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小出裕章先生へ一問一答の続きです。Q 福島原発から放出された放射能の量はどのくらいですか?京に換算すると、何京ですか?A 日本政府がIAEAという機関に報告書を出したんですが、どれだけの放射能を放出したかというその数字が出ています。私が大切だと思っているのはセシウム137の数字ですが、広島原爆は8.9×10の13乗ベクレルです。それで福島第1原発は、1号機が5.9×10の14乗ベクレル(590兆ベクレル)、一番悪かったのは2号機で1.4×10の16乗ベクレル(1.4京ベクレル)、3号機は7.1×10の14乗ベクレル(710兆ベクレル)で、全部合わせて1.5京ベクレルくらいです。広島原爆の約170倍です。Q 原発事故の収束の見通しについて、どのようにお考えですか?A 正確な知識が得られないから、どうなっているか分かりません。例えば、火力発電所なら簡単です。爆発しても、地震でひっくり返ったとしても、そこに行って見ればいい。どこが壊れたか、修理ができるのかどうかを見て直せばよい。でも、原子力発電所の場合は、壊れちゃったら現場に行かれない。その上、計測器が壊れて誤信号を送っているわけですから、本当に今、どうなっているのか分からない、そういう状態です。 この事故は、発電所全体が全所停電…、ブラックアウトしたことが原因で起きました。全所停電するとどうなるかというと…、原子炉というのはいついかなる場合でも常に必ず冷やしておかなければいけないという機械なんですけれども、冷やしておくためには水が要る。水を循環させるためにはポンプが要る、ポンプを動かすためには電気が要る、というわけですが、一切の電気がなくなっちゃったわけなので、ポンプは動かないし、水も回らない、水源すらもなくなっちゃった、という状態。それが一週間くらい続いたわけです。敵味方で言えば、敵は原子炉なんです。生き物ではないけれどどんどん動いて、能動的に放射能をばら撒こうとしている。それに対するのは東京電力で、私と東京電力は本当は敵同士ですが、原子炉との戦いでは、原子炉が敵で、東京電力はこちら側(味方)です。 で、その東京電力がすべての、戦う武器を奪われちゃった。放射能と戦うための力を奪われてしまって、どうにもならないまま、事故が進行していって、放射能が大量に出てきてしまったわけです。でも、今は電源が回復している。だから、東京電力は山ほど武器を持っている。敵と戦うための武器は手に持っているんです。ただし、戦場が荒れ果てているわけで、武器を行使することもできないまま、今立ち止まっているわけです。でも少なくとも武器は持っているわけで、これ以上悪い方向にいかせないことは、私はできるだろうと思っていて、東京電力に何とか頑張って欲しいと思っています。これ以上の放射能放出をしないで欲しいと思っているわけです。たぶん、できる可能性が高いと思っています。でも、絶対に勝てるという確信は持てないので注意はしておかなければいけないと。絶対に安心できる日がいつ来るかというのは分かりません。 これからは、大量の放射能が出てくるかどうかを注意して見ていく必要はありますが、その可能性が高いとは思わない。Q では、万が一、また大量の放射能が放出される事態になれば、特に子どもはすぐに避難したほうがいいんですよね。A そう思います。3月11日に事故が起きて2週間くらいの間にほとんどの放射能が放出されたんですが、その期間は本当なら子どもは逃げたほうが良かった。ただ、日本の国はそういう情報を流さず、秘密にしていたんです。だから、子どもも逃げることができずに被ばくさせられてしまった。Q この2週間の間で、逃げられなかった人たち、例えば飯舘村の人たちはどのくらい被ばくしたのでしょうか?A これが3月11日から24日までの記録ですが、(と表を見せながら説明。その表は甲状腺被ばくの数値が書かれていて、100ミリシーベルトの数字があった) これは甲状腺のみの数値なので、全身の被ばくとは違います。ですから、加重係数でいって0.01ミリくらい、全身に換算した危険度としては数ミリシーベルト分の被ばくです。2週間足らずで、飯舘村、浪江町、南相馬市の半分も100ミリシーベルトを超えている。もっと(原発に)近い双葉町や大熊町に行ったらすごいです。何千という・・・。避難をしたのは12日になってからですが、12日の(午前)6時から被ばくが始まっているので双葉町や大熊町の人たちはもっと被ばくをしてしまったと思います。