2006年02月12日
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カテゴリ: BALLET
ノイマイヤーの『シルヴィア』 Part2

Part1 の続き

※内容を知りたくない方はご注意ください。


「いったぁ~!」
という表情と動作をしたのは、アミンタの背後にいたティルシス。
叩いたシルヴィアの方も、前方を凝視したまま痛そうな表情。
ディアナの表情。
シルヴィアはまるで母に寄り添う幼い子の様にディアナにすがりつく。

二人は友情の確認をする。
このへんが、まるで軍隊の男の所作なんだよね。
シルヴィアはうれしそうにハンターの踊りを踊ると駈け去っていく。
シルヴィアは出会ったばかりの男より会社の上司を選んだか。
なんか子供っぽいシルヴィア。
ディアナは歩み去ろうとして、ふとアミンタの脱ぎ捨てたセーターに目を留める。

ディアナの「セーターのヴァリアシオン」と勝手に命名。
人間の男を愛したシルヴィアは許せない。しかし実は彼女にも人間の男を愛した過去があった。それがエンディミオン。ダイアナはアミンタが脱ぎ捨てた白いセーターに人間の男の匂いを嗅ぐ。
人間の男の匂いってタバコの匂いかしら?ヘアトニックの匂いかしら?
回想するダイアナ。
「ごめんなさい…」

痛い記憶とともに踊る。
また出た、ゆりかごのポーズ。愛したい、愛したいのに…。
セーターをそっと置く。

エンディミオン(ジョゼ・マルティネス)が現れる。
後ろ向きに立ち、ゆっくりあとずさって来る。


「起きて、愛しいエンディミオン…」
彼の目はさめるはずはないが、二人はパドドゥを踊る。
「眠りのパドドゥ」?
これもすごく、すばらしい。
このパドドゥは先ほどとうってかわってもの悲しいメロディの中でゆっくりアダージョで踊られる。しかし踊りの内容はかなりアクロバチック。腹筋がないと出来ません。後転。ものすごいリフト。
マリ=アニエスとジョゼ、すばらしいです~~

この二人の愛の形を見つめるティルシス(アムール=エロス)。

眠るエンディミオンを横たえて、口づけするディアナ。キスの感触を確かめるように口元に手をやるディアナ。
ディアナは自分のバスタオルを拾って駈け去っていく。

ディアナがいなくなったのを見計らって、ティルシスが出てくる。羊飼いの仲間達を呼び集める。こいつらがまたティルシス同様、能天気!
黄色いつなぎのオーバーオール。黄色いキャップを後ろ向きにかぶる。
彼らのうち半分はティルシスに
「神様が…」
と話をされると怖がって逃げてしまう。
残った4人はふざけあいながらティルシスと踊る。すごくここは楽しい。男性ダンサーがばんばんジャンプして床がばんばん音を立ててうるさい(笑)。
ティルシスはエンディミオンを運ばせようとしている。
エンディミオンは眠りながら運ばれる。ティルシスもふざけて運ばれたり。もう子供の遊びみたい。結局、エンディミオンはまた舞台下手で寝てしまう。

そこにアミンタが現れる。アミンタはテンション高い。
羊飼い達は
「神の怒りをかったアミンタ、くわばら、くわばら!」と、逃げていく。
アミンタのソロ。
ゆりかごのポーズ。
アミンタはシルヴィアに振られてやけになっている。
ティルシスは彼をホールドする。
男2人のパドドゥ。

いつのまにか一人で現れたシルヴィア。
気後れして行こうとしないアミンタをティルシスが
「まったく世話が焼けるなあ。ほら、いけよ!」と後押しする。
はじかれたようにシルヴィアに駆け寄るアミンタ。

アミンタとシルヴィアの2回目のパ・ド・ドゥ。
ティルシスも踊っている。

しかし、すぐにアミンタとシルヴィアは離れる。アミンタは愛を失ったと思っている。二人の別れ。

そこへ登場するオリオン。
傲慢な色男。シルヴィアを誘惑しにやってきた。
黒い燕尾服の上着。
ティルシスの赤いキャップをとって不敵な笑み。

私にはどうしてもわからない。
なぜ原作ではシルヴィアとアミンタを結びつけるエロスと、シルヴィアをかどわかすオリオンを同じダンサー(ニコラ・ル・リッシュ)が演じるのか?
でもノイマイヤーは意識してそうしているのだ。エロスの時は白だった足の丈の長さが違うスパッツ。今度は黒だが、確かに長さがちぐはぐになっている。
エロスの時はまじめでおごそかだった彼が、ティルシスではコミカルな少年、オリオンでは色気づいたゴリラである。
そしてもっともニコラに合っているのは最後のゴリラ! なんともエッチでしかも憎めない。
片手をぶらんぶらんと股間の前で垂らす。これって、ゴリラですよね~ まるでニコラに振付けたとしか思えないほど彼のキャラクターにあった振付。

オリオンのアプローチはアミンタとは正反対。自信に満ちていて、あからさまに性的魅力を発散させている。

股間の前でぶらぶらさせている手を思わず押さえるシルヴィア。オリオンはその腕をとる。
シルヴィアの弓を奪う。
シルヴィアは弓を取り返し、ハンターの踊りを踊る。これもなんべんも出てくる。最後に左45度前を向く。

オリオンの振付の特徴は「指差し」。
ティルシスも指差していた。
バレエでは指差すなんてめったにしない。先端恐怖症でなくても指差されるとどきっとするし不快だ。オリオンはそういう存在。その指先でシルヴィアをあやつる。

