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2打席連発で勝利に貢献、「いつか打ってみたいと思っていた」 ソフトバンクが28日、敵地・ナゴヤドームでの中日戦を7-2で制した。中日に1点を先制されて迎えた7回表、柳田のレフトスタンドへの9号ソロで同点に追いつくと、この回に3得点で勝ち越し。さらに、続く8回にも柳田の2打席連続の10号ソロなどで4点を加える終盤の猛攻で中日を下し、このカードの勝ち越しを決めた。 試合後のヒーローインタビューで、柳田は自身初の1試合2ホーマーについて「いつか打ってみたいと思っていたんですけど、今日、このナゴヤドームで打てて嬉しいです」と振り返った。 7回の同点ホームランは、変化球を逆方向に運ぶ驚きの一発。「変化球は頭にあったんですけど、いい反応ができました」。改めて身体能力の高さを感じさせた。 そして、8回のホームランは速球を豪快に右翼スタンドに叩き込んだ。「いつも練習しているんですけど、その通りに打てたので気持ちよかったです。点が入るなー、と思って走ってました」とプレーの豪快さとは無縁の、ほのぼのとしたコメントで場内を沸かせた。 6回まで無得点に抑えられながら、7回以降で7点を奪取。ソフトバンクの底力を感じさせる試合展開となった。柳田も「高田がいいところで打ってくれましたし、武田も粘り強く投げていたので、チームメイトに感謝です」と仲間の活躍をねぎらった。 先発の武田は3回に1点を失ったものの、6回を投げて6安打1失点と試合を作った。好投した武田についても「どうにかしたいという気持ちが強かったので、同点になったホームランは本当に嬉しかったですね」と話した柳田は、この日も5打数2安打2本塁打で打率は3割6分4厘まで上昇。大器の活躍で、ソフトバンクが勢いに乗る。
2015.05.29
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26日からはいよいよ、セ・パ交流戦がスタート。2005年から始まり、今年で11年目を迎える交流戦は、昨季までの24試合から、今季は18試合と、6試合少なくなる。そして、交流戦期間で勝利数が多いリーグに、今秋のドラフト会議でのウエーバー優先権が与えられたり、賞金をわけあったり、セ・リーグvsパ・リーグというリーグ間での対決が色濃くなった。 2005年、2010年と日本一に輝き、今年も“ゴールデンイヤー”として期待されていたロッテだが、ここまでは波に乗れていない。しかし、2005、2006年と連覇するなど、交流戦の相性はよく、これまで、ファンの心を熱くするような試合、プレーをみせている印象が強い。交流戦開幕に先立ち、そのロッテの交流戦名場面を振り返ってみよう。◎里崎、雨の神宮で2年連続の逆転満塁弾 昨季、ファンから惜しまれつつ引退した里崎智也。ポストシーズンで何度も見せた勝負強さは、交流戦でも際立っていた。2006年6月18日、雨が降る神宮球場で行われたヤクルト戦。3-5と2点リードされていた5回表2死満塁で、打席には里崎。藤井秀悟の投じた高めのストレートを振り抜き、打球はそのままライナーとなってレフトスタンドに吸い込まれていった。この一発で逆転したロッテはそのままリードを守り、8-7で勝利した。 そして、2007年6月24日。前年同様に雨が降り続く神宮球場でのヤクルト戦。スコアは1-3で迎えた8回表、またも2死満塁の場面で、里崎に打席が回る。シコースキーがフルカウントから投じた低めのストレートをすくい上げると、打球は高々と上がりロッテファンの待つレフトスタンドへ。2年連続となる逆転満塁ホームランでチームを勝利へと導いた。里崎は翌2008年も、神宮球場で行われたヤクルト戦で逆転2ランを放つ活躍を見せている。ちなみに、神宮球場はこの日も雨が降っていた。◎1イニング21得点のプロ野球新記録 2005年の日本一で浸透した、ハマれば止まらないロッテの「マリンガン打線」。その究極的な破壊力を見せたのが2009年6月11日、千葉マリンスタジアム(現QVCマリンフィールド)で行われた広島戦の6回裏だ。まずは、福浦和也がヒットで出塁すると、1死後に井口資仁のセンター前ヒット、続く橋本将がライト前へのタイムリーヒットを放ち、まず1点。そこから、ヒットと四死球の連続で、次々と得点を重ねていく。 結果、この回の攻撃は打線が二回り(大松尚逸がNPB史上初となる1イニング3打席に立つ)する打者20人、12安打、4四死球で、1イニング15点のNPB記録を更新した。ほかにも10打数連続安打、14者連続得点など、記録ずくめの攻撃となった。試合は23-2でロッテが圧勝。さらにロッテは2010年5月22日のヤクルト戦でも20得点を奪っている。◎岡田、巨人戦でファインプレー3連発 現在、ロッテの選手会長を務める岡田幸文。外野守備の名手としてプロ野球ファンに広く知られているが、そのきっかけとなったのは2011年の交流戦だった。 6月15日、東京ドームで行われた巨人戦に1番・中堅手でスタメン出場した岡田に次々と打球が飛んでくる。2回裏、阿部慎之助の放った右中間フェンスを直撃するような打球を、俊足を飛ばして追いつき、ジャンピングキャッチ! フェンスに激突しながらも決してボールは離さなかった。5回裏には坂本勇人が放った左中間への打球をグラブの先で捕球するランニングキャッチ!! さらに8回裏、さすがにこれは抜けるだろう、という小笠原道大の右中間への打球に対して、岡田はセンターの定位置から猛然とダッシュし、見事なダイビングキャッチを魅せた。この立て続けのファインプレーにロッテファンのみならず、ライトスタンドの巨人ファンも拍手で称えた。 前年の日本シリーズ第7戦で、日本一を決める決勝打を放って知名度が上がった岡田。今度は、自身の得意分野である華麗な守備を、注目が集まる巨人戦で披露したことによって、「岡田の外野守備はスゴい!」というイメージを多くの野球ファンに焼き付けた。この年の岡田は、シーズン全試合出場を果たし、パ・リーグ記録にあと2に迫る351刺殺を記録し、ゴールデングラブ賞を受賞した。 試合数が減ったことで、違うリーグの選手との対戦に、より意気込む選手が増えるかもしれない。普段、交わることのない対戦による化学反応で、どんなサプライズ、ビッグプレーが起こるか楽しみだ。希少価値が高くなった交流戦を、ロッテファンはもちろん、それぞれの球団のファンも見逃してはならない。
2015.05.26