5千とかね。(※5千の甲状腺被ばくなので、全身被ばくに換算すると100分の1。わずかな間で50ミリシーベルト分の被ばくをしたことになる)。これだけの被ばくをさせられてしまったということです。これからもう一度大量の放出があればこういうことが起きるわけですから、なるべく早く逃げたほうがいいと思います。Q でも今、こういう地域に住民を戻そうとしていますよね。A 戻そうとしているのは緊急時避難準備区域ですね。Q 戻るのは良いことですか?A 良いわけないでしょう。1平方メートル当たり4万ベクレル以上が放射線管理区域です。これを超えている物は、管理区域から外へ出してはいけないと決められている。それが日本の法律です。福島県の東半分全域が1平方メートル当たり6万ベクレル超えています。茨城県、群馬県、栃木県も(放射線管理区域相当に)みんな入ってる。 本来なら、(放射線管理区域に入るような)こんな場所に人を住まわせるなどあり得ない。Q でも、これらの地域の人々が全員避難するとしたら、大変なことになりますね。A だから国は、もうどうしようもないからと住民に被ばくを強制することに決めたのです。本当なら、こういう場所に人が入ったらいけません。Q 日常生活の注意点を伺います。部屋の窓を閉め切ったほうがいいですか?A 今の時点ではそれは意味がない。窓を閉めるのは空気が汚れているとき。窓を閉めなければならないほど空気が汚れていたのは3月中旬頃でした。Q 空気清浄機は使ったほうがいいですか?A 空気清浄機の性能がどこまでなのか、分かりません。ただ、今の時点では、空気清浄機を使うほどの空気の汚れはないと思います。Q 部屋の掃除について気をつける点は?A 要するに放射性物質とは、皆さんの目に見える形としては「汚れ」なんです。(泥やホコリなどに放射性物質が付着している) ですから、掃除機やハタキなどでホコリを舞い上がらせるようなことはしないほうがいい。雑巾で拭いたほうがいいですね。Q 洗濯物を外に干すことについては?A 今の時点(の空間線量)では外に干さないほうがいいというほどではない。洗濯物はやはりお日さまに干したほうがいい。ただ、風が強い日などに土ホコリが舞い上がるような状態のときは(外に干すのは)避けたほうがいいです。Q 食品の放射能についてですが、3月頃にはほうれん草の放射能汚染が問題になりました。洗えば落ちると国は言ってましたが。A 私は、放射能が葉に付着した小松菜を洗って、測ってみましたが半分しか落ちていませんでした。Q それはなぜですか?A 野菜は生きていますから、降ってきた放射能を自分の中に取り込んでしまったのかもしれません。(植物の中に)取り込まれたものは洗っても落ちません。Q 現在ではもう上から降ってくる放射能は少ないですよね。今は土に混じった放射能を根っこから吸い上げるわけですね。汚染野菜の放射能を減らす方法はありますか?A 今度は小松菜を煮てみました。煮汁には少し移ります。(4割ほどが煮汁に移る)Q では、生で食べるよりは煮たほうがマシですね。A 完全には落ちませんが、それで納得できるならそのほうがいいですね。Q お米を研ぐときに、水道水ではなくミネラルウォーターを使ったほうがいいですか?A 人間という生き物は、あまりにもエネルギーをたくさん使いすぎてしまった。それが今度の事故を招いた。その末路が今だと思います。ですから、これからはもっと、自然に寄り添う生活をして生きるほうが良いと思います。水は水道の水を使えば良いと思います。ペットボトルの水を買ってきて米を洗うなど、そんな不自然なことをしてどうするんだと思うわけです。Q そういえば、スーパーで水を大量に買い込む主婦を見かけますが・・・A 私は、そういうのはやり方を間違えていると思います。赤ん坊のミルクを作るならともかく、大人が米を食べるときに、ペットボトルの水を使うなど・・・。 要するに、これからどういう世界を造っていくのか、ということを問われているわけです。だから、ペットボトルの水で米を研ぐような世界は、私から見たらおかしいと思います。 でも、子どもは守らなくてはなりませんから、子どもを守るためなら、そういう選択肢もありだと思います。Q 今、子どもが自然の中で遊ぶことが危険な環境になってしまいました。例えば泥んこになって遊んだり、どんぐり拾いをしたりなど、させても良いものでしょうか?A 私は、子どもは泥んこになったり、どんぐりを拾ったりして遊ぶべきものだと思っています。