高血圧や心不全によって脳神経細胞が失われ、認知障害が引き起こされる可能性のあることが、自治医科大学循環器内科学COE教授の苅尾七臣氏や星出聡氏らの研究で明らかになった。日本循環器学会で「Cerebral Neuronal Loss and Cognitive Dysfunction in Relation to Hypertensive Diastolic Heart Failure」と題して発表された。
高血圧や心不全は認知障害のリスク因子とされる。苅尾氏らは高血圧患者を対象とした研究で、虚血によるダメージを受けやすい脳深部白質の神経細胞の量を測定し、神経細胞の量が減ることで認知障害が起こる可能性を示した。この研究は自治医科大学が進める高血圧研究Jichi Medical School(JMS)ABPM Studyの一環。
対象は高血圧外来患者54人、男性が6割を占め、平均年齢は70歳、左室駆出分画(LVEF)は平均で67%だった。年齢と性をマッチさせた非高血圧群20人を対照群とした。認知障害の程度をMini-Mental State Examination (MMSE)により調べたところ、MMSEが27未満で認知障害があると判断された人は、高血圧群では3割だったのに対し、非高血圧群では1割だった。