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「守り勝つ野球」で快進撃も一気に失速、短期間で首位から最下位へ ようやく、ようやく、ヤクルトが泥沼から抜け出した。17日の巨人戦(東京D)に2―0で勝利し、連敗を9で止めたツバメ軍団。真中満監督は「1つ勝つのは大変だな、と改めて思いましたね」と疲労感をにじませながら、しみじみと話した。4月29日まで首位を走っていたチームが、なぜ2週間あまりの間に最下位にまで転落してしまったのか――。 昨年はリーグトップのチーム打率2割7分9厘をマークするなど、強打を武器にしたチームだった。だが今季はバレンティンが昨秋に左アキレス腱の手術を受けた影響で開幕から出遅れ、ミレッジも4月1日の阪神戦(神宮)前に右肩痛で離脱。昨季最多安打を獲得した山田哲人も調子が上がらず、貧打にあえいでいた。 そんな中でも勝ち星を重ねてこれたのは、課題だった投手陣を整備したからだ。 ロッテからFAで加入した成瀬が先発ローテの一角を担い、米レッズから加わった203センチ右腕・オンドルセクがセットアッパーとして君臨。最後に首位にいた4月29日までのチーム防御率はリーグトップの1・81。開幕戦から14試合連続で3失点以下に抑えるというプロ野球記録も樹立するなど、投手陣を中心に「守り勝つ野球」(真中監督)を実践してきた。 だが開幕から1か月が経った4月下旬になると、その投手陣に疲れの色が見えてくる。序盤から緊迫した試合展開が多く、中継ぎは常にフル回転を求められたため、次第に疲弊。先発陣も徐々に持ち堪えられなくなり、9連敗中のチーム防御率は6点台。その間、打線も平均2・3点と貧打に喘いでいたが、野村克則バッテリーコーチはこの大型連敗を「バッテリーの責任」と言い切る。連敗で原点を再認識、森岡選手会長は「下を向く必要はない」「確かに打線も点は取れていないけど、今年は打線が爆発した試合は少ない。少ない点に抑えて勝つのが、今年のパターンだった。4月にはそれができていたわけだから、(5月15日からの)巨人戦に入る前に、構えやジェスチャーとかも見直して、もう1回意識してやっていこうと中村や西田には話をした。1球1球を積み重ねて、バッテリーが試合を作るんだぞ、と再認識してもらったんだ」 選手も自発的に動いた。同17日の巨人戦前には全体ミーティングの後に、選手だけでのミーティングを開催。音頭を取った森岡選手会長は「下を向く必要はない。原点に戻ろう。この連敗を受け止めて、あの連敗があったからと思えるようなシーズンにしよう」とナインに声を掛けた。 その結果、先発の石山泰稚ら5投手を中村悠平がしっかりリード。巨人の拙攻に助けられた部分も大きいが、2―0というヤクルトらしい戦い方で、3日の広島戦(神宮)以来の勝利を手にした。 若い選手の多いチームは高い代償を払った。それでも9連敗を喫したことで、1つ1つのプレー、1球1球がどれだけ大事なのか、再確認できたはずだ。三木肇作戦担当兼内野守備走塁コーチは「野球の難しさ、1つ勝つのがどれだけ大変なのか、選手だけでなく、僕ら自身もよく分かった。この連敗をどう生かしていくかだと思う」と前を見据えた。教訓を胸に、ヤクルトは真の強さを手に入れることができるか。
2015.05.20
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現在セ・リーグ単独首位を走るDeNA。中畑清体制4年目にして破竹の勢いで勝ち進むチームは、42試合を戦って26勝16敗。貯金「10」は、日本一に輝いた98年以来、17年ぶりの快挙だ。 そんなチームの快進撃を支えているのが、ルーキーながら守護神に任命された22歳右腕・山崎康晃。チームが長年苦しんでいた“ストッパー”という課題を大卒1年目で見事に埋め、ここまでリーグトップの16セーブを記録している。 山崎は、4月22日の阪神戦から5月8日の巨人戦まで登板9試合連続でセーブをマーク。これは、90年に中日の与田剛が記録した8試合連続を上回る、新人のプロ野球連続セーブ新記録だった。 翌日の試合で同点の10回から登板したため、連続記録はそこで途切れたものの、ここまでのセーブ成功率は16/16の100%とこちらも驚異的。本人もヒーローインタビューで公言していた“小さな大魔神”へ、着々と歩みを進めている。 特に評価が高いのが、奪三振能力。凡打であっても犠飛や進塁打、または味方の失策などが絡んで失点を許してしまうと、その1点が命取りになってしまうのがストッパーの宿命。そのため、最も安全にアウトが取れる“三振”を奪う能力に長けている投手というのは、抑えとして重宝される。 ここまでの山崎が奪った三振の数は、22回と1/3で28個。記録している奪三振率(※9イニング投げたと仮定した場合の平均奪三振数)は、11.28。これはリーグのストッパーでは断トツで、唯一の10点台超えとなっている。 またその中でも顕著なのが対左の強さ。奪った28個の三振のうち、実に左打者から奪ったものが22個に上る。 キャンプなどで視察した各球団の007たちは当初、左足を極端に三塁側へと踏み出して投げる独特の“インステップ投法”から、「右打者には厄介」との声が多数上がった。そのため、山崎には左打者をぶつけていくケースが多く、ここまでの対戦は右打者が23人なのに対して左は57人。およそ2.5倍も多く左打者と相対している。 しかし、フタを開けてみると対右の被打率が.217に対し、対左の被打率は.140。左打者のほうが圧倒的に苦戦していることがわかる。 その裏には、ある“魔球”の存在がある。本人が「ツーシーム」と自称する、左打者から逃げるようにして沈んでいくボールだ。 “自称”としたのは、そのボールについては見解が分かれることがしばしばあるため。握りを見ると、挟んで「フォーク」のようにも見えるし、解説者によっては「スプリット」ではないかと述べる人もいる。 本人は「ツーシーム」と公言したが、後にテレビ番組で一般的な「ツーシーム」よりは深めに挟み、ただし「スプリット」よりは浅く握っているということが明かされた。 このボールが左打者相手におもしろいように決まり、これほどまでの奪三振を可能にしているのだ。 恐るべきペースでセーブを重ねていくルーキーは、5月の半ば、チーム42試合の時点で16のセーブを記録。早くも昨年の三上朋也が打ち立てた新人のシーズンセーブ数の球団記録まであと「5」と迫った。 ちなみに、新人のプロ野球記録というのがまたも90年の与田剛で31個。これまで開幕から1カ月半で16個を積み上げてきた山崎にとって、あと「15」という数字は手の届かないものではない。 ただし、セーブをつけるためにはチームの勝利が必要であり、たとえ山崎がどれだけ好調を維持していても、チームが勝てなければその記録への挑戦権を得ることはできないのだ。 好調DeNAはこれからも勝ち進み、山崎に記録への挑戦権を与えることができるか――。 山崎の願いが叶い、新たな記録が誕生した時、横浜17年ぶりの悲願はきっと手の届くところにまで近づいていることだろう。◆ 新人のシーズンセーブ記録1位【31セーブ】 与田剛(中日・1990年)2位【28セーブ】 三瀬幸司(ダイエー・2004年)3位【25セーブ】 永川浩二(広島・2003年)4位【22セーブ】 牧田和久(西武・2011年)5位【21セーブ】 三上朋也(DeNA・2014年)
2015.05.19