私の子どもが今もし、小さい子だったとしたら、私は遊ばせると思います。Q それは被ばくを覚悟の上でですか?A もちろんです。もう、この世界で生きる以上は、被ばくは仕方がないのです。そういう世界で生きるときに、どういう覚悟を持って、どういう世界を造っていきたいのかと、構想するしかないのですね。 もちろん子どもは守りたいですが、泥んこ遊びもさせない、草にも触らせないなど、そんなことをしたら子どもがおかしくなると思います。Q そんな中、沖縄に移住することを選択する人もいますが。A すべての人が移住できるわけではありません。ほとんどの人がその場所で生きなければならないわけです。それでも、子どもが遊ぶ場所の除染などできることはあるわけです。汚れた土をはぎ取って、子どもには泥んこ遊びをさせる、ということをやるべきだと思います。Q 子どもが行かないほうが良いのはどういう場所ですか?A 例えば、水たまりなどは被ばくをします。今降った雨はそれほど汚れているわけではありません。汚れた地面を流れてたまった水は汚れています。また、水たまりになりやすい場所の土は高濃度の放射能が残っています。そういう場所で遊ばないようにと子どもには教えることです。Q 雨は今はそれほど汚れてはいないと?A まったく汚れていないというわけではありませんが、3月の頃に比べたらきれいになっています。雨にはなるべくぬれないほうが良いのはもちろんですが、そういうことを気にしすぎていたら子どもは外で遊べない。多少はぬれるのは仕方がない。その代わり、雨にぬれて家に帰ったら、服を脱いでシャワーを浴びさせるなど親が気をつける必要があります。Q 植え込みなども子どもが好んで入っていく場所ですが、放射線量が高そうですね。A そうですね。でも、(除染は)できないんです。学校の校庭とか幼稚園の園庭とか、家庭の庭などの土を取り除くことはやるべきだし、できます。でも山の木の下を除染したり、公園の土を(樹木、植え込みも含めて)全部はぎ取るなどできないんです。国は除染といってますが、(完全には)できないと思います。しかし、できないと思いながらやるしかない。でも、子どもが遊ぶ場所についてはできる限りやるべきだと私は思います。
2012.01.07
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小出裕章先生へ一問一答の続きです。Q 海が汚染されていますが、魚は食べないほうがよいですか?A 海産物の汚染はどのように現れてくるかというと、今現在は海藻だと思います。海藻というのはそこから逃げられません。福島を中心に、宮城、茨城などの海岸で育っている海藻は多分汚れていると思います。 次に、底生生物ですね。貝とかヒラメのような海の底に生息する魚などは、今、汚れていると思います。これからは、海の汚染が広く薄く拡がっていきます。長期的にいえば、魚はみんな汚れる、ということです。Q では、遠洋で獲れるマグロなどはどうですか?A 今、現在はいいですよ。太平洋の水がどこまで希釈していくかということです。例えば今、震災の瓦礫がハワイに何日で届くとか、米国の西海岸に何日で届くとか言ってるわけです。そういうふうに流れて広まっていくわけで、いずれは太平洋中全部汚れてしまうわけです。Q では、日本海は?A データがまだあまりないので、まだ分かりません。当面は福島原発を中心とした海域での、海藻類、貝類、底生魚類に注意しておけばよいと私は思います。そういうふうに覚悟をしなければ海産物は何も食べられなくなります。Q では、北海道の昆布などは大丈夫ですか?A 「大丈夫」ということはない。北海道だって沖縄だってみんな汚れています。米国もヨーロッパも、福島の汚染が世界中に広がっていることが分かっている。汚染の度合いが違うというだけのことなのです。 こうなってしまった以上は、汚染された食べ物をどうやって受け入れて分配するかということです。私の提案は、子どもにできるだけきれいな物(汚染されていない物)を食べてもらって、大人はあきらめて(放射線量が)高い物でも食べましょう、と。50禁、60禁というようにね。(50歳以下、60歳以下食べるの禁止)放射線の感受性は、歳をとればとるほど少なくなってくるので、歳をとっている私たちの世代は原子力を許してしまった世代でもありますから、もうあきらめて食うしかない、というのが私の主張です。Q 牛乳は子どもに飲ませないほうがよいですか?A すべての食べ物について汚染の数値を表示するべきというのが私の主張です。