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龍の森さんComments
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夜中に一人で仕事をしているとき、休憩のために家の外に出てよく夜空を見上げる。
そうすると月の満ち欠けが意外に早く進行することに驚くことがある。
「あれ、ついこのあいだは満月だったのに、もうあんなに月が細くなっている」
今夜は中秋の名月。近所のスーパーには月見団子を売っていた。
ついこの間まで酷暑・猛暑で喘いでいたと思ったら、もう夜風が心地よくなっている。
夜中に外に出るもう一つの理由は、近くの自販機でサイダーを買って飲むことなのだが、こちらにも風物詩がある。
美容院の横にぽつんと立っている自販機が煌々と商品を照らす中、夏場は無数の蛾がその明かりに誘われて、見本窓のみならずボタンや釣り銭受けなどところ構わず群がっているのだ。
なるべく釣り銭のないようお金を用意していくのだが、先日はうっかり千円札を入れる羽目になった。
釣り銭を取るときに蛾まで一緒につかんでしまうあのなんともいえない感覚が頭をよぎったが釣り銭受けに奴らは一匹もおらず、無事釣り銭870円を手にすることができた。
よく見ると商品見本のところに数匹いるだけでボタンも無事だった。
「すっかり秋だなあ」と感慨とともにサイダーの栓をプシュッとひねって飲む。
夏には一気に飲めてしまったPETボトルが、いつの間にか半分も飲めなくなっているのも
秋の涼しさのせいかな。
本谷雅之