全23件 (23件中 1-23件目)
1
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)最終話初空(チュコン)の護神呪が祥雲(シャンユン)こと滄海(ソウカイ)の元神を守った。3万年前の婚姻の夜、決して離れず、生死を共にすると誓った2人。しかし初空は滄海を救うため身代わりとなり、もはや共に年を重ねることができなくなった。「あの時、君は言ったな、″私は死んだら雲になりたい″と… 私はもっと欲張りだ、死んだらこの世の山や川、そして風や月になろう これからは自由にどこへでも行ける…祥雲、今度こそ本当にお別れだ」初空は最後に一度だけ祥雲に触れようと手を伸ばしたが、そのまま力尽きてしまう。「初空?…初空nnnnnnnnn!」祥雲はなす術なく初空を抱きしめたまま泣き叫んだ。その時、最後の牽糸引(ケンシイン)が切れ、初空の魂と肉体は離散してしまう。…元気で、いつの日かまた会える、我が妻よ…天界を襲った強い邪気が消え、黒雲が晴れた。南天門では摩羅(マラ)族と天兵の争いが収まり、修茗(シゥミン)は天穹玉(テンキュウギョク)で滄海の無事を知る。そして天界に平穏が戻った。昊軒(コウケン)が無界に落ち、3万年に渡る天界と摩羅族の争いが終結した。しかし2度と戻って来ない者もいる。戦神・初空は長きに渡る兄の陰謀を全て打ち砕き、その身を犠牲にして共に滅んだ。祥雲は滄海の霊力を取り戻すも女帝に復帰せず、錦蓮(キンレン)錦蘿(キンラ)兄妹に摩羅族を託し、天界は修茗に任せてしまう。こうして修茗は事実上の帝君となったが、本人はあくまで滄海の代理だと断った。「私を″神君″と呼ばなくていい、これからは尊卑の別なく、世の皆と仲良くするように…」「英明です、殿下!」煩わしい政から身を引いた祥雲はしがない1日、晨星(シンセイ)台で酒を飲みながら星を見上げていた。…初空、あなたがいなくなってから、良く夢を見るの、知っているようで知らない夢、でもとても鮮明で現実のようでもある…滄海に戻った祥雲は歴劫の記憶を失っていたが、たびたび初空と共に経験した情劫を夢に見ていた。ある日、修茗は相変わらず独りで星を眺めている祥雲を訪ねた。「私がへまをする前に帝君に戻ったらどうだ?全てを投げ出したのは一晩中、星を眺めるためか? …戦星は流れた、初空は戻って来ない」「修茗、運命の相手に出会ったら必ず大切にしなさい 私たちのように何度も過ちを繰り返せば悔いが残る」その時、祥雲は一瞬、戦星が光るのを見た。「はっ!初空だわ、やっぱり生きてる!私を待っているのよ!行かなくては!」「ふっ…見つけたらすぐ戻って来いよ」「ありがとう」修茗は祥雲の背中を見送りながら、ようやく全てのわだかまりが解けた。自分たちの間にある情は男女のそれを超越したもの、何があろうと最も大切な家族であることに変わりない。…自分の幸せを追え、滄海…錦蓮と錦蘿が紫輝(シキ)を探して300年が過ぎた。2人は半ば諦めていたが、その日、ついに人間界のある街で転生した紫輝を発見する。しかし人間の紫輝にはすでに″錦蘿″という可愛い許嫁がいた。錦蓮は妹のため紫輝を捕まえて来ると言ったが、錦蘿は止める。「彼の望みは普通の人間になることだった、これでいいの」2人は幸せそうな紫輝と許嫁を見守った。すると実はその錦蘿は許嫁ではなく妹で、紫輝は妹の婚約準備の買い物に付き合っていただけだと分かる。(* ゚ェ゚)<哥、いつになったら嫂を探すの?まさかまだ夢の中の女子を待っているの?( ̄꒳ ̄)<探してみせる、見つかるまで探すさ!錦蘿はそれが自分のことだと分かり、喜んで紫輝を追いかけて行った。紅線翁(コウセンカク)と孫(ソン)天王は独り身の修茗を気にかけていた。そこで2人で一芝居打ち、どさくさ紛れに修茗の手首に運命の赤い糸を結ぶことに成功する。(´゚艸゚)<引っかかった@孫一方、人間界へ初空を探しに向かった祥雲は…。祥雲は夢に見る光景がかつて経験したことだと確信、歴劫で人間界に行くと決めた。…初空、私を信じて、過去でも未来でも、どこにいようとあなたを必ず見つける…祥雲が紅塵(コウジン)井へ飛び込むと、初空との6回に渡る情劫の波に飲み込まれた。ここは人間界の姻縁祠(シ)。祥雲は境内で参拝客に願掛けの札を売っていた。その日は白髪の老夫婦が祥雲から札を購入、2人仲良く手を合わせて祈っている。祥雲は露店でその様子を眺めながら、果たせなかった初空との誓いに想いを馳せた。やがて参拝客も途絶え、祥雲は店じまいしてから自分も願掛けすることにした。7度目の渡劫で願う″吉祥″の札には虎の人形がぶらさがっている。その時、ふいにつむじ風が吹いて満開の花びらが散り始めた。まるで雨のように降り注ぐ花びら、すると誰かが祥雲に傘を差し出してくれる。(* ̄0 ̄)θ~♪うぉ~だあ~いにーみんば~い祥雲が振り向くと傘を差した初空が立っていた。「…今度のあなたは誰なのかしら?」すると初空は小さく首を傾げて微笑む。実は祥雲が下げた札の横には猪の飾りがついた″如意″の札がぶら下がっていた。終わり(゚∀゚ノノ゙パチパチパチパチ~!楽しかった!ハマった!男主はラブコメが上手いけれど、これまで見た中で一番、良かった!彼のファンの方のコメントで「今回は女主との相性が抜群に良い」とあってなるほどと思いました楊超越は確かに演技が棒wなんだけれど、彼女が女主だった「重紫」も好きでした今になって思えば「重紫」も共演者の仲の良さが作品に出ていたのかもちなみに制作は蒼蘭訣チームと同じです同じように気に入ってくれる方がいると嬉しいな〜( ˶´꒳`˵ )
2024.08.31
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第37話過去を映し出せる神器・玄天鏡(ゲンテンケイ)の修復まであと少し。修茗(シゥミン)は時間を引き伸ばすため、祥雲(シャンユン)こと滄海(ソウカイ)に天雷の罰を与えるしかなかった。激しい衝撃に歪む滄海の顔、すると昊軒(コウケン)は早く罪を認めれば苦痛を受けることはないと嘲笑う。しかし急に滄海が実は自分にも双子の妹・明月(メイゲツ)がいたと明かした。掟では生まれながら邪気を帯びた一方を殺さねばならなかったが、父は娘に手を下すのが忍びなく、深海に封印していたという。「その明月を解き放ち、魂の契約を結んで帝休(テイキュウ)族を皆殺しにさせた、お前がね!」昊軒は動揺を隠せず、寝耳に水だった神仙たちは騒然となった。滄海が時間を稼いでくれたおかげで修茗は心の臓に隠し持っていた玄天鏡の修復に成功した。そこで修茗は滄海を焦って殺せばかえって口封じだと怪しまれてしまうと諌め、ついに鏡を招喚する。「私の持っている古の神器なら3万年前の真相が探れます」すると玄天鏡が3万年前の昊軒と明月の姿を映し出した。昊軒は明月に自由を与える代償として3つの願いを叶えるよう要求、魂の契約を交わす。そして滄海とうり二つの明月に帝休族を皆殺しにさせ、その罪を滄海になすりつけることに成功した。『これで2つ成し遂げられた、3つ目は…お前の力を私に捧げてもらう』そして昊軒は明月の力を自分に取り込んでしまう。激怒した昊軒は霊力で神器を破壊、しかし修茗はもはや真相は隠せないと迫った。その時、運悪く門衛が駆けつけ、摩羅(マラ)族が襲撃してきたと報告する。まさに渡りに船、昊軒は滄海が摩羅族を率いて天界を打倒するための作り話だったと訴え、初空(チュコン)を砕魂箭(サイコンセン)で殺したのは修茗だと暴露した。「修茗、まさか妖魔と手を組むとは…お前を見誤った、逆賊め!」昊軒は修茗や紅線翁(コウセンカク)も滄海の仲間だと言いがかりをつけ、天雷を落としてしまう。一方、無界に飛び込んだ初空は懸命に滄海の力を探していた。すると婚礼衣装をまとった滄海を発見、その肩に触れると途端に3万年前の幸せな婚礼の日に戻ってしまう。生死を共にすると誓いを立て、夫婦の杯を交わす2人…。『死を恐れなければむしろ生を得る、混沌が始まれば歳月は尽きないわ』その時、初空の身体から次第に霊力が離散し始めた。『愛する者のために死にに行けるのはあなただけ…』しかし初空はこれが夢境だと気づき、目の前にいるのが滄海ではないと分かった。…滄海なら私をここに引きずり込みはしない…幻影は夢境を見破られ激怒、初空を跳ね飛ばした。『ここは万物を飲み込む無界、私を連れてはいけない そもそも妖王と滄海の力は相争う、無理に持ち去ればお前の魂が飛散するだろう』すると初空は反噬(ハンゼイ)を受けながらも滄海の霊力に手を伸ばした。ウリャ!(´ ° ཀ°)=C三☆)゚◇゚)三☆))゚□゚)三☆))゚○゚)ノ💥!その頃、天界では昊軒が再び滄海に天雷を下していた。修茗は自分の命も顧みず止めようとして巻き込まれ、再び天雷を受けて倒れてしまう。すると見かねた孫(ソン)天王が口を開いた。「神君…おやめください」「お前まで…」昊軒は側近の裏切りに激怒、孫天王にも天雷を下して黙らせると、ついに滄海に9回目の天雷を落とすことにした。「これでお前の心身は砕け散り、魂は飛散する…」「滄海iiiiiiiiiiiiiiii!」修茗の悲痛な叫びが響き渡った。もはやこれまでか、滄海は目を閉じて覚悟を決めたが、その時、初空が戻ってくる。初空は身を挺して滄海を守り、霊力を戻した。おかげで滄海は一瞬で鉄鎖を粉々に砕き、拘束を解く。「初空!」「遅くなった…すまない」昊軒は死んだと思っていた弟の復活に呆然、初空と修茗に一杯食わされたと気づいた。「真相は全て知った、3万年前、私欲から神託を改ざんし、滄海を陥れたな?」初空はわざと兄に襲いかかった。昊軒は咄嗟に手を上げて応戦したが、袖がめくれ上がって″厄誅(アクチュウ)痕″をさらしてしまう。実は孫天王は帝君の悪事を止めるべく、密かに薬湯に手を加えていた。昊軒はもはや言い逃れできなくなり、開き直った。そこで宝剣を招喚、天雷を集めて長寧宮に巨大な雷を落としてしまう。激しい衝撃を受け倒れる神仙たち、しかし天界屈指の霊力を誇る滄海が反撃した。すると思いがけず反噬を喰らい、喀血してしまう。実は初空が滄海を復活させたせいで昊軒が奪った明月の邪気も復活、同じ衝撃が跳ね返って来たのだ。昊軒もそれに気づき、自分が死ねば滄海も道連れになると挑発する。「…どうだ?ふっ、無界で待っている」初空と滄海は昊軒を追って因縁の無界の崖にやって来た。滄海は罪を悔いるなら命まで奪わないと約束したが、昊軒は明月のように封印されて永遠に孤独を味わうなどご免だという。「私の過ちとは何だ?!道を誤ったのはお前だ!お前は兄を殺そうとした!」「戦神は大義を守らねばならない、兄弟だからこそ過ちを繰り返すのを止めなければ… もうやめるんだ!」「生まれついての魔羅の女帝と金の麒麟に何が分かる?…世の主は私だ! 私に背けばどうなるか見せてやる!」すると昊軒は明月の凄まじい邪気を集め始めた。このまま明月の力を全て放てば世に安寧はなくなる。初空と滄海は宝剣を招喚、2人の霊力を合わせて昊軒と対峙した。その頃、南天門では摩羅族と天兵が激しい攻防戦を繰り広げていた。しかし突然、天地を滅ぼすほどの強い邪気が渦巻き、双方は争いどころではなくなる。やがて黒雲が日を覆い隠した。長寧宮でも紅線翁が不吉な予感だと警戒する。修茗は天穹玉(テンキュウギョク)の異変に気づいたが、滄海を助けようにも霊力を失って動けなかった。昊軒の凄まじい邪気に防戦一方の初空と滄海。そこで初空は滄海に合図し、ついに真身である金の麒麟を招喚した。滄海は麒麟の背に乗り霊力を合わせて反撃、ついに昊軒を倒すことに成功する。「…策略を尽くしたが一敗地に塗れた、私の負けだ しかし私を殺せば滄海も生きられぬぞ?それとも私にひざまずくか?」「お前の執着は私のせいだ、今こそ我が手でケリをつける…私は第3の道を選ぶ」すると初空は昊軒に最後の一撃を放ってしまう。昊軒は崖から無界へ転落した。同じ運命をたどるのが双子の宿命、同時に滄海の身体も離散し始める。その時、金の麒麟が現れ、滄海の元神を守った。滄海は何が起こったのか分からなかったが、急に初空がこらえ切れず膝をついてしまう。「はっ!初空!」初空は3万年前、滄海にこっそり護神呪をかけていた。護神呪は麒麟族に代々伝わる伝統の呪文、生涯の伴侶と定めた相手の元神を一生、守るという。滄海の身代わりとなった初空。愛する人と生死を共にすると誓ったが、共に年を重ねることはできない。つづく( ๑≧ꇴ≦)あ〜!昊軒様ががががが!ラスボス昊軒が現れた!戦いますか?→はい初空→招喚→麒麟滄海→渾身の一撃
2024.08.30
コメント(0)
长相思 lost you forever第16話皓翎(コウレイ)王は小夭(ショウヨウ)を必ず元の姿に戻すと約束した。長年の疑問が解決し、かつての天真爛漫な娘に戻った小夭。しかし何かと不自由な王姫という身分に戻るのはどうしても嫌だと拒む。皓翎王は仕方なくしばらくそのままでいいと許したが、実は小夭にはまだわだかまりがあった。華音(カイン)殿に戻った小夭は早速、塗山璟(トザンケイ)に元の姿に戻れそうだと報告した。「でも不細工だったらどうする?」「それはない…だとしても幸いだ、心の美しさを理解する者は少ない、私が独占できる」すると塗山璟は自分の問題を解決するため青丘(セイキュウ)に戻ると伝えた。皓翎王の娘である小夭にもはや庇護など不要、何よりとても楽しそうで安心したという。小夭は引き止めるわけでもなくあっさり了承したが、念のため塗山篌(トザンコウ)の攻撃には用心するよう警告した。「あと15年、待っていて欲しい」「心配いらない、待ってる」( ๑≧ꇴ≦)17iiiii!あざとい!wその夜、小夭が涼亭で碁を解いていると西炎瑲玹(セイエンソウゲン)が現れた。「塗山璟が帰って寂しくないか?」「確かに塗山璟が好き、でも分かってる、誰でも一生そばにはいられない 娘(ニャン)さえ私を残して逝ってしまった、男のために一喜一憂なんてしないわ ふふ、意外だった?冷淡で…」「冷淡なのではない、私たちは血を吐くような別れの苦痛を何度も経験して来た それは心が痛みを感じないよう己を守る手段だ」小夭は何も言わなくても分かり合える従兄の言葉に思わず顔をほころばせた。どんな幸せもいつか必ず失う時が来る。小夭はいかなる喜びであっても常に微かな悲しみを伴っていた。初めから覚悟しておけば、失った時につらくても冷静に受け止められるという。「″喜びも悲しみも全て味わい尽くさず″か…そういう者は私だけかと思っていた」瑲玹も同じ価値観を共有できる小夭の存在が心強かった。「もう私は孤独ではない」「ごめん、今まで…」小夭が瑲玹に身分を明かさず、今も頑なに王姫の身分を拒むのには理由があった。実は宮女だけでなく、あの九尾狐(キュウビコ)も小夭が皓翎王の娘ではないと知っていたという。『お前の母は天下を欺くあばずれだ!赤宸(セキシン)と姦通してお前を産んだ! 皓翎王はいつかお前を殺すぞ!』話を聞いた瑲玹は激高、でたらめだと否定した。皓翎王ほどの霊力があれば小夭が自分の娘でなければ気づくはず、何より小夭の物を当時のまま大切に保存しているのは父である証拠だという。「じゃあ私は本当の娘なの?」「間違いない (๑و•̀ω•́)و」小夭は胸のつかえが下りて目の前の霧が晴れたようだった。しかし瑲玹は誰が小夭の体内に駐顔花(チュウガンカ)を封印して姿形を変えたのかが引っ掛かる。…師父の様子を見るに知らぬとは思えない…その時、瑲玹は出征前夜の姑姑(グーグー)の言葉を思い出した。…瑲玹、小夭はあなたとは少し″違う″、だからしっかり面倒見てやってね…「まさか小夭の顔を変えたのは姑姑?」瑲玹は驚愕したが、小夭が誰の娘であろうと大切な従妹なことに変わりはなかった。…2度と失いたくない、小夭を守るためならどんな犠牲も払う…一方、阿念こと皓翎億(コウレイオク)はすっかり蚊帳の外。侍女・海棠(カイドウ)から聞いて初めて玟小六(ビンショウリク)が従兄の寝宮に滞在し、漪清(イセイ)園にも案内されたと知った。激怒した阿念は自分を辱めた玟小六を罰して欲しいと父に頼んだが、気のせいだとあしらわれてしまう。「近いうちに公にすることがある、それでお前も辱めを受けたとは思わないはずだ、喜び事だぞ」阿念は父が自分を玟小六に嫁がせるつもりだと誤解した。父は身分に寛容で下級の神族はもちろん、卑しい妖族も登用し、実は母も嫁ぐ前は苦役をしている。阿念は父が自分を医者に嫁がせることもあり得ない話ではないと気づき、慌てて小六を訪ねた。「あんたなんかに絶対、嫁がないんだからね!」小夭は阿念を娶るはずないと呆気にとられていたが、阿念は信用できず、誓いを立てろと迫った。「分かったよ、絶対に娶らないと誓う、破れば雷に打たれて墓にも入れない」「ひとまず信じるわ」瑲玹は小夭を守るためにも西炎へ戻ると決意、師匠に報告した。皓翎王は時期尚早だと反対したが、瑲玹は時間がないという。「私が持つべきものを取り返さねば大切な者を守れないのです」その意味を悟った皓翎王はそれ以上、何も言えなかった。その夜、瑲玹は小夭に朝雲(チョウウン)殿に戻ると明かした。「それもいい、いつかは帰らないとね」「帰らないのか?」すると小夭は朝雲殿の庭にあった鳳凰樹の鞦韆(シュウセン)を懐かしみ、答えをはぐらかしてしまう。そう言えば祖母は臨終の際、2人で助け合いながら生きて欲しいと言い残していた。小夭は祖母がまるでこうなることを分かっていたかのようだと感慨深い。結局、瑲玹は小夭の返事を聞かないまま帰ることにした。「早く休めよ」「うん」小夭は瑲玹の後ろ姿を見送った。その時、母も同じように笑顔で出征したまま戻ってこなかったことを思い出す。「哥哥!…私、王姫に戻る!」「嫌がっていただろう?気が変わったのか?」驚いた瑲玹が引き返して来た。「私が王姫なら危害を加えるにも思慮が要る、一国の王を敵に回すことになるから」瑲玹は自分を守るためだと気づいた。しかし小夭は身分を笠に着て横暴に振る舞うのも良いと笑う。すると瑲玹は思わず小夭を抱きしめた。…奶奶(ナイナイ)、爹爹(ディェディェ)、娘親(ニャンチン)、姑姑、小夭との再会に感謝します、妹妹(メイメイ)を2度と辛い目に遭わせません…小夭は瑲玹が西炎に戻るなら血なまぐさい争いも覚悟の上だった。…私がそばにいて哥哥の志を果たさせる…翌朝、小夭は早速、父に王姫に戻る決意を伝えた。皓翎王は喜び、お披露目の前に玉(ギョク)山へ行って本当の姿に戻るよう告げる。「王母(オウボ)にはもう知らせてある」一方、塗山璟は中原の名家が集まる軹邑(シユウ)城の辰栄(シンエイ)府にいた。しかし防風意映(ボウフウイエイ)が自分に見向きもしない塗山璟に困惑し、太夫人に泣きついて無理やりついて来てしまう。塗山璟は仕方なく青丘に戻ったら退婚を申し出るとはっきり伝えた。「これまで塗山家に尽くしてくれた恩は返す、退婚しても防風氏を支え続けよう」「私は家のために嫁ぐわけじゃない、私の情を疑うの?」「面識もない相手をどうしてそこまで想えるのだ?」すると塗山璟は傷だらけで志もない自分では釣り合わないと言って出かけてしまう。防風意映は迫真の演技で情に訴えかけたが失敗、無駄になった涙を拭った。玉山へ向かった小夭たちはその夜、軹邑城にある皓翎国が建てた駅館に泊まることにした。旅行気分の阿念は質素な建物に不満だったが、瑲玹は身分を隠しているため目立てないという。すると小夭が絶景で有名な涇水(ケイスイ)湖あると思い出し、明日の準備があるという蓐収(ジョクシュウ)と別れて船遊びに出かけることにした。小夭は獲れたての魚を焼いて皆にふるまった。わがままな阿念は汚くて食べられないと断ったが、小六が皮を取り除いてくれる。小夭は生きるために嫌でも料理が身についたと笑ったが、それを聞いた瑲玹が今度は自分が焼くと言った。「私がやろう、阿念のように食べるだけで良い」実はちょうど同じ頃、軹邑城主の娘・辰栄馨悦(シンエイケイエツ)が従兄の許嫁である防風意映を乗せて湖に乗り出していた。防風意映は琴の名手である辰栄馨悦に一曲、頼んだ。その琴の音は小夭たちの船まで届き、小夭は見事な調べに酔いしれる。しかし船はすぐ離れてしまい、小夭は残念がった。「気に入ったのならもっと弾かせよう」瑲玹は咄嗟に得意の簫(ショウ)で合奏、案の定、船が戻って来た。防風意映は即興で琴に合わせられるとはまさに知音だと褒めた。まんざらでもない辰栄馨悦は簫の主の顔が見たいと船を引き返させたが、近づいた途端に簫の音が止まってしまう。実は小夭が琴の弾き手が女子だと推察し、嫉妬した阿念が急に従兄の簫をつかんで止めていた。防風意映は近くに船があると気づいて窓の外を見た。すると驚いたことに簫を吹いていたのが西炎王の孫だと知る。「何を見ているの?どうかした?」「いいえ、魚を焼く香りに誘われただけよ」辰栄馨悦は粗末な船に乗っているのがまさか貴族とは思わず、従兄の許嫁のために代価を払ってでも魚料理をもらって来いと命じた。辰栄の侍女は銭でも物でも何でも交換するので魚料理が欲しいと交渉した。海棠は銭など足りていると言い返し、見事に敵をやり込める。「そうね、湯(トウ)谷の扶桑の木は炎なく熱を出すとか…1束もらえる?魚を焼くのに使うから」小夭は海棠の狡猾さに舌を巻いた。貴重な扶桑の木は指の長さで取り引きされ、薪のように束で購入できるはずがない。憤慨した侍女は思わず水術で攻撃したが、海棠に跳ね返されて自分がびしょ濡れになった。侍女に泣きつかれ、ついに船の主が現れた。しかし小夭は令嬢と一緒にいるのが防風意映だと気づき、慌てて背を向ける。すると瑲玹が知り合いかと聞いた。「赤い衣の女子は防風意映だ」「あれが…」防風意映はこの機会に西炎国の孫を始末しようと企んだ。そこで辰栄馨悦にこの場は自分が収めると申し出る。父と兄の手前もめ事を起こしたくない辰栄馨悦は感謝し、後を頼んで船室に戻った。防風意映と侍女は阿念に狙いを定めて攻撃した。すると逃げ遅れた海棠が湖に落ちてしまう。瑲玹は防風意映が本気で自分の命を狙っていると気づき、小夭に阿念を任せた。しかし船上に逃げ場はなく、小夭は咄嗟に阿念を連れて川へ飛び込んでしまう。瑲玹もすぐ後を追ったが、その時、防風意映の暗器が突き刺さった。つづく