牛乳についても福島や関東で出回っている牛乳と、関西で出回っている牛乳では、汚染の程度が違うと思います。ですから、きちんと(放射能数値を)表示して、子どもには汚染されていない牛乳を飲ませるべきです。関西の汚染されていない牛乳を、福島でも手に入るように流通させ、子どもに飲ませる。学校給食で使う。そういうふうにしなければいけないと思います。 今のやり方は、何かの基準を決めて基準を上回ったら出荷停止、基準を下回れば「安全だ」として一緒くたにして流通させてしまうのですが、それではダメなんですよ。1kg200ベクレルという基準を作って、199なら流通してしまうということですが、そんなことでは子どもは守れないから、すべての表示をするべきだと。その表示の仕方に、先ほど言った「50禁」とか「60禁」とか、そういう表示をして選べるようにしましょう、と。 今の政府のやり方をみていると、それが可能になるとは思えませんが、皆さんがそれを求めて欲しい。自分だけ牛乳を飲まなければいいとか、自衛をすればいいとか、そういうことではない。お金持ちなら、外国から安全な牛乳を取り寄せて飲むこともできるでしょうが、そんなことでは解決できない。Q ゴフマン博士のグラフについてですが。グラフは年齢別の被ばくリスクを表したものですね。小出先生の著書に書いてありましたが、赤ちゃんと小出先生の年齢の大人では300倍もリスクが違うということで驚きました。A そうです。例えば大人の基準値が1kg当たり300ベクレルであれば、子どもには1ベクレルしか許してはいけないのです。(※その計算でいくと食品の基準値は大人が500ベクレル以内なら子どもは1.6ベクレル以内でなければならない) ですから、私たちが(子どもに食べさせる数値を)選べるように、表示をして欲しいのです。が、残念ながら、私の力が足りずに実現できていません。Q 内部被ばくをどのように計算するのですか?A 要するに何ベクレル取り込めば、何シーベルトの被ばくになるかということですが、どこまで正しいかということは別にして、計算するための係数があります。その係数をどのようにして導き出したかというと、様々な仮定を、仮定の上に仮定を積み重ねているわけです。例えば、呼吸で取り込んだ場合、肺に入った分がどれだけ吐き出されていくか、などを仮定するわけです。肺に入ったうちどれだけが溶けるのか、または溶けないのか? 溶けた場合は、体液に入って血液に入って、全身に移っていく、そのうちのどれだけがどこの臓器にいくのか、どの割合でおしっこや便で排泄されていくのか、など、数限りない仮定をとおして計算します。 最終的に1ベクレル取り込んだときに、何シーベルトの被ばくになります、ということをはじき出しているわけです。でも、それがどこまで正しいか分からないけれど、とりあえず今、目安にするしかない。あとは、呼吸で何ベクレル、食べ物で何ベクレル取り込むかという問題です。 例えば私の場合だと、空気を1日20立方メートル吸い込むのが標準的な人間といわれているわけですが、1立方メートルの中にセシウムが何ベクレルあると分かれば、20倍して私が取り込むベクレル数が計算できる。そこに先ほどの係数をかけ合わせれば1日ごとに何シーベルトの被ばく量かが分かる。もし同じ状態で1年続けば365倍すればいいというわけです。Q 国が生涯の被ばく量が100ミリシーベルトを越えると発ガンリスクが0.5%上がると言ってますが。A そもそも法律では年間1ミリシーベルト以上被ばくさせてはいけないというのに、100ミリシーベルトなどという数字を出してくること自体がおかしいと思います。Q 今、福島では年間20ミリシーベルトを強要させられていますが、これでは5年で100ミリシーベルトに達してしまいますね。A 1ミリシーベルトは、1万人に1人がガンで死ぬ(ICRPによる)、という量です。国に言わせれば1万人に0.5人というかもしれませんが。私はゴフマンを信用しているので、1万人に4人がガンで死ぬと思っています。 国が使っている数値はICRP(国際放射線防護委員会)のものですが、ICRPというのは原子力を推進するための機関ですので非常に小さい値ばかりを言う機関です。 放射線の危険度を原爆の被ばく者などからはじき出しているんですが、1万人に1人だとはじき出したのです。そして、原爆は瞬間的に浴びたが、ズルズルと浴びる被ばくの仕方だと危険度が半分になるから0.5だというわけですが、何の根拠もありません。