたん?」恥ずかしそうに答えた彩香の目は、期待に満ち溢れていた。涌井:「ご馳走するよ」彩香:[ビンゴ!]M:[…ヤレヤレだね…]彩香の案内で来たそのクレープ屋は、他の生徒達も群がっていた。涌井:[娘もきっと、ここへ来ていたのだろう…]そう思いながら、シンプルなバタークレープを頼み、彩香達にも好きなクレープをご馳走した。彩香:「いただきまあす!」仁美:「お言葉に甘えて」2人の風景は、ごく普通の事で、楽しかったはずの高校生活を、陰険ないじめによって破壊されてしまった涌井の娘。普通の生活すらすごせなかった娘の思いが、Mの胸に熱く伝わる。その熱い気持ちはすぐに仁美にも伝わっていた。笑顔でクレープを食べていた彩香の前で、仁美は涙を零していた。それを見た彩香は、彩香:[娘さんを思うその重みを、一生背負っていくのかなあ?]M:[…そうだね、その思いだけは、決してリセット出来ないからね…]いくらリセットを重ねても消える事のない記憶。人間には、必ず一つは持っているはずだ。学校では、そういう部分を生徒に伝える事が1番難しいとされている。だから、生徒と親との接点の時間をいかに上手く使うかが大きいのだ。涌井は、なかなか美味しいと思ったクレープ屋に、涌井:「ここはいつからやってるんだい?」店主:「ちょうど、10年目になりますね、あの学校が改名したとか何とかで、同じ4月にオープンしたんで、記念に提携させてもらってますよ」涌井:「なるほど、考えたな、じゃあ、改名する前はいなかったんだね?」すると、店主:「いやいや、その前からもいたんですがね、文房具屋やってたんだけど、デジタルだなんだで、売り上げが悪くなったんですよ、それも、あるきっかけで…」涌井:「あるきっかけ?」無理矢理口に押し込んだクレープをモゴモゴさせながら言った。店主は、店主:「大きな声では言えませんが、クレープ屋を始めた本当の理由は、1人のあの学校に通う学生さんだったんです、暗い顔しながら、クレープがこの町で食べれたらいいな、って、言ってたなあ」涌井:「学生、さん?」店主:「そう、その子、ほぼ毎日来てくれて、ノートやシャーペン買いに来ていたんですが、なんか変だと思いましたね」彩香:「そうそう、ノートとか毎日のように買いに来たっていうのが妙だわ」店主:「数日後、急にその子は、店に来なくなったんですよ、あんなに来ていたのに」涌井:「…!」涌井は、ツバを飲んだ。そして、Mは、[…そうきたかぁ…]Mは既に、まさかと思った。店主:「後で聞いたら、その子、自殺したらしいのです、学校側では事故と言ってましたけど、私はその時ピンと来ましたよ」涌井は、涙に溢れた目をこらえながら、涌井:「そ、そうでしたか、それでクレープ屋を?」店主:「少しでも報われるかと思ったのか、気がついたらクレープ屋やってましたね」
2007.07.17
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こうなるのは運命だったのか、涌井は、Mと既に出会っていたことを忘れていた、 というより、忘れたかった過去に存在していた。 涌井:[以前に喫茶店で過去の内訳を説明したと思うが、 娘の事件で、私が乗り出した時に、既に異次元の噂は聞いてたんだ。 でも、娘を追い込んだのはいじめ以前にあった、 噂話でかなりストレスでダメージを受けていたらしい。 だけど、最初はその噂には一切聞き入れなかったんだ。] ネット検索で探しているうちに見つけた、 謎の裏側に通じるリンク先を見つけ、その中にあった情報にあるキャッチコピーを目にした。 それが異次元の内容を表記したサイトへのバナーだった。 M:[…でも、異次元にある、数ある事務所の中で、(噂を受け止める) というキャッチに目を奪われたのが偶然、うちの事務所だったとはね。…] そこに所属していたのがMだった。 娘を追い込んだ真相の中にある、 噂話の内容がほとんどと言われ、カウンセラーは、涌井にMを紹介したのだ。 今では心を読み、過去の出来事や、 発言した履歴を見る事は簡単だったが当時はまだ、Mにしか出来なかったのだ。 Mがきっかけで事務所が増加したとも言われる位だ。 