2024.08.28
コメント(1)
长相思 lost you forever第15話玟小六(ビンショウリク)の正体が小夭(ショウヨウ)だと確信した西炎瑲玹(セイエンソウゲン)。皓翎(コウレイ)王は瑲玹が自責の念に駆られていると気づき、慰めた。「全て私の責任だ、当時、己の身さえ守れなかったお前を玉(ギョク)山へ行かせたところで 小夭を連れ帰ることはできなかった」「約束を破ったことに変わりはありません」幼い頃から霊力が強かった小夭が今では防御すらできないほど弱くなっていた。何があったのか分からないが、天下をさすらいながら辛酸をなめつくしたことは想像に難くない。「何もしてやれなかった、他人のふりをするわけです…ゥッ」瑲玹は悔やんでも悔やみ切れず、涙に暮れた。しかし皓翎王は小夭も心の中では従兄だと認めていると励ます。「確かに小六は2度も私を救ってくれた、姿形が変わっても小夭は小夭です」翌朝、小六は松葉杖を使って歩けるまでに回復した。すると寝殿の前に黄金の山ができている。富豪の青丘公子・塗山璟(トザンケイ)さえこれほどの金子を見るのは初めてだと驚いた。小六は昨日の会食で″毎日、銭の山で寝転びたい″と語ったことを思い出し、本当に準備してくれたのだと感心する。そこで早速、黄金の山に登って寝転がり、夢を叶えた。塗山璟が小六を支えて寝殿に連れて帰ると老桑(ロウソウ)がやって来た。「殿下の命で朝雲(チョウウン)殿の桑葚(ソウシン)を持って来た 退屈なら漪清(イセイ)園を散歩しろとも言っていた」老桑は拝礼して出て行ったが、小六への厚遇にどこか不満げに見えた。小六は思い出深い漪清園を訪ねることにした。しかしまだ脚を踏み入れる勇気がなく、門近くの岩に腰掛ける。幼い頃、夏は園内の池で水浴びをしながら、母から冷えた瓜を食べさせてもらったものだ。「こんな暑い日は冷えた瓜があれば最高だな」すると塗山璟はすぐ戻ると行って出かけてしまう。その時、運悪く天敵である阿念(アネン)が現れた。(゚ロ゚ノ)ノ<ヒイィィィ!何であんたがここにいるの?!阿念は清水(セイスイ)鎮での屈辱を思い出し激高、侍女に小六を連行するよう命じた。阿念は自分の寝宮で小六を拘束した。従兄の恩人ゆえ命まで取れないものの、あの日の恨みを晴らすため罰として手を打つという。すると小六は両手を仕置き棒で叩かれながら、わざと阿念を挑発した。「王姫の背中は柔らかくていい香りがしたな~例え手を失っても触る価値はあった」驚いた侍女の海棠(カイドウ)は口をふさぐよう指示、王姫を侮辱した以上、殺すべきだと訴えた。「まずは手を叩いて!次は口よ!死んでも構わない!」阿念が顔を真っ赤にして叫んでいる頃、辰栄(シンエイ)軍の陣営にいた相柳(ソウリュウ)は急に手が痛くなった。小六の身に何かあったのは明らか、しかし糧秣もままらない軍営を離れるわけにいかない。( ー̀ωー́ )チッ!<役立たずの狐狸め!一方、塗山璟は小六のために瓜を手に入れ、漪清園に向かっていた。すると通りかかった含章(ガンショウ)殿から第二王姫の怒号が聞こえてくる。「この賎民め!」塗山璟は小六が捕まったと気づいて助けようとしたが、門衛に阻まれてしまう。小六の両手は激しく打たれて真っ赤に腫れ上がった。そこへ騒ぎに気づいた静安(セイアン)妃が現れる。「娘、なぜここに?…止めて」阿念が罰を中止し、小六はふと顔を上げた。すると戦死したはずの母・西陵珩(セイリョウコウ)が立っている。「モゴモゴ(娘)…?」小六は急に取り乱し、侍女たちを突き飛ばして母の元へ行こうとした。しかし侍女たちに押さえつけられ、どんなに手を伸ばしても届かない。その時、門衛から知らせを聞いて皓翎王が瑲玹と塗山璟を連れて駆けつけた。瑲玹は侍女たちを押しのけ、小夭を必死になだめようとした。何が起こったのか分からず戸惑う静安妃と阿念、そこで皓翎王は2人に外へ出るよう命じる。瑲玹は小六の口に詰め込まれた手巾を取り外して投げ捨て、必死に説得した。「小夭!あの人は姑姑じゃない!」「哥哥、娘が戻って来た!知りたいんだ、なぜ私を捨てて行ってしまったのか… いい子にするから戻って欲しいって伝えてよ!」「小夭!私だ、哥哥だ!姑姑は戦死しただろう?!あの人は姑姑に似ているだけだ!」「娘は約束した…すぐ戻って来る、必ず帰って来るって…ゥッ… なぜ私を捨てたのか聞きたかっただけよ…なぜ戻って来なかったの?!どうして? 哥哥、娘はどうして私を捨てたの?!」瑲玹は号泣する小夭を抱きしめ、思い切り泣かせてやることしかできなかった。。・゜・(ノД`)・゜・。<音量に気をつけて〜 w小六はようやく落ち着きを取り戻し、瑲玹は場所を移して真実を聞いた。「さっき私を哥哥と呼んだな?もう言い逃れはできないぞ?」「…瑲玹哥哥、戻ったわ」実は皓翎王は小夭が阿念をわざと怒らせ、自分の反応を見ようとしたと見抜いていた。そこで皓翎王は小夭の不信感をぬぐおうと、幼い小夭が好きだった幻術の動物を見せる。すると小夭はようやく重い口を開いた。「聞いたの、私は捨てられたって…なぜ迎えに来てくれなかったの?」「玉山に行けなかったのは弟たちの反乱のせいだ お前を巻き込まぬよう反乱を鎮めてから迎えに行くつもりだった だがお前は勝手に山を下りていた そうなると分かっていたら、危険があろうとそばに置いたよ」「…本当に私の爹爹なの?」「当たり前だ、たとえお前がそう呼ばなくても私はお前の父だ」するとわだかまりが解けた小夭は父に抱きつき、泣きじゃくった。小夭はふと塗山璟がいることを思い出し、何と説明すればいいか分からなかったと釈明した。しかし皓翎王は九尾一族ならその眼力で小六が女子だと気づいていたはずだという。「塗山璟だな、確か許嫁は防風(ボウフウ)小姐のはずだ」皓翎王は塗山璟を牽制したが、小夭の手前、それ以上は追求しなかった。小夭は本来の身体に戻るまで、このまま瑲玹の寝宮である華音(カイン)殿で過ごすことになった。すると老桑が食事の準備をしながらなぜか涙ぐんでいる。「そうだ小夭、老桑はお前が酒をあげていたあの碧玉桑なんだ」「え!気づかなかった!ついに人像(ヒトガタ)を手に入れたんだ?」老桑は小六が王姫だと見抜けなかったことで落ち込んでいたが、小夭はならば罰としてこれからも桑葚を実らせ、酒を醸造しろと笑った。その夜、小夭たちはあずま屋で酒を飲むことになった。塗山璟は瑲玹が酒を取りに行っている間、これから小六を何と呼べばいいのか尋ねる。「本当の名前は皓翎玖瑤(コウレイキュウヨウ)だ 額のあざが″夭夭たる桃花″を連想させることから小夭と呼ばれていた でも今まで通り小六と呼んでくれ」しかし塗山璟はどんな事情があったにせよ、小六が第一王姫だと知った今では恐れ多いという。そこへ瑲玹が戻って来た。瑲玹は酒を飲みながら、ずっと気になっていたことを切り出した。「小夭、山を離れた後のことを教えてくれないか?」すると小夭はこれが最初で最後という条件で過去を明かすことにした。もし父や祖父に聞かれたら代わりに伝えて欲しいという。「分かった」…小夭は皓翎の宮女2人と一緒に玉山を下山し、五神山に戻るつもりだったしかし道中、思いがけず宮女の愚痴を聞いてしまう『陛下はあの子の母親と別れたのよ?もう王姫でも何でもないのに…』『母親は密通してあの子を産んだらしいわ』『本当に大切な娘なら玉山で70年も待たせるはずないのにね』深く傷ついた小夭は独りで下山し、ひとまず母が戦死したという冀(キ)州を目指した必ず戻ると約束した母が死ぬはずがないそう信じて紆余曲折の末、冀州に辿り着いたが、当然、母はいなかった小夭は行く当てもなくさまよい、やがてある町で父と祖父が自分を探していると知った尋ね人の告示には自分の似顔絵が描かれていたが、今の小夭には見る影もないしかし玉山に70年も住んでいた王姫の霊力に目をつけた妖族は小夭の額にある桃花のあざを見逃さなかった小夭は妖族と目が合い、慌てて逃げ出したするとちょうど孤児たちの集団を見つけ、仲間に加わって鳴りを潜めるしかし妖族の男が駆けつけ、子供たちを立たせて順番に額のあざを確認し始めた小夭は怯えながら心の中で自分の顔が変わるよう念じ続けると、驚いたことに姿形だけでなく、性別まで変えることに成功する小夭はそれ以降、顔を変えながら転々とした『これでもう怖くない』しかし元の顔に戻そうと手鏡をのぞいた時、すでに自分の顔が思い出せなくなっていたそれからも顔は変わり続けたが、どれも偽物この時、小夭は自分が幻形術が使えるようになったのではなく、医者も治せぬ奇病にかかったのだと思った小夭は人里離れた山奥に逃げ込んだ霊力が強かったおかげで猛獣など敵ではなく、猿を話し相手にしたり、蛇妖をからかったりして寂しさを紛らせるそんなある日、小夭は自分と同じように顔を変えることができる九尾狐の男と出会った2人は顔を変えられる回数を競って遊んでいたが、やがて九尾狐は猩猩(ショウジョウ)の精魂でできた映る物を覚えられる鏡を見せてくれるその鏡に小夭の顔を覚えさせれば、自分の顔を操れるようになった小夭も初めは九尾狐を警戒していたしかし自分を怪物扱いせず何でも教えてくれる九尾狐を慕い、住み家へついて行ってしまうすると九尾狐は小夭を檻に繋いだ『お前の母は私の友を殺して尾を切った、本人が死んだのならお前が代わりに償え』九尾狐はあらゆる方法で小夭を痛めつけたそして得体の知れない食べ物を流し込まれ、霊力を身体中に散らされてしまうそれから30年、満月まであと2日という時だった九尾狐はすでに気力を失った小夭を眺めながら、完成した霊薬をどう食べようかと思案するそこで小夭はわざと九尾狐を挑発し、檻の中へおびき寄せた九尾狐もまさか小夭が長い年月をかけ、密かに毒薬を調合していたなど想像もしていなかっただろうすると小夭は機を見て毒に自分の血を毒に混ぜ、効果を高めて九尾狐を殺した小夭は倒れた九尾狐から鏡を奪い、檻の中で唯一の慰めだった一輪の花を摘んだそして九尾狐の住み処に火を放ってついに外へ出る…瑲玹は小夭から預かった白狐の尾が原因だと知り、思わず投げ捨てた。しかし九尾狐の尾は貴重で幻刑術を見破る時に役立つため、小夭はひとまず塗山璟に預かってもらうことにする。翌朝、瑲玹は皓翎王に小夭の辛い経験を伝えた。すると皓翎王は小夭の姿形が変わるのは奇病ではなく神器のせいだと教える。何も知らなかった小夭は慌てて父のもとへ向かった。小夭は体内に駐顔花(チュウガンカ)という神器が封印されていた。しかし皓翎王は誰が封印したかには触れず、自分に神器を取り出す術はないと教える。「だが必ず元の姿を取り戻してやる」「今まで散々、待ったんだ、もう少しくらい待てる」つづく( ๑≧ꇴ≦)長文だわ重過ぎるわでお腹いっぱい!だがまだまだ続くw
2024.08.27
コメント(0)
长相思 lost you forever第14話相柳(ソウリュウ)は毛球(ケダマ)に乗って空から玟小六(ビンショウリク)を探し回っていた。一方、小六を山小屋から逃した塗山璟(トザンケイ)は西炎瑲玹(セイエンソウゲン)の怒りを買い、一撃を喰らって倒れてしまう。結局、小六は塗山璟を見捨てることができず、すぐ引き返して捕まった。瑲玹は再び小六が逃亡できないよう容赦なく両脚を折り、塗山璟と一緒に護送することにする。その時、小六が怪我をしたせいで相柳の脚にも激痛が走った。「捕まったか…毛球、五神(ゴシン)山へ」( ̄▽ ̄;)哥哥を嫌いになりそうです小六は檻車に揺られながら、意識のない塗山璟に自分の血を飲ませた。「冷たくしたのは身を引かせるためだ、そうすれば安心して発てる、なのにお前は…」すると塗山璟はすぐ目を覚まし、実は6年前も小六の血を飲んで助かったと知る。「つまり…相柳も君の血で治療していたのか?」「そうだ、あいつは俺を薬士瓶だと思っているらしい」塗山璟はようやく小六の首の赤いあざの理由を知り、誤解が解けて思わず笑顔になった。瑲玹は五神山に到着、小六と塗山璟をひとまず海沿いにある龍骨(リュウコツ)獄に入れることにした。歩けなくなった小六を大事そうに抱きかかえて獄舎に入って行く塗山璟。瑲玹は小六と塗山璟が親しいと知っていたが、それにしても2人の関係は不可解に思えた。塗山璟はたとえ獄舎でも小六と一緒なら心静かでいられると喜んだ。「男の俺にべったりなのは変だろう?」「…君は女子だ」小六は驚き、あの相柳でさえ自分を女子とは認めていないと困惑する。「奴は見ていないから」「見ていない?何を?!」小六は完璧な幻形術を見破られたと知って激しく動揺した。「何を見ていないんだ?教えてくれよ!」すると塗山璟は6年前、傷が癒えて湯浴みすることになった時、自分の身体を見た小六が頬を赤らめたのを見て女子だと確信したと明かした。「嘘だ!赤くなんてなっていない!嘘に決まってる!」小六は決して認めようとしなかったが、塗山璟は小六が女子だと気づいた時、本当の意味で息を吹き返したようだったと話した。それ以来、塗山璟は小六を女子として愛し、離れまいと決意したという。塗山氏に戻ったのは回春堂を兄から守るためであり、母が決めた許嫁の防風意映(ボウフウイエイ)に恋情はなく、顔を合わせたのも清水(セイスイ)鎮が初めてだった。「必ず退婚する、15年でいい、塗山璟から葉十七(ヨウジュウシチ)になる それまで他の男を心に入り込ませないで欲しい」一方、相柳も五神山海域に到着、小六を救うため霊力で結界を破ろうとしていた。小六は塗山璟の思わぬ告白に驚きながら、初めて女子の幸せというものを体験していた。「…俺は簡単に心を開かない、15年どころか50年経っても誰も入れないさ」塗山璟はそれが合意の意味だと悟り、あまりの嬉しさに思わず涙してしまう。しかし小六はまだ他人と深く関わることに自信が持てずにいた。そんな小六の不安も塗山璟は全て受け止めてくれる。「君は簡単に人を信じたり尽くしたりしない 偽りの愛に生きる桑甜児と違ってあくまでも正直で、不誠実な相手とは潔く縁を切る 君が望む時まで待つよ、君が去らない限りずっと待つ、そんな人生も悪くない」( ̄▽ ̄;)あざとい…あざと過ぎる17w獄舎に迎えの兵士が来た。塗山璟は兵士が小六に触れるのをよしとせず、自分が抱えて連れて行くという。龍骨獄の外では瑲玹たちが待ち構えていた。その時、海から相柳が現れる。瑲玹は自分を殺すため無謀にもここまで来たのかと呆れたが、相柳は瑲玹には用がないと言った。「なんてザマだ?!脚を折られるとは…」小六は海に飛び込みさえすれば相柳が助けてくれると分かったが、相柳の衣に血がにじんでいることに気づいた。手負いの身で自分を連れて逃げられるほど五神山は甘くない。何より塗山璟を独りここへ置きざりにすることなどできなかった。「借りは作らない主義なんでね、帰ってくれ」「…忘れるな、すでに借りはあるぞ?」「分かってる、取り立てを待ってる!」すると相柳はおとなしく引き上げて行った。瑲玹は小六と塗山璟をひとまず自分の寝宮に滞在させることにした。そこで沐浴を済ませ、謁見の準備をして待つよう命じて朝議に向かう。塗山璟は小六の落ち着かない理由が皓翎(コウレイ)王にあると気づいたが、なぜここまで頑なに面会を拒否するのか分からなかった。塗山璟は歩けない小六を御前まで送り届け、皓翎王に拝礼した。「陛下、玟小六は拝礼できませんがご容赦ください」恐る恐る皓翎王の顔を見上げた小六、しかしいざ自分を捨てた父を前にすると乾いた笑いがもれてしまう。「誰が脚を折ったのだ?」皓翎王は不満げだったが、それが瑲玹の仕業だと知って追求できなかった。「一緒に食事を…」( ゚ロ゚)!!<しょ食事?@瑲玹小六は皓翎王と瑲玹、塗山璟と会食した。しかしわざと不作法に振る舞い、瑲玹をへき易させる。「育ちが悪いのでごちそうに興奮しちゃって…大目に見てくれ」すると皓翎王が小六に好きな物は何かと聞いた。小六は銭が好きだと答え、できれば毎日、銭の山で寝転びたいという。「…食べ物のことだ、蓬餅(ヨモギモチ)を用意させた、他に望みがあれば作らせる 物語を聞きながら食べるといい」皓翎王の言葉に小六は動揺を隠せず、もう十分過ぎるほど食べたと断って塗山璟と戻ってしまう。瑲玹は血相を変えて皓翎王に尋ねた。「師父、小六は何者なのです?てっきり師父の甥なのかと… 蓬餅は小夭(ショウヨウ)の好物、物語を聞きながら食べるのが小夭の日課でした」「高度な幻形術だ、正体は分からぬ」瑲玹は本人に確かめたいと言ったが、皓翎王は止めた。玟小六の正体が何者であれ、決めるのは本人だという。「素性を知りたいのは私も同じだ、だが玟小六が切り出すまで問い詰めずに待つとしよう」(  ̄꒳ ̄)そうよね~さすがはパパなの、いきなり脚折っちゃだめよw瑲玹は回廊を歩きながら、清水鎮で自分を救ってくれた小六の様子を思い出していた。するとふいに涙が頬を伝う。…小夭は素性を明かしていたのに、自分が心を閉ざしていたばかりに見抜けなかったのか…瑲玹が呆然としながら寝宮へ戻ると、ちょうど塗山璟が小六に竜眼(リュウガン)を勧めていた。実は小夭は竜眼を食べない。その時、小六が断った。「竜眼は食わない」瑲玹がふらふらと小六たちの部屋に入って来た。塗山璟はまた小六が傷つけられるのではと警戒したが、なぜか瑲玹は自分の霊力を使って小六の脚を治療してくれる。まさか小六が小夭だと夢にも思わず、脚を折り、拷問で手を痛めつけてしまった瑲玹。そんな瑲玹の悲痛な面持ちを見た小六は哥哥がついに自分の正体に気づいたのだと悟った。「良く介抱してくれ」瑲玹は涙をこらえ、塗山璟に小六を任せて帰って行った。:( •ᾥ•):グッ!しかし小六はこらえきれず、涙があふれ出してしまう。(꒦ິ⌑꒦ີ)ダー! その夜、瑲玹は回廊に座って白狐の尾を眺めていた。…約束通り小夭を迎えに行っていれば姿を消さなかったはずだ…すると皓翎王がやって来た。つづく
2024.08.26
コメント(1)
