ザビ神父の証言

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2012.01.11
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カテゴリ: 社会風俗
庶民生活あれこれ (8)

今日の1枚は、ドーミエの「パリのボヘミアン」と題する連作から、「古着屋」を選んでみました。1842年の作ですから、バルザックの全盛期と重なります。

古着屋

「売りたい衣類はないか」と、ギターを片手に、古着を求めて路地から路地を行く古着屋の姿は、19世紀パリの名物の1つでした。

ナポレオン1世の治世ですから、19世紀の初頭ですが、この時期にタンプル通りの一郭に大きな古着市場が作られ、古着の需要が拡大したのです。

ちょうど、地方からパリへの人口流入が始まり、パリの人口が急造し始めた時期に重なっています。

既製服という観念が、まだなかった時代です。それゆえ当時のパリの庶民にとって、注文して服をあつらえるなどということは、とんでもない高嶺の花だったのです。それでも、職人たちや労働者たちも、ちょっとした身なりには気を使ったのです。

家族で一部屋に住む彼らにとって、それだけ戸外での生活は大切だったのです。ですから、休みの日に狭い部屋を出て、ちょっとした郊外に遊びに出る時に、身なりを整えるのは、体面に関わることだったのです。

1昨日の列車の絵の紳士・淑女も、混雑した三等列車に乗り込むのですから、シルクハットもフロックコートも、奥様のお洋服も、古着で買い求めたものに違いないのです。

学生たちや小店主たちもまた、頼りにしていたのは、こうした古着屋だったのです。





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最終更新日  2012.01.11 11:52:23
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