でも、ICRPはそう言ってます。彼らはなるべく危険を小さく見せたいのです。ゴフマンさんは、慢性的な被ばくでも危険度が減ることはないと言ってます。そして被ばく者のデータをきちんと解析すると1万人に4人だと言ってるわけです。そして、子どもの場合は4倍から5倍危険だと。ですから、もし0歳の赤ん坊が1万人、1ミリシーベルトずつ被曝すれば16人がガンで死ぬ。もし、20ミリシーベルトを許してしまうと320人ガンで死にます、ということです。その320人という数字を大きいと見るか、少ないと見るか、その判断をしなければならない。安全でも何でもない。ただ、それを受け入れるかどうかということです。Q 被ばくによってガン以外の病気や障害が出ることはあるのですか? 例えば不妊や奇形児出産、知能低下など。A 私はそういうことはあると思いますが、でも立証しにくいんです。実際にこれまでは、低線量被ばくなど無いかのように管理をしてきたわけです。どういう健康影響が出てくるかというのは、長い間子どもたちを観察しなければ分からないのです。確かに今、ベラルーシのお医者さんが、こんな影響が出てきた、遺伝的な影響が出てきたなどと、報告してくれるようになっていますが、それが学説として定着するまでにまだまだ時間がかかるということです。私は(低線量被ばくの影響は)必ずあると思いますが、科学として広く認められるようになるまでは時間がかかるということです。でも、それを待っていたのでは手遅れなので、なるべく被ばくはさせないようにしなければいけないと思います。
2012.01.07
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原発事故から10ヶ月経った今、原発への不安や放射能への恐怖は収まるどころか、農畜産物や魚介類の汚染による内部被曝、汚染されたゴミ焼却灰の処理問題、土壌汚染、放射能に汚染された被災地の瓦礫処理の問題、放射能の子どもへの影響などなど、問題は次から次へと持ち上がり、ますます根深く人々の心には不安がのしかかってきています。少なくとも向こう30年は、東日本を中心に日本全国に、食品や堆肥などを通して放射能汚染が拡散していくことは避けられそうにありません。国内外の研究者から、「日本では今後、福島を中心にさまざまな健康被害が現れる可能性がある」と指摘されています。それは、チェルノブイリの例を見ても明らかです。地震大国なのにエネルギー源として原発を選択してしまった日本人の宿命とも言えるでしょう。私達一人ひとりが、原発、放射能に向かい合い、日本の未来や、自分達の子孫へ何を伝えるのかを考えていくべき時です。昨年9月末頃、雑誌の取材で京都大学原子炉研究所の小出裕章先生へインタビューをしました。このインタビューが、皆様のお役に立つことを願い、ここにその時の録音内容を、小出先生の許可を得て掲載することにしました。以下、小出先生への一問一答Q セシウムが検出されたお母さんは母乳を飲ませても大丈夫ですか?A まず、始めに申し上げたいことは、(放射能に関しては)「大丈夫」という言葉は使ってはいけません。被ばくというものに関しては、どんなにレベルが低くても「大丈夫」などということはあり得ない。ですから、母乳の濃度がどれだけかにかかわらず、危険は必ずあるのです。その危険を承知した上で母乳にするかミルクにするかという、その選択をするということです。大丈夫などということはないし、心配ないなどということはないのです。 これくらいのレベルなら大丈夫だとか、心配ないだとか、そんな言葉を使ったら、もうそこでダメになってしまいます。Q それでは、お母さんたちは自分で判断するしかないのですね。A そうです。数値を見て、粉ミルクにするか、母乳を続けるかを、自分でリスクを判断して決めるのです。粉ミルクにしても水道水で溶かすとしたら、その水道水も汚染されています。 どちらにするかということでは、私は母乳を与えたほうがいいと思っています。 何ベクレルの母乳を何リットル飲ませたら、どれだけ被ばくして、どれだけのリスクがあるかを計算することができるわけですから、(それを判断するための)科学的データはありますから、母乳を飲ませる良さとリスクを考えて判断するのです。Q 食べ物に気をつけたら母乳から放射能が検出されなくなったそうですが。A それはもちろんです。妊婦や赤ちゃんを育てている女性も、食べ物に十分気をつけなければいけません。母親の体がきれいになれば、もちろん母乳もきれいになる。