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子どもが喜ぶ場外弾 ソフトバンクの2軍はウエスタンリーグで広島とともに首位につけている(5月14日現在)。チーム防御率1.59、チーム打率.253。1軍での出場機会を狙う選手たちが好成績を残し、アピールを続けている。リーグトップタイの5本塁打を放っている猪本もその一人。未完の大砲が、着々と自分の打撃に磨きをかけている。 猪本は08年育成ドラフト4巡目で鎮西高(熊本)から入団したスラッガー。13年11月に支配下登録された。背番号は68。昨季、7月29日に初めて1軍登録され、楽天戦に代打で出場し初打席初安打を記録した。1軍出場はこの1試合のみ。ウエスタンリーグでは17本を放って本塁打王に輝く。昨季まで捕手登録だったが、打撃を活かすためにも今季から本格的に内野手にコンバートした。 工藤公康監督の52歳の誕生日である5月5日、1軍戦では柳田悠岐のサヨナラホームラン、そしてお立ち台での「ハッピーバースデー監督~♪」の熱唱で盛り上がった。しかし、この日はいわゆる“親子”で勝利し、工藤監督の誕生日に花を添えたのだった。 雁の巣で行われた阪神との2軍戦は「若鷹応援スペシャルデー」として開催され、こどもの日ということもあって外野席まで多くの観客が駆けつけた。1対1の同点で迎えた5回、金子圭輔の逆転タイムリー、塚田正義のソロホームランで流れはソフトバンクに。そして飛び出したのが猪本のダメ押し場外弾。レフトがすぐに追うのをあきらめ、打球は消えて行った。本人も「今日のは大きかったですね~」と笑顔を見せる。結局この日は4打点の活躍を見せ、6対1でソフトバンクが勝利を収めた。 試合後の恒例となっている若鷹スピーチでは「ゴールデンウィークの晴天の中、ピクニックにも行かず、水族館にも行かず、雁の巣に応援に来ていただいてありがとうございます!」と最後まで観客を沸かせた。飛距離は柳田に負けない!「タカの健さん」猪本健太郎、ホームランで1軍へ猛アピール期待の若鷹の一人・猪本健太郎に注目したい。登場曲は「唐獅子牡丹」「フルスイング」が代名詞ともなった柳田に引けをとらない飛距離。その魅力は自負している。「ホームランは自分の持ち味です。だって、自分がライト前を3本打ったって誰も覚えてないでしょう? だからホームランを打ち続けていきたいです」 ファームではクリーンアップを任されている。チャンスで結果を出せないこともあり、数字には納得していない様子。「試合に出してもらっている限りは、しっかり結果を出していかないと」と反省も口にする。しかし、その思い切りのいいフルスイングは見失わないでほしいものだ。 最後に、猪本のキャラクターについて付け加えておきたい。失礼な話だが、24歳とは思えない落ち着きように、貫録ある立ち姿。まるで90年代のプロ野球選手のようだ……と言えば、それくらいの年代には伝わりやすいだろうか。故・高倉健さんのファンで、登場曲には「唐獅子牡丹」を選択している。そんな渋い一面を持ちながらも、真っ黒に日焼けした肌から真っ白な歯を見せて無邪気に微笑む顔は、24歳の若手選手にも見える。「日々、野球とぶつかり合っていきます!」 意気込みも「熱男」な猪本の1軍でのホームランが楽しみでならない。
2015.05.18
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さすが連敗ストッパー 連敗ストッパーはやっぱり大谷翔平だった。絶好調・西武を札幌に迎えての3連戦、先に2つ落とし(今季初の4連敗)、ファイターズには後がない。このまま西武や猛追ソフトバンクに置いていかれるのか。 連敗を止めるのはエースの役割だろう。西武7回戦、ゲームの主題はそこに尽きた。大谷はいつまでも特別扱いされる「二刀流スター」なのか。それとも文字通り大黒柱としてチームを支える覚悟があるのか。 右ふくらはぎがつって途中降板した4月20日以来のマウンド(実に中17日)は、野球ファンの注目を集めた。打線爆発の西武相手にどんな姿を見せるのか。栗山英樹監督はどこまでやらせるだろう。やっぱり「金のなる木」は大事に早いイニングで上がらせるのか。 そうしたら9回まで行かせた。すごかったよ。8回1/3投げて1失点、11奪三振。自在にギアを変え、西武打線をねじ伏せた。僕が見た大谷のピッチングではいちばんどっしりして見えた。2週間実戦を離れて、ウエイトトレーニングでみっちり鍛え直したらしい。試合中はスポーツドリンクをこまめに摂り、水分補給につとめた。 以前は「大谷はこんなに球速出して、肩が飛んじゃうんじゃないかなぁ」と心配したものだけど、今は下半身ががっしりして、安心して見ていられる。中村剛也、メヒヤ、森友哉と対戦した2回表はストレートがすべて150キロ超え、3者連続三振という圧倒ぶり。 なかでも見応えがあったのは森との三度の対決だ。一学年違い。当たるのがセンバツ以来という両雄の対決は、プロ野球の新時代を感じさせる「名勝負2.0」の幕開けだ。大谷が意識してる感じがビリビリ伝わる。森も最後、意地のヒットを放って面目を保つ。これから何度、この対決が見られるだろう。野球のある国に生まれてよかった。大谷筆頭に90年代半ば生まれの選手が頭角をあらわす と、迫力満点の投球を見せた大谷だが、ヒーローインタビューでは「全体的にいちばん悔しいマウンドだったかなと思いました」とぜんぜん納得いってないコメントなんだなぁ。完封したかったと顔に書いてある。 実は9回の降板劇には、もうひとり「名勝負もりあげ2.0」なヤングプレーヤーが関与している。高卒ルーキーの淺間大基だ。一死、四球のランナーを1塁に置いた場面で、浅村栄斗のライトライナーに飛び込んでしまい後逸(「死にたかった」という迷コメントを残している)、これで大谷は降板、クローザー・増井浩俊にマウンドを譲る。で、ウイニイングボールは再び、ライト淺間のところへ飛んだ。これもライナー性の大飛球だ。淺間は命がけでこれをキャッチ、どうにか大谷の勝ちを消さずにすんだ。 僕がいいなぁと思ったのはお立ち台で大谷が、殊勲打のハーミッダ、好救援の増井と並んで(ウイニング好捕の)淺間の名を挙げ、感謝を伝えたところだ。淺間の無謀なダイビングは状況判断のミスだったが、大谷はこれをかばい、あくまで先頭打者・秋山翔吾に自分が出した四球を悔やんだ。あぁ、淺間は後輩なんだなぁと思う。学年でいえば大谷の2つ下、森の1つ下。もうアレですよ、90年代半ば生まれの野球ドラマが本格的に始まっているんだ。それを実感させてくれた試合。 僕は淺間や高濱祐仁(ともに横浜高→日本ハム)、宗佑磨(横浜隼人→オリックス)が見たくて、去年は高校野球の神奈川県予選に日参していた。まさか淺間、高濱が揃ってファイターズに来るとはなぁ。だから今年は鎌ヶ谷が楽しみだったんだけど、淺間はもう立派な1軍の戦力になっている。あれだけセンスを持ったバッターはなかなかいないよ。いつかファイターズの3番を打つだろう。
2015.05.16