誘惑に抗しきれないシルヴィア。

羊たちが現れる。

オリオンはシルヴィアの片方の足の足首を掴む。シルヴィアはもう一方の足をア・テールで後ろに大きく身体を反らす。ニコラは掴んでいた足をグイと下に押しやる。
オスの羊がメスの羊を抱えるように、シルヴィアはオリオンに抱えられ、天に高く差し上げられる。

魅了されてしまったシルヴィア。オリオンはさっさと出口の方へ去り、シルヴィアが追いかけてくるのを待っている。逆光になっていて美しい。

シルヴィアは別の世界(オリオンの宮殿)へと誘われていく。
手をつなぎ、別の世界に入った瞬間、衣装がチェンジしている。
男は正装。女はイヴニングドレス。
なのにシルヴィアは弓を持っている。

大きな広間には巨大な裸体のトルソー。
これはアムール(=エロス)。
ここは愛欲の宮殿。
アムールはシルヴィアの真の愛を試そうというのか?

ソロで踊るシルヴィア。
緑の入り口から現れるアミンタ。幻影?
両腕を大きく回して立ち止まるポーズ。
シルヴィアには見えない?
照明はブルー。
アミンタとのパドドゥ。

オリオンも加わりパ・ド・トロワになる。

アミンタの幻影(?)はいなくなる。

オリオンとシルヴィアのパドドゥ。
シルヴィアの両腕をつかんで大きくリフトして振り回す。

同じく燕尾服やタキシードに身を包んだ男達が現れる。この現れ方がみんなセクシー。ステファン・ファヴォランがいる。

オリオンは去ろうとする。追いかけるシルヴィア。去る男は追いかけたくなるものなのね。

オリオンのソロ。ダイナミックなフェッテからピルエット。
シルヴィアのリフト。さすがニコラはダイナミック。
シルヴィアのスカートの裾を直して、その上に膝枕する。

男達はシルヴィアを見ている。

オリオンと男達。ティルシスの子供っぽい踊りとは異なり、成熟したオスの踊りだ。発するフェロモンがすごい~

ニコラのトゥール・ザン・レール。

男達はシルヴィアにごろにゃんする。

群舞。オドリック・べザール。
ニコラの真後ろで踊っている可愛い男の子は誰?

男達にもてもてのシルヴィア。

男達がいなくなり、あとずさっていって何かに当たる。
「あれ?ディアナさま? …にそっくりのお方だわ。」
「ちっ、違うわよ。」
ディアナが燕尾服の男装をしている。髪に月の女神アルテミスの月のブローチ。ばればれじゃん。
「踊りましょうか。」

男装したディアナと踊るシルヴィア。ニンフのポーズから。

いつのまにか月が煌々と照っている。
青い照明。踊る燕尾服の男達。

ディアナの自分への愛情を感じて、苦しくなり逃げ出すシルヴィア。
ディアナ。シルヴィアは思わずディアナの腹部に顔を埋めるあのポーズ。

ディアナは消え、群舞も消える。
いつものまにか燕尾服のアミンタとオリオンが二人でシルヴィアを競うように踊っている。シルヴィアはまったく見知らぬ男と抱擁している。なんなんなんだ?この男は。数多の男遊びの形容なのか?

シルヴィアは二人のところへ戻る。シルヴィアとアミンタとオリオンのパドトロワ。シルヴィアはダイビングのように飛び込む。オリオンはシルヴィアを抱える。そのさまは羊達のオスがメスを抱える振付と同じ。交尾の(?)ポーズも。
シルヴィアがアミンタの顔を愛しそうになぜ、オリオンが彼女を後ろ向きにリフトする。アミンタは周りを走る。今度はアミンタがリフト、その繰り返し。群舞の男達がぐるぐるぐるぐる3人の周りを回る。

シルヴィアをリフトしながらどんどん下に下げていく2人。下手から黒のイヴニングドレスに身を包んで髪を後ろにながくたらしたゴージャスなアルテミス(=ディアナ)が弓を持って出てくる。

シルヴィアを膝に抱えるアミンタとオリオン。ディアナは弓を引き絞り、エロスの像に向かって矢を放つ。アミンタとオリオンは退場する。
眠っているシルヴィア。

原作、もしくは古典バレエの「シルヴィア」では、
「アミンタの愛を拒否したシルヴィアは、怒ってエロスに矢を射るが、アミンタはエロスを庇って自分が傷ついてしまう。愛の神エロスは、シルヴィアを懲らしめるため、矢を放ち、シルヴィアは傷つく。シルヴィアはアミンタを愛するようになるが、アミンタは深く傷ついている。
その隙にシルヴィアを誘拐したオリオン。
エロスはアミンタの傷を癒し、シルヴィアがかどわかされたことを告げる。
オリオンの洞窟からエロスの助けを借りて逃げ出したシルヴィア。
アミンタはシルヴィアを助けに来てオリオンと戦う。
シルヴィアはディアナの神殿に逃げ込み、女神の怒りをかうが、エロスはディアナにかつてエンディミオンという人間を愛したことを思い出させて大団円になる。」

矢を射ることにより不思議なことが起きていくわけだが、今回のは、役回りが異なっていてそのへんがうまく解釈できない。

シルヴィアの愛は得られないと悟ったディアナが
「何よエロスなんて!」とやけになって弓の名手としてはエロスを懲らしめたかった…のか???
まだ考え中。

to be continued

Part3 に続く





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最終更新日  2006年02月14日 23時39分38秒


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