长相思 lost you forever第13話遊歴を終えて皓翎(コウレイ)国の五神山に戻った西炎瑲玹(セイエンソウゲン)。皓翎王は瑲玹に湯(トウ)谷水での治療を勧めたという町医者に興味を持ち、その恩人の話が聞きたいと言った。「相柳(ソウリュウ)や防風(ボウフウ)氏の動機や目的は私もよく承知しています しかしこの玟小六(ビンショウリク)だけは敵か味方なのか読めません 私に蠱虫(コチュウ)を放ちながら二度も私を救った…あの者の目的が分からぬのです」「毒の扱いに長け、蠱術も操るのか…」すると皓翎王は思うところあって玟小六に会ってみたいと言い出した。「連れて来てくれ…知人の子供かもしれぬ」瑲玹は師兄に師匠の思惑を聞いた。すると蓐収(ジョクシュウ)もただの町医者とは言え神族、市井にいながら湯谷水や氷晶を使い、蠱術まで操れるとなるとただ者とは思えないという。「″五王の乱″を知っているか?5人の王は討たれたが、中容(チュウヨウ)の子は今も行方知れずと聞く 中容の側室は毒の扱いに長けたそうだ、ひょっとするとその医者は逆賊の子やも?」「そう言うことか…私に近づいたのは見返りを期待しているからに違いない」回春堂を出て行くことにした小六、するとが塗山璟(トザンケイ)が氷晶で作った風鈴を届けにやって来た。しかし小六の部屋に小さな荷物があることに気づき、呆然となる。「どこへ?…私は君のそばにいる」「塗山璟は葉十七(ヨウジュウシチ)じゃない、俺とは赤の他人だ、消えろ」「君に嫌われ、会うまいと努力した、でも無理だった、離れられない」塗山璟は小六がどこへ行こうと付いて行くと決めたと伝え、風鈴を置いて帰ってしまう。塗山璟の熱い思いにまたも心が揺らぐ小六。中庭の長椅子に座って気持ちを落ち着かせようとしていると、突然、皓翎へ帰ったはずの瑲玹が現れた。何事かと思えば、皓翎王が小六に会いたいと所望しているという。「私は西炎瑲玹、西炎王の孫で師父は皓翎王だ 師父にお前の話をしたらなぜか会いたいと仰せだ、王の命を拒むことはできない 私を困らせるな、乱暴は好まぬ…二時で荷造りし、家族に別れを告げ、夕刻には出発だ」瑲玹の有無を言わさぬ高圧的な態度に、もはや優しい従兄の面影はなかった。…こうやって皓翎で生きて来たんだな…ここは金天(キンテン)谷。金天星沈(キンテンセイチン)はまだ若い娘ながら腕のいい鍛冶屋だった。そこへ仮面をつけた賓客が現れ、図面を渡す。「族長は恩があるので仕事を受けるよう言ったわ、でもつまらない仕事はご免よ」しかし弓矢の図面を確認した途端、金天星沈は笑顔になった。「ずい分と凝った仕掛けね、いいわ!仕事を受ける!」小六は部屋で荷物をまとめるふりをしながら逃げ出す方法を考えた。そこで自分のすねを思い切り打ち付け、蠱虫を使って相柳に助けを求める。しかし中庭から鈞亦(キンエキ)の報告が聞こえて来た。「清水(セイスイ)鎮を出る道を全て封鎖しました」どうやら辰栄(シンエイ)軍に逃げ込むのは無理らしい。その時、ふと軒下で揺れている風鈴に気づき、塗山璟を頼ろうと思いついた。瑲玹は近隣への別れの挨拶に出かけたいという小六の頼みをあっさり許可してくれた。家族に別れを伝えられないまま外へ出ようとした小六、しかしちょうど独りで店番をしていた桑甜児(ソウテンジ)がひょっこり顔を出す。「回春堂は任せた、老木(ロウボク)には″縁が尽きたら別れる定め、出会えて良かった″と…」すると桑甜児は医術の師に叩頭して別れの挨拶とした。小六は聡明な桑甜児に老木や麻子(マシ)夫婦のことを頼み、どこへ行くとも告げず出て行ってしまう。塗山璟は侍女・静夜(セイヤ)から小六が訪ねて来たと聞いて驚いた。「何があった?」「皓翎王が俺をお召しだそうだ」小六は会いたくないので塗山氏が持っている抜け道から逃がして欲しいと頼んだ。さすがの塗山璟も皓翎王と西炎王を敵に回すことはできないと思ったが、塗山璟は二つ返事で了承し、一緒に逃げると決める。「静夜、私と小六の衣を準備してくれ」一方、小六を監視していた鈞亦は瑲玹に玟小六が兪(ユ)府を訪ねたと報告していた。「殿下、玟小六の狡猾さを知りながら、なぜ二時も猶予を?」「事情はどうであれ命の恩人だ、この二時で恩を返しておく」しかし見張りから玟小六が密かに兪府を出たと知らせが来た。鈞亦から報告を聞いた瑲玹は小六を侮っていたと憤った。そこで鈞亦は直接、兪府を訪ねたが、塗山璟もいなくなったと分かる。何も知らなかった防風意映(ボウフウイエイ)は困惑したが、ふと回廊で出くわした静夜が衣を持っていたことを思い出した。「そう言えば…部屋にあった包みに入っていた衣が薄物ばかりでした 温暖な皓翎に行ったのでは?」相柳は慌てて回春堂に駆けつけたが一足遅かった。小六の部屋はもぬけの殻。一方、小六と塗山璟は無事に清水鎮を脱出し、その夜、皓翎の寂れた山小屋に身を隠した。灯台下暗し、瑲玹もまさか小六が皓翎にいるとは思わないだろう。しかし防風意映の思わぬ密告で追っ手はすぐそこまで迫っていた。小六は塗山璟が″青丘公子″の名声を捨てることも厭わずついて来たことに驚きを隠せなかった。すると塗山璟は初めて自分の境遇を話してくれる。実は塗山璟を死地へ追いやったのは兄である塗山篌(トザンコウ)だった。塗山璟は兄に監禁され、顔の判別もできなくなるほど痛めつけられてから解放されたという。「その時に青丘公子は消えたんだ」…塗山篌は幼い頃から活発で霊力も強く、弟思いの優しい兄だったしかしなぜか母は塗山璟だけを可愛がり、あからさまに兄に冷たかったというそんな理不尽な母の仕打ちにもめげず、塗山篌は何とか母に認めてもらおうと必死に努力した母は病床にふせっても塗山篌を激しく拒み、二度と顔を見せるなとまで言い放った結局、2人のわだかまりが解けぬまま、母はこの世を去ってしまう塗山篌は母を失った悲しみと、二度と認めてもらえない絶望感から酒に溺れ、自暴自棄になったすると見兼ねた祖母がついに真実を明かす実は塗山篌と塗山璟は母親が違ったのだ母に嫌われていた原因を知った塗山篌は酒を断ち、立ち直った塗山璟も安心していたが、そんなある日、兄から相談があると誘われ屋敷を離れるしかしいつの間にか意識を失い、気がつくと地下牢に捕らわれ、霊力を封じられて龍骨(リュウコツ)製の鎖につながれていた…塗山璟も小六と同じような心の傷を抱えていた。「十七、もう大丈夫、今は俺がついている、誰にも手出しさせない」「分かった」2人の絆はさらに強まったが、翌朝、山荘は皓翎軍に包囲されてしまう。塗山璟は力及ばず落胆したが、小六はここまで逃がしてくれた塗山璟の勇気に感謝した。そこで塗山璟は自分が瑲玹たちを足止めし、その間に小六を逃がすと決める。「私の騎乗獣(キジョウジュウ)が北東の方角にいる、行け、この玉佩を掲げれば現れる 最後に君の本当の顔を見せてくれないか?」しかし外から瑲玹の怒号が聞こえてきた。(」゚ロ゚)」<玟小六!出て来い!逃げれば脚を折るぞ!焦った塗山璟は煙幕の術を使って急ぎ小六を山荘から逃し、独りで瑲玹の前に姿を現した。小六は必死に走った。しかし山間に瑲玹の声が響き渡り、思わず足を止める。(」゚ロ゚)」<お前の連れは葉十七だそうだ!こいつを殺すのは簡単なことだぞ?!「さすが爺爺のお気に入りなだけある、容赦ないな」つづく( ๑≧ꇴ≦)あざとくて何が悪いの@17
2024.08.25
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第36話祥雲(シャンユン)への情愛を断つことなく妖王の力を得ることができた初空(チュコン)。しかしその頃、昊軒(コウケン)が祥雲の正体を突き止めていた。妖王の侍女が祥雲だと知り、初空の歴劫(リャッコウ)のあらすじを読み直していた昊軒。するとなぜか″星凌(セイリョウ)教の師弟物語″の最後の頁がないと分かる。…なぜ李(リ)天王は筋書きの最後を破った?何を隠したのだ?…そこで霊力で復元してみると、祥雲に残した手がかりの一文が浮かび上がった。「海棠の花のかんざし?」昊軒は初空が滄海を″小棠(シャオタン)″という愛称で呼んでいたことを思い出し、腑に落ちた。…道理で見覚えがあったはずだ、だから初空と共に消えたのか、錦蓮(キンレン)が従ったのも不思議はない、唯一の歴劫の相手になるのも当然だ…昊軒は滄海がすでにこの世に復活していたと気づき、焦燥感に襲われた。一方、急ぎ無界へ行くことにした初空は錦蓮に滄海を任せることにした。「わだかまりはあるだろうが、私に何かあったら祥雲のことを頼む」「言われなくても命をかけて守る」すると祥雲が見送りにやって来た。「無事に戻ると約束して」「必ず滄海の力を持って帰ってくる」祥雲を安心させるため笑顔を見せる初空、その時、錦蘿(キンラ)が血相を変えて駆けつけた。昊軒が数万の兵で詭(キ)界を包囲し、滄海を差し出さなければ詭界を踏み潰すと脅して来たという。こんなに早く気づかれるとは予想外だった。もはや無界へ行く猶予もなく、初空は祥雲を守るため結界に閉じ込めてしまう。「今度は独りで背負わせない…全てが終わったら出してやる、錦蓮?錦蘿?」「摩羅族はご指示に従います」祥雲は自分だけ逃れるわけにいかないと訴えたが、初空は弟として兄の過ちを止めに行くという。そこへ狂龍(キョウリュウ)長老が配下を連れて現れた。「初空仙君、妖族にも出兵のお許しを…」「私の正体を知ったのなら分かるだろう、妖族には関わりない」しかし狂龍は昊軒が攻めてくればどちらにせよ詭界も巻き込まれ、共に戦うことに生き残る道があると訴えた。昊軒は大人しく滄海を引き渡すよう要求した。しかし妖王がこれを拒否、昊軒は詭界の結界を壊すことにする。初空たちは力を合わせて抵抗したが天兵軍の霊力に及ばず、妖族も摩羅族も霊力を使い果たして次々と倒れた。残ったのは初空と錦蓮の2人だけ、これ以上、続ければ霊力が尽きてしまう。その頃、祥雲は必死に結界を破ろうとしていた。すると初空に何かあったのか、結界の力が弱まり、祥雲はついに結界を壊すことに成功する。一方、昊軒はなぜ妖王が命をかけてまで滄海を守るのか怪しんだ。「私に何を隠している?…ならば顔を見せてもらおう」昊軒は妖王に一撃を放ち仮面を外した。しかし初空は咄嗟に仮面をつかんで背を向ける。その時、突然、祥雲が現れた。「私は3万年前、妖族を助けただけ、これでもう十分、恩を返してもらった… この者たちには関わりない、行くわ」「帝君?!…だめだ、行かせない」慌てた初空は思わず祥雲の腕をつかんで止めたが、祥雲にはある思惑があった。…冷静になって、詭界と摩羅族を犠牲にできない、無界に行って滄海の力を取って来て、そうすれば昊軒に勝てる、さもないと皆がここで死ぬことになるわ…すると初空は大局を見て納得し、必ず迎えに行くと約束した。祥雲は一緒に行く代わりに10万の兵を詭界から引き上げ、二度と踏み入らぬよう要求した。昊軒は駆け引きできる立場かと呆れたが、滄海に痛いところを突かれてしまう。「無血で解決できるのに何が問題なの?詭界は他ともうまくやって来た 結界を破るため大きな代償まで払うなんて、何かやましいことでもあるの?」「∑(⊙∀⊙)ドキッ!…いいだろう、自ら囚われの身となるのなら今日のことは不問に付してもいい」長寧宮に戻った昊軒は直ちに滄海の魂を消滅させるよう命じた。その時、祥雲が滄海だったと聞いた紅線翁(コウセンカク)が慌ててやって来る。しかし帝君に命乞いしても無駄だと気づき、ひとまず時間を稼ごうと思いついた。「3000年も欺かれていたとは…何と憎らしい!殺すだけでは甘すぎる!」「その通り」すると修茗(シゥミン)が駆けつけた。「急いで魂を消すなど軽すぎる、明日はちょうど天雷の日、雷刑で筋骨を断ち、魂を引き裂く 苦しんで死んでこそ恨みを晴らせます!」紅線翁も賛同し、滄海を衆目環視の中で裁けば世の者は帝君の恩を心に刻むだろうと昊軒の虚栄心をくすぐった。修茗は孫(ソン)天王の協力で牢に侵入、祥雲を逃すことにした。しかし昊軒の結界は強力で修茗の霊力では破れない。祥雲はどちらにしても逃げないと訴え、3万年前の真相を世に知らしめると言い放った。「昊軒を除かないと殺された魂が安らげず、世に安寧は訪れない… 長寧殿にある玄天鏡(ゲンテンケイ)なら過去の真相を映し出せたのに、昊軒が壊してしまったの」「玄天鏡?古の神器なら昊軒でも完全には壊せないはずだ」そこで修茗は鏡を修復しようと決めた。一方、初空は3万年前に滄海が身を投げた崖の上に立った。…全ての宿命を必ず私が終わらせてみせる…すると初空は妖王の力をまとい、無界へ飛び降りた。修茗は長寧宮から玄天鏡を持ち出し、洞窟の中にこもって修復を試みた。孫天王は心の臓を使えば鏡が直ったとしても霊力を損って命を落としてしまうと警告したが、修茗は滄海の潔白を明かせるなら命など惜しくないという。しかし鏡が直せないまま夜が明け、ついに滄海の裁きが始まった。「3万年前、摩羅族の女帝であり、範を垂れ大任を担うべき身で自ら進んで魔となった… 私が戦っていなければ世は妖魔に滅ぼされていただろう 本日、各部族に集まってもらったのは公正な裁きを行うためだ」孫天王は拘束された滄海の哀れな姿を見ながら、修茗が戻るのを今か今かと待っていた。昊軒は滄海に罪を認めるよう迫った。しかし祥雲は罪を認めるのが誰かは昊軒が一番、分かっているはずだと牽制する。その時、天界に暗雲が垂れ込め、雷鳴がとどろいた。「時刻だ、私が自ら正義を行う」一方、鏡の修復まであと少しというところで修茗も雷鳴を耳にした。…もう間に合わない、何とか引き延ばさねば…昊軒はゆっくり玉座を降りた。「天雷の鞭に何回まで耐えられるかな?」しかし突然、修茗が現れ、自分の手で帝休(テイキュウ)族の恨みを晴らしたいと申し出る。昊軒は許可したが、修茗は永遠と滄海への恨みつらみを語り、なかなか罰を与えようとしなかった。「修茗、話はもういい、早くやれ」すると祥雲は疑われないよう構わず打てと修茗に目で訴えた。…玄天鏡が直るまでまだ少しかかる、滄海、すまない…修茗はついに鞭を振り上げた。天雷の激しい衝撃に顔を歪ませる祥雲…。昊軒は早く罪を認めれば苦痛を受けることはないと冷笑した。つづく( ๑≧ꇴ≦)妖王、さすがにコスプレ感が強すぎてw
2024.08.23
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第35話女媧(ジョカ)石の化身・紫輝(シキ)は錦蘿(キンラ)が石の心を奪ったのは自分を守るためだとすでに気づいていた。紫輝のわだかまりが解けたことを知った錦蘿は安堵の涙を流し、ついに石の心を返す。実は錦蘿が肌身離さず身につけていた指輪が石の心だった。翌晩は満月で妖力が最も高まる時、紫輝は昊軒(コウケン)との約束通り滅妖(メツヨウ)陣を動かした。陣に入った昊軒は金丹を自分の身体に取り込みながら、全てが終って陣が完成すれば詭(キ)界のあらゆる妖力が手に入ると期待する。しかしその様子を物陰から孫(ソン)天王が見ていた。孫天王は修茗(シゥミン)から警告を受け、帝君を尾行していた。修茗の話が真実だと知った孫天王は慌てて天界へ戻り、修茗にありのままを報告する。「この目で見ました」「本当か?!」一方、紫輝は昊軒に協力すると見せかけ、頃合いを見計らい裏切った。陣の完成も間近というところで霊力を止め、最後の金丹の取り込みを阻止する。しかしすでに6つの金丹を取り込んだ昊軒は自分の力だけで陣を動かせるようになっていた。驚いた紫輝は何としても陣を破壊しようと無謀にも石の心を叩きつけ、心は砕け散ってしまう。その頃、妖王府では狂龍(キョウリュウ)長老が不問(フブン)長老の亡骸を前に悲しみに暮れていた。「一体、誰がこんなむごい真似を…」すると初空(チュコン)に天界から修茗の伝令符が飛んで来る。…昊軒は不問を殺した、滅妖陣を動かす気だ…「殺した者が分かった」昊軒は滅妖陣を壊した紫輝に激怒、霊力で締め上げた。すると突然、錦蘿が現れ応戦、紫輝を守る。「どうして来たんだ?!」「死ぬ時は一緒よ!」しかし紫輝は錦蘿をかばい、昊軒の一撃を受けて倒れてしまう。その時、仮面で顔を隠した初空が妖兵たちを率いて駆けつけた。昊軒は自分と対等の力を持つ妖王の霊力に驚き、ひとまず引き上げることにする。)彡ビュン!<今日は見逃してやろう、いつか詭界を平らげて見せる!初空は妖王府に紫輝を運び込んだ。祥雲(シャンユン)は紫輝が滅妖陣を壊すため石の心を捧げて霊力の源を失い、わずか3日の命と知る。「祥雲、最後の時は2人だけで過ごさせてやろう」紫輝が目を覚ますと錦蘿が付き添っていた。錦蘿に怪我がないと知って安堵する紫輝、すると錦蘿は傷が治ったら婚姻しようという。自分の死期を悟った紫輝は軽々しく同意できなかったが、錦蘿の言葉で覚悟ができた。「もう二度と後悔したくないの」すると紫輝は改めて自分から求婚した。「私、紫輝は女媧石の化身ですが、妻になってくれますか?」「ハイ、喜んで」そこで紫輝は祥雲に頼んで錦蓮(キンレン)を呼んでもらうことにした。紫輝と錦蘿の婚礼当日、紫輝は今日のため贈り物を準備したと教えた。すると錦蓮が現れる。錦蘿は兄がまた紫輝を害すると誤解したが、錦蓮は持参金がわりの結納品を机に置いた。「立会人になってくれ、千忍(センジン)」一方、妖王府を見張らせていた昊軒は錦蓮が妖王府を訪ねたと聞いて困惑した。妖王の侍女がなぜか摩羅(マラ)族と通じており、錦蓮はその侍女に対し敬意を払っているという。新しい妖王は摩羅族と関わりなどないはず、しかも錦蓮ほどの地位にありながらなぜ侍女と近い間柄なのだろうか。昊軒は密偵に引き続き妖王府を見張らせ、その侍女の素性を突き止めるよう命じた。紫輝と錦蘿の祝宴に懐かしい顔ぶれが集まった。祥雲は歴劫を思い出し、一緒に食事をするのは久しぶりだと言う。「星稜(セイリョウ)教の頃みたい…」人間界で小祥(シャオシャン)として転生し、千謀(センボウ)や千忍と教主の手作りの料理を囲んだことがまるで昨日のことのようだ。「謝謝教主、謝謝恩公…」紫輝はこの広い世の中で皆と巡り会えたことに心から感謝した。祝宴もお開きとなり、紫輝と錦蘿は改めて夫婦の杯を交わした。…この杯を空けたら本物の夫婦ね、これからは生死を共にし、永遠に離れないわ……妻の錦蘿が幸せで平穏に暮らせますように…2人は互いに胸の中で願掛けしたが、杯を空けた紫輝はそこで力尽き、ついに身体が離散してしまう。「紫輝…紫輝!」狂龍長老は初空に妖王の力を得る資格があると認め、ついに鍛錬を許可した。「台座の上にあるのが妖王の力です@カラフルもくもくさん 妖族は妖力の強さで妖王を選ぶのではありません 妖王として大切なのは無私の心で妖族を守ることです」狂龍は妖王が何のためらいもなく昊軒から妖族を守る姿を目の当たりにし、決断したという。一方、天界では密偵が妖王の侍女の似顔絵を昊軒に献上していた。「…祥雲か」初空はついに長老の信頼を獲得したが、実際は滄海(ソウカイ)を救うため妖王の力を得ようと策を弄したのも事実だった。後ろめたさに苛まれながらも鍛錬が始まった初空。一方、祥雲は妖王府で初空の帰りを待っていた。その時、手首の牽糸引(ケンシイン)に異変が現れ、もうすぐ初空が妖王の力を得ると分かる。このまま初空は情愛を断たれてしまうのか。そこで祥雲は2人を結ぶ赤い糸に霊力を注ぎ、2人の縁をつなぎとめようと尽力した。初空が妖王府に戻って来た。しかし祥雲を見ても無視して通り過ぎてしまう。「大丈夫、また始めればいい…私は祥雲よ!」初空は祥雲がまんまと騙されたと分かり、笑いをこらえて振り返った。すると祥雲が思いの外、傷ついている様子に驚き、慌てて駆け寄る。「すまない、私は忘れていない」「…なら私は誰?」「陳国のお茶目で賢い宋(ソン)祥雲、星稜教の天真爛漫な楊(ヤン)小祥、斉国の勇敢な祥雲公主、 3万年前、私と生涯を誓った女帝・滄海、そして姻縁閣の姻縁仙女・祥雲だ」「初空、約束して、何があっても私を独りにしないと」「死ぬまで一緒だ、お前を独りでこの世に残したりしないよ」初空は祥雲を抱きしめ、安心させた。(* ̄0 ̄)<為愛~為愛~唯愛aaaa~i♪つづく( ;∀;) イイハナシダナー
2024.08.22
コメント(0)