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現在パ・リーグ首位を走る西武。14日の日本ハム戦では大谷翔平を前に敗れ、連勝は2で止まったものの、積み上げた貯金は「8」。戦前の予想を覆す健闘を見せている。 なにしろ今年も補強面で大きな上積みがなかったチーム。獲得間近かと報道されていた小谷野栄一を逃し、日本球界復帰の中島裕之もオリックスへ。強いて言えば本塁王のエルネスト・メヒアと正捕手・炭谷銀仁朗の“残留”くらいのものであった。 さらに開幕を前にエースの岸孝之が離脱。左腕の菊池雄星も左肘の炎症による調整遅れで開幕は二軍スタート。メヒアも体重オーバーが不安視されるなど、むしろマイナス要素の方が多いというほど。 そんな中で幕を開けた2015年シーズン、西武はいかにして現在のポジションを築き上げたのだろうか。その要因として考えられるものをいくつかピックアップした。 ● 野手の主力が揃っている! 投手では離脱者が目立ったものの、野手は戦力が揃ったことでオーダーがほぼほぼ固定できているのが特徴的。5月3日の試合では主砲・中村剛也に休養が与えられたため、全試合ではなくなったものの、その1試合を除く36試合は全く同じ1番~6番で戦っている。 昨年の同じ時期のスタメンを見てみると、今とのギャップがよく分かる。・5月15日vs日本ハム(中)森本(三)大崎(左)栗山(一)中村(指)メヒア(二)浅村(右)木村(捕)炭谷(遊)永江 ちなみに、ちょうど1年前のこの日がメヒアの来日初出場だった。本職外野の大崎雄太朗が三塁で出場しているあたりからもその苦しさは垣間見ることができる。この時は秋山翔吾が極度の不振に陥って離脱、新外国人のランサムも期待を裏切り、中村も故障明けということもあって1カ月遅れでの開幕などなど、まさしく緊急事態だった。 それが今年は開幕から中村は万全、秋山は絶好調でパのリーディングヒッター争いを独走、そしてこの時期はまだ“金の卵”だった森も大暴れと野手がしっかり揃っていること、そしてその中に良い意味で期待を裏切る選手がいることが現在の好調の大きな要因となっている。 ● 勝ちパターンの確立 チームにとって近年の大きな課題であったリリーフ陣。今年はそれが開幕からピタリとハマっている。8回は3年目の増田達至。ここまで18試合に登板し、リーグ2位の13ホールド。1イニングあたりに何人の走者を出したかを表すWHIPは0.87で、リーグのリリーバーではソフトバンクのサファテ(0.86)に次ぐ2番目の数字を残している。 そして9回は高橋朋己。昨シーズン飛躍を遂げ、侍ジャパン入りを果たした左腕は、開幕から4戦連続セーブのプロ野球記録を樹立するなど今年も健在。リーグで唯一2ケタに乗せる12セーブをマークし、防御率は1.13。守護神不在に苦しんでいたチームを救っている。 この2人以外にも、危なっかしい場面はありながらも13試合で防御率1.65を記録する新助っ人のエスメルリング・バスケスや、岡本篤志、貴重な中継ぎ左腕として活躍する武隈祥太など、ブルペン陣の安定は近年なかった大きな武器になっている。● “アレルギー”の克服 14年は上位3チームを相手にことごとく苦しめられた西武。それが今シーズンは改善の兆しを見せている。 ソフトバンク、オリックス、日本ハムの対戦成績の合計が、14年は27勝41敗4分と実に14もの負け越しを作っていたのに対し、今年はここまでで12勝8敗1分。4つの勝ち越しを作っている。 特に近年は福岡で分が悪く、対ソフトバンクのロードゲームを振り返ってみると、昨年が4勝7敗1分、13年に至っては2勝9敗1分と大きく負け越し、まさに鬼門となっていた。ところが、今シーズン最初の福岡シリーズとなった4月24日~26日の3連戦で2勝1分。福岡での3連戦を負け無しで乗り切ったのは、3試合連続で引き分けた08年8月以来、実に7年ぶりのことだった。 残すは、26日から始まる交流戦。10年には2位になったこともあったが、通算では128勝132敗4分と4つの負け越し。パでは5番目の成績と他チームの躍進が目立つ中ではやや苦手としている。ここも乗り越えた時、7年ぶりの歓喜は大きく近づいていることだろう。 パ・リーグをかき回す“台風の目”――。快進撃を見せる西武に注目だ。
2015.05.15
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4戦連発、10戦連続安打&長打、6試合連続マルチ安打…止まらないSB主砲 ソフトバンク・李大浩のバットが、凄まじい勢いを見せている。9日の楽天戦。2点を追う7回1死一塁だった。楽天の先発・則本昂大が投じた抜けたフォークを逃さなかった。左翼席への同点9号2ラン。この日、6回途中まで完全投球し、わずか2安打しか許していなかった右腕の唯一と言える失投を一振りで仕留めた。 翌10日の同戦。初回2死一、二塁で右前安打を放つと、3回にも中前安打。そして、3点リードで迎えた4回1死一、二塁で、勝負を決定づける左中間への10号3ランをテラス席へかっ飛ばした。3安打3打点。本拠地のお立ち台で「大事なところで打てて良かった。4月に打てなくて、チームにも、ファンにも迷惑をかけた。5月に復活出来て良かった」と喜びを口にした。 助っ人砲のバットを止める術がない。10日の1打席目の右前安打で、4月29日の日本ハム戦(札幌D)から10試合連続安打とし、この10号で4試合連続本塁打、10試合連続長打、そして3安打で6試合連続マルチ安打。最近10試合は41打数20安打で打率4割8分8厘、6本塁打、13打点。ここ5試合では打率5割5分。驚異としか言いようがない。 強烈な上昇カーブを描いている。今季、開幕から李大浩のバットは低調だった。4月4日の西武戦(西武プリンス)から同12日の日本ハム戦(熊本)まで6試合連続無安打があり、ここで打率は1割9厘まで低下した。「こんなに打てないのは、野球人生で初めて」と言うほどの絶不調だった。復調の要因は? 13日は11試合連続長打のプロ野球記録到達の可能性も それが、わずか1か月で打率は3割目前の2割9分5厘に。4月16日のオリックス戦(京セラD)からの20試合で無安打だったのは、28日の日本ハム戦(札幌D)の1試合だけ。何が李大浩を変えたのか。 変化を感じるのは、打撃時の足の上げ方だ。好調な今、早めに始動し、左足をゆったり、そして高く上げている。その状態を長く保ち、スイングへと移っていっている。さながら、一本足打法である。デホ自身も「もっと早く始動しようと練習から意識している。今どれくらい足を上げているかは自分でも分からないけど、勘というか、早く早く、しっかり上げようと意識しているよ」と認める。早く始動して「間」を作ることで、しっかりとボールを呼び込めていることが、好調の一因にある。 35試合での10号到達は、来日後自己最速で「野球をやってきた中で、1番(本塁打の)ペースが早いし、状態はいい」ともいう。 そんな李大浩には、13日のロッテ戦(QVC)で、大記録がかかっている。ソフトバンクの秋山幸二前監督(53)が、ダイエー時代の94年に記録した11試合連続長打のプロ野球記録である。台風6号による天候不良で12日の同戦は中止。仕切り直しの一戦で、昨季まで師事した恩師に肩を並べるか。要注目の試合になる。
2015.05.14