Mは、涌井の心から娘の過去を探り、日頃受けていたいじめや噂話を洗いざらい涌井に伝えていった。 いじめが事実だということを確信出来た涌井は、その内容を記事にした。 すると、学校側と、いじめに携わる生徒の親に、プライバシーやら(うちの子に限って)とかいう理屈で訴えられ、結局、解雇させられ、今のフリーに至るのだ。 Mの履歴探索も、やはりプライバシーに関わると問題にされ、容疑者以外の探索を中止させ、一般での探偵業務はほぼ廃止に追い込まれた。 それ以来、Mに仕事が無くなり、涌井とも自然に会う事は失くなっていた。 そして、早くも8年。 Mは完全にあの時の事を思い出した。 M:[…実を言うと、あの時の事はあまり思い出したくなかった。 自分が試されたみたいで、ダメだったからハイ終わりっていう使われ方を許せなかった。 今だったらまた違ったんだろうけどね…] 仁美:[今ならOKって事?] Mは、いつでも心を読む体制でいた。 M:…[あの時はまだ若かったな…] 涌井[思い出させて悪かったが、でも、嫌な思い出の方が、教訓がたくさん潜んでいるんだ] その教訓が活かせるかどうかが、1番の問題だ。 次々に起こる事件や事故の処置が悪かったりすれば、それを教訓に、次回に反映させることが大切だから。
2007.07.17
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学校は以前の姿に戻っていた。いじめもなく、エリートという話題まるでなかったかのように、昔からの伝統を積み上げてきた学校になっていた。リセットの後、異次元に移動していた時から学校にいた彩香と仁美にだけ、片隅に記憶として残されていた。この事は、2人だけの秘密で終わるのだろうか。仁美の中にいるMが存在するという事は、まだ、大事な任務が残されていたからだった。涌井は、今の姿の学校を取材し、自分自身が通っていた頃と照らし合わせていた。涌井も、Xを依頼した者として、記憶を持つ人間の1人だが、Xが[選ばれし者]とまでは、さすがに知るよしもなかった。涌井:「任務を果たした事に礼をいいたかった。でも、いい記事にすれば、きっとその思いが伝わるかもしれない」涌井は、取材のため、校内を見回した。すると、少しだが、変化が見られたのだ。涌井:「はて、この石碑あったっけなあ?」見つけたのは校庭の反対側にあたる校舎の裏にあった石碑だ。よくみると、十年前に出来たものらしく、何に対して建てられたのか書いていない。涌井が卒業したのは、11年前だから、そのあとの事について調べればわかると思った。校内に戻って、田中先生や、柚木先生にも挨拶し、赤津先生も、相変わらずで、保健室を通っているらしい。赤津先生がこの学校に赴任したのが、ちょうど10年となるらしい。涌井:「裏にある石碑の事で尋ねたい」すると、赤津先生は、赤津先生:「え、何それ、そんなのあったっけ?」信用出来なさそうだったが、10年以上勤めている教師を捜すも、残されていたのは副校長位だった。副校長:「あれ、そんなものがありましたっけ?」涌井:「何なら見に行きませんか?」副校長:「そうっすねぇ」2人は、その石碑のある裏に行った。確かにそこには石碑があった。しかし、誰一人、その事に気が付かない、10年前の事を知らない。副校長:「確か、10年前は、この学校が、改名したころだと思いますが、それと関係あるのかもしれませんね」涌井:「改名?それは何のためにです?」副校長:「隣町にあった高校と合併したためです」涌井:「それは、吸収されたのは?」副校長:「こっちの方です」涌井は、ようやく、変わらなかったはずの母校に唯一、変わったことを知った。吸収されたという事は、おそらく、生徒の人数が足りなくなったか、経営に問題があったと思われるが、どうも、そんな事ではない感じがしていた。涌井:「誰にも知らない事実があったのは間違いないな」その件にターゲットを置きながら、母校の記事を特集することにした。
2007.07.12