长相思 lost you forever第12話相柳(ソウリュウ)は玟小六(ビンショウリク)の壮絶な過去を思い出し、思わず手を伸ばして小六の頭をなでた。小六は妖族らしからぬ行動に困惑したが、慰めてくれたと気づいて笑顔を見せる。「でもあんたとは打ち解け合っているだろう?」しかし相柳はまたいつものそっけない態度に戻った。「また私を怒らせるまではな…」「はあ~はなかいな~」すると小六はそろそろ眠くなったと言って独りで帰ってしまう。翌朝になっても軒(ケン)こと西炎瑲玹(セイエンソウゲン)の傷口の出血は止まらなかった。暗衛・鈞亦(キンエキ)は弓矢に何の変哲もないことから、恐らく弓術の名手に違いないという。清水(セイスイ)鎮でこれほどの腕前を持つのは唯一人、防風意映(ボウフウイエイ)だけだ。しかし塗山(トザン)家の後ろ盾がある防風家を何の証拠もなく追求することは難しい。一方、阿念(アネン)は小六が毒に詳しいと思い出し、藁にもすがる思いで回春堂を訪ねた。いきなり叩き起こされた小六は憮然としていたが、事情を聞いて呆然となる。…哥哥の襲撃に相柳が一枚かんでたのか…小六は阿念以上に焦って酒店へ駆けつけた。瑲玹の出血が止まらない原因は分からなかったが、矢が刺さった瞬間に悪寒が全身を駆け巡ったと知り、氷晶だと気づく。氷晶は北極の氷山の結晶で宝石に並ぶ透明度と鉱山石以上の硬さを誇り、極寒の気を放出した。さらに瑲玹の血を舐めて確認してみると、何か薬が仕込まれていると分かる。恐らく矢尻に薬を仕込んだ氷晶を塗り、溶けた水晶から特殊な薬が傷口に広がってふさがらないよう細工したのだろう。小六は太陽神の力を受ける湯(トウ)谷の水ならどんな物もきれいに洗い流せると助言した。しかし瑲玹は湯谷に到着するまで身体がもたないと落胆する。「俺に妙案がある、氷晶を傷口に当てれば血が固まり流れ出なくなる」実は小六は兪(ユ)府で静養していた時、軒先に氷晶の風鈴があったことを覚えていた。小六は兪府に塗山璟(トザンケイ)を訪ねたが、応対に出たのは防風意映だった。…風に飛ばされそうなほど弱々しく見える防風小姐があの毒矢を放てるだろうか?軒哥を襲ったこと、十七(ジュウシチ)は知っているのか?…何とも複雑な思いで防風意映と対面した小六、すると塗山璟の居所にあった氷晶の風鈴はすでに撤去されていた。塗山璟は不機嫌そうに防風意映を下げると、小六の前では優しい十七の顔に戻った。そこで小六は氷晶の風鈴が欲しいと無理を言ったつもりだったが、塗山璟は二つ返事で引き受けてくれる。瑲玹からはいくら親しくても宝を得られるとは限らないと忠告されたが、杞憂に終わった。すると小六は念のため何があっても軒老板に危害を加えないよう釘を刺しておく。「分かった、君に従うと約束した、君の言うことは何でも聞く」小六はどんなに突き放されても自分に尽くしてくれる塗山璟に心が揺れた。…十七は防風小姐の悪行を全く知らないようだな…小六は早速、瑲玹の傷口に氷晶を置いた。すると無事に血が固まり、急いで荷造りして湯谷へ向かうことにする。瑲玹は蠱毒の件もあるため小六も一緒に行こうと誘った。「その才知があれば立身出世できるはずだ」「俺は~清水鎮で町医者を続けるよ、蠱毒はあんたが全快したら処方を書く 有能な配下が毒を解いてくれるさ…お互いいつまでも元気でいよう」こうして瑲玹たちは急ぎ清水鎮を出発した。「哥哥…哥哥の願いが全て叶うよう祈っているよ」小六が独り河畔で寂しさを持て余していると相柳が現れた。相柳はまた軒を助けたのかと聞いたが、小六は酒でもどうかと話題を変えてごまかす。「何を考えていた?」「軒の蠱虫はどうしたら取り除けるかと…」「言ったはずだ、別のものに移し替えるしかない、適当には選べないぞ?」どうやら小六は本当に蠱虫ついて何も知らないらしい。「どこで手に入れた?」「ずいぶん前、死にそうな白黎(ハクレイ)族の老女に出会った 異臭を放っていたから湯殿に連れて行き、綺麗な姿で夫のもとへ送り届けた そのお礼にあの胡桃をもらった」「育て方はどこで?」「…老女が教えてくれた」相柳はすぐ嘘だと分かった。育て方を教えたのなら異名も伝えたはず、しかし小六は言葉を濁してしまう。「ともかく軒の身体から取り除きたいなら別の者に移すしかない」相柳は離戎(リジュウ)氏の話を思い出していた。…大抵は女子が育て、意中の相手に埋める、一心同体になることを願ってな一度、埋めれば生死を共にできるゆえ、巷では″情蠱″と呼ばれているつまり好意がない相手には埋めることができないだが奥深い術だ、そうでなくても成功することもあるやもしかし無理に埋めてもいいことはないぞ、一心同体どころか蠱虫に蝕まれ命を落とすこともあるどちらにせよ埋めるも除くも放った者の想いしだいだ埋めてから時が経ち、想いが揺らげば他の者に移せるやもしれぬだが放った者に好意があることが条件だ…小六はふと九頭蛇の相柳なら身代わりになれると気づいた。「妖族だし蠱虫がいても問題ないだろう?頭が9つもあるんだ、俺の痛みなんて大したことない! な?いいだろう、頼むよ?」「…私に移し替えてもいいが、私に力を貸すと約束しろ もし約束を違えたらお前の喜びを痛みに変え、楽しみを苦しみに変える」「ひどい奴だな…分かった、誓うよ」(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク…本当、酷いw小六の霊力では瑲玹と遠く離れていては蠱虫を呼び戻せなかった。そこで早速、相柳と一緒に皓翎(コウレイ)国の五神(ゴシン)山へ出発する。一方、医館には塗山璟が差し入れを持って小六を訪ねていた。しかし小六なら急用が出来て出て行ったという。王宮がある五神山は守りが堅く、毛球(ケダマ)で空から近づくのは難しかった。そこで途中で巨大な貝殻の中に移り、密かに五神山海域まで接近することに成功する。「五神山に着いた…」感慨深げに王宮を見上げる小六、すると相柳が蠱虫を誘い出すよう急かした。…情蠱とは命のみならず心も必要だ、お前は9つの命を持つが心は1つしかない一度、差し出したら二度と取り戻せないぞ?…相柳にとって蠱虫を受け入れることは賭けでもあった。↓これ何貝?その頃、華音(カイン)殿では瑲玹が内息を巡らせながら静養していた。するとふいに鳳凰林で小夭(ショウヨウ)と約束を交わした情景が浮かんでくる。『お前が大人になって嫁いだら離れ離れだな』『じゃあ妹妹になってずっとそばにいる!』『そうだな、お前は妹妹で私は哥哥だ!ずっと一緒にいよう!』『約束よ!私たちは永遠に離れない』その時、瑲玹が急に喀血、老桑(ロウソウ)は蠱虫の仕業だと疑った。「玟小六め、解毒の処方も持ってこない!」「…解けたんだ」老桑は喜んだが、瑲玹はなぜか無性に寂しく感じた。瑲玹が吐き出した蠱毒は離散、小六に呼び戻され、相柳の身体に移った。するといつの間にか蠱虫を飼っていた胡桃が消えてしまう。小六はどこか落ち着きがなく、自分の蠱虫に違和感を感じると訴えた。「嫌な予感がする…蠱虫が何かを訴えているみたいに…あんたは?不快じゃないか?」「それより早く逃げた方がいい」相柳は小六と大きな泡に入り、海中散歩を楽しんだ。初めてみる深海の美しさに大興奮の小六、その様子を見ながら相柳は自然と笑顔になる。つづく( ゚ェ゚)つまり小六は相柳に少なからず情があるってこと?いや〜思わせ振りw
2024.08.21
コメント(0)
长相思 lost you forever第11話春を迎えた清水(セイスイ)鎮。玟⼩六(ビンショウリク)は身元を明かせぬまま軒(ケン)こと西炎瑲玹(セイエンソウゲン)と交流を深め、その日は酒を飲みながら門外不出の毒の避け方を伝授していた。すると瑲玹は小六がなぜ相柳(ソウリュウ)と親しいのか解せないという。(管理人もw)「相柳は…怖いとは思うが嫌いじゃない、敵ではないが友だちでもない 軒哥こそ、阿念(アネン)は妹以上の存在じゃないのか?」小六はそれとなく探りを入れたが、瑲玹がふいに白狐の尾を取り出し、大事そうに見つめた。「これは妹妹小夭(ショウヨウ)の宝物だ、別れ際に私にくれた、″しばらく持っていて″と言ってな その″しばらく″がもう300年になる、小夭妹妹は姑姑と師父の女児で、幼い頃に失踪した 誰もが彼女は死んだと言う、でも一縷の望みにかけている いつか彼女がこの狐狸の尾を取りに来ると…」実は阿念を溺愛しているのは小夭の分まで大切にしようと決めたからだった。まさか目の前に小夭がいるとは知る由もなく、瑲玹は声を詰まらせ涙する。小六もあふれる涙を止められず、酒を飲みながら杯で顔を覆い、こっそりぬぐった。そんなある日、小六は銭を忘れたことに気づかず、うっかり兎妖の店で点心を買った。しかし塗山璟(トザンケイ)が現れ、代わりに支払ってくれる。どんなに邪険にされても小六から離れようとしない塗山璟、すると前の酒店から瑲玹が声をかけた。「寄っていかないか?」瑲玹はこの機に碁に精通している青丘公子から教えを請いたいと頼んだ。しかし塗山璟は碁を打つかどうかさえ小六に従うとという。「なら俺も混ぜてくれ」こうして小六が石を置き、塗山璟は横に座って指南することになった。瑲玹は小六を通して塗山璟と対局した。青丘公子はさすがの腕前、しかし途中で急に小六が自分の好きな場所に石を置いてしまう。瑲玹はせっかくの対局が台なしだとぼやいたが、塗山璟は小六が好きな所で構わないと笑った。確かに小六が突拍子もない場所に石を置いても、次は塗山璟が見事に軌道修正している。しかし結局、小六に振り回された塗山璟が自分の負けを認めた。小六の提案で3人は石妖(セキヨウ)の新しい講談を聞きに行くことになった。すると茶屋へ向かう道すがら、御簾に弓矢の刺繍がある馬車を見かける。瑲玹は防風(ボウフウ)氏の紋章だと教え、弓術の名家で、先祖は星を射落としたと伝えられているという。「だが厳しい掟があり、紋章を使える者はわずかのはず… あの大きさの紋章なら弓術はかなりの腕前だろうな」その時、通り過ぎる車の後ろの御簾に九尾狐の紋章があることに気づいた。どうやら車に乗っているのは防風小姐らしい。小六はついに塗山璟の許嫁が現れたと知り、その場で別れることにした。「俺たちは邪魔しないよ、じゃここで」実は石妖の新しい講談は防風意映(イエイ)の純愛物語だった。…10年前、塗山家では青丘公子と防風小姐の祝言の準備が進められていたしかし祝言の前夜に青丘公子が突然、重い病に倒れ、祝言は中止となり、2人は結ばれずじまい娘を寡婦にさせまいと防風氏は退婚を申し出たが、小姐は花嫁衣装を身にまとって太夫人に直談判したという『私は塗山府で生き、塗山氏の墓に入ります』太夫人はいたく感動し、防風小姐を青丘に迎え入れ、屋敷の差配を手伝わせることにした正式な嫁として迎えられたわけではなかったが、太夫人は防風小姐を実の孫のように可愛がっているという今は青丘公子も回復して清水鎮に滞在しており、防風小姐も許嫁を追いかけてきたところ2人の祝言も近いだろう…塗山璟は兪(ユ)府で初めて許嫁の防風意映と対面した。10年の時を経てようやく巡り会えた許嫁同士、しかし感動で涙する防風意映とは裏腹に塗山璟は目も合わせようとしない。「当時、重傷を負ったと聞きました、どんな怪我を?何か手がかりがつかめるかも」「覚えていない…もう過去のことだ」すると塗山璟は侍女・静夜(セイヤ)に防風小姐を部屋で休ませるよう促し、早々に追い出してしまう。防風意映は客室に運び込んだ大事な弓矢を確認した。実は塗山璟の兄・塗山篌(トザンコウ)が意映のため作らせた天下一品の弓矢で、刀でも斬ることができないという。その時、白い伝令鳥がやって来た。…あの件は引き受けよう、お前に協力して動く…実は意映が清水鎮へ来た本当の目的は美談とは別にあった。一方、小六の蠱虫(コチュウ)が気がかりだった相柳は退隠した離戎(リジュウ)氏を訪ねていた。「妙な蠱術に遭遇した、蠱術師が蠱虫を操れず、呼び戻す方法がない」「もしやその蠱術師は女子か?女子なら相手は想い人なのだろう、雄雌の蠱虫だ」つがいの蠱虫は育てるのが極めて珍しく、また虫自体が強い力を持ち、放った者にも操ることはできないという。講談から戻った小六は河畔で独り落ち込んでいた。どんなに嘆いても無駄だと知りながら、やはり塗山璟と防風小姐が結ばれると思うとやりきれない。そこへ突然、相柳が現れ、そのまま連れ去られてしまう。その頃、店を閉めた瑲玹は老桑(ロウソウ)と中庭で片付けをしていた。すると黒装束の刺客たちが現れる。鈞亦(キンエキ)ら暗衛が駆けつけ瑲玹を守ったが、密かに上空から白馬の射手が西炎(セイエン)王孫に狙いを定めていた。相柳は小六を毛球(ケダマ)に乗せてしばらく上空を飛んでいた。やがて頃合いを見計らったように小六を突き落とし、一緒に湖へ落下する。その時、湖面に落ちた衝撃が瑲玹に伝わり、急に息苦しくなって動けなくなった。咄嗟に鈞亦が駆け寄ったが間に合わず、瑲玹は右胸に矢を受けてしまう。相柳はしばらく小六を水中に留めた。しかし息が続かなくなった小六はついに気を失い、湖底に沈んでしまう。すると相柳は小六を追いかけ、口移しで息を吹き込み助けた。相柳は小六を担いで河畔へ上がった。その時、ちょうど伝令鳥が戻り、防風意映が無事に目的を果たしたと知る。…おかげで成功したわ…やがて小六は水を吐き出し、目を覚ました。「どうせ殺すなら一思いにやれよ」「そう簡単には殺さぬ」一方、瑲玹は矢が命中したものの、急所を外れて無事だった。しかし薬を塗っても一向に血が止まらず、医者も頭を抱えてしまう。相柳は小六の想い人が瑲玹なのか気になった。そこでなぜ瑲玹から蠱虫を除かないのか切り出したが、小六は呼び戻そうとしたが失敗したという。「(はっ!)妖族のあんたなら操れるか?!」「ゥッ…取り除きたいなら別の者に移せばいいが…その者に害が及ぶぅ…」「俺が害したいのはあんただけだ(^ꇴ^)」「私に害を与えたいだと?」面白くない相柳は軒が清水鎮を去るときに殺せば手間が省けるとわざと挑発、小六を怒らせてしまう。「西炎王の孫というだけで無関係な瑲玹を殺すのか?!」「軍師だからな、見逃せない、辰栄軍には恩がある」「はあ?洪江(コウコウ)ってどんな奴なんだ?妖族に″良心″を持たせるなんて!」「…哀れな愚か者だ、愚かな兵士を率いて哀れな行いをしていた」「愚かなのはあんただ!辰栄の兵士たちじゃない! 自分たちの行いが先祖の供養となり、子孫に誇れることだと信じてる! 死ぬ時でも正義感に満ちあふれているさ!チッ!あんたと違ってお遊びじゃないんだ!」相柳は小六に厳しく責められ、自ら頭が9つもあれば矛盾も生じると言い訳した。「頭の話題には触れるなと自分で言ったくせに…自虐ネタかよ」「…私が嫌うのは9つ頭の話ではなく、腹の中で見下す奴らだ お前は許そう、私をからかいはするが決して見下さない、九頭の怪物とは見ていない」小六は初めて相柳の胸の内を知り、思わず励ました。「怪物というなら昔の俺のことだ」「だから人を避けて山にこもったのか…」すると相柳は柄にもなく小六の頭をそっと撫でた。つづく(  ̄꒳ ̄)ほのぼのlake〜♪
2024.08.20
コメント(0)
长相思 lost you forever第10話塗山璟(トザンケイ)は今日も帰墟(キキョ)水晶と玉(ギョク)山の万年玉髄(ギョクズイ)の差し入れにやって来た。しかし小屋はもぬけの殻、驚いた塗山璟は慌てて玟小六(ビンショウリク)を探しに向かう。その頃、西炎瑲玹(セイエンソウゲン)をかばって深手を負った小六は相柳(ソウリュウ)が洞窟でかくまっていた。「なぜ軒(ケン)を助けた?」「軒の素性に気づいたからさ、なぜあんたが俺を介抱しているのか不思議だった でも分かったんだ、軒を誘き出すためだって 塗山璟もあんたが俺を隠せば見つけられないと思ったんだろうな でも軒は西炎(セイエン)王の嫡孫だ、奴を殺せば必ず西炎王が敵討ちに来る そうすれば俺は安心して暮らせなくなる」「なぜ軒の素性が分かった?」「奴の侍従が叫んだんだ、確か″殿下を救え″とか何とか…」「なのに邪魔をしたと?!」激情に駆られた相柳は思わず小六の首を締め上げ、血を吸い始めた。その夜、瑲玹は急に首元の痛みを感じて目を覚ました。「正気とは思えぬ若造だ、あれほどの重傷でこんなことを…」←とんだ誤解w一方、相柳は小六が怪我人だと思い出し、慌てて血を吸うのをやめた。すると弱った小六の姿にふと心が揺れ動き、思わず衣に手を伸ばしてしまう。「相柳大人、俺は男だぞ」「ならなぜ朏朏(フェイフェイ)が誘い出された?」小六は相柳も声や顔を変えられると言ったが、どちらにせよ身体は男だった。「分かったよ、触ればいいだろう?好きにしてくれ」「…偽りの身体に興味はない」←どっちだよ?w小六は再び眠った。すると相柳は誰かが近づいていることに気づき、動かせない小六に自分の霊力を与えてから姿を消した。そこへ塗山璟が現れる。塗山璟は小六をわき水から抱き上げると、自分の居所に運び込んで献身的に介抱した。小六が目を覚ますといつの間にか豪華な寝殿にいた。「こんなに早く治るとは…かなり霊薬を使ったはずだ」塗山璟はついに目覚めた小六の姿を見て感激し、思わず抱きしめてしまう。そこへ侍女の静夜(セイヤ)が現れた。「あの…私がお支えします」侍女の声で我に返った小六は急によそよそしくなり、世話になったと感謝して帰ってしまう。「お邪魔したせいでご気分を害されたのでしょうか?」「…葉十七(ヨウジュウシチ)の恩に感激しただけ、塗山家の少主にではない」小六は相柳と塗山璟のおかげで回復、回春堂で仕事に戻った。串子(カンシ)は相変わらず使い物にならなかったが、思いがけず桑甜児(ソウテンジ)が十七の穴を埋めてくれる。小六は桑甜児の才能を見抜き、興味があるなら自分の医術を授けると持ちかけた。感激した桑甜児は手に職があれば堂々と生きていけると訴え、その場で弟子入りの叩頭を済ませる。「串子と2人で老木(ロウボク)に孝行しろよ、老木が長生きしたら子供にも孝行させてくれ」「…六哥、ここを離れるつもりですか?」小六は何も答えなかったが、桑甜児は老木と串子のことなら心配ないと言った。「まるで死に際の遺言みたいだな?」その声は瑲玹だった。小六は瑲玹を前にしてどうしたら良いか分からず、落ち着きがなかった。「で、軒老板、何の用で?」「恩人に礼を…」「あんたが死んだら体内の蠱虫も死ぬ、苦労して育てから死なせたくなくてね 阿念を傷つける気はなかった、ちょっとからかっただけさ 相柳を手伝ったがあんたを救ったし、これで貸し借りなしだ」瑲玹は今ここで蠱毒を解いて欲しいと頼んだが、小六は身を守るため軒が清水鎮を離れた時に解くと約束する。「身体には害がない、俺の痛みを感じるだけだ」「そうか…暇があれば酒を飲みに来い、重傷の身で色事は控えろよ」「そうだな~って、はい?( ゚д゚)」すると瑲玹は首元を指差して笑った。酒屋に戻った瑲玹は医者の脈診を受けた。確かに身体には何の影響もないと分かったが、小六が蠱毒をすぐに解かないのは何か思惑があると疑う。「蠱術に詳しい者の話では、放った者にしか解けないそうです かつて同様の蠱虫を放たれた者は蠱術師が死ぬと死んでしまったとか」しかし小六が蠱毒を解かなかったのは他に理由があった。季節は巡り回春堂の中庭は一面、雪景色になった。桑甜児は小六の期待通り医術にまい進し、今や独り立ちできるまでに成長している。再び平穏を取り戻した小六、その様子を相柳がこっそり眺めていた。…傷も治ったようだな…相柳は仲間たちと食卓を囲む小六の姿を見つめながら、かつての小六の言葉を思い出していた。…寂しいのは嫌だ、いっときの道連れでも構わないさ…一方、酒屋でもすっかり元気になった阿念の姿があった。酒に弱い阿念は1杯飲んだだけですっかり酔っ払い、侍女の海棠(カイドウ)が寝所へ連れて行く。その様子を見ていた老桑(ロウソウ)は失笑し、やはり酒に強い瑲玹の相手は第一王姫でしか無理だと言った。「きっと今頃は酒豪ですね」日が暮れると雪はいっそう激しくなった。小六はそろそろ瑲玹が清水鎮を去る頃だと察し、今が一緒に酒を飲める最後の機会だと気づく。矢も盾もたまらず酒屋へ出かけた小六、しかしやはり門の前で思い直し、引き返すことにした。その時、急に門が開いて瑲玹が現れる。「どうした?なぜ入らない?」「灯りが消えていたからいないのかと思って…」「どうぞ」小六は窓から中庭の玉萼梅(ギョクガクバイ)を眺めた。「見事に咲いているな」「妹妹が好きなんだ」「軒哥は本当に妹妹思いだな」しかし瑲玹は何も言えなかった。思い出の桑葚(ソウシン)酒を飲むと自然と目がうるんでしまう小六。瑲玹は酒を何年も寝かせていたが、阿念が飲みたいと言うので開けたと明かした。「なぜ清水鎮に来たんだ?」「言っても信じないだろう…実は妹妹のためだ」瑲玹は小夭のために来たと言ったが、小六は阿念のためだと誤解した。「どうして俺を助けた?」「それを言うにはまだ飲み足りないや」小六は立て続けに何杯も酒をあおると、結局、酔い潰れて眠ってしまう。「六哥?六哥?起きろ?」瑲玹は思わず小六に一撃を与えようと構えたが、自分も巻き込まれると思い出して諦めた。「命知らずな奴だな」小六は回春堂へ戻った。すると塗山璟が差し入れを持ってやって来る。「蠱毒を解く方法はあるのか?」「それが色々、試したが駄目だった」「何か手伝えることがあれば…はっ!誰だ?!」外へ出た塗山璟は相柳がいたと気づいたが、小六には気のせいだとごまかした。しかし小六からもう訪ねて来るなと追い返されてしまう。つづく( ꒪ω꒪)・・・
2024.08.18
コメント(0)