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◇セ・リーグ 巨人2-1広島(2015年5月12日 東京D) 戦力外、故障を乗り越えた背番号91が大仕事だ!巨人は12日、今季から加入した堂上剛裕外野手(29)の活躍で逆転勝ちし、広島の連勝を6で止めた。この日出場選手登録され、「6番・左翼」で今季初出場。2回に移籍初安打を放つと、0―1の7回には広島・前田健太投手(27)から同点の左中間適時二塁打、さらに暴投で決勝のホームを踏んだ。チームは20勝に到達し、首位・DeNAとのゲーム差を2とした。 勝利のハイタッチ。堂上は謙虚な性格そのままに、一人一人に頭を下げながらナインの祝福を受けた。どん底からはい上がった29歳が、新天地での初出場、初スタメンでヒーローとなった。 「感謝の気持ちでいっぱいです。獲っていただいたので、絶対に恩を返すんだ、という気持ちでいい結果になった」 0―1の7回1死一塁。広島の絶対エース・前田健に対し「追い込まれたので、食らい付いていった」とファウルで粘り、最後は外角145キロを左中間へ。同点適時二塁打に東京ドームが大歓声に包まれた。さらに2死一、三塁から前田健のワンバウンドの投球を捕手の会沢がはじくと、三塁から猛然と突っ込み、決勝のホームへ滑り込んだ。 最後に対戦した一昨年は4打数2安打。「得意なイメージはないが、自分の状態がよかった」。2回の第1打席でも中前へ移籍初安打。観戦に訪れた長嶋茂雄終身名誉監督も「堂上はよかったね。2本目は左中間にうまく打った」と称賛した。 背番号は91。今季の巨人のテーマの一つ「野性味」を感じさせる男だ。キャンプ中の実戦9試合で打率・355、1本塁打、10打点とアピールし支配下に昇格。2月28日、ヤクルトとのオープン戦(東京ドーム)では、初回の守備で右手親指の付け根を痛めながら「離脱するわけにはいかない」とプレーを続け、2度も打席に立った。のちに骨折と判明し、原監督を驚かせた。この日も指揮官は「野球というスポーツは本当に気持ち、魂を奮い立たせる。そういうものを彼に教わった」と称え、「ジャイアンツの選手たちにもいい刺激になったと思います」と続けた。 2軍では右手が使えない時期は、左手一本でティー打撃を繰り返した。さらに「自分の足りないところを補った。調子の波があるので、継続してやれるように」と打撃の確実性を追求。心に刻んだのは内田2軍打撃コーチの「自分を知れ」という言葉だ。右肩が内側に入る悪癖をオープンスタンス気味に構えることで修正。どん底を自らのステップに変えられるところに、強さがある。 試合中は、4万4132人の大歓声を「獲ってくれなかったら、なかった歓声だな」と感慨深げに聞いた。お立ち台ではキャンプ中に食事をともにするなど、チームに溶け込むサポートをしてくれた井端も一緒。「こうしてここに立てて、少し恩返しができた。これからも頑張っていきたい」。故障で離脱していた阿部と坂本は13日から復帰するが、堂上の野性味はチームには欠かせない。 ≪実はマエケンキラー≫中日から移籍した堂上(巨)が初出場で同点打を含む2安打。巨人デビュー戦で殊勲安打込みのマルチ安打は、外国人選手を除けば、08年7月2日ヤクルト戦で鶴岡(現阪神)が先制打を含む2安打して以来7年ぶりだ。また、前田健(広)とは中日時代から11試合目の対戦。通算成績は21打数7安打の打率・333、3打点と難敵を攻略している。 ◆堂上 剛裕(どのうえ・たけひろ)1985年(昭60)5月27日、愛知県生まれの29歳。愛工大名電では4番を務め、2年春、3年春夏と3度甲子園出場。高校通算46本塁打。03年ドラフト6巡目で中日入団。昨オフに戦力外となり、巨人と育成契約。今年2月23日の春季キャンプ中に支配下選手登録された。父・照氏は元中日投手で、弟・直倫は中日内野手。1メートル83、85キロ。右投げ左打ち。
2015.05.13
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◆ 周囲の予想を遥かに上回るスピードで成長を続ける強打者 現在、パ・リーグ首位に立つ西武(5月10日終了時点)。チーム防御率3.08と安定した投手陣のほか、打線も好調。チーム打率.261はソフトバンクと並びリーグトップの数字である。 中でも目を引くのが森友哉だ。昨季、高卒ルーキーとしていきなり6本塁打を記録し球界の話題をさらったが、今季は早くも昨季を上回る7本塁打を記録している。 フルスイングで長打を量産し、12二塁打はリーグトップ、長打率.587は李大浩(ソフトバンク)に次ぐ2位と、あどけなさの残る19歳は周囲の予想をはるかに上回るスピードで成長し続けている。 プロ入り即活躍した高卒野手といえば、西武ファンならずともまず思い浮かべるのが清原和博(元西武ほか)だろう。高卒1年目の清原が記録した31本塁打は、大卒、社会人出身者も含めた新人最多記録であり、野球ファンの間では今なお伝説として語り継がれている。◆ 苦手なソフトバンクと日本ハム投手陣を攻略できるか? その清原と森の成績を比較すると、興味深い結果が出た。1本の本塁打に必要な打席数をはかる本塁打率を見てみたい。1年目の清原は471打席31本塁打で本塁打率は15.19。一方、昨季の森は92打席6本塁打、本塁打率15.33。 森は捕手ゆえに、1年目からレギュラーを奪うにはあまりにハードルが高いポジション。よって、打席数が少なかったがために、本塁打数自体は清原に遠く及ばなかったものの、昨季の森は、清原となんら遜色のないハイペースでホームランを放っていたということである。 同様に、2年目の清原と今季の森を比較してみよう。清原は536打席29本塁打で本塁打率18.48。森はここまで133打席7本塁打で本塁打率19.00。やはり清原にはわずかに及ばないものの、球界の“レジェンド”と堂々と肩を並べる数字だ。 しかし、そんな森にも弱点はある。今季ここまでの球団別対戦成績を見ると、オリックス戦や楽天戦では4割近い打率を残している一方、ソフトバンクが相手だと.227。昨季もソフトバンクは苦手としており、対戦打率は.176だった。 また、首位争いを繰り広げている日本ハムも森は比較的苦手としている。日本ハム戦は、昨季、今季ともに、ソフトバンク戦に次ぐワースト2位の対戦打率である。今週はそのソフトバンク、日本ハムとの対戦カードが組まれている。 将来は間違いなく、いや既にチームの主軸を担っている森だが、上位球団、そしてその上位球団にいる力のある投手を打ち砕いてこそ、“本物の中の本物”になるというもの。 森がどんな打棒を見せてくれるか、今週の試合をじっくりと観戦してみたい。
2015.05.12
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◇パ・リーグ ソフトバンク10-1楽天(2015年5月10日 ヤフオクD) 勢いが止まらない。4回1死一、二塁、ソフトバンク・李大浩(イデホ)が戸村の投じた初球、甘く入った138キロ直球を捉え、左中間最深部のホームランテラスへ3ラン。4試合連続となる10号で日本ハム・中田とリーグトップに並んだ。 5月に入ってから6発目と絶好調。35試合目で2桁到達は、日本では12年の46試合目を上回るスピードで「野球をやっていて今の状態が最高」と舌も滑らかだ。韓国・ロッテ時代の10年には9試合連続本塁打を記録している大砲は「ホームランも出てヒットも出ている今の方がいい」と笑顔だ。工藤監督は「チームの中心にいる選手なので、このまま続けてほしいね」と目を細めた。 打率・221と低迷していた4月までがウソのような猛打だ。好調の理由は打撃フォームの修正。打席で足を高く上げ、ゆったりとタイミングを取るようにしてから調子が急上昇した。試合前の練習でも、足の上げ方に意識を集中している。日本ではこれまで12、13年の24本が最多だが、今季は143試合に換算すると41発という快調なペースでアーチを量産している。 好調の助っ人が引っ張る打線は今季最多15安打で10得点。3カード連続勝ち越しを決めた。李大浩は韓国で06、10年に2度獲得している本塁打王について聞かれて「早い早い。まだ100試合以上残っている」と笑ったが、日本では4年目で初の4戦連発で確かな自信をつかんでいた。
2015.05.11
