2005年11月10日
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カテゴリ: BALLET
Manuel Legris,danseur étoile danced as ONEGIN for the first time,
Second night in Japan

The Stuttgarter Ballett ONEGIN
choregraphed by John Cranko

November 10, 2005
Tokyo Bunka Kaikan

Tatiana: Maria Eichwald
Onegin: Manuel Legris (Guest artist)
Olga: Elena Tentschikowa


シュトゥットガルト・バレエ団「オネーギン」 2夜目
2005年11月10日(木) 東京 上野 東京文化会館

ジョン・クランコによる3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説原作

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト

オネーギン:マニュエル・ルグリ

レンスキー:ミハイル・カニスキン
オリガ:エレーナ・テンチコワ
ラーリナ夫人:メリンダ・ウィザム
乳母:ルドミラ・ボガート
グレーミン公爵:イヴァン・ジル・オルテガ

指揮:ジェームズ・タグル
演奏: 東京ニューシティ管弦楽団


いや~すばらしかった。
「ルグリの」オネーギンを堪能しました。

きょうのルグリは余計な力が抜けていて「いつもの」ルグリだった。
つまり、すばらしかった!!
初日はカーテンコールで異様に高揚していたから、やっぱり力の入れ具合が普通じゃなかった。

私もきょうは余計な力みがなく、すっと入っていけた。

やはりルグリは、サーシャのような「憑依型」ではない。どこまでいってもルグリさまなのです。

とくにすばらしかったのが3幕の最後の「手紙のパドドゥ」。
もう、あと100回見てもいい!


※ネタバレ注意。

第1幕

ラーリナ家の庭。

薄幕の向こうは、ストップモーション。幕が上がると動き出す。
夫人とオルガとフィリピエーヴナはパーティに着る、オルガとタチヤーナの服の刺繍をしている。タチヤーナは興味ない。

オルガはふざけてタチヤーナの本を取り上げる。
「返して。」微笑むタチヤーナ。
本を返す妹。二人は抱擁。性格は異なるが、仲のいい姉妹。

近所の女の子たちのダンス。オルガは中心で踊る。タチヤーナは奥で本を読みふけっている。

小さい鏡を覗き込む娘達。

タチヤーナは私はいいわ~と遠慮する。

レンスキーが、覗き込む。
「あ~っ、びっくりしたわ!」と笑うオルガ。
レンスキーはこのおきゃんな幼馴染が大好き。

オルガが立ち上がると、テーブルの前に座り込んで本を読んでいたタチヤーナが立ち上がる。

同時にオネーギンがゆっくりゆっくり下手から舞台の一番奥に登場する。
タチヤーナは鏡を覗き込む。
オネーギンは後ろを向いている。まるで現実を拒絶しているようだ。

レンスキーが彼をうながすと、ようやくオネーギンは振り向く。社交辞令は嫌いだが、レンスキーに促されるので仕方なく、お隣のラーリナ夫人にあいさつする。でもよそよそしい。なんだかんだいっても、レンスキーはオネーギンを現実世界につなぎとめる錨なのだ。

オネーギンは鏡を見ている女性の背後から近付く。
鏡に現れたのはいつも夢見ている王子様?
びっくりしたタチヤーナは上手の母のほうまで駆けて行って動揺を表す。このへんがまだ「少女」。

この鏡は呪いの鏡か? このカップルは2組とも悲劇を迎えるわけだから。

オネーギンは笑顔もなく、すたすたと近付くと、タチヤーナに腕を差し出し、腕を組んで下手に退場する。

レンスキーとオルガのパドドゥ。
テンチコワはよかった。幸せな表情に溢れている。
アラスゴンド・デヴェロッペ、からアラベスク・パンシェ、くるっと回してもらう。そしてくるくるとホールドされて回る、ゆっくり。

レンスキーが下手にひざまずく。オルガはパドブレで近付き、ポーズ。
拍手。

人々はいなくなったタチヤーナとオネーギンを探す。

一方庭をすたすた歩いているオネーギン。
ぱっと振り向くと、手を出し、
「その本、見せてごらん。」
後ろを向いて、本を見ると上を向いて「ぷっ!」と噴出す。
そして笑いを押さえて本を返すオネーギン。