长相思 lost you forever第9話玟⼩六(ビンショウリク)は阿念(アネン)を拘束して郊外へ連れ出した。すると相柳(ソウリュウ)が合流、九頭蛇を見た阿念は気絶してしまう。小六は傷だらけの相柳を心配し、軒(ケン)から薬材が届いたら自分が阿念を送り届けると申し出た。「その間どこかで療養しなよ」「…奴の正体を知っているのか?見当はついたが裏付けが必要だ だが私の推測が正しければお前は地獄を見ることになる 奴は妹妹をさらったお前を殺すだろう、私が奴を殺すまでそばにいればいい」「遠慮するよ、誰かの陰に隠れるなんて性に合わない」「好きにしろ、だが絶対に死ぬな」そこへ毛球(ケダマ)が飛んできた。辰栄(シンエイ)軍に薬材が無事に届いたと分かった。小六は相柳と別れ、阿念を連れて清水鎮へ帰ることにする。しかし町へ到着する前に阿念を探し回っていた軒が現れ、小六は激しく吹き飛ばされた。泣きじゃくる阿念を大事そうに抱きしめる軒。感動的な兄と妹の再会に小六は思わず笑顔になったが、そのまま連行されてしまう。阿念は小六から毒を飲まされ、さらに毒を塗ったかんざしで突き刺されたと話した。しかし小六が解毒法を白状せず、激怒した軒は拷問の達人を呼びつけ、死なない程度に痛めつけるよう命じる。地下牢に監禁された小六は両手に死人の脂を塗られ、蛆虫にかじられる拷問を受けることになった。あまりの激痛で自ら手を噛みちぎることのないよう口には布を詰め込まれ、最近ではこの拷問で正気を失った者がいると脅される。「面倒をかけるなよ」拷問師2人は暗い方が苦しみが増すため、灯りを消して出て行くことにした。その時、小六の身体から蠱虫(コチュウ)が飛び出し、拷問師たちと一緒に部屋を出て行く。すると蠱虫はちょうど阿念を寝かしつけていた軒を見つけ、背中から体内へ入った。塗山璟(トザンケイ)は小六を救うべく西河の畔に相柳を呼び出した。しかし相柳は自分の誘いを断った小六の自業自得だと冷たい。「これは頼みではない、取り引きだ、助けてくれるならどんな条件ものむ」「…お前は奴の何なのだ?青丘公子」すると相柳は暗殺なら請け負うが人助けはしないと言って帰ってしまう。翌朝、拷問師が地下牢に戻ると小六は気を失っていた。しかし何やらうわ言のように呟いている。「…ん?魚の焼き方か?変だな、蛆虫に問題でもあったのか?」拷問師は箱の中身を確認したが、小六の手は確かに蛆虫に食われている。信じられない忍耐力の持ち主に驚く拷問師、実は小六をここまで強くしたのは朝雲(チョウウン)殿で過ごした小夭(ショウヨウ)としての幸せな記憶があったからだった。その時、何者かが地下牢に侵入、拷問師たちは蹴り飛ばされてしまう。小六が目を覚ますと塗山璟がいた。両手は包帯でぐるぐる巻き、すると塗山璟が手を動かせない小六を抱き起こしてくれる。「ここは辰栄軍の陣地か?」「そうだ」実は相柳が軒を引き離した隙に塗山璟が地下牢へ潜り込み、小六を救出していた。小六は助けずとも自分で逃げられたと言ったが、塗山璟は阿念に毒消しを渡して恨みを解こうという。「…毒ってのは嘘だ、一芝居うったのさ 軒は阿念を溺愛している、何の毒を盛ったのか分からなければ俺を殺すことはない だがこれは一時しのぎでしかない、だから阿念ではなく軒に毒を盛った 正確には毒ではなく蠱虫だ、体内で飼っていた2匹のうち1匹を軒の身体に埋め込んだ これで俺が怪我をすれば奴も同じ痛みを味わうってわけだ 本当は相柳を懲らしめるために育てていたんだ あいつにはどんな毒も通用しないから知恵を絞ったのに… まさか軒の身体に埋めることになるとはな」塗山璟は軒のことなら自分に任せて欲しいと言った。しかし小六は相柳からも自分のそばにいるよう忠告されていたと明かす。「俺は長い間、何でも1人でやってきた、これからも自分で何とかする 俺の命を救ったことで貸し借りはなくなった、もう俺に構わないでくれ」すると塗山璟は仕方なく痛み止めの薬を置いて引き上げた。その夜、小六は気分転換に外へ出た。すると木の上で休んでいる相柳に気づく。実は相柳は塗山璟と小六の話を全て聞いていた。「私を討つために蠱虫を?…で、軒の体内の蠱虫はいつ動き出す?」「数日後だ、どのみち奴は苦しみから逃れられない」蠱虫は育てた小六にしか操ることができないという。小六はわざと痛み止めを飲まず、真っ赤に腫れ上がった手を放置して激痛にもだえ苦しんだ。「イタイイタイイタイイタイイタイイタイ~!」相柳は山頂に響き渡らんばかりの小六の悲鳴に耐えかね、耳をふさいでいる。すると小六は振り返った拍子にうっかり柱に手をぶつけた。「あ″ーーーーーーーーーっ!」「大丈夫k…」相柳は思わず手を差し伸べようとしたが、小六はすでに塗山璟が差し入れた帰墟(キキョ)水晶と玉(ギョク)山の万年玉髄(ギョクズイ)に手を突っ込んでいた。「ふう〜」「本当に痛み止めはいらないと?」「いらない、軒に痛みを与えなきゃ拷問を受けた意味がない」頑固な小六は外へ出ると、また激痛に襲われながら悲鳴を上げ始めた。「敵を討つのに己を痛めつけるとは…愚か者め(ボソッ」同じ頃、阿念と食事をしていた軒は突然、手が激しく痛み、箸を落とした。阿念はすぐ医者を呼んだが原因が分からず、ひとまず痛み止めを飲むと徐々に症状が治る。軒は安堵したが、そこへ暗衛の鈞亦(キンエキ)が駆けつけた。「玟小六の居場所が分かりました」小六は急に鼓動が早くなり、軒が近づいていると気づいて慌てて外へ飛び出した。するとすでに相柳と配下たちが軒たちが来るのを待ち構えている。相柳は今日こそ決着をつけると覚悟し、小六に身を隠すよう勧めた。「相柳、生きて帰れよ」しかし小六は居ても立っても居られず、様子を見に行ってしまう。相柳と軒、双方入り乱れて激しい戦いが始まった。そこで軒は手負いの相柳を誘き出し、一対一での対決に持ち込む。小六は物陰から2人の戦いを見ていたが、その時、相柳が劣勢に立たされた。仕方なく小六は自分の腕を岩に打ちつけ加勢、そのせいで軒も急に腕が痛み、攻撃の手が止まる。相柳は近くに小六がいると気づき、蠱虫を利用することにした。「右腕!…左足!」「ひと事だと思って…」小六は相柳の指示通り自分の身体を痛めつけていたが、思い切り足で岩を蹴飛ばした時だった。突然の激痛にひざをついた軒は後方へ吹き飛び、その勢いで肌身離さず持っていた玉の入れ物が転がり落ちてしまう。すると入れ物のふたが開き、中から白狐の尾が飛び出した。小六は軒が落とした白狐の尾を拾い、確かに自分が西炎瑲玹(セイエンソウゲン)に贈ったものだと分かった。「瑲玹哥哥…」しかし小六が感傷に浸っている間に優勢に転じた相柳がついに瑲玹を追い詰めた。…西炎王の孫よ、お遊びはここまでだ…深手を負った瑲玹は相柳の呪縄で締め上げられ、身動きが取れなくなってしまう。「すまない」小夭との約束を果たせないまま目を閉じた瑲玹、その時、突然、小六が現れ、身を挺して瑲玹をかばった。瑲玹は激しい背中の痛みに襲われたが、無事だった。ふと目を開けると小六が相柳の一撃を受けて喀血している。「早く逃げろ!」小六は白狐の尾を瑲玹に返して背中を押し、相柳が後追いしないよう足にしがみついた。相柳はあと一歩のところで瑲玹を逃し、激高して小六の首を締め上げた。「哥哥…」小六は息を詰まらせながら瑲玹との幸せな時間を思い出し、その記憶を垣間見た相柳は慌てて手を放す。「邪魔しやがって…どう片をつけようか」一方、瑲玹は急に首を圧迫されたように苦しくなったが、医者が到着する頃には症状が消えた。「自分の痛みを他人に感じさせる毒は存在するか?」「毒薬ではできませんが、蠱虫なら可能かと…」医者は確かに無傷にも関わらず強い痛みを感じるのは蠱虫の症状だと納得した。しかし辰栄王の孫弟子と言えども蠱術には不案内、そこで詳しい知人から取り除く方法を聞いてくるという。相柳は深手を負った小六を洞窟にかくまい、わき水に入れて休ませた。その間に正体を隠して暗殺を請け負い、報酬として帰墟水晶と玉山の万年玉髄を手に入れる。洞窟に戻った相柳は無理がたたって立ちくらみを起こしたが、それでも小六のために尽力した。つづく( ๑≧ꇴ≦)肝心な場面だけどフタがパカッ!尻尾がぼよよよよ~ん!で笑ったw
2024.08.17
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第34話″真実の水″で妖王の真身を暴こうと企んだ狂龍(キョウリュウ)長老。実は念には念を入れて媚薬も一緒に仕込んでいた。祥雲(シャンユン)は媚薬のことまで知らなかったと釈明したが、相手は愛する初空(チュコン)、思い切って身を捧げる覚悟を決める。初空はついに祥雲を寝台に押し倒し、腰紐に手をかけたが…。狂龍長老と不問(フブン)長老は回廊で様子をうかがっていた。やがて祥雲の悲鳴が聞こえ、妖王が酒を飲んだのは事実だと分かる。妖王の真身は太古の奇獣・猙(ソウ)、しかし同時に情愛は断たれていないと暴かれた。「媚薬ごときで耐えられなくなるとはな」長老たちは呆れて階下へ戻ったが、その時、ほっかぶりした妖王が慌てて屋敷を飛び出して行く。「どうやら見くびっていたな」「私も大王を軽く見ていたようだ」実は初空は祥雲の腰紐を解き、手足を縛って拘束しただけだった。森の中に逃げ込んだ初空は猫耳が消えてから屋敷に戻った。掃除をしながら待っていた祥雲は喜んだが、初空は情愛に惑わされぬよう祥雲の顔を見ようとしない。そこへ狂龍長老が駆けつけた。「黒豹の妻を見つけました、夫が消滅して怖くなり隠れていたそうです」しかし祥雲は妻が白粉店で見つかったと聞いて訝しむ。「愛する夫が殺されたのに化粧をする気になるでしょうか?」狂龍は再び妻を尋問し事実が判明した。黒豹妖の水晶の商いは見せかけ、本当は妖族をさらって売り飛ばしていたという。「7人の悪党と盟を結んでいたようです」7人の名を見た祥雲は次に襲われるのは尾狐(ビコ)公子だと気づいた。夜な夜な若い娘を探し回っている尾狐公子は格好の標的となった。その夜、ついに尾狐公子は紫色の元神に襲われたが、危ないところで金色の元神が現れ、逃がしてくれる。驚いたことに妖怪の金丹を狙っていたのは紫輝(シキ)だった。「なぜお前が?…斉国で別れたあと何があった?」「教主、小祥(シャオシャン)が捕らわれの身となったら助けますか?」初空は錦蘿(キンラ)のためだと気づき、自分が力になると説得した。しかし紫輝は黙って姿を消してしまう。…紫輝は24話で教主と小祥と分かれ、真実を求めて旅立ったあれから錦蘿を探し回り詭(キ)界へたどり着いたが、錦蘿は単独で妖王を襲って失敗、天界へ送られたと知る紫輝は厳しい警備をかいくぐってついに長寧宮に侵入、昊軒に錦蘿を返すよう迫った『先の妖王ができなことを代わりに私がやると言ったら?』昊軒はここまでたどり着くことができた男の手腕を高く評価した『いいだろう、必ず私の言うことをやり遂げろ』紫輝は約束通り金丹の妖怪を6人始末した滅妖(メツヨウ)陣を動かせるまで金丹はあと1つ、すると昊軒は錦蘿に毒を飲ませてから紫輝に返してやる『この毒は私にしか解けぬ 1年のうちに最後の金丹を手に入れることができなければこの女子は死ぬ』…紫輝は最後の金丹を探すため、再び出かけることにした。すると錦蘿がちょうど目を覚まし、昊軒のために働かないよう訴える。「生死なんて忘れたわ、いつ死んでも同じよ」「覚えておけ、お前の命は私の物、死ぬにも私の承諾が必要だ この小屋は私の霊力で作った、全ての結界が私とつながっている、逃げられると思うな」紫輝はわざとつれない態度で接していたが、これも錦蘿を失いたくない一心だった。初空は尾狐公子に成りすまし、紫輝を誘き寄せることにした。案の定、紫輝が現れたが、尾狐公子の正体が初空だと気づくと姿を消してしまう。昊軒との約束の1年までわずか3日。紫輝は仕方なく昊軒を訪ね、妖王が金丹の妖怪を全てかくまってしまい、策を練る時間が欲しいと懇願した。「情勢が変わったのです!せめてあと半月…」しかし昊軒は決して猶予を認めなかった。屋敷に戻った初空はひどく弱っていた。祥雲は初空の霊力がなくなっていると気づき、自分の元神を使って癒すことにする。やがて祥雲のおかげで初空は意識が戻った。「詭界で神仙の術を使えば死んでしまうわ!」詭界は神仙にとって禁足の地、霊力の強い神仙ほど結界に踏み込んだ時の反噬(ハンゼイ)が大きいことは初空も重々、承知しているはずだ。「何をそんなに急いでいるの?」実は祥雲は治療中に初空の意識の中をのぞき、自分を忘れていないと知っていた。初空は仕方なく全てを明かすことにした。詭界に来たのは妖王の力を得るためで、そのためには情愛を断つ必要があるという。狂龍長老が美しい祥雲を送り込んだのは、妖王が本当に情愛を断っているのか試すためだった。確かに今は祥雲への愛情を忘れていないが、どちらにしても妖王の力を鍛えれば情愛を断たれてしまうという。「だから初めから希望を与えなかった、その方が失望や苦しみがない」「でも何のためなの?」実は妖王の力を使えば無界に入れることから、初空は滄海(ソウカイ)の力を取り戻そうと考えていた。もちろん祥雲のためだったが、それ以上に麒麟と滄海の力を合わせて同じ悲劇を止めたいという。すると祥雲は例え初空が自分を忘れても、また思い出させてみせると笑った。「寝ても覚めても一緒にいたい…あなたがそう言ったのよ?」詭界の境界に昊軒が現れた。「神君、なぜ自らお見えに?」結界から現れたのは不問長老だった。昊軒は先王の目付役として不問を送り込んだが、新しい妖王に変わって身動きが取れなくなったという。「詭界の金丹の妖怪は皆、妖王のところなのか?」「その通りです、神君の命は死んでも果たす所存ですが、妖王のそばで動けば疑われます」昊軒は紫輝の話が言い訳ではなく本当だと分かった。「確かお前も金丹を持っていたな…」すると昊軒はいきなり不問に襲いかかり、金丹を奪ってしまう。その様子を物陰から修茗(シゥミン)が見ていた。…金丹をどうするつもりだ?すぐ初空に知らせねば…初空と祥雲は詭界の地図を広げて紫輝の居場所を探していた。すると天界の修茗から麒麟の伝令符が届く。実は金丹を集めていたのは昊軒だった。祥雲は初空が以前から昊軒を疑い、わざわざ死んだふりまでして詭界に転生したと思うと胸が痛む。しかしもはや兄弟の対決は避けられなくなった。祥雲は初空の辛い胸の内を理解しながら、正義のためにやるべきことをやるだけだと励ました。昊軒は詭界にある紫輝の小屋を訪ね、最後の金丹を託した。しかし紫輝は滅妖陣を動かす前に錦蘿の解毒薬が欲しいという。「女子の生死は石の心に関わる、危険は冒せません」すると昊軒は解毒薬を出した。「では明晩は満月で妖力が最も高まります、滅妖陣を動かしましょう」「最後の山場だ、慎重に頼む」一方、修茗は孫(ソン)天王に足止めされていた。修茗を見張っていた孫天王はなぜ帝君をつけ回していたのかと追及、白状しないのなら帝君に報告するという。仕方なく修茗は昊軒が詭界に降り、妖族を殺して金丹を奪うのを見たと教えた。孫天王は当然、信じなかったが、修茗から李(リ)天王の死を持ち出されて顔色が一変する。「…もし昊軒が野心を持ち、世を危うくするとしたら?」修茗は本当の忠誠とは暴君を助けることではなく諌めることだと諭した。錦蘿は解毒薬のおかげで回復した。すると紫輝は錦蘿にここを離れ、また自然の美しい場所で医者をやればいいという。「私が憎いのでしょう?」「君を追いかけながら探す理由を考えたよ、恨みやつらみ、そして心のこと… やがて分かったんだ、君が心を奪ったのは私を錦蓮(キンレン)から守るためだったと」紫輝は錦蘿が無謀にも独りで妖王を襲ったのも自分のためだったと気づいていた。ようやくわだかまりが解け、涙する錦蘿。「知っていたのね…」つづく ( ๑≧ꇴ≦)金丹と見せかけて仁丹…ゲフンゲフン
2024.08.16
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第33話初空(チュコン)を追いかけ詭(キ)界へ転生した祥雲(シャンユン)。何とか侍女として妖王府に潜り込むことに成功したものの、初空から手ひどく追い返されてしまう。…どうして?初空は私のことが分からないのかしら?…しかし初空が頑なに拒んだせいで狂龍(キョウリュウ)長老が怪しんだ。「もしやこの小虎妖の美しさに心が動くのが怖いのですか?」「…下っ端の妖怪に過ぎないが長老のせっかくの好意だ、残るが良い」無事に妖王の寝殿に入った祥雲は安堵から思わず初空に抱きついた。「どれほど会いたかったか!何があっても隠さないと約束したでしょう?」しかし初空は祥雲を突き放し、無礼だと憤慨した。「初空、分かってるわ、詭界に来たのは何か大事なことがあるからよね? 安心して、足は引っ張らない!あなたに会うまで大変だったの でも狂龍長老が大王に侍女を贈ると聞いて入り込めた」「これは新しい悪巧みか何かか?旧知のふりをするとは…」すると祥雲は二度と寝殿に入るなと叱られ、追い出されてしまう。…初空、本当に忘れたの?あの矢を受けたせいかしら、また新しくやり直さないと…一方、厄誅(アクチュウ)痕に蝕まれる昊軒(コウケン)は体調が悪化していた。そこで表向き弟が急逝したせいで気力が出ないと言い訳し、初空を暗殺してくれた修茗(シゥミン)を信頼して政務を代行させることにする。しかし修茗は誤解だと訴えた。砕魂箭(サイコンセン)を鍛えていたのは神託で滄海(ソウカイ)が復活すると知り、帝休(テイキュウ)族の敵を討つためだという。昊軒はそれ以上、追求せず、恐らく摩羅(マラ)族が滄海のために強敵である初空を排除したのだろうと言った。妖王の寝殿に追い出したはずの祥雲が戻ってきた。初空は香袋の匂いに驚いて祥雲を引きずり出そうとしたが、祥雲は初空の背中にしがみついて離れない。「下りろ!」「側に置くと約束するまで下りない!」「下りろ!さもないと…もう間に合わな…い」その時、祥雲の香袋に入っていた虫除けの荊芥(ケイガイ)草のせいで、初空の猫耳が出現した。「あ!耳だ!」初空は祥雲の香袋を握りつぶし、ひと安心した。しかし詭界では毒蠍王を死に追いやった猫妖は見つけ次第、殺すよう命じられている。祥雲は思いがけず初空の弱みを握り、自分を排除すればうっかり狂龍長老に口を滑らせてしまうかもしれないと脅した。「ならば私の邪魔はするなよ?」「ご安心を、力になります」妖王の突然の交代、しかし昊軒は新しい協力者に金丹を集めさせていた。「あと1つで滅妖(メツヨウ)陣を動かし、詭界の妖力を取り込めるでしょう 私との約束を覚えていますか?」「安心しろ、全て終わったら約束通りお前の望むものを与える」一方、昊軒の側近である孫(ソン)天王は修茗の行動を怪しみ、密かに探っていた。そんなある夜、水晶を商う黒豹妖が襲われ、金丹を奪われた。金丹を持つ妖怪は狂龍長老と不問(フブン)長老の他に10人、この数日で6人が続けて消滅しているという。すると報告を聞いた妖王は自ら犯人探しに乗り出した。これまでの妖王はこの件に一切、関わろうとしなかったが、新しい妖王は今までとは違うらしい。美しい祥雲にも目もくれず、どうやら本当に情を断ったように見えた。しかし慎重な狂龍長老はまだどこか妖王を信じられずにいる。「先王の虚霊鏡(キョレイケイ)が眠ったままだ、きっと役に立つだろう」その話を祥雲が回廊で立ち聞きしていた。翌朝、初空が身支度を整えて寝殿を出ると、すでに長老たちが階下で待っていた。実は先王が残した虚霊鏡を新王に保管して欲しいという。しかしそれは単なる口実、初空はこの鏡が妖族の真身を映し出すと知り動揺した。すると上階にいた祥雲が長老たちを誘き出すため、狐妖のかんざしを抜いて屋敷を飛び出して行く。神仙の気配を感じた長老たちはもはや鏡どころではなくなり、妖王の猫耳姿が映し出される前に出払った。祥雲は集落の物陰に隠れ、かんざしを挿した。何とか長老たちをまいて妖王府に戻ることにしたが、その時、運悪く尾狐(ビコ)公子に見つかってしまう。尾狐公子と言えば若い娘をかどわかすことで有名、しかし金丹を持つ妖怪に祥雲が勝てるはずもない。「しまった…ここで終わるわけにいかないのに」その時、初空が現れ、妖王を見た尾狐公子は慌てて姿を消してしまう。初空は自分を助けるため祥雲が気配を現したと気づいていた。「私を助けてくれたお返しに忠告しよう、ここはお前に不向きだ、早く離れろ」「残ると言ったら?」しかし初空は何も言わず帰ってしまう。長老たちが妖王府に戻ると鏡は消えていた。妖王は言われた通り鏡を大切にしまったという。長老たちの企みは失敗、そこで狂龍長老は祥雲を使って妖王に″真実の水″を飲ませることにした。黒豹妖の身辺を探っていた初空は黒豹の妻がいないことを訝しんだ。すると祥雲が現れ、差し入れの海棠の花酒を勧める。「狂龍長老が真実の水を入れたの、飲まないで(コソッ」しかし初空は飲まねば疑われると言って杯を空けてしまう。そこで祥雲は初空の声真似をしてごまかすことにした。「大王、あなたの真身は何ですか?…″私は太古の奇獣・猙(ソウ)だ″…そうなんだ~なんつって」回廊では長老たちが聞き耳を立てていた。不問は猙なら分からないはずだと納得したが、狂龍は頭が切れる妖王のこと、念のため酒に別の薬を入れてあるという。「もしそれが効いたとしたら本当に酒を飲んでいる」その頃、初空は異変を感じて杯の香りを確認した。「早く出て行け」「助けたのに恩を仇で返すのですか?」祥雲は不満を漏らしたが、確かに初空の様子がおかしい。実は酒の中には媚薬も入っていた。驚いた祥雲は知らなかったと釈明したが、苦しみもだえる初空を見て決心する。「私が助けになります」初空は我慢できず祥雲を寝台に押し倒したが…。つづく( ๑≧ꇴ≦)猫だ、猫だwww
2024.08.15
コメント(0)