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DeNAが強い。5月4日からのヤクルト3連戦で3連勝。直前の中日戦と合わせれば今季2度目の5連勝という勢いで、2位・巨人とは1・5ゲーム差(5月6日時点)の首位に立っている。34試合を終えて20勝14敗、貯金6だ。 まだまだ常勝チームとは言い難いようにも思える。4月にも一時は首位に立ちながら、泥沼の7連敗でズルズルと4位まで後退。しかし、その後に5連勝して巻き返したあたりは、逆に不安定なチームにも見える。 しかし昨年までとは明らかに違うと指摘するのは、元阪神コーチでデイリースポーツ野球評論家の岡義朗氏だ。中畑清監督とは同じ昭和28年度生まれで「プロ野球28会」のメンバー。若いころから親交も深く、中畑野球を熟知している。 「去年までなら連敗を止めた後もズルズルと黒星が先行するようなチームだった。今年はしっかりと持ち直す。特に違いが見えるのは、連勝が止まった後。7連敗の後、5連勝で止まっても、そのまま連敗はしなかった。勢いだけで勝っているわけではないことが分かる」 では、強さの秘密はどこにあるのか。実力の突出した選手が何人もいるわけではない。それでも底知れぬ潜在能力を感じさせるチームだ。実力以上の何かが今のチームを支えている。岡氏は「要因の一つは若さ」だという。 「投手では抑えの山崎康。野手では高卒2年目の外野手・関根。この2人が象徴的だ。普通の考え方をする監督であれば、新人に抑えを任せたり、高卒2年目の外野手をレギュラーで使うことはあまりしない。これは中畑監督の勇気、そして選手の資質を見抜く眼力からくるもの。例えば山崎の負けん気の強さは最初から見抜いていた。若い力が台頭すればチームは活性化されるもの。それが今の勢いにつながっている」 もちろん主力の活躍も見逃せない。4番の筒香がリーグトップタイの7本塁打を放つなど活躍。梶谷も高打率を維持している。 「彼らは中畑監督が就任以来、成長を願い、厳しく接してきた選手たち。真のレギュラーに育てようと、時には2軍にも行かせて鍛え上げてきた選手が花開き始めたと言える。筒香とは私もたまに話すことがあるが、以前に比べるとかなり大人になった。いい意味でピリピリ感も出てきている」 中畑監督の就任2年目からデイリースポーツのDeNA担当を務める鈴木創太記者は、指揮官の変化を感じている。 「担当記者と会話するときの明るい雰囲気はずっと変わらない。勝ったときも冗談っぽく浮かれたような発言はするけど、実際は浮かれていないところが去年までとは違う。あと、選手の適正を判断したりする目は周りからも信頼されている。実は山崎康の抑え抜てきも、当初は周囲に反対意見もあった。それでも自分の考えを通して山崎は期待に応えた」 岡氏は進藤ヘッドコーチとの信頼関係にも注目する。 「監督はできるだけヘッドの意見を受け入れようとしている。聞く耳をしっかりと持っている。作戦面でもしっかりとコミュニケーションが取れているようだ」 長いシーズン、このまま順調にいくことは難しい。「そのあたりは監督もヘッドも計算に入れている。故障者が出るかもしれないし、シーズンを通して働いた経験のない若手はバテるかもしれない。それも見越して今から対策を考え始めている」(岡氏)と、そのときのための準備は進められている。 8日からは巨人との3連戦。「借金を背負っているつもりで戦う」と話す中畑監督には、名将の風格すら漂い始めた。
2015.05.09
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DeNAが強い。5月4日からのヤクルト3連戦で3連勝。直前の中日戦と合わせれば今季2度目の5連勝という勢いで、2位・巨人とは1・5ゲーム差(5月6日時点)の首位に立っている。34試合を終えて20勝14敗、貯金6だ。 まだまだ常勝チームとは言い難いようにも思える。4月にも一時は首位に立ちながら、泥沼の7連敗でズルズルと4位まで後退。しかし、その後に5連勝して巻き返したあたりは、逆に不安定なチームにも見える。 しかし昨年までとは明らかに違うと指摘するのは、元阪神コーチでデイリースポーツ野球評論家の岡義朗氏だ。中畑清監督とは同じ昭和28年度生まれで「プロ野球28会」のメンバー。若いころから親交も深く、中畑野球を熟知している。 「去年までなら連敗を止めた後もズルズルと黒星が先行するようなチームだった。今年はしっかりと持ち直す。特に違いが見えるのは、連勝が止まった後。7連敗の後、5連勝で止まっても、そのまま連敗はしなかった。勢いだけで勝っているわけではないことが分かる」 では、強さの秘密はどこにあるのか。実力の突出した選手が何人もいるわけではない。それでも底知れぬ潜在能力を感じさせるチームだ。実力以上の何かが今のチームを支えている。岡氏は「要因の一つは若さ」だという。 「投手では抑えの山崎康。野手では高卒2年目の外野手・関根。この2人が象徴的だ。普通の考え方をする監督であれば、新人に抑えを任せたり、高卒2年目の外野手をレギュラーで使うことはあまりしない。これは中畑監督の勇気、そして選手の資質を見抜く眼力からくるもの。例えば山崎の負けん気の強さは最初から見抜いていた。若い力が台頭すればチームは活性化されるもの。それが今の勢いにつながっている」 もちろん主力の活躍も見逃せない。4番の筒香がリーグトップタイの7本塁打を放つなど活躍。梶谷も高打率を維持している。 「彼らは中畑監督が就任以来、成長を願い、厳しく接してきた選手たち。真のレギュラーに育てようと、時には2軍にも行かせて鍛え上げてきた選手が花開き始めたと言える。筒香とは私もたまに話すことがあるが、以前に比べるとかなり大人になった。いい意味でピリピリ感も出てきている」 中畑監督の就任2年目からデイリースポーツのDeNA担当を務める鈴木創太記者は、指揮官の変化を感じている。 「担当記者と会話するときの明るい雰囲気はずっと変わらない。勝ったときも冗談っぽく浮かれたような発言はするけど、実際は浮かれていないところが去年までとは違う。あと、選手の適正を判断したりする目は周りからも信頼されている。実は山崎康の抑え抜てきも、当初は周囲に反対意見もあった。それでも自分の考えを通して山崎は期待に応えた」 岡氏は進藤ヘッドコーチとの信頼関係にも注目する。 「監督はできるだけヘッドの意見を受け入れようとしている。聞く耳をしっかりと持っている。作戦面でもしっかりとコミュニケーションが取れているようだ」 長いシーズン、このまま順調にいくことは難しい。「そのあたりは監督もヘッドも計算に入れている。故障者が出るかもしれないし、シーズンを通して働いた経験のない若手はバテるかもしれない。それも見越して今から対策を考え始めている」(岡氏)と、そのときのための準備は進められている。 8日からは巨人との3連戦。「借金を背負っているつもりで戦う」と話す中畑監督には、名将の風格すら漂い始めた。
2015.05.09