二人はパドドゥを踊る。

しかし退屈なオネーギンはすぐに自分の世界に入ってしまう。
オネーギンのソロになる。

いきなり足を後ろに伸ばして、1回転、そのまま2回転、ルティレで3回転ピルエット。4番で斜め後ろ向きに下りる。上手に向かってアラベスク、トゥール・ザンレール。そして手で目を覆って、悲嘆を表す。苦悩している。
そしてシェネ5回転、クペジュテアントゥールナン、シェネ4回転、
このセットを2回やる。

そして思い出したようにタチヤーナと踊る。

そしてまた自分の世界に入る。
手で目を覆いながら苦しげにゆっくり行進する。苦悩。いったい何をこんなに悩んでいるのだ、高等遊民。ここよかった~
今度がグランジュテでなく、トゥール・アン・レールをはさんだ、シェネ5回転、と4回転。
これは初日は死ぬほど速くてびっくりしたが、きょうはモデラート。
落ち着いている。

そしてタチヤーナが手を差し出すのにも気づかず、すたすたと下手に退場するオネーギン。
タチヤーナは泣きそうな顔で上手に退場。

農民?男の子達と女の子達の群舞。

オルガとレンスキーもいっしょに踊っている。

幕が下りる。場面転換。
幕の前をうつうつと歩いているオネーギン。
幕の後ろではオルガとレンスキー。レンスキーは熱いキスをする。
だめよと家に帰るオルガ。レンスキーははじめての大人のキスだったのか、万感こもったうれしそうな表情。

第2場 タチヤーナの寝室

ベッドから出てきて、鏡の前に立つタチヤーナ。
鏡に映る自分。(代役)

タチヤーナを寝かしつけるフィリピエーヴナ。
このへんがちょっと「お子ちゃま」扱いの演出。
もう大きいんだから寝付いたかどうか、いちいち振り返って確かめんでもよろしい。クララじゃないんだからあ。

起き出したタチヤーナ。
手紙を書く。
夢の中にオネーギン様が現れる。

鏡の前に立つタチヤーナ。鏡に映る自分。するとその自分の背後からオネーギンが現れた。そしてオネーギンはタチヤーナの首筋にチュッ!とキスする。
タチヤーナはびっくりしてあとじさる。
鏡から出てくるオネーギン。表情はロボットのよう。表情がない。彼はタチヤーナに近付くとまるで薔薇の精のように、耳もとに手をよせて囁く。
「僕と踊ろう…」
上手と下手で同じことをする。
超絶技巧のパドドゥが始まる。
リフトが、初日よりうまく流れている。
ルグリは別人のよう。ジュテ・アントルラセ、大きいのを2回。音がしない!
リフトはよどみなく、すばらしい。
最後のリフトはお尻の下に手を入れてまっすぐに上に持ち上げる超々難度リフト。持ち上げる前にスカートを払いのけるルグリ。これは初日もやっていた。すてきな王子様は鏡の中にまた夢のように帰っていった…
鏡の向こうで手をこまねくようにするのはちょっと蛇足っぽい。

