Accel

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February 16, 2010
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 白い光の中で、白さを更なる白にするような、そんな声だった。




   われ
   わがつとめは
   いきること
   しすること

   それらあらゆるせいめいの いとなみを
   そのいとなみの おわりがきたときは

   おわりの いくべきばしょへ

   うまれいずるべく ばしょへ

   いのちを
   はこぶ
   それが われのつとめ


 わたしは呟いた・・・
「・・・生命の神・・・?」


   いやいや
   てきとう
   これが われのちからよ

   しするものがあれば しのみちにみちびき
   いきるものがあれば そのばにみちびき


   ところが
   まあ
   このわたしも
   たしょう つかれてのう


「か、神も疲れるのでございますか・・・」


   もともと
   われも
   ”ひと”
   なのだから


 わたしはぎょっとした。
「な!なんですって!
 人間だったのですか!」


   おや
   おぬしも・・もうしたであろう
   かみのまつえい・・だと・・
   かみがひとである
   かくたるしょうこ

 確かに・・・そう言われてみれば・・・。
 わたしはなぜか半分納得してしまった。
 後から思えば・・・なんだか既にこの時点で”いいくるめられて”いたのかもしれなかった。


   まあそれで
   たしょう
   つかれたわたしは
   てきとうに
   やくめを かわるやからをみつけた
   それが”これ”

 どうやら、”これ”は、小さい光の事のようだった。


   ”これ”はしゅぎょうちゅうでなあ
   ちょっと、800ねんほど、
   まちがったのじゃ

「は、はあ」
 わたしは、なんとも変な返事をした。


   で、それが、おぬし

「は、はあ?」


   だから、おぬしじゃ

   ”これ”がまちがって、
   おぬしを しするほうへみちびいてしもうた

「は、はああああああああ?????
 ちょ、ちょっとお待ちください!
 死んだのですか!?
 わたしが??
 わたしは、まだ死する訳には」


   まあ、まあ、おちつきなさい

「落ち着いていられますか!
 我が大陸は!
 我が民は!?!?!?!」


 半狂乱のわたしの目の前に・・・
 ふんわりと・・・
 我が大陸を見下ろす図が浮かび上がった。


   ミョールたいりくは
   みどりさかえ
   みずがあふれ
   かぜがふく
   すばらしき だいちとなっておる
   これが、”いま”の”おぬし”のたいりくよ

「おお・・・なんと・・・」
 わたしは、取りすがるように、その図に近づいた。
 とは言っても、触れる事はできないが・・・
uu-2.jpg


「し、しかし・・・
 わたしは・・・
 神を求め、導かれてここに来たのだと思っておりました・・・
 大地は寂びれ、民は苦しんでおりました。
 わが神に、われらの昔の約束・・・
 神の御力を頂いて、わが地をうるおして頂きたいと思っておりました。
 それがなぜ・・・」

 思わずわたしがそう言うと、厳かなる光の言葉が言った。


   ルー・ヴァ・ウーよ・・・
   ひとのよは
   おもしろきように できておる
   ほろぶる ときもあれば
   さかえる ときもくる

「・・・」
 白い世界を白い光で満たす神の声を受け、わたしの瞳から・・・・
 涙が溢れた。

「神よ・・・
 それではわたしは一体、800年・・・
 どこをさまよっていたのです・・・」


 すると、ちいさい光が・・
 ちいさな声で言った。

   あなたは
   しする たましいではなかった
   しかし
   しするものとして つれてきてしまった

   そのために
   ふたたび もどすべく
   なんどもなんども ためしたのですが・・


 わたしは、ようやく自分の置かれた立場が判りかけて来た。
「・・・
 つまり、800年程、”戻れなかった”、と・・・」

 わたしは長い髪をさらりと靡かせた。
「神よ・・・
 わたしには両親と姉と・・そして民がいた。
 かれらに、かならずや戻ると、約束した。
 わたしの死が間違いであるなら、戻していただきたい!」


 光は・・・
 しばらく黙っていたが・・

   そなたの やくそく
   もはやかなって おるであろう
   だいちと
   たみと
   ふたたび うるおう
   それが
   かみに たのみたきこと
   なのではなかったか


 わたしは、応えられなかった・・・
 そうだ
 そうだとも
 わたしの望みはそれだけだ・・・

「・・・・
 では・・・
 わたしはどうすればよいのです・・・
 『ラ家』ももはやないのでございましょう。
 わたしの”存在”も800年ない・・・
 わたしの今のこの身分は・・・
 一体・・・」
 わたしは、啼くまいと思いながらも、両瞳から涙が溢れた。


   うむ
   おまえは
   なかなかおもしろい

   いちど
   このばに
   しする ものとして
   きた いじょう
   おぬしのように”にんげん”の
   いしきをもつことはむずかしい

   もはやおぬし
   この
   てきとうのかみの
   やくめをになってみるかね


「な、なんですって?」


 白い世界で・・・
 我が大陸が潤ったことを喜ぶべきなのか・・
 それとも我が身を憂いるべきか・・・


 なんだかよくわからない状態だった。
 これが、”てきとう”ということなのであろうか・・・

 わたしは頭がこんがらがってきた。




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Last updated  February 16, 2010 07:05:59 PM
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月夜見猫 @ 愛するケーナさまあはあと! おはようございます☆ >いつも本当にあり…
月夜見猫 @ オスン6757さん おはようございます。 >いつもありがと…
月夜見猫 @ もぷしーさん★ おはようございます。 >今まだうろうろと…
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