长相思 lost you forever第8話川辺で玟⼩六(ビンショウリク)が現れるのをひたすら待ち続ける塗山璟(トザンケイ)。水汲みから戻った桑甜児(ソウテンジ)は葉十七(ヨウジュウシチ)が川にいると教えたが、小六は強がって会いに行こうとしなかった。その夜、独り寂しく星を眺めていた小六、そこに突然、相柳(ソウリュウ)が現れる。相柳は十七があの″青丘公子″だと聞きつけ、瘴毒(ショウドク)に侵された兵士たちのために薬材を用意させろと迫った。「なぜ俺が?!食われてもお断りだ、直接、塗山家に買いに行けよ」「…銭がない」「(* ̄m ̄)プッ!そもそも妖族のあんたがそこまでする必要があるのか?」「お前も他人の面倒を見ている、無駄なことが悪いか?」小六は確かにその通りだと失笑し、仕方なく手を貸す事にした。「分かったよ、兪(ユ)府へ行こう」「こっちだ、川辺にいる」塗山璟は小六の咳払いを聞いて嬉しそうに振り返った。しかし小六の後ろに憎き相柳の姿がある。「頼みがある」「はい、喜んで」「薬材が必要なんだ、これに詳しく書いてある」小六は相柳から預かった処方箋を渡し、揃ったら連絡が欲しいと頼んだ。「相柳が取りに行く、分かっていると思うが銭は払わない」「君から銭は取らないよ」「そうか、ありがとな」「…私に礼は不要だ」塗山璟は快く引き受け、帰って行った。すると相柳は薬材が届くまでの人質として小六を軍営に連れて行ってしまう。軍師である相柳の天幕は驚くほど質素だった。すると小六は相柳が眠った隙を狙い、例の胡桃を取り出す。…俺の血で育てたんだ、お前たち、頑張るんだぞ…小六は胡桃で育てた2匹の蠱虫(コチュウ)を解放し、1匹を自分の身体に入れ、もう1匹を相柳に寄生させることにした。しかし蠱虫が相柳を拒み、計画は失敗してしまう。小六は軍営で相柳の意外な一面を知ることになった。あの気位の高い相柳が山奥に隠れ住み、早朝から自ら練兵しているなど誰が想像できようか。また小六がうっかり茶葉と間違えて虫をいぶす薬玉を飲んだと分かると、相柳は初めて自然な笑顔を見せた。そんなある日、また2人の兵士が瘴毒で犠牲になってしまう。相柳は献杯して弔い、軍営に兵士たちの鎮魂歌が響き渡った。小六は辰栄軍が尊敬に値すると気づき、相柳に安易に帰順を勧めたことを謝罪した。今は薬材が1日も早く届くのを祈るばかりだが、肝心の薬材は軒(ケン)が全て買い占めている。そこで塗山璟は兪信(ユシン)に命じ、付近の名家が持っている薬材を貴重な帰墟(キキョ)水晶と交換して調達した。軒は暗衛・鈞亦(キンエキ)から塗山璟が薬材を集めたと聞いた。恐らく相柳と何らかの取り引きをしたのだろう。そこで塗山璟を見張って薬材の置き場所を探り、相柳が現れたところで捕まえることにした。辰栄軍ではいよいよ薬材が底をつき、医者は出がらしを再度、煎じて時間を稼ぐことにした。その話を偶然、耳にした小六はこっそり自分の血を薬湯に混ぜることにしたが、相柳に見つかってしまう。「死ぬ気か?!」確かに小六の血を全て絞り尽くしたとしても足りるはずがない。その時、毛球(ケダマ)の甲高い声が聞こえた。塗山璟が川辺で待っていると、小六と相柳が現れた。薬材は東柳(トウリュウ)街の丁字路を東に進み、4軒目の地下に隠したという。すると相柳は黙って引き上げて行った。「奴のために?」「友だちだからな、手伝うのは当然だ…いつここを離れる?」「離れない」「ふっ、許嫁が来るのか…とにかく助かったよ、それじゃ」小六はそっけない態度で帰ってしまう。しかしその夜、回春堂へ戻った小六の前に再び相柳が現れた。明け方、小六は何やら違和感に気づいてふと目を覚ました。すると傷だらけになった相柳が寝台に腰掛けている。「また怪我したのか…」小六は仕方なく自ら首を差し出し、血を飲ませた。聞けば薬材を取りに行ったところ刺客の待ち伏せに遭ったという。相柳に心当たりはなかったが、以前に自分を狙った刺客と同じだった。「軍営内に間者がいる、1人は始末したが1人は取り逃した」その時、小六は酒蔵で聞いた軒と暗衛の話を思い出した。「嘘だろう?まさかあいつが…」相柳は酒店の軒の仕業と聞くや否や出かけようとしたが、小六は多勢に無勢だと引き留めた。「俺に考えがある!無傷で取り返せるぞ!」相柳は自分の護衛4人を小六に貸して毛球の背に飛び乗った。「相柳!死ぬなよ!」小六は思わず叫んだが、相柳は何も言わず飛んで行ってしまう。酒店に戻った鈞亦はまたしても相柳に逃げられたと軒に報告した。すると鷲の鳴き声が聞こえ、相柳が来たことを知る。「その度胸に免じて会ってやろう」相柳は軒たちを誘き出すことに成功した。そこで小六が酒店を訪ね、老桑(ロウソウ)に軒老板が白髪の男と戦っていると伝える。「老板が劣勢で怪我をしていた!あっちだ!急いで助けろ!」小六はまんまと老桑を追い出し、今度は門を叩きながら大声で軒の名を呼んだ。すると阿念(アネン)が現れ、小六に気づいて激怒する。「なんの騒ぎ?さっさと帰って!」「帰らないね!老板に頼まれてなかったらお前なんかとっくに張り倒してる! お前、マジあたおかだよな!」「何ですって?!」「くやしかったらここまでおいで~」短気な阿念は小六に煽られ、思わず屋敷を飛び出した。侍女・海棠(カイドウ)は門を閉めて急いで王姫を追ったが、途中で相柳の護衛に襲われ、気を失ってしまう。その頃、軒は罠とも知らず、林の中で相柳と剣を交えていた。配下も駆けつけ優勢となった軒、その時、夜空に照明弾が上がり、相柳はあっさり引き上げてしまう。一方、無我夢中で小六を追いかけていた阿念はふと海棠がついて来ないことに気づいて足を止めた。「小姐ェ~怖くなったのかい?」「誰が怖いもんですか!」阿念は小六に向かって氷刃を放ったが、結界に阻まれてしまう。すると相柳の配下が現れ、阿念を包囲した。翌朝、軒が酒店に戻ると、老桑と海棠は慌ててひざまずいた。海棠は脅迫文を渡し、王姫を人質にして薬材との交換を要求していると伝える。「玟⼩六に騙されました!」「…私が敵を侮り、隙を突かれたのだ」軒は脅迫文を床に叩きつけ、再び出て行った。…もう二度と従妹を失うわけにはいかぬ、阿念を傷つける者には思い知らせねば…つづく(  ̄꒳ ̄)小夭の代わりに阿念を溺愛?哥哥もちょっと…w
2024.08.14
コメント(0)
长相思 lost you forever第7話回春堂で祝言を挙げた串子(カンシ)と桑甜児(ソウテンジ)。軒(ケン)は場違いな阿念(アネン)を連れて早々に引き上げることにしたが、葉十七(ヨウジュウシチ)の姿がないことを訝しんだ。門まで見送った玟⼩六(ビンショウリク)は十七なら厨房で料理を作っているとごまかしたが、軒に目をつけられたと気づく。十七はいつの間にか祝宴を抜け出し、西河の畔に隠れていた。すると小六がやって来る。「急に姿を消したりしたから、軒はきっとお前のことを調べるぞ?」しかし小六の警告を聞いても十七はどこか飄々としている。その時、毛球(ケダマ)に乗った相柳(ソウリュウ)が現れた。十七は小六を行かせまいと腕をつかんだが、小六はすぐ戻ると言って相柳と出かけてしまう。相柳は軍営で偶然、兵士たちが妖族である自分に不信感があると知った。そこで気晴らしに小六に会いに来たが十七の邪魔が入り、今日はいつになく機嫌が悪い。小六は毛球の乱暴な飛行のせいで何度も落ちそうになりながら、ようやく湖畔に到着した。「…なぜ霊力が弱いのだ?」「霊力は高い方だったが、全部あの狐妖のせいさ 狐妖は俺に霊力を使わせないため薬を飲ませ、少しずつ霊力を身体中に散らしたんだ」それは想像を絶するような痛みを伴っただろう。小六は地獄のような30年間をあっけらかんと話してくれたが、さすがに相柳も胸が痛んだ。相柳はふと立ち上がり、葫芦(コロ)湖に入った。すると水蛇の相柳は沈むことなく水面に立ち、小六を手招きする。小六は相柳の手を取って恐る恐る一緒に水面を歩き始めたが、驚いた事に自分も沈まなかった。やがて日が落ち、青い月が浮かび上がる。「見慣れた景色も誰かと見れば価値を感じられる ずっと変わらぬ景色に価値を見出せるのは人だけだ…」相柳は小六の言葉が嬉しかったが、その帰り道、小六の思わぬ言葉に激怒してしまう。「なぜそこまで辰栄(シンエイ)軍に肩入れするんだ?洪江(コウコウ)と一緒にいて何になる? もし権力を手に入れたいなら西炎(セイエン)王に帰順したほうがいい」激情に駆られた相柳の目は怪しく赤く光り、小六を呪縄で締め上げた。「悪かったよ…許してくれ」小六は無事に河畔に到着、相柳にいきなり放り投げられた。しかし今夜もずっと帰りを待っていてくれた十七が抱き止めてくれる。部屋に戻れば暖かい汁物、食べ終われば口を拭く手巾、小六は思わず十七が突然、消えたらどうすればいいか分からないと笑った。「ずっと一緒だ」「約束する者は大勢いるが、守れる者は滅多にいない…ふっ」すると十七は相柳に二度と会わないで欲しいと頼んだ。「相柳のことは私が何とかする」小六は十七が部屋を出ると、枕の下から胡桃を取り出した。「安心しろ、俺にも考えがある」その頃、辰栄(シンエイ)軍大本営では兵士が次々に瘴気(ショウキ)にあたり、倒れていた。清水(セイスイ)鎮に見慣れない豪華な馬車が到着した。馬車に乗っていた美しい娘は兪(ユ)府に到着、すると清水鎮の王と呼ばれる兪老板が娘を出迎え、拝礼までしている。どこかの富豪の家の娘なのか、ともかく貴人の来客に間違いない。そんなある日、麻子(マシ)が息急き切って回春堂へやって来た。実は兪老版が川沿いの店すべてに立ち退くよう要求しているという。小六は十七を連れて兪府を訪ねた。愛着のある回春堂を手放したくない小六は賃料の値上げなら話し合いたいと提案したが、兪信(ユシン)は自分ではなく主の決定のため、従うしかないと明かす。小六はひとまず引き上げる事にしたが、その時、例の馬車の娘が本殿に入って来た。「少主!」十七は無視したが、娘は慌てて十七にしがみつき、引き止めた。「あれからもう10年…天がまた引き合わせてくれたのですね… お忘れですが?私です、静夜(セイヤ)です、蘭香(ランキョウ)もいます! 兪信!少主のお戻りを太夫人に知らせて!」静夜と蘭香は十七の侍女だった。小六と十七の別れはあまりに突然だった。独りで回春堂へ帰った小六は追い出されずに済みそうだと報告し、もう十七の食事はいらないという。しかし小六が独り寂しく川辺を散歩していると十七が現れた。十七はまだ″葉十七″でいたいと言ったが、小六はもともとも葉十七などいなかったと突き放してしまう。一方、軒もその夜、暗衛・鈞亦(キンエキ)の報告で葉十七の素性を知った。…葉十七の正体は塗山璟(トザンケイ)、兄の塗山篌(トザンコウ)に陥れられ清水鎮に流れ着く…小六が川で洗い物をしていると桑甜児がやって来た。甜児は小六と十七の間に何かあったと察し、自分が洗い物を代わるという。「…もう慣れたか?」「回春堂に来てから心穏やかな日々を過ごせています、朝が来るまで眠れる…ふふ 六哥、私たちを認めてくれてありがとう」しかし小六はいつか後悔するのが怖いなら、今のうち離れた方が良いと言った。すると甜児は確かに突き放せば苦痛から逃れられるが、喜びも失ってしまうという。甜児の答えで小六は目から鱗が落ちた。「…お前のおかげで納得できた、ありがとうな」わだかまりが解けた十六は十七に自分で調合した香り袋を贈り、万が一の時にはここへ戻れば良いと笑った。辰栄軍の兵士が次々と瘴毒に侵され、相柳は薬材集めに奔走していた。その夜、鈞亦から報告を聞いた軒は絶好の機会だと判断、直ちに薬材を買い占め、万策尽きた頃に投降を促すよう指示する。鈞亦は拝命したが、投降させても西炎(セイエン)の五王や七王に手柄を横取りされると警戒した。しかし軒は1日も早く平穏な世の中にするためにも、私情は挟めないという。「王位が欲しくとも民を見捨てることはできぬ」翌日、軒は石妖(セキヨウ)の新しい講談を聞くことにした。今日の物語は4世家のひとつである天下一の富豪・塗山氏一族の話だという。…塗山氏一族とは九尾狐の子孫で、代々続く商いは手広く行われている塗山氏宗家が暮らす青丘の屋敷は玉や金で装飾され、珍しい動物もいた王族でなくともそれに匹敵する力を持ち、代々続いている勢力は複雑に絡み合っている皓翎(コウレイ)王と西炎王でさえ一目置くほどの力であった…小六が講談を聞きに行くと偶然、軒がいた。「六哥!ここへ座れよ」「軒老板!」小六は軒の席に座らせてもらったが、向かいの席には立派な衣をまとった十七が座っていた。…塗山氏一族は裕福だが子にはあまり恵まれず、直系の子は2人の兄弟だけだった弟は聡明で美丈夫なだけでなく、琴棋書画にも精通し、″青丘公子″と呼ばれ世の女子たちの憧れの的となるしかし兄のことを知る者はおらず、同じ名家に生まれながら兄弟の運命は正反対だった…塗山璟は小六の元へ向かい、皮を剥いた銀杏を差し入れた。小六は黙ったまま何も言ってくれなかったが、軒が座るよう勧めてくれる。その時、講談はちょうど塗山璟の許嫁の話になった。…天下に名高い青丘公子は塗山氏一族の次の族長になる方公子の母が迷いに迷って決めた許嫁は防風(ボウフウ)氏の令嬢だった令嬢は幼い頃から各地を遊歴し、花のような美しさと優れた弓術の腕前を持つというしかし災いはいつ訪れるか分からないもの祝言の準備が進む中、青丘公子は突然、重い病に倒れ、祝言は中止になってしまうそれ以来、青丘公子は世俗を離れて静養、今や塗山氏宗家は兄に託された…小六は十七に許嫁がいたと知り、深く傷ついた。「…6年だ、面倒を見た代わりにその分の家賃を免じろ、それで貸し借りなしだ」すると小六は帰ってしまう。呆然とたたずむ塗山璟。軒は思わず命の恩人にさえ正体を明かさなかったのなら、小六が怒るのも仕方がないと言った。「彼の怒りが収まったらちゃんと謝れよ、な?」つづく( ゚ェ゚)十七も相柳も気づいたのに、なぜお兄は小六が女子だと分からないのか?
2024.08.12
コメント(0)
长相思 lost you forever第6話老木(ロウボク)の大慌ての理由はすぐに分かった。実は串子(カンシ)が妓女に入れ上げ、その日も玟⼩六(ビンショウリク)たちが見張っているとも知らず、店から出て来た妓女と落ち合い、物陰で睦み合っている。「何とかしろ」老木は目も当てられないとばかりに小六に任せて帰ってしまう。串子は突然、現れた小六に慌てふためいたが、相手の妓女は肝が据わっていた。「桑甜児(ソウテンジ)と申します、彼から銭はもらっていません」しかも遊びではなく、串子と夫婦になりたいという。小六は祝言の相談をすると言って串子を連れ戻した。しかし老木が妓女との縁談に反対するのは必至、そこで小六と串子は一芝居打つことにする。小六は激怒しながら店に入ると、串子を追い回して折檻するふりをした。見かねた老木は小六をなだめ、気がつけば串子の肩を持ってしまう。「世帯を持つ相手は惚れた女子でないとな、周りがうるさく言うのは良くない」「チッ!そうと決まれば身請けしないと…祝言の準備もだ!」こうして串子の縁談を上手くまとめた小六、その様子を見ながら十七は嬉しそうに微笑んだ。老木は早速、桑甜児の身請けに出かけたが、なぜか独りで戻って来た。何でも妓楼の女将が法外な額を吹っかけ、とても払えないという。小六は首を傾げた。普通ならさほど若くもなく、看板娘でもない妓女の身請けを渋るのはおかしい。「裏に誰かいそうだな…相柳(ソウリュウ)か?あの時の顔のことかな(ボソッ」その夜、串子は軒(ケン)の店でやけ酒を飲んだ。軒は自分のおごりだと言って一瓶、差し入れ、それとなく探りを入れる。「小六は忙しいのか?新酒をごちそうしたいが店に来ない」「ここの酒は辛すぎて六哥は好かない…六哥が一番好きな酒は桑葚(ソウシン)酒だ」「なぜ好きなんだ?」「哥哥のせいさ、桑葚酒は六哥に哥哥を思い出させる」軒は驚いて小六の哥哥が誰か聞いたが、泥酔した串子は老木だと答えて潰れてしまう。そこへ十七が現れた。十七は軒がおごりだと言っても銭を置き、串子を連れて帰ってしまう。しかし回春堂へ戻ると、小六の姿がなかった。小六は毛球(ケダマ)に頼んで相柳を呼び出した。いたずら書きの仕返しとばかりに小六の首にかみつく相柳、しかし小六は美しい満月を眺める余裕がある。「…もう良いだろう?胃袋も9つあるのか?」「お前の首をここでかみ切ってもいいんだぞ?」相柳は侮られないよう牙まで出して脅したが、小六はどこか達観して見えた。「あんたには40回も鞭打たれて血も吸われているが気にしてない、だって俺は寂しいから 昔、奇病に侵されて何十年も山に隠れ住んでいた ある日、俺を食おうとする蛇妖に出会い、危険と知りつつ良くからかっていた 話し相手がいなかったからな」「で、蛇妖はどうなった?」「死んだよ、九尾狐が殺した、蛇妖は俺を九尾狐に渡すまいとして殺されたんだ」「面白い…で、九尾狐は?」「俺が殺した、あいつは俺を檻に入れて吐き気のする食事を与え、太らせて食おうとしたのさ あいつもうかつだったよな、獲物を太らせすぎると反撃するのに…」小六はその時の様子をふと思い出した。そんな小六の記憶を読み取った相柳はあまりの壮絶な情景に唖然とする。「…そう言えば大事な話とは?」「あ、南槐(ナンカイ)街の妓楼はあんたの店か?うちの串子が妓女に惚れたんだ」「私に請け出せと?」小六は相柳の様子で無関係だと気づいた。「どうもあんたの流儀じゃないと思ったよ、忘れてくれ、別の者に頼む」「…大事な話とはこれか?」相柳は小六にとって自分がただの暇つぶしの相手だと気づき、無性に腹が立ってしまう。その時、ちょうど小六が大木から降りるため枝にぶら下がっていた。相柳は思わず術で枝を折り、小六はそのまま落下してしまう。( ˙꒳˙ )月がキレイだな…小六が枝を杖代わりにして歩いていると十七が現れた。十七は小六が足を怪我していると気づいて駆け寄ったが、首元にまた赤いあざがあると気づいて悶々となる。「もう独りで出かけるな、姿が見えないと不安になる」「うん、分かったよ」十七は小六を背負って回春堂へ戻り、足を手当てして部屋で寝かせた。「邪魔したのは相柳ではなかった、別の奴だ」すると十七は酒屋の軒だと教えた。翌朝、小六は酒屋に軒を訪ね、串子の縁談に力を貸して欲しいと頼んだ。「なぜ私に?」「…あんたの真の素性を探る気はないが、ただ者じゃないことは分かる あんたが寛大な心で情けをかけてくれたら上手くいくはず」「そっちこそ真の素性はどうなのだ?」「老板、俺はどんな勢力とも関係ない、平凡な日々を送りたいだけだ 串子と麻子(マシ)に世帯を持たせ、老木に楽をさせる…家族の無病息災を願う平凡な男だよ」「″家族の無病息災″か…」小六の言葉を聞いた軒は感慨深げに自分も家族と平和で静かな日々を送りたいと漏らした。「祝言には私も呼んでくれるか?」「もちろん!」喜んだ小六は怪我を忘れて急に立ち上がり、うっかり足を痛めてしまう。軒は咄嗟に手を差し伸べたが、突然、飛び込んできた十七が軒を制し、小六を連れて帰ってしまう。「…鈞亦(キンエキ)、あの葉十七という男は怪しい、調べろ」老木が無事に桑甜児を回春堂へ連れて来た。すっかり舞い上がる串子だったが、小六は桑甜児に串子への情愛がないことなどとうに気づいている。「目的は何だ?」実は桑甜児は3ヶ月前にある男から銭を渡され、串子を誘惑して回春堂を探るよう頼まれていた。すると昨夜になってまたその男が現れ、仕事の終わりを告げて銭を渡して帰ったという。「男の素性は分かりません… 卑しい女の身です、真の愛など諦めていますが、串子は本当に私を身請けしてくれた だから串子に賭けてみたいんです! 誓います、串子が私を一途に想ってくれるなら私も一途に尽くすと… もし二心を抱けば殺されても構いません」そこへ運悪く桑甜児の衣を調達して来た串子が戻って来る。串子は小六の前でひざまずく桑甜児の姿に動揺したが、小六は婚家への挨拶だと安心させた。小六と十七は川辺で仲睦まじく寄り添う串子と桑甜児の姿を遠目から眺めていた。「桑甜児は串子の情を信じていない、そうとは知らず尽くされた串子は彼女への情を深める 串子の情が深まれば芝居の情も本気になり、添い遂げられるという仕掛けだ …もし串子が心変わりしたら死人がでそうだな、ふっ、俺の人生は長い、結末が見られる」「彼女は勇敢だな」「偽の情で気を引くのに?普通ならそしられる」「己の未来を懸けて偽の情を誠の情に変える機会を与えたんだ」「変わった考え方だな」結局、小六が酒蔵に忍び込んだことで軒に怪しまれ、串子を巻き込むことになった。今さらながら相柳に頼んでいたら面倒な事になっていたと胸を撫で下ろす小六。すると十七は相柳に会わないよう頼み、小六の杖を取り上げてふいに抱き上げた。「足元が悪い」小六は十七の腕に抱かれながら回春堂まで戻った。しかし鼓動が早くなるのを感じ、十七に気づかれまいと慌てて部屋に入ってしまう。回春堂で串子と桑甜児の祝言が執り行われた。すると祝宴に招かれた兄を探して阿念(アネン)が現れ、下々を見下した物言いをして場を凍り付かせてしまう。つづく( ゚ェ゚)前話の疑問の答えがもう来たわwどんな相手だろうと孤独よりはマシってことなのね
2024.08.10