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ウイルスは、現代には一切消滅し、学校が戻り、そして、学校の風潮も戻っていた。まさに、偉業を3項目も、瞬時にこなしたことになる。だが、比重はXの方が遥かにかかっていたために、Mの任務としての功績は薄いものとなっていた。Xは異次元にもどるとすぐに、ウイルスを体内で焼失させ、良性の空気として再生させた。この身体の構造は、鍛え抜いた筋肉の他に、伝説の薬物投与による内蔵の強化で、体内、外連動な免疫を備えた。その能力を使いこなすようになってから、多次元紀行が容易になったという。Xが、正真正銘、[選ばれし者]なのだ。人柄か、口が悪く、自分の事を表に出さない性格のため、他の派遣者と同等の任務に着いていた。だから誰も気が付かないし、自分自身も特別と思われたくなかった。今回の一件では、X:[仕方なかった、皆の前でやるのはな、でも、これでもう、普通ではここにはいられなくなっちゃったな]救えた事よりも、面倒臭いと思う方が強かったX。事務所からは高く評価されたが、それを拒否し、事務所を出る事を決めた。i:[これからどうするの?]X:[本当を言えば、ここにいるのが長すぎたようだな、選ばれし者はもう引退だ、2度とやらないだろう]i:[何故、そこまで!?]X:[あの一件のような事が起こらなければ、必要性のない技術だ、そんな能力なんか、リスクが多すぎて、ストレス貯まって、そっちで死んじまうよ、俺は生きたいから、もう忘れるんだ]i:[Mに残したあの事実のフォローはどうすんのよ?]X:[そんなの、俺がやることじゃあないだろう?あいつはあいつなりに考えて、任務こなしながら、近づけるものがあるだろうが]i:[…!?]X:[馬鹿だなあ、わからないのかあ?それは俺には出来ない事をやろうとしてんだぜ]Xに出来ない事?それは、シンプルで、最も身近なことだった。iも、何となくだが、これ以上聞いても変わらない事を悟り、わかった気がした。i:[これから何処に?]X:[そうだな、涌井と過ごすかな、あいつ、面白いぞ]そう答えたXは、派遣証と、事務所解除の証を机に置いて、事務所を去っていった。i:[Xの栄光は、あたしの記憶だけに留めておくわ]それから、Xの話題はしなくなった。彩香と仁美の所にいたMは、しばらく黙っていた。目の当たりにした[選ばれし者]の活躍ぶりは、まさに伝説そのものだった。身体を整え、鍛え、耐え抜く人に性格も見た目も関係ない事に、そのギャップに圧倒されたのだ。事務所を去ったXと、やる気のないM。女子高生との任務終了を前に、このまま終わってしまうのか?
2007.07.09
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学校から流出したウイルスを寄せ付け、自らを異次元に転送させる事で、悪性から良性に変換させる計画は、Xの身にも変化が起きる可能性があり、Mは、ここに来ている派遣者の中に、あの選ばれし者がいないか訪ねた。派遣者A:[あの事務所には、その伝説の人が出ているのは記録にないな]派遣者B:[あそこの事務所に1人いたらしいが、それが誰だかわからないし、今日だって、この件で来ているかどうか?]M:[派遣会社全体に呼びかけたのではないのか?]Mは、この一件の情報が一定に流れているか心配だった。もし偏りがあるなら改善した方がいいはずだ。1人、学校周辺を気によって取り囲むX。それを見守る事しか出来ないM達。学校の中では、教師達による、厳重な体制のもと、生徒達も、その様子を見ていた。その中に、異次元の彩香と仁美、田中先生や柚木先生、赤津先生も存在するが、エリートを設定していないため、菅野先生は存在しなかった。その部分だけは、現代の学校が強引に奨めてきた事で、表と裏の食い違いが生じているのだ。Xは、その食い違いから何かと変動が起こっている原因とも思われる中、裏工作という文字が頭に過ぎっていたのだ。X:[いくぞ]掛け声とともに、Xの身体にウイルスが寄せ付けられ、学校周辺からはウイルスが消え、現代の空気中に舞っている全てのウイルスがXに収まっていった。M:[あいつの身体に何分付けていられるかだ]まわりのウイルスはみるみるうちにXに吸収され、パニックを未然に防いだ。