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中谷、起爆せよ!! 阪神・和田豊監督(52)が7日、8日からの広島戦(甲子園)で、今季初昇格する5年目の中谷将大外野手(22)をスタメン起用する方針を明かした。チーム打率が12球団ワースト(・231)のなか、ウエスタン・リーグ首位打者(打率・303)の未完の大器を抜てき。若虎のバットで、借金「2」の5位から浮上する! 視線の先には、快音を響かせる“未完の大器”の姿があった。今季初の1軍昇格を果たした中谷だ。打線がなかなかつながらないなか、和田監督が得点力不足解消の起爆剤に、5年目の若虎を指名した。 「(スタメンで)使ってみたいから上げたんやから。チャンスは間違いなくある」 最下位・広島を甲子園に迎え撃つ8日からの3連戦。指揮官はいきなりのスタメン起用を示唆した。 今季は開幕から打順での試行錯誤を繰り返してきた。鳥谷、上本、西岡の1~3番のシャッフルに始まり、福留とマートンの5、6番も入れ替えた。特に、大和、江越、俊介、伊藤隼が務めてきた「7番・中堅」は固定できていない。「福留がよくて、マートンも少しずつ上がってきているから、7番が非常に大事になってくる」と和田監督。“新兵器”として中谷に期待を寄せた。今季、チーム打率・231は12球団ワーストだが、中谷はウエスタン首位打者の打率・303。打線を活性化させるにはうってつけだ。 甲子園での指名練習ではフリー打撃で54スイング中4本のサク越え。パワーだけでなく、右方向にも鋭い打球を飛ばし、虎将は「ファームで数字を残しているだけのバッティングをしているね。プロに入って一番いい状態で上がってきているんじゃないかな」とうなずいた。2軍は休日だったが、古屋2軍監督がわざわざ私服姿で視察。首脳陣からの期待の高さの表れだ。 入団当初から有望視されていた。だが、1軍出場は2012年の6試合のみ。10打数無安打4三振と結果を残せていない。同世代の山田(ヤクルト)や駿太(オリックス)らが次々と1軍で活躍。今季、春季キャンプは1軍で過ごしたものの、開幕1軍入りはルーキーの江越に奪われた。「いい刺激になった」と中谷。悔しさをバネにコツコツと練習に励んできた。和田監督も「バッティングを見ていると、今までより変化があるね」と成長を認めている。 登録抹消された黒田の代役として8日先発する広島・戸田とは好相性だ。ウエスタンで6勝0敗の4年目左腕だが、今季の2軍での対戦は4打数3安打。通算では32打数15安打で打率・469、1本塁打と打ちまくっている。3年ぶりの1軍での試合となるが、お得意様相手に自信を持って打席に入れるはずだ。 「1軍でのチャンスはこれで最後だと思う。そういう気持ちでやる」 決死の覚悟で臨む運命の広島戦。借金2のチームも3連勝すれば、一気に貯金が作れる。眠れる打線を目覚めさせてみせる。
2015.05.08
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ほろ苦い一軍デビュー ゴールデンウィーク真っ只中の5月3日、QVCマリンでの千葉ロッテ8回戦のマウンドに上がったのは高梨裕稔だった。 ローテーション通りなら大谷翔平が投げるところだが、足の不安のため登板を回避。同一カード3連勝の期待は、入団2年目の右腕に託された。高梨にとってはプロ初登板である。 念願のデビュー戦は、ほろ苦い結果に終わった。 3回1/3を投げて被安打5、与四死球4の4失点。立ち上がり、岡田幸文にいきなり死球をぶつけた高梨は制球に苦しみ、四球を出しては足を絡めたロッテの攻撃に揺さぶられる。カウントを取りに行った甘いボールは、ことごとく打たれるという悪循環に陥った。 日本ハムは序盤の失点を盛り返せず2-7と完敗し、高梨は敗戦投手となった。 敗戦という結果はともかく、この高梨の初登板によって昨年入団した8人全員が一軍デビューを果たした。 プロ入り2年目の5月で全選手がデビューするというのは、日本ハムでなければ考えられない。この球団の若手起用は、とにかく大胆のひと言に尽きる。 積極果敢な起用の根底には、一軍の試合に出なければわからないこと、学べないことがある、という考えがある。学ぶべきものがあるのなら、早めに学んだ方がいい。いい選手は失敗を糧に、ひと回り大きくなる かつて、中日の山本昌にデビュー戦での思い出について尋ねたことがある。1986年10月16日、神宮球場での対ヤクルト26回戦。プロ入り3年目の左腕は1-5とリードされた6回にマウンドに上がり、広沢克己に2ランホームランを叩き込まれた。「初めて一軍に出て驚いたのは、キャッチャーの構えるミットがとにかく小さく見えたってこと。学生時代や二軍の試合はデーゲームばかり。ナイターに慣れていなかったんだ」 これもまた一軍にデビューしなければ、わからないことだ。 同じ野球でも、一軍と二軍は似て非なるものだ。結果を求められる一軍のプレッシャーは、鍛錬の場である二軍の試合とは比較にならない。その一軍のマウンドに高梨は立った。満員のスタンドの熱気、相対する打者が醸し出す威圧感は、いままで経験したことのないものだったはずだ。 2年目の春に巡ってきたチャンス、高梨は実力をほとんど出し切れないままマウンドを降りた。ストライクを取ることに四苦八苦し、打者と駆け引きをする以前に自分との戦いで負けてしまった。これはおそらく、一軍のマウンドに立たなければ経験できないことだったはずだ。 一軍で結果を出すためには……。 いまごろ高梨は、いままでよりも高い次元の悩みに直面しているだろう。それが明日の成長の糧になるのだ。 近い将来、高梨がふたたび一軍で出番を得て、今度はしっかりと結果を出したとする。それは初登板の失敗が生きたということになる。 早く一軍で通用する選手を育てようと思ったら、早めにチャンスを与えるのがいい。それがたとえ失敗に終わったとしても、いい選手は失敗を糧にして、またひと回り大きくなるもの。それが限られた人材を最大限に生かそうとする日本ハムの哲学。2015年組も、やがて次々と出てくることだろう。
2015.05.06
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○ 広島 3x - 2 巨人 ●<6回戦・マツダ> まさかの幕切れだった。 2-2で迎えた9回、広島は一死満塁のチャンスを作り、打席には代打の切り札・小窪哲也。巨人の4人目・マシソンの高めの速球を打ち上げると、打球は投手と捕手の間に。 マシソンが指差し、野手に指示を送るも、これを追った一塁手のフランシスコと三塁手の村田修一がこれをお見合い。2人の間に打球が落ち、慌ててそれを拾ったフランシスコが三塁走者の野間峻祥よりも先に本塁を踏んで球審がアウトの宣告。次の場面に移ろうとした。 ところが、これに広島の石井琢朗三塁コーチが猛抗議。緒方孝市監督もベンチを飛び出して抗議すると、今度は球審がセーフのジャッジ。一塁側ベンチが歓喜に湧いた。 ここで問題となったのが、“インフィールドフライ”の扱い。そもそもインフィールドフライとは、「無死か一死の場面で、走者が一二塁か満塁の状態の時に、フェアゾーンに飛んだフライを内野手が通常の守備を行えば容易に捕球できるであろう時に審判が宣告することによって、打者が即アウトになるプレー」のこと。 野手がフライを捕球する・しないに関わらず、フライが上がっている状態でアウトが宣告され、これによってフライを故意に落球し、複数の走者を併殺にしようとするのを防止するためのルールである。 今回のケースでも、インフィールドフライが宣告された時点で打者の小窪はアウト。その時点で本塁はフォースプレーではなく、タッチプレーの扱いとなる。 しかし、打球を拾った巨人の一塁手・フランシスコはホームを踏んだだけに留まり、その後にホームを駆け抜けた野間にはタッチをしていない。ということは野間はまだ生きた状態の走者であり、サヨナラのホームを踏んだことが認められたのだ。 歓喜に沸く一塁側と、満員のファンで埋まったマツダスタジアムのスタンド。グラウンドには困惑した様子の巨人の選手たちと、抗議する原辰徳監督というなんともいえない幕切れとなったが、判定は覆ることなく、広島のサヨナラ勝ちとなった。 なにはともあれ、これで9回を2失点で投げ抜いた広島の大瀬良大地に白星がついた。開幕から好投を続けながらも運に見放された2年目右腕が、5度目の登板にして待望の今季初勝利を挙げた。