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第32話砕魂箭(サイコンセン)を鍛えていることが昊軒(コウケン)帝君に知られてしまった修茗(シゥミン)。「すぐ対処します!」すると昊軒はその使い道を察し、それ以上は追及せずに見逃した。長寧宮に突然、妖(ヨウ)族の王が現れた。昊軒は滅妖(メツヨウ)陣の話かと期待したが、陣には7人の大物妖怪の金丹が必要なため容易ではなく、妖王はまだ時間がかかると釈明する。「今日は別の件で…」すると妖王は摩羅(マラ)族の娘を捕まえたと報告し、錦蘿(キンラ)を突き出した。昊軒はひとまず預かることにして収監したが、金丹の件で進展がなければ妖王をすげ替えると脅す。「分かりました、すぐ戻って取り掛かります」その頃、初空(チュコン)は祥雲(シャンユン)と晨星(シンセイ)台で落ち合っていた。実は兄に探りを入れてみたが、左腕に厄誅(アクチュウ)痕がなかったという。「だが自分から左腕を見せて来た、わざとらし過ぎる」「でも神託を改ざんしたなら痕があるはずよ?…もしや勘づかれたのかしら」そこで初空はまず無界に落ちた滄海(ソウカイ)の霊力を取り戻そうと考えた。「心配だわ、あなたが疑われていないか…」「そうかもな、ずっと前から」「何ですって?」「いや、何でもない」初空は祥雲の肩を抱き、ここは星だけでなく日の出を見るにも絶好の場所だと言った。天界で一番、高い場所から星を見上げる2人…。その時、突然、初空は背中から弓矢で射抜かれ、祥雲の目の前であっという間に飛散してしまう。祥雲は呆然、すると戦星が流れ落ち、天界は戦神が滅したと知って悲しみに包まれた。工エエェェ(;╹⌓╹)ェェエエ工初空を砕魂箭で射抜いたのは修茗だった。修茗は動揺し泣き叫ぶ祥雲を背後から点穴、眠らせて蓬莱(ホウライ)居に閉じ込めてしまう。祥雲が目を覚ますと修茗がいた。するとふと意識を失う前のことを思い出し、自分を抱き止めた仮面の男が″天穹玉(テンキュウギョク)″を持っていたことから、初空を殺したのが修茗だと気づく。「なぜ?!なぜなの?!」「報いを受けたのだ、3万年もこの日を待っていた」驚いた祥雲は滄海の記憶が戻ったと明かし、自分を殺したのは初空ではないと否定する。しかし今は真相を説明している時間はなかった。「すぐに初空を探しに行かなくては…」「すまない、滄海」一方、昊軒は人払いしてから結界を張って鍛錬していた。…初空はすでに消え、この世で私を阻む者はいなくなった、7つの金丹を集めて滅妖陣を動かし、妖王の力を私に加えれば、この世は全て我が物となる…修茗に監禁された祥雲は未だ初空を失った現実を受け入れられずにいた。その時、ふと初空の言葉を思い出す。…そうかもな、ずっと前から…すると手首でうっすらと光っている牽糸引(ケンシイン)に気づいた。確か結ばれたどちらかの元神が消滅し、魂が飛散すると牽糸引は切れるはず…。「初空はまだ生きているのね」冷静になった祥雲は始めから初空の計画だったと分かった。その夜、祥雲は差し入れを届けに来た修茗に牽糸引を見せた。「初空は生きてる…3万年前も今もあなたはむやみに人を殺したりしない 3万年前、初空は無実と分かっていた だから2人でひと芝居打ち、私を閉じ込めた、私を守るためね」「行って」すると修茗は門の封印を解いた…初空が3万年前から戻って来たあの日瀟雲(ショウウン)殿で待ち構えていた修茗は初空から2つの件を頼まれた実は無界に落ちた滄海の霊力を取り戻すため、詭(キ)界へ行って妖王の力を得たいというすると初空は砕魂箭を完成させるため、自分の古の元神を取り出して渡した『私が本当に殺すと思わないのか?』『できるのか?』修茗は何も言えなかった『で祥雲には?』『それが2つ目の頼みだ』…その頃、流れ落ちた戦星の元神は詭界にいる白猫の身体に宿っていた。祥雲は紅線翁(コウセンカク)に初空が生きていると明かし、探しに行きたいと訴えた。紅線翁はそんな一大事なら昊軒に相談すべきだと諭したが、祥雲は天界で信じられるのは紅線翁だけだという。「戦神の初空を天界で襲うなんて相当な身分のはずよ…ねえ、どうやって探せばいい?」「2人の元神を結びつけている牽糸引があるじゃろ?」「はっ!そうだった!」祥雲は早速、牽糸引をたどり、初空の転生先を突き止めた。するとこの世の外にある凶悪な妖族が巣食う詭界へ行ったと分かる。詭界は神仙にとって禁足の地、紅線翁は霊力の弱い祥雲など妖族の餌食になるだけだと猛反対したが、祥雲は譲らなかった。「生死を共にし、永遠に離れないと誓ったの」紅線翁は止められないと気づき、念のため駆毒(クドク)丸・霹靂(ヘキレキ)弾・催眠散(サイミンサン)・隠身(インシン)符を持たせ、かつて狐妖から手に入れたかんざしを髪に挿した。「これを挿せば妖族に成り済ませる、取ってはならぬぞ」「分かった、ありがとう」ここは詭界にある妖王府。妖王は昊軒に″妖王の力″を献上すべく長老に掛け合っていたが、また修行を断られた。「私がふさわしくないとでも?!」激怒した妖王は配下に八つ当たりしていたが、そこへ白髪の妖魔が現れ、呆気なく殺されてしまう。すると妖王の印である指輪が外れ、新しい妖王の手に移った。妖族では強者が妖王の座につく決まりだった。不問(フブン)長老と狂龍(キョウリュウ)長老は初空を第6代目の妖王と認め、拝礼する。そこで初空は妖王の力をもらえるか聞いた。「大王に就いたばかりなのに時期尚早では?時機が来たらお渡しします」詭界ができて3万年、初代の妖王・蠍妖は掟を定め、長老の職を設けて妖王の力を司らせていた。これも牽制し合うことで妖王に力を持たせ過ぎないようにするためだろう。しかし2代目以降、妖王の力を得た妖王は1人もいなかった。初空は妖族の間で狂龍長老が妖王の力を独り占めしている噂だと嫌味を言ったが、不問長老は誤解だとかばう。「大王、狂龍長老は誓いを立てました、不純な思いを持てば元神は消え去ると…」当時、妖族は他族から相手にされず、辱めを受けていた。しかし蠍妖がある人物の助けで詭界を作り、結界を張って他族を遮断、そのため神仙も容易に踏み込むことができない。むしろ霊力の強い神仙ほど詭界に踏み込んだ時の反動が大きかった。おかげで妖族は安住の地を得たが、ある時、妖猫(ヨウビョウ)族が私欲のため結界を破り、詭界を守ろうとした蠍妖は命を落としてしまう。それ以来、見掛け倒しの妖王が続き、長老が妖王の力を授けることはなかった。狂龍長老は新しい妖王から一筋の希望を感じていた。しかし今はまだ妖王の力を授ける時ではないという。実は妖王の力を習得するには大きな代償があった。「それは情愛を断つことです、愛する者の全てを忘れること」「私はすでに情愛を断ったぞ?」「それが本当か嘘か、私には断じかねます」「ではゆっくり見極めてもらおう」妖王府で第6代目妖王の継承式が始まった。妖王に忠誠を誓う長老と各部族たち、すると狂龍長老が妖王に贈り物があるという。そこへ侍女たちが1人の舞姫を連れて来た。「祥雲です、大王にご挨拶を」「…どこから来た?目が汚れる」つづく( ๑≧ꇴ≦)キィャア!白髪も似合うけど、白猫もピッタリだわwでも猫妖は敵なのに大丈夫なの?と思ったら、初空の真身は分からない設定でした( ̄▽ ̄;)
2024.08.09
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第31話摩羅(マラ)帝宮本殿。明月(メイゲツ)の力を得た昊軒(コウケン)は六界の盟主となるべく、次に滄海(ソウカイ)の霊力を狙った。「皆の者、魔女を殺せ!」すると麒麟(キリン)兵が現れ、滄海と護法・錦城(キンセイ)に襲いかかる。強大な霊力を誇る滄海にとって一介の天兵たちなど敵ではなかったが、昊軒が背後から滄海を狙った。しかし錦城が咄嗟に飛び出し、帝君を守って昊軒の一撃を受けてしまう。滄海は結界を張って閉じこもり、自分の霊力で錦城を助けようとした。しかし死期を悟った錦城は帝君を制し、必ず明月を救って欲しいと懇願する。「私が詫びていたと…お伝えください」すると錦城はそこで気を失い、倒れてしまう。滄海の怒りが爆発、激しい気で結界を破り、麒麟兵たちを吹き飛ばした。すると激情に駆られた滄海の目が血気で赤く光り、額に元神の印が浮かび上がる。「いいだろう、見せてもらおうか、お前たち姉妹のどちらが強いのか」昊軒は明月の邪気で我が身を守った。しかし滄海の霊力がわずかに勝り、宝剣の剣先がついに昊軒の胸に到達する。その時だった。『姐姐…』明月の声を聞いた滄海は昊軒に妹の姿が重なり、一瞬、手を止めてしまう。その隙をついて昊軒は一撃を放ち、滄海は激しく床に打ちつけられた。「滄海、私がお前の力も全て取り込んだらどうなるかな?」驚いた滄海は姿を消したが、昊軒もすぐあとを追った。滄海は無界の崖へ逃げたが無駄だった。すぐ昊軒が現れ、深手を負った滄海にじりじりと迫る。『姐姐!私を早く殺して!もう殺しはたくさんよ!』明月は昊軒に取り込まれながらも、自分の邪気を使わせまいと抵抗した。しかしそれも一時のこと、昊軒は弟に免じて楽に死なせてやるという。その時、人間界にいた初空が戻って来た。「やはり兄長か…」初空は滄海の前に立ちはだかり、兄と対峙した。「見られては仕方ない、初空、今までならお前には勝てなかっただろう だが今は違う、私は明月の力を得たのだ…それを試そう」昊軒は明月の邪気の力で攻撃、金の麒麟である初空でさえ身を守るだけで精一杯だった。滄海は劣勢を強いられる初空の背中を見ながら覚悟を決めた。…明月の力があるのなら初空が危ないその力は私と同源、だから私が死んだら明月の力も永遠に消えるはず…すると滄海は急に崖っ縁に向かって走り出した。「小棠(シャオタン)!馬鹿なことをするな!」「初空、どうか長生きしてね、生き延びてこそ望みがある」「私と添い遂げると言ったな…ゥッ……君は約束したはずだ…(´ ° ཀ°)グッ!」「ごめんなさい、またあなたを騙して…でもこれが最後よ」その時、初空は全身全霊で兄の邪気を跳ね返し、滄海を追いかけた。「小棠nnnnnnn!不要啊aaaaaa!不uuuuuuu!」初空は精一杯、手を伸ばし、身を投げた滄海の腕をつかんだかに見えた。しかし腕は初空の手をすり抜け、滄海はそのまま無界へ吸い込まれてしまう。「不uuuuuuu!小棠nnnnnnnn!」♪我的愛你明白~ (꒦ິ⌑꒦ີ)ダー!初空の手元に残ったのは虚しくも敗れた薄絹の切れ端だけだった。すると昊軒の身体からも明月の霊力が消滅してしまう。一方、滄海は落下しながら、祥雲(シャンユン)の記憶を取り戻していた。…初空、これが私たちの定めなのね…そしてついに滄海の身体が消散、しかし金の麒麟が滄海の元神を追いかけて行った。初空は滄海を失って絶望し、そのままうなだれていた。するとふいに祥雲との歴劫の記憶が蘇る。…これが3万年前の真相だったのか、いつも記憶を消され、同じことの繰り返しだ…しかし今回は天機盤(テンキバン)を持っていた。昊軒は元神を損なった弟の記憶を消したが、初空は危ないところで後ろ手に招喚した天機盤を操作することに成功する。その時、慌てて修茗(シゥミン)が駆けつけた。「修茗殿下、帝休(テイキュウ)族の敵は討った」足元には滄海の衣の切れ端を握りしめて倒れている初空の姿があった。祥雲が天界に戻った。額には一瞬、滄海の印が浮かび上がったが、すぐ消えてしまう。紅線翁(コウセンカク)はどこへ転生したのか、いつ戻るのかも分からなかった祥雲の無事な姿に安堵した。すると祥雲は思いつめた様子で長寧宮へ行ってしまう。初空と祥雲の転生場所は誰も知らなかった。神君から詳細を聞かれた祥雲は意を決して何か言おうとしたが、ちょうど天界へ戻った初空が現れ止める。「祥雲…自重しろ」…確かに今の私に滄海の霊力はない、無茶はできないわ…そこで祥雲は孫(ソン)天王のひどい筋書きのせいで悲惨な死を迎えることになったと嘆いて見せた。昊軒は元神が復活していない初空を怪しんだが、初空は七星連珠(シツセイレンシュ)で時空が乱れ、渡劫の際に命を落としかけて歴劫が失敗したとごまかす。「何より無事に戻れてよかった、次はもっと慎重にな」「恐れ入ります、では」初空は祥雲を連れて瀟雲(ショウウン)殿に戻った。「なぜ私を待たずに行ったんだ、危険すぎる」「ごめんなさい」「信じれくれ、約束する、滄海の潔白を明かし、李(リ)天王の敵を討つ そのためにも慎重に考える必要があるんだ」祥雲も頭では理解していたが、摩羅族の3万年の苦労を思うと胸が痛んだ。その時、ふいに海棠の花吹雪が舞う。「私たちの縁は3万年前に結ばれたの?それとも修行で?考えてもいつだったのか分からない」「いつであれ私たちは巡り会う運命だった」「だけど…多くのことが解決していない」「摩羅族の名誉を回復し、婚礼を終わらせよう」初空は昊軒が神託を改ざんしたのなら必ず左腕から心の臓にかけて″厄誅(アクチュウ)痕″があるはずだと気づいた。その頃、摩羅山では錦蓮(キンレン)が父の最期の姿を思い出していた。当時、錦蓮は双子の妹・錦蘿(キンラ)と一緒に本殿で虫の息となった父を発見している。錦城は息子に妹の面倒を見て、帝君と摩羅族を守るよう頼んで消散してした。すると歴劫を終えた初空が天機盤を返しにやって来る。初空はまだ摩羅族の潔白を示す証しが見つからないと正直に報告した。落胆する錦蓮だったが、そこへ歴劫で小師妹だった小祥(シャオシャン)が現れる。「いや、小祥ではないな?何者だ?」「私は祥雲、3000年前は彩雲でかつては摩羅族だったの」錦蓮はまた何か企んでいるのかと疑ったが、祥雲の話を聞いて顔色が一変する。「病弱だったのに大きくなったわね 昔、錦蘿をかばってあなたが殴られ泣いた時、私が相手を追い払ったわ あなたは父親(フーチン)には言わないでと懇願し、指切りしたでしょう?忘れたの?」「(はっ!)帝君!」すると錦蓮は拝礼し、帝君と共に摩羅族を率いて再興を果たすと誓った。初空が摩羅山から戻ると修茗が瀟雲殿で待っていた。「3万年前に戻ったのだろう?証しは見つかったか?」「…見つからない」「認めたくないだけだろう?」「だったら私を殺すか?」「殺せないと思うのか?」一方、滄海と再会を果たした錦蓮は錦蘿と紫輝(シキ)の捜索を打ち切った。…父親、どうか摩羅族を見守ってください、必ず昊軒に血で償わせます…初空は兄の腕の厄誅痕を確認すべく、六界の情勢をまとめた報告書を兄に献上した。しかし報告書を受け取った兄の左腕に厄誅痕は見えない。実は初空が訪ねてくる前、昊軒は青雪草(セイセツソウ)の薬湯を飲み、痕を抑えていた。孫天王は長寧宮に駆けつけ、修茗が古の神器を鍛えていると報告した。「砕魂箭(サイコンセン)ではないかと?」驚いた昊軒はすぐ修茗を呼びつけ、天界で邪悪な神器を鍛えるなど許されないと叱責する。「このことを知るのはまだ私だけ、もし他の者に知られれば罰は免れぬ」「…分かりました、すぐ対処します」つづく( ๑≧ꇴ≦)ノ<不uuuuuuuuuuuuu!
2024.08.08
コメント(1)
长相思 lost you forever第5話9つの頭を揶揄され、術で玟⼩六(ビンショウリク)の口をふさいだ相柳(ソウリュウ)。「私の好物は人だ」相柳は脅しのつもりで小六の首に噛みついたが、思いがけず小六の血に霊力を回復させる力があると気づく。小六は自分の血の秘密がばれてしまい覚悟したが、相柳はしばらくすると牙を抜き、術を解いて牙の痕を消した。相柳は毛球(ケダマ)で小六を西河の畔まで送り届け、帰って行った。すると同じ場所でひたすら小六を待っていた葉十七(ヨウジュウシチ)の姿がある。十七は小六の首に赤いあざがあることに気づき、何とも言えない焦燥感に襲われた。「また起きていたのか?早く休めよ」小六は笑顔を見せたが、十七は小六が自分に心を閉ざしてしまったと分かった。相柳は軍営に紛れ込んだ間者に気づき、敵の通信手段だった伝書鳩で黒幕を誘き出した。すると罠とは知らず軒(ケン)の暗衛・鈞亦(キンエキ)が現れる。「会って話したいとは何事だ?」鈞亦は相柳が密偵に化けていたと気づいて慌てて逃げ出したが、捕まってしまう。「誰の差し金だ?」相柳は霊縄で縛りつけた鈞亦に氷刃を突きつけた。その時、万が一に備えて隠れていた伏兵が現れ、相柳を法陣に閉じ込めることに成功する。しかしあと一歩という所で相柳が剣を召喚、陣を破って反撃した。翌朝、小六たちは中庭で食卓を囲んだ。しかしそこに老木(ロウボク)の姿はなく、串子(カンシ)はやはり軒の酒店をつぶしに行こうと訴える。小六は生きていれば悔しい思いもすると諭し、講談の王孫と王姫も我慢して生きていると言った。「…六哥、まるで知っているみたいな言い方だな」その時、老木がようやく部屋から出て来た。「俺なら平気だよ」老木は笑顔を見せたが、肩を落として店に入ってしまう。軒の酒店は客で賑わっていた。すると小六が現れ、酒を注文しては言いがかりをつけて商売の邪魔をする。さらに食欲のない阿念(アネン)のため苦労して手に入れた新鮮な茘枝(ライチ)まで横取りした。「この前は悪かった、謝る」「妹妹に謝らせろ」しかし軒は従妹の過ちなら従兄である自分の責任だと言った。小六は妹思いの兄に感心し、ならば店の看板商品である桑葚(ソウシン)酒を持って回春堂へ謝罪に来るよう要求する。「老木に謝るんだ、それで老木が許したら二度と店の邪魔をしたりしない」軒は約束通り大量の酒を持って回春堂にやって来た。始めはふて腐れていた老木だったが、軒が謝罪のため何杯も酒をあおる豪快さに感服し、最後は義兄弟の契りまで結んでしまう。「今日は酔うまでとことん飲むぞ!」その様子を小六は物陰から眺めていた。「…本当にすごいヤツだ、妹妹をなだめる一方で、老木とは義兄弟になった」軒は大事な任務があるため今回は穏便に済ませた。屋敷へ戻ると酔ったふりをやめて一安心、しかし間者に会いに行った鈞亦がまだ戻って来ない。一方、陣を破ったものの深手を負った相柳は密かに十六の部屋に転がり込んだ。小六はまた相柳に捕まって血を吸われたが、動じる様子はない。河原で血を吸っただけで解放してくれたのなら、霊力を上げるため自分を食べるつもりはないのだろう。すると小六は相柳の袖に血がついていることに気づいた。「あんたを怪我させるなんて…どこのどいつだ?」しかし相柳は黙ってそのまま横になってしまう。相柳に寝床を奪われ、仕方なく床で横になったものの寝つけない小六。そこで眠っている相柳の顔にいたずら書きしようと思いついた。すると突然、相柳が目を開ける。驚いた小六だったが、相柳は経血をめぐらせて内傷を治しているため動けないと分かった。「これは上出来だ!1、2、3…これで目が9つになった!(*≧∀≦)ブハッ!」小六は鏡でいたずら書きを見せると、相柳の仕返しを恐れて部屋を飛び出した。小六が部屋を出るとちょうど十七と出くわした。そこで相柳が部屋で休んでいるため、誰も入らないよう見張って欲しいと頼む。「起きたら勝手に帰る、俺は出かけるよ」小六は軒の酒蔵に隠れた。安全な上、ここなら上等の酒がある。すると夜更けというのに軒が誰かと入って来た。小六は息を潜め、耳を澄ます。「相柳に深手を負わせましたが、配下は全員、殺され、残ったのは私だけです」「利用できないなら先手を打つしかない、奴が深手を負っているうちに仕留めるぞ」小六は軒も賞金首の九頭蛇を狙っていると知り、相柳が無事に逃げ切れるのか心配になった。翌朝、恐る恐る小六の部屋に入った十七は相柳がいないと知ってほっとした。しかし寝台に銀髪が落ちているのを見て激しい嫉妬に駆られ、寝台の敷物や掛け物を全て交換してしまう。一方、空腹に耐えかねた小六は厨房で食べ物を物色しているところを軒に見つかった。「つい匂いに釣られて…」小六は愛想笑いしながら後ろ手で毒を放つ準備をしたが、なぜか軒は一緒に朝食を食べようと誘った。小六は酒蔵にいたことがばれたのかと警戒したが、少なくとも軒に殺意は見られなかった。しかも食卓に並んだ料理は全て軒が作ったという。「まさか酒造りだけじゃなく料理も得意とは…阿念(アネン)は幸せ者だな」「哥哥が面倒を見るのは当然だ」小六は軒のような従兄を持った阿念を心から羨ましいと思った。「老板は本当に良い哥哥だな」「…良い哥哥ではない」軒は表情を曇らせたが、小六はそこで引き上げることにした。相柳を追っていた鈞亦だったが、間者から相柳ならすでに完治していると連絡が来た。「最高の機会を逃したな」報告を聞いた軒は仕方なく時機を待つことにしたが、その一方で老桑(ロウソウ)に回春堂を調べさせていた。しかしこれと言って怪しい点はなかったという。「玟小六は臆病で銭に目がないとか、でも温和な性格で隣近所との付き合いもいい 悪さもしていません、ただの医者でしょう」「じゃあ私は?」軒は自分が酒店の主にしか見えないように裏の顔があるはずだと疑った。十七は小六がどんなに突き放しても尽くし続けた。それがかえって小六を苛立たせてしまう。十七はわだかまりを解こうと素直に謝罪した。「二度としない…何が起きようと私を頼りたい時に姿を消したりしない 二度としないと誓う」その時、老木が息急き切って現れた。「大変だ!すぐ来てくれ!」すると老木は小六を強引に引っ張って行ってしまう。独り取り残され、意気消沈する十七。しかし小六はふいに立ち止まり振り返った。「おい!お前も来い!」十七は小六が許してくれたことに気づき、笑顔で後を追う。つづく( ゚ェ゚)九頭蛇が次第に小六に惹かれるのは分からんでもないでも小六の気持ちがピンと来ないなぁこのツンデレ蛇!どうせ食えないんだろう?って煽ってるのかしら?w
2024.08.07
コメント(0)