と、同時に、学校と共にXがスッと消えた。M:[な、なんだ?この能力は!?]そして、すかさず、また学校が現れたのだ。これは、まさしく、現代にあった学校だった。派遣者A:[あの現象、どこかで聞いた事のあるような……]派遣者B:[異次元と現代との転送、しかも瞬時入れ替え!]皆が注目していた現象。これはまさに、神業としか言いようがない。M:[ま、まさか、伝説の選ばれし者って……]そう思った瞬間、Mはその場で途方に暮れていた。あんな奴が、どうして?頭の中がからっぽになったように、ぼーっとしていると、[何かお悩みのようで]M:[…?…][そんなことでは、中に入れないんじゃないですかぁ?]M:[そ、その声は!…]学校の中から聞こえるその声は、強く、そして、優しかった。M:[…ひ、仁美!…]まっしぐらに、学校に向かっていったM。それを見ていた派遣者達は、派遣者A:[あれであのマスターなのかい?]派遣者B:[ああ見えても、一番人間に近いんだよな、心がさ]そう言って、異次元に戻っていった。残ったMにはまだ仕事が残っていた。
2007.07.08
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Xにしかない特殊な能力。彩香とMにかけていたあの忌ま忌ましい”飛ばす能力゛の事だ。気をためるのではなく、言葉にその役割をさせる異質な能力に、過去の使われ方が悪かったせいか、[悪]のレッテルを貼られていた。思いを寄せる彼氏の名前を呼んだ瞬間、思いと反する行動に出たり、許せない彼氏が忘れられないという思いを消去させるために、名前を言った瞬間、自動的に彼氏の記憶をリセットさせたり、[別れさせ屋]とした仕事が多かっただけに、決していい使われ方とは言い難いが、それが仕事の一環としてきたX。言葉変換するということは、Xがそうさせたい事をある違う言葉にかけて、相手にそれを言わせたり実行させるといった、相手の気持ちの意に反した内容に変えるのだ。嫌われても仕方のない内容だが、依頼が多いのも事実。それだけ、自分ではやりたくないが、人にやってもらうのなら、と思っている人はいくらでも存在するのだ。Xのような仕事は、やはりある程度の経験が必要で、間違った方法で実行することは許されない。言葉に反する事に発展させるのだから、言わせる方の立場はある程度放棄しているようなもの。それを、言わせている依頼者にも、受け入れる気持ちが必要であり、その気配りをXたる派遣が請け負う、それだけ、言葉の重要性を掴んでもらえる事が、この仕事の総仕上げといったところか。Xは、言葉の言えないウイルスに対して、役目を変換させる事を考えていた。悪質な反応から、異次元空間と同じ良性に変換させるというものだった。ただし、危険なのは、X自身に全てのウイルスを寄せ付けなくてはならなかった。その効果が現れる間に、悪性のまま取り込む形になるため、Mは、その方法には反対だった。X:[誰かがやるしかないんじゃないかあ?能力のある者がやった方が一番だと思うがな]M:[そんなことはわかってるよ、でも、決して名案とは思わないな]X:[と言ったって、他にないだろ?]M:[………]学校の中はほぼ全員の登校が済んで、授業をする予定だったが、現代にいる異次元の生徒が、落ち着いていられるわけがなかった。生徒A:「外に出たら死ぬぞ」生徒B:「オメェ、ちょっと外行って食い物買ってこいよ」といった生徒が後を絶たなくなって、それが本心で言っているのか、冗談かも区別が着かないくらいに、校内を飛び交っていた。M:[先にやって欲しいのはあの生徒達の言葉を冗談にして欲しいな]X:[冗談でも許せないぜ]Xは、どうしようもない事を口にする生徒達を助ける気にはならなかったが、現代の人々にまで伝染することはやはり許される事ではなかった。お互いの立場から、やはり転送するのが一番の策だ。X:[本当ならこいつら、リセットしたいよ]
2007.07.04
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