2006年01月29日
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カテゴリ: BALLET
John Neumeier : Sylvia


Opéra National de Paris, 2005

Aurélie Dupont (Sylvia)
Manuel Legris (Aminta)
Nicolas Le Riche (Amor/Orion)
Marie-Agnès Gillot (Diane)
José Martinez (Endymion)


Corps de Ballet et Orchestre de l’Opéra National de Paris

Conductor: PAUL CONNELLY
Choreography:John Neumeier


パリ・オペラ座バレエ『シルヴィア』
97年 ノイマイヤーがパリ・オペラ座のために、ギリシャ神話の登場人物をモチーフに2部構成で新制作した。

[出演]
オーレリ・デュポン(シルヴィア)
マニュエリ・ルグリ(アミンタ)
ニコラ・ル・リッシュ(愛の神アムール/羊飼いティルシス/オリオン)

ジョゼ・マルティネズ(エンディミオン)


[振付・演出・照明]ジョン・ノイマイヤー
[美術・衣裳]ヤニス・コッコス
[音楽]レオ・ドリーブ
[指揮]ポール・コネリー
[演奏]パリ・オペラ座管弦楽団
[収録]2005年3月パリ・オペラ座バスティーユ
  約1時間45分

2006年01月29日(日) 12:00 クラシカ・ジャパンで日本初放送

すばらしい~

 すごくいいいいいい!です。
 次から次にキラ星のごとく(まさに文字通りに)登場するエトワールたち!

 オーレリー美しい。

 この作品は神話の「シルヴィア」を題材(モチーフ)にしているが、まったく違うものに読み替えている。


 とにかく女性がかっこよく、男が美しい。これが今の時代を象徴している。
 アミンタを演じるルグリ、すばらしい!の一言。

 ノイマイヤーは3つの物語に読み替えたということだがその3つとは何なのか。



 トリヴィア:
 エンディミオンを演じるジョゼ・マルティネスの左手だけが白い。もしかしてゴルフ始めた~?

中身

弓を持つ勇ましい女性たち。
女神のディアナ

舞台で岩?を枕に眠りこけるエンディミオン(ジョゼ・マルティネス)。エンディミオンは終始夢の中にいる。いつもまどろんでいる。※下記、註釈4.参照

コールドバレエ

バッターンと背後の壁のドアが後ろに倒れる。懸垂のようにぶら下がって上から現れた、エロス(=アムール)(ニコラ・ル・リッシュ)。
彼は厳かで峻厳。愛の神。

彼は目隠しをしている。ファニーなエンジェルの羽の生えた真っ赤なリュックを背負っていて、こどものおもちゃのような弓矢を携えている。目隠しをしながら彼が矢を射るのを、背後の扉から覗くパパラッチ?ジャーナリストたちがパチパチ写真を撮る。

バカなことは終わりだとばかりにリュックを下ろして、目隠しをとるエロス。

彼の衣装に注目して欲しい。
第2幕?において、オリオンのお屋敷の豪奢なパーティシーンでシンボルのように置かれている裸体の彫刻。この足が無残に切れているのだが、その足の長さといっしょに衣装のスパッツの長さがちぐはぐになっている。だからあの裸体の彫刻はエロスなのだ、この男もエロスなのだとわかる。

エロスの役を終えた彼はさっさと着替えにかかる。今度は羊飼いティルシスに変身する。片ショルダーの真っ赤なつなぎに後ろ向きにかぶったキャップ。彼はいたずらな神が人間に変身した姿。人間になってすべてを見ようというのだ。神話においてはティルシスはフィリスの恋人。フィリスはアミンタの友達?

ティルシスが遊んでいると、
「人間よ、人間の匂いがするわっ!」とばかりのアマゾネス=ディアナの部下の女性ハンター達がなだれこんでいる。
「おっと、いけねえ。退散だ。」
彼女達は次々に現れ、グラン・プリエでポーズ。トウで床をぐりぐりしてグラン・バットマン。かっこいい~
「いないわっ」
いなくなる女たち。
エンディミオンは夢遊病者のように歩き出す。
アマゾネスたちをやり過ごしたティルシスが戻ってくる。なぜかエンディミオンは彼におんぶされる。
ティルシスはさきほどエンディミオンがもたれかかっていた岩にどかっ!と腰掛ける。次々に男達が現れる。ものすごい真横開脚のグランジュテで入ってくる右端のコールド、だれ?
女性たちも現れる。
この男女は羊だ。羊飼いに飼われている羊。目が黒く塗ってある。羊なのだ。

女達は消え、男達がまたひとしきりジャンプしたりしながらいなくなる。
いよいよアミンタ(マニュエル・ルグリ)が登場する。

白いつなぎのオーバーオール。上に白いセーターを着ている。アミンタは若々しく踊る。動きが全て美しすぎる。
評する言葉もないぐらいすばらしい。
おっとっと、と両腕を振って立ち止まるモチーフ、
両腕を赤ん坊をあやすように揺らす。
これはノイマイヤーが「スワンレイク」の時に言ってたが、いわゆる「サイン・ラングリッジ」で「パントマイム」のようなもの。ゆりかごの赤ちゃんは母性を表す。ノイマイヤーがスワンレイクで昔のバレエを表すために意識して使っていたもの。
アミンタが愛情を欲しいと願っていることを意味するのだろうか?
セーターを脱ぐアミンタ。