长相思 lost you forever第4話辰栄(シンエイ)軍臨時陣営に侵入者が現れた。報告を聞いた相柳(ソウリュウ)は仮面を招喚して幕舎から出ると、兵士に包囲された神族の男がいる。「お前は誰だ?」「葉十七(ヨウジュウシチ)、玟⼩六(ビンショウリク)を迎えに来た」十七が来たと気づいた小六は慌てて外へ飛び出し、相柳にすがりついて十七を見逃すよう懇願した。すると相柳はあっさり2人を解放、十七は傷だらけの小六を背負って帰って行く。その後ろ姿を相柳は黙って見送った。…女子であるうえ高貴な神族でもある、なぜ身分を隠す?実に面白い…( ̄▽ ̄;)え?女だと気づいてからの鞭打ちなの?最悪___小六は自分を探し当て、迎えに来てくれた十七の優しさが嬉しかった。しかし長年、辰栄軍と戦った老木(ロウボク)は相柳を怖がっているため、秘密にして欲しいと頼む。十七の口が固いことを思えばいらぬ心配だったが、固過ぎるせいで小六は十七のことを何も知らないと気づいた。「永遠に葉十七でいてくれるといいが…それは無理か でもここにいる間は葉十七として俺の言うことだけを聞いてくれ」十七はちょうど休めそうな洞窟を見つけ、小六の背中に薬を塗ることにした。しかしいくら幻形術で男の身体をしているとは言え、本当は女子だと分かってしまった以上、直接、肌に触れることははばかられる。そこで十七は手巾で薬を塗ることにした。すると小六が身の上を語り始める。「…俺は20年以上、一人で暮らしていた、″奇病″にかかってすごく怖かった 人を避けて鏡も見ず、姿を消してさすらい続けたよ 初めはずっと黙っていた、でもある日、山で果物を見つけたんだ 何という果物か分からなくて、訳もなく急に怖くなったよ それからおしゃべりになってね、ある時は猿を捕まえて1日中、話しかけてた 猿は耐えきれずに石に頭をぶつけて死んだけど…」( ;∀;)さっるぅぅぅぅぅ…十七は数日ほど小六を静養させ、その間にこっそり霊草を採りに出かけた。断崖絶壁を登ってついに霊草を手に入れた十七、しかし踏み場が崩れて落下してしまう。すると途中で9本の真っ白な尾が現れ、十七の身体を浮かせて無事に着地した。(  ̄꒳ ̄)お、ここで十七の正体が九尾白狐と判明小六は十七のおかげで希少な霊草を手に入れ、麻子(マシ)の結納金を工面した。しかし回春堂へ戻ると早速、窓枠に相柳の霊獣・毛球(ケダマ)が止まり、短い足で毒薬を催促されてしまう。「まずい!間に合わない!」小六は慌てて薬材を調合し、寝る間も惜しんで薬を煎じた。すると十七が現れ、自分が代わると申し出る。「相柳はなぜ毒薬を?」「知らない、俺の毒は色がないが臭いは強烈だ、どうせ誰も殺せないさ」こうして翌朝、小六は無事、期限通り毛球に毒薬を託した。↓通常運転は小さい毛玉です回春堂の中庭で麻子と春桃(シュントウ)の祝言が執り行われた。しかし思いがけず相柳が現れる。小六は祝宴を抜け出し相柳を部屋に案内、わざわざ人質が増えたと知らせに来たのかと嫌味を言った。「お前は神族だ、連中が死んでもお前の姿は変わらない、何が面白い?」「寂しいのは嫌だ、一時の道連れでも構わないさ」相柳は小六に勧められるまま毒酒を飲んだが、びくともしなかった。「毒を除けば何てことのない酒だな」すると十七が現れ、相柳は居心地が悪くなって帰ってしまう。新婚生活が始まった麻子は医館の仕事をほったらかして春桃の実家の肉屋を手伝っていた。そんなある日、春桃が顔を怪我した麻子を連れて回春堂に駆けつける。実は配達に出かけようとした春桃が店先で阿念(アネン)と衝突、衣に羊の血をぶちまけた。春桃はすぐ謝罪して衣を弁償すると言ったが、侍女・海棠(カイドウ)は無知な人間族の娘に激高する。『お前に弁償できると思うの?!』これに怒った串子(カンシ)は敵討ちに行くと飛び出し、老木が追いかけて行った。小六は麻子を手当してから十七に店を任せ、老木たちの様子を見に行くことにした。すると通りに人だかりができている。実は霊縄に捕まった串子を助けようとした老木が法術で蹴鞠のように転がされていた。残酷な神族の仕打ちに眉をひそめる村人たち。驚いた小六は阿念に駆け寄り、降参している2人を許して欲しいと懇願した。しかし阿念は無視、本来なら殺すところだが従兄の手前、命までは奪わないという。「ゥッ…小六…いっそ殺してくれ…このままでは生き地獄だ…」そんな老木の哀れな姿を阿念は笑って見ていた。小六は激しい憎悪に苛まれ、ついに後ろ手でこっそりを呪術を放ってしまう。その時、十七が密かに法術で老木と串子を解放してくれた。海棠は誰が術を破ったのか分からず不安になり、急に主を連れて引き上げてしまう。「姑娘!回春堂で待っている!」(`ω´ )阿念ムカつくわ〜ヤンズーより早く拳に力が入ったわ💢意気消沈した老木の姿に小六は胸を痛め、十七だけに本音を漏らした。「老木たちは俺のことを善人だと思っている、でも子供の頃には人をたくさん殺した 忘れていた感覚だ、今日は連中を殺したいと思ったよ」十七は相手が霊力の強い神族だと警告したが、小六は彼らの霊力の属性を見極めることができれば毒で殺せるという。その頃、屋敷に戻った海棠は得体の知れない毒に当たり苦しんでいた。軒(ケン)は大夫を呼んだが解毒できず、激怒した阿念は自分が敵討ちに行くという。経緯を聞いた軒は阿念を連れて回春堂を訪ねた。待ち構えていた小六は解毒薬を渡す代わりに妹に謝らせろと迫ったが、軒は丁重に解毒薬が欲しいと頼む。「嫌だと言ったら?」小六はわざと挑発して軒に霊力を使わせ、後ろにいる十七が属性を見極める間、足止めする段取りだった。「十七っ!」しかし振り返ると十七の姿はなく、小六は軒の掌をまともに食らって倒れてしまう。「すまぬ、まさかこれほど弱いとは…だが傷つけてはいない、少し苦しいだけだ」( ;∀;)えーっ?!そりゃないぜ〜17w小六はあっけなく解毒薬を奪われた。これまで自分に忠実で尽くしてくれた十七の突然の裏切り。さすがに小六も自分の浅はかさに乾いた笑いが出てしまう。するとしばらくして十七が戻って来た。「奴らは知り合いか?」「神族の高貴な令嬢だ」「素性を気づかれないよう隠れたのか?ふっ… それとも怒らせるのは得策じゃないから解毒薬を渡そうと?」「私が顔を見られる以上に…」十七は釈明しようとしたが、小六は怒って出て行ってしまう。小六が西河のほとりでふて腐れていると、毛球に乗った相柳が現れた。「乗れ」「小六!」その時、小六を追いかけて来た十七が引き留めたが、小六は自ら手を伸ばし、相柳と行ってしまう。相柳は小六と十七の間に何かあったと気づいた。「奴は何をしてお前を怒らせたんだ?」「自分に怒っている、他人に頼りたいと思うなんて…期待するなんて馬鹿だ 期待が大きいほど失望も大きくなる、やっぱり頼れるのは自分だけだ」小六は自分には頼れる親も兄弟もなく、どん底の時にも誰にも頼らなかったと言った。「もう大人なんだ、誰も当てにすべきじゃない つまづいたとしても支えてくれるのは自分しかいないんだ」すると小六は急に毛玉の背中から川に飛び込んでしまう。夕日を背に小六は無心になって泳いだ。毛球に乗った相柳は黙って小六を追いかけ、河原に到着する頃にはすっかり日も暮れる。すると小六は捕まえた魚を焼いて相柳に振る舞った。「ところで9つの頭はどう生えてるんだ? 食事の時はもめるだろうな~順番は決まってるのか?」すると相柳は術をかけて小六の口をふさいでしまう。「私の好物は人だ、お前ぐらいの大きさならちょうど9人分ある」つづく( ๑≧ꇴ≦)ちょwww一番、聞いちゃダメなヤツwww
2024.08.03
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第30話【摩羅(マラ)女帝が魔に落ちて世を滅ぼす】思わぬ神託が下り、真偽を確かめるべく麒麟(キリン)王宮へ戻った初空(チュコン)。すると昊軒(コウケン)が現れ、初空に摩羅帝宮に戻らないよう強要した。しかし初空は滄海が神であれ魔であれ決して裏切らないと反発、兵士たちを退け帰ってしまう。…初空、すでに神託は下った、滄海と摩羅族は間違いなく六界の敵となる、そして私が麒麟族を率いて六界の盟主となるのだ、天下を私の足元にひれ伏せさせる!(๑•̀ㅂ•́)و✧…一方、摩羅公主・明月(メイゲツ)は護法・錦城(キンセイ)から滄海との接触を絶たれ憤った。そのせいで邪気が抑えられなくなり、錦城の説得にも耳を傾けなくなってしまう。「どうせ私は捨て子、好きに生きて死ぬわ!」神託の噂を聞いた修茗(シゥミン)が滄海を心配して駆けつけた。滄海は六界を束ねる摩羅族に挑める者などいないと強がったが、未だ初空が戻らず不安が募る。「初空がいなくても私がそばにいます」「…殿下、私の夫人なら心配には及ばない」その声は初空だった。実は初空は婚儀の前に山荘を片付けていたので遅くなってしまったという。すると修茗は安堵し、潔く滄海を初空に託した。「滄海を幸せにしてくれよ」そんなある日、錦城の双子の子供が突然、血を吐いて昏倒した。追い詰められた錦城は昊軒を頼ったが、昊軒は双子を救えるのはこの世で初空だけだと明かす。「天下で唯一の生まれながらの金の麒麟は元神を癒す力を持っている 双子を助けたいのなら初空のところに行くんだな」錦城はようやくこれが初空を陥れる昊軒の巧妙な罠だったと気づいた。しかし昊軒は選択したのはあくまで錦城自身だという。「私は良かれと思って霊薬を渡しただけ、子供が飲むかどうかは知らなかった それに初空は弟なのになぜ私が害する必要が?( ̄ー ̄)フッ」全てが昊軒の計画通りに進んでいた。初空のこと、錦城に泣きつかれれば必ず手を貸すだろう。しかし初空の元神が傷つけば滄海が黙っているはずがない。…そうなれば私の企ては誰にも止められない…昊軒にそそのかされた麒麟王は初空と女帝の縁談で麒麟族まで巻き込まれることを恐れ、すぐ出兵するよう指示、摩羅族に異変があった時は昊軒に一任すると命じた。その夜、初空と滄海は人間界で2人だけの婚礼を迎えた。「生涯、離れず、生死を共にして悔いを残さない」2人は誓いを立てて夫婦の杯を交わした。すると滄海は以前、姻縁廟で買った牽糸引(ケンシイン)を招喚し、自分の元神を込めて初空に贈る。「これを手に結べばどこにいても見つけられるわ」そこで初空も一条の元神を引き抜き、牽糸引に加えた。「これなら来世も来来世も来来来世でも見つけられる!」「共に手を取り合い…」「年老いるまで…」初空と滄海が手を握り合い唇を重ねると、牽糸引が2人の手首に巻きついて永遠の縁を結んだ。その時、突然、中庭から錦城の悲痛な叫び声が聞こえて来た。「帝君!二殿下!お助けください!」初空と滄海が門を開けると錦城が昏倒した錦蓮(キンレン)と錦蘿(キンラ)を連れて立っていた。「初夜を邪魔して申し訳ありません…どうか子供たちをお助けください!」驚いた初空はすぐ子供たちを部屋に運び、金の麒麟で双子の元神を癒した。しかし力を使い過ぎたせいで自分の元神を損ない、倒れてしまう。その頃、昊軒は錦城の留守を狙って深海の結界に入った。やがて暗闇から明月が現れる。「なるほど、滄海とうり二つだ」「あなたは誰?錦城はどこ?」「私が誰かはどうでもいい、大事なのは私と一緒にここから出るかどうか… これがたった一度の機会になるだろう、決めるのはあなただ」昊軒は3000年以上も暗闇で独りきりだった明月の心の隙間を上手く突いた。「…行くわ!」すると昊軒は明月を助ける対価として3つの願いを叶えて欲しいと条件を出し、契約符を招喚した。明月は迷っていたが外界への誘惑に負け、魂の契約を結んでしまう。「まずはひとつ目だ、帝休(テイキュウ)族を皆殺しにしてもらおう」滄海にうり二つの明月が摩羅族に忠実だった帝休族を滅ぼした。明月の存在を知らない世間は摩羅の女帝が魔に落ちたと誤解、昊軒は2つ目の願いも成し遂げられたと喜ぶ。「では3つ目は何?」「…それはお前の力を捧げてもらうことだ」明月は魂の契約を結んだせいですでに昊軒から逃れることができなかった。すると昊軒から邪気の力を全て吸い取られ、消滅してしまう。その頃、滄海は初空の元神を自分の霊力で癒していた。すると急に胸を刺すような痛みを感じ、まるで身体の力の半分を奪われるような感覚に襲われる。錦城は明月の身に何かあったのではと気づき、ついに滄海に事実を明かすことにした。「帝君、その異変は明月公主が関わっているのやも…」「明月?明月とは誰なの?」摩羅族の王族は代々、双子が生まれ、滄海も例外なく双子の姉妹だった。しかし呪われた王族ゆえ男女の双子なら問題ないが、同性の双子の場合、一方は神で一方は魔として生まれてくるという。本来は滄海の力と通じる前に明月を滅する必要があったが、先帝は娘を殺せず、密かに錦城に幽閉させていた。「私が子供たちを救いたいと焦ったばかりに… 昊軒にはめられ、明月公主の居場所を教えてしまったのです 神託も昊軒の陰謀かもしれません」その時、初空の手がわずかに動いたが、滄海は気づかなかった。滄海は初空を人間界の山荘に残し、錦城と一緒に急いで摩羅帝宮に戻った。しかし深海の結界の中に明月と昊軒の姿はない。滄海は明月が書卓に残して行った家族4人の絵を見ながら、夢の中で自分とうり二つの娘に会ったこと思い出した。その時、滄海は再び胸が苦しくなり、明月の力が全て奪われたことに気づく。「明月公主の力は帝君と同源、誰もかなわない もし昊軒が手に入れたのなら…この世が危うくなります!」昊軒が本殿で待ち構えていると、予想通り滄海と錦城が現れた。すでに明月の力を我が物にした昊軒、これで滄海の力も手に入れば金の麒麟など敵ではない。「お前は錯乱し、罪のない者を殺した 帝休族は摩羅族に忠誠を尽くして皇子を人質として送ったのに、残らず殺し尽くすとは… 神託通りだな、世を滅ぼす魔女め!」「よくぞまあそんな君子面できるわね!」滄海は明月を返すよう迫ったが、昊軒は明月とは誰かとしらばくれた。確かに滄海に姉妹がいることを知っているのは自分たちだけ、すると昊軒は麒麟族が先頭に立って戦うと宣戦布告する。「魔女を殺せ!」つづく( ๑≧ꇴ≦)盛り上がってまいりました~!
2024.08.02
コメント(0)
七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第29話無謀な鍛錬のせいで倒れた修茗(シゥミン)。初空(チュコン)の元神の力で事なきを得たが、滄海(ソウカイ)は護法・錦城(キンセイ)からその原因が自分にあると指摘されてしまう。そこで滄海は元神を養う摩羅(マラ)族の神器・天穹玉(テンキュウギョク)に自分の力を入れ、修茗に贈った。「修茗、私はずっとあなたを弟だと思って来た、その気持ちはこれからも変わらない」昊軒(コウケン)が麒麟(キリン)宮に戻ることになった。初空は父への口添えを頼んで見送ったが、別れ際、兄から滄海にとって帝休(テイキュウ)族の皇子は大きな位置を占めていると警告されてしまう。「ご心配には及びません、では…」昊軒は弟をわざと嫉妬させ、ほくそ笑んだ。すると初空と入れ違いで錦城が現れる。錦城は昊軒からもらった霊薬のおかげで双子が元気になったと報告し、薬を譲って欲しいと懇願した。そこで昊軒は対価として摩羅族の内情を知りたいと言ったが、錦城は摩羅族を裏切ることはできないと拒否する。「無理強いはしませんよ…もし気が変わったらご連絡を」初空が庭園に駆けつけると、ちょうど滄海が修茗に天穹玉を与えているところだった。「待て!…元神なら私が癒せる!」結構だ!>(,,Ծ‸Ծ,,)( ≧ꇴ≦ )<ダメよっ!滄海と修茗に拒否され立つ瀬がない初空。すると滄海は修茗に意地を張らず天穹玉を必ず身につけるよう命じ、初空にもむやみに癒しの力を使って元神を損なわないよう釘を刺した。「分かった、お前の同意なしには使わないと約束する、怒らないでくれよ…」(」゚ロ゚)」<俺が悪かったヨォォォォォォォ~!初空は滄海の機嫌を直そうと大きな声で謝罪、滄海は思わず失笑した。( ゚ェ゚)あ、長公主と将軍の歴劫の時、祥雲が大声で話しかけたネタってこれか〜後から出してくるって上手いね修茗は滄海が初空に向けた笑顔を見て驚いた。…滄海が私にあのように笑ったことはない、滄海への執着を捨てるべき時が来たのか、初空が滄海の落ち着き先なのかもしれない…( °◊° )意外と物分かりが良い修茗nnnnnn我が子の命と忠誠心の板挟みに苦しむ錦城。封印された公主は差し入れを届けに来た護法の異変に気づいて心配したが、錦城は双子の話ではぐらかし、戻ってしまう。そんなある日、すっかり元気になった錦蓮(キンレン)と錦蘿(キンラ)が急に倒れた。錦城は双子を救うため、昊軒からもらった伝令麒麟を放ってしまう。一方、昊軒は父から神託を取り仕切るよう命じられた。配下はこれで族長の座も確実だと喜んだが、昊軒は気まぐれな父を簡単には信用できない。その時、護法からの連絡が届いた。「…全てを知る者がやって来た、ふっ」錦城はまんまと昊軒の罠にはまった。当初は霊薬と引き換えに初空の消息を伝えることが条件だったが、次の霊薬が欲しければ昊軒のために働くよう迫られてしまう。「ほんの些細なことだ、昔のことを知りたい、深刻に考えるな ただ誓いを立ててもらう、もしお前が私を欺けばあの双子は魂が飛散し、元神も失われる」すると昊軒はあの日、庭園で見た不思議な力は誰のものか聞いた。錦城は口をつぐんだが、それが答えだと見透かされてしまう。「摩羅族の王族は代々、双子、滄海が1人娘のはずがない 男女の双子なら隠す必要がないから答えはひとつ、あの強い不思議な力の源はもう1人の… ふふ、ご苦労だった」昊軒は護法に感謝し、霊薬を渡して帰った。滄海は庭園で居眠りしながら夢を見ていた。…あなたは誰?なぜ私にそっくりなの?なぜ何も話さないの?…娘は笑顔で滄海を眺めていたが、急に消散してしまう。「小棠(シャオタン)?」滄海は初空の声で目を覚ました。「夢を見ていたのか?」「私とよく似た女子の夢だった…あまりにも姉妹が欲しいせいね、ふふ」初空はそれより婚礼の話をしようと切り出した。すると滄海は人間界で暮らした山荘で2人きり、静かで素朴な婚儀を行いたいという。幼い頃から華やかで精緻(セイチ)な宮殿で育った滄海にとって山荘で身分から解放された自由な日々は何より幸せだった。しかし昊軒から一向に返事がなく、やはり身分を捨てての婚姻に両親が反対しているのかもしれない。「もしそうだったら私を諦める?」「世界を敵に回しても君を選ぶ!(๑•̀ㅂ•́)و✧」その頃、深海の結界に入った錦城は自責の念に苛まれていた。『錦城、そなたに明月(メイゲツ)を託そう、決して誰にもその存在を知られるな』『帝君、ご安心を、我が身が消散しない限り明かすことはありません』すると明月が現れた。明月は夢の中で自分とそっくりな女子に会ったと話し、もしや自分の姉妹ではないかという。書卓の上には明月が描いた4人家族の絵があった。しかし顔が分かるのは自分だけ、両親と姉の顔は何も描き入れることができない。「近いうちに彼女と話ができそうなの」「公主、いけません!邪気を抑えるには外界に触れてはならない」錦城は問答無用で霊力を放ち、滄海と明月が夢で繋がらないよう通り道を断ってしまう。「ただ夢で会いたいだけなのに…どうして唯一の家族に会えないの?!」「存在を知られてはならないのです!」その頃、天の星に異変が現れた。ちょうど庭園にいた初空と滄海は天を見上げ、神託が下るのだと気づく。「神託は数万年に1度、この世が滅びるような危機がある時だけ下されるわ」滄海は胸騒ぎがしたが、初空は何が起ころうと滄海のそばにいると約束した。神託が降った。【摩羅王女が魔に落ちて世を滅ぼす】昊軒は″摩羅王女″を指すのが滄海ではなく、あの強い不思議な力の源である滄海の双子の姉妹だと気づく。その時、昊軒は恐ろしい計画を思いついた。表向き摩羅の娘は滄海だけ、双子のもう1人は世に知られていない。神託が告げる″摩羅王女″が滄海なら初空の夫の地位も無駄になり、六界を牛耳る摩羅族も非難の的となる。昊軒はこの機に乗じて族長の座だけではなく、六界の盟主の座まで手に入れようと企んだ。そこで天に逆らって神託を書き換えてしまう。【摩羅女帝が魔に落ちて世を滅ぼす】すると昊軒の腕に″厄誅(アクチュウ)痕″が現れた。…長年、屈辱に耐えて来たのもいつの日か世の主となるため、そのためならどんな代償を払っても惜しくない、至上の高みに登る私を誰も止められぬ…( ̄▽ ̄;)兄さん、エグいわ___初空は政で忙しい滄海の代わりに婚礼衣装を準備した。「どうだ?気に入ったか?」「気に入ったわ!」婚儀を間近に控え、幸せそうな2人。しかしそこに血相を変えた護法が飛び込んで来た。「帝君!大変です!神託がありました!摩羅女帝が魔に落ちて世を滅ぼすと!」「私が誰かに魔に落ちるよう強いられると?」初空はありえないと否定した。錦城も絵空事だと一蹴したが、ふと神託が指すのは明月ではないかと気づく。…古より神託を司るのは麒麟族、もしや…初空は神託をこの目で確かめようと麒麟宮へ戻った。すると驚いたことに神託には本当に滄海が魔に落ちて世を滅ぼすとある。その時、昊軒が現れ、天兵が初空を包囲した。つづく( ゚ェ゚)摩羅宮殿って海底?本殿はブクブクしているけど…って、どうでもいい?w
2024.08.01
コメント(1)
全23件 (23件中 1-23件目)
1