2015.05.05
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心に響くイチローの言葉 現地時間4月29日、メッツ戦でイチローがマーリンズ移籍後初ホームランを放ち、1993年から続いている連続ホームランを23年に伸ばした。 4-3でマーリンズが1点リードしていた場面での勝利を決定づける3ランホームランということもあり、スタンドのファンはスタンディングオーベーションで大熱狂していた。その熱はベンチも同じく、ダイヤモンドを一周しベンチに戻ったイチローにチームメイトがつめかけて祝福した。 25日には日本得点記録を更新し、その栄誉を称えられたばかり。試合を重ねるごとにイチローがチームに溶け込んでいくのが目に見えて感じられる。 29日の試合後インタビューでイチローは静かに熱く語った。「打ったあとチームメイトもファンの人もあんなに喜んでくれたらもう泣きそうやね。特別な時間は自分で作るものではなく、人が作ってくれるもの」 イチローのチームへの想いが込められた言葉だ。 マリナーズからヤンキースに移籍した際に、「若い選手のために」とトレードを申し出たイチローだったが、マーリンズでは、若い選手のために不可欠な存在になりつつある。 イチローが発する言葉には、多くの人が感銘を受けてきたことだろう。過去の名言とも言える言葉をいくつか紹介したい。【日本時間2015年1月29日 マーリンズ入団会見】「新しい場所に行って、新しいユニフォームを着てプレーすることに決まりましたが、『これからも応援宜しくお願いします』とは絶対に言いません。応援していただけるような選手であるために、自分がやらなければならないことを続けていくということをお約束して、それをメッセージとさせていただいてもよろしいでしょうか」【2004年10月1日 当時メジャー記録だったジョージ・シスラーの年間安打数(257本)を更新した際の言葉】「今思うのは、小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道だと感じている」【1992年 ドラフト4位でオリックス・ブルーウェーブに入団し、「プロフェッショナルの定義」について答えた言葉】「どんなに難しいプレーも、当然にやってのける。これがプロであり、僕はそれにともなう努力を人に見せるつもりはありません」この他にも、勇気づけられる名言がいくつもある。「結果が出ないとき、どういう自分でいられるか。決してあきらめない姿勢が、何かを生み出すきっかけをつくる」「初心を忘れないことっていうのは大事ですが、初心でプレイをしていてはいけないんです。成長した自分がそこにいて、その気持ちでプレイしなくてはいけない」「夢は近づくと目標に変わる」「苦悩というものは、前進したいって思いがあってそれを乗り越えられる可能性のある人にしか訪れない。だから苦悩とは、飛躍なんです」 数々の記録をうちたて「生きる伝説」とされているイチローの言葉に心を動かせられずにはいられない。 今後も新たな記録が誕生した際に飛び出すであろうイチローの名言に注目したい。
2015.05.02
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東京六大学野球リーグの東大に、38歳医師が入部したことが30日、分かった。異色のオールドルーキーは伊藤一志投手。高校2年時からの悲願だった東大野球部入りをかなえるため、医師を務めながら、12年に文科三類に合格。休学していたが、勤務していた関東近郊の大学病院を今春退職し、晴れて1年生部員となった。リーグワースト90連敗(2分けを挟む)を更新中の赤門軍団を、「リアル・ドクターK」の右腕が救う。 白衣を脱ぎ、東大のユニホームに袖を通す。この日、東京六大学野球連盟に部員登録を認可された伊藤は、「東大で野球がやりたかった」と23年越しの喜びをかみ締めた。 愛知・東海高2年だった1993年秋。法大戦で16季ぶりの勝ち点を挙げた東大ナインのニュース映像に、心を打たれた。「勉強も苦手で、行きたい大学もなかったけど。強い東大で野球をしたいと思った」。残念ながら、現役では不合格。別の大学に進む道を選んだ。 医大で硬式野球を始め、主に「4番・投手」として6年間プレー。東日本の医大、医学部が集う大会で通算1勝を挙げた。08年に国家試験に合格。31歳で医師になったが、東大野球部の夢をあきらめきれなかった。 多忙な業務の合間に独学を重ね、「文系の方がうかりやすい」と12年に東大文科三類に合格。休学して病院勤務を続けていたが、上司にも背中を押され、今春退職を決意した。「10年後には無理。将来、あのときにやっておけば―と思いたくなかった。今しかない」。高校、大学の先輩になる予備校講師・林修さんの流行語「今でしょ!」を体現し、赤門を叩いた。 入部に年齢制限はなく、かつてプレーした医大は全日本大学野球連盟に属していないため、4年間神宮での試合に出場可能だ。練習に参加した38歳ルーキーは、「これまでは近所のおじさんと軟球でキャッチボールしたり、素振りしたり。トレーニングの量が違うので、足がパンパン」と苦笑い。「先輩から敬語を使われると申し訳ない」と、校内でのリーグ戦告知のビラ配りや、用具の片づけなど1年生の雑用も率先してこなす。約20歳下の同期の間では「カズシ」の愛称も浸透してきた。 「直球の最速は測ったことがない。球種も言えるほどのものはない」と謙遜するが、「しっかり練習して試合に出たい。何年かに1度の波が来れば。赤門旋風が吹くといい」と伊藤。5年間続く90連敗の“病”を、「ドクターK」が退治する。 ◆東大のオールドルーキー 1996年に35歳の高橋将人投手が入部した。慶応志木から慶大卒業後に東大に合格。4年時には年齢と同じ背番号39をつけたが、リーグ戦出場はなし。同期に遠藤良平(元日本ハム投手、現GM補佐)。 ◆プロ野球の最年長デビュー 毎日・湯浅禎夫監督の48歳34日。1950年11月5日の阪急戦で、浜崎真二監督(48歳330日)と先発対決(通算出場はその1試合)。メジャーでは、48年サチェル・ペイジ投手(インディアンス)の42歳。 ◆伊藤 一志(いとう・かずし)1976年8月19日、愛知・稲沢市生まれ。38歳。小学4年で軟式野球に触れる。08年に医大卒業。関東の大学病院勤務を経て、東大文科三類1年。好きなプロ野球選手は落合博満元中日監督、オリックス・金子千尋、レッドソックス・上原浩治。171センチ、73キロ。右投右打。
2015.05.01
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