タチヤーナは手紙の続きを書く。乳母に託す。乳母はいやいやながら届けに行く。タチヤーナの希望と幸せに溢れた表情で第1幕了。


第2幕
第1場 ラーリナ家のパーティ

若者達、老人達。
若者のカップル、
1組目はうまくいって、2組目はけんかしていて、女が小指を差し出し、それを握ってうなだれてついていく男。
3組目は両手に花でわけわかんなくなって逃げ出す男。残された女2人は仲良し(笑)。
4組目は…タチヤーナ。
タチヤーナは踊らないで誰かを待っている。
手紙の返事を待っているのだ。
タチヤーナの親友(黄色い服)が心配する。
「心配しないで。」
オネーギンがやってくる。
あいさつしようとした老人達を完全無視!
タチヤーナと踊ると、急に飽きたように、タチヤーナを突き飛ばす。
いらいらしながら手袋を外すと、下手のテーブルでカードをやりだす。
えんえんと踊り続ける人々。
オネーギンは人がいなくなるのをいらいらと待っている。
やっと人々がいなくなったらタチヤーナに手紙を返そうとする。
そこに人々が帰ってくる。慌てて踊る振りをする2人。
タチヤーナはしゃくりあげて泣き出す。このへんが「少女」。
オネーギンは泣いている女ほど嫌いなものはない。
頭にきて、手紙を破いて手に押し込む。
驚愕して涙も引っ込むタチヤーナ。
また人々がやってくる。友人は茫然としているタチヤーナを連れ去る。

グレーミン侯爵が到着する。
オネーギンも紹介される。タチヤーナが母に連れてこられ、紹介される。
タチヤーナはグレーミンと踊りだす。
おもしろくないオネーギンはオルガをしつこくカードに誘う。
ちょっとやるとあっという間にオルガをさらって踊りに行ってしまう。
茫然とするレンスキー。
「なんで?」
ここのルグリのダンスすばらしい。軽やかなステップ。風のように舞っている。
こういう細かいステップ、速いダンスはルグリは誰も寄せ付けない。すばらしいダンサー。

タチヤーナがいさめてもオルガは聞く耳持たない。
「悪い子ね!」とレンスキーに指を振ってまた踊りに行ってしまう。
レンスキーはもう手袋を握り締めている。

踊りが終わると、レンスキーは一番奥に後ろを向いて立っている。
オルガはとりなしに行く。
「何よ、すねちゃって~」

一方、タチヤーナは、オネーギンに自分の気持ちを訴えるようにせつせつと踊る。すばらしい、アイヒヴァルト。
なんか体型がオーレリーに似ている。足はオーレリーのほうが太いけど。

人々は注目し、噂する。
「あの2人は許婚じゃなかったの?」
「なんかもめてるみたい」
「オネーギンははなもちならん」
「可哀相よ、タチヤーナ」
オネーギンはぶちきれる。
タチヤーナは血相を変えた彼にショックを受けて走り去る。

オネーギンは手袋を拾い上げ帰ろうとするが、またオルガにちょっかいを出してしまう。今度こそ取り返しがつかないことになってしまうのに。
オネーギンは見せ付けるように何度もレンスキーの方を見る。
最後にオルガは
「今度は踊って!」
レンスキーは
「お前なんかエフゲーニと踊ってろ!」と突き飛ばす。
オネーギンはオルガを抱きとめるかっこうになる。
頭に血が昇ったレンスキーはオルガをオネーギンから引き剥がすと、オネーギンにばしばし手袋でびんたする。
後ろに倒れそうになるオネーギン。
しかし直も叩かれる。
オネーギンはレンスキーに思いとどまらせようとするが、できない。
オネーギンは決闘を承知して去る。
2人の女はレンスキーをはさむようにして悲しみのダンスを踊る。
ロミジュリのキャピュレット夫人みたい。

幕前 黒いコートのオネーギン。後悔している。
「馬鹿なことをしてしまった。」
幕の後ろを同じようにコートを着て歩いていくレンスキー。

第2場 決闘

レンスキー、コートを脱ぎ捨てる。
ソロ。絶望のソロ。死を覚悟したダンス。

姉妹が彼に取りすがる。
第1場の最後とまったく同じような振りで、悲嘆のダンスを踊る3人。

オネーギンが現れる。彼も頭に血が昇っている。
矢のように速いピルエット2回転を3回連続。自分の怒りを表す。ぶつける。あまりにも鋭いピルエットに、レンスキー役が唖然としてるように見えたのは私だけ? ピルエットでルグリにかなうわけないじゃん。

決闘。

悲嘆に暮れるオネーギン。
彼は大切なものを失った。現実世界との繋留綱を失った。
もう彼はますます虚無の世界(ニヒリズム)しか残されていないのか。


第2幕了。

Part2 へ続く





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最終更新日  2005年11月11日 22時30分09秒


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