羊たちが跳ね回っている。
「はっ!」
気配を感じ隠れるアミンタ。
女狩人達がやってきた。ファンファーレとともに、シルヴィア(オーレリー・デュポン)が弓を携えて現れる。

 アミンタはシルヴィアに目を奪われる。そのさまを楽しそうに見ているティルシス。

 月の女神ディアナが登場する。肩に月のマークが入った白いベストを着ている。

 シルヴィアのソロ。とても女性のソロとは思えない、マッチョな振付。シュワッチ変身ポーズ、ガッツポーズ。木陰からシルヴィアを見つめているアミンタ。

 ニンフ(ハンターたち)はディアナに忠誠を誓う。シルヴィアは第一の従者。ディアナに愛情すら感じている。ディアナの手を自らの肩に誇らしげに回し、離れていくシルヴィア。

 一人になったシルヴィアは、何かの気配を感じつつも、さきほどのシュワッチ変身ポーズをしたり、ガッツポーズをしたり、訓練に怠りない。シルヴィアが一人になるのを待っていたアミンタ。

 あとずさっていたシルヴィアが何かにぶつかる。それは男。まっ、まじ? アミンタは熱烈に求愛する。

 アミンタとシルヴィアの最初のパ・ド・ドゥ。
 絶品です!
 ファニーで、でもすてきに叙情的で、音楽にぴったり合っている。やはりノイマイヤーは天才だ! すごくオリジナル。こんなコミカルな振付の才能もあったんだ。
 シルヴィアは最初嫌がったりもするが、人間の男への好奇心に逆らえない。それに二人の踊りはまったく双子のように同じ踊りをする。途中ではシルヴィアが、
「あたしの踊るように踊ってみそ!」とアミンタにマッチョな踊りを踊らせる部分もある。ファニーでせつない。
 まるで現代の強い女と弱い男の人間関係のようで、すごく身近に感じられる。オーレリーの強い性格とマニュエルの優しい性格がすごくにじみ出ていて、すばらしく真に迫っている。

 女ハンターたちは水浴びをしていた。バスタオル姿で現れる。そういう姿を人間に見せるのはあってはならないこと。しかも純潔を守るべきニンフが男と踊っているとは。彼女たちは怒り狂う。

 そうとも知らず、踊っているアミンタとシルヴィア。最後のリフトが終わり、シルヴィアを見つめるアミンタ。シルヴィアは振り返り、まるで、
「私にキスしないで」とでも言いたげに、アミンタの口を自分の手で覆う。なんとも印象的。

 アミンタが振り返るとそこにアマゾネスの軍団が。ぞわーっ。彼女達は全員弓に矢をつがえ、アミンタを狙う。ディアナが登場する。水浴びをしていたので、ゆうゆうと風呂上りのバスタオルを腰に巻きながら登場。
「あら、人間の男だわ。」
シルヴィアはディアナに許しを請う。
ディアナは拒否する。軽く頬を押しやる。二人の関係性が垣間見える。
背中を斜めにするディアナ。
シルヴィアは斜めにおんぶするように寄り添う。
でも拒否。
2回目は同じポーズをシンメトリカルにとる。
めずらしい女と女のパドドゥ。
「あんたを侮辱した男に仕返しをしなさい。さもないとこの男を射殺すわ。」
シルヴィアはしょうがなく、決意して、アミンタの横っ面を張り飛ばす。
パッチーン。


 to be continued



参考
 1. Wikipedia

 2. Ballet co.

 3. トルクァート・タッソ(タッソー)
 Torquato Tasso, 1544年-1595年)イタリアの叙事詩人。
 1573年に牧歌劇『アミンタ Aminta』を書いた。

 4.引用 「エンディミオン」の由来
ギリシア神話に登場するエンディミオンは若く美しい羊飼いの青年です。内気な月の女神セレーネはある晩羊とねむるエンディミオンを見かけ、恋をしてしまいました。女神はエンディミオンに永遠の命をと大神に願い出るのですが、人間の子ですので永遠の眠りを与えられました。

 5. Dance Cube

 6.神話
 この話は神話の解釈なしには成立しない。
 ディアナ≫
 ディアナは月の女神アルテミスのこと。処女神で、ニンフ達にも純潔を強いる。
 弓の名手。オリオンと恋仲で、危惧した兄のアポロンの姦計により、自らの矢でオリオンを射殺してしまう。

 アムール≫
 (フランス名)、ギリシャ名エロス。エロスは愛の神、弓矢を射て、誰にでも恋心を芽生えさせることができる。

 オリオン≫
 ポセイドンの息子、巨人の狩人、美男子。乱暴者で嫌われ者。

Part2 






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最終更新日  2006年02月14日 23時47分47秒


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