Q 原発事故から半年たちましたが、マスクや長袖長ズボンは今も必要でしょうか?A 今の時点で、空気が汚れているかといえば、ゼロではない。注意はしたほうがよいけれど、圧倒的に汚れていたのは3月中旬頃です。その時期はマスクをすべきでしたが、今現在では、マスクの効果は大きくないと思います。それに、子どもがマスクをして遊ぶなんてことはとても信じられない風景です。今の状況で事故が収束できるのであれば、私は子どもにはマスクをさせたくないと思います。何度も言いますが、大丈夫でも安全でも心配ないということもないんです。もうすでに事故は起こってしまったのですから、被ばくは避けられない。その汚れてしまった環境の中で、どうやって私たちが生きていくか、子どもが生きていくか、それを選択するしかない。今の段階では、子どもにマスクをさせたくない、と私は思います。今、何が汚れているかといえば、空気ではなく地面が汚れているんです。地面に寝転がって遊ぶような子どもに対しては、長袖長ズボンのほうが良いと、私は思います。放射能とはつまり汚れなんです。地面に転がって遊べば、土についている放射性物質が洋服について汚れます。ですから家に帰って来たら服を脱がせて洗濯をすればよいのです。ただ、洗濯すれば放射性物質がなくなるかといえばそうではなく、下水に流れて下水の汚泥に溜まる、今それが問題になっています。Q地面に転がって遊ぶ場合はマスクが必要ですか?A そういう場合はマスクをしたほうが良いと思います。マスクは呼吸で(放射能を)吸い込まないためにするのです。今現在、空気がそれほど汚れているわけではないと思います。ただ、ホコリで舞い上がってくる汚れがあるので、そういう場合にはマスクをして欲しいと思います。ただ、マスクをさせるより、子どもが泥んこになって遊ぶような場所は除染して欲しいです。学校の校庭、幼稚園の園庭、家庭の庭など、厚さ5cmでいいですから汚れた土をはぎ取って欲しいです。子どもにマスクをさせるなんてことよりは、はるかにそちらのほうをやるべきだと思います。Q 除染は、福島だけでなく、東京や神奈川もしたほうがよいですか?A 程度の差こそあれ、汚れているのは事実ですから同じです。大丈夫な数値などないのですから。まずは、自分の住んでいる地域の放射線量を調べること、自分で調べられない場合は東京電力や行政に調べさせること。子どもをどこで遊ばせるべきかを判断した上で子育てにのぞむことが大切です。Q やはり、福島の野菜を子どもに食べさせないほうがよいですか?A 子どもには食べさせてはいけない。でも、大人は食べてください。Q でも、食事は一緒に同じ物を作りますが。A (子どもと大人の食事は)分けて作ってください。「3月11日から世界が変わった」ということを、皆さんきちんと知らなければいけない。親と子が同じ物を食べるなどということは、もう思ってはいけない。そういう世界になったと思ってください。「同じ釜の飯を食う」時代は終わったのです。Q 親も被ばくしたくないから、子どもと同じ物を食べればいいのではないですか?A 誰だって被ばくしたくない。だからといって、皆がなるべく汚染の少ない物を買ってきて食べるということになれば、福島県の一次産業が潰れてしまうわけです。私はそんなことをしてはいけないと思うから、「仕方がないから大人はあきらめて食べましょう」と言っているんです。それは、皆さんに全然受け入れてもらえないのですけど(笑)ですから、福島(及びその周辺)の物をボイコットしないで、なおかつ子どもを守れるような仕組みをつくらなければいけない。 今、福島県の学校給食は福島県産の食材でやっている、と聞きました。そんなことはやってはいけない。学校給食はきれいな(放射能に汚染されていない)物しか使ってはいけない。 その代わりに東京電力の社員食堂、国会の議員食堂、三菱・日立・東芝の社員食堂等々は、猛烈な汚染食品だけを使って欲しい。(力説) Q 水道水は飲ませないほうがいいですか?A 水道水を飲ませなくてどうするんですか?Q 浄水器を使うのは?A 浄水器はほとんど効果はないです。Q では、ペットボトルの水を使えばよいですか?A 山の水も今は汚染されていますから産地を確認してください。来歴の分かる水が入手できるなら、そのほうが良いと思います。小出裕章先生へ一問一答その2、その3へ続く・・